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チップブレーカの工具寿命に及ぼす影響(第2報)

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(1)

NDC 532.01

チップブレーカの工具寿命に及ぼす影響(第2報)

一堤防付段形チップブレーカの場合一

(昭和53年4月28日受理)

The Effect of chipbreaker on Tool Life (2)

 一 ln the case of groove−type chipbreaker 一

Yousuke KouMoTo

(Reoeived April 28, 1978)

 前報に引き続いてチップブレーカの工具寿命への影響を検討した。本報告では,堤防下段形チップブレーカ(ミゾ 付チップブレーカ)のついた工具のすくい面摩耗の形状,進展の状況などを詳細に観察し,チップブレーカのない場 合と比較,検討している。

 その結果,切刃の機械的強度の面から見たこのチップブレーカ付工具の寿命はそれのない場合の約1/2位に短くなる こと,横切刃の中ほどが強度が最も弱くなりこの部分からチッピングが生じることなどが明らかとなった。

1.緒

 有効に作用するチップブレーカ付工具の使用は,評壇な ど連続した切屑を出す切削加工において生産性向上,加工 の自動化,無入化に欠くことができないものである。しか しこの場合,工異刃先ではチップブレーカによって切屑の 流れが強力に拘束されるため,工具すくい面の摩耗形状,

その進展状況はそれの影響を受けることになり,工具寿命 がチップブレーカのない場合と較べて変ってくることは当 然考えられることである。

 前報(1)ではクランプ式チップブレーカについてそれの工 具寿命に及ぼす影響を検討した。その結果,B. U. E.や凝 着物の発生しない高い速度域になるほどクレ

ータ摩耗の形状,進展状況に大きな影響を与 え,そのため工具寿命が相当短くなることな

どが解った。      ,,, A  一一

 本報告は前報の結果をふまえ,堤防付段形    チップブレーカ(ミゾ付チップブレーカ)(2)

の一種について前報と同様な観点から検討し たものである。

2.実 験 方 法

 切削実験は無毅変速装置付高速精密旋盤を用いて円筒外 丸削り(乾式三次元切削)を行なった。

 使用した工具は,堤防付段形チップブレーカ付スW一ア ウェイティップとチップブレーカなしのもの(いつれも SNP 432で同一メーカーの同一材種P20である)で,前者 の詳細をFig・1に示す。図の堤防部の長さとミゾの形状 によって切屑の流れを拘束しチップブレーカとして作用さ せる方式のものである。切削時の工具刃先形状はいつれの 場合も(一5。,一5。,5。,5。,15。,150,0.8mm)である。

なおチップブレーカなしのティップは押え金具で固定する

section A−A        R  O.35.. 2.3 ON.O

R=3.4

Fig. 1 Outline of a tip with groove−type chipbreaker. (SNP432)

一65一

(2)

津山高専紀要第16号(1978)

方式であるが,押え金具がチップブレーカとして作用しな いように考慮した。

 被削材は焼聴したS55C(φ90〜φ60×550)でTable 1に その化学成分を示す。

Table 1 Chemical composition of the Work material (%)

work戟@c 1 si 1 Mn 1 p 1 s 1 cu 1 Ni ! cr

sssc i o.s6 1 o. 32 i o.7g lo. 02110.0211 o. 02 1 o.02 1 o:03

 切削条件に関しては,前年の実験結果から B・U.E・や凝着物の発生しない高い速度域に なるほどチップブレーカの有無が工具寿命に 大きく影響を与えることが解ったので,本実 験では切削速度Vを200m/minとし,送り/

と切込みdはこのチップブレーカに対するメ ーカーの推奨値表からア=0.2mm/rev, d=

1.Ommとした。

 以上の条件で切削を行ない3分ごとに工具 損傷,切削抵抗,切屑厚さなどの測定を行な

った。

 なお工具すくい面の観察にはあらさ計を用 いて等高線図を作成する方法をとったが,チ ップブレーカ付ティップの場合はその形状か らそれの作成は困難なので断面形状の測定の みで観察し.た。

3.実験結果および考察

E∈頃○

前切刃近傍のすくい面の状態は,切削開始前は同じである が,一旦切削が始まればその部分における摩耗の進展状況 は大きく異なることが解る。

 なお,逃げ面摩耗については,チップブレーカ付工具の   方がやN大きめになる傾向にあったが,これは工具製   造Wットの違いの影響が大きいと考えられる。

   3.2工具切刃の機械的強度について

   工具切刃の機械的強度については,前報と同様な観   点からクレータ最大深さKTとそれの横切刃からの距

oi

   器

\dク

Toot witheut chip−breaker 3 min

 3.1チップブレーカの有無による工具摩耗    の進展状況の違い

 工具すくい面の摩耗の進展状況を観察する ため,チップブレーカのある場合と無い場合 について各切削時間におけるクレータの等高 線図と横切刃に垂直な工具断面図を作成し た。.これをFig.2に示す。図から同一切削条 件におけるチップブレーカの有無によるクレ ータの進展状況の違いが認められる。すなわ ち切刃の断面図を見ると切削時間の経過に伴 うクレータ中心の移動の方向が,チップブレ ーカのある場合は横切刃に近づいていき,な い場合は逆に遠ざかっていく。これは切屑の 流れが拘束されているか否かによるもので,

直接切刃の機械的強度に影響を及ぼし,従っ て工具寿命に影響してくることは明らかであ る。Fig・3は切屑の流れの拘束が,すくい面 摩耗にいかに影響を及ぼしているかを示した ものである。チップブレーカの有無によらず

Φ9Φ㎝⊂眉ぢりU⊂山

・、聡

 N

6 min

NN

o

9

9 min

 ア  

1

(a)

O q5m出

,Leading cutting edge .9:・一5一[5mm

o

TooL with chip−breaker

O.1 0.2

,O O.5

6

(b)

.移

(mm)

  or−b. s

s

(c)

Fig.2 Contour maps showing cra飴r wear development and    cross−sections showing the progression of the cra艶r        ロ

   Distance from the end cutting edge;

   (a)0.85mm(b)0.25mm(c)0.85mm    Cutting conditio且s Tool:P20 Work:S55C    γ×4x∫=200m/mi亘x1.Om孤×0.2mm/rev

一66一

(3)

チップブレーカの工具寿命に及ぼす影響(第:2報)高本

(mm)

O.05

3

.6

O.10

(toot with chip−breaker)

(mm)

(mrn)

o O.5

O.05 ﹁9

      (tQoi without chip一一breaker)

  Fig.3 Cg!i}.paris.on.of cross.sections. (O.25mm fro;n each end       cutting edge)

離KMを測定し, KT/KMを基準としで考察し   Table 2 ComParison of meChanical strength of leadin9 cuttin9 edge・

      (Tool with chipbreaker, cutting time 6min)

た。たs しこの実験で使用した2種類のティ ップはそれぞれ断面形状が異なるので,単純 にKT, KMで比較してよいかどうか問題であ る。しかし.,チップブレーカ付ティップのす

くい面における損傷状況をよく見てみると

での切.nの機械的強度は測定,計算の結果,

後者の方が弱いので(例をTable2に示す),

これを用いてチップブレーカの無い場合と比 較検討する。

 切刃の機械的強度はクレータ角(3)ρ=2・

tanm lKT/KM(Fig・4) に対応する。すなわ ちρが小さい程,切刃の機械的強度は大とな る。切削時間の経過に伴うρの変化の様子を Fig.5に示す。図から工具寿命に直接影響を 及ぼす切刃の機械的強度は,明らかにチップ ブレーカ付工具の方が小さい。工具寿命とし てKT/KMの値を0.1〜0.4すなわちp=11.4。

〜43.6。くらいにとるのが合理的と考えられ る(3)ので,今ρ=20。を寿命にとる.とすれば チップブレーカ付工具の寿命時間はチップブ レーカ無しの場合の約Y2となる。このことは 数回の実験で,チップブレーカ無しの工具は 15min切削してもチッピングは生じなかった がチップブレーカ付工具の方は9〜12minの 間で必ずチッピングを起したことによっても

Me asured se ction Section without groove Section with groove

KT max O.093

O.135

KM

O.62 O.69

KT/KM

O.150 O.196

Mechanical strengt±i of cutting edge

Large Small

(Fig.2),前切刃近傍ではチップブレーカなしの場合とそ のまS比較できるし,また溝部を有する部分では,摩i耗の 進展に伴いチップブレーカなしの場合のKT/KMにほゴ対 応してくることが認められる。さらにチップブレーカ付テ

ィップの前切刃近傍(溝部がない部分)と溝部を含む断面

KM ア

9

Tdoi

狽≠氏轣焉@   2

血KM

Fig.4 Crater angle p

  0        0        ∩V

︵餓︶︵・モ・どy−島燕ま聖・⊂吻・Φ哲Q

10

+toOl without c.h ip一. ,tP  一一一〇一一一t oot with breaker.t

       t        chip.breakerノ       /       11        tt        tt       .d          /1         /./

       /!ノ       ,Y      ノ/!

   1//

  ttsf,

 ttll

 11

 / f

oZ

O 3 . 6 9 12

     Cutting time(min)

 Fig.5 Change of crater angle p 15

一67 一

(4)

津山高専紀要第16号(1978)

確かめられた。またこのチッピングは溝部のある横切刃か

0   0   06   4   2︵9︶己

 60

Ac s}

eE 40

L,N g

 20

100

9SO

 60

一一Z一一 toα with chip−breaker 0 todwithout chip口breaker 0 ノ7

 ︐4

0

0

 ノ !ノ

o   ,ρノ C

  @ f

   ,』ノ

<Aー

0

Q

ρ

O 0

   O 3 6 9 12 15

      Cutting time (min)

Fig.6 Change of cutting force.

   Fl : Principal force F2 : Feed foroe    F3 : Thrust force

   Cutting conditions     Too1:P20 Work:S55C

    V×d×f=200m/min×1.Omm×O.2mm/rev

ら生じており,この部分の切刃の機械的強度の弱さを裏づ けるものである。

 3.3切削抵抗について

 切削時間の経過に伴う切削抵抗の変化の様子をFig・6に 示す。図よりチップブレーカの有無による切削開始からの 各分力の変化の様子に大差は認あられないが,いつれの分 力もチップブレーカ付工具の方が相当大きくなっている。

このことは切屑の流れの拘束に起因する切屑とすくい面の 間の接触長さおよび摩擦状態の違いが影響していると考え られるが,工具寿命の点からは好ましくない。

4.結

 以上の実験結果と考察から,堤防付毅形チップブレーカ 付工具に関して次の結論を得た。

1)クレータ摩耗は溝の横切刃側の斜面に形成され,クレ   ータ中心が横切刃に近づく様に進展していく。

2)切刃の機械的強度から見た工具寿命はチップブレーカ   のない場合より相当短くなり,V= 200m/minの場合   で約Y2となる。

3)切刃のチッピングは横切刃のほs 中ほどから生じる。

4)チップブレーカのない工具に較べ切削抵抗の各分力は   大きくなる。

1)高本,津山高専紀要,No.13(1975),47〜50 2)會田他,切削工学,(昭48),26〜27,コロナ社 3)佐藤他,金属の摩耗とその対策(昭40),197〜199

 養粗代

一68一

参照

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