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線形理論に基づく翼形設計計算システムの開発 伊藤

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(1)

線形理論に基づく翼形設計計算システムの開発

伊藤 惇・海鉾光昭* ・根元 誠**

DevelopmentofCalculationSystemforHydrofoilSectionDesign OntheBasisofaLinearizedTheory

MitsuakiKAIHoKo,JunlToandMakotoNEMoTo (1995年11月30日受理)

Inexistingtheoriesofhydrofoilsectiondesign,onlytheaccuracyhasbeenregardedas essential,andthedesigntheoriesdevelopedfromapointofviewofpossibilityoffuturegrowth

arenotfound.

Inthispaperaconstructionofahydrofoilsectiondesigncalculationsystemisaimedat byusingananalyticalmethodonthebasisoflinearizedtheoryforhydrofoilwiththinsection sothatsuchgeneralizedorcomplexproblemsasshearHow,cavityHowandco‑existingHow

canbesolved

しかしながらこれらはいずれも個々の問題の精度 を重要視したもので,理論の発展性という観点から 扱ったものは見あたらない。従って解析的に扱った ものはほとんどな<Cs'z"α伽のテキスト[20]と 助O脆[21]に見られる程度である。 よって本研究は せん断流,空洞現象あるいはこれらを複合した問題 などの一般的かつ複雑な問題へ拡張できるように薄 翼理論を基礎とした解析的な方法による翼形設計計 算システムを構築する。

1 .はじめに

せん断流中の翼あるいはせん断流中においてキャ ビテーション(以下空洞という)現象を伴う翼につ いての研究は, その重要性は周知のことであり,わ れわれの研究室の成果として二次元理論[1,2,3]や 三次元理論[4〜11]について既に公表してある。しか しこれらはいずれも翼や空洞の特性を求める方法に ついての理論であり, もう一つの重要なテーマであ る設計問題については全く未解決のままである。す なわちせん断流や空洞現象あるいはこの両方を考盧 した二次元翼や三次元翼の設計法を確立すること は,緊急かつ重要な命題と考えられる。

翼形の設計に関する研究については,非粘性流れ では等角写像を用いた守屋ら[12]によるもの,翼表 面上に渦を分布させる境界要素法を用いたLeWS によるもの[13],粘性を考盧したものには〃 昭E によるもの[14],具体的に開発された翼形としては L"6ec陀翼形[15],Wbγ伽α"〃翼形[16]などがある。

一方圧縮性流れでは,衝撃波なしで圧縮効果を期待 できる〃α勿型圧力分布を持つもの[17,18],弱い 衝撃波を伴うW〃伽0"6型圧力分布を持つもの

[19]などがある。

2.翼形表面上の圧力係数と無次元速度

本設計問題では翼形表面上に圧力係数印の分布 を与え,反り曲線の座標yと厚み分布zを求める方 法をとる。

さて,圧力係数のは次の式で定義される。

H2−qR17

(1)

ここで,R,R,p, Cbは,翼形表面上の圧力,主流 の圧力,流体密度,主流の速度である。翼形表面上 の圧力Rを翼形上面と下面でR+とR̲とし,Q+

とCb̲をそれぞれ翼形上面及び下面の表面速度と すると(図1),主流と翼形表面上の任意点との間に 適用したベルヌーイの定理は次のようになる。

*秋田高専専攻科学生

**秋田高専本科学生

(2)

y, z

Po

0

p Co

Ps‑

Cs‑

図1 記号の説明

a

Z

1

Co+u士一γ

2

Z

0 X

{」+{:‑}‑

且‑Z=tanedx

図2 リーケルス・ファクタ

(3)

(鮠)=去久 饗だ (10

また吹き出し分布と翼の厚み勾配との間には流れの 連続性から次の関係がある。

・(")=2qf '')

よって式(10に式(11)を代入することにより,"/Cbは次 式となる。

き=制'毒農 (13

翼厚勾配は,一般に次のように級数展開できる。

f=Bc。[号+B*tan号十争日,sinn8 (13

ここで第1, 2項は翼前縁と翼後縁の丸みを表す。

また第3項以降はフーリエの正弦級数と考えること ができる。

式(1Jを式伽に代入して多少計算すると,次の式が 得られる。

a=B‑B叢一堂acosn8 (10

翼後縁が薄い場合は後縁に丸みがなく,

B*=0 (19

また,翼が閉じる条件から次式が成り立つ。

入,f"=' (''

式個に式⑬, (19を代入し計算すると,

Bi=‑2B O1

となる。よって,Bを改めてaとおくと,吹き出し による誘起速度の式側は次のようになる。

a=Bi(1+2cosl)一堂asinn8 03

式(13は,翼形表面上の圧力分布から式(4)によって求 めた翼形表面速度を式(9)に代入して得られる〃/Cb を与えて,係数B]を定めるための連立方程式であ る。すなわちa,を求めるために,未知数a,と同じ 数すなわちn個の選点をβ及び〃/Cbに代入する と,B,に関する、元の連立一次方程式が得られる。

実際の計算においては,Biからaまでの9個の係 数を求めることにし, 9元の連立方程式を組み立て てこれをガウスの消去法により解く。翼厚勾配は,

式⑬,⑮, (1りより整理すると,次のようになる。

%=Bi(c。t:̲2sin,)+=a,sinn8 (,,

式伽を妬についての積分

凡+fpcb。=Rf+#ck*' (2)

よって翼形表面上の圧力係数は翼形表面上の速度に より表され,次の関係が成り立つ。

&‑局=1−(号)。 (3)

fpcb。

ここで,左辺の圧力係数は通常1より小さいので,

翼形表面上の無次元速度Q±/Cbは式(3)より次のよ うになる。

VFF "'

&±−

Cb‑

一方,翼形表面上の速度Q±は,翼厚により誘起さ れる速度〃,迎え角および反り分布により誘起され る速度と等しい値を持つ渦分布γ,および主流の速 度Cbの和として次のようにも表示される。

C"=Cb+"士昔γ (5)

しかしながら, この式は翼前縁近傍の曲率の大きい ところで精度が低下することが知られており,次の ように修正することが〃"EMsによって提案された

(図2)。すなわち翼形表面の無次元速度G±/Cbは zを翼厚分布とすると次のようになる。

C"̲1+き±志

(6)

cI‑FW

3.翼厚分布の計算法

翼形上面と翼形下面の表面無次元速度はそれぞれ 式(6)より次の2つの式のようになる。

&.−'+蓋+士

(7)

q‑FW

Q̲̲'+g‑z=I

(8)

q‑FW

これを辺々加えると,"/C)の式を求めることができ る。すなわち,

き=昔(号+g)FW‑]

(9)

また,翼の厚みによる誘起速度は,翼の厚みを代表 する吹き出し分布ぴ( )により次のようにも表すこ

とができる。 Z二= 八ゞ宗伽

(4)

JsinnasinM=̲sin{:¥1)@}n+1

+sin{4n=1)"}n−1 @,)

を用いると,最終的に翼厚分布は次式のようになる。

チ=a(sin@+ sin2,)

+÷争易{sin{gl)'}

%=̲A+=A。c。sn' ',

よってこの式を妬について積分すると,反り曲線は 次式から得られる。

¥=‑A('‑c。s')一告A,cos8

−÷薑[cos{+=n)')

+cos{"n)'}] ',

式伽の反り曲線の座標は反り分布と迎え角を含んで いる。反り分布災と迎え角αを分離するには次の ように行う(図3)。すなわち,翼の前縁と後縁の座 標を(0,yi) (/,ji)とすると,迎え角αは次式によ

り得られる。

sin{(n+1)8}

1

n+1 、3

4.反り曲線の計算法

"=tan‑」 (j'!、)

式(7), (8)を辺々引くと次のように渦分布γに対す る式が得られる。

志=(舎号)戸篇 、.

また反り分布災は反り曲線の座標yより次式で求 められる。

jt=y‑y,+Jhテlx

また渦度分布は次のように級数展開できる。

zgF=Aco[号+=A。sinn' "

式(10においてa]を求めたときと同様に,式伽の左 辺に式倒により得られる値を代入し連立方程式を導 きこれをガウスの消去法によって計算するとA,An が求まる。

一方,反り曲線の勾配は渦分布γと次の関係を持 っている。

而一制'響豊

の一

,,

式㈱は,式伽を代入し計算を行うと次のようになる。

5.標点位置と数

圧力分布を与える標点の選び方にはいろいろな方 法が考えられるが, ここではSc""c〃""gの方法 [22]を応用して,圧力分布の一つの区間を分割して いる小区間の4分の3の位置の点を取る方法を用い る。すなわち圧力分布において翼弦長を3つの区間 に分け,各区間(為,恥)で3点を次の計算式によっ て与える。

(0

図3 反り分布と迎え角の分離

(5)

・1

標点の位置 ー一一一■■■■..‐‐‐‐−−−‐....‐‐‐‐‐‐‐..‐。・‑‑‑‑・・ ・・ .・‑‑・・‑・. XD,=:Xa+

F需壽

一一一q

)FF=.

《己1ア 4b/1

ーーーーーー‑‑‑ ・・−−.. ,・・ ・ロ一一一・・・・一一一一一・ ・一・一一一一・一 ロロローーー一一一p■一・

3V r

dX

( !二芸※

翼厚勾配の第0近似

(吾十号I F「要アー

…一一一一一百=−

11 1

:=B (1+2cose)‑#B。sinneCo 連立方程式の組み立て ‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‐

連立方程式の解 ‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑・B,, B2, B3, , B9

ワ﹈

e−2

十︶

一一

一奴ョ

ld

1+ZB。。…

YES

}・会かI

+上告R̲「sin{(n‑1)9}̲sin{(n+1)e}

I

sin29

、−1 n+1

1

︑1111ノ

一一

γ

{可要了

ーー

‑‑‑ ‑=Z‑=A…号+=A。。…e2Co

連立方程式の解 ‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑・A, A1, A2, , A8

一一子一昔A(IT=A│"s'÷割塑筈乢型器皿}

FL¥zLI

yc=y‑y!+aZ‑LニミLLx

幽主半型塗室」−−α=tan‑'

l 翼型形状

図4 計算システムのフロー 圧力分布の設定

翼形表面の無次元速度

反り曲線の計算

(6)

a) 厚み分布

b) 反り曲線

c) 翼形形状

図5 得られた翼形

(7)

8.おわりに

"=焔十筈云妻(4ノー1), (/=1,2,3)

本研究の内容は以下のように要約される。

(1)翼形表面上に与えた圧力分布からベルヌーイの 定理を用いて翼形表面上の無次元速度を求め(式(1)

〜(4)),次に速度の和として得られる表面無次元速度 の異なる表示から翼厚分布による誘導速度が RjagEIsファクタを考盧した形で得られることを示

した(式(5)〜(9))。

(2)翼厚分布による誘導速度を既知として,吹き出 し分布による誘導速度と翼厚勾配の級数展開から連 立方程式を組み立て(式(9)〜⑱), この解の反復法の 収束値として得られた翼厚勾配とその積分から翼厚 分布を決定した(式(9),⑱〜例)。

(3)翼形表面速度から定まる渦分布の値と,渦分布 の級数展開から第2の連立方程式を組み立て(式倒 伽),本来は積分方程式である反り曲線の勾配に対す る積分表示の2度の積分と連立方程式の解から反り 曲線を決定した(式卿〜伽)。

(4) 以上で決定された翼厚分布と反り曲線から,翼 形形状,反り分布および迎え角を算出し(式側〜側),

本翼形設計計算システムの最後の段階として, これ らを数値結果と共にコンピュータグラフィックスに より作図した。

本設計計算システムは2つの特徴を有しており,

その第1の特徴は,最初に与えられた圧力分布から 最終的に得られる翼形形状の作図までの一連の計算 が1つのプログラムで連続的に処理されることか ら,非常に効率のよいコンピュータ上の対話型の翼 形設計計算システムになっている。

第2の特徴は,本設計方法では一連の計算が解析 的に行われており,既存の特性解析理論の追加修正 により本来の目的であるせん断流,空洞現象,三次 元問題あるいはこれらの複合問題へ,数値計算によ

らず理論解析によって容易に拡張する事ができる。

6.計算システムのフロー

次に翼形表面上に圧力分布を与えて最終的に翼形 形状を決定するまでの設計計算システムをフローチ ャートで示す。 (図4)

式(9)による〃/Cbの計算を行う場合, リーケルス ファクタに含まれる翼厚匂配が未知であるので,第 零近似としてフローチャートに示す水滴形状を導入 し以下フローチャートに示すループについて反復計 算を行い,最終的にはその収束値の翼厚勾配を使用

した。

7.計算結果

本研究で提案している設計法は,翼形表面上に圧 力分布を与えて反り曲線と翼の厚み分布を求め,反 り曲線から反り分布と迎え角を分離して求める方法 をとっている。

図6は与えた圧力分布である。この圧力分布の特 徴は,翼背面の圧力係数が光/ノが0.1から0.5の間 で‑1.2で一定値をとるようにしている点である。こ のことは翼背面が一般に負圧のピークとなり, これ より空洞が発生することが多いため,一例としてこ れを回避する目的で一定値としたものである。 また 正面側も一定値を与えているが, これには特に意味 はなく実際の圧力分布が一定値に近いことから簡単 のため一定値を与えた。

図5は,図6で与えた圧力分布を有する翼形形状 を求めるために,本研究で提案している設計計算プ ログラムを用いてグラフイック上に翼形の厚み分 布,反り曲線および翼形形状を作図したものである。

これらの作図結果から,翼の前縁と後縁では厚み がなく後縁側では図5‑c)から明らかなようにわず かながら負の厚みが生じているなど,精度上に多少 の問題を残しているものと考えられる。 しかしなが ら次のことは言えるものと考えられる。すなわち図 6で与えた圧力分布を有する翼形形状は翼の後縁の 厚さが零に近いこと, また反りについてが図5‑b) から明らかなようにやや前縁側で大きく,後縁側で はほぼ直線的になっていることである。

表1には図5の具体的数値と得られた迎え角を示 してある。

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(8)

p

1.0

0.3 ーーー

1111

0 1

IO.1

0

0.5

IIIOOIllO0101010011110100010

01111000011001001011100010

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 x/1

‑1.0

−1., +−‐−‐

図6 与えられた圧力分布

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X 反り曲線 反り分布 厚み分布

66666666665555555555 00000000000123456789 ●●●●●●●●●● 0000000000

0.0486 0.0353 0.0088 0.0464 0.0643 0.0525 0.0088 0.0515 0. 1038 0. 1273

一一一一一

0.0005

0.0225 0.0753 0. 1216 0. 1481 0. 1450 0. 1100 0.0584 0.0148 0.0001

0.0004 0.0036 0.0357 0.0508 0.0592 0.0535 0.0416 0.0171 0.0061 0.0015

一一一

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