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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

これからの英語教育

著者 北 弘志

雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要

29

ページ 37‑48

発行年 1993‑03‑01

その他のタイトル New Perspectives on English Teaching in Japan URL http://hdl.handle.net/10105/6827

(2)

これからの英語教育ヰ

北  弘志

(英語科教育研究室)

要旨=本論文は、これからの英語教育について、新指導要領との関連から、筆 者のいくつかの提案と持論を、できるだけ平明に且つ実際的に展開しようとす るものである。筆者は日本の英語教育の目的は、聞くこと話すことの能力の伸 長・読解力の啓培・異文化理解の実践と深化だと思ってい乱特に・コミュニ ケーションと英語を使う能力との関係で上記の目的達成を図るためには、英語 によるコミュニケーションの本質的理解、英語らしい音作り、英語を使うための 教授戦略、会話英文法の解折と確立が重要である。

キー・ワード:コミュニケーション、英語のリズム、会話英文法

1。英語によるコミュニケーションの本質的理解

1.1.新指導要領では、中学、高校共に、英語科の目標として、英語を理解し、英語で表現す る能力を養い、英語で積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てるとともに、言語 や文化に対する関心を高め、国際理解を深めることをあげている。

 指導要領が、これだけはっきりと、コミュニケーションという言葉を使ったことは、特別の意 味をこめてであると思う。つまり、英語を使えるようにし、世界の人々と英語で意志疎通を図る ようにすることがねらいであろう。さらに、異文化を認め、理解し、積極的に、日本文化との交 流を推進し、相互の理解に努めようとする日本人の育成をも目指している。一言で言えば、英語 を通じての異文化(間)コミュニケーション能力の啓培ということになる。

1.2.そこで、先ず、古田(1990)に異文化コミュニケーション・モデルの一つを見てみる。

 興味深いことは、コミュニケーションに関する、内外のどの文献を見ても原理的にはよく似て いるが、とりわけどのモデルも、ノイズ(NO I S E)という要素を重視していることである。

このノイズは、同じ文化背景を持った者同士でも存在すると思われるが、異文化対人コミュニケ ーションにおいてはきわめて大きな役割を担っている要素、現象である。ノイズは主として、言 葉の違い(コードの相違)や文化差から生じると考えられている。古田(1990)ではノイズの例 として、笑顔と匂いを上げている。笑顔は日本人同士では、コミュニケーションの手段として認 知できるが、仲の文化ではノイズとなりコミュニケーションの障害となるとしている。匂いの場 合には逆のことが言えるのである。

*New Perspectives on Eng1ish Teaching in Japan

**Hiroshi KITA(Department of Eng1ish,Nara University of Education)

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記号化

考え・感情

記号解釈

7 メッセージ

チャンネル

記号解釈

ノイズ考え・感情

記号化

チャンネル

\メッセ.ジ/

 このノイズの問題はきわめて重要であり、その具体的な研究がなされ、日本人の教育に生かさ れねばならない。日本語の相違・比較、比較文化学が具体的研究テーマ・分野である。

1.3.次に文化教授のプロセスという観点から、筆者は次のモデルを提案したい。

  Approve(先ず、他国の文化の存在を認める)

   ↓

  A㏄ept(それらを知ろうと努力し受容する)

   ↓

  UnderStand(それらを理解し白文化に無い良い点は見習おうとする)

   ↓

  Eva1uate(Vaユue judgment)

        (マイナスの評価や価値判断は一切行なわない)

 筆者の持論は日本人としての独自性を自覚(identity)、堅持しながらも、自分とは異なる人 問や、異なる文化の存在と価値を、今までより、積極的、肯定的に認めて、英語を通して、お互 いが理解、尊重しあう精神と能力を養うことである。なお、日本人の自覚ということについて、

一言、付け加えるならば、日本独自の文化が国際的に普遍性を持ち、つまり、日本独自の文化が、

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その価値を世界に認められ、国際性を有することである。換言すれば、日本文化が異文化の中に 浸透することである。即ち、21世紀的日本文化が成立してこそ、日本人が国際人になったと言え よう。まるで、新しい個性を創出するように、日本人についての、異文化間コミュニケーション についての、また、異文化教育についての、パラダイム(paradigm)を組替えることができる 日本人の育成が必要なのである。

2。英語らしい音作り

2.1.筆者は日本人学習者の英語発音の弱点として、1.イントネーションが平板である。2.

ストレスが弱すぎるか、人によっては、ストレスの置く箇所が多すぎること、3.個々の音素の 発音が不正確である、4.音連続、とりわけ弱く走って読むべきところが、早くスムーズに読め ない、5.1文の最初の単語を強く読む傾向が強く、そのため正しいリズムで英語を読む、話す ことができないという結果になっている(一度崩れた英語のリズムは途中で修復できない)こと などが上げられると思う。

       I m1earning to p1ay the piano.

リプム

1S        2S 3S

       一 

イントネーション ∴1へ、

       J ㌧、、氏

      、

 上図は、本学英語科教育研究室にある、スピーチ・トレーナー(ナショナル製WE−A S202 B S)という、コンピュータ制御の発音訓練矯正機器を使って、上手な発音と下手な発音をテレ ビ・スクリーンに映し出したものをプリンターを使って打ち出したものである。

 濃い線と部分がモデルつまり上手な発音であり、淡い線と部分が下手な発音である。下手な発 音は・I mを高く、強く発音し、learの所が高く、強くなり、i㎎で落ち、toの所が異常に 高く強く発音され、さらに、最後の、pianoの所で、えぐり現象が起きている。全体的に見て、

モデルとは逆の形のイントネーションになっている。このように、文の最初の単語を強く高く読 んだり、toを強く読む傾向は日本人学習者にかなり多く見られる。文の最初の単語を強く読む のはコーラス・リーディングの影響かもしれないし、日本語の読み方の影響かもしれない(母国

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語干渉)。

なお、筆者の指導経験からこの機器を使うと日本人の発音はほぼ確実に矯正できるということ は言える。矯正された正しい発音の把持率については検証はしたが結論を得るまでには至ってい ない。しかし、学習者が自分の発音を目で見て訓練できるということは画期的なことである。

2.2.ここでは、リズムに焦点をあわせて、効果的と思われる教授法を考えてみる。英語のリ ズムは強弱の反復であるが、そのなかにも規貝1」的な繰り返しもあれば、かなり不規則な繰り返し もある。簡単な歌などに規則的なものがあるので、先ず、韻文から入り、散文へと進むと良いで

あろう。

第1段階(韻文による指導)

 ●  ●  ●  ●

 Twink1e.twinkユe.1itt1e star.

 ●  ●  ●  ●

How I wonde.r what you are!

 ● ●  ●  ●

 Up above the worユd.so high

 ●  ●  ●  ●

 Like a diamond in the sky.

第2段階(韻文から散文への移行)

 ●   ●  ●

 Boats sai1 on the rivers.

   ● ●   ●

   ⇒B o at s s a i l o n t he r iv e r s1

  ● ● ●  ●

 In winter I get up at night.

    ●  ●   ●

   ⇒In winter I get up at night.

第3段階(音連続の複数語を1語のように読む練習)

   ●    ●   ●

1. θvaaユesn   2. θvδθdei  3. izθfrend

  ●    ●

4. inθbAs   5. aihθdθo:t

第4段階(弱音節部を走り読みする練習)

 ●  ●  ●The boys/wi11want/some money.

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   ●       ●       ●

 The boys/wi11be want/ing some money一    ●       ●       ●

 The boys/wi11be want/ing some of their money.

 筆者のL L教室等の教授経験から言えることは、モデルとなる英語のテープと重ね読みさせ、

うまく音読できないところを指摘させ、なぜうまく読めないかを考えさせる。ほとんどの場合ス トレスの有る無し、つまり、弱化しているところや音連続の箇所でっまずいている。この訓練を 重ねれば、段々と英語らしい読み方、いわゆる、speech f1owが身にっいていくようである。ま た、dictationをやらせ、sense group毎に聞く練習を積み重ねて英語の流れと文字の照応やズレ を理解し体得することも有効な学習活動であ孔

3。英語を使うための教授戦略

3.1.筆者は英会話(本稿において英語によるコミュニケーションと同義)には2つのタイプ がある・換言すれば・英会話は2つに分類されると考えてい孔この考え方は・「現代のエスプ リ」(1992)で吉田研作氏が展開している英会話に啓発されて、筆者が独自に構築したものであ る。英語母国語話者は日本人と英語で会話していると多くの場合日本人の英語を話す速度が遅く てイライラするそうである。筆者はこの原因はもっと早く反応すべき会話においても日本人は熟 慮を要する会話のときと同じ心的作用を行なっているからではないかと考えるのである。

 以上のことを考慮して英会話には次の2種類があると仮定したい。

①Qタイプ(QuickResponseType)

これはCu1ture−free Conversationと呼んでも良く、Schema(Conceptua1Framework)もfunda−

menta1なものなので、COmmOn Va1ue SyStemを共有し、第1章で述べたコミュニケーションを 論ずる場合に最も重要な要素であるノイズにっいてもLess noiseなので、早く反応しても比較的

に誤解を生じることも少ない、言い換えると、あまり長く考えなくても的確な応答が可能な会話 なのである。Quick Thinking Typeとも呼べる。売買交渉、道を訪ねる場合、汽車の切符の予約 をするとき、同じ分野、専攻での学術研究交流な&

②Sタイプ(S1owResponseType)

これはCu1ture−bound Conversationとも言え、Schemaも、concreteでspecificでdifferent va1汕e systemをお互いに有し、much noiseなので、応答に慎重を要する。したがって、この種 類はSユ。w Thinking Type,Time−C㎝sumi㎎Type,または、C㎝tent−based Typeと呼んでも良か

ろう。価値判断を伴ったり、文化基準を異にすることが話題となっている場合の日常会話、社会 経済的交渉、政治外交における会話、さらに、討論、議論などの場合である。

3.2.Cummings Device

 Quick Response Conversation(Qタイプ)は、S七evick(1971)の名付けた、いわゆる、

Cummi㎎s Deviceの中に幾つも見出せる。

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例1.

 A:May I see your pass,sir?

 B: Here it is.Is it va1id?

 A: Yes,this pass is va1id.You may enter.

 B: Thank you.

例2.

 A:May I see your pass,sir?

 B: I don t have a pass.

 A:You may not enter without a pass.

 B:I have some other identification here.

 A=I m sorry.You卿ay not enter without a pass.

 これらの例におけるAの発話部分は全て、production inventoryと呼ばれ、Bの発話部分は全 て、comprehension inventoryと呼ばれる。上記の対話の文意から判断できるように、Aの職務 を遂行するための英語はごく限られたもので良いのである。だから、Aにとって、Bの発話部分 は、聞いて理解できれば良いのである。AはBの英語を聞いて理解し、Aの話すべき英語を的確 に、素早く発話すれば良いのである。ある意味では1種のSurviva1Engユishとも言えよう。

 筆者は日本人学習者にとって、この種の英会話の内容はかなりあるだろうし、Cummings Deviceのような訓練ももっと取り入れても良いのではないかと思っている。

3.3.日本の英語教育は F ORM 優先から MEAN I N G 優先へと大胆な転換が必要 だと思う。今の状態では日本人はあまりにも英語を話せなさすぎる。学習方法の思い切った改革 によってコミュニケーション能力も伸長するし、学習者の態度が・今までの受け身的な、話させ られているから、積極的に話している、話そうとしているへと変わることができると信じる。

 次に、筆者の提案するコミュニケーション・サイクルのモデル・プランを述べてみたい。なお、

コミュニケーション・サイクルを採用するには、  Threshold Leve1Eng1ish (1988)に示され ているように、Language struc加reは体系だてて、同時に学んでいることを前提とする。

 CommuniCatiOn aCtiVitieSを行う際に、最初から、どんな文法の応用だ、とかを教師が言わ ないことが、最も重要な改革点である。

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   LESSON PLANNING

(Know the ru1es)  FORM    structure          (LANGUAGE)  word−order  PATTERN      tense

 PRACTICE      ↓     grammar        wol=ds(vocabu1ary)

     Pseudo−Communication−Activity

information gap pupi1to Pupi1diaユ。g pair practice

 P RC

YACCLTEI

 C E

SKILL−GETTING

      (REAL COMMUNlCATION)

(Use the ru1es)A C T I V I T I E S

Language

SKILL−USING

gameS

prob1em so1ving ro1e−P1ay

inter persona1exchange

Str1ユCture patterns WOrdS

 C O  M M

Y NC U C I L C

 TE A

 I O  N

COMMUNICATION CYCLE活動が教室でもっと取り入れられると良いと思う。

 ここでは、C OMMU N I CAT I ON ACT I V I T I E Sの例を1つだけ上げる。以下

は、communicative approachにおける「要請・要求・願望・拒否等」のfunctionの練習例 先生:今から「***というトランプ遊び」をします。(遊び方を説明する)

先生:どんな言葉(英語表現)を必要とするかグループで話し合ってください。

先生:「**を持っていますか」「**が欲しい」「**を下さい」「すみません。**は持っ    ていません」などは英語でどう言うのでしたか。(生徒から出ない英語表現はここで初    めて先生が補う)

先ず、最初に、生徒にタスク(七ask)を与えて、Language(Forms&Words)は後で、必要に

(9)

応じて、先生が提示したり、復習的に思い起こさせたり、導入したり、確認するのが、最大にし て、最も重要な部分である。生徒が能力に応じて使用すると予想される英文例としては次のよう なものが考えられよう。

・Do you have a King? (any Kings)

・Yes,I have a King.

・May I have it(them)?

・Yes,you may.Here you are.

・Thank you.

・If you have a Nine,p1ease give it to me.

・I d1ike to have your Nines.

・I want you to give me your Jacks.

・P1ease give me your Two so that I can win.

3.4.ここで、筆者の提案するプラス・ワン・センテンス・プラクナイスについて簡単に述べ ておく。第4章会話英文法で詳述するが、実際の英会話(対話文)では疑問文の出現率が4分の 1である。このことは残り75%が陳述文だということになる。だから、会話練習においては、1 つの疑問文(質問文)にたいして、2〜3個の文で応答する練習をする必要があるということに なる。応答のなかには、Extra exp1anation,Add reason(s)やResp㎝se+Asking question(s)

の活動をもっと取り入れると良い。

4。合語英文法(Commun■catlv6Grammar)の解析と確立

4.1.Hymes(1971)は。ommmicative competence(伝達能力)の構成要素として、forma1

possibi1ity(文法性)feasibi1ity(可能性)appropriateness(適切性)acceptabi1ity(受容性)の4つを 上げている。つまり、会話を可能にするには文法能力は不可欠だということである。

 筆者は日本人にとっての英文法を考えるとき、読解カのための英文法(以下読解英文法)と英 会話のための英文法(以下会話英文法)は違うと思っている。ところが、現実行われている学習英 文法の授業は、配列された文法項目も一様であり、その教え方における軽重も一様のように筆者 には感じられる。

 読解力のための文法と会話のための文法が違うという前提(仮説)に立てば、習得すべき文法 項目も、教授上の力点の置かれ方も、それぞれの文法項目の必要性(優先1順位)によって異なる べきだと考えるのである。

 そこで筆者は会話英文法における文法項目等についての習得上の優先順位を今までの教授経験 及び、英語使用経験から、次のように仮定、設定してみた。優先順位決定に際しては主として使 用頻度と重要度を考慮に入れた。

 第1次優先

  文型(第1文型S+V,第2文型S+V+C,第3文型S+V+O,第4文型S+V+O+O,第5      文型S+V+O+C)

(10)

  時制(現在、一過去、未来、完了等)

 第2次優先(各項目間での優先順位はっけてない)

  助動詞(特に法助動詞、eg.may,can,must,w㎝1d,shou1d一など)、不定詞、動名詞、否定、

  関係詞、分詞(現在分詞、過去分詞特に後置修飾語としての)、比較、受動態  第3次優先(各項目間での優先順位はっけてない)

  仮定法、分詞構文、接続詞、前置詞、

なお、「文の種類」を上記文法事項、文法項目とは別の評価基準適用のものとして順位付けした。

 第1次優先:単文(S+V)

 第2次優先=重文(S1+V。十and/or/but+S,十V。十Sヨ十V。)

 第2次優先:複文1(Sl+V。十S三十V里十S。十V。)

       複文2(S1+VI+when/because/as+S≡十V,

       及びWhen/Because/As+S。十Vヨ,S。十Vl)

       複文3(埋め込み文/入れ子型)

 但し、複文の中でも埋め込み文(入れ子型)はあまり使用されないであろうと推測した。

4.2.上記の優先順位設定はあくまで筆者の経験を基にした仮説であるので、次にこれらにつ いて、英語母国語話者の書いた英会話テキスト・ブソク(そのうちの本文のみ)を分析し、パソ コン・ソフトを援用して仮説についての実証を試みれ

使用教科書:Jeremy Harmer and Haro1d S岨guine(1990). COAST TO COAST (Book1,2,3,)

      New York:Longm6n Group.

      (各巻初級・中級・上級に該当し文章の難易度は日本の中学から高校2年生程度)一 使用パソコン・ソフト:桐 (Ver.3)、松(Ver.5)

解析対象文章数:921(全て対話よりなる発話のピリオドからピリオドまでを1文とした)

 分析結果は次の通りである。

文型について      文の種類について 第O文型 28.

第1文型 20.

第2文型 17.

第3文型 21.

第4文型  0.

第5文型  0.

文法項目について 助動詞  18.

否定詞  10.

不定詞   6.

現在詞   6.

過去分詞  5

7796(265イ牛)

9696(193イ牛)

8 1% (.164件)

50% (198イ牛)

98% (   9イ牛)

33%( 3件)

 2096(168イ牛)

 20%(94件)

 94%( 67件)

 73% ( 64件)

. 97% ( 55件)

語句23.34%(215件)

単文61.56%(567件)

重 文  8.14%( 75件)

複文1  4.13%( 38件)

複文2  0.43%(  4件)

複文3  0.76%(  7件)

混交 O.65%( 6件)

註工:第O文型とはS+Vの形を成さないもの であり、そのなかでもはっきりと語群と言える ものは23.34%(215件)の多きに上り・

語群ではなくて命令文として数えたものは18

件であった。

(11)

動名詞   3 受動態   2 比較    1 関係詞   1 後置修飾語 1 仮定法   0

.78%(35件)

. 619る( 24イ牛)

. 749る( 16イ年)

. 529る( 14イ牛)

. 309る( 12イ牛)

. 9896(  9イ牛)

註21単文をさらに細分化すると、第0文型

5,32%(49)第1文型19.32%

(178)第2文型16.40%(151)

第3文型18.35%(169)第4文型 0.8%(8)第5文型0.33%(3)

であった。

註31短縮形は32.O%(295件)あり・疑問文は25.84%(238件)に上っ㍍

註4:否定詞94件のうちn tを含むものが52件あり、neverは12件であった。

註5:過去分詞55件のうち、現在完了に用いられたものが36件あり、過去完了は1件てあっ

   た。

註6:助動詞168件の内訳は、do(does)52件、wi11(won t)30件、can29件、did29件、wou1d    19件、shou1d1件、must3件、may1件、さらに、I d9件、We d2件、Wou1d you

   5件、Co皿ユd you1件、if we cou1d2件であった。

4.3.この結果を見て言えることは、会話文では、語群が大変多く使用されていること、第1,

2,3文型までで、約6割を占めていること、短縮形が3割強を占めること、疑問文は4分の1 だけであること、単文が6割強を占め、短い単純な構造が好まれることなどである。

 書き言葉はdenSityの高い、つまり、情報が詰まった文が多いのに対し、会話文では話し手が 短い文を連ねたり、いわゆる、red㎜dancyの多い文を発話し、話し手は文を付け加え、継ぎ足 し、聞き手が、相手の話すテンポにあわせやすく、換言すれば、聞き手が意味をっかみやすくし ているとも言えよう。文構造としてはやや単調で、だらだらした感じがするが、統語的には単純 な構造を多用すると推測できる。

 なお、同時に調査した、  EAST・WEST Vo1.3(Oxford University Press1990)において もほぼ同様の結果が出たことを付記しておく。今後もっと大規模なデータを基に検証を継続、発 展、展開し、別の機会に諸賢のご批判を仰ぎたいと思っている。

4.4.やや限られた分析結果からではあるが、英語教育への示唆としては、英語を話す際には、

単文(しかもなるべく短文)を出来るだけ使うこと、短縮形になれること、疑問文1つに対し、

2〜3文ぐらいで応答できるようにする、つまり、筆者の持論であるプラス・ワン・センテンス・

プラクティス(P1us−One−Sentence−Practice)を徹底させること。

 さらに、do,does,did,can,cou1d,wi11,won t,などの助動詞を駆使できるようになること、進行 形、現在完了を使えるようになること。分詞構文や、仮定法、後置修飾語、過去完了については、

あまりproduction dri11に重点を置かなくても良いのではないか、などが上げられる。但し、上 級レベルにおいては当然事情は異なってくるであろうことは付け加えておきたい。

 今の段階で言えることは、相手に通じる英語の話し方としては、1。短い、単純な構造の文で、

謝順と時制には気をつけて話すこと2.1語でも、語句でも必ず1か所は思いきり強く発音す ること3。大きな声で話すこと4。ゆっくりと話すこと5。はっきりと話すこと6。場面に

(12)

応じて、できるだけ、p1easeを文の前か後につけること、などをあげたい。

 Communicative ApProachをもっと取り入れ、1つのfuncion、例えば、依頼という意志をど んな形式でも良いから英語で伝達できるようになることである。

 英語を聞く際には、音の変化、つまり、別の音への変化、音の脱落、弱化、短縮形の聞き取り などに・十分な力点を置くことが重要であると言え乱

 最後に言えることは、筆者の立てた仮説は部分的に実証されたが、また、意外な事実も判明し たことを考慮に入れると、会話英文法の解析とその確立が、新指導要領の狙いとする、日本人学 習者の英語によるコミュニケーション能力と態度の養成という観点からも・急務の課題と言え乱

5。まとめ

 本稿ではまず異文化間コミュニケーションについて考え、次に、コミュニケーション能力の基 礎となる英語の正しいリズムの体得法を提案し、さらに、英語を使えるようにするためのいくっ かの具体的方法も提示した。その中で、英会話には2つのタイプがあることも示唆した。そして、

最後に筆者が現在最も関心を持っている会話英文法について実証的データを基に詳しく論じてき れこの点については今後も会話英文法の体系化を試みて行くつもりであ孔

 すでに、滋賀県の小学校で、新教科「生活体験科」の「国際文化領域」の中で英会話や国際交 流が授業として行われているし、大阪府の小学校では4年生は週1時間、5,6年生は週2時間 の英語の実験授業がなされているところもある。また、ほかの公立小学校においても国際理解教 育としての英語教育が実験的に実施されているのが今日の実態である。

 これらはいずれもこの国際化時代に子供たちが将来世界の人々と英語を通じて直接交流し、積 極的にコミュニケーションができる態度と能力を養ってほしいという大人たちの願いが込められ ているからだと確信する。本稿で取り上げたいくつかの問題についてのより体系立った指導法が 確立されることが、これからの英語教育への展望を切り開くためにも必要とされるのである。

参考文献

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〈付記〉会話英文法の分析にあたり、石川工業高等専門学校電子計算機室 山畑章先生の協力を 得ました、記して感謝の意を表します。

参照

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