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貨 幣,信 用 と 経 済 活 動

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貨 幣,信 用 と 経 済 活 動

Money,Credit,andEconomicActivity

男*

KunioKAMA

1.は じ め に

2.マ ク ロ デ ー タ の ケ ー ス 2.1流 通 速 度 の 推 移 2.2ス ペ ク トル 分 析

2.3因 果 性 テ ス ト 3.府 県 別 デ ー タ の ケ ー ス 4.需 要 関 数 の 安 定 性 5.む す び

1.は

今 日で は一 般 に 金 融 政 策 の最 終 的 目標 と し て,国 内 物 価 の 安 定,国 際 収 支 の 均 衡,完 全 雇 用 の維 持 な どが あ げ られ る.し か し これ ら の 目標 を 実 現 す べ く貸 出政 策 や 公 開 市 場 操 作 を 発 動 して も,所 期 の 目的 を 確 実 に,か つ タ イ ミソ グ よ く達 成 す る こ と は しば しば 困難 で あ る.こ れ は 政 策 手 段 か ら最 終 目標 に 至 る プ ロセ ス が 複 雑 で あ り,し か も政 策 効 果 の発 現 ま で に か な りの 時 間 が か か る た め で あ る.加 え て 最 終 目標 は金 融 政 策 以 外 の 要 因,た とえ ば サ プ ラ イ シ ョ ッ ク,か ら も影 響 を 受 け る.

こ う した 事 情 か ら,最 近 で は金 融 政 策 の運 営 を,政 策 手 段 → 操 作 変 数 → 中 聞 目標 → 最 終 目 標,と い つ くか の 段 階 に 分 け て 考 え る のが 普 通 で あ る.政 策 が 有 効 に 作 用 す るた め に は, 政 策 当 局 が 操 作 変 数 を 通 じて 中 間 目標 を 的 確 に コ ソ トmル し,中 間 目標 が 最 終 目標 に強 い 影 響 を 及 ぼ す と い う条 件 が 必 要 で あ る.こ

*本 研 究 は 「貨 幣 経 済 研 究 会 」 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト の一 部 と し て行 な わ れ た も の で あ る.研 究 会 メ ソ バ ー の方 々か らの 有 益 な コ メ ン トに 感 謝 し ます.

う した 条 件 を 満 た す もの と して マ ネ ーサ プ ラ イ,金 融 機 関 貸 出,市 場 金 利 な どが 考 え られ るが,現 在 最 も重 視 され て い るの は マ ネ ー サ プ ラ イで あ る.米 国 で は1975年 か ら先 行 き1 年 間 の 通 貨 ・信 用 の 目標 増 加 率 が 公 表 され る

よ うに な り,西 独,英,仏,ス イ ス で も1970 年 代 半 ば か らマ ネ ーサ プ ラ イ増 加 目標 値 の設 定,公 表 が 開 始 され て い る.わ が 国 で は1978 年 か ら 日銀 が1脇 十 α)増 加 率 の 「見 通 し」を 公 表 して い る,こ うした 動 き は第1次 石 油 シ ョ ッ ク前 後 の2け た イ ン フ レ とい う苦 い 経 験 か ら生 まれ た も の で あ るが,マ ネ タ リズ ム の 影 響 も見 逃 せ な い.と こ ろ が 最 近 に な って, 通 貨 集 計 量 に加 え て 信 用 集 計量 も中 間 目標 と

して 考 慮 す べ き で あ る と い う主 張 が 一 部 で み られ る(特 にB・ フ リー ドマ ソ〔5〕,〔6〕).こ う した 主 張 の背 景 に は,経 済 主 体 の 負 債 総 額 が 支 出 行 動 を 左 右 す る とい う ク レ ジ ッ ト ・パ ラ ダ イ ム の 考 え方 が あ る.信 用 の ア ベ イ ラ ビ リテ ィが 住 宅 建 設 や 消 費 支 出,投 資 需 要 を 介 して 実 体 経 済 活 動 に 重 要 な 影 響 を 及 ぼ す とい う見 方 で あ る.さ らに,金 融 革 新 に 伴 って ニ ア ー ・マ ネ ーが 族 生 して 貨 幣 の定 義 が 混 乱 し

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64季 て い る こ とや,貨 幣 需 要 関 数 の シ フ トで通 貨 と実 体 経 済 活 動 の安 定 的 関 係 が 崩 れ か か って い る こ とが こ う した 見 方 を 強 め て い る.現 在 ま で の と こ ろ 信 用 集 計 量 を 中 間 目標 と して 正 式 に採 用 して い る 国 は な い が,米 国 の 連 邦 準 備 銀 行 はX983年 か ら 国 内 非 金 融 部 門 負 債 (DomLesticNon‑‑FinancialDebt)の 増 加 率 見 通 しを 参 考 指 標 と して 公 表 して い る.一 方 わ が 国 で は,マ ネ ー サ プ ライ 重 視 政 策 に転 ず る 以 前,日 銀 は 伝 統 的 に 都 市 銀 行 の 貸 出量 を 最 も重 視 し て きた.こ れ は 一 種 の 信 用 重 視 政 策 で あ り3景 気 引締 め 策 と して非 常 に有 効 に 作 用 した.窓 口指 導 に よ る貸 出 規 制 が 有 効 に 機 能 した 理 由 と して,高 度 成 長 期 の 日本 企 業 は 」 ・R・ピ ッ クス の い う 「貸 越 経 済 」 の 状 況 に あ った こ とが あ げ られ る。 当 時 企 業 の設 備 投 資 意 欲 は きわ め て 旺 盛 で あ り,企 業 は こ の 旺 盛 な 設 備 投 資 を 社 内 留 保 や 減 価 償 却 金 だ け で は 賄 い きれ ず,銀 行 か らの借 入 れ に 頼 った.

一 方 市 中 銀 行 部 門 は恒 常 的 に 与 信 超 過 の 状 態 に あ り,資 金 不 足 を 日銀 か ら の借 入 れ で 補 っ た.こ うした 金 融 構 造 の下 で,窓 口指 導 と 目 銀 貸 出 の 変 更 は 直 ち に 企 業 の資 金調 達 能 力 を 左 右 し,設 備 投 資,ひ い て は経 済 活 動 全 体 に 強 い影 響 を 及 ぼ した.し か し第1次 石 油 シ ョ

ッ クを 契 機 に 「貸 越 経 済 」 か ら 「自律 経 済 」 へ の 移 行 が 進 ん だ.企 業 金 融 の面 で は 経 済 成 長 の 鈍 化 に 伴 って 企 業 の 設 備 投 資 意 欲 が 薄 れ,内 部 留 保 が 増 え た.ま た 高 度 成 長 期 の 設 備 投 資 額 が 大 きか っ た た め 償 却 費 も高 く,資 金 調 達 に 占 め る 内部 資 金 の 比 率 が上 昇 した.

企 業 に よ って は借 入 金 の 返 済 を 進 め る と ころ も あ り,全 体 と して 企 業 の 資 金 調 達 に 占 め る 借 入 金 の ウ ェー トが 大 幅 に 低 下 した.こ の た め,か つ て の 銀 行 貸 出 を 通 ず る政 策 運 営 は 次

集Vol・XVIII,No・3

第 に そ の 有 効 性 を 失 な いつ つ あ る.

以 上 の よ うな 金 融 構 造 の 変 化 も一 因 とな っ て マ ネ ーサ プ ラ イ重 視 の方 針 が と られ る よ う に な った 訳 で あ る が,今 後 の金 融 革 新 の 進 展 い か ん に よ って は再 び ク レジ ッ ト ・パ ラ ダ イ ム 的 な 考 え 方 が 強 ま る可 能 性 が あ る.

金 融 政 策 の 中 間 目標 と して 貨 幣 集 計 量 と信 用 集 計 量 の どち らを 採 用 した ら よい のか は す ぐれ て 実 証 的 な 問 題 で あ る.米 国 で はB・ ブ リー ドマ ンが 非 金 融 部 門 の 総 負 債(totalnet credit)に 関 して 一 連 の実 証 研 究 を 行 って い

る(B・Friedman〔4〕,〔5〕,〔6〕)・ そ れ に よ る と総 負 債 の 名 目GNPに 対 す る比 率 は 長 期 的 に高 度 に安 定 的 で あ り,各 種 の 貨 幣 集 計 量 に比 べ て 名 目GNPと の 相 関 も高 い ・ ま た 多 変 量 自己 回 帰 モ デ ル に基 づ く予 測 誤 差 の 分 散 分 解 に よる と,名 目GNPと 総 負 債 との 問 に は 後 者 か ら前 者 へ の 一 方 方 向 の 因 果 関 係 が 存 在 す る.以 上 の 結 果 か ら,中 間 目標 と し て 貨 幣 集 計 量 の 他 に 信 用 集 計 量 も重 視 す る こ とを フ リー ドマ ン は 強 調 して い る.米 国 につ い て は こ の 他 に も,デ ビ ッ ドソ ソeハ ー フ ァ ー〔2〕,マ ク ミリンeフ ァ クラー〔11〕,ス ミ ス〔13〕等 の研 究 が あ る.し か し変 数 の 定 義 や 対 象 期 間,分 析 手 法 な どが 異 な る た め,実 証 結 果 は 必 ず し も整 合 的 で は な い.日 本 につ い て は 古 川 〔10〕の 先 駆 的 研 究 が あ る.古 川 は 銀 行 貸 出,銀 行 信 用,広 義 信 用 集 計 量 と名 目 GNP,実 質GNP,GNPデ フ レー タ ー の 間 の 因 果 関 係 を シ ム ズ ・テ ス トの 手 法 を 用 い て 検 討 した.そ れ に よ る と銀 行 貨 出 は 名 目GNP を 一 方 的 にcauseす る が,名 目GNPと 行 信 用 お よび 広i義信 用 集 計 量 の 間 に は 両 方 向 の 因 果 関 係 が 存 在 す る.し た が っ て3つ の 信 用 指 標 の 中 で は銀 行 貸 出 が 中 間 目標 と して 最

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December1988釜 国 男:

も 適 し て い る.同 じ こ と は 実 質GNPや GNPデ フ レ ー タ ー に つ い て も い え る.さ に 銀 行 貸 出 と1匹+ODを 比 較 す る と,前 の 方 が 実 体 経 済 活 動 と の 関 係 は よ り密 接 で あ り中 問 目標 と し て ベ タ ー で あ る.つ ま り古 川 の 計 測 結 果 に よ る と,昭 和40年 代 以 降 に お い て も な お,ク レ ジ ッ ト ・パ ラ ダ イ ム 的 な 見 方 が 有 効 で あ る.自 律 経 済 的 要 素 が 強 ま りつ つ あ る 現 状 か ら す る と,こ れ は や や 意 外 な 結 果 で あ り再 検 討 を 要 す る.本 稿 の 目 的 は,古 と 同 じ 時 期 の 同 じ デ ー タ を 用 い て 別 の 角 度 か ら貨 幣,信 用 と経 済 活 動 の 関 係 を 実 証 的 に 検 討 す る こ と で あ る.

2.マ ク ロ デ ー タ の ケ ー ス

貨 幣,信 用 と経 済 活 動

最 初 に 本 節 で 使 用 す る デ ー タに つ い て 簡 単 に 説 明 し よ う.信 用 指 標 と して 用 い た の は 銀 行 貸 出(BL)と 広 義 信 用 量(z℃)の2つ あ る1>.銀 行 貸 出 のデ ー タ と して 日銀 『経 済 統 計 月 報 』,「マ ネ タ リー サ ー ベ イ」 の 民 間 向 け 貸 出 残 高(月 末 残 高 の3ヵ 月 平 均 値)を 使 用 した.広 義 信 用 量 は 日銀 『資 金 循 環 勘 定 応 用 表 』 の 国 内経 済 部 門 の 資 金 調 達 残 高(海 外 調 達 分 は除 く)で,年 末 残 高 と毎 四 半 期 の 調 達 額 か ら推 計 した.こ れ は 法 人 企 業 部 門,公 共 部 門,個 人 部 門 の3部 門 が 借 入 金 や 有 価 証 券 の 形 で 調 達 した 資 金 の 残 高 で あ る.貨 幣 指 標 と して は.M・ とMZ+CDの 月 末 残 高 の3 ヵ 月 平 均 値 を 使 用 した.実 体 経 済 活 動 の指 標 と して 用 い た の は 鉱 工 業 生 産 指 数 名 目GNP, 実 質GNP,総 合 卸 売 物 価 指 数,有 効 求 人 倍 率,の5つ で あ る(GNP以 外 は 月 次 系 列 の 1)古 川 は銀 行 貸 出 に 事 業 債 ・株 式 を 加 え た 民 間 向 け信 用 も 検 討 し てい る が,銀 行 貸 出 と量 的 に は 大 し て 変 わ らな い の で こ こで は 取 りあ げ な か った.

65

3ヵ 月 平 均 値)2>.な お 有 効 求 人 倍 率 以 外 は す べ て 季 節 調 整 値 で あ る.

2.1流 通 速 度 の 推 移 図1は 名 目GNPをM1,MZ+cz),BL,

TCで 割 っ た 値 で,貨 幣 と 信 用 の 所 得 流 通 速 度 を 表 わ し て い る.M・ の 流 通 速 度 は47年 後 循 環 変 動 を く り返 し な が ら 漸 増 傾 向 に あ る.対 照 的 に 広 義 信 用 量 の 流 通 速 度 は49年 後 半 か ら一 貫 し て 低 下 傾 向 に あ る.TCほ ど で は な い が,M2+CI)も50年 以 降 流 通 速 度 の 低 下 が み られ る.一 方 銀 行 貸 出 は53年 に 至 っ て 低 下 傾 向 に 転 じ て い る.か く し てM・ と そ の 他 の 変 数 で は 第1次 石 油 シ ョ ッ ク後 の 動 き に 差 異 が み られ る.比 較 の た め 変 動 係 数 を 計 算 す る と,M・=7.28,M・+CD=11.95,BL

=10 .70,TC‑19,15と な る.し た が っ て 一 番 安 定 し て い る の は.M1で あ り,広 義 信 用 量 と 名 目GNPの 関 係 が 最 も 不 安 定 で あ る.し た が っ て 流 通 速 度 の 安 定 性 を 基 準 とす れ ば, 信 用 量 よ りむ し ろ マ ネ ー サ プ ラ イ の 方 が 中 問

目標 と し て 優 れ て い る.

2.2ス ペ ク トル 分 析

最 近 経 済 学 の 分 野 で も応 用 され る よ うに な っ た ス ペ ク トル 分 析 法 は,2つ 以 上 の 時系 列 の 相 互 関 係 を 定 量 的 に 明 らか に す る の に 適 し て い る.本 節 で は ク ロス ス ペ ク トル 分 析 法 を 用 い て 貨 幣,信 用 と経 済 活 動 の 問 の 時 間 的 先 行 一 遅 行 関 係 お よび 相 関 関 係 を 調 べ る.以 下

2)デ ー タ の 出所 は 以 下 の通 りで あ る.名 目G NP,実 質GNP,鉱 工 業 生 産 指 数,総 合 卸 売 物 価 指 数 は東 洋 経 済r経 済 統 計 年 鑑 』 昭和63 年 版,有 効 求 人倍 率 は 同r経 済 変 動 指 標 総 覧 』 と 日銀r経 済 統 計 月報 』,M1とM2+CD は 同r経 済 統 計 年 報 』 各 号 に よ る.

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66 季刊 図1貨 幣 と信 用 の所 得 流通 速 度

Vol.XVIII,No.3

所得流通速度/年

5

4

3

2

1

ノ ・牌

v詳 \

。/曳

n

詩 岬 ぐ へ 〜 ♂

ル亀

w副 一一 一一 縢 メ 瓢

癖 轟 鯉   ㌦ 一 …  … … 一 一一̲ ̲顯 慧 黒量

̲

O

L」L」L̲」 一 」U一 一L̲」L」L」L」L」 一L」L」 一L」 昭404142434445464748495Q515253545556575859606!62年

(注)デ ー タ 期 間 は1t41と.!1/lz+CDは 昭40/1工 〜62/N,銀 行 貸 出 は42/1〜62/N,広 義 信 用 量 は40/II〜62/1で あ る 。

で は ク ロ ス ス ペ ク トル 分 析 を 簡 単 に 説 明 し た あ と,実 証 結 果 を 示 す こ と に す る3).

一 般 に2つ の 弱 定 常 確 率 過 程X, ,Ytが る と き,両 者 の 相 互 相 関 係 数Rxy(τ)の フ ー

リエ 変 換

Sxy(ω)=ΣR"(k)e一 ωし π≦ ω ≦ π

距 昌一 。。

を ク ロ ス ス ペ ク トル(crossspectrum)と う.クRス ス ペ ク トル は 複 素 数 で あ り

Sxy(cv)=K(ω)+ZQ(ω)

の 形 で 表 わ す こ と が で き る.実 部K(ω)は ス ペ ク ト ル(cospectrum),虚 部Q(ω)は

オ ド ラ チ ャ ス ペ ク トル(quadraturespectr‑

um)と よ ば れ る.コ ヒ ー レ ソ ス(coherence)

3)ス ペ ク トル 分 析 に っ い て は グ レ ン ジ ャ ー=

畠 中 〔7〕,ジ ェ ソ キ ソ ス=ワ ッ ト〔8〕,フ ッ シ マ ン 〔3〕 な ど を 参 照.

は 次 の よ う に 定 義 さ れ る.

Is'xyCw)1200乃(

ω)=・S

xx(w}Syy(w)

こ こ でSxx(ω),syy(ω)は そ れ ぞ れXt,Ytの ス ペ ク トル で あ る.コ ヒ ー レ ン ス は 周 波 数 ω に お い て 瓦 の 分 散 に 占 め るYzの 割 合 を 表 わ し,0と1の 間 の 値 を と る.位 相 角(phase) θ(ω)は

θ(ω)一!…儂1)

で 定 義 さ れ,角 周 波 数 ω に お け るXtと の 位 相 ず れ を 示 す.位 相 角 を ω で 割 っ た

z(cv)̲ e(w)

Ctl

は2つ の 変 数 の 間 の 時 間 遅 れ を 表 わ す.0≦

ω≦ π の 領 域 で θ(ω)が プ ラ ス の と き はXtは Ytに τ(ω)だ け 遅 れ,マ イ ナ ス の と き は τ(ω)だ け 先 行 す る.な お 現 実 の デ ー タ は ト

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December1988釜

レ ン ド要 因 を 含 む 場 合 が 多 い の で,そ の ま ま の 形 で は 使 え な い.こ の た め こ こ で は あ ら か じ め 変 数 の 自 然 対 数 値 を と り,前 年 同 期 と の 差 に 変 換 し た(た だ し 有 効 求 人 倍 率 は 伸 び 率 に 変 換 し な い).

図2.1〜 図2.5は,MZ+CI)と5つ の 経 済 活 動 指 標 と の コ ヒ ー レ ソ ス お よ び 位 相 角(正 確 に は τ(ω))を 示 し て い る(M1は 乃f2+CID

と 大 し て 変 わ ら な い の で 省 略).横 軸 に は 角 周 波 数 ω(単 位 は 角 度)を と っ て い る.周 数 は 周 期 と 逆 比 例 関 係 に あ る の で,周 波 数 が 大 き く な る に つ れ て 周 期 は 短 か く な り,周 数1800は 周 期2四 半 期 に 相 当 す る.以 下,各 図 に つ い て 特 徴 を 見 て い く こ と に し よ う.

図2.1に よ る と,鉱 工 業 生 産 と 砥+CDは 25〜40。,80〜1000,1800の 領 域 で 強 い 線 形 相 関 が み られ る.25〜40Qの 周 波 数 は 周 期2

〜3 .5年 に 相 当 し,在 庫 循 環 と 一 致 す る.位 相 角 も 複 雑 な パ タ ー ン を 示 し て い る がJコ

ー レ ソ ス の 高 い 領 域 で はM2十 α)が 鉱 工 業 生 産 に 先 行 し て い る.全 周 波 数 を 平 均 す る と 両 者 の 変 動 は 半 月 だ け ず れ て い る.

名 目GNPとMZ+CL)の コ ヒ ー レ ン ス(図 2.2)は,周 期3年 以 上 と5四 半 期 の 近 傍 で 強 い 相 関 を 示 し て い る.位 相 角 は100〜140。

を 除 い て マ イ ナ ス で あ り,全 体 的 にM2+CD が 名 目GNPを リ ー ド し て い る.た だ 周 期7

〜11ヵ 月 で は 名 目GNPが 先 行 し て お り ,こ れ は 日銀 の マ ネ タ リ ー ・ア コ モ デ ー シ ョ ン 政 策 を 反 映 して い る の か も し れ な い.低 周 波 (長 期 波 動)部 分 で は マ ネ ー が 先 行 す る こ とか ら,長 期 的 に は マ ネ ー サ プ ラ イ の 変 動 が 名 目 GNPに 強 い 影 響 を 及 ぼ す.

実 質GNPとMZ+CL)で は,コ ヒ ー レ ン ス は 高 周 波 よ りむ し ろ900以 下(周 期1年

国 男:貨 幣,信 用 と経 済 活 動 67

上)の 低 周 波 領 域 で 高 い(図2.3).こ の領 域 で は位 相 角 は プ ラス で 実 質GNPが 先 行 して お り,高 い相 関 は成 長 通 貨 の 供 給 を 反 映 して い る可 能 性 が あ る.95〜135。 で も実 質GNP の 先 行 性 が み られ る が,マ ネ ー と の相 関 は弱 い.

図2.4は,WPIとMz+CDの 関 係 を 示 し て い る.総 合 卸 売 物 価 指 数 は 輸 入 物 価 指 数を 含 ん で い る の で,こ の場 合 は 輸 入 物 価 を 含 む 三 変 量 の ス ペ ク トル を 推 定 した.こ こで 特 徴 的 な の は 周 波 数50。 以 下 でMZ+α)がWPI

に2期 以 上 先 行 し,コ ヒ ー レ ンス も高 い点 で あ る.周 波 数 全 体 を 平 均 して もマ ネ ーが 卸 売 物 価 に1四 半 期 先 行 して い る.マ ネ タ リズ ム の 理 論 か ら予 想 され る通 り,マ ネ ー サ プ ラ イ の 変 動 が 物 価 の変 動 に 大 き な 影 響 を 与 え て い

る の で あ る.

最 後 に有 効 求 人 倍 率 を み る と,コ ヒー レ ン ス は 全 体 的 に高 く周 期1年 で ピー クが 観 察 さ れ る(図2.5).時 間 的 関 係 で は 短 期 的 に は 有 効 求 人 倍 率 が マ ネ ー に 先 行 す る もの の,3期 以 上 の周 期 で は 逆 に マ ネ ー が 先 行 す る.

図2.6〜 図2.10は,銀 行 貸 出 の コ ヒ ー レ ン ス と位 相 角 を 示 して い る.鉱 工 業 生 産 で は 周 波 数85。と180。の 近 傍 で 高 い 相 関 が み ら れ る が,位 相 のず れ は ほ とん どな い(図2.6)。 相 角 の平 均 は0.47四 半 期 で,銀 行 貸 出 の 変 動

は 鉱 工 業 生 産 に1ヵ 月 強 遅 れ て い る.

名 目GNPに つ い て も周期1年 で コ ヒー レ ン ス の ピー クが 観 察 され るが,位 相 ず れ は 無 視 で き る(図2.7).140〜165。 お よび700以 下 (周 期5期 以 上)で は 位 相 角 は マ イ ナ ス で, 銀 行 貸 出 は 名 目GNPを リー ドし て い る.こ れ は 銀 行 貸 出 の 中 間 目標 と して の適 格 性 を サ

ポ ー トす る フ ァ イ ン デ ィ γ グで あ る.

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68季 実 質GNPの コ ヒ ー レ ソ ス は11四 半 期,4 四 半 期,お よ び2.4四 半 期 の 周 期 で ピ ー ク を 持 っ て い る(図2.8).M2+α)と 同 様,低 波 領 域 で は 銀 行 貸 出 の 遅 行 性 が み ら れ る.つ

ま り長 期 的 に は 銀 行 貸 出 も 実 質GNPの 動 き に 追 随 す る.

輸 入 物 価 を 考 慮 し た 場 合,銀 行 貸 出 と 卸 売 物 価 の コ ヒ ー レ ソ ス は 平 均0.19と 低 い(図 2.9).経 済 の 国 際 化 が 進 ん だ 今 日,日 本 の 物 価 は 輸 入 物 価 の 影 響 を 強 く受 け て お り,国 の マ ネ ー や ク レ ジ ッ トの 影 響 は 意 外 と 小 さ い の で あ る.

有 効 求 人 倍 率 の コ ヒ ー レ ソ ス は 周 期3.6四 半 期 以 上 で は 相 当 高 い(図2.10).こ の 領 域

で は 位 相 角 は お お む ね̀7イ ナ ス で,銀 行 貸 出 の 増 加 が 労 働 需 要 の 拡 大 を 通 じ て 求 人 倍 率 を 引 き 上 げ る メ カ ニ ズ ム が 窺 え る.

図2.11〜 図2.15は,広i義 信 用 量 と 経 済 活 動 の 関 係 を 表 わ し て い る.鉱 工 業 生 産 の コ ヒ ー レ ン ス は8.5〜17四 半 期 で0.5を こ え る が,こ の 周 期 で は 広 義 信 用 量 が 生 産 に 先 行 す る(図 2.11).高 周 波 領 域 の 一 部 で 生 産 が 先 行 す る が,信 用 量 と の 相 関 は 弱 い.

名 目GNPと 広 義 信 用 量 は 長 期 に な る ほ ど 相 関 が 高 く な る(図2.12).そ し て 低 周 波 領 域 で は 信 用 量 の 名 目GNPに 対 す る 先 行 性 が 認 め ら れ る.

実 質GNPの コ ヒ ー レ ン ス は3つ の 領 域 で ピ ー ク を 持 っ て お り,M2十CDの コ ヒ ー レ ソ ス に 似 て い る(図2.13).

卸 売 物 価 で は2ヵ 月 強 の 周 期 で コ ヒ ー レ ン ス が 高 くな る の が 特 徴 的 で あ る(図2.14).も

っ と も 位 相 ず れ が 大 き い の は 低 周 波 領 域 で あ り,長 期 的 に は 信 用 量 の 増 加 が 卸 売 物 価 の 上 昇 に 先 行 す る.

集Vo1.XVIII,No・3

最 後 に有 効 求 人 倍 率 の コ ヒー レソ ス もM2 +CZ)に 似 て い る が,平 均 値 を と る とマ ネ ー や 銀 行 貸 出 よ りも低 い(図2.15).

表1は,M1の ケ ー ス も含 め て コ ヒ ー レ ン ス と位 相 角 の 平 均 値 を ま とめ た もの で あ る.

鉱 工 業 生 産,名 目GNP,実 質GNPで は コ ヒ ー レ ソ ス は銀 行 貸 出 ,M2+CD,広i義 信 用 量, ,M・ の 順 に低 くな る.し か し卸 売 物 価 で は 広

i義信 用 量,有 効 求 人 倍 率 で はM2+CDが も大 きい.し た が って 生 産 活 動 と の 相 関 を 重 視 す る の で あ れ ぽ銀 行 貸 出 が 中 間 目標 と して ベ ス トで あ る.し か し な が ら銀 行 貸 出 は 卸 売 物 価 や 有 効 求 人 倍 率 との 相 関 で は 広 義 信 用 量 やMZ+CDに 劣 る.時 間 的 先 行一 遅 行 関 係 に つ い て み る と,鉱 工 業 生 産 を 除 い て マ ネ ー と ク レ ジ ッ トの 間 で 顕 著 な違 い は 認 め られ な い.興 味 あ る の は,実 質GNPは マ ネ ー と ク レ ジ ッ トの何 れ に対 し て も1〜1.5ヵ 月 先 行 し,鉱 工 業 生 産 も ク レジ ッ トに 対 して0.6〜

1.4ヵ 月 先 行 して い る 点 で あ る.こ の フ ァ イ ソデ ィ ソ グ は,金 融 的 要 因 とは 独 立 に実 質 生 産 水 準 が 決 ま り貨 幣 や 信 用 は 名 目値 を 決 定 す る に過 ぎ な い,と い う古 典 派 的 な マ ク ロ経 済 理 論 と一 脈 通 ず る もの が あ る.

表2は,デ ー タ期 間 を 昭 和51年 第1四 半 期 か ら62年 第4四 半 期(TCは62年 第1四 半 期)に 限 定 した と き の結 果 で あ る.表1に べ る とM・ と広 義 信 用 量 で は 求 人 倍 率 を 除 い て コ ヒ ー レ ソス が 増 大 して い る.対 照 的 に銀 行 貸 出 は 卸 売 物 価 を 除 き コ ヒー レ ソ ス が 低 下 し て い る.こ の こ と は銀 行 貸 出 を 通 ず る伝 統 的 な金 融 政 策 の有 効 性 が50年 代 に 入 って 低 下 して い る こ とを 示 唆 し て い る.求 人 倍 率 の コ ヒ ー レ ン ス は 一 様 に 低 下 して い るが,こ れ は 労 働 市 場 に お い て 需 給 以 外 の構 造 要 因 の 重 要

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4

3

2

1

a

一1

一2

一3

1988釜 国 男:貨 幣,信 用 と経 済 活 動

図2.111PとM2+CDの ゴ ヒー レ ン ス と位 相 角(1966/1〜 ユ987/IV)

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1

0

一2

3

m

405060708090100110120130140

周 波 数

図2.2名 目GNPとM2十CD(1966/II‑‑1987/N)

一5

0 10203040506070 8090ユ00

周 波 数

l 110ユ20!30140150160ユ70180

(8)

70

4

3

2

0

一1

一2

季 刊

図2.3実 質GNPとM2+CD(1966/II〜1987/IV)

Vol.XVI工1,No.3

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周 波 数

図2.4WPIとM2+CD〔 輸 入 物 価 〕(1966/1 ̄‑1987/N) 2

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010203040506070

8090].QOlIOユ2013014015016Qユ70180 周 波 数

(9)

December 2

0

一2

一3

一4

6

5

4

2

一1

1988釜 国 男:貨 幣,信 用 と経 済 活 動

0102030405064

図2.6

708090100ユ10120×30140150160170ユ80 周 波 数

llPとBL(1967/工 〜1987/N)

0!0203040

i‑一一「一 〒 「 一 「‑rTr‑T‑1

70180150!6050607080901001!0120×30140 周 波 数

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(10)

72

1

季 刊

図2.7名 目GNPとBし(1967/II〜1987/N)

Vol.XVIII,No.3

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一 一一'7

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一1

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〜4波数 .

図2.8実 質GNPとBし(1967/II〜1987/N)

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(11)

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一3

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一8

1988釜 国 男:貨 幣,信 用 と 経 済 活 動

図2.9WP【 とBし 〔輸 入 物 価 〕(!967/1〜1987/N)

01U203Q40506070809010C)

周 波 数

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73

図 乞 勧 有 効 求 人 倍 率 とBL(1967β 〜!987βy)

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一2

一3

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(12)

74

i111765432109]

季 刊

図2.llllPとTC(1966/1‑1987/1)

Vol.XVIII,No.3

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一2

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0 10 2a 30 405060708090100110!20130140150160170180 周 波 数 図212名 目GNPとTC(1966/II〜1987/1)

a 10 20 30 40 50 60rO 8090100

周 波 数

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(13)

December

6

1988釜 国 男:貨s信 用 と 経 済 活 動

図2.13実 質GNPとTC(1966/II‑1987/1)

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周 波 数

図2.t4WPIとTC〔 輸 入 物 価 〕(1966/1〜1987/1)

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一4

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周 波 数

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(14)

76 季刊 創 価 経 済 論 集 Vol.XVIII,No.3

図2.15有 効 求 人 倍 率 とTC(1966/1〜 ユ987/1) 2

O

一1

^2

一3

一4

周波数

表1ク ロ ス スペ ク トル 分 析 の結 果(全 期 間)

IIP 名 目GNP 実 質GNP WPIl求 人 倍 率

1

M1 0,227

(‑0.447)

0,247 (‑0.218)

0.王97 (0.5ユ5)

0.20!

(一一1.091)

0,446 (一一〇.838)

MZ+CD 0.30

(‑0.175)

0,334 (‑0.421)

0,285 (0.X33)

0,185 (‑1.101)

o.470 (‑0.603)

BL 0,402

(0.466)

0,391 (‑0.507)

0.30 (0.302)

0,185 (‑0.912)

0,422 (‑0.X93;

TC 0,231

0.197)

0,305 (‑0.585)

0,231 (0.450)

0,309 {一一一〇.811)

0,258 (‑0.512) (注)上 段 の 数 値 は コ ヒー レ ンス,()内 は位 相 角(単 位:四 半 期)の 平 均 値 で あ る。 プ ラス の 位 相

角 は 貨 幣 ・信 用 の 遅 行,マ イ ナ ス は 先 行 を 意 味 す る 。

(15)

December 1988釜 国 男:貨 幣,信 用 と経 済 活 動

表2ク ロ ス スペ ク トル 分 析 の結 果(昭 和51〜62年)

77

iIIP

名 目GNP 実質GNP WPI 求人倍率

I

M1 0,233

(‑0.339)

0,250 (0.062)

0,207 (‑0.230)

0,394 (一一1.863)

0,344 (‑2.628)

iiO

.314 M・+CDI(・

.185)

0,367 (‑0.293)

0.27!

(0.390)

o.si3 (‑1.084)

0,324 (‑0.228) BL

i

O,309 0.404)

0,263 (‑0.383)

0,285 (0.142)

a.z28 (‑1.525)

0,158 (0.321) TC

0,359 C‑0.109)

・・S C.024)

0,435 (0.3!3)

0,462 (‑0.509)

0,249 (‑2.126)

性 が 高 ま っ て い る こ と と関 連 が あ る の か も し れ な い.位 相 角 に つ い て は 系 統 的 な変 化 はみ られ な い が,M・ と広 義 信 用 量 の 求 人 倍 率 に 対 す る先 行 期 間 が 大 幅 に の び て い る の が 注 目 され る.

2.3因 果 性 テ ス ト

前 節 で は変 数 間 の相 関 関 係 と時 間 的 な 関 係 を 検 討 した が,本 節 で は 多 変 量 自己 回 帰 モ デ ル の 相 対 分 散 寄 与 率(RVC)に 基 づ い て 変 数 間 の 因 果 関 係 を 調 べ る4).こ うした 別 の ア ブ mチ を 併 用 す る の は,T・ サ ー ジ ェ ソ トが 指 摘 して い る よ うに5),変 数 間 の 時 間 的 先 行 一 遅 行 関 係 は グ レ ン ジ ャ ー の 因 果 関 係 と は ま っ た く無 関 係 だ か らで あ る6).

図3.1〜 図3.5は,分 散 分 解 の結 果 を 示 して い る.も と に な る 自己 回 帰 モ デ ル の 次 数 は3 次 で,推 定 期 間 は昭 和41年 第1四 半 期 〜62年 第4四 半 期 で あ る.こ こ で 簡 単 に 図 の見 方 を 説 明 して お こ う,図3.1は 鉱 工 業 生 産 の 分 散 分 解 で あ る が,た と え ばMZ+CDの 高 さ40

%は 次 のRVC表 の 一 部 を 示 して い る.

4)RVCと そ の 応 用 に つ い て は 拙 稿 〔9〕を 参 照 さ れ た い.

5)T.Sargent[12),PP・272^‑73.

6)グ レ ソ ジ ャ ー の 因 果 関 係 を 意 識 し て の こ と で は な い が,r一 ビ ソ 〔14〕も 貨 幣 と 経 済 活 動

の 時 間 的 先 行 関 係 か ら 両 者 の 因 果 関 係 を 判 断 す る こ と の 危 険 性 を 指 摘 し て い る.

鉱 工 業 生 産 のRVC

被説 明変数

変 数

M2+CD 1工P

M2+CD IIP

93 40

1

7 60 つ ま り,24期 先 の 鉱 工 業 生 産 の 予 測 誤 差 の 分 散 の う ち40%はMZ+CDのnoiseに よ っ て 説 明 さ れ る こ と を 意 味 し て い る.同 様 に ルf1, BL,TCの 高 さ は そ れ ぞ れ の 鉱 工 業 生 産 に 対 す る 寄 与 率 に 等 し い.な お 鉱 工 業 生 産 のMZ+

CDに 対 す る フ ィ ー ドバ ッ ク効 果(RVC7%) も存 在 す る が,)/Y寄 与 率 が 低 い の で 省 略 し た.

図3.1に よ る と 鉱 工 業 生 産 に 対 す る 寄 与 率 はMZ十CDが 最 も 高 く,M1のRVCは ネ グ

リ ジ ブ ル で あ る.先 の ス ペ ク トル 分 析 に よ る と.M・ は 鉱 工 業 生 産 の 先 行 系 列 で あ る が,因 果 関 係 と い う点 で は 両 者 は 互 い に 独 立 で あ

る.こ の こ と か ら も 変 数 間 の 時 間 的 先 行 一 遅 行 関 係 は 囚 果 関 係 と は 無 関 係 で あ る こ と が 了 解 で き る.

名 目GNPに 対 す る 寄 与 率 は,最 低 のMz で も46%で あ り,マ ネ ー も ク レ ジ ッ トも 名

目GNPをcauseし て い る(図3.2).な お, こ の 場 合 に はM、 を 除 き 名 目GNPか ら の 弱 い フ ィ ー ドバ ッ ク 効 果 が 認 め ら れ る.

(16)

7$

図3.1

(%) 50

40

30

20

!0

0

季 刊

多変 量 自己回 帰 モ デル に よ る分 散 分解 (鉱工 業 生産)

M2十 α)M1 BL TC

集Vo1.XVIII,No.3

図3.2多 変 量 自 己 回 帰 モ デ ル に よ る 分 散 分 解 (名 目GNP)

(°o)

80一

70一

so一

50一

4a

30一

20一

」.0

0

Mz十CDMi BL TC

図3.3

(%>

60

50

40

30

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10

多変 量 自 己回帰 モ デル に よ る分 散 分解 (実質GNP)

Mz十CDMi BL TC

図3.4

(/) 3Q

20

10

0

多変 量 自己回 帰 モ デル に よ る分 散分 解 (卸売物 価)

M2十CDM1 BL TC

(17)

December8ユ98釜 国 男:貨 幣,信 用 と 経 済 活 動

図3.5多 変 量 自 己 回 帰 モ デ ル に よ る 分 散 分 解 (有 効 求 人 倍 率)

(%)80

70

60

50

Y10

30

20

1Q

O

M2十C」D、 グ1BLTC

実 質GNPで はBLと7℃ の 寄 与 率 が 高 く,マ ネ ー の 説 明 力 はM2+CD33%,MI

7%と 小 さ い(図3.3).実 質GNPと の 因 果 関 係 を 重 視 す る 立 場 か ら は,M、 は 中 間 目標

と し て 失 格 で あ る.

卸 売 物 価 で はRVCは ど れ も30%以 下 で, ほ と ん ど差 が な い(図3.4).こ の よ うに マ ネ

ー や ク レ ジ ッ トの 寄 与 率 が 小 さ い の は,輸 物 価 の 寄 与 率 が 高 い か ら で あ る7).卸 売 物 価 に 関 し て は 説 明 力 が 少 さ い の で,そ も そ も タ ー ゲ ヅ トの 選 択 は 問 題 に な ら な い .

最 後 に 有 効 求 人 倍 率 で あ る が,M2+α)と ク レ ジ ヅ トの 寄 与 率 は ほ ぼ 等 し く,中 問 目標 と し て 優 劣 つ け が た い(図3.5).

総 合 比 較 と して 図3.1〜 図3.5のRVCを 計 す る と,M2+CD=236%,M・=140%,BL

=248%,TC=221%と な る.実 体 経 済 活 動 7)卸 売 物 価 と輸 入 物 価 を 分 散 分 解 す る と,前

者 に対 す る後 者 の寄 与 率 は50%%Lす る.

79

と の 囚 果 関 係 を 基 準 に す る と 結 局,順 位 は, (1)銀 行 貸 出,(2)MZ+CD,(3)広 義 信 用 量,④M1

と な る.既 に 第2節 で み た よ う に コ ヒ ー レ ン ス で み て も 順 位 は 同 じ で あ る.こ れ は ま た 古 川 〔10〕の 結 論 と も 一 致 す る.そ れ 故 自律 経 済 的 な 状 況 が 強 ま りつ つ あ る と は い え,銀 行 貸 出 は い ぜ ん 最 も 有 効 な 中 間 目標 と 言 え る.

3.府 県 別 デ ー タ の ケ ー ス

筆 者 は 本 誌 前 号 で府 県 別 の 貨 幣 需 要 関 数 を 分 析 した が,地 域 や 府 県 に よ っ て 貨 幣 需 要 の 性 質 は か な り異 な る こ とが 分 か った.そ こ で 本 節 で は 府 県単 位 の デ ー タを 用 い て 名 目所 得 と貨 幣 又 は 信 用 との 因 果 関 係 を調 べ る こ と に した.マ ネ ーサ プ ラ イ の デ ー タ と して 使 用 し た の は 日銀 『都 道 府 県 別 経 済 統 計 』 の 民 間 金 融 機 関 預 金 で あ り,ク レ ジ ッ トは 同統 計 の 民 間 貸 出 で あ る.所 得 は 県 内純 生 産 で 経 企 庁

『県 民 経 済 計 算 年 報 』 に よ る.推 定 期 間 は 昭 和41〜60年 度 で,自 己 回 帰 モ デ ル の 次 数 は2 次 で あ る.

表3は,沖 縄 を 除 く46都 道 府 県 に つ い て 相 対 分 散 寄 与 率 を 示 して い る.結 果 を 要 約 す る

と以 下 の よ うに な る.

① 青 森 ・山形 ・新 潟 ・鳥 取 ・島 根 ・福 岡 ・ 佐 賀 ・長 崎 ・熊 本 ・鹿 児 島 で は マ ネ ー サ プ ラ

イ と名 目純 生 産 は相 互 依 存 関 係 に あ る が,そ の 他 の 県 で は マ ネ ー は 外 生 変 数 とみ な す こ と が で き る.

② 北 海 道 ・青 森 ・岩 手 ・山 形 ・福 島 ・栃 木 ・ 福 井 ・滋 賀 ・鳥 取 ・岡 山 ・佐 賀 ・熊 本 ・宮 崎 ・ 鹿 児 島 で は 貸 出 と純 生 産 は フ ィー ドバ ッ ク関 係 に あ る が,そ の 他 の 県 で は貸 出 は 外 生 変 数 で あ る.

③ 生 産 に 対 す る 寄 与 率 を 比 較 す る と,35の

(18)

So 季刊 創 価 経 済 論 集 Vol.XVIII,No.3

表3貨 幣 ・信 用 と県 民 純 生 産 の 分 散 分 解 (単 位%)

MGM MAY Y←Y YAM CSC

i

COY Y←Y Y←C

北海道 99.6 0.4 8.0 92.0 63.7 36.3 45.1 54.9 57.7 42.3 49.7 50.3 52.7 47.3 67.1 32.9 84.7 15.3 27.1 72.9 53.9 46.1 68.4 3i.s

82.5 17.5 2ユ.4 99.2 0.8 7.2 92.8

::1 ユ2.0 32.5 67.5 95.9 4.1 22.0 1

70.o 30.0 47.0 53.0 40.3 59.7 7ユ.7 28.3 83.4 16.6 :1 73.0 27.0 43.7 56.3 a・ ユ.5 23.2 76.8 96.4 3.6 34.5 65.5

ユ4.2 32.4 67.6 78.9 2ユ.1 X1.9 58.ユ

99.5 0.5 26.8 73.2 14.ユ 5ユ.9 48.!

98.6 1.4 21.6 78.4 87.2 12.8 /・ 58.2 95.3 4.7 31.1 68.9 i・ 16.4 X3.7 56.3

82.7 17.3 39.3 60.7 86.9 13.1 45.1 54.9

神奈 川 93.8 6.2 36.2 63.8 98.8 1.2 54.2 45.8

76.7 23.3 34.2 8ユ.4 47.3 52.7 99.4 a.6 6.4 93.6 91.9 8.1 37.2 62.8 84.5 ユ5.5 29.3 70.7 87.7 12.3 28.7 71.3

福 井 84.7 ユ5.3 36.6 63.4 79.3 20.7 32.4 67.6

山 梨 90.2 9.8 44.7 55.3 89.2 ユ0.8 47.9 52.1

97.2 2.8 22.0 78.0 92.6 7.4 30.3 69.7

it' 19.2 32.7 67.3 84.7 15.3 56.0 II

92.1 7.9 21.4 78.6 95.2 4.8 32.3 6'7.7 99.6 0.4 29.5 70.5 97.9 2.1 49.4 50.6 (注)第 ユ,2列 は 貨 幣,3,4列 は 純 生 産 のRVCを 表 わ す 。 第5,6列 は 信 用,

県 で は マ ネ ー の 方 が 大 き く,貸 出 が 大 き い の は11県 に す ぎ な い.

④M→Yの 平 均 値 は68.5%,C→Yの 均 値 は58.1%で,マ ネ ー の寄 与 率 が 約10%ポ

イ ン ト高 い.

以 上 の計 測 結 果 に よる と,マ クRデ ー タの 場 合 と は逆 に 都 道 府 県 レベ ル で は 銀 行 貸 出 よ りむ し ろ マ ネ ー サ プ ライ の 方 が 所 得 と の 困 果 関 係 は 強 い.た だ し結 果 の 解 釈 に あ た っ て は 次 の点 に 留 意 す る 必 要 が あ る.第 一・に マ ネ ー の デ ー タは 主 と して 個 人 の 定 期 性 預 金 と法 人 企 業 の 当 座 性 預 金 か ら成 る 預 金 通 貨 で あ る の

に 対 して,、盈41やM2十 α)は 現 金 通 貨 も含 ん で い る 点 で あ る.第 二 に一・方 は 年 次 デ ー タ,他 方 は 四 半 期 デ ー タ と い う単 位 期 間 の違 い が あ る.第 三 に 府 県 間 に 存 在 す る経 済 規 模 の格 差 を 全 く無 視 して い る点 で あ る.こ う し た 点 を 考 慮 す る と,マ ネ ー と銀 行 貸 出 の名 目 所 得 に 対 す る寄 与 率 は府 県 レベ ル で は 実 際 に は 大 して 違 わ な い のか も しれ な い.

4.需 要 関 数 の 安 定 性

金 融 政 策 の 運 営 上 貨 幣 ま た は信 用 に 対 す る 需 要 関 数 の安 定 性 は,実 体 経 済 活 動 との 因 果

(19)

December1988釜 国 男:貨 幣,信 用 と経 済 活 動 81

i

iM←M

I

MAY Y←Y… Yく一M CSC CE‑YIY<‑Y Y←C

一 目

三 馴 97.6 2.4 ユ4.4 85.6 12.2 40.0 60.0

賀lg3・5

1 6.5 33.3166.7 76.9 23.1 47.1 52.9

1京 i大

94.4 189 .9

5.6 10.1

38.OI62.O I

30,869.2

99.3 90.5

0.7 9.5

43.6 43.0

56.4 57.0

99.21 0.8 29.5%70.5 97.3 2.7 36.5 63.5

99.0 ユ.0 15.0 85.0 95.2 4.8 28.5 7ユ.5

和 歌山 99.1 0.9 14.5 85.5 86.3 13.7 60.7 39.3

1

71.8 28.2 50.9 49.1 7!.1 28.9 30.9 69.1

73.7 26.3 61.4 93.9 6.1 12.6 87.4 96.4 3.6 36.9 63.1 72.9 27.1 58.7 41.3

92.2 7.8 38.5 61.5 96.4 3.6 32.4 67.6 94.3 5.7 31.9 68.ユ 85.1 14.9 56.工 43.9

徳 、 島 87.5 12.5 35.9 s4.i 96.0 4.0 19.2 :1t

99,210.8

13.工 86.9i 1 ユ3.0 41.9 58.1

媛1 ・ ・1 ,ユ 38.5 .5 16199.7 0.3 37.5 62.5

知i 89.5 ユ0.5 2ユ.0 79.0 99.3 0.7 12.7 87.3 75.7 24.3 53.7 46.3 95.6 4.4 29.4 70.6

57.9 42.1 63.2

si.a 39.0 64.2 35.S

74.4 25.6 50.6

49.4 :: 1!.9 5i.o 49.0

77.8 22.2 5z.a 48.0 70.o 30.0 44.3 35.7 95.6 4.4 ユ9.3 :/ 97.3 22.7 33.0 67.0 97.5 2.5 1 19.5 79.0 21.0 22.1 77.9

暁 児島 69.3 30.7 45.7 2.7 63.t 36.9 62.5 37.5

7,8列 は 純 生 産 のRVCで あ る 。

関 係 に 劣 らず 重 要 で あ る.こ の 点 を 理 論 的 に 検 討 した ベ ル ナ ソ ケ=ブ ライ ン ダー 〔1〕に よ る と,貨 幣 需 要 が 信 用 需 要 よ りも不 安 定 で あ る と き は,信 用 を タ ー ゲ ッ トとす る政 策 は 貨 幣 を タ ー ゲ ッ トとす る 政 策 よ りもベ タ ー で あ る.し た が っ て 中 問 目標 の選 択 は,需 要 関 数 の 安 定 性 に も依 存 す る の で あ る.そ こ で 本 節 で は マ ネ ー と ク レジ ッ トに 対 す る需 要 関 数 を 推 定 し,推 定 式 の 予 測 精 度 に 基 づ い て 関 数 の 安 定 性 を 比 較 す る こ とに した.先 ず 需 要 関 数 の 推 定 結 果 を 示 す と以 下 の 通 りで あ る.

〔1〕M・ 需 要 関 数

実 質 所 得,利 子 率,前 期 貨 幣 残 高 を 説 明 変 数 とす る ゴ ー ル ドフ ェル ト型 の 需 要 関 数 を 推 定 す る と

ln(PN)‐0.290+0.08991n(N)

(4.75)(1.70)

一 α ・6861nR+0 .9・Oln(MxPN) .、

(‑3.19)020.82) R2=0.991.,S.E=0.0180,D.W=2.00,

p=0.32

推 定 期 間=昭 和40/IH〜57/N

こ こ で,P:GNPデ フ レ ー タ ー,N:総 人 口,

参照

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