環境用水の導入 に係 る
社会経済的効果の計測 ・評価 に関す る研究
山 本 充
目 次 1. は じめに
2.環境用水 の社会経済 的効果の類型化
3.
環境用水 の社会経済 的効果の計測 ・評価 フ レームの設定4.AHP
による環境用水導入効果の評価5.
環境用水導入 によ る水質改善効果6.環境用水導入 に係 る総経済効果
7.おわ りに1.はじめに
環境用水 は,身近な河川や水路などの親水性を高めることを 目的 として流況 改善を行 うための用水である。た とえば,良好な景観,親水空問, レク リェ‑
シ ョン空間の保全 ・創 出並 びに動植物や歴史的文化遺産の保護 ・保存などの観 点を 目指 した ものである
。
この環境用水の今後の需要 は,高質な住環境の整備 の視点か らも相当増大す ることが予想 されている。この種の施策 に関す る波及効果の計測 ・評価においては,使用価値 ・存在価 値を分別 しなが ら地域住民の心理的側面 (価値観)に もかかわ らざるを得ない。
しか しなが ら,事業 (‑投資) と便益 (‑社会経済的効果) との関係性を把 握 し,機会費用を明確 に し,当該事業の効果的な展開を推進す る上で は緊急を 要 しているところである。
〔177〕
本研究の目的は,環境用水 にかかる社会経済的効果を計測 ・評価 し,事業推 進計画の妥当性の検討に資す ることにある。
環境用水にかかる社会経済的効果 としては,景観による効用,親水空間の利 用 による効用, レク リェ‑ション空間の保全 ・創出による効用,動植物 ・歴史 的文化遺産の保護 ・保存による効用,その他の事象による効用など,多様な効 果を有す ると考え られる。
そこで,本研究では,環境用水の社会経済的効果の類型化 と計量化 に向けた 特定化 (フレーム設定)を行い,フレーム設定に基づ く計量化方法及び計量化 範域における社会経済的効果の計測 ・評価を試みた。
2.
環境 用水 の社会経済的効果 の類型化環境用水は,公的な水環境形成に関わる用水 と定義でき,その利用 目的は広 範囲に及ぶ。
環境用水の多様性については,河川 自体が環境‑及ぼ してきた様々な影響 に ついて考えることで明 らかで,生活 ・工業 ・農業用水などの水利面か らみると 農業用水が最 も多様な環境用水的機能を有 している
。
一般 に,環境用水の内容 は (図 1),従来の生活用水を除いた生活環境形成 機能に利用され る各種用水の総称 とも考え られ る。その意味で, 自然環境及び 社会環境形成に関わる水 も含まれる。
環境用水の特徴 としては,以下のようなことが挙げ られる。 1)
1.不特定な水利用であ り,非排他的 ・非独 占的な水利用 として立地空間の公 開性を有す る。
2.水の直接的な消費ではないため,他の水利用 との兼用がで きる。
3.
河川流水利用基準か らみれば余剰水量であ り,劣後の水利用である。4′ .
低水時の流水が主な対象であり,基底的な水量の活用である。5.
用水の利用効果が非計測的性格を強 く持つ。
環境用水の導入 ・利用においては,生活用水などが既に確保 され,その付随
環境用水の導入に係る社会経済的効果の計測 ・評価に関する研究
17 9
的利用であれば問題 ないが,新 たに用水 として確保す るためには社会的合意形 成が必要であ り,合意形成 によ り環境用水の独 自性 と正当性が確立す ることと なる。自然環境形成用水 生活環境形成用水 社会環境形成用水
図 1 環境用水の内容
さて,水の利用 に基づ く社会経済効果すなわち便益 は,飲料水,農業用水, 工業用水などの生産投入物 (中間財) として利用 され ることによる便益 と,水 泳,つ り,散歩, ピクニ ックなどの水環境その ものの利用 による便益 とに大別 で きる
。
また後者 は,直接利用か らの便益 (利用価値) と,非利用 (利用可能性を含 む)か らの便益 として存在価値 ;直接利用 しないが, きれいな水が存在す ると い う知識 (情報)か らの便益,オプシ ョン価値 ;今 は利用 しないが将来利用す るか も知れない とい うことか らの便益 に分 け られ, さ らにオプシ ョン価値 は, 遺贈価値 ;将来世代 にきれいな水を残 しておけるとい うことか らの便益,代位 価値 ;現代の 自分以外の他の人が利用価値を得 ることで 自分 も満足す るとい う 便益,及 び現在の個人にとっての利用価値 としてのオプシ ョン価値 に分 け られ
る
2)3)
これ らの内,生産投入物 としての利用便益 は,生産物の市場価値か ら便益を 貨幣タームによ り計測 ・評価が可能であるが,環境用水の導入効果 としてはそ の 日的か らして,量的な水資源の確保のための施策ではないことか ら流量増加 による希釈効果 とい う点での水質改善効果 に限定で きる。また,水環境 自体の 利用価値の中で非利用価値 に関 しては,便益 に占める環境用水の導入効果 とし て分離 して計測 ・評価する ことが困難であることか ら,本研究で は,計測 ・評
価の対象便益か ら除外 した。
従 って,本研究で計測 ・評価の対象 と した環境用水の導入による便益 は,希 釈効果 による水質改善効果,及 び レクリェ‑シ ョンなどの現在の利用価値 とし ての便益 とした。
生 産 投 入 物 と し て の 利 用 優 健
1
i i
1 オ プ シ ョ ン 傭 儀 . 現 代 濃 位 柵 世代のオプシ ョン優鐘 傷 儲 鐘 儀
図
2
環境用水の社会経済的効果の類型化3.
環境用水の社会経済的効果の計測 .評価 フレームの設定( 1)
研究対象河川の概要研究対象河川 としては,環境用水の導入が事業 として計画 されている十勝管 内の十勝川水系利別川 とした。
利別川の流量観測所の 日平均流量 は以下のよ うになる。
① 比流量ベ‑スで は,東橋地点,利別地点の流況 は, ほぼ自然流量 とみなせ る上利別地点の流況 よ りよ くな っている。利別川地点の河川維持流量
9 . 0 m 3 /
Sを満足で きないのは,1
年の うち1 0
日程度以内 と考え られ る。② ただ し,渇水流量 時
( 35 5
日)の比流量〜最低流量( 365
日)の比較流量 は,上利別地点の方が大 きくなっている。
① については音更川などの流域変更 による流入の増分 による,(塾については 仙美里 ダム本別町発電所の放流操作 による影響 と考え られ る。
また,昭和
63
年の各季節毎の 冒流 出量 (時間変化)にかか る東橋地点,利別 地点の流量 は,本別町発電所の放流の影響を大 きく受けている。 さらに,利別 地点の河川維持流量9 .
0m3/Sについて は, 日平均流量でみ ると満足 している環境 用水 の導入 に係 る社会経済的効果 の計測 ・評価 に関す る研究
J朗
ものの,時間的に満足 しない状況 も多 々ある。なお,将来的には,支川美里別川の活込貯水池 (電源開発株式会社) よ り河 川維持流量
1 . 0m3 /
Sの放流が行われ る予定である。以上の ことか ら,環境用水 (景観,親水, レク リエーシ ョン他)の観点か ら 利別川流域の河川流量 は以下のようになる。
池田町は,本別町発電所の放流の影響を受 けてお り, 日平均流量では概ね定 め られた河川維持流量
9 .0m3 /
S程度 は流れていると考え られ るが,時間的に 満足 していない状況 もある。また,発電所の放流により急激 に水位が上昇 して図3 利別川の水質観測所の位置図
いる状況 もあ ることか ら,河川流水の質的 (時間流 出)な問題が挙 げ られ る。
( 2 )
計測 ・評価 の前提条件河川 における親水性 などの効果 は,季節性 に もかな り変化を うける。 特 に北 海道のよ うな寒冷地 においては,冬季 間は利用頻度 は低 い ものの利用形態や河 川空間の整備状況 によって は効果を享受で きることも考え られ ることか ら効果 が推定 された場合,半年分 なのか
1
年分であるかの設定が必要である。また,良好 な景観が存在す ることによる便益 に関 して は,河川空間外の流域 景観の変化の影響 も大 きいため,その変化を含めた便益評価 において は環境用 水の導入効果を分離す ることが困難 とな る。
そ こで,本研究 における環境用水の社会経済的効果の計測 ・評価で は,次の よ うな前提条件の もとで便益推定を行 うもの とした。
① 推定 され る便益 は,年 間を通 して受益者が得 られ る便益 とす る。
② 流域が評価時点 とほぼ同一 の状態であること。
③ 流量増加が,環境用水効果 としてプラスの効果を全流域 に発生 させ るもの とす る。
直 様 的 利 用 の 勿
住民からのアプローチ 行政か らの7ブローチ
図 4 環境用水の効果 と河川環境の利用ポテ ンシャルの拡大
環境用水の導入に係 る社会経済的効果の計測 ・評価に関する研究
183 ( 3)
計測 ・評価のフレーム設定‑環境用水 にかか る水質並びに親水性などの内実 は,図
4
に示すよ うになる。しか し,実際の計測 ・評価段階では,ア ンケー ト調査 に応 じる被験者が評価 し やすい項 目に分解 ・整理す ることが必要である。また,それぞれの評価にかか
る項 目が どのように構造化 され,重み付け (ウエイ ト)が どのよ うになってい るかを解析す る必要がある。
重み付けを求 めるには,
AHP
が比較的簡便で,現段階です ぐに使用で きる 手法の一つである。
しか し,AHP
を用いたとして も評価項 目間の比率 (重み 付け)が得 られ るだけで,効用 (便益)額 につなが っているものではない。親水性などの水環境の利用 に係 る便益 は,市場財 としてその価値を評価す る ことが困難であるため,代理市場価格を利用す るヘ ドニ ック ・アプローチや多 属性効用関数法,旅行費用アプローチなどの技法の適用 による計量,あるいは 受益者 に直接質問を行い
WTf
'(支払意志額)やWTAC
(代償受取意志額) として付 け値を引 き出す擬制市場評価技法( CVM)
等の適用 によ り便益 を計 測 ・評価す る必要がある。
この うち,多属性効用関数法の適用によ り水辺の利用便益を推定 したもの と して,加藤 ・山本
4)5)
が札幌市 の豊平川を事例 として受益世帯1
世帯当た り8
0万 円の便益 を計測 している。 この効用額 は,資産価値の上昇分 と して計測 さ れているため,札幌市の土地価格を基準 として評価が行われている。
そ こで,評価対象 となる便益の質が ほぼ同 じであることか ら, この研究事例 で計測 された効用 (便益)額を原単位 として用い,環境用水 の導入 による親水 性 などの水環境 の利用 に係 る便益を評価す ることとした。ただ し,そ こでは評 価対象地域の受益者 (住民)の水辺利用に係 る価値意識が札幌市 における受益 者 と同様の選好を示す と考え ること,すなわち,環境用水導入効果の評価 に係 る価値意識 ・選好構造が地域 にかかわ らず同 じであるとい う,新 たな前提条件 が置かれ ることとな る。
‑方,水質改善効果 については,下水処理 における浄水費用単価の考え方が 代替機能 としての市場価格 に基づ く評価 として適用可能である。
以上の ことより,本研究における環境用水の導入に係 る社会経済的効果の計 測 ・評価のフレームとしては,景観 ・親水活動 ・生態系保全など水辺利用に係
図
5
環境用水導入 に係る効用 (便益)の計測 ・評価フローち XI
X
2 4;托持流J (
t
on's) l 」アンケー トPl圭で代書兼設定
図
6
環境用水導入に係る水環境利用の効用 と水量( xt ・ )
環境用水の導入に係 る社会経済的効果の計測 ・評価に関する研究
185
る便益 と希釈 による水質改善効果の便益を計測 ・評価対象 とし,水辺利用 に関して は効用額原単位 を用 い,流量増加 に対す る評価 ウエイ トを
AHP
によ り 求 め,流量 に対す る便益額の推定 を行 い, また水質改善効果 に関 しては浄水費 用 によ り便益額を推定す るもの と設定 した。以上 については,図
5
‑図7
に示 した。ーl甘一
T/
(
Ey 点
)iF点溝8 凡V⁚・・=oe エ「・・‑‑oI
ろ■===G 'l # ̲ + 用
上「⁚・
・・・ O..
図7 環境用水導入 に係る効用 と水量
( xi )
4. AHP
による環境用水導入効果の評価(1) 環境用水効果 の課題 と
AHP
の適用意義環境用水事業 に伴 う地域的効果の計測 ・評価 を試 み るにあたって難解 な こと はi事業の展 開に伴 う物理 ・化学的現象 (工事 にともな う環境改変,水質汚濁 な ど) と地域住民の景観受容 プロセス,親水性活動の心理的効果, さ らに自然 生態系の挙動 にかか る (因果)関係性 を効用のプラス,マイナスの面 において 数量的視点から十全 に解 明 されていない ことである。
しか し,専門家,た とえば生態学者 は,多少の唆味な所があるにせよ定性的 な情報を最大限に駆使 しなが ら環境アセスメン トなどに対 して判断を下 してい るのが一般的である。その暖味なところについて, とりわけ事業 と効果を階層 構造化,細分化す ることによ り対象をより明確化 し判断を しやす′くできる評価 システムとして構成できれば,試みとして適用 してみる意義がある.Lさらに, 簡便で直感的で, しか も論理的整合性をチ ェックで きる方法 として
AHP
が ある。これは,現時点でより良い解析法 と言えよう。 実際に適用 してみて不都合が あれば,当該課題 に対応 して
Faz z y
測度を適用 した修正AHP
などが考え ら れて良い。AHP
は,多 目的意思決定の分野で著名なT. L. Saa t y
によって開発 された ものである。 この手法は,従来の種 々の多 目的意思決定手法 と比べてその手続 きが簡単で初心者 にもわか りやすい。 しか も,定量化不可能な意思決定問題 に 対 して も比較的容易 に適用す ることができる。 このAHP
は評価項 目の重要 度の比を とりわけ問題に している。 このような考え方による方法を一般に 「比 率尺度 による評価」 と呼び, ここで とりあげるAHP
は比率尺度 による一対 比較を もとに,階層構造全体 における各項 目間の比率尺度を決定す るための有 効的な方法 といえ る。6)
これを基 にす ると,効用総額の分解 ウエイ トの推定に適用す ることができる。
「水環境の利用」にかかる効用総額を分解するとい う意味は,現在 「水環境 の利用」か ら受けている効用を分解す る。すなわち, "あなたにとって, どれ が どの程度効果的であると思いますか・・・‑''と言 った意見 も設問によって構成 され るア ンケー ト票, しか も一対比較 といった極めて判断す ることが容易な も の として作成 され ることになる
。
( 2 )
環境用水の導入効果の評価 に関す る階層構造の設定評価の目的は,環境用水量を増加 させた場合 (代替案に対応),親水などの 効果 はどのような重み付 けとなるかを計測 ・評価す ることにある。すなわち現
環境用水の導入に係 る社会経済的効果の計測 ・評価に関する研究
1 87
状 と比較 して,流量 を1.5
倍増,1.75
倍増,2.0倍増 などとと した ときの効果を数量的に評価す るものである。
そ こで,環境用水の導入効果の評価 に関す る階層構造 としては,図
8
に示す よ うに,景観 ・自然生態系 ・親水活動の3
つの評価視点を設定 し,それぞれに おいてさ らに要因を細分化 して,評価項 目の最下層では22の項 目を設置 し,代 替案 について は流量 を現状(A
案),1 .5
倍増(B
案),1.75
倍増(C
案),2.0
倍増( D
案) として5
階層か ら構成 され るもの として構築 した。図
8
環境用水導入の評価 に係 る階層構造図また,調査票においては,流量増加を言葉だけではイメージしに くいため, 視覚情報 として写真を添付 し,比較評価を支援す ることとした (添付資料参 照)
0
( 3 )
環境用水導入効果に係 る評価 ウエイ トの計測設定 した階層構造に基づ く評価 ウエイ トの計測 は,対象河川 は十勝管内の利 別川で あ るが,効用額原単位 を札 幌市 の ものを利用す るとい うことか ら,
AHP
の調査について も一対比較質問で構成 され るア ンケー ト回答の経験 もあ り回答率 ・回収率 も高いこが見込めることも考慮 して,札幌市を貫流す る豊平 川の流域住民を被験者 として20
名を選定 ・抽出 した。調査票の配布 は,郵送法によ り行い,留置期間は;平成
5
年2
月1 7
日〜26
日 の1 0
日間とした。その結果,1 8
票が回収でき回収率 は9 0 %
であった。ウエイ トの算 出は, 日科技研 「ねまわ しくん
Ver.2 」を用いて,被験者 ご
とに算出す るとともに,被験者全体の総合評価 ウエイ トは被験者個 々人の一対 比較値の幾何平均を用いた一対比較行列 によって算出 した。 この意味で,全体 の評価 ウエイ トは被験者の平均的な重み付けであり,集団の意思決定によるも のではな く,合意形成の結果を表す ものではないことに注意す る必要がある。1 8
名の被験者の一対比較 における整合度C.
Ⅰ.
及び整合比C. R.
はいずれ も0 . 1 5
未満であったため,一対比較における推移律 に対す る論理的整合性 は有効 と みな した。① 最下層評価項 目のウエイ ト
被験者の代替案のウエイ トの総合化に影響を与える最下層評価項 目のウエイ ト分布 は,図
9
に示すように,自然生態系の保全に関す る評価項 目に対 して 高いウエイ トを与える傾向がみ られる。 これより,環境用水の導入効果につ いては自然生態系の保全効果が得 られるよ うな導入形態,つまり流量増加を 選好す ると考え られる。環境用水 の導入 に係 る社会経済 的効果 の計測 ・評価 に関す る研究
189
l日日 ∴ ∴
日 日... 休憩散歩 サイクリ
ン
グ遊戯施設スポー
ツ
イベント
ボート遊び
魚釣り
自 然 観 蕪
水 遊 び
き れ い な 水
小 動 物
水生生物
森 林 保 全
自 然 景 親
各 市 長 坂
表 面 勾配広
が
り
川
幅
深
浅
E 3 招
図 9
0 0 0 5 4 3 0 0 0 ウ エ イ ト 0 0 2 1 0 0
評価項 目
最下層評価項 目の ウエイ トの分布 (被験者毎)
A秦
B秦 C 秦
代替秦
図10 代替案に対するウエイ トの分布 (被験者毎)
② 代替案 に対す るウエイ トの分布
被験者個 々人で総合化 した代替案のウエイ ト分布 は,
図 1 0
に示す ように,A
案 の現状維持 に対 して は分布 の幅 は大 きい ものの, その重,L、は低 めで あ る。これに対 してD
案の2
倍 の流量増 に対 して は分布 の幅 もあるが重心 はや評価項 目
‑ 利用者 1‑‑ 未利用者 一日
‑・30代 以下 一・一・
40‑50代
‑=‑60代以上 ‑
lkm未満 ‑
I‑2km未満
図11 被験者属性別の最下層評価項 目の ウエイ ト配分
や高めである。一方,
C
案 は分布幅は他 の代替案 に比 して小 さいが, ウエイ ト配分 も小 さ く選好度が低 い代替案 とな っている。 この ことか ら,代替の流 量設定が現状,1 .5
倍増,1.75倍増,2.0倍増 とい う数値 で も示 され た こと で写真 によるイメー ジよ りもこの数値 による印象で捉え られ,代替案評価 に 影響を与えたので はないか と推考 され る。③ 被験者属性別の最下層評価項 目のウエイ ト配分
被験者の個人属性 の違 いによるウエイ ト配分の差異を確認す るために,図
1
1に示す ように,実際の水辺利用の有無,一年齢層,河川 と居住地 との距離 に よって ウエイ トを集計 した。全体的な ウエイ ト配分パター ンには,大 きな違 いはみ られないが,河川 と居住地 との距離別で は河川か ら離れ るに従 って, 自然生態系の保全 に関す る項 目へのウエイ トが高 くなる傾 向がみ られ る。(彰 ウエイ トの総合化
総合評価 ウエイ トは,被験者個 々人 の一対比較値の幾何平均 を用いた一対 比較行列 によって算 出 した。 ウエイ トの合成の結果,表
1
と図1 2
に示す よ うに,各代替案 ウエ イ トは,
ABCD
の川 副 こ0 .1 9 5 ,0.262,0.266,・ 0.276
と な り,D
案>C
案>B
案>A
案の順位で評価 された。従 って, この ウエイ ト環境 用水 の導入 に係 る社会経済的効果 の計測 ・評価 に関す る研究
19 1
を流量増加 による親水活動な どの水環境の利用便益比 として用 いるこ、ととし た。表
1
代替案 ウエイ トの総合化W A B
CD W A W B W
CW D
深 浅
0 . 0 2 2 0 . 31 6 0 .3 1 4 0 . 2 21 0 .1 4 9 0 . 0 0 7 0 . 0 0 7 0 . 0 0 5 0 .0 0 3
広 がり 0 . 0 2 3 0 . 2 9 2 0 . 2 9 3 0 . 2 2 5 0 .1 8 9 0 . 0 0 7 0 . 0 0 7 0 . 0 0 5 0 .0 0 4
勾 配0 . 01 3 0 . 2 8 4 0 . 2 9 3 0 . 2 2 2 0 / 2 0 1 0 . 0 0 4 ㌧ 0 . . 0 0 4 0 . 0 0 3. 0 . . 0 6 3
表 面0 . 01 8 0 . 2 5 8 0 . 2 6 8 0 . 2 4 9 0 . 2 2 5 0 . 0 0 5 0 .0 0 5 0 . 0 0 5
0.004都 市 景 観
.0 .0 5 3 0 .1 5 D 0 二3 0 3L 0 .2 9 6 0 . 2 5 1 0 .O o 台 . 0 .0 1 6 0 .01 6 C I .0 1 3
自 然 景 観0 . 0 6 2 0 .1 2 9 0 . 2 6 9 0 . 29 6 0 . 3 0 6 0 . 0 0 8 0 .0 1 7 0 . 01 8 .0 」0 1 9
水 生 生 物
0 . 21 4 0 .1 3 7 0 . 2 4 8 0 . 2 8 6 0 . 3 2 8 0 . 0 29 0 .0 5 3 0 . 0 61 0 .0 7 0
小 動 物
0 . 1 41 0 .1 5 4 0 . 2 4 8 0 . 2 8 7 0 .3 1 2 0 . 0 2 2 0 .0 3 5 0 . 0 40 0 . 0 4 4 ‑
き れ い な 水0 . 0 9 3 0 .1 7 3 0 . 2 7 7 0 . 2 8 3 0 . 2 6 7 0 . 01 6 0 .0 2 6 】0 . 0 2 6 0 .0 2 5
水 遊 び
0 . 0 3 4 0 . 4 3 6 0 . 2 9 8 0 .1 6 6 0 .1 0 0 0 . 0 1 5 0 .0 1 0 0 . 0 0 6 0 .0 0 3
自 然 観 察0 . 0 6 6 0 . 3 7 2 0 . 2 6 5 0 . 21 1 0 .1 5 2 0 . 0 2 5 0 .0 1 8 0 .0 1 4 0 .0 1 0
魚 釣り 0 : 0 3 8 0 .1 2 2 ∴.0 . 2 3 7 ・ 0 .2 9 6 0 . 3 4 5 0 . 0 0 5 0 . 0 0 9 0 . 0 1 1 0 .0 1 3
ボ ー ト 遊 び0 . 0 2 7 0 .0 6 3 0 .1 51 0 . 2 8 6 0 .5 0 0 0 . 0 0 2 0 .0 1 0 4' 0 .0 0 8 0 .0 1 3
イ ベ ン ト0 . 0 0 0 ‑ 0 . 2 9 3 0 .3 2 7 ̲ 0 . 2 0 5 .0 . 1 7 4 0 . 0 0 0 0 .0 0 0 0 .0 0 0 0 .0 0 0
ス ポー
,.ツ0 . 01 0 0 . 4 1 9 0 . 2 9 0 0 .1 8 4 0 . 1 0 6 0 . 0 0 4 0 .0 0 3 0 . 0 0 2 0 .0 0 1
遊 戯 施 設̀ 0 . 01 1 0 . 4 9 8 0 こ 2 8 8̲0 」1 4 1 0 . 0 7 4 0 . 0 0 5 0 . 0 0 3 0 . 0 0 2 0 .0 0 1
サ イ ク リ ン グ0 . 01 0 0 .3 6 3 0 . 2 9 9 0 . 20 8 0 .1 3 0 0 . 0 0 4 0 . 0 0 3 0 . 0 0 2 0 . 0 0 1
散 歩0 . 01 2 0 .3 2 0 0 . 3 2 3 0 . 21 4 0 . 1 4 4 0 . 0 0 4 0 .0 0 4 0 . 0 0 3 0 . 0 0 2 0 . 1 9 5 0 . 2 6 2 0 . 2 6 6 0 . 27 6
総合化 ウエイ トイベン ト
0.000
スポー ツ
0̲01 0
非水辺活動 l O. 055 l 遊戯 施 設 0.0
11散 歩
0 . 01 2
図1
2
環境用水導入効果の総合評価 ウエイ ト( 4)
水環境の利用に係る便益 としての環境用水導入効果AHPの適用 によ り環境用水導入の代替案 に対す るウエイ トが A
案0.195
,B
案0.262,C
案0.266,D葉O.276
と求め られたが, ここでA
案 (現状)に対 す る比を考え るとB案 は1.34
,C
案が1.36
,D
案 は1.42
の倍率 となる。 ところで,A案における親水性などの効用額 は原単位80万 円/世帯である。しか し, これは札幌市の住宅地の土地価格を基準 としているため,対象河川である利別 川流域へ は,そのまま適用はで きない。
そこで,帯広市の河川近辺住宅地の平均価格を用いて,札幌市の豊平川周辺 の住宅地平均価格 との比をとり,それによって対象地域での効用額 に変換す る
もの とした。
1
世帯当た り効用額‑ 帯広市の河川近辺住宅地の平均価格 札幌市の豊平川周辺の住宅地平均価格×豊平川周辺住民の親水性 にかかる効用額 1
‑ ×80
(万円/世帯)‑ 8̲(万円/世帯) 10
従 って,上式により
A
案における親水性などの効用額 は1
世帯当た り8
万円 であることか ら,B
案 は8×1 .34
倍,C
案 は8
×1 .36
倍,D
案 は8×1 .42
倍, すなわちA案の1
世帯当 りの効用額 は8
万 円,B
案10.7 2
万円,C
案10 .8 8
万 円,D
案11.36
万円 となる。ただ し,以上の効用額 は時間の概念が入 っていないので年間当た りに変換す る必要がある。そこで,不動産学の分野で一般的に用い られている積算賃料の 考え方を用いることにす る。
7)
積算賃料 ‑基礎価格
×
(粗)期待利回 り 粗期待利回 りの値 は7%
として算出 した。以上の手順に従 って,利別川流域の受益世帯数を本別町及び池田町の全世帯
( 7, 498
世帯)として,便益総額を算出すると,図13
に示すように現状( A
案)で環境用水の導入に係 る社会経済的効果の計測 ・評価に関する研究
19 3
は4 ,200
万 円,B
案5,600
万 円,C案5,7 00
万 円,D
案5,900
万 円の年 間便益が 推定 された。調 査 票
t
ド ‑1 AHP l
A案
B
案C
案D
案 ー親0.1 95 0. 262 0.266 0. 27 6
ー総一「ト
‑ 1
A案 に基準イ A秦B
案C案 D
案・ 1 . 000‑ l l .3 42 1 . 364 1 . 41 5
一 卜
‑
」 A案 の ときの A案B
秦C案 D
案 l8. O l 1 0. 7 1 0. 9
ll .3
万水性など水環境利用に係 る 合評価 ウエイ ト
1世帯当た り 用
・ d J流域受益ゼ円
A# l B
# C
案 ‑ D
案 J効
60. O l 80. 5 81 . 8 1 84. 9
千
一 ト
一一‑1 積算法A案
l B
案C案 D
案 ll年千用総額 (便益総額) 万 円
間効用 (便益)額 万 円
図
1 3
水環境の利用に係 る便益 としての環境用水導入効果の推定5.
環境用水導入 による水質改善効果(1) 利別川の水質状況
対象 とす る利別川 は,環境基準の類型指定の対象河川であ り,指定項 目は表
2
の通 りである。ここでは,利別川が
A
類型 (河川)に指定 されていることか ら,A
類型 「生 活環境の保全 に関す る環境基準」の項 目 (表3
)に着 目す ることとなる。 とり わけ水質 については,BOD
を取 り上 げる。表
2
利別川の指定項 目 指定河川名 十勝川名称 利別
川
範囲 利別川全域
利水 目的 上水,工水,農水,水産
類型
A
類型達成期間 イ (直ちに達成) 環境基準地点名 .. 川合橋
北海道開発局帯広開発建設部資料より 表
3 A
類型 に環境基準値 (河川) 生活環境の保全に関する項 目 A類型水素イオ ン濃度
( pH) 6 .5 ‑8 .5
以下 生物化学的酸素要求量( BOD) 2m g/
B以下=浮遊物質量
( SS) 25 m g/
B以下 溶存酸素量( DO) 7 .5 m g/
R以上計測対象 とす る生物化学 的酸素要求量
( BOD)の状況 は,利別地点 につい
ては,昭和44年〜昭和53年 において環境基準(A
類型2m g/
B以下)を超える 観測値が多 々見 られ るが,近年 (昭和54年〜昭和63年)で は (表4), ほとん
ど環境基準以下を示 してお り,本地点 について もBOD75%値で は環境基準を
達成 してい るともいえ る。川合橋地点 も環境基準 を超 え る観測値が あるが,BOD75%値では環境基準を達 しているといえ る。
各水質観測所毎の
BOD75%値経年変化を図1 4
に示す。 これよ り利別地点 は 昭和44年〜昭和53年の問で は,2 m
g/ R以上を示 しているが,昭和54年以降が 環境基準を達成 してお り,水質が改善 されていることが判 る。・利別地点 においては,水質 の観測 と同時に流量観測 も行われている。そ こで, 昭和
44
年〜 昭和63
年 の観 測値 につ いて,BOD
と流 量 の関係 を整 理 した。環境 用水 の導入 に係 る社会経済 的効果 の計測 ・評価 に関す る研 究
195
BOD
と流量 の関係を図1 5
に示す。 ところで,一般 にBOD
と流量の関係 は, 以下のよ うにな っていることが予想 され る。a)
汚尚負荷量が一定の場合,流量 (希釈推量)減少す るとBOD
の濃度 は増 加す る。b)
流量が増加す る場合 には,有機汚染 された河川底質が流出 してBOD
の濃 度が増加す る場合 (洪水の初期)C)
有機汚染 された河川底質が流 出 した後で,BOD
の濃度があま り増加 しな い場合 (洪水の ピーク以降)利別川においては,上述 したよ うな明確な傾向は現れていないが,流量が少 な くな ると,
BOD
が増加す る傾 向にある (流量が20m3/ S以下で は,BOD 4 . 0 m g/
Pの場合が出て くる)。表4 利別地点の水質経年変化
項 目
昭和 5 4 年 昭和 5 5 年 昭和 5 6 年 昭和5 7 年 昭和 5 8 年 昭和 5 9 年 昭和 6 0 年 昭和 6 1 年 昭和 6 2 年 昭和 6 3 年 川ケ年平均
水温℃8 . 4 8 . 4 7 . 7 9 . I 9 . 1 9 . 7 8 . 0 8 . 6 9 . 1 9 . 6 8 . 8
PH 6 . 9 6 7 . 0 3 7 . 0 2 7 , 0 8 7 . 0 1 7 . 1 2 7 . 0 8 7 . 1 7 7 . 2 2 7 . 1 5 7 . 0 8 BOD (
mg/協)1 . 3 5 1 . 0 0 0 . 8 2 0 . 7 5 0 . 7 7 0 . 8 8 0 . 6 8 0 . 8 0 0 . 8 3 0 . 9 3 0 . 8 8 BO̲ D7 5 % 値 ( 曙/ど ぶ) 1 ̲ 1 0 0 . 8 0 0 . 8 0 0 . 6 0 0 . 6 0 0 . 7 0 0 . 6 0 0 . 7 0 0 . 8 0 0 . 8 0 0 . 7 5 L SS ( n g/ ' 鵜) 3 0 1 6 1 8 1 6 4 5 1 5 5 1 0 7 1 6 1 8 DO ( n g/ I L K ) l l . 1 3 l l . 4 5
ll . 8 8
ll . 4 9 1 0 , 8 9
ll . 1 3 1 0 , 7 2 1 0 . 8 8 1 0 . 9 9 1 0 . 7 9
ll . 1 4
北海道 開発局 帯 広 開発建設 部 資料 よ り
( m g/ A)
BOD 5 . 0 0
4 . 0 0 3 .0 0
2 . 0 0
1 . 0 0
0 . 0 0
4 4 年 4 碑:4 6 年 A 樺 4 8 年 4 9 年 5 時 5 1 年 5 2 年 5 3 年 5 4 年 5 5 年 5 6 年 5 樺 5 時 5 時 6 0 年 6 挿 6 2 年 3 年
図
1 4 BOD75%
値経年変化Ⅹ
1
什 蔓
+ I 49‑5 53‑昆‑丘 58‑丘 6348
. . ̲ . ̲ ̲ ̲ i
+
X *+ ̲▲
l + x〉卜,+x与 X *
+I
禦 J k■ が x
t 十 十 r r x *
i .A.. X* 2 以下 m g /β , 羊軒 ' l * ・ 一 一 ▲ fD 十 〇 * *
+○ # ‑一千未. ○ ' 1
0 2 0 4 0 6 0 80 1 0 0
流量 (ma / S)
図
1 5 BOD
と流量の関係1 2 0 1 4 0
(2) 流量の増加 と希釈効果
環境用水の導入による流量増加の水質改善効果に対す る基本的考え方 として は,以下のよ うに
BOD
濃度 に着 目した希釈効果を もって水質改善効果 とす る もの とした。これまでの観測データよ り,利別川の状況 は条件 によって様 々に変動 してい るが,
BOD
濃度 は平均 して1 m g/
Pで,水量 は20 ‑30 m3 /
Sと減少す ること が分か っている。 環境用水が増加すればそれに反比例 しているわけである。 こ の場合の経済的な効果をどの様 に捉 らえ るかであるが,流量増加 によ り河川水 がBOD
濃度でみ るか ぎり,水質が改善 されたとす る。そ こで,水道水 と同様の方法 によって浄化す ることを考え ると,浄水費用が かかるわけであるか ら, これに相当す る費用を もって環境用水の増水 による水 質改善 にかか る経済効果 と考え ることにす る。
環境用水 による水質改善 に伴 う経済効果
‑現状水量
( m3 / S)×BOD
改善 に相当す る費用‑
( m3 / S)×60×60×24×36 5
×(円/m3 )
秒時間か ら年間‑の変換環境用水 の導入 に係 る社会経済的効果 の計測 ・評価 に関す る研究
197
ここで問題 となるのはBOD
改善 に要す る費用の推定である。処理費用についての考え方 は,下水道事業において処理形態及び処理規模に対 応 した費用関数が施設計画時のフィージビリティ ・スタディ用に開発されてい
る
8
ので, これを適用す る。今
, BOD
濃度の改善効果 についてのみ考えているわけである。したが って, 処理 は浮遊物除去が入 っているプロセスであるが残存BOD
を対象 としたもの が妥当な ものといえる。表
5
は,高度処理組み合わせプロセスである。上記の処理 目的に合致するも のは,②の方法 (標準法 +急速砂ろ過)である。この組み合わせ プロセスに対応す る処理原価計算 は,表
6
における②であ る。日最大処理水量
( m3 / day)
の範囲によって処理原価が異なるが,河川水 と い う多 量 の もの を扱 うた め1 00, 0 0 0 m3 /day
を は るか に超 過 す る。 この表
5
高度処理組み合わせプ ロセス処 理 日 的
組み合わせプロセス
(彰 (高級処理) 標準活性汚泥法
(卦残存
BOD
,浮遊物除去 療準活性汚泥法 十急速砂 ろ過③
COD
除去 標準活性汚泥法 十急速砂 ろ過 +活性炭吸着④ 標準活性汚泥法 +凝集沈殿 +急速砂 ろ過 +活性炭吸着
⑤ 標準活性汚泥法 +急速砂 ろ過 +オ ゾ ン処理 +活性炭吸着 (残オ ゾ ン処理)
⑥ リン除去 標準活性汚泥法 +凝集沈殿 +急速砂 ろ過
⑦ 凝集剤添加活性汚泥法
@ 標準活性汚泥法 十晶析脱 リン
⑨窒素除去 循環法
⑲窒素 .リン除去 循環法 +晶析脱 リン
⑪ 循環法 +凝集沈殿 +急速砂 ろ過
⑫ 凝集剤添加痕環法
⑬窒素 .リ.ン
.COD
.除去 循環法 +凝集汝疫 +急速砂 ろ過 +活性炭吸着建設省土木研究所下水道部三次処理研究室, 「二次処理水質の評価,高度処理費用の費用,高度処 理導入の考え方」,下水道高度処理計画及び高度処理導入プログラムに関す る研究報告書,土木研 究所資料第
2 6 3 3
号,1 9 8 8 . 5
表
6
組 み合 わせ プ ロセ ス処理原価処理原価 ;円
/m3‑組み合わせ プ̲ ロヤス 日最大処理水量
(m3/day)①標準時性汚泥法 71 4 2 25 .2 1
②標準活性汚泥法 1急速砂 ろ過 9 2 5 4 31 2 6
③標準活性汚泥法 +急速砂 ろ過 十活性炭吸着 1 61 1 1 2 , ‑ ̀ 二一 8 6 ・7 6p .
④嘩準活性汚泥法 十凝集沈殿 十急速砂 ろ過 十活 I . 7 7 p = 1 21 ̲ 86‑ 7 8 性炭吸着
活性炭 吸着 ( 残 オ ゾ ン処理)
⑦' 凝集剤添加活性汚泥法 +急速砂 ろ過 . 1 0 6 6 2 37 3 1
⑧標準活性汚泥法 十品析脱 リン 1 4 4 9 2 61 5 4
⑨循療法 ■ ・8 2. I 51 36 3 2
⑨'循環法 +急速砂 ろ過 1 0 4 6 3 4 2 3 7.
⑲循環法 +晶析脱 リン 1 5 5 1 0 2 7 2 6 5
⑫循環法 +凝集沈殿 +急速砂 ろ過 . 1 3 0 8 2 ̲5 4 4 9
⑫凝集剤添加循環埠 p 9 6 . . 6 0 43 3 8 由'凝集剤添加循環法 +急速砂 ろ過 1 1 8 7 2 4 8 4 3
⑬循環法 +凝集沈殿 +考速砂 ろ過 +活性炭吸着 ‑ ̲ . 1 89 1 . 3 0 9 7 8 9
※ただ し,処理原価 ‑ (( 土木 ・建築建設費/耐用年数)
+( 機械 ・電気設備建設費/耐用年数) +年間維持管理費)/年間処理水量
年間処理水量 :日平均処理水量 ×3 6 5 日 耐用年数 :土木 ・建築 2 0 年,機械 ・ 、 電気 1 0 年
建設省土木研究所下水道部三次処理研究室, 「 二次処理水質の評価,高度処理費用の費用,高度処 理導入の考え方」,下水道高度処理計画及び高度処理導入 プログラムに関する研究報告書,土木研 究所資料第 2 6 3 3
号,1 9 8 8 . 5
1 0 0, 000m3 /day
の ときの処理原価 は26
円/
m3である。今,河川 の流量が
20m3 /
Sとす ると1
日当た り1 7 2.8 万
m3で,1 7
倍強の流量 である。したが って,規模 の経済が働 き
26
円/
m3以下で処理で きる可能性 もある。一方,利別川 の
BOD
濃度が1 m g/
Bであ ることを考え るとこのBOD
濃度 を さ らに低 くす る高次処理を行 うことが必要 にな る。そのためには,それだけ 処理原価を上昇 させ ることにもな ると考え られ る。 しか し, ここで はスケール メ リッ トと高次処理 については無視 し,処理原価を26 再/
m3程度 と考え ること環境用水 の導入 に係 る社会経済的効果 の計測 ・評価 に関す る研究
199
とす る。次に,代替案 としては
,A
案 (現状),B
案. ( A
の1 . 5
倍増), C案( A
の1 . 7 5
倍増),
D案 (Aの 2
倍増)を考えたのであるが,水質改善効果を考え る場合 は,河川水の増加 による希釈効果を基本 に していること。 また,BODの希釈 は1 m g/
Rか らどの程度減少す るかの問題であるが, これ は処理をす る側 に とって見 ると0 .6 m g/
Rになろ うと,0 .3 m g/
Rになろ うとある一定の処理原 価の範囲に入 って しまうものである。 したが って,代替案別による経済的効果 は,それぞれにおいて変化 はな く,同一 と考えて問題がない。よって処理原価 を上記の2 6
円/
m3を設定す るo以上の ことか ら,水質改善にかか る条件 と経済効果の計測を以下の条件の も とに行 う。
1)
浄水処理を行 った もの と考え うる。2
)浄水処理 における原価 (円/m3 )
を採用す る3
)現状の処理水量の範囲は,2 0m 3 /
Sか ら3 0m3 /
Sとす る4)
処理水増大 による処理原価 に規模の経済 は働かない,即ち安 くな らないも の と考え,一定の2 6
円/
m3とす る。 また同様 にBODに関 して,高次処理が必 要であったとして も一定の2 6
円/
m3とす る。したが って,B〜p案において処理原価 は一定の
2 6
円/
m3であることか ら, 環境用水による水質改善に伴 う経済効果Q
(便益)は,以下のように推定できる。
Q
‑現状水量( 2 0 ‑3 0m3 /S)×2 6
円/m3 Q
(円/day)‑ ( 2 0 ‑3 0 )×6 0×6 0×2 4×2 6
円/m 3
‑ ( 2 0 ‑3 0 )×8 6 4 0 0×2 6
円/m3‑4 4 9 2 . 8 ‑6 7 3 9 . 2 万円 /day Q
(円/day)‑1 6 3 . 9 8 7 2 ‑2 4 5 . 9 8 0 8
億 円/ye ar
≒1 6 4 ‑2 4 6
億 円/ye ar
よって, ほぼ
200
億 円/年程度 はあるもの と考 え られ る。以上を定式化す る と,Q‑ Ⅹ×3153.6×26
円/m3Q‑81 993.6Ⅹ
(万 円/年)Ⅹ:
現状(A
案)の水量 とす る。6
.環境用水導入に係 る総経済効果以上 までの親水性 などの水環境利用 に係 る経済効果 と水質改善効果 を合わせ た ものを,環境用水導入 に係 る総経済効果 と して整理す る と以下 の よ うにな
る。
環境用水導入 に係 る総経済効果 (
Bi ) ‑
Q
(水質改善 に伴 う経済効果)+Ⅴ i(水環境利用 に係 る経済効果)×受益世帯数表
7
流量増加 (代替案) と経済効果流量増加
Q Vf Bt .
1 .5
倍(i‑ 1)
約200
億円5 ,6 00
万円2, 00 5 , 600
万円1 .7 5
倍 (i‑ 2)
約200億円5 ,7 0 0
万円2,0 0 p 5 ,7 00
万円環境用水の導入に係る社会経済的効果の計測 ・評価に関する研究
201
7.
おわ りに本研究で行 った環境用水導入効果の試算結果 に基づ き,環境用水導入事業 (計画)の妥当性の検討を行 うには,効用 一容量曲線を推定 し,利水安全度の 想定の もとに導入地点での
●年効用 一確保容量曲線 :ダムを建設 し, これより環境用水を放流 した場合に 得 られ ると考え られる年間効用
●年分離費用 一確保容量曲線 :環境用水のすべてを補給で きるダムを建設 した 場合の分担費用
●事業費 一容量曲線 :環境用水の内,ある日的のみを満足す るダムを建設 した 場合に要す る費用
を作成 し,費用対効果の大小関係 により事業の妥当性評価が可能である。
しか しなが ら,本研究で対象 とした便益 は水環境が持っ価値の一部 しか評価 していない。
また,ダム建設や流量増加に伴 うマイナス面を取 り上 げていないなど,総合 的な評価 とはいえない。従 って,環境用水導入事業に関係す る効用 ・不効用を 精査 し,体系的に整理す る必要がある。
さらには,効用額などの主観量データの地域移転性の問題など,多 くの前提 条件下での検討であったため,普遍的な評価モデルを導出するまでには至 って
いない。
今後 は,主観的評価に基づ く効用の定量的計測 ・評価について,ヘ ドニ ック
・アプローチや擬制市場評価法などのい くつかの手法による比較研究を行い, 計画評価‑の適用性を追究 してい くことが重要であると考え られ る。
参 考 文 献
1
)畑武志 ・荻野芳彦 はか,
「環境用水の現状 と今後の方向」,環境情報科学,1 9‑ 1
,1 990
2
)萩原清子,
「水資源 と環境」, 日本交通政策研究会研究双書6
,勤草書房,1 99 0 3
)末石富太郎 ・環境計画研究会,
「環境計画論」,森北出版,1 99 3
4
) 山本充 ・加藤修一,
「魅力 ある地域づ くりと河川空間の環境整備 に係 る効用の計測・評価 の試 み」
,1 990
年会環境科学 シンポ ジウム講演要 旨集,環境科学会,19 90 5
)加藤修一 ・山本充,
「都市河川 の親水 プ ロジェク トに伴 う社会経済効果 の計測 ・評価 ;多属性効用関数法 と階層構造化法 によるアプローチ」
,TRI ,1 991 6
)刀根薫,
「ゲーム感覚意思決定法入門」, 日科技連,1 99 2
7
)宮 ヶ原光正,
「新不動産鑑定要説」,税務経理協会,1 991
8
)建設省土木研究所下水道部三次処理研究室,
「二次処理水質の評価,高度処理費用 の費用,高度処理導入の考え方」,下水道高度処理計画及 び高度処理導入 プログラ ムに関す る研究報告書,土木研究所資料第2633
号,1 988 . 5
環境用水 の導入 に係 る社会経済的効果 の計測 ・評価 に関す る研究
203
添付資料
AHP
ア ンケー ト調査票に添付 した写真A
案 :現状河川のイメージとしては、 「中州 と砂州がかな り見え る。護岸があ らわ である」 といった状況である。
B
案:A
案の 1.5
倍程度河川のイメージとしては、 「砂州 は見え るが中州 は少 な くな っている。
護岸の下段 に水がっ く」 といった状況である。
C
案:A
案の 1.75
倍程度河川のイメージとしては、 「砂州 はまだ見え るが中州 はほぼ見えない。
低木樹付近に水が くる」 といった状況である。
D
案:A
案の2
倍程度河川のイメージとしては、中州 も小 さくな り、護岸の芝草 も部分的に水 がつ く。 これ以上流水量を増や して も川幅は広が らない」といった状況 である。