巻頭言
福祉改革と専門職養成
学科主任
冨 永 雅 和
杜会福祉は思想であり制度であり実践である。人はみな「しあわせJ
でありたいと願っているが、病気もすれば事故に遭うこともある。一生 懸命生きているのに台風や地震のために一瞬にして生命の危険にさらさ れることもある。このような生活困難を助け合いたいし軽減したいとい うのが福祉の思想である。かつてヤングハズバンド女史が「福祉とは
"To be free to realize oneself"、すなわち自己を実現することにお いて自由で有り得るような生活環境を確保することである」と述べたこ とがあったが、今日の福祉は女史の期待に応えられているのであろうか。
本学に杜会福祉学科が新設されたのは阪神大震災の翌年であった。第 一期生は介護保険制度や社会福祉法の施行とともに福祉職として巣立っ ていった。杜会福祉改革とともに歩んできた学科である。いま、福祉関 係者は地方分権化のもとでおこなわれる三位一体改革の動きに注目して いる。国庫補助金負担金を削減し、地方交付税を改革し、税源が国から 地方へ移譲されることによって、社会福祉はどう変わるのか。日常生活 圏域(中学校区)を単位として地域密着型サービスを整えていくという 理念の具体化が眼前に迫ってきている。年金や医療など社会保障関係の 将来見通しや介護保険と支援費支給制度の関係など、税金・保険料・自 己負担のバランスも不安定な状況にあるのに。
このような時期にあって、本学も大学における社会福祉専門職員養成 のあり方を検討し直すことになった。いま、健康福祉の視点に立った新 学部構想がスタートしている。教職員、在学生、卒業生が一体となって 地域に根ざした学部づくりをしていかなければならない。この紀要が三 者一体の絆として成長していくことを祈念して。