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第14回 新 潟 医療 福祉 学会 学術 集 会
地域看護学実習Ⅰ における
看護学生のス トレス対処能力 とス トレスの実態
新 潟 医 療 福 祉 大 学 看 護 学 科 ・稲 垣 千 文,小 山 歌 子
【目的 】
本 学 の 看 護 学 科3年 次 後 期 の 地 域 看 護 学 実 習1に 臨 む 学 生 の,ス トレ ス 対 処 能 力 と,ス トレス 内 容 及 び そ の 対 処 方 法 を 明 らか に す る こ と を 目的 とす る.
【方 法 】
1)研 究 対 象 者,地 域 看 護 学 実 習Ⅰ を 履 修 す る 看 護 学 科3 年 生,89名.2)調 査 時 期,方 法,① 実 習 前,実 習 終 了 後 質 問 紙 調 査 法 の 実 施.3)調 査 内 容,① 実 習 前,社 会 学 者 のAaron Antonovskyが 作 成 し,山 崎 喜 比 古 ら が 邦 訳 したSOC尺 度29 項 目版(以 下SOC尺 度 とす る)を 用 い ス トレ ス対 処 能 力SOC (以下SOCと す る)の 測 定1)2)3).② 実 習 後,変 化 を 測 定 す る た め,再 度SOCの 測 定 。 ③ 先 行 研 究 を基 に研 究 者 が 作 成 し た 調 査 票 で,実 習 中 の ス ト レス 内 容 の 順 位 を 問 い,理 由 と対 処 方 法 の 自 由 記 述.4)調 査 票 回 収 は 留 め 置 き 法.5)分 析 は 実 習 前 後 のSOCが 揃 っ て い る も の を対 象 に,① 実 習 前 後 のSOC 変 化 の 比 較,② 実 習 中 の ス トレ ス に 対 しSOCの 中央 値 で2群 に 分 け比 較,③ ス トレ ス の 理 由 と対 処 方 法 は,質 的 帰 納 的 に 分 析.6)本 研 究 は,本 大 学 の倫 理 審 査 で 承 認 を 受 け 実 施
【結 果 】
学 生36名 よ り回 答 を 得 た(有 効 回答 率40.4%).実 習 前 後 のSOCを 表‑1に 示 す.
SOCの 得 点 は,実 習 前 後 で 差 は な か っ た が,実 習 前 後 で 強 い 相 関(rs=0.8644,P<0.01)が み られ た.ま た,実 習 前 後 で SOCの 下位 尺 度 で あ る 処 理 可 能 感 が 実 習 後 に 低 下(Z=2.1209, P=0.0339)し て い る.(表‑2)
』 』
実 習 前 後 で,SOCを 中 央 値117で 分 け,高 位 群(117点 以 上 19名),低 位 群(116点 以 下17名)と し,SOC尺 度29項 目毎 に 検 討 した.SOC高 低 位 群 の 比 較 で,差 が あ っ た 項 目 は,実 習 前 は,有 意 味 感 を示 す2項 目(問14生 き て い て 良 か っ た と 感 じ る,問16毎 日 して い る こ と は 満 足 と喜 び を 与 え る)で あ っ た.実 習 後 は,有 意 味 感 を 示 す1項 目(問14生 き て い て 良 か っ た と感 じ る),把 握 可 能 感 を示 す1項 目(問21本 当 な ら 感 じた くな い よ う な感 情 を 抱 く)で あ っ た.(P〈0.001)
実 習 後SOCの 高 低 位 群 を 比 較 し 、 実 習 で ス トレス と感 じた 内 容(表‑3)の1位 は,高 位 群 「実 習 記 録:地 域 ア セ ス メ ン ト」
を,低 位 群 「人 間 関 係:実 習 メ ンバ ー 」 で あ っ た.
高 位 群 ス トレ ス1位 「実 習 記 録:地 域 ア セ ス メ ン ト」 の 理 由 は,"必 要 な デ ー タ が 見 つ か ら な い""地 域 ア セ ス メ ン トが 難 し い""ア セ ス メ ン トの 方 向 性 が 相 談 で き な か っ た""何 度 も 考 え 直 す 事 が 大 変"で あ り,対 処 方 法 は,〈 グ ル ー プ の み ん な で 協 力 ・分 担 し た 〉 〈グ ル ー プ で す る こ とで 勉 強 に な り、 ス
トレ ス も軽 減 す る と思 っ た 〉 で あ っ た.
一 方 低 位 群1位 「人 間 関係:グ ル ー プ メ ン バ ー 」 の ス ト レ ス の 理 由 は,"協 調 性 に 欠 け る グ ル ー プ メ ン バ ー の 存 在""リ ー ダー の 不 在"で あ り,対 処 方 法 は,〈 耐 え た 〉 〈協 調 性 の な い メ ン バ ー 抜 き で 協 力 し た 〉〈他 の 友 人 に 相 談 した 〉で あ っ た.
【考 察 】
実 習 前 後 で の 学 生 のSOCの 高 低 の 差 は 、有 意 味 感 の 中 で も,
「自分 は 生 き て い て よ か っ た と感 じ る事 」 で あ っ た.こ の 感 覚 は 、 基 本 的 信 頼 感 と関 係 す る と 考 え られ る.SOCは 生 育 歴 と関 連 す る と い われ て お り3),SOC低 位 の 学 生 は,こ の 感 覚 を 得 る為 の 刺 激 を あ ま り受 け 取 らな か っ た 可 能 性 が 考 え られ る.
SOC低 位 群 は,人 間 関 係 の う ち 実 習 メ ン バ ー を ス ト レス と して い た.地 域 看 護 学 実 習 は,実 習 メ ン バ ー で 協 力 して 取 り 組 む 内 容 が 多 く あ る.SOC低 位 群 は,実 習 を メ ンバ ー 全 員 で 取 り組 む こ と が 出 来 ず,ま た 、 情 緒 的 対 処 が 多 く と られ て い た こ とな どが ス トレ ス に っ な が っ た と考 え られ る.ま た 、SOC は ス ト レス に 対 処 す る 資 源(汎 抵 抗 資 源)の 動 員 力 を 表 す と 言 わ れ て い る3).こ の こ と か ら も,SOC低 位 群 の 学 生 は,他 に 援 助 を 求 め る こ と,援 助 を 活 用 す る こ とが 苦 手 で あ り,実 習
中 に教 員 が 更 に 援 助 を す る 必 要 が あ る こ と が 示 唆 され た.
【結 論 】
1.実 習 前 後 で はSOCに 変 化 は な か っ た が,実 習 に よ っ て 処 理 可 能 感 が 低 下 した.
2.ス トレ ス の 実 態 は,SOC高 位 群 は 地 域 ア セ ス メ ン ト,低 位 群 は,実 習 メ ン バ ー で あ っ た 。
3.ス トレ ス 対 処 方 法 は,SOC高 位 群 は 汎 抵 抗 資 源 の 動 員 、低 位 群 で は 、 情 緒 的 対 処 で あ っ た.
【文 献 】
1)アーロン ・アン トノフスキー著w崎 喜比古 ・吉井清子監訳:健 康の謎を解 く ス トレス対処 と健康保持のメカニズム.株 式会社有信堂高文社2010.
2)山 崎喜比古:健 康への新 しい見方を理論化 した健康生成論 と健康補助能力概 念SOC.QualityNursingVol.5(10)1999.81‑83.
3)山 崎喜比古 戸ヶ里泰里 坂野純子編:ス トレス対処能力 第2版 株式会 社有信堂高文社2012.