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夏期の無性増殖期における、ヨモギヒゲナガアブラムシの

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2019 年 2 月 8 日

夏期の無性増殖期における、ヨモギヒゲナガアブラムシの 色彩モルフのコロニー存続への効果の違い

環境資源学専攻 生物生態・体系学講座 動物生態学 村上 優花

1. はじめに

アブラムシの一部はアリと共生系を作ることが知られている。赤モルフと緑モルフの色彩 多型を示すヨモギヒゲナガアブラムシは,アリ随伴無しでは短期で絶滅する。アリ不在時には 赤モルフの増殖率が高いが,アリ随伴時には両者の増殖率に差がなくなり,1本のホスト上で 共存する。またアリは,赤モルフより高質の甘露を分泌する緑モルフへの随伴を好むが,短期 的な栄養利益を犠牲にしても通年両者を共存させる。アブラムシが適応度を得るには,5 月の 幹母出現から 10 月中旬の有性虫出現までコロニーが存続する必要がある。アリは緑モルフを より好み,夏期の無性増殖期には,緑モルフの高いアリ誘引力により存続しやすくなるだろう。

一方初秋の,ホストの花芽出芽直前から,アブラムシコロニーが急減する時期には,赤モルフ の多いコロニーのみが有性虫生産まで存続する。アリは定住性なので,翌年もそこにアブラム シコロニーが存在することで翌年の資源を確保出来るだろう。しかし,夏期の緑モルフの存続 効果は詳しく検証されていない。本研究では,春から夏期のアブラムシコロニーの存続に緑モ ルフが果たす役割を調査し,共生系の存続機構の解明を試みた。

2. 方法

2018 年 6 月~8 月まで,北海道大学獣医学部駐車場脇にあった,アブラムシのいたオオヨモ ギの地上部をランダムにサンプリングした。1 週間ごとに、各ヨモギ上のアブラムシとアリ の写真をデジタルカメラで撮影し,各サンプリング日の緑モルフと赤モルフ,随伴していたト ビイロケアリの数をカウントした。さらにオオヨモギの成長量の指標として,1本1本の地上 部の高さ(cm)と幅(mm)も計測した。

3. 結果

夏期のアブラムシの無性増殖期には、随伴アリ数が多いコロニーほど存続しやすく、コロ ニーの最成長期には、緑モルフの数のみが随伴アリ数に正の影響を及ぼす事が明らかとなっ た。さらにホストの成長期には、アブラムシの数はホストの成長量に依存することが示され た。

4. 考察

アブラムシコロニーは,初夏から無性的に有翅虫を生産し広範囲のオオヨモギに分散し赤モ

ルフと緑モルフが多くのホスト上で混在するようになる。つまり初夏から初秋までの無性増

殖期は,緑モルフがアリをより多く誘引することでコロニーの存続に貢献していることが明

らかとなった。先行研究の結果と合わせて,「アリが資源価値の違いにもかかわらず両モルフ

を共存させるのは、両モルフの能力の違いを利用し、来年以降の資源を確保しようとするた

めである」という仮説が支持され,生物多様性を伴う共生系の維持機構が明らかとなった。

参照

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