不確 実性 下の消費者選択 の理論
一2期 間分析の展望 と解説一
加 藤 睦 洋
1.序 論
]970年 代 に入 って か らの 経 済 学 の進 展 を回 顧 して み る と,マ ク ロ理 論 に お け る合 理 的 期 待 理 論 の 登 場 と マ ネ タ リズ ムの 影 響 力 の 増 大,ミ ク ロ理 論 にお け る 微 分 位 相 幾 何 学 ・測度 論 等 の 援 用 に よ る一 般 均 衡 理 論 の拡 張 ・精 緻 化 と産 業 組.
織 論 そ の 他 の 応 用 ミク ロ分 析 の 発 展 等 を始 め と して,労 働 経 済学 に お け る計 量 分 析 の隆 盛,公 共 財理 論 へ の ゲ ー ム理 論 的 ア プ ロ ー チ,.最 適 課 税 の 理 論 及 び 不 平 等 尺 度 の 理 論 の再 興,そ して 本 稿 の 主 題 で あ る不 確 実 性 の 経 済 学 の発 展等, その 急 展 開 に は 目を見 は る もの が あ る。 恐 ら くこの 時 期 は,経 済 学 史 に お け る 一 つ の 重 要 な 画期 と して 記 憶 され る こ とに な るで あ ろ う。
本 稿 は,こ れ らの諸 潮 流 の うち 最 後 に挙 げ た木 確 実 性 の 経 済 分 析 の な か の危 険 を 含 む 消 費 者選 択 の 理 論 に 焦 点 を 当 て て,今 ま で に 得 られ た主 要 な成 果 を解 説 的 に整 理 ・展 望 す る1)。 こ こで 取 り挙 げ る危 険 な い し不 確 実 性2〕は,時 間 的 な(temporal)そ れ,即 ち将 来 に 対 す る予見 不 可 能 性 に 起 因 す る もの とす る。
従 つて こ の よ うな確 率 的環 境 に お け る最適 化 は,一 般 的 に は有 限 又 は無 限視 野 の 多 期 間 モ デ ル に よ って 定 式 化 し,分 析 す る こ とが 可 能 で あ るが,ほ とん ど の 場 合 問 題 の本 質 の 解 明 は2期 間 モ デ ル で 十 分 可 能 で あ る と言 って 過 言 で は な
原 稿 受 領 日1984年5月9日
1)不 確 実 性経 済 学 全 般 に わ た る展 望 的解 説 と して は,Hey(1979),Lippman‑McCa11 (1981),酒 井(1982)等 が よ くま とま って い るQ
2)危 険(risk)と 不 確 実 性(uncertainty)を 区 別 す る 場 合 もあ るが,確 率 的 環境 に お け る最 適 化 を数 学 的 に分 析 す る経 済理 論 で は通 常 この 両 者 を同 じ意 味 で使 う こ とが 多 い。 本論 文 も又 同 様 で あ る。
〔55〕
、
56 商 学 討 究 第35巻 第1号
い3)。 しか も2期 間 モ デル は理 解 が 容 易 な ば か りで な く,効 用 関 数 の異 時 点 間 の 加 法 分 離性 を仮 定 しな くて も よ い場 合 が あ り,こ の 点 む しろ ヨ リー般 的 で あ
る41。 そ こで こ こで は専 ら2期 間 分 析 だ けを取 り挙 げ る こ とに す る。
わ れ わ れ の主 題 に言 及 した展 望 論 文 が 二 つ あ る。 一 つ はSandlno(1974)で あ り,も う一 つ はLippInan‑McCall(1981)で あ る。 前 者 は2期 間 モ デ ル の 枠 組 み で将 来 所 待 と利 子 率(資 本 収 益 率)の 不 確 実 性 の 最適 消 費/貯 蓄 決 定 へ の 効 果 を調 べ,更 に ポ ー トフ ォ リオ 選 択 に も触 れて い る。 後 者 の 論点 は多 岐 に わ た って い るが,そ の うち個 人 の 消 費/貯 蓄決 定 を扱 って い る第4節 で は,ま ず 2期 間 モ デ ル を 用 い て 所 得 及 び 利 子 率 の 不 確 実 性 の効 果 が 要 約 さ れて い る。
(所 得 不 確 実 性 はLeland(1968)モ デ ルの 紹 介 で あ る。)次 に議 論 は 多期 間 モ デ ル の 説 明 に移 り,無 限 視 野 モ デ ル に お け る所 得 不 確 実 性 下 の最 適 消 費 政 策 の 存 在 と不 確 実 性 増 大 の 効 果 を扱 ったMiller(1976)モ デ ル が 紹介 さ れ,最 後 に 寿 命 が 不 確 実 で かつ 生 命 保 険 一 年 金 を 利用 しない場 合の 最適 政 策 を扱 ったLevhari‑
Mirman(1977)モ デル が 紹 介 さ れ て い る。
Lippman‑M(むa11論 文 で は 恐 ら く紙 幅 の 関係 か らで あ ろ う と思 わ れ る が,い くつ か の 重 要 な 問題 に 全 く言 及 して いな いの は残 念 で あ る。 そ こで 本稿 で は, 消費 者 の 直面 す る四種 類 の 不確 実 性,所 得,資 本(収 益 率),寿 命,価 格 の不 確 実 性 が,最 適 な消 費/貯 蓄 決 定 及 び(期 待 効 用 の 意 味 で の)厚 生 に どの よ うな 効 果 を もた らす か を,現 在 ま で の 研 究 で 明 らか に な って い る基 本 的 な結 果 を 整 理 要 約 して,で き るだ け理 解 し易 い 形 で紹 介 した い。 前 掲 二 論 文 と重 複 せ ざ る を え な い部 分 につ いて も,な るべ く補 完 的 な説 明 に な るよ う心 掛 け る。
2.所 得 不 確 実 性 ・
まず 最 初 に,将 来 所 得(但 し こ こで は賃 金 の 如 き非 資本 所 得 を考 え る)の 危 険 に 直 面 す る消 費 者 の 最 適 消 費/貯 蓄 決 定 につ いて 考 え る。 所 得 の 不 確 実 性 を 3)寿 命不確実性下の最適消費/貯 蓄決定の分析 にお いては,母 低3期 間必要 な問題 も
あ る。
4)多 期間モデルでは加法的効用関数が通常仮定 され る。従 って この場合異時点間の消 費の補完 ない しは競 争関係 はは じめか ら排除 されて しま う。
不確実性下 の消費者選 択の理論 57
扱 っ た 主 要 な 論 文 と し て,2期 間 モ デ ル に 関 し て は,Leland(1968),Sandmo (1970),Dr合ze‑Modigliani(1972),多 期 間 モ デ ル に 関 し て は,Miller(1974, 1976),Sibley(1975),Yaari(1976),Schechtman(1976),GrossInan‑Levhari‑
Mirman(1979),Levhari‑Mirman‑Zilcha(1980),Hey(1980),等 が 挙 げ ら れ よ う 。 以 下 で こ れ ら 諸 論 文 の 要 諦 を 紹 介 す る 。
モ デ ル を 定 式 化 す る 。 次 の 最 適 化 問 題 に つ い て 考 え る 。
MaxE[σ(01,02)](2.1) Ol,02'・
3.'.ε=ニ ソ1‑01,(2.2) 02=5+y2.(2.3)
記 号 の 意 味 は,o戸'期 の 消 費,ア,='期 の 所 得,5=貯 蓄 で あ る。'=1は 現 在 時 点 を 表 わ し,';2は 将 来 時 点 を 表 わ す 。 簡 単 化 の た め 貯 蓄 は 利 子(収 益)を 生 ま な い と仮 定 し,遺 産 を 残 さ な い も の と す る 。 σ()は 基 数 的 効 用 関 数 で
〔11,σ2>0;σ11,σ22〈0;σ12≧0
な る性 質 を 持 つ も の と す る 。こ こに σF∂ σ/∂σf,研1=∂2σ/∂03,σ12=∂2σ/∂01∂ σ2 で あ る 。 σ∫>0は 不 飽 和,σ 〆0は 危 険 回 避 を 表 わ す 。 も し σ12<0な らば 現 在 消 費 も し く は 将 来 消 費 の ど ち ら か が 劣 等(下 級)財 に な る 可 能 性 が あ る ば か り で な く5},無 差 別 曲 線 が 原 点 に 対 して 凹 に な り,コ ー ナ ー 解 が 発 生 す る か も し れ な い の で,σ12≧0の 仮 定 が 必 要 で あ る 。ッ1は 非 確 率 的 な の に 対 して,ッ2は 確 率 変 数 で あ り,0≦ 夕2〈。。の 範 囲 で 適 当 な 分 布 関 数 と期 待 値 を 持 つ もの と し,第
2期 に そ の 実 現 値 を 知 り う る も の とす る 。 依 っ て02は 確 率 的 と な るか ら σ() も又 確 率 的 と な る。 そ こ で 消 費 者 は 期 待 効 用E[σ()]を 最 大 化 す る よ う な 消 費 計 画 〈01,62>を 選 択 す る と い うの が この 問 題 で あ る。 ッ2は 最 悪 の 場 合0で あ
る か ら,こ れ を 当 て に して 第1期 に 借 金 を す る こ と は で き な い6)。 依 って 5)基 数 的効 用 関数 の 交差2階 導 関 数 の 経 済 的意 味 に っ いて は,Stigler(1950)の 第6
章,Chipman(1977)参 照 。
6)言 うまで もな い が,正 の 最 小 所 得ymin>0が 存 在 し 夕2がym董n≦ ッ2〈。。 の 範 囲 に 分 布 して い るな らば,第1期 にymi.ま で は借 り入 れ るこ とが 可 能 で あ る。
58商 学 討 究 第35巻 第1号
0≦3≦ 夕1,0≦Ol≦ ッ1,0≦02≦ ッ1+y2・ 、 で あ る。
62の 最 適 値(こ れ を 碕 と 書 く。 以 下*印 は 最 適 解 を 表 す 。)は
・誉一 ・+ツ2"(24)
と書 け る こ と は 明 らか 。 か くて 問 題 は 結 局
MaxE[σ(Ol,o誉)]=E[σ(Ol,ε+ツ2)]
01
・=E[σ(01 ,ツ1‑01+ツ2)](2.5)
と な る.σ(OI,o密)は 可 変 的 間 捌 用 関 数(V。,i。bl,1。directUtilityFun,ti。n) と呼 ば れ る 。 内 部 解 の 存 在 を 仮 定 す る と 一 階 条 件 は
E[σ1]‑E[σ 、]'(2.6)
に よ って 与 え られ る。 こ の 式 を 満 た す01が 最 適 解 襟 で あ る 。 (2.6)に よ る6† の 決 定 を 図 解 す る 。 両 辺 をOlで 微 分 して
4E[σ1]4飢=E[σ1「 σ12]<0 ,=E[σ12一σ2] σ22]>040 1dOl
E[U21
E[U1]
0 C1零ylC1
第1図
!
不確実性下の消費者選 択の理 論 59
を 得 る か ら,左 辺 は61に 関 し て 右 下 り,右 辺 は 右 上 り の グ ラ フ が 描 け る 。(第 1図 参 照)両 曲 線 の 交 点 の 横 座 標 が 姪 で あ る 。
次 に 問 題 と な る こ と は,y2の 平 均 保 存 的 拡 散(MeanPreservingSpread)に
よ る不 確 実 性 の 増 大Dの 最 適 消 費 決 定 に 対 す る 効 果 でiあ る 。 こ れ を 第1図 を 利 用 して 調 べ る。 確 率 変 数 の 強 く 凸(凹)な 関 数 ρ 期 待 値 は,平 均 保 存 的 拡 散 に よ る不 確 実 性 の 増 大 に よ っ て 大 き く(小 さ く)な る と い う 周 知 の 定 理 を 援 用 す る 。 そ の た め に は,所 与 の01に 対 して σi及 び ひ2が ッ2の 凸 な 関 数 か あ る い は 凹 な 関 数 か を 調 べ れ ば よ い 。 σ1及 び σ2をy2で2回 微 分 して,σ122及 び σ222 を 得 る 。 危 険 回 避 の 仮 定(σ11,σ22〈0)だ け で は こ れ ら の 符 号 は 分 ら な い か ら, 追 加 的 仮 定 が 必 要 に な る 。
これ に 対 してLelandが 提 出 した 仮 定 は,彼 が 「集 中 に 対 す る 危 険 回 避 逓 減 の 原 理 」(PrincipleofDecreasingRiskAversiontoConcentration)と 呼 ぶ も の で,こ れ は 二 つ の 非 確 率 的 消 費 計 画<010,020>,<011,021>(但 し021>020と お く)が 無 差 別,即 ち
σ(OlO,020);σ(01i,021)
で あ る と き,62が 確 率 変 数 に な る と(今 確 率 的62を ♂2で 表 わ す),<011,∂21>
が く010,∂20>よ り 選 好 さ れ る,即 ち
亙[σ(011,∂21)]>E[σ(010,♂20)] (2.7)
と な る こ と を 意 味 し て い る 。(但 しE[∂20〕=020,E[∂21]=621と し,∂20,∂21は 共 通 の 分 散 .σ2を 持 っ も の と す る 。)0(σ2)の 項 を 無 視 し て 期 待 効 用 をTaylor展 開 す る と
E[σ(010,∂)]一 σ(・1・・ …)・1ひ ・1・・(・ ・)
E[σ(・ ∴ ・21)H(・1エ,・ ガ)・ 圭 曜(・ ・)
と な る か ら,(2.7)は
7)Rothschild‑Stiglitz(1970)参 照 。
60 商 学 討 究 第35巻 第1号 σ21>σ21
を 意 味 す る 。 この 関 係 を 一 般 化 して
薯1̲・ ・
(2.10)
(2.11) を 得 る。 これ は,同 一 無 差 別 曲 線 上 で02が 大 き くな る につ れ て,効 用 関数 の 将 来 消 費 に 関 す る凹性(危 険 回 避)が 弱 ま る こ と,あ る い は効 用 関数 の グ ラ フが
直 線 に 近 づ くこ とを 意 味 して い る。(2.11)は σガ 差 σm・ ・(・12)
と 書 け る 。 こ れ は
σ122〈0,σ222>0
の と き 成 立 す る 。
か く して σ1及 び σ2は 所 与 の01に 対 して ッ2の 強 凹 及 び 強 凸 関 数 と な り, E[ッ2]を 不 変 に保 つ 夕2の 分 布 の 危 険 の 増 大 に 対 してE[σ1]は 小 さ くな り, E[σ2]は 大 き くな る 。 依 って 嫌 は そ の 結 果 小 さ く な り,最 適 貯 蓄 ε*‑yr姪 は 大 き くな る。(第1図 で 考 え よ 。)
こ れ に 対 してSandmoは 次 の よ う に 考 え た 。 ま ず(絶 対 的)危 険 回 避 関 数
R4(Oi,02)=一 σ22/σ2
/
を 定 轟 す る。 こ こで彼 は
(2.13)
∂1〜A()/∂oエ>0,∂ 邸()/∂02〈0
と 仮 定 す べ き こ と を 主 張 す る 。 酒 井(1982,p,182)は,こ の 条 件 を 次 の よ う に 注 釈 し て い る。1〜孟 が 将 来 消 費02に 関 して 減 少 的 な の は,Arrow‑Prattの 一 変 数 の 場 合 の 絶 対 的 危 険 回 避 減 少 仮 説 か ら 自 然 で あ る 。1壷 が 現 在 消 費OIに 関 し
て 増 加 的 で あ る の は,Olが 増 加 す れ ば 貯 蓄 が 減 少 し,第2期 の 消 費 に 充 当 す べ き 資 金 が 減 少 す る の で,個 人 の 危 険 回 避 の 気 持 が 大 き くな る か ら で あ る 。 こ の
不確実性下の消費者選 択の理論 61 仮 定 か らLelandと 同 じ条件 が 出 て くる こと は 明 らか で あ る。
所 得 不 確 実性 の 増 大 が 初 期 消費 を減 少 させ る こと は,Sandmoに よ れ ば 次 の よ うに理 解 で き る。(2.1),(2.2),(2.3)を 見 て み る'と,ッ2の分布 の危 険 の 増 大 は 幽62の分布 の分 散 を 大 き く し(σ()の 強 凹 性 に よ って)期 待 効 用 を低 下 さ せ る。 この とき3を 増 大 さ せ れ ばy2の 分 散 に影 響 を与 えず に,E[02]を 大 き く し,従 って 期 待 効 用 を 増 犬 させ る こ とが で き る。 しか し他方3の 増 大 は61の 減 少従 って効 用 の減 少 を もた らす か ら,'何 か あ る条 件 の 下 で しかSの 増 大 は, 増 大 した将 来 所 得 の危 険 に対 す る対 策 と して 有 効 で はな い こ とが分 る。 そ の 条 件 がLelandの 集 中 に 対 す る危 険 回 避 逓 減 の 原 理,又 はSandmoの 危 険 回 避 関 数 が 現在 消費 に つ い て 増 加 的,将 来 消 費 に つ いて 減 少 的 とい う仮 定 な の で あ る。
次 に効 用 関 数 が加 法 分 離 的 な場 合 を 考 え る。 この 場 合 σ12=0と な るか ら, 議 論 は簡 単 化 され る。 σ()を
σ(01,02)=π(Ol)+δ%(c2) (2.14)
と お く。 〆>0,π"<0と お く。 δ は 割 引 因 子 で0〈 δ≦1で あ る 。 制 約 条 件 は 今 ま で 通 り とす る 。 碕=8+ッ2で あ る こ と も 今 ま で 通 り で あ る 。 第1期 の 最 適 化 は,・
聖 ・ ・(01)+δE[・(・ 穿)]
と な る 。 一 階 条 件 は'
●
駕'(Ol)=δE[〆(o穿)]
(2.15)
(2.16) と な る 。 襟 の 決 定 は 第1図 と 同 じよ う に 図 解 で き る 。 π'(6ず)を ッ2で2回 微 分 す る と グ'(o誉)を 得 る か ら,前 と 同 じ論 法 で,グ'>0(〈0)な ら ば67は 小 さ
く(大 き く)な る こ と が 分 る 。
今 ま で はexplicitな 最 適 解 が 求 ま ら な か っ た が,効 用 関 数 が 加 法 分 離 的 で か つ 一 期 間 効 用 関 数 が 絶 対 的 危 険 回 避 度 不 変 の タ イ プ の も の で あ れ ばexplicitな 解 が 求 ま る こ と が,Levhari‑Mirman‑Zilcha及 びHeyに よ っ て 指 摘 さ れ た 。
62商 学 討 究 第35巻 第1号 実 際 に 計 算 を して み る。
・(・・)=一 コ ・xp[一 ん ・](2・17)1
と お く。 こ こ に 絶 対 的 危 険 回 避 度 且=一 π"(o,)/〆(o∂=一 定 で 南 る 。 結 果 は
・瑞[ノ1ツ1‑logE[exp(一 ノ1ツ2)H・9・](a18)
・誉一詣[ノ1ツ1十 ノ1ツ2十109δ](219)
岬 ・ ・E鴎)]場 ・xp(一 妙)
・ …[(E[・ ・p(吻 ・)])・・+E[・xp(一 者 且・・)]](…)
で あ る。不 確 実 性 の 増 大 は,姪 と期 待 効 用 を低 下 さ せ る こ とはす ぐ分 る。 な お (2.17)の 第3次 導 甲 数 π"'は 常 に 正 で あ る 。
3.資 本 不 確 実 性
次 の 問 題 は 資 本 不 確 実 性 の 消 費 者 選 択 へ の 効 果 で あ る 。 こ こ に 資 本 不 確 実 性 と は,消 費 者 の 保 有 す る 富(金 融 資 産)の 収 益 率 の 危 険 の こ と で あ る 。こ の 問 題 を 扱 っ た 主 な 文 献 と して,2期 間 モ デ ル で は,Sandfno(1969,1970),Rothschild‑
Stiglitz(1971),Dr6ze‑Modigliani(1972),多 期 間 モ デ ル で は,Phelps(1962), Sa血uelson(1969),Merton(1969,1971),Levhari‑Srinivasan(1969),
Hakansson(1970)・Hahn(1970),Hamada(1972),Mirrlees(1974)等 が 代 表 的 で あ る 。'
モ デ ル を 次 の よ う に 定 式 化 す る 。 .
・MaxE[σ(oエ
,02)](3.1)
01,02
s.t.W2=(耳Zro1)γ,,(3.2)'
'
02=障2.(3.3)
不 確 実 性 下 の 消 費 者 選 択 の 理 論63
こ こ に レ防 は'期 の 富 で 単 一 の 金 融 資 産 と す る 。7‑1は こ の 富 の 収 益 率 で, 第2期 に は そ の 実 現 値 を 知 り う る 確 率 変 数 と し,0≦7〈 。。の 範 囲 に 分 布 し,資 本 は 生 産 的 即 ち1くE[月 く 。。とす る。 明 快 な 結 果 を 得 る た め に賃 金 等 の 所 得 は 受 け 取 ら な い も の と仮 定 す る 。 最 悪 の 場 合7=0(利 子 率 が マ イ ナ ス100%)で
あ る か ら,こ の 場 合 も 第2期 の 利 子 所 得 を 当 て に し て 借 り 入 れ を す る こ と は で き な い 。 故 に
0≦01≦ π1,0≦02≦}717
で あ る 。 σ()の 性 質 は 前 節 と 同 じで あ る 。 第2期 の 最 適 消 費 は
o姿=確2(3.4)
に よ って 与 え られ る 。 第1期 の 最 適 消 費 は 一 階 条 件
E[σ1]=E[σ27](3;5)
を 満 た す 。 嫌 の 決 定 は 第1図 と 同 じよ う に 図 解 で き る。 両 辺 を̀1で 微 分 して
E[σlrσ12プ]<0,E[プ(σ12一 σ227)]>0
を 得 る か ら,左 辺 は01に 関 し て 右 下 り,右 辺 は 右 上 り の グ ラ フ が 描 け る 。(図 略)
不 確 実 性 増 大 の 効 果 を 見 る た め に,所 与 のOlに 対 して,σ1及 び σ27を7で 2回 微 分 す る と
(W1‑Ol)2と112〆0,(Wro1)[2σ22+7(確 「01)σ222]… … 不 確 定
と な る か ら,ひ1は7の 強 凹 関 数,σ27は7の 凸 関 数 か 凹 関 数 か 不 明 で あ る 。 依 っ てE[7]を 不 変 に 保 つ7の 分 布 の 危 険 の 増 大 は,所 与 の01に 対 して,E[σ1]
を 減 少 させ るが,E[こ12月 の 変 化 の 方 向 に つ い て は分 らな い。従 って 危 険 の 増 大 が 畔 を大 き くさせ るか 小 さ くさせ る か は分 らな い 。
64 商 学 討 究 第3ら巻 第1号
Sandmoは こ れ を 次 の よ う に 説 明 す る 。(3.1),(3.2),(3.3)を 見 る と,7の 分 布 の 危 険 の 増 大 は62の 分 散 を 大 き くす る か ら 期 待 効 用 を 低 下 さ せ る。 こ の 期 待 効 用 の 低 下 を 少 し で も食 い 止 め る た め に 貯 蓄 冊1‑Olを 大 き くす る と,02の 平 均 と 分 散 の 双 方 が 大 き くな っ て し ま い,貯 蓄 の 増 加 従 っ て01の 減 少 が,ヨ リ 危 険 な7の 分 布 に 対 す る対 策 と し て 有 効 か 否 か は 一 概 に 言 え な い 。
次 に 効 用 関 数 が 加 法 分 離 的 な 場 合 を 考 え る 。 前 節 と 同 じ く σ(01,02)=π(01)
'
+δ 灰02)と お く。 一 階 条 件 は
π'(01)=δE[〆(o渉)7] (3.6)
と な る 。 〆(o吉)7を7で2回 微 分 す る と
(四rOI)[〆"(o歩)@ro、)7+2〆'嫡)]
と な り,こ の 符 号 は%'">0の と き 不 確 定,グ'<0の と き 負,即 ち π'(oわ7は 7の 強 凹 関 数 と な る 。 従 って%'"く0な らば,E[%'(o秀)月 は 危 険 の 増 大 の 結 果 小 さ くな り,o† は 大 き く な る。
、一 期 間 効 用 関 数 が 相 対 的 危 険 回 避 度 一 定 の タ イ プ の も の で あ れ ば,最 適 解 を explicitな 形 で 求 め る こ と が で き る 。
畑 一礁 ∵ 酬 億の
と お く。 こ こ に 相 対 的 危 険 回 避 度 α=‑o,%"(o∂/%'(o∂=一 定 で あ る 。 な お σ は 限 界 効 用 の 弾 力 性 に 等 し い 。(3.7)に 対 して
螺1:∵'一
バ
1
1+(δ71一 σ)‑1/8
δ
喬"・ ・ α;1
71兀11,0≠1,σ>0
(3.9)
不確 実性 下の消費者選択 の理論
一 一{繍1嬬 ∴ 諭
+δE[1097],σ=1(3.10)
を 得 る 。 こ こ に
65'
9=(δE[〆‑4])‑1!σ
で あ る 。
σ>1(〈1)の と き,危 険 の 増 大 に 対 し て9は 小 さ く(大 き く)な る か ら,酵 は 小 さ く(大 き く)な る 。'o;1の と き6† は 不 変 で あ る 。 期 待 効 用 は,危 険 が 増 大 した と き,す べ て の σ>0に 対 し て 低 下 す る 。 な お(3.7)に 対 し て%'">0
で あ る 。
4.寿 命 不 確 実 性
第3番 目 に問 題 と した い の は,消 費 者 自身 の 寿 命 あ る い は死 亡 時期 の 不確 実 性 が もた らす 効 果 で あ る。 これ に つ い て はyaari(1965)が 有 名 な先 駆 的 論 文 で,連 続 時 間 モ デ ル を用 い て,生 命 保 険 が 利 用 可 能 な場 合 と不 可 能 な(な い し
は可 能 で あ って も利 用 しな い)場 合 に 分 け て精 密 な 分 析 を した。 しか しな が ら 連 続 時 間 モ デル は必 ず し も理 解 し易 くは な い。 そ の ため 連続 時 間 モ デ ル そ れ 自 体 の 発 展 も勿 論 あ る とは い え,学 会 の研 究 方 向 と して は理 解 の容 易 な離 散 時 間 モ デル の 分 析 に進 ん だ 。 以 下 にお いて は この動 向 に 沿 った解 説 をす る。
その 前 に,寿 命 不 確 実 性 の 持 つ 意 味 につ いて 少 し説 明 す る。 一 般 に個 人 が彼 (彼 女8))の 死 亡 時 期 を確 実 に知 りえ た な らば,遺 族 に 遺 産 を 残す とい う動 機 さ え 働 か な い 限 り(以 下 これ を仮 定 す る),死 亡 時 点 に お け る貯 蓄 残 高 が 丁 度 ゼ ロに な る よ うに 生 准 消 費/貯 蓄 計 画 を立 案 す るで あ ろ う。 そ して この よ う な場 合 人 は,生 命 保 険 に も(保 険 型)年 金9)に も加 入す る必 要 性 を感 じな いで あ ろ
8)以 下 「彼 女 」 は 省 略 す る。 別 段 他 意 は な い。
9)死 亡 時 期 が 不 確 実 な と き,平 均 寿 命 が ほ ぼ等 しい と思 わ れ る人 々が 共 同 して 寿 命 の
66 商 学 討 究 第35巻 第1号
う。 も し個 人 が 早 死 す る こ と を確 実 に知 りえ た な らば,彼 は大 急 ぎ で 消 費 の 享 受 に努 め るで あろ う。 逆 に 長 生 きす る こ とを確 実 に知 りえ た な らば,彼 は 老 後 に備 えて 節 約 に努 め る で あ ろ う。
さて 今 や 死 亡 時 期 を確 実 に は知 りえな い状 況 に置 か れ た とす る。 た とえ寿 命 が 不 確 実 にな ろ う と も消 費/貯 蓄計 画 は立 案 せ ね ば な らな い。 しか し 自分 が 何 時 死 ぬ か,換 言 す れ ば この先 何 時 まで 生 存 す るか は分 らな い。 この とき人 は一 体 どの よ うな 生涯 貯 蓄 計 画 を 立 て るべ きで あ ろ うか?こ れ に対 す る答 は生 命 保 険 一(保 険 型)年 金 を利 用 す るか しな いか に よ って異 な って くる。
も し人 が 生 命 保 険 一 年 金 を 利 用 しな い とす れ ば,彼 は 医学 的 ・生 理 学 的 に 可 能 な 最 大 の 長 生 き を仮 に した と して も困 らな い よ うな貯 蓄計 画 を立 て な け れ ば な らな い こ とは 直 ち に分 る。 しか し最 大 可 能 な 長 生 き を実 際 にす る こと に な る 人 々 は ほ とん どい な い で あ ろ うか ら,こ の 場 合 大 部 分 の人 々 は結 果 的 に無 駄 な 過 剰 貯 蓄 を す る こ とに な る。 これ が 寿 命 の 不 確 実 性 に 直面 しなが ら生 命 保 険 一 年 金 を 利 用 しな い こ と の不 利 益 で あ る。 しか もこの 場 合消 費 者 は負 債 を残 して 死 ん で は な らな い と い う制 約 条 件 を課 す と,借 り入 れ が で き な い こと は 明 白 で
あ る。(と い うの は何 時 死 ぬ か 分 らな い か ら。)
上記 の よ うな無 駄 な 貯 蓄 を避 け るた め に は 平 均 寿 命 の 同 じ人 々が 共 同 して 寿 一命 の危 険 を プ ー ル化 す れ ば よ い。 これ が生 命保 険 一 年 金 で あ る。 これ は,加 入 者 が保 険 料 を払 い込 み,早 死 した人 に は生 命保 険 金 を,長 生 き した人 に は年 金 を 支払 う こ とに よ って プ ー ル され た 所得 を 加 入 者 に再 分 配 す る こと を 目指 す 。 従 って各 個 人 は あ た か も 自分 が 平 均 寿 命 を 生 き るか の 如 く想 定 して 貯 蓄 計 画 を 立 て られ る と い う利 点 を 持 つ 。 それ故 この 場 合 各個 人 は,結 果 的 に資 産 を残 し て 死 ぬか も しれず,逆 に負 債 を 残 して 死 ぬ か も しれ な い。(即 ち借 り入 れ が 認
危 険をプール化 し,長 生 き した人 々が早死 した人々を援助す るのが生命保険,逆 に 早死 した人 々が 長生 き した人々を援助す るのが保 険型の年金で ある。年金には この ほかに集団の死亡確 率分布 に基礎を置かない種 類の もの,即 ち積立て金を年金の形 で払 い戻す方式 の ものがあ る。 日本では 「郵便年金 」(終身年金)が 前者の例 に当 り,9
「財産 形成年金貯蓄 」(確定年金)が 後者の例に当 る。両者 の年金 と もに払い込み掛 金額 は確定 しているが,受 取年金額は前者 では寿命次第,後 者 は寿命 に無関係 に決
ま って いる。
不確実性下の消費者選択の理論 67 め られ る。)この 残 さ れ た 資産 又 は負 債 を加 入 者 同 士 で 相 互 に清 算 し合 うわ け で あ る。 但 しこの 場 合 この シス テ ム 自体 が財 政 的 に破 綻 しな い よ う に,即 ち加 入 者 全 員 の 生 涯 総 所 得 額 と生 涯 総 消 費 額 が 等 し くな るよ うに,保 険 料 な らび に保 険 金 ・年金 の額 が 適 正 に決 定 され て い る もの と仮 定 す る。 換 言 す れ ば 保 険 一 年 金 証 券 は保 険統 計 数 理 的 に適 正な(actuariallyfair)価 幣 を持 つ と仮 定 す る。
更 に 当初 予想 さ れ て い た死 亡 確 率 が 計 画 立 案 後 に変 化 す る道 徳 的 危 険(Moral Hazard)の よ うな 現 象10)は起 こ らな い もの とす る。
さて 前 置 き は これ く らい に して モ デ ル 分 析 に か か る。
4.1生 命 保 険 一 年 金 を 利 用 す る 場合
離 散 時 間 モ デ ル で こ の 場 合 を 検 討 し た 論 文 に は,2期 間 分 析 と し て はKatz (1979),Pelzman‑Rousslang(1982),多 期 間 分 析 と し て はBarro‑Friedman (1977)が あ る 。
以 下2期 間 の 場 合 を 分 析 す る。 ま ず 簡 単 化 の た め に,生 命 保 険 一 年 金 に 加 入 す る個 人 は,誰 も 彼 も皆 同 一 の 効 用 関 数,同 一 の 死 亡 確 率,同 一 の 所 得 流 列 を 持 つ,即 ち 加 入 者 は 皆 完 全 に 同 質 的 と 仮 定 す る 。 効 用 関 数 は 加 法 分 離 的 と 仮 定 す る。 第1期 の 死 亡 確 率 は ゼ ロ即 ち 生 存 確 率111),第2期 の 生 存 確 率 は ρ(0ぐ ヵ〈1)即 ち 死 亡 確 率 は1一 か と お く。 こ の と き 平 均 寿 命 はL=1+ρ で 表 わ せ る 。 一 期 間 効 用 関 数 を,o,を'期 σ=1,2)の 消 費 と し て%(o∂ と 書 く。 畷)は 通 常 の 性 質%'>0,π μ〈0を 持 つ ほ か に,%(0)は 有 限 の 大 き さ を 持 つ(%(0)〉
一 。。)も の と 仮 定 す る。 議 論 を 単 純 化 す る た め,将 来 効 用 の 割 引 率 と 利 子 率 は ゼ ロ と す る 。 す る と 消 費 者 の 最 適 化 問 題 は 次 の よ う に な る 。
理a葦 、Eσ=・(・1)吻(・ ・)・(1一 ρ)・(・) '
S・t・01十 ρ02=ニ ソ1十 ρ夕2
(4.1) (4.2)
10)保 険 に 入 った とい うの で 安 心 して 暴 飲 暴 食 にふ け る と か,保 険金 の受 け取 り ・詐 取 を 目 的 に した 自殺 や殺 人 の 如 き現 象 。
11)こ れ を仮 定 しな け れ ば,死 人 が 計 画 を 立 て る こ と も あ る とい う奇 怪 な こ と にな る。
68 商 学 討 究 第35巻 第1号
こ こに ッ,は'期 の 所 得 で あ る。 上 式 の 意 味 は,Eσ は生 涯 期 待 効 用 を表 し, (4,2)は 生 涯 期 待 消 費 と生 涯 期 待 所 得 が 等 しい と い う予 算 制約 式 を 表 す12)。期 待 効 用 関数(4.1)は 生 命 保 険 一 年 金 を 利 用 しよ うが しま いが 同 じで あ る が,予 算 制 約 式(4.2)は 明 白 に 異 な る。 先 に も述 べ た よ う に,(4.2)は 保 険 加 入 者 全 体 で 収支 勘 定 が合 って い れ ば よ い,換 言 す れ ば 各 個 人 はあ た か も平 均 寿 命 を生 存 す る保 険 加 入者 の代 表 的個 人 の 如 く行 動 す る こ とを 意 味 す る。 な お(4.2)は 期 待 遺 産 が ゼ ロで あ る と見 る こ と もで き る。
と ころ で も し この個 人 が1期 間 しか生 存 しな か った と した ら(こ れ は1一 ρ の 確 率 で 起 る),生 涯 消 費 は01,生 涯 所 得 は ッ1で あ り,も し2期 間生 存 す る こ とが で き たな ら(こ れ は確 率 ρで起 る),生 涯 消費 は61+02,生 涯 所 得 は ッ〔+ッ2 と な る。 この と き も しo、〉(く)ッ1で あ れ ば1期 間 しか生 存 しな い 人 々 は 負 債 (資 産)を 残 して 死 ぬ こ とに な る。 す る と保 険 シス テ ム が統 計 数 理 的 に 適 正 で あ る と い う想 定 か ら,OI+02〈(〉)ッ1+ッ2と な り,2期 間生 存 す る人 々 は 資産 (負 債)を 残 して 死 ぬ こ とに な る。 即 ち この 場 合 第2期(第1期)か ら第1期 (第2期)へ の 所 得 の 移 転 が 起 る こ とに な る,換 言す れ ば2期 間 生 存 した 人 々 が1期 間 しか 生存 しな か った人 々 に生 命 保 険 金 を 支払 う(1期 間 しか生 存 しな か った 人 々 が2期 間 生 存 した人 々 に年金 を支 払 う)こ と に な る13)。
さ て わ れ わ れ の 問 題 の 一 階 条 件 は
%'(01)=〆(02) (4.3)
に よ っ て 与 え られ る14)。 最 適 消 費 は 12)(4.2)̀ま
61+ρ62+(1一 ρ)×0一 ッ1+ρッ2+(1一 ρ)×0
の 意 味 で あ る。同 じ こ と で あ るが 次 の よ うに考 え て も よい 。両 期 を 生 存 し01+̀2の 消 費 を享 受 す る確 率 は ρ,第1期 しか生 存 せず 消 費 が01で あ る確 率 は1一 ρ で あ る か ら,生 涯 期 待 消 費 は
ρ(01+σ2)+(1一 ρ)σ1
で 表 わ され るQこ れ は(4.2)の 左 辺 に 等 しい 。 所 得 につ いて も同 様 で あ る。
13)一 般 に動 学 的 経 済 理 論 に お い て(4.2)の よ うに 制約 式 を 書 く こ とは,異 時 点 間 の 所 得 移 転 が 可 能 で あ る 、即 ち 正 の 貯 蓄 ば か りで な く負 の 貯 蓄(将 来 所 得 を 前 借 り して 消 費 す る こ と)も 可 能 で あ る こ とを 意 味 して い る点 に注 意 しな け れ ば な らな い 。
不 確 実 性 下 の 消 費 者選 択 の理 論 o〒;oず=6*
と な る こ と は 明 ら か 。(4.4)を(4.2)に 代 入 して
1・̲夕1+ρ 夕・‑y1+(L‑1)ツ ・
1+ρ
を 得 る 。 こ こ に ム=1+ρ は 期 待 寿 命 。0*を 五 で 微 分 して,
撫{;lil;蕪
(4,4)
(4.5)
(4.6)
69
を 得 る。 即 ち 第2期 目に 第1期 よ り も ヨ リ高 い(低 い)所 得 を稼 ぐ場 合,平 均 寿 命 の 増 大 は最 適 消 費 水 準 を 大 き く(小 さ く)さ せ る。
さ て この 消 費 者 が も し1期 間 しか 生 存 しな か った ら,彼 の 生 涯 消 費 はo*
(置6†)で あ るの に対 して 生 涯 所 得 は ッ1で あ る。 両 者 を比 較 して
魑焔 雛i
色の
と な る こ と が 分 る。 次 に も し2期 間 生 存 した 場 合 は,生 涯 消 費 は2,*(一 叶 +礎 で あ るの に 対 して 生 涯 所 得 は ッ1+y2で あ る。 両 者 を 比 較 して
欄ii雛1、 一
を 得 る 。 こ の こ と か ら,も し 第1期 の 所 得 が 第2期 の 所 得 よ り も小 さ け れ ば (大 き け れ ば),1期 間 しか 生 存 し な か っ た 人 々 は 負 債(資 産)を 残 して 死 に,
14)(4.3)に は ρ が 入 って こ な い こ とに注 意 。 しか しな が ら これ は 寿 命 不確 実 性 が生 命 保 険 一 年 金 によ って 駆 逐 され る こと を意 味 す る もの で は な い 。
ZO,商 学 討 究 第35巻 第1号
2期 間 生 存 した人 々 は資 産(負 債)を 残 して 死 ぬ,即 ち第2期(第1期)か ら 第1期(第2期)へ の 所 得 移 転 が起 る こと にな る。 こ れ は言 うまで もな く長 生 き(早 死)し た人 々か ら早 死(長 生 き)し た人 々 に対 して 生 命 保 険 金(年 金) の 支 払 いが な され る こ とを 意 味 して い る。 ・
最 適 政 策 が 使 わ れ た と き に達 成 さ れ る期 待 効 用 は
Eび*一 頭6*)+勿(o*)+(1一 ρ)%(0)
;五z6(6*)+(2一 五)%(0)・(生9)
で あ る 。 こ れ をLで 微 分 し て
∂号『 一 ・(〆)一 ・(・)一 〆(〆)(〆 一 弛)(・1・)
を得るっ
・・一 ・・一 号2(・11)
で あ る か ら,%(o*)一 π(0)>0で あ る こ と を 考 慮 し て,ッ1≦ ッ2の と き は(4」0) が 正 で あ る こ と は 明 らか 。 夕1>ッ2の と き は%()の 強 凹 性 に よ っ て や は り(4.
10)は 正 に な る 。 故 に(4.10)は 常 に 正 で あ る 。 即 ち,期 待 寿 命 が 長 く な る と 期 待 効 用 は 必 ず 大 き く な る 。.
4.2生 命 保 険 一 年 金 を 利 用 し な い 場 合
この 場 合 を 離 散 時 間 モ デ ル で 分 析 した 論 文 に はLevhari‑Mirman(1977)の 多 期 間 分 析 が あ る 。
と り あ え ず2期 間 の 場 合 か ら説 明 す る。 問 題 は 次 の 如 くで あ る。
Maxβ σ=%(OI)+ρ%(02)+(1一 ρ)%(0)(4.12)
01,02
s.t.置2=罪 エーOl,(4 .13)
02;W2,(4.14)
確F所 与(0〈1兀z1<。 。),(4.15)
不確 実 性下 の消 費 者 選 択 の 理 論71
0≦ ・、≦ 罪11『(4 .16)
こ こ に 確,は'期 の 富 を 表 す 。 各 期 の 経 常 的 所 得 はLevhari‑Mirmanに 従 っ て ゼ ロ と 仮 定 す る 。(4.12)は 期 待 効 用 関 数 で あ る 。 こ こ で も 第1期 の 生 存 確 率 は 1,第'2期 の 生 存 確 率 は ヵ(0〈 〆1)従 っ て 死 亡 確 率 は1一 ρ で あ る 。(4.13) は 富 の 異 時 的 関 係 式 を 表 わ し,利 子 率 は ゼ ロ と仮 定 さ れ て い る 。(4.14)は 遺 産 が ゼ ロ で あ る こ と を 意 味 して い る。(4.15)は 初 期 条 件 。(4.16)は01,ρ2≧0を
・ 意 味 す る 。
最 適 政 策 を 求 め る 。 第2期 の 最 適 消 費 は
oず=確2 (4.17)
で あ る。 第1期 の 問題 は
聖 ・ ・(・・)+勿(・ 誉)+(1一 伽(0)=・(・1)+力 焔)+(1一 ρ)・(0)
;%(Ol)ナ 勿(W1‑・1)+(1一 ρ)%(0)(418)
と 書 け る 。 一 階 条 件 は
〆(Ol)=ρ 〆(0穿) (4.19)
とな る。生 命 保 険一 年 金 が 利 用 可 能 な 場 合 ど違 って 最 適 条 件 の 中 に ρが 入 って くる こと に注 意 され た い。(4.ヱ9)か ら直 ち に
o†>6姿 (4.20)
とな る こ とが 分 る。 即 ち この モ デル で は ρは 割 引 因 子 と同 じ役 割 を果 た して い る。 換 言 す れ ば寿 命 不 確 実 性 が 導 入 さ れ る とあ た か も割 引 率 が大 き くな った か の如 き効 果 を持 つ15)。.
15)異 時 点 間 に渡 る消 費 者 選 択 の 理 論 にお い て将 来 効 用 を 割 引 す る こ とを正 当 化 す る根 拠 の 一 つ が これ で あ る。 これ はB6hn1‑Bawerkそ の 他 の 人 々以 来 の有 力 な 議 論 で
あ り,Yaariに よ って 数 学 的 に 明確 に根 奥 づ け られた 。但 しこれ はBarro‑Friedman 'も 注 意 して い る よ う に
,個 太 が生 命保 険一 年 金 を利 用 しな い場 合 に の み妥 当 す る 議 論 で あ る。
商 学 討 究 第35巻 第1号
ρが 大 き くな る とo† と 碕 の差 は縮 小 す る。 これ が平 均 寿 命 増 大 の 最 適 消 費 へ の 効 果 で あ る。
Levhari‑Mirmanは 相 対 的 危 険 回避 度 一 定 と仮 定 す る。即 ち
・(・∂=巧 1 ・!‑8・0く 〆1
.〈421)
と お く。 彼 ら は α=1@(o)=logo)及 びo>1の 場 合 も考 え て い る が,こ の と き%(0)一 一 ・。に 発 散 す る の で こ れ らの 場 合 を 排 除 す る の が 望 ま し い16)。(4.21) に 対 して はexplicitな 最 適 解 が 求 ま る 。 即 ち.
L
1 10ρ十1=*10
魔一1拳 肱
E甜 一(1+ρ1'σ)・ 嵩 脚
(4.22)
(4.23)
(4.24)
とな る。 平 均 寿 命増 大 の 効 果 は,
蕩 ・傷 ・砿 ∂ 号ヂ ・・ 聰
とな る こ とは 明 らか 。
さて 寿命 の不 確 実性 が個 人 の最 適 政 策 と りわ け初 期 消 費 襟(又 は 初 期 貯 蓄 罪 姿=確rc勃 に い か な る効 果 を 及 ぼす か は,従 来 か ら特 別 に 関 心 を 持 た れ て き た 。 これ に つ い て は相 反 す るこ つ の 要 因 が 働 く。 第 一 は不 確 実 性 が あた か も 割 引 率 の 増大 と同 じ効 果 を持 つ こ とで,こ れ は 姪 を大 き くさせ る効 果 を 持 つ 。
これ は早 死 す るか も しれ な い とい う可 能 性 か ら くる もの で あ る。 第二 は これ と は逆 に長 生 きす るか も しれ な い とい う可 能 性 が 持 っ 貯 蓄 促 進 効 果 で あ って,こ れ は 叶 を小 さ くさ せ る。 こρ 互 に逆 方 向 に 作 用 す る二 要因 の う ちい ず れ が 勝
る か,あ る い は ヨ リ正 確 に言 え ば,ど の よ うな 条件 の 下 で ど ち らの 要 因 が 優 勢 と な るか と い う問 題 を考 え る。,
16)Levhari‑Mirlnanモ デルの期待効用 関数で は%(q) .を含む項が落 ちて いる。
不確実性下の消費者 選択の理論 73
'こ の 問題 を分 り易 く考 え る ため に は
,寿 命 の不 確 実 性 が な い場 合 と あ る場 合 を比 較 す れ ば よ い よ うに⊥ 見 思 わ れ る。 しか しな が ら この よ うな問 題 設 定 は実 は具 合 が 悪 い。 と い うの は,確 実 な 寿命 を ど う い う長 さ で考 え るの か が 明 確 で
・は な い か らで あ る。 今 ま で考 察 して き た2期 間 モ デ ル で は,確 実 な 寿 命 と して は1期 間(ρ=0の とき で 最 小 生 存 期 間)と2期 間(ρ=工 の と きで 最 大 生 存 期 間)の 二 つ が 考 え られ る。 効 用 関 数 が(4.21)で 与 え られ るな らば,確 実 に1 期 間 生 存 す る と きの 最 適 消 費 は 襟=W1,確 実 に2期 間 生 存 す る とき の 最 適 消 費 は ・f一麺 とな り・
引 ρ.1一 者陥 ・引 。<,<1‑1.押 ・畔1ρ。。一略(・25)
と い う関 係 が 成立 す る。 即 ち寿 命 が 不 確 実 に な る こ と に よ って,そ れ が確 実 な 場 合 に比 して初 期 消 費 は大 き くな る と い う言 い方 も逆 に小 さ くな る とい う言 い 方 も ど ち ら も可能 で あ る。
そ こで この よ うな混 乱 を 避 け る ため に は,五=1+ρ の 長 さの期 間 を確 実 に生 存 す る個 人 と,平 均 寿 命 が 五=1+ρ で あ る が 寿 命 が 不確 実 な個 人 を比 較 す れ ば よ い よ うに思 わ れ る が,こ れ は無 意 味 で あ る。(な ぜ な ら 五=1+ρ は整 数 で な い か ら。)し か も この 場 合L=1+ρ を 固定 す る と,ヵ は 唯一 つ の 値 しか取 れ な い か ら,同 一 の 平 均 寿命 を 持 つ 二 つ の異 な った 寿 命 分布 を比 較 す る と い う こ と もで き な い。
この 問題 を解 決 す る た め に,Levhari‑Mirmanは 平 均 寿命 保 存 的 な危 険 の増 大 とい う概 念 を新 た に考 え 出 した。 この概 念 を理 解 す るた め に は最 低3期 間 必 要 な の で,個 人 の 最 大 可 能 な生 存 期 間 を3期 間 とす る。'期 末 に お け る死 亡 確 率 を 勘(0〈 勘 く1)と お け ば
91+92+93=1
が 成 立 す る 。'期 首 に お け る 生 存 確 率 を 今 ま で 通 り ρ,と お け ば ρ1=91+92+93=1,
ρ2=92+93=卜91,
(4.26)
'74商 学 討 究 第35巻 第1号
ρ3;93=1‑(9!+92), ρ1>ρ2>ρ3
と な る 。 平 均 寿 命LはL;ρ1+ρ2+ρ3=1+ρ2+ρ3に よ っ て 与 え ら れ る 。 こ こ で 二 つ の 寿 命 分 布<ρf>と く が 〉 を 考 え る 。 こ の と き も し
ρ2>ρ を
..(4.27) ρ2十 ρ3=ρ2十 ρ3.
な ら ば,〈 ρ∫〉 は 〈 ρ,〉よ り も ヨ リ危 険 な 寿 命 の 分 布 で あ る と定 義 す る 。 こ こ で ρ1=ρi=1;か つL=1+ρ2+ρ3;LL1+%+ρ5が 成 立 して い る 。 従 って ρ3
〈 ρ1で あ る 。 勿 論 ρ1>擁 〉 ρ6で あ る 。 故 に 』'
0<ρ3<ρ るく ρをく ρ2<1,
ノ ノ
≠P2‑1)2=ρ3‑1)3
が 成 立 す る こ と に な る 。
さ て3期 間 モ デ ル は 次 の よ う に 定 式 化 さ れ る 。
MaxEσ=%(01)+ρ2π(02)+(1一 ρ2)%(0)
01,02,03
+ρ3%(・3)+(1一 力・)%(0) S.t.03=砺73,
耳73=W2‑02, }72=}71‑01, 確1=所 与, 0≦01≦ 曜1, 0≦02≦1〃2
今 問 題 と し て い る の は 初 期 消 費 で あ る か ら, 躍1
6予;
1・[(、鴇 綜 司吻
(4.28) (4.29)
(4.30)
(4.31)
(4.32)
(4.・33)
(4.34)
(4.35)
(4.36)
記 号 の 意 味 及 び 仮 定 は 今 ま で 通 り で あ る 。 効 用 関 数 は(4.21)を そ の ま ま 使 う 。 ζ れ だ け を 書 く と
(4.37)
不確実性 下の消費者選択 の理論75 と な る。Levhari‑Mirmanの 論 文 で は これ は
・†‑1
.ρ 罪 ≒ ρ許(4・8)
と さ れ て い る。(記 号 は 私 流 の もの に 改 め た)。 も し 彼 らの 計 算 が 正 し い の な ら, 彼 らの 論 文 の 中 で 展 開 さ れ て い る よ う に 議 論 は エ レ ガ ン トな もの と な ろ う 。2 期 間 モ デ ル で は,(4.38)の よ う な 表 現 は 一 見 妥 当 で あ る よ う に 見 え る 。((4.22) 参 照 。)し か しな が ら筆 者 は,(4.37)と(4.38)が 同 一 で あ る こ と を 確 認 す る こ と は で き な か っ た の 。
か く して 平 均 寿 命 保 存 的 な 不 確 実 性 の 増 大 のo磐 へ の 効 果 を 一 般 的 に 調 べ る こ と は 難 か し い 。 そ こ で こ こ で は 数 値 例 を 使 っ て 調 べ て み る 。 次 の 二 つ の 寿 命 分 布 を 考 え る 。
<ρ1;1,ρ2=1,ρ3=0>
〈 ρi=1・ ρを=言 ・ρ§=言 〉11
前 者 の 平 均 寿 命 はL=1+1+0=2,後 者 は 〃=1+1/2+1/2=2と な りL=L' で あ る 。 ク2言1>ρ6=1/2で あ る か ら寿 命 分 布 〈 ρ∫〉 は 〈 ρ,〉よ り も ヨ リ危 険 で あ る。 ρ2一錫 二1‑1/2‑1/2=ρ ξ一 汐3=1/2‑0=1/2と い う要 請 も 満 た さ れ て い る 。 明 らか に 〈 ρ,〉は 不 確 実 性 が 存 在 しな い 場 合(2期 間 を 確 実 に 生 存 す る) で あ り,〈 ρ1>は 考 え ら れ う る 最 も不 確 実 な 場 合 で あ る 。 寿 命 分 布 〈 ρ,〉の 下 で の 最 適 初 期 消 費 は,0く αく1の ど ん な 値 に 対 して も
1
・卜 劉 ・ ㌧'(4・39)
で 与 え られ る。 他 方,分 布 〈 ρξ〉 の下 で の そ れ は,た と えば σ=1/2な らば, 20
0半'=齋 確1(440)
で 与 え ら れ る 。 こ の 例 で は
17)Lippman.McCallもLevhari‑Mirmanの 計 算 の 誤 り に 気 付 い て い る 。p .245の 脚 注 参 照 。
z6 商 学 討 究 第35巻 第1号
6宇'>o†
と な る 。 こ の 結 果 はLevhari‑Mirmanの 得 た そ れ に 一 致 す る 。
5.価 格 不 確 実 性
(4,41)
最 後 に取 り挙 げ る問 題 は,多 数 財経 済 に お け る異 時 点 間 に渡 る消 費者 選 択 に 伴 う相 対 価 格 不 確 実 性 の 効 果 で あ る。 この 分 野 の研 究 文 献 と して は,二 期 商 多 数 財 の 場 合 を扱 ったEpstein(1975),二 期 間 二 財 の 場 合 を扱 っ たEaton(1980) 等 が あ る が,問 題 の解 明 は 未 だ 十 分 に進 んで い る とは 言 い難 い。
こ こで は二 財 二 期 間 の枠 組 み で説 明す る。 毛 デ ル を 提 示 す る前 に仮 定 と記 号 の 意 味 を述 べ る。 二 財 の うち一 方 の財 を 「安 全 財 」 と呼 び その'期 に お け る消 費 量 を κ,α=1,2)で 表 わ す 。 この 財 の 現 在 及 び将 来 の 価 格 は 既知 で あ る。 他 方 の 財 は 「危 険 財 」 と呼 ば れ そ の消 費 量 はy,で 表 わ され る。 この財 の 現在 価 格 は既 知 で あ るの に対 して将 来 価 格 は不 確 実 で あ る。 安 全 財 を ヌ ー メ レール と す る。即 ちそ の価 格 は両 期 を通 じて1で あ る。 危 険 財 の将 来価 格 は主 観 的分 布 を持 つ確 率 変 数 で あ り,こ れ を ρ で 表 わ す 。(消 費 者 は 第2期 に ヵの 実 現 値 を 知 り う る。)簡単 化 の ため,危 険 財 の 将 来 価格 の 期 待 値 を1と お き,同 財 の現 在 価 格 も ヱと お く。 不 確 実 性 が 消 失 した場 合 の ρの 値 は1に な る もの とす る。 消 費 者 の 富 は単 一 種 類 の 利 子 収 益 を生 まな い金 融 資 産 で あ り,'期 に お け る その 保 有 量 をW,と お く。 更 に消 費 者 は賃 金 等 の 所 得 を受 け取 らな い もの とす る。
将 来 に お け る相対 価 格 の 変 動 に対 す るヘ ッ ジ ング は行 な わ な い もの とす る。
モ デ ル は 次 の如 く定 式 化 され る。
MaxE〔 γ(劣1,ツ1;∬2,夕2)]
κ1,二yl;κ2,ニ リ2
S.tJ72=}γ1一 κry1,
κ2+ρ 夕2=W2,
0≦ π12≦ π1正,
確1=所 与(0〈1兀z1〈 。。),
E[ρ]=1,0〈 ρ痂 ≦ ρ ≦ ρ鋭。。〈 。。
(0<ρ 剛.≦1≦ 擁 ・,〈 。。;ρ 煽 。,ρ 脚 、=非 確 率 的 定 数)
(5.1) (5.2) (5.3) (5.4) (5.5)
不確実性下 の消費者選択 の理論 77 (5.1)に お い てy()は 基 数 的 効 用 関 数 で あ り,勾,ッ,に つ いて厳 密 に 凹 な 増 加 関 数 とす る。 故 にE[γ()]は 期 待 効 用 を表 わす 。(5.2)は 初 期富 の うち 第 1期 で 消 費 さ れ な い部 分(貯 蓄)が 第2期 に 残 さ れ る こ と を表 わす 。(5.3)は 第 2期 の 予 算 制 約 式 で あ る。(5.4)は 各 期 の 消 費 水 準 は非 負 で あ るべ き こ とを 意' 味 す る。(5.5)は 初 期 条件 で あ る。
上 記 の モ デ ル の意 味す る と こ ろ を言 葉 で 述 べ る と次 の よ う にな る。 消 費 者 は 所 与 の 富W1を 持 って い る。 第1期 に 彼 は 安 全 財 κ1と 危 険 財 ッ1を そ れ ぞ れ 価 格1で 購 入す る。 従 って彼 はW2;W「 均 一夕1貯 蓄 す る こ とに な る。 第2期 に彼 は このW2で 安 全財 κ2を価 格1で,.危 険 財 ッ2を 価 格 ρで 購 入す る。2期 間 に渡 る消 費 は彼 に効 用y()を もた らす。 彼 は この 期 待 値E[γ()]を 最 大 な ら しめ る 消費 計 画 〈κ1,ッ1;物,y2>を 選 択 せ ね ば な らな い。
この 問題 の最 適 解 の計 算 手 順 は 次 の 如 くで あ る。 まず 第2期 の 最適 化 問題
Maxγ(」 ヒ=1,夕1;272,ニ ソ2) 幻2,ツ2
s.t.κ2+ρ 夕2=確2, 卯2=所 与, κ1,yF所 与, ρ=非 確 丞 的 定 数.
を 最 初 に 解 く 。 一 階 条 件 は 、
(5.6)
(5.3)
(5。7)
(5.8)
(5。9)
∂畿)」 ∂畿)/ρ(5
.10) で あ り,こ の 解 は 袴 コ 袴(研2,ρ,角,夕1)及 び 舛 雷 甥(躍2,ρ,角,夕1)で あ る 。 次 に 第1期 の 最 適 化 問 題
惣 う 、E[y(劣1・ ツ1;城 夕穿)]
S.t.四2=確 「 芳一 ツ1, 0≦ π2≦ π1, 確1=所 与
(5.11)
(5.2)
(5.4)
(5。5)
'
78商 学 討 究 第35巻 第1号
を 解 く。 記 法 の 混 乱 を 避 け る た め 可 変 的 間 接 効 用 関 数 γ(κ1,ツ1;袴,ly渉)(κ1, ラ1,〃2,ρ は 所 与)を γ*()と 書 け ば,一 階 条 件 は,最 適 貯 蓄 の 内 部 解 を 仮
定 して,
E[∂レ*∂
κ1]‑E[霧(諾 一釜)・ 叢(諾 一讐)1(・ ・12) E[∂γ*∂
ツ1]一互[欝(銑 舞)・ 霧(號 一舞)](・ ・13)
とな る。 これ らの方 程 式 を解 い て 得 られ る最 適 解 を 舜,介 とお く。最 適 貯 蓄 は'
曜=W「 舜 一茸 ,(5・14)
と定 義 され る。
さ て 今 まで は この モ デ ル の形 式 的 な解 法 に触 れ て き た わ けで あ るが,こ の よ うな 一 般 的 な 枠 組 み を保 持 しな カ1ら,経 済 的 に意 味 の あ る最適 解 が存 在 す るか 否 か,又 存 在 す る と して相 対 価 格 不 確 実 性 の 増 大 の効 果 は ど うな るか を調 べ る こ と は非 常 に難 か しい。
そ こで 若 干 の 例 につ い て最 適 解 を 計算 して み よ う。
例1.y(∬1,コ ノ1;κ2,ニ ソ2)一 κ望ッ魎yl,0〈 α,β.γ,δ 〈1
(α+7+δ)(β+γ+δ)一 αβ
・卜(β(γ+δ)α+
7+δ)(β+7+δ).。 β 貼 ・ α(γ+δ)
舜 =
'・渉一≠ 万騰
・ず一毒 撃 ・
〃Pl,
騰 一(。+,+、 〜鵠 ≒ 、).。 βWl・
E[y(舜.ツ む 袴,ツ 穿)]
一
[(。≠ 鵜 鴇 姿 誹.β.,.・ 昭 ・β・・=・E[1/ρ・]
(5ユ5)
(5.16)
(5.17)
(5.18)
(5.19)
(5.20)
(5.21)
不 確 実 性 下(ρ消 費者 選 択 の 理 論 四
Flemming‑Turnovsky‑Kemp(1977)の 幾 何 学 的 平 均 保 存 拡 散(Geometric MPS)に よ る 相 対 価 格 不 確 実 性 の 増 大18)の 効 果 を 見 て み る と,舜,舛,袴,ρ 舛, π 秀 は 影 響 を 受 け な い が,1/〆 がlogρ に 関 して 強 凸 で あ る こ と か ら 期 待 効 用 水 準 は 上 昇 す る こ とが 分 る。
問 題 を 幾 分 扱 い 易 くす る た め に 効 用 関 数 の 異 時 的 加 法 分 離 性 を 仮 定 す る 。 一 期 間 効 用 関 数 を σ(紛,ッ の α=1,2)と 書 け ば
y(κ1,夕1;%2,ッ2)=σ(κ1,ッ1)+δ σ(κ2,ッ2) (5。22)
と な る 。0〈 δ≦1は 割 引 因 子 で あ る 。 σ()は 紛,コ,に 関 して 厳 密 に 凹 な 増 加 関 数 で,非 負 の 交 差 二 階 導 関 数19)を 持 つ も の と す る 。 即 ち,σ 。ニ ∂σ/∂κ>0, σ,一 ∂ひ/∂夕>0,の 。一 ∂2σ/∂万2〈0,ひ 〃 一 ∂2酬 ∂夕2〈0,σ 。,一∂2ひ/∂吻 ≧0で あ る 。
第2期 に お け る 最 適 化 の た め の 一 階 条 件 は,
σ 。(κ2,ッ2)=σ ッ(κ2,ッ2)/ρ (5.23)
とな る。 最 適 貯 蓄 が 内 部 解(0〈 吻 くW1)で あ る と仮 定 す れ ば,第1期 の最 適 化 の 一 階 条 件 は
砺(・1,・1)一 ・E[購,・ 誉)銑 ・嶋 ・・歩!畿]
;躍[σ y(袴,y委)/ρ] (5.24)
18)従 来 価 格 不 確 実 性 の 増 大 と い うと き に は,平 均 価 格 を不 変 に保 ちつ つ 分 散 を 増 加 さ せ るか,あ る い はRothschild‑Stiglitz流 の 算 術 的 平 均 保 存 拡 散(Arithmetic MPS)に よ る価 格 分 布 の危 険 の増 大 とい う概 念 が 使 わ れた 。しか しなが らFlemming‑
Turnovsky‑Kempに よれ ば,こ れ らの 概 念 は ヌー メ レー ル の選 択 に感 応 す る た め に不 適 当で あ り,代 って 彼 らの 幾 何 学 的 平 均 保 存 拡 散 を用 い るべ きで あ る。 この 新 概 念 はIogρ の 分 布 に お け る算 術 的 平 均 保 存 拡 散 と同 値 で あ る。以 後 この概 念 を使
う。
19)限 界 効 用 が正 か つ 逓 減 的 で あ る限 り,ひ 、ア≧0(Auspitz‑Liebenの 意 味 で の 弱 補 完 性)は κ,ッ 両 財 が 正 常 財(上 級 財)で あ る こ と及 び 無 差別 曲 線 の 強 凸性 を保 証 す る。σ(∬,の を 単 調変 換 す る と 佐yの 符 号は変 る 可 能 性が あ るこ とに注 意 。Stigler (1950,第6章),Chipman(1977)参 照 。