教育資料館だより
第 7 号
平成12年3月 奈良教育大学教育資料館
教育資料館の今年度の活動を振り返って………館長 梅 村 佳 代……… 1 退官記念「書作展」に際して 宮 崎 彰 夫……… 3 東大寺修二会声明 書資料のデジタル化について
〜牧野英三名誉教授の収録音源のCD化〜 ……… 久保田 敏 子……… 5 教育資料館所蔵の展覧会図録コレクション
(赤井前学長寄贈)について
教育資料特別展示 99 の開催について 今回の特別展示に寄せて
山 岸 公 基‥‥‥・‥ 7
館長 梅 村 佳 代………10
教育資料館の今年度の活動を振り返って
館 長 梅 村 佳 代
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教育資料館の今年度を含めた創設以来の活動につ いて、その実績と課題を考える機会を与えられるこ
とが多くあり、改めてその活動をふりかえって述べ たいと患う。
まず、今年度において特筆できることは大学祭期
間の特別企画である「教育資料館特別展示 99つ において「幕末明治の浮世絵展一奈良の旧家から発 見された浮世絵を初公開−」を行ったところ、700 人もの一般市民や教職員・院生・学生の方々が来館 されて観てくださったことである。これほどの来館
高まったことによるが、何といっても本学に寄贈さ れた145点に及ぶ幕末から明治にかけての浮世絵の 価値の高さと色彩も鮮やかに江戸時代の庶民生活文 化へと現代の我々を誘ってくれて感動を与えられた ことにある。広重の「魚づくし 黒鯛」は見事で あったし、三代豊国の「源氏御祝言図」や「雪月花 之図 はな」や「江戸名所百人美女」などの美人画 は美しく華麗であり庶民文化の豊かさを伝えてくれ たし、大錦三枚続きの絵など豪華さとスケールの大 きさに驚きもした。今回の浮世絵全体が所蔵者加賀 屋中山家の保存のよさから色彩といい華やかさとい い観るものを十分に堪能させてくれたのである。既 に本館には鈴木春信や喜多川歌麿の描いた美人画が 赤井達郎前学長の御寄贈によりパネルにして展示さ れている。筆をもって文字を書き、行灯の光りのも とで手紙を読む庶民生活のなかのしぐさが美人図と して美しく措かれている。今回の145点もの多数の 浮世絵が寄贈され、一般市民や学内の方々に観てい
ただけたことはこの上なく嬉しいことであった。江 戸時代以来奈良町で墨の製造をなさってこられた陳 玄堂の方々に深くお礼を申し上げたい。またこのた
びの寄贈いただくまでの過程や浮世絵の作品の価値 を『図録』を創られ解説してくださり、展示のため に作品の選択や展示へのお力添えなど赤井前学長の ご尽力なしには実現できなかったことである。
また、本学教育資料館のパソコンホームページに 所蔵資料18,000点教育資料の目録をデータベースと して提供していること、画像としても往来物及び生 活綴方や作文教育資料を公開し解説も付している。
これらはビデオ化され県下の学校に配布されている。
また牧野英三名誉教授の御業績である「わらべ歌・
労働歌」を音声として再現公開し、東大寺二月堂の お水取りの行事の「お声明」の再現、新規購入の江 戸時代の女筆手本や随筆などの和本90点ほどの書物 の画像公開(解説付き)にも取り組んできた。また 山本喜志雄氏の蒐集による戦前・戦後の教科書の展 示や本宮小学校の児童絵画の展示を通して「戦後美
地域の市民との交流や教育・文化の進展に貢献して きた。
本学が所蔵する本学の卒業生で教員の先輩諸氏に より寄贈された学級通信や学年通信、教育実践ノー トなど手書きの多数の教育実践資料や戦後初期の国 語教育政策に関する内容が伺える渋谷文庫など未公 開の資料は多く所蔵保管されている。今後、日常の 大学での授業や卒論、教師の日常の教育実践に活用 されるための工夫が求められるところであり、教育 資料館の今後の課題でもある。
今年度新たに、教育資料館内に本学の全容を一覧 できる紹介コーナーを設置することとなった。本学 を訪れてくださった方々がまず立ち寄って下さって 大学について概観して下さって、さらに研究室や先 生方を訪問され研究や教育の交流を深めていただけ
るようになればと思っている。
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ー2−
退官記念「書作展」に際して
「教育資料館だより」の原稿として、ふさわしい ものになり得ませんがお許し下さい。
退官に際しては、最終講義を行うのが通例のよう ですが、実技関係を担当する者にとっては、作品発 表の場をもつことが多いように思われます。その時 機がくれば、私もそうすべく心に決めていたものの、
準備不足でスタートが遅れてしまい、じっくり時間 をかけての制作は、卒業制作のための授業から手が 離れた12月下旬になってからであったと思います。
この時、何故かあせりとプレッシャーを感じて、一 段落ついたであろう学生を羨ましく思ったものです。
毎年のことながら、年末年始の2・3日は帰省
(和歌山)していたのですが、今回はそれも返上し て、身体が壊れてしまうのではないかと思う程、書 きに書いたという実感だけは残っています。作品の 仕上がりには、つい欲が出てより良いものを目指し て頑張ってみるのですが、ただ徒らに反古の山を作 るに終始することが屡々でした。この様なことで、
作品の制作には、1ヵ月余りを要したように患いま す。会期が2月29日から3月5日まで決定済みだっ たので、作品集作成の期間を逆算して考えてみても、
2月始めまでの制作は、本当に制限ぎりぎりの所で 最高度のプレッシャーを感じたものでした。
さて、実際にはどのような手順で制作に取り組む かというと、人によって、また時と場合によって異 なるものの、通常は、作品(本紙)の大きさや形式 を決めたあとで撰文する場合と、撰文即ち題材が先 でそのあとに形式を決める場合とがあるように思い
ます。
前者では、その形式に字数の問題がからみ、1行 書きか2行書きにするかで、五言句を選ぶか、七言 二句の14文字にするかなどを決めていくわけで、詩 文の内容を吟味するのもこの時であります。後者で
十11−
宮 崎 彰 夫
は、題材となる字句や詩文が先にあって、それぞれ をどの形式のものに収めるのが最も効果的かなど試 行錯誤しながら構想をねります。いずれの場合にし ても、漢字作品では蒙・隷・楷・行・草のどの書体 や書風によって書くかの選択肢があり、筆・墨・紙
(画仙紙)でもそれぞれに限りない選択肢が出来る わけで、書道のむずかしさや面白さ、奥の深さがこ
こに在りと思える所でもあります。
1点を仕上げるのにどんな気配りをするかも、こ れまた人それぞれですが、私自身、常々気にしてい るのは、筆をどこで置くかということなのです。
「書」の場合は、とっかえとっかえして何枚も書き つぶして、どんなのが出来れば筆を置くかは全く書 き手の自由ですが、重要なポイントだと思っていま す。もう1・2枚書き込んでおけば、更に良いもの が出来たかも知れないということには何時も悩まさ れます。書の本来の姿からすると、一気珂成になる のが良いとする一面もありますが、学書の立場、勉 強の途上にある者の立場から見れば納得できる所ま で書き込む姿勢は常に必要であろうと患うのです。
「書」の道には何処までいっても、終生これ修行と いった感じで終着駅がなく、今回の記念展もほんの 途中停車にしか過ぎません。
このようにして作品を残していく場合、当然のこ とながら、1点に多くの時間をかける場合と、その 時の雰囲気や調子で割合に簡単に仕上がる場合とが あるものです。苦労した上でのいわゆる難産だった 作品の次には概ね早く仕上がることの波がやってく るものであって、今一歩の努力を怠るとその波は訪 れない。こんな時、苦労したご褒美に次を書かせて
くれたのかなどと思うことがあります。
奈良県文化会館A展示室という広い会場のことも あって、新作といくつかの旧作をも合わせての展示
てあるので、その作品(原物)を教育資料館に寄贈 させていただければこの上なく幸せに患っておりま す。
ぞ 音畿
▲■■■■葛
施 轟 竿 駄
一 一 題
■
︳ 1 題 教 で
いの連続であったように思います。
終わりに、以前「ならやま」で書道科教官の日展
鴫
壕 亀 鑑 ︑ 官 は
ち 冨 芸 血 豆 警 警 盈 恵
空は水色秋は暁暁と空に鳴る
︵高 村光 太郎 詩句
︶
東大寺修二会声明 音資料 のデジタル化について
〜牧野英三名誉教授の収録音源のCD化〜
久保田 敏 子
奈良教育大学の音楽教育の元教官・牧野英三名誉 教授は、東大寺の声明研究をライフワークとされて いる。特に、毎年3月1日から2週間にわたって勤 修される二月堂修二会、いわゆる「東大寺のお水取 り」の声明を長年聴聞されて、音楽的側面から研究 されている。在職中には本学紀要に「東大寺二月堂 声明」と題し、研究成果を長期間連載された。それ
らを纏めたものが、御退官の昭和61年春に『東大寺 修二会 声明の旋律に関する研究』(以下『牧野 本』という)と題して柳原書店から刊行された。そ の成果は(社)東洋音楽学会に認められて、「田辺 尚雄賞」を授賞された。
牧野先生は、上記研究の基礎資料となった聴聞時 の録音テープを全て保存されているが、その劣化が 危ぶまれていた折から、平成10年度の学長裁量経費 プロジェクトが組織され、デジタル化して教育資料 館の資料として公開する運びとなった。
プロジェクトは当時館長の国語教育講座の増田信 一教授を代表に、学校教育講座の梅村佳代、社会教 育講座の本城正徳、技術科教育講座の谷口義昭、教 育実践研究指導センターの藤原公昭、音楽教育講座 の久保田敏子の各教官で構成され、音源の整理、デ ジタル化、CDへの編集等の実作業には、奈良教育 大学大学院音楽教育専攻修了の倉永理子と、同じく 井口はる菜の両氏の協力を得た。
ご承知のように、東大寺修二会の声明は、2週間 にわたる毎日の主要な六っの「時」、すなわち初夜
・半夜・後夜・崇朝・日中・日没の「六時」の時間 帯に声明が勤修される。このうち、初夜と後夜が最 も長く「大時」と呼ばれる。次いで、日中と日没が やや長く「中時」、半夜は短く「小時」と呼ばれる。
農朝は極端に短い。中でも初日の3月1日の初夜は、
省略なしで行われるために4時間を超える。
「六時」に共通する声明は「供養文・如来唄・散 華・呪願・称名悔過・宝号・五体・発願・五仏御名
・破侶・心経・後行道・香水加持・廻向文」などで あるが、同じ声明であっても、日によって、あるい は「時」によって唱え方が異なる。また、これらの 声明には法螺貝・鈴・錫杖・鐘・磐などの楽器や法 具が使われるので、それらの音が読経の声に混ざっ て聞こえる上に、念珠の音や差懸の沓音、五体板に 打ち付ける音など、さまざまな音が重なって聞こえ る。しかも、一定の場所に止まって唱えられるわけ ではないので、きちっとした録音をするためには、
かなりの精度の機器と技術が要る。
牧野先生から拝借した録音はカセット・テープで、
昭和39年(1974)から62年(1987)の24年間、正確 には39、40、44、45年と49年から60年と62年の17年 間に亘るものである。さらにこの中には、テレビや ラジオ番組で取り上げられた修二会関連のもの少々 と、初めて修二全に参籠する僧侶が師から声明の口 伝を受けている場面を部分的に録音したものなども 含まれていて、計111本もあった。すでに遷化され ている高僧の声が録音されていたり、口伝の一部な どが含まれている点で、これらの録音テープの資料 的価値は高い。しかしながら、録音の目的があくま でも牧野先生の研究のための備忘録であったため、
録音状態は決して良い状態とは言えない。
録音機器が一定の場所に設定してあったのか、あ るいは携帯されていたのかは確認できてはいないが、
練行衆が堂内を移動しながら唱える声明であるため に、年によって録音場所を変えるなどの工夫をされ ていたことは分かる。しかし、極端に録音レベルの 低いものや、急に大音量になるものなど、僧侶の移 動に伴って音量にばらつきがあるはか、雑音もかな り多く、テープ自体が伸びたのではないかと思われ
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さらに拝借したカセットテープは、ケースの背の ラベルにのみ録音の年月日と「六時」の別が記され ているにすぎず、中には年号や日が欠落しているも のや、何一つ記録のないものさえあった。
そこでまず、拝借したカセットの音源全てを4時 間分収録可能なDATテープ38本に機械的に移し替 え、それを丁寧に聞き直すことから作業を始めた。
なおDATテープには、①②等の収録順と、その収録
.範囲を前掲の『牧野本』の分類番号で示し、収録時 間も記入した。
その結果、背ラベルに表示された「六時」とは異 なる内容のものや、何も録音されていないもの、さ らには、ご自身がダビングされたのか、明らかに重 複しているものなども見つかった。
次に、これらの音源を「六時」の声明ごとになら べ、さらに勤修された年の順に分類した。年月日の 不明なものについては、各年の修二会に出仕した練 行衆の記録を調べ、その方たちの声質をよくご存じ の老僧にテープをお聞き頂き、演唱者を特定した上 で、その方の出仕されていた年を割り出す、という 作業もした。
さらに、これらを一定の原則でCD−ROM化する ことによって、二週間にわたる修二会声明の中から、
特定の声明部分を検索できるようにした。このよう にすれば、長年の録音によって同じ部分が重複して いる場合でも、比較して聞くことができる。
CD−ROM化に際しての分類は、『牧野本』の分 類に準じて、目次の大見出しの順にアルファベット をつけた。即ち、Aa初夜、Bb半夜、cc法華慨法、
Dd走り、Ee後夜、Ff農朝、Gg授戒、Hh食堂作法、
Ii日中、Jj数取慨悔、Kk日没、Ll例事の作法、M m実忠忌、という分類である。大文字は見出しの大 分類にのみ用い、一覧表の中での分類はすべて小文 字で統一した。
例えば「A初夜」では、213項目に区切り、「DAT 番号」(牧野先生所蔵のカセット・テープからその まま移したもの)、「収録順序」(そのDATテープ
2悔過作法」「§3勧請・祈願作法」「§4呪師作法」
「§5後供養作法」の作法名)、「諸作法区分」
(『牧野本』で分類されている各作法セクション内の、
「供養分」「如来唄」「散華」「呪願」等の声明区 分)、「Mp3処理番号」を一覧表にした。
なお、「MP3処理番号」については、例えば「01a
−3−hm」のような略号で示している。つまり、最 初の二桁はテープの整理番号で、収録の古い順に並 べ替えている。三桁目のアルファベットの小文字は CD−ROM化に際して採用した『牧野本』の「初夜」
や「半夜」などの分類を示す。なおaaは「初夜の 称場の日」、eaは「後夜の称場の日」、ebは「後夜 の小観音後入り」、eCは「後夜達陀」を示す。ハイ フンに続く一桁の数字は、前のアルファベット区分 がa,e,i,kの場合は『牧野本』の作法のセクショ
ン番号1〜5を示し、「所作法」の§に符合する。
a,e,i,k以外のものについては、アルファベット の直後に0ト15等の数字を付し、『牧野本』の「1.
供養文」から「15.廻向文」までの声明を収録して いることを示す。末尾の小文字は『牧野本』の「所 作法区分」の声明の番号をアルファベットの降順に 置き換えたものである。すなわち「01−a−3−hm」
は、収録中一番古いテープ(01)の初夜(a)の勧 請・祈願作法(3)の神分(h)から過去帳(m)
までを収録していることを示している。
是非、一度、これらの貴重な音資料の一覧をご覧 の上、お聞き頂ければ幸いである。
『牧野本』以外の参考文献
堀池春峰代表執筆『東大寺お水取り〜二月堂修二全 の記録と研究〜』(小学館刊1996年)
佐藤道子著「東大寺修二会の構成と所作」上・中・
下・別巻『芸能の科学』6,7,12,13巻き(平凡社刊)
牧野英三著東大寺二月堂声明シリーズ:『奈良教育 大学紀要』14,15,16−1,18−1,19−1,20−1,29−1,30−1,
32−1,33−1,34−1,(1970〜1985年)。『仏教音楽』
(東洋音楽選書6.東洋音楽学会1972年刊)『東洋 音楽論考』(東洋音楽学会1969年刊)
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教育資料館所蔵の展覧会図録コレクション(赤井前学長割曽)について
美術教育助教授 山 岸 公 基
前学長赤井達郎先生は、本学を去られるにあたり、
教育資料館にも大きな贈り物をして下さいました。
それが展覧会図録コレクション(以下「赤井文庫」
と呼びます)です。
展覧会図録には、一般の図書と区別されるいくつ かの特徴があります。まず第一に、書店に出回らな いこと。したがって展覧会図録の入手にあたっては 博物館・美術館など展覧会場まで足を運ぶのが原則 となります。また、いかに優れた図録でも展覧会終 了後版を重ねることはまず無いので、後日となって は入手不可能な場合が多いことも要注意です。赤井 文庫は、昭和21年(1946)の奈良帝室博物館(現在 の奈良国立博物館)における第1回正倉院特別展観 目録(赤井先生が本学名誉教授木村博一先生より御 寄贈をうけたもの)のような稀観の図録を含んでい ます。
明確な問題意識をもって収集された図録は、各冊 の限られた内容を超え、全体としてある分野の視覚 の記憶の総体を示してくれます。赤井文庫は、赤井 先生のご研究の重要な柱の一つ、浮世絵関係の図録 コレクションとしても内外に誇りうるものです。
私は昨夏以来赤井文庫の整理をお手伝いさせてい ただくなかで、展覧会図録の整理はどうあるべきか という大きな問題に突き当たり、模索を重ねてきま した。他の大学図書館では一般の図書とまったく同 列に日本十進法分類などによっているところもあり、
主題から検索する場合便利ですが、一連の企画展で も文書など歴史史料主体の場合は歴史の、美術工芸 品主体の場合には芸術の範疇に分類されることが多
く、総合的性格をもつ博物館・美術館の図録ほど散 在しがちという難点があります。むしろ博物館・美 術館の分布に即し、展覧会の開催順に整理すること で各館の特色も浮き彫りにされ、今後の文化財、美
術、さらには自然科学分野の研究・教育に資すると ころが多いように思われます。その一方で、複数館 で逐次開催される巡回展については別の分類原則を 立てなければなりません。
赤井文庫の整理にあたっては、このような実態を 考慮に入れ、まず各館における単独開催展の図録と 巡回展の図録とに大きく二分しました。そして単独 開催展は①所在地コード、②博物館・美術館等コー ド、③展覧会コードの三コードにより特定すること としました。奈良国立博物館で平成7年(1995)に 開催された日本仏教美術名宝展図録を具体例として あげれば、29(上記①、奈良県の都道府県番号)
−ナ01(上記②、館の正式名称頭文字を50音順カ タカナで示し、以後二桁の数字で都道府県ごとに主 要な館から付番したもの)−9501(上記③、上二 桁は西暦による展覧会開催年の下二桁、下二桁は館 ごとのその年の展覧会番号)となります。全国の博 物館・美術館の分布に関する予備知識があれば便利 な検索法です。いっぽう巡回展図録については、① 図録の大小及び展示品の原制作地コード、②分類 コード、③展覧会コードの、これも三コードを用い てあります。詳細については図書館に備え付けた
コードマニュアルをお読みください。
足かけ50年を越える赤井文庫のコレクションには 世相も色濃く反映されています。たとえば1970〜80 年代、西洋近・現代絵画巡回展が隆盛に向かう頃か ら、横長画面をページ全体に収めるのに適したB5 版変形の図録が一時流行したこと、また1990年代に 多くの館でB5版からA4版へと版型を変えたこと
など、展覧会図録全般にわたる顕著な時代の推移が 見てとれます。
図録の活用法はいろいろです。赤井文庫の学術的 な意義・価値やそこに露呈した同時代史の一面を思
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れた博物館・美術館」です。赤井文庫は、教育資料 館入口ホールの奥、展示ケース裏の木製書棚に配架 されています。授業の合間に一冊の図録を手に取り
うこと、そして赤井文庫を核とし、本学が文化財・
美術に関する研究・教育の一翼を担ってゆくことを 心から願っております。
教育資料特別展示 99 の開催について
平成12年3月
平成11年11月12日(金)から11月20日(土)までの大学祭期間中特別企画として、教育資料館において『幕 末明治の浮世絵展』−奈良の旧家から発見された浮世絵を初公開−をテーマに浮世絵展を開催した。
この浮世絵は、奈良旧家所蔵陳玄堂コレクション145枚を教育資料館に寄贈されたもので、絵は主に、江戸 時代後期から明治時代初頭に描かれ、三枚組み合わせると一つの絵になる「三枚績」、美人画や名所絵図など 中心で引き札などもある。
当時奈良奉行所に出入りしていた加賀屋助蔵父子の蒐集したもので、陳玄堂と称した助蔵の子松蔵も薬や筆 墨を商う奈良の代表的町人であった。
この145枚の浮世絵は、幕末明治の奈良の民度の高さ、文化の層の厚さをものがたる一つとみてよいであろ
う。
展示作品目録
1.青砥稿花紅彩画 大錦三枚続(三代豊国)
2.横浜海岸各国商館図 大錦三枚続(三代広重)
3.魚づくし 黒鯛(広重)
4.人の為こころのもちゃう 大錦二枚(芳員)
5.安政乙卯十一月廿三日両国橋渡初之図 大錦三枚続(国芳)
6.唐船 大判錦絵
7.花鳥乗合源氏 大錦三枚続(三代豊国)
8.源氏御祝言図 大錦三枚続(三代豊国)
9.雪月花之図 はな 大錦三枚続(三代豊国)
10.古今名婦伝 大判 小野小町、巴御前、常磐御前(三代豊国)
11.江戸名所百人美女 大判 堀の内祖師堂、呉服ばし、あさじがはら、堅川、鏡が池、上野東叡山、駿河 町、白銀(三代豊国)
12.新版董合源氏双六(三代豊国)
13.新板栄寿百人一首讐六(芳虎)
14.花競廓夜櫻 大判四枚(三代豊国)
15.其姿紫の写絵(三代豊国)
16.頼朝公平家追討之図 大錦三枚続(芳宗)
17.右幕下頼朝郷上京行列之図 大錦三枚続(芳盛)
18.王城加茂社風景 大錦三枚続(芳艶)
19.新吉原江戸町董丁目 金瓶楼上図 大錦三枚続(国周)
20.金近着緒締善玉 大錦三枚続(芳幾)
21.千代乃寿 目出度づくし 大錦三枚続(芳幾)
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本学教育資料館長 梅 村 佳 代
(学校教育教授)
このたび、奈良教育大学教育資料館に「浮世絵」陳玄堂コレクションをご寄贈いただきました。この貴重な 浮世絵の一部を奈良教育大学祭も特別企画 幕末明治の浮世絵展 として、教職員・学生・一般市民の方々に
公開展示いたしました。
今回の特別展では、遊女を描いた美人画や、広重が措いた珍しい魚の絵、すごろくなどや庶民の風俗、横浜 の商館、唐船などを展示いたしました。
150年の時の流れを感じさせないほど色鮮やかで美しく、現代においても格調高い美術品として評価される、
これらの浮世絵は、幕末から明治にかけての庶民の暮らしや服装、道具や筆、手紙などの具体的な姿を現代に 伝えてくれる歴史資料としても貴重なコレクションです。
このような貴重な浮世絵を教育資料館で公開展示できましたことは、この上もない喜びです。公開展示期間 中700名の入館者があり大変な関心を集めました。ご覧戴いた皆様にもきっとご満足いただけたのではないか と思います。
教育資料館では、今後引き続き未公開の「浮世絵」を公開展示していきたいと計画していますので、皆様の 再度のご来館を心からお待ちしております。
教育資料館だより 第7号
平成12年3月 日発行
編 集 奈良教育大学教育資料館 一 発 行 奈良教育大学
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