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野澤勝廣

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Academic year: 2021

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(1)

建築用軽量コンクリートブロック 高速度製造法の実験と設計資料

野澤勝廣

長崎大学教育学部工業技術教室 (昭和49年10月31受理)

Design and Experiment for High Speed Making Method of Light Concrete Block

by Katsuhiro NOZAWA

Technology Laboratory, Faculty of Education, Nagasaki University, Nagasaki.

(Received October 31, 1974)

Abstract

This paper is written some experimental results and date of design for high speed making method of light concrete block to use building material.

1緒言

建材界において,火山灰,炭ガラなどを使用した軽量空胴ブロックが多量に生産され,建築 材料として使用されている。この製造法は初期においては成形枠から出したブロックを自然養 生したが,最近はほとんどが12‑18時間の低圧蒸気養生法と7‑10日間の自然養生を併用し ている。これをさらに高速度化するために高圧蒸気養生法を用いると,自然養生法の28日圧縮 強度発現に対して約8時間でそれに匹敵する圧縮強度発現のあることが実験によって明らかに

」ォ・/*

これらについての一連の研究として高橋・蟻塚ら(1)(2)尾崎・村井(3).筆者(4)(5)(7)(8) (12) C13)がある。これらの研究から高圧蒸気養生法によると,ある最適条件で装置を運転する 必要があることが解明されてきた。しかし運転方法についての研究はほとんど見あたらない現 状である。

そこで本文では,高圧蒸気養生実験装置によるブロックの強度発現の特性,運転法の実験的 研究,高速度製造装置設計法について述べ,産業機械工学分野への技術発展の資料に寄与する ことを試みた。

(2)

2.高圧蒸気養生法によるブロックの圧縮強度発現の実験的検討

 ここでは,火山灰を骨材とし,砂,セメント,水の配合比はJ I S規格に従って実験を行 い,ブロックの圧縮強度については,高圧蒸気養生法と低圧蒸気養生法の比較検討を行った。

 2・1 実験装置  実験装置の概略について記すると,使用ボイラは圧力7Kg/cη2ゲー ジ,蒸気発生量定格50Kg/H:r,最大80Kg/H:r,重油だき自動調整燃焼装置付である。装置本体 はSS41鋼板を使用,内径70φπ那×長さ1000㎜の円筒型圧力容器で横型とし,ふたの取付は1 ボルト24本で止めたメクラフランジ型とした。ふたの気密はパルカシートパッキングを用い た。本体,ふたは50η舵厚さの岩綿を巻き亜鉛引鉄板でおさえた。配管部は短絡であるので裸管 のままもちいた。

 2・2 実験方法  コンクリートブロックの試料として,セメント・砂・骨材の配合比を J I S規格に合せ1:L2=2.5の割合に取り水分調整をしてねりまぜ,ブロックマシンにかけ て150㎜標準ブロックの試料を作った。実験装置内には最高8個までブロックが入れられるの で5個×5回計40個の試料を取り20個を圧縮強度試験用に残りを吸水性その他の試験用に用い た。同時に別に40個の試料については同様の配合条件で低圧蒸気養生を現場の操業中の工場で 行った。実験条件及び圧縮強度試験の結果を示したのが表1である。 この表中の試料番号A1

〜A20は高圧蒸気養生,L1〜L20は低圧蒸気養生を示す記号である。

表1高圧蒸気養生法と低圧蒸気養生法の圧縮強度

       (火山灰コンクリートブロック)

高圧蒸気養生法

取り出し後の圧縮強度晦/cη2

記号

A l A 2Aml

A 5 A 6 A 7Am2

A ll A 12Am3

A 15 A 16 A 17Am4

直後

39.82 47.00 44.70 38.46 39.31 41.02 39.60 63.20 64.95 64.09 68.37 64.10 68.37 66.80

記号 A 3 A 4 Am,1 A 8 A 9 A 10 Am,2 A 13 A 14 Am/3 A 18 A 19 A 20 Am,4

4週後

43.44 35.89 39.60 35.04 39.31 35.64 36.90 76,04 73.84 74.95 65.81 63.76 74.35 67.70

時前 間養 hr生

15 15

15 15 15

時蒸

hr生

低圧蒸気養生法

取り出し後の圧縮強度晦/cず

記号

L l L 2Lml

L 5 L 6 L 7Lm2

L ll L 12Lm3

L 15 L 16 L 17Lm4

直後

21.36 17.91 19.65 6.83 10.25 10.25 9.15 19.65 18.80 19.25 28.80 24.78 20.49 24.50

記号 L 3 L 4 Lm,1 L 8 L 9 L IO Lm 2 L 13 L 14 Lm/3 L 18

・L 19

L 20 Lm/4

4週後

33。33 42.74 38.00 35.89 34.18 35.89 35.40 53.85、

53.85 53.85.

54.70 52.79 50.42 52.50

時前 間養 hr生

2 2

15 15

15 15 15

時蒸

hr生

15 15

15 15 15

15 15

15

15

15

 2・5 実験結果と考察  表1にもとづいて,実験結果及びその考察をする。低圧蒸気養 生L1〜L20の前養生時間を全て15時聞とおいたIDは」これを5〜7時間取って蒸気養生して

も低圧の場合は強度発現が弱く,養生後に強くしごくと割れる程度である。15時間取ると表1 の結果に示すような強度となる。前養生時間2時間のものについて,高圧蒸気養生によるもの は低圧蒸気養生によるよりも早く硬化している。低圧蒸気養生の場合15時間蒸気養生終了後に おいて,自然養生の4週強度の半分にもいたっていない。 しかしその後27日問の自然養生によ

(3)

って高圧蒸気養生によるものとほぼ同じ圧縮強度をもつに至る。高圧蒸気養生による養生時間 5時間と7時間の比較では,この程度のデータでは,圧縮強度の実験値のバラツキが大きくて 明確にされていないが,大ざっぱな定性的傾向としてあまり大きな差異がないと推定される。

 高圧蒸気養生において,前養生時間15時間取り,その後に,蒸気養生を5時間行ったものと,

7時間行ったものについても同様に表1のデータからは圧縮強度の差異はあまりないと考察さ れる。しかし前養生時間2時間と15時間について比較すると明らかに前養生時間を15時間取っ た方が50%以上も高い圧縮強度発現のあることが考察される。

 前養生時間を15時間とした場合の高圧蒸気養生と低圧蒸気養生を比較すると,取り出し直後 においては,前者はすでに硬化が完了しているが,後者においては18〜28Kg/㎝2と平均23Kg/cが の圧縮強度発現しかない。 4週強度においては,前者は取り出し直後と変らないが, 後者は 52.5Kg/㎝2と取り出し直後より圧縮強度発現が進んでいる。このことは前者は取り出し直後で 成品として完成していることを示し後者はまだ完成していなかったことを示す。さらに前者の 強度発現は後者の4週強度より20〜30疹高い値を示している。このことは,高圧蒸気養生法が 従来のいずれの製造法よりも高速化された方法であり,圧縮強度発現においても増強され,場 合によっては従来のセメント配合比と同じ成品においてB種からC種,A種からB種への増強 が可能となった。これは従来のJ I S規格の配合では考えられなかったことでありセメント使 用量の節約になることである。

 蒸気圧力については筆者の実験は7Kg/cがである。そこでその他の圧力と養生時間と圧縮強 度の発現の定性的な効果を高橋(1)らの研究(セメントペーストを用い,高圧養生しその結果

 900

属800

出700

600

500

400

300

200

100

○早強セメント 普通セメント 中康熱セメント

1 20kg/cm2

        一一一一一10kg/cm2        『一一5kg/cm2

ポルトランドセメント

\ \0、

\・、

く\

ど一 、x\

\ \

b・

\ \

1234567891011

      時間hr

図1 蒸気圧力と養生時間の圧縮強度に

       IP

  およぼす効果(セメントペースト)

(4)

400

oq霞9

遡 300

  200

100

○早強セメント

20kg/cm2 ●普通セメント

△中康熱セメ ント

×ポルトランドセメント

10kg/㎝2

5kg/cm2

■  ,

/「

1 3 5 7 10

蒸気養生時間hr

(2)

図2モルタールの養生時間と圧縮強度

を図1に示した)から考察する。これによると蒸気圧力において10晦/cη2と20晦/㎝2では普通セ メントにおいては圧縮強度の発現にあまり差がなく,5〜10Kg/cがのあいだに最適圧力がある ことが考察される。 さらに高橋(2)らの研究でモルタールについて高圧蒸気養生の圧縮強度と 養生時間の関係を圧力をパラメータとして表わしたものが図2である。これによると養生時間 を10時間近く取ると圧力10Kg/cη2と20Kg/cη2のあいだの圧縮強度の発現についてあまり大きな 差異は認められない。これらのこ.とから考えて,コンクリートブロックの場合も養生時間を8

〜10時闇に取るのが適当であると考えられる。場合によってはB種強度25晦/㎝2以上の強度発 現ならば,3〜5時間養生時間を取り,これに予熱時間30分〜1時間と昇圧時間1.5〜2時間を 取ると,コンクリートブロックと蒸気の接する時間は6〜7時間となり十分な圧縮強度発現が あると推定される。以上の実験的研究から,高圧蒸気養生法によるコンクリートブロックの圧 縮強度の発現は低圧蒸気養生法に比較して同一セメント使用量によると20〜30%の強度の上昇 のあることが解明された。製造速度は低圧蒸気養生法の約20倍の高速化である。

5 高速度製造装置運転方法の検討  5・1 ドレン排出特性

 実験装置によって運転中におけるドレン排出量の変動に対する実験を行った。 その結果を 縦軸にドレン排出量, 横軸に経過時間を取ると図3に示す特性がある。図3から求めた蒸気 の最大供給速度は,立上りの5分間においては75晦/hr(ボイラは1〜3晦/㎝2では最大80Kg/hr の蒸発量がある)であるが,それを過ぎるとボイラの蒸発量に押えられる傾向がある。本実験 では昇圧時間を30分におさえた。予備実験において,蒸気供給弁を全開の状態で蒸気を送ると

(5)

壬1

80 70 60 50 40 30 20 10

00

実験終了点 ブロック内部残存水分

7.04kg

9.5kg

蒸気最大供給速度決定点

養生缶表面からの放熱損失

1.0 2.0 .3.0 4.0 5.0

時間hr

図3排出ドレン量特性

圧力は約5分で7Kg/cバとなる。しかし急激に圧力を上げたために,ブロックは全部にひび割 れが入った。本装置では30分以上かけてゆっくり昇圧するとひび割れが生じなかった。高圧蒸 気養生中のドレン流出速度は,昇庄30分におさえると約1時間で定常流出速度になる。そして

この時点でブロックの温度分布は一定になったと推察される。ブロックが一定温度になってか ら2時間後に急にドレン排出量が増加する。その理由は不明であるが,その変化量とブロック 内部にある余剰水分量とが同量であることが筆者の研究(6)でわかった。 これは反応に不要に なった水分で,それまでコンクリートブロックの硬化反応に使われていた熱が硬化反応完了と 同時に余剰水の方に吸収され内部の水分が蒸発拡散しコンクリートブロック外部に出てそれら の熱収支の関係から, ドレン排出速度に変化を与えたのではないかと推察される。正確には今 後の研究によるであろう。この現象も約30分続いて,ふたたび養生缶表面からの放熱量に相当 するドレンの排出が続いた。

 以上のことから高圧蒸気養生においては初期に予熱に必要な熱を与えることと,蒸気を送り 始めてから3時間後に若干の予熱が必要である。

 5・2 ブロック内部温度分布の推算

 コンクリートブロックB種150臓標準寸法の一断面を図4に示した。このように複雑な形の 温度分布を理論計算で求めることは不可能であるが,その形を単純化して概略の温度分布を求 めることによって温度上昇の概略の時間が推定出来る(8)(9)。図4のX−X断面は平板と考え,

Y−Y断面はP点を中心とする接円柱に考え,ジャーネ・ルーリェ線図(10),ハイスラー線図

(11)を使って温度分布の概略値を推算したのが図4図5である。図5の中心部とはP点を示す。

この計算は10Kg/㎝2180℃の蒸気を用いた時の計算で,7Kg/cがに比較することは出来ないが,

十分に蒸気が存在する時は1時間前後で温度上昇が完了することが推定出来る。これは安定し た装置の場合であって,実用装置の場合局部加熱を生ずる可能性があるので,これらを含めて 安全側を取るとすれば予熱昇圧に1.5〜2時間が適当である。以上のことがドレン排出特性か

ら考察される。

(6)

X

Y

15 30,

1年

ゆ伍良黛 憧Φ

 勾

鋤■

 1

P

26

x

Y

180

p150

100

50

0

13・分後のx ll−X亡

130分後のY−Y

、▽〆1 !

6分後のY[Y

6分後のX 、、  1,

 ¥  イ

  80       50 表面からの距離㎜

 図4 コンクリートブロック内部の       温度分布推算値

0

200

P

囑150

100

50

0

 ノ 声

1

 〆

〆』

!σノ1,・Q

△表面温度

○中心温度

0  0,5  1.0  1.5  2.0        経過時間hr 図5 ブロック表面および中心部の温度上昇

(7)

 5・5 養生缶設置基数の検討

 養生缶設置基数を1基と2基只上の場合について考える。 1基の場合は養生終了後缶の残在 蒸気を全部大気排出となる。 2基以上になるとこの排出蒸気を有効に使用することが出来る。

ボイラの運転は間渇的となる。4基の養生缶を設置しB種強度(25Kg/㎝2)のブロックを生産す る場合には,全行程8時間各缶1日3回サイクルを考える。図6に示した行程図は某工場の計 画案である。B種強度のコンクリートブロックは7〜10Kg/cがで恒圧蒸気養生時間は5時間で 十分であることが実験的に明らかになっているので, この場合の養生缶操作行程の8時間の内 訳を次のごとく決定する。

成形ブ白ックの養生缶への搬入 前缶からの排蒸気の移動 高圧蒸気の供給

恒圧養生

残存蒸気の次缶への移動 空冷及び搬出

計、

45分▼

30分 90分

240分

30分 45分

480分

 10   暮10 蔵o 煮10 へ 0出10

 0

第二缶

一坐」」__L_一」一一一自_

0 5 10

図6 養生缶伯三動冊声イクノレ糸泉図

15 20

経過鐸、墾間hr 24

 図6においては,第一缶のスタートから45分でブロックが搬入され,すぐ蒸気が送られ2時 間後に蒸気が止められる。すでにブロック搬入の終っている第二缶に蒸気が送られる。さらに 2時間後に第三缶,同様に第四缶に送る。そして第一缶のスタートから8時間45分後に第二缶 は養生が終りに近ずき,その時点で第二缶の排蒸気を第一缶に送り30分後に第四缶に送ってい たボイラの蒸気を第一缶に切換て送気する。第一缶がスタートしてから10時間45分後には第三 缶からの排蒸気を第二缶に送る。同様にして12時問45分後に第四缶の排蒸気を第三缶に送る。

この様に順次排蒸気を移動することによって排熱を有効に使うことが出来る。各缶のボイラ使 用時間を90分としたが120分として器連続運転も可能である。 以上のことから養生缶4基設置し 連続運転すると最適化作業サイクルが行えることが明らかとなった。

(8)

4 養生缶設計

 高速度製造装置本体である養生缶の設計の詳細については文献(12)(13)がある。 ここでは養 生缶設計の基本的事項の一部について述べる。

 4・1 ブロック充填率  ブロック充填率とは,養生缶空缶の全容積に対するブロック外 形寸法から計算したブロック全容積のしめる割合のことである,養生缶設計の時重要とな、って 来る。この値は種々の形について試算した結果」=0.13〜0.2の範囲である。 またこの計算に 使用したブロックは,100,150,19伽標準ブロックである。づ:ブロック充填率,y:養生缶内 容積,∂:ブロック1個の外形容積,%:ブロック個数とすると2−n∂/ V……(1)で表わされる。養 生缶有効長さL,養生缶内径PとするとL=πP2初∂/4……(2)でLは決定される。

 4・2 装置設計  養缶本体は圧力容器の設計のJ I S規格に従い,外壁は保温を行うが このさいに熱計算(13)によって缶内の圧力降下が1Kg/cη2以下となるように設計する。内壁は 耐アルカリライニングをほどこす。養生缶本体は横型とし両端にトビラ付自動開閉式の構造と

する。

5 あとがき

 高圧蒸気養生法によって,コンクリートブロックが,従来考えられない程の高速で出来る事 を実験的に明らかとした。運転方法は4基8時問1サイルが最も経済的である。しかし装置の 設備費と運転費から考えるとさらに最適化計算の必要がある。最後に設計上重要な充填率の決 定,有効長さの決定式を試算から導いた。

 本研究に多大の協力を受けた函館ドック㈱取締役・設計部長阿部俊視氏および苫小牧コンク リート㈱専務加藤氏に深く感謝する。

引 用 文 献

1)

2〉

3)

4)

5)

6)

7)

8)

9)

1Q)

11)

12)

13)

高橋・蟻塚:小野田研報11−42,(1959)

ibi(1:12−43, (1960)

尾崎・村井:土木学:会北海道技資20(1960)

野澤ら:コンクリートブロック101(昭41)

野澤:コンクリートブロック102(昭41)

ibid go(昭40)

ibid91 (昭40)

ibid86(昭39)

ibid87(昭39)

Gumey&Lurrie;Indust.Eng.Chem,15−15,(1923)

Heisler,Trans.ASME69,(1947)

野澤:コンクリートブロック82(昭39)

ibid83(昭39)

参照

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