スーダン・サバンナ農耕民ランバ族の食物をめぐる 技術体系
著者 武田 淳
雑誌名 国立民族学博物館研究報告別冊
巻 012
ページ 627‑677
発行年 1990‑03‑30
その他のタイトル The Food‑Procurement Technology of the Lamba in the Sudan Savanna: With Special Reference to their Consumption
URL http://doi.org/10.15021/00003646
武 田 ス ー ダ ン ・サバ ン ナ農 耕 民 ラン バ 族 の食 物 を め ぐる技 術 体 系
ス0ダ ン ・サ バ ンナ農耕 民 ラン バ族 の 食 物 を め ぐる技 術 体 系
武 田 淳*
1. は じめ に 1)調 査地 の概 要 2)調 査方 法 2.農 耕 1) ソル ガ ム 2) フ オニ オ 3) トウジ ンビエ と米 4) トウ モ ロ コ シ
5)ヤ ム イ モ類 と その 他 の 塊根 類
6) そ の他 の食 用 作 物 7) ワタ
3.採 集 4.狩 猟 と漁 携 5.家 畜 の飼 養 ・管 理 6.消 費
7.お わ り に一 生 業 維 持 活 動 に み るサバ ン ナ農 耕 民 の適 応 戦 略
1.は じ め に
サ ハ ラ砂 漠 以 南 の 西 ア フ リカ に お い て は,乾 燥 度 の 最 も厳 し い サ ハ ラ 砂 漠 と最 も 多 湿 な ギ ニ ア 湾 と の 間 に,降 雨 量 の 少 な い 方 か ら順 に,サ ハ ラ南 縁 部 の サ ヘ ル(ア ラ ビ ア 語 で"境 界"を 意 味 す る 半 砂 漠 地 帯),ス ー ダ ン ・サ バ ン ナ,ギ ニ ア ・サ バ ン ナ(ナ イ ジ ェ リ ア で は ミ ドル ・ベ ル トと 呼 ば れ て い る サ バ ン ナ と 森 林 の 遷 移 帯;ecotone) シ ェ ラ ・ レオ ネ か ら ギ ニ ア 湾 沿 い に 中 央 ア フ リカ ま で 続 く熱 帯 降 雨 林 と い う,そ れ ぞ れ 様 相 を 異 に す る植 生 帯 が 重 な り合 う よ うに 発 達 し て い る(表1)。 し か し,ト ー ゴ と ベ ナ ン(旧 ダ ホ メ ー)で は,サ バ ン ナ が 北 方 か ら割 り込 む よ う に 南 に 伸 び て い る た め に,熱 帯 降 雨 林 が 途 切 れ,"ダ ホ メ ー ・ギ ャ ップ"と 呼 ば れ て い る 。 エ ン マ ー コ ム ギ や オ オ ム ギ を 主 食 に して い た 古 代 エ ジ プ ト文 明 と は 独 立 して,西 ア フ リカ で は,こ こ を 原 産 と す る穀 類 塊 根 類,マ メ類,油 料 作 物(ア ブ ラ ヤ シ や ゴ マ 類)な ど の 食 用 作 物 が 開 発 さ れ,独 自 の 栽 培 ・農 耕 文 化 が 生 ま れ た 。
乾 期 の 長 さ が7. 5カ 月 か ら10カ 月 と 長 期 間 に わ た る た め に,オ ア シ ス 農 耕 と牧 畜 が 主 要 な 生 業 と な っ て い る サ ヘ ル を 除 け ば,そ れ 以 南 で は,伝 統 的 な 天 水 農 耕 が 見 ら れ
*琉 球大学医学部
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表1西 ア フ リ カ に お け る 植 生
乾期 の長さ 植 生
ゾ ー ン (年間降雨量) 主な農耕 ・生業形態
草本(下生 え)の高 さ 樹 間 距 離 主 要 な 樹 種*1
Sahcl 7.5‑10.0 OaSiS agriCUItUre singly, sparse Eψ ・γわfα∫蜘 珈,cα γα〃襯 αぬ'zゴ8疏
(く600mm) pastoralism ∠44診πfπηoδ6∫z6ηz,1iana(.乙 ψ'α4診〃毎 乃α5'ὰα,
長)odland cultivation C∫55麗59幌 αげγαη9麗」αγ∫5),geophytes(し を9∫ηθα
α1'ゴ∬'ηzα,∠410θSPP.)
Sudan savanna 5.0‑7.5*2 rainfall agriculture 1.0‑1.5m 8‑15m 1霊読zπ50π∫α4恕 髭α'α(baobab), Bε4リア70ψ87η昭 鑓
zone
(500‑1000mm) (rotational bush (singly, sparse) ρα幽(karit6), Pα プ伽 ゐfg1・6・∫α(ner6),亀llOW:cerealS 勿 ψ ツ705η26ψ π蜘7駕'5,乃 η3αガη画 ∫ゴη漉̀α
dominant)
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ψ ゴ̀αηα,福 の ノ'6ηπ5∫8麗9α」θ∫ゴ5 昌 herbs:∠4ガ5'ゴ4α ん6κたゴη9露, C々̀07げ5ρ∫105α C'8ηfπη3sp., Loπ4診彦∫αsp.,地 彪クαγ涜8η∫αsp・
Guinea savanna 2.5‑5.0 rainfall agriCultUre 1.5‑3,0m 6‑15m Aη098ε55π5♂θ∫06αψ π5,1)α η盛θ̀'2αo'勿θ7∫,C8必 α
zone
(1000‑1750mm) (rotational bush (丘re‑resistant) ρ8η如η4ナα 一魚llOW=CerealS
grasses:琢 勲 α7伽 ∫αspP.,島 ηπi∫8㈱spP・, dominant)
夢 1短ψ67α'αワ」伽〃 ゴ6α ・
,
Tropical rain 毎 月100mm rainfall agriculture dense, fUll of
ノレfπ5α229α σθ̀7qρ ε0εd珍 ∫,∠4π 蕗α7ゼ∫ ψ ゴ̀α πα, etc・
{brest 以 上*3 (rotational bush many speCles●
伍110w:roots
dominant)
*1ト ー ゴ 国 内 の 植 生 帯 の 分 類 と そ れ ぞ れ の ゾ ー ン の 構 成 樹 種 に つ い て は[BRUNEL, et al・1984]に 詳 しい 。
*2年 間 降 水 量 の 変 動
,年 平 均 気 温 の 幅 がGuinea zoneよ り著 しい 。
*3熱 帯 降 雨 林 の 形 成 条 件 と して,①100mmを 越 え る 月 が6カ 月 以 上 。 ②25 mm以 下 の 月 が2〜3ヵ 月 を 越 え な い 。
武 田 ス ーダ ン ・サバ ン ナ農 耕 民 ランバ 族 の 食物 を め ぐる技 術 体 系
る。 大 西 洋 岸 か ら チ ャ ド湖 に 至 る東 西0,500km,南 北 約1,000 kmに も 及 ぶ 広 大 な サ バ ン ナ は 古 来t"黒 い 人 々 の 国"を 意 味 す る ス ー ダ ン と 呼 ば れ,ニ ジ ェ ー ル 川 の 大 湾 曲 部 の イ ン ラ ン ド ・デ ル タ に で き た 氾 濫 原 を 利 用 して 裁 培 さ れ る グ ラ ベ リマ 稲,ハ ン ガ ー ・ラ イ ス と 呼 ば れ る メ ヒ シバ 属 の フ ォ ニ オ,最 も 乾 燥 した 地 帯 で も生 育 可 能 な ト ゥ ジ ン ビ エ,ギ ニ ア ・コ ー ン と も呼 ば れ る ソル ガ ム な ど の 雑 穀 類 が 紀 元 前 に 作 物 と し て 確 立 さ れ て 栽 培 さ れ て い た 。 一 方,熱 帯 降 雨 林 の 北 縁 部 や ギ ニ ア ・サ バ ン ナ の よ う な よ り 湿 潤 な 地 域 で は,ホ ワ イ ト ・ギ ニ ア ・ヤ ム や イ エ ロ ー ・ギ ニ ア ・ヤ ム な ど の 西 ア フ リカ 固 有 の ヤ ム イ モ 類 の 栽 培 も,紀 元 前 に は す で に 作 物 と して 開 発 さ れ て い た 。 生 存 上 の 栄 養 学 的 な 戦 略 か らす れ ば,乾 燥 重 量 で10 ーo強 と い う豊 富 な 蛋 白 を も つ ソ ル ガ ム や そ の 他 の 穀 類 を 主 食 に して い る サ バ ン ナ 帯 の 農 耕 民 の 方 が,塊 根 類(と く に キ ャ ッ サ バ)に 摂 取 カ ロ リー の ほ と ん ど を 依 存 して い る た め に 身 近 な 病 気 で あ る ク ワ シ オ ル コ ー ル1)(蛋 白 質 欠 乏 症)に か か り や す い 農 耕 民 よ り有 利 で あ る。0方,雑 穀 類 に 依 存 す る農 耕 民 は ハ タ オ ド リの 仲 間 で あ る コ ウ ヨ ウ チ ョ ウ(Sudan dioch)な ど の 鳥 害,時 期 的 に 大 発 生 す る サ バ ク ト ビ バ ッタ2)な ど の 虫 害,降 雨 が 不 安 定 な た め に 起 こ る 予 期 せ ぬ 干 ば つ な ど の 被 害 を 受 け や す い 。 さ ら に,サ バ ン ナ 帯 で は 収 穫 が 気 象 条 件(と くに 降 雨 量)の 影 響 を 受 け や す い た め に,プ レ ・ハ0ベ ス ト ・ハ ン ガ ー(収 穫 前 に 食 料 の ス ト ッ ク が 底 を つ く こ と に 起 因 す る 飢 餓)や ハ ン ガ ー ・マ ン ス と い う有 期 限 な 飢 餓[ANNEGERs 1973a,1973b]に 見 舞 わ れ る危 険 性 も 高 く,と く に 端 境 期 に お け る マ ラ ス ム ス1)(消 耗 症)の 多 発 が 指 摘 さ れ て い る 。
筆 者 は1980年11月 か ら1981年2月 ま で と,1982年10月 か ら1983年3月 初 旬 ま で の 間,ト ー ゴ 共 和 国 カ ラ 地 方 ニ ャ ム ト ゥ グ ー 郡 カ ジ ャ ラ(Kadjala)村 か ら西 に お よ そ 4 km離 れ た 集 落 で の 現 地 調 査 を 行 っ た(図1)。 こ の 調 査 を 通 して 得 ら れ た 資 料 に 基 1)栄 養 失 調(malnutrition)は 大 き く,① タ ンパ ク質 エ ネル ギ ー栄 養 失 調 くProtein‑Energy Ma1‑
nutrition:PEMと 略 され る こと が多 い),② ビタ ミ ン欠 乏,③ ミネ ラル欠 乏 に分 類 で き る。
PEMに つ いて は,特 に タ ンパ ク質 が 不足 す る場合 と,全 体 的 に熱 源 の総 摂 取 量 が 不足 す る栄 養 失 調 が あ る。 前者 に よ って あ らわ れ る症 状 が クワ シ オル コー ル 「赤 い 髪 の毛 を もつ 少 年 を 意 味す るガ ー ナ語[OWEN l973]」 と呼 ばれ,後 者 の場 合 に は マ ラス ムス と呼ば れ る 。 これ らは 特 に 開発 途 上 国 の幼 児 に多 くみ られ る 。 マ ラス ム ス は1歳 以 内 に よ くみ られ る。粗 野 な授 乳, 経 済性 か ら くる希釈 乳 によ る飢 餓 状 態 で,総 熱 量 不足 のた め に お こ る。特 有 な 症 状 と して は, モ ンキ ー フ ェ イス(サ ル 状)の 顔,や せ 細 った 手足,あ ば ら骨 が顕 著 に な る反 面,腹 が膨 れ て い る。一 方,1〜4,5歳 ま で にみ られ る ク ワ シオ コール の 場合,第2子 の誕 生 に よ り,親 の 目が十 分 に行 き届 かず,ま た澱 粉 質 の多 い家 庭 食 を与 え られ,タ ンパ ク質 欠 乏 とな って い く。
ムー ンフ ェイ ス(満 月 状)の 顔 に は生彩 がな く,そ れ ほ どみ られ ない 頭 髪,出 張 った腹,手 足 の 浮腫 と皮 膚 炎 が主 な特 徴 で あ る 。
2)異 常発 生 や,一 時 的 に大 量 発生 す る砂 漠 イ ナ ゴ(,Schistocerca g7θg傭α)や移 動 イ ナ ゴ(Locusta migratoria)さ らに は,バ ッタの エ ダ レウス(Oedaleus senegalensis)など の虫 害 や ス ー ダ ン ・デ ィ オ ッチ と 呼 ばれ る ハ タ オ ド リ科 の コ ウ ヨ ウチ ョウ((〜uelea quelea)(Sudan dioch)は 穀 類 を 主 な 作 物 と して い る農耕 民 に大 きな被 害 を もた らす 。
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国立民族学博物館研究報告別冊 12号 つ い て,本 報 で は植 生 の 改変 が激 しいス ー ダ ン ・サ バ ンナ帯 に お け る農 耕 民 の生 存 の ため の適 応 戦 略 を,ラ ンバ族 の食 物 獲 得活 動 と その 消 費活 動 にみ られ る諸技 術 とそ の 分 析 を通 して 探 って み た 。
図1調 査 地
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武 田 ス ーダ ン ・サバ ン ナ農 耕 民 ラ ンバ 族 の食 物 を め ぐ る技 術 体 系
1)調 査 地 の 概 要
ラ ン バ 族 は 北 部 トー ゴ の カ ラ(Kara)州 ニ ャ ム ト ゥ グ ー(Niamtougou)郡 及 び カ ン テ(Kante)郡 に か け て 住 ん で お り,お よ そ7万 人 の 人 口 が,北 部 トー ゴ か ら ベ ナ ン に 連 な る ア タ コ ラ(Atakora)山 系 の 一 部 に 分 布 して い る 。 パ フ ィ ロ(Bafilo)地 区 を
1‑a.(物 お き) 1‑b.(家 父 長 の 部 屋) 1‑c.(Kwalanbala用 の 部 屋) 2. "tilon" (物 お き)
3."tilon" (第1,第4夫 人 と 子 供 達 の 部 屋) 4."buyon"(少 年 の 部 屋 と 物 お き)
5. "buyon"(物 お き) 6."chugun"(炊 事 小 屋) 7."chugun"(粉 ひ き 小 屋) 8."hinbuyon"(羊 小 屋)
9."falu" (第3夫 人 と そ の 子 供 達 の 部 屋)
10."chugun" (炊 事 小 屋)
ll."tion" (祖 母 と 少 年 達 の 部 屋) 12."buyon" (上 は 穀 倉,下 は ト リ小 屋) 13."buyon" (物 お き)
14."buyon" (穀 倉) 15."buyon" (穀 倉) 16."buyon" (穀 倉) 17."buyon" (ハ ト小 屋) 18."buyon" (穀 倉)
19."kach61a" (高 床 式 の 穀 倉) 20. kach61a" (li Ei5 Feの 靱 含 、
図2Ketowa家 の 屋 敷 囲 い
631
国立民族学博物館研究報告別冊 12号
除 け ば,海 抜200〜250mの 一 般 に 起 状 の 乏 し い 土 地 で あ る(図1).ラ ン バ 族 の 居 住 地 に は,半 農 半 牧 の 定 着 フ ル ベ 族,カ ブ レ族,ロ ッ ソ族,バ サ リ族,コ ン コ ン バ 族
も少 数 な が ら混 住 して い る 。
家 父 長 を 中 心 と し た ラ ンバ 族 の 家 族 が 住 む 屋 敷 囲 い(コ ンパ ウ ン ド)は 泥 の 壁 で 連 な り,た い て い は 西 側 に 開 い た 入 口 を 一 つ も っ て い る(図2)。 伝 統 的 な 家 屋 の 形 態 と して は,円 筒 形 の 壁 に 草 で 編 ん だ 円 錐 形 の 屋 根 を た て か け た もの で あ る が,方 形 の 壁 の 家 屋 も 見 ら れ る。 人 口 が 集 中 して い る所 で は,屋 根 は 草 に 代 わ って,市 販 の ト汐 ン 屋 根 が 最 近,使 わ れ る よ う に な っ た 。 コ ン パ ウ ン ド間 の 距 離 は 数mか らlkm程 離 れ た 散 居 形 態 を と っ て い る 。 村 長(chcf de canton)が す む カ ジ ャ ラ ガ〉ら 西 へ4km ほ ど 離 れ た 所 に 居 を 構 え て い る ケ トワ(Ketowa)家 の 家 族 構i成 を 図3に 示 す 。 5月 か ら始 ま り10月 ま で 続 く雨 期 に は ギ ニ ア ・モ ン ス ー ン が も た らす 雨 は 大 地 を 潤
し,8月 に は 降 雨 の ピ ー ク を 迎 え る(図4)。 年 平 均 降 雨 量 は お よ そ1,100mmで サ バ ン ナ 帯 と して は,湿 気 に 恵 ま れ て い る 。11月 に は サ ハ ラ 砂 漠 か ら の 砂 塵 混 じ り の 熱 風(ハ ル マ ッタ ン)が 吹 き 込 ん で 本 格 的 な 乾 期 の 到 来 を 告 げ る 。 こ の 風 が 運 び 込 む 砂 塵 の た め に,白 くか す ん だ も や(ハ ル マ ッタ ン ・ヘ ー ズ)3》 が 視 界 を お お い,翌 年 の2月 頃 ま で 続 く。 肥 料 を ほ と ん ど 用 い な い サ バ ン ナ 帯 の 農 耕 地 に ハ ル マ ッタ ン は 無 機 的 な 栄 養 分 を も た らす と い わ れ,そ の 季 節 風 が 強 け れ ば 強 い ほ ど,大 地 へ の 恵 み は 大 き い 。 ソ ル ガ ム な ど の 主 要 な 作 物 の 取 入 れ が 済 ん だ 後 は 野 焼 き(bush‑firing)が 行 わ れ る (図5)。12月 か ら1月 に か け て 乾 期 に は20℃ を 割 る こ と もあ り,そ の 冷 え
図4.月 別 の 出 現 頻 度
3)飛 砂 には ソー ダ(炭 酸 ナ トリウ ム),マ グネ シア(酸 化 マ グ ネ シ ュ ウム),ア ル ミナ(酸 化 ア ル ミニ ウ ム)等,多 様 な成 分 が含 ま れ,こ れ らの堆 積 が 土 壌 改良 を 促進 して い る と考 え られ る [藤井 1988]。
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図3Koreghan Ketowa家 の 血 縁 関 係
武田 スーダ ン ・サバンナ農耕民 ランバ族 の食物をめ ぐる技 術体系
込 み の た め に,家 の 中 で 薪 を 燃 や して 暖 を 取 って 眠 っ た り,朝 方 に は コ ン パ ウ ン ドの 外 側 で,刈 り 取 っ た 後 の 雑 穀 類 の 茎 や 脱 穀 した 後 の 穂 や バ オ バ ブ の 実 の 殻 な ど を 焚 い て 暖 を と る こ とが 多 い(図5)。
従 来3〜4力 日 毎 に 開 か れ て い た 市4)は 行 政 サ イ ドの 指 導 で1980年12月 下 旬 以 後 市 が 開 か れ る 曜 日 が 設 定 さ れ る よ う に な っ た 。 市 日 に は 日 常 雑 貨 品 の 購 入 ば か りか 物 々 交 換 も行 わ れ る 。 ま た,確 実 に ソル ガ ム ・ビ ー ル が 飲 め る場 で も あ る 市 は 人 々 の 移 動 が 盛 ん な た め に,知 人 と の 出 会 い や 社 交 の 場 と し て 賑 う。 ラマ カ ラ(Lama‑Kara) や カ ン テ な ど 多 方 面 か ら や っ て く る ピ ッ ク ・ア ッ プ 車 や トラ ッ ク は,市 に 出 店 す る 人 ば か りで な く,村 に 帰 省 す る 人 た ち も 運 ん で く る か らで あ る 。 帰 り の 車 は,大 き な 町 に あ る 病 院 に 出 向 く人 や 休 暇 を 終 え た 人 や 乗 り継 い だ 人 な ど と物 資 で 満 載 に な る 。 ブ ル ク ゥー(Bourgou)や カ ジ ャ ラ の 市 日 に は,製 粉 屋 が 機 械 を 作 動 さ せ る の で,自 分 の 家 の 石 製 の サ ドル ・カ ー ン(ひ き 臼)5》 で 粉 に ひ く手 間 を 省 く婦 人 や 娘 た ち が ソ ル
図5月 別 の 出 現 頻 度
4)調 査 地 の 住 民 の生 活 に も っと も深 くかか わ る市 には,月 曜 日に 開 かれ るカ ジ ャラの市 と金 曜 EIの ブ ル ク ウー の市 が あ る 。特 に,必 要 な物 資 を よ り安 く購 入 した り,ま た 物 々交 換 を 有 利 に 行 うと きに は,20キ ロ ・メ ー トル も離 れて い るばか りか,し か も急 峻な 山 越 え を しな くて は な らな いニ ャム トグ ウー(日 曜 日)と15キ ロ ・メー トル ほ ど離れ た バ サ リ州 の ナモ ン(木 曜 日) に 出 向 くこ とに な る。 ま た,カ ジ ャ ラか ら東 北 に数 キ ロ離 れた フ ォ ンは火 曜 日に 開 かれ る市 で あ るが,乾 期 に,し か も壷 の購 入 とそ の物 々交 換 が主 にな る 。 これ らの 市 に比 較 す る と水 曜 日 で あ る が不 定 期 に開 か れ る こ とが 多 い ア ンバ サ の市 は,付 近 の住民 が午 後2,3時 頃か ら三 々 五 々集 ま り,コ ー ラの 実(コ ー ラ ・ナ ッ ト),落 花 生 で 作 った揚 げ 菓 子 の コ ロ コ リ,ソ ル ガ ム ・ ビー ル な どが 売 買 され る。 小 規 模 で,大 きな 町 か ら車 で や って くる行 商 人 はま った くい な い, マ イナ ーで ロ ーカ ルな 色 彩 が 強 い(図1参 照)。
な お,近 辺 に は カ ジ ャ ラ とブ ル ク ウー に診 療 所 が あ るが,市 に往 来す る乗 り合 い の車 を利 用 して,住 民 か らの信 頼 度 が厚 く,医 療 設備 の整 った ラマ カ ラや アタ クパ メな どの 病 院(中 国 入 の医 師 が何 人 か い る)に 出向 く人 も多 い 。
5)saddle quern。 日常 的 に は 穀 類や マ メ類 の製 粉,吻 ∫αを つ け るつ け汁(ソ ー ス)に 使 う具 な どを ひ きお ろす の に使 わ れ る。 ま た,ソ ル ガ ム ・ビー ルchukatuを 醸造 す るた め に,2〜3日 の あい だ 少 々 トウモ ロ コ シ も混 ぜて 暗 所 で 発芽 させ た ソル ガ ム ρぬ ㎜(一 種 の もや し)を ひ き お ろす の に も欠 か せ な い道 具 で あ る 。
633
国立民族学博物 館研究報告別冊 12号 ガ ム や バ ンバ ラ ・グ ラ ウ ン ド ・ナ ッ トの 入 っ た 金 だ ら い を 手 に して 順 番 を 待 つ 列 が 見
ら れ る 。
2) 調 査 方 法
筆 者 は,ラ ン バ 族 の 労 働 の 投 入 量(labor・intensity),分 業(division of labor)と そ の 季 節 性(SeaSOnality),お よ び 生 産 物 や 採 集 物 な ど の 消 費 の 傾 向 を 探 る た め に ケ ト
ワ 家 の コ ンパ ウ ン ドの 一 画 に 借 り住 ま い し,調 査 を 進 め た 。 そ して ケ トワ 家 の ひ と び と を 中 心 に1回 に つ き30分 以 上 の 直 接 観 察,な い し は 直 接,本 人 に 確 認 な い し は 追 認 し た 生 業 活 動(subsistence activity)を,内 容 別,性 別,時 期 的(月 を3旬 に 分 け て 10日 あ た りの 観 察 頻 度)に 分 類 して み た 。 た だ し,彼 の コ ン パ ウ ン ドの 西 方300m ほ ど 離 れ た 所 に 年 と った 実 母 と幼 い 娘2人 と一 緒 に 住 ん で い る ケ トワ 氏 の 第 二 夫 人 は 時 々 ケ トワ 家 に や って く る こ と は あ っ た が,常 時,観 察 で き な か っ た た め に 調 査 対 象 か ら は ず した 。 ま た,少 年2人 は3kmほ ど 離 れ た 小 学 校 に 通 っ て い て,土 曜 日,日 曜 日 と 学 校 の 休 日以 外 に は 家 事 の 手 伝 い を し な い の で 除 外 した 。 ケ トワ 家 で 実 質 的 な 労 働 に 従 事 す る の は,成 人 男 子2人,女 子4人(実 母 と3人 の 妻 た ち)と 娘1人 と い
う こ と に な る 。
活 動 の 一 部 に つ い て は,開 始 時 刻 や 終 了 時 刻 を 把 握 で き な か っ た 場 合 も あ る の で, 絶 対 量 に よ る比 較 は 行 わ な い 。 ま た,調 査 地 に 連 続 して10日 な い し は11日 間 滞 在 して い な い 場 合 を 除 き,10日 あ た りの 頻 度 に 修 正 し た 。
消 費 活 動 に つ い て も,ケ トワ 家 を 中 心 に 直 接 観 察 した も の に つ い て,旬(10日 間) あ た り の 観 察 頻 度 で 検 討 を 加 え た 。 し た が っ て,筆 者 が ケ トワ 家 を 離 れ て い る 間 に 消 費 さ れ た 食 物 に つ い て は 調 査 対 象 か ら は ず した 。 食 物 の 消 費 に つ い て も,10日 間 あ た り の 摂 取 頻 度 に コ レ ク ト して 検 討 し た 。
2.農 耕
ラ ンバ 族 が 栽 培 す る 作 物 は 表2に 示 し た が,換 金 作 物 と して 労 働 投 下 量 の イ ン テ ン シ テ ィ が 高 い の は ワ タ で あ る 。 ト ウ モ ロ コ シ や 落 花 生 の 一 部 は 換 金 さ れ る が,大 部 分 の 作 物 は 自 家 消 費 か 物 々 交 換 の た め に 利 用 さ れ る 。
大 体,5〜6年 間 の 連 作 を 行 っ て か ら,1〜2年 の 休 耕(f'allow)期 間 を お く が, 休 耕 期 間 の 長 さ や ク ロ ッ プ ・ロ ー テ ー シ ョ ン な ど は そ の 土 地 の 耕 作 者 の 恣 意 的 な 判 断
に 任 せ られ て い て,一 定 の 作 付 け 順 序 が 厳 密 に 守 られ て い る わ け で は な い 。 一 般 的 な 634
武 田 ス ーダ ン ・サ バ ン ナ農 耕 民 ラ ンバ族 の食 物 をめ ぐ る技 術 体 系
傾 向 と して,休 耕 したあ との 最初 の年 は ソル ガ ムを 植 え付 け る こ とが 多 く,そ の あ と フ ォeオ が続 く。
家 の 周 囲 の 畑 を 別 にす れ ば,大 部 分 の 畑 は 徒 歩 で 数分 か ら遠 くて 一 時間 弱で 到 達 で き る範 囲 に あ る。 コ ンパ ウ ン ドの 周 囲 に は,ト ウ ジ ン ビエ が わず か ば か り混 じ った ソ ル ガ ムが 主 に 連作 され,下 生 え に ササ ゲ 類 が 混 作 され る。 ま た,家 の ま わ りに はわ ず か な量 の オ ク ラ も単 作 され る。
トー ゴ 国 の独 立 記 念 日に あ た る4月27日 は全 国 的 な祝 日 にあ た りカ ジ ャ ラで も村 あ げ て の お祝 い が催 され る。 これ が 作 物 の播 種 を 開始 す る 目安 に な る。 雨 期 に 生 育 した 食 用 植 物 で は,ま ず,ヤ ム イモ が最 初 に収 穫 され,そ の 後,フ ォ ニ オ,ト ウモ ロ コ シ, キ ャ ッサ バ と続 く。 乾期 の最 中に主 食 で あ る ソル ガ ムの収 穫 で 終 わ る。
最 近,ワ タ と トウモ ロ コ シの 栽 培 に化 学 肥 料 が 用 い られ る よ うに な った の は農 業 関 係 を担 当 とす る国 の 出先 機 関 の 指 導 に よ る もの で あ る。 コ ンパ ウ ン ドの 周 辺 で は灰 や ゴ ミの 投 棄 と人糞 が土 壌 の 肥 沃 化 に 少 々役 立 って い るの か も しれ な いが,主 要 な ソル ガ ム畑 に は と りたて て 施肥 は され ない 。 しか し,牛 の排 泄 物 が 肥料 と して役 立つ の を 知 って い るた め に,ソ ル ガ ム な どの 主 作 物 の 取 り入 れ がす ん だ あ との畑(穂 先 を 切 った あ との茎 が畑 に横 に な って い る)に 牛 の放 牧 は容 認 され る。 ま た,畑 を拓 くと きに 刃 の大 きな鍬(加9ωoη)で 耕 起 す るが,そ の際,雑 草 も土 中に鋤 き込 まれ る。 そ れ らは再 び雑 草 を生 み 出 し,作 物 と競 合 関 係 に は な るが,一 部 は土 壌 中で 腐 食 し有 機 肥料 に な る。 乾 期 に 火 入 れ され る野焼 きの あ との灰 も無 機 肥 料 と して 土 壌 に 還 元 さ
れ る。
休 閑 し て2〜3年 目 の 畑 あ と に ソ ル ガ ム を 栽 培 す る た め に 行 う畑 の 伐 り拓 き(halum tudun)に お い て は,ま ず,有 用 樹 と そ の 幼 樹 を 除 い た 大 小 の 立 木 を 伐 り 倒 す。 そ の あ
と 休 閑 後1〜2年 目 の 耕 起(加1膿 ψ 吻9πη)の 場 合 と 同 様 に,雑 草 を 倒 して い く作 業 が 続 く。 そ の 際,約1・2mの 細 い 棒 の 両 端 に1本 の 縄 を しば っ た テ ィ ー タ(tita)と
い う道 具 が 使 わ れ る 。 両 手 で テ ィ ー タ の 縄 を 持 ち,片 足 を 棒 に の せ ,前 進 しな が ら雑 草 を お し倒 して い く。 そ の あ と,鎌 で 倒 れ た 草 の 根 元 近 く を 刈 っ て い き,大 き な 刃 の 鍬 バ グ ウ ォ ン で あ と ず さ り しな が ら土 を 耕 起 す る。 刈 り と られ た 草 も土 に 鋤 き込 み な が ら 畝 が 立 て ら れ る。 草 の 根 が 土 中 に 残 っ た ま ま で 土 を 掘 り返 す た あ に作 物 と雑 草 の 競 合 に な り,収 穫 ま で に 何 度 か 除 草 を 兼 ね た 中 耕 を 繰 り返 す 必 要 が で て く る。
耕 起 や 中 耕 な ど は,普 通7〜8人 の 共 同 作 業 ツ ゥ バ ロ(tubbalo)と して 行 わ れ る 。 朝 か ら 夕 方 ま で の 仕 事 で あ れ ば,そ の 畑 の 持 主 が ホ ス トに な っ て,ソ ル ガ ム ・ ビ ー ル と 食 事 の も て な し を す る 。 昼 頃 に 終 わ る よ う な ッ ゥ バ ロ で あ れ ば,ソ ル ガ ム ・ ビ ー ル 635
表2ラ ン バ 族 の 食 用 植 物 (A)栽 培 食 用 植 物
Period collected
Common name Local name Scientific name *1 *2
(observed in Remarks
the study site)
Cereals
Sorghum mata (pl. India) Sorghum bicolor CC Nov. 12-Jan. 4
Pearl millet amata (pl. amala) Pennisetum americanum C July 23-Dec. 17
Rice manu (pl. man) Oryza sativa C Oct. 23-Dec. 3
Fonio abiyon (pl. abisu) Digitaria exilis CC July 30-Oct. 17 black fonio (D. iburua) is not utilized
Maize wamata (pl. warnala) Zea mays CC s & ca Aug. 14-Oct. 6
Root crops Yams
Bush yam hielu (pl. hie) Dioscorea praehensilis CC
Water yam tosun (pl. tusun) D. alata C t July 24-Mar. 3
Aerial yam bandem D. bulbifera R
Sweet potato agundelo (pl. agundelasu) Ipomoea batatas C t Nov. 7-Dec. 7
Cassava bandusun (pl. =--) Manihot esculents C t Oct. 6-Jan. 29
Cocoyam polopolon (pl. pulopulun) Colocasia sp. R
mangani (pl. manganina) Xanthosoma sp. R t & 1 Feb. 16
Legumes
Cowpea sinda (pl. sina) Vigna spp. CC s: July 14-Nov. 16
1: July 20-Dec. 5 leaf: called chahan (pl. chahasu)
Bambara agulansalu (pl. agulansetwui) Boandzeia subterranea C Nov. 17—Dec. 12
groundnut
Geocarpa bulubun (pl. bulubulunna) Kerstingiella geocarpa R Nov. 17
groundnut
Groundnut bangansalu (pl. bangaistiwui) Arachis hypogaea C Aug. 18-Nov. 15
I IC C!I 3-1\rnv_ 9
I Ilune27Oct.
IH.sabdariltaclNov.24-Der_
IIRine
Iasper 1Tune0
ISolanumfilv9R—Ano.
s.aettuotncum 1 Oct. 6
S.macrocarPonfNoy.4
ILvcoberszcumesculentumfOct 6
ITrichosantizeseueumerinafen/'A
Vegetables
Okra manda (pl. mina)HibiscusesculentusCCfAug .3-Nov.25
1June27Oct. 13
Roselle chandonta (pl. chandona)H.sabdarigaCclNov. 24Dec . 29
1JuneI6-Dec. 8 leaf: called chahalon (pl. chahata)
agonbilu (p1. agonbila) H.asperR 1 June20
cancliita (pl. candifitana) Solanumda.gphydasvbhvItumllum cf July28-Aug . 26 dried fruit: used as a sauce in dry season, too
bembaluS.aethiopicumR 1 Oct. 6
chilu (pl. chili)S.macrocarponCfNov4fruit: usually eaten raw
Ileaf: used as a sauce
Tomato chumate (pl. chumatuna)Lycopersicumesculentum RfOCt . 6 used as a sauce
Snake gourd chumate (pl. chumatuna)Trichosanthes cucumerinaR1&fNov .
Pumpkin kambulu (pl. lama) Cucurbita pepo R f Oct . 24-Dec. 10
bimbulu (pl. bima) Talinum triangulare D 1 June 19-Nov21
ofulonCorchorus outoriusIt 1June27-July16
ansalutihelonAmaranthussp.R1June27
Bird chili sowan (pl. stisu) Capsicumfrutecens C
Water melon kekan (pl. kekasu)CitrulluslanatusC sJuly 24-Jan . 28sown among the yam mounds &
eaten raw
chOgon Raphionacme brownii R t July 21
Bungu kokon (pl. kokon) Ceratotheca sesamoides C s & 1 Oct . 9-jan.20
Benniseed shökan (pl. shlikasu)SesamumindicumCsDec 3-Dec . 26
Fruits
Mango mangon (pl. mangon)Mangifera indica CfDec .2-Mar. 6
Papaya fulufulun (pl. fulufuluta)CaricapapayaRfNov . 25-Feb.10
Iitruc
Orange lemon (pl. lemun)Citrussp. R fOct14-Jan22
U.71,../-.1.11,-/V•
_L_7,••
IArnaranthussp.1Tune27
G'absicumtrutecensI I I
IGitrulluslanatusTidy94—Tan:
I1?ahhioname brownii t hay 21
eratotheca sesamoides li1 rirt 4—Tan9(1
sesamuinindwumDec. 3—Dec. 2€
Manoilprn.C.T1.,1\it...
IG'aricababavaf1\inv9—.Feh1
Csn"D c fl,t 1 9
(B)採 集 食 用 植物
1,,,r1 /Id eft
ampI*IIrhSprvariIT
tnestu
Adan_coniadipitataIreIPune26—Mar
Isune2mai II1lune1.5—Mal
IFIncnhniehimnnhn7anIIrl1)er11lan.
ro;hrihendrnoMar IINov.
Pnrkinhiolnhncnoll)lune21—o%
IIslulv1.5-1Vlar riugrospermunzpariczz I
syai
Periodcollected Common name Local nameScientificname*1*2(observedinRemarks
thestudy site)
Baobab tita (pl. tila)AdansoniadigitataCCPJune26—Mar. 6 pulp: called tilun (pl.=--)
June26—Msar. 6 seed: called catalan (pl.= ) 1June15—Mar. 3 leaf: called andilan (pl. andilasu) Red-flowered fulon (pl. fulan)BombaxbuonopozenseCclDec.11—Jan. 12 calyx: called fudda (pl. fula) silk cotton tree
Silk cotton tree kumun (pl. =) CeibapentandraC1Jan. 10-1VIar.1 seed: called bambilu (pl. bambi)
(= kapok) sNov.3—Feb. 12 leaf: called bahelon (pl. baheta)
Locust bean solon (pl. solun)Parkia biglobosaCPJune21—Nnv.21 pulp: called suddon (pl. sudda)
treesJuly15 —Mar.5 seed: called chibangalon
Shea butter tree shumun (pl._) ButyrospermunzparkiiCs May—April seed: called chombagan ( pl. chombath)
Akee apple basun (pl. basa) Blighia sapida R a Nov. 11 eaten raw when ripe
Cashew tree aja (pl. ajana) Anacardium occidentale R f Feb. 15—Mar. 7 Oil palm won (pl. wan) Elaeis guineensis R m & k Feb. 1Feb. 17
Doum palm kolinjan (pl. kolinjasu)HyphaenethebaicaR p &raOct.29available in the market
Palmyra palm bolopolon (pl. bolopulun) BorassusaethiopumRfOct.29available in the market
hason (pl. hâsun)LippiurugosaR1Nov. 6—Dec. 5
findofindon (pl. findofindPsorospermumcorymbiferum R 1
komban ?Rsseed used as a sauce
alumafyandonCyphostemmasp.RfWetseasonfruit: called afulao (pl. afulana)
olulon (pl. olulota)AnnotiasenegalensisRfWetseason panyalon (pl. panyala)VitexdonianaCfJuly4—July28 mbabu (pl. mbabuna) Strychnossp.RfDryseason
ujejelon (pl. ujejeluta)NauclealatifoliaRfJan.14--Jan.15 fruit: called polu (pl. poya)
amangeran (pl. amangerMitragyna inermisRfDec.1—Jan.4 fruit: called amangalu
(pl. amangali)
Anacardzum occzdentate I .K. I t ea. a—mai
Elam guzneenszs K cc K. reo.
Hvbhaenethebazca IR ID Z5c.raOct.Z9
BorassusaethiobunzIIfOct.Z9 IfihhinrnancnI14I1Nov.h—l)er.
un)rsorosbermumcorvmozrerumitt t
IIIsI
ICvbhostemmasn.IIfWetseason IAnnonasenegalensisIIfWetseason
VztexdonzanaICIflulv4—Finv IStrvchnossn.IIfDryseason INanclealatitoliaIIflan.
asu)BaztragynaznermzsIC"1,M. 1—j all.
I IFeb. 15
kawon (pl. kata) Gardenia erubescens C f Feb. 15 fruit: called candonta (pl. candona)
bintalon R f Nov. 29
Mushrooms afatolu (pl. afoda) etc.I RmsJuly4—Sept.'38 Rms I luty 4---6ept. t species are used as a sauce
(C)物 々交 換 な い しは現 金 で 購 入 され る食 用 植 物
verinct
rientthenameI1Inhserveri
1.11C
LznerneralternateRrli AlizumcebaICIIdc1 MusasamentutnIR
Period collected
Common name Local nameScientific name *1*2(observedin Remarks
the study site) Cultivated food
plants
Zinger afawo (pl. afawona)ZingiberoffiernaleRrh
Onion alubasa (pl. alubasana)AlliunzcepaCf& I dried leaves: used as a sauce
Banana ayabalu (pl. ayaba)Musasapient=R f
Sugarcane chumbugOli Saccharunz officinale R ca
(pl. chumbugolina)
Cola giilu (pl. guya)adColn&sitidaC
C.acuminata Coconut palm kobalu (pl. kobaya) CocosnuciferaRk
Lime lemon (pl. lemun) Citrnssp.RfOct.5—Feb. 1
Gathered food plants
amilu (pl. amiya)R'fcalled and in Kabre
anida (pl. anila) R f
Lia&ICI.
acurnznata CocosnuczteraIRI
UltrnsSD. IRfOct.3—t,et
IRfI I R
*1 Frequency cultivated or utilized as food CC: very common
C: common
R: rare
*2 Part eaten
a: aril, ca: cane, cl: calyx, f: fruit, k: kernel, 1: leaf, m: mesocarp, ins: mushroom,
p: pulp, ra: radicle, rh: rhizome, s: seed, t: tuber
国立民族学博物館研究報告別冊 12号 も 出 さ れ な い こ と も あ る 。
1) ソ ル ガ ム
ソ ル ガ ム の 畑 に は,ロ ー ゼ レ や サ サ ゲ が 混 播 さ れ る こ と が あ る が,ロ ー ゼ レ は 少 量
◎で
,サ サ ゲ の 場 合 は コ ンパ ウ ン ド近 くの ソル ガ ム畑 の 下 生 え と して 栽 培 さ れ る 。 男 た ち は 共 同 作 業 ツ ゥ バ ロ で 大 き な 刃 の 鍬 バ グ ウ ォ ン を 両 手 で 持 っ て,同 一 方 向 に
ほ ぼ 横 一 列 に な っ て あ と ず さ り し な が ら 耕 起 して い く。 畑 の 端 に 着 く と,今 度 は 逆 方 向 に 鍬 を 入 れ な が ら 畝 を 立 て て い く。 そ の 後,女 た ち は こ の 畝 に 棒 で 穴 を う が っ て か ら,ヒ ョ ウ タ ン の 椀 な ど に 入 っ た ソル ガ ム の 穂 粒 を3〜4個 ず つ こ の 穴 め が け て 投 げ 入 れ て い く。 左 右 の 足 を 交 互 に 踏 み な が ら,土 を か け て 前 進 し て い く。
播 種 か ら取 り入 れ ま で の 間 に 男 た ちが 行 う 中 耕 を 兼 ね た 除 草 は3回 行 わ れ る の が 普 通 で あ る(図6‑1)。 ま ず,1回 目 の 除 草 ア リァ ン ・マ ラ ン ダ(atian〃matanda)は 植 え 付 け が ほ とん ど 終 わ っ て い る6〜7且 に 行 わ れ る 。 こ の と き,発 芽 率 の 悪 い畑 で は,
も う一 度 播 種(replanting)し な が ら 除 草 を 兼 ね て 鍬 バ グ ウ ォ ンで 土 を か ぶ せ て い く。
ま た,稀 に 葉 の 先 端 部 を ち ぎ っ て す て た あ と の 苗 を 移 植 す る(transplanting)こ と も あ る6)。 ソ ル ガ ム の 茎 が 約1〜1・5mに 生 育 した 頃 の 除 草 ア ル マ ・マ ラ ンダ(alUma
図6‑1 ソ ル ガ ム(Sorghum bicolor)
6)葉 の先 端部 を手 で ち ぎ りと るの は,鳥 の 雛 を強 壮 す る た めに爪 の先 端 部 を 両刃 カ ミソ リで 切 り取 る こ とと近 似 した措 置か も しれ な い。 しか し,作 物 に こ う した措 置を 施 す の は,一 般 的 か つ,日 常 的 な もので はな い 。
640
武 田 ス ー ダ ン ・サバ ンナ 農 耕民 ランバ 族 の 食物 を め ぐる技 術 体 系
malanda)は 鍬 バ グ ウ ォ ンで 除草 を しな が ら,作 物 の根 元 に土 をか ぶ せ て い き,強 い 風雨 か ら茎 を保 護 す る。 この あ と,乾 期 に入 って,3m近 くに 伸 長 した ソル ガ ム の 茎 の 下 方 の葉 が赤 茶 色 に 枯 れ た 頃 に行 わ れ る3回 目の 除 草 ア レ ラ ・マ ラ ンダ(alela malanda)は 枯 れ た葉 を 取 り除 い て風 通 しを よ く し,雨 の た め に土 が流 出 して地 表 に 露 出 した根 に土 をか けて 補 強 し,穂 を 十 分 に熟 させ る。 ア リア ン ・マ ラ ンダ と アル マ
・マ ラ ンダ は何 入 か の 男 た ちが行 う共 同 作業 と して よ り も
,単 独 で 行 わ れ るのが 普 通 で あ る。 ま た,父 母 に 言 い つ け られた 少 年 た ちが小 規 模 な畑 や コ ンパ ウ ン ドの ま わ り の畑 な どを 中耕 した り,女 が1人 で 刃 の小 さな鍬 ブ ンダ ン(bundan)を 使 って 除 草 す る。 こ う した除 草 や 中 耕 は 取 り入 れ が始 ま る11月 初 旬 で 完 了 す る。 穂 が 熟 す10月 頃 に は,子 供 た ち・少 年,少 女 た ち が畑 に出 向 い て大 声 をあ げ た り,両 手 で 強 く打 って 鳥 追 い の仕 事 を す る。
穂 が十 分 に 熟 した 頃 を見 計 ら って,男 た ち は立 った ま ま の 姿 勢 で足 で茎 の 根 元 近 く を踏 み倒 して い く。 この後,男 女 一緒 に な って,ナ イ フな どで 穂 先 を 切 り取 る。 刈 り 入 れ は,11月 中 旬 か ら1月 上 旬 にか け て行 わ れ る。 畑 の 一 箇 所 に 円形 に集 積 した 穂 を, 女 た ち が金 だ らい に入 れ て 家 ま で 頭上 運 搬 す る。 コ ンパ ウ ン ドの 中庭 な どで 天 日乾 燥
したあ と,殻 竿 で 叩 い て穂 につ いた ゴ ミや 埃 な どを 叩 き落 とす 。 この と き,脱 穀 した 穀 粒 は 当座 の 消 費分 に 当て られ るが,残 りの 大 部 分 は穂 の ま ま で泥 で 作 った ソル ガ ム の穀 倉 ブ ヨ ン(⑳oπ)や 草 を編 ん で 作 った 高 床式 の穀 倉 カ チ ョ0ラ(kach la)に 貯 蔵 され る(図2)?)。
穂 先 を 切 り取 った茎 を そ の ま ま畑 に放 置 して お いて,1月 下 旬 か ら3月 にか け て の 乾 期 の 最 中に,枯 れ た もの を一 箇 所 に 集 あ て燃 や す。 しか し,コ ンパ ウ ン ドの周 囲 に お いて は,ソ ル ガ ムの 茎 の1/3ほ どの 高 さで 切断 した もの を その ま ま槍 ぶ す まの よ う に して お くこ とが あ る8)。
早 生 の ソル ガ ムを 植 え て い る人 もわ ず か に い る が,そ れ は端 境 期 の 消 費 に多少 役 立 つ 程 度 で,そ の栽 培 量 は多 くな い。 同 じ畑 で も面 積 が広 い た め に播 種 の 日が ずれ た り, ま た,植 え付 け後 リプ ラ ンテ ィ ング(replanting)を す る場 合 もあ るの で生 育 期 間 や 生 育 度 の ぱ らつ きは あ って も,穂 が 十分 に実 って か ら刈 り取 りを 行 うの が普 通 で あ る た め,収 穫 時 期 は 同一 にな る。
7)植 物 姓 食物 に は天 日を利 用 し,壷 や ヒ ョウタ ン,泥 製 の容 器pundelianを 利用 して 貯蔵 され る種 類 が 多 い の に対 して,動 物性 食 物 の 場合 は,貯 蔵 さ れ る物 の 種 類 数 も量 も多 くな い 。 8)近 隣…の カ ブ レ族 に お いて は,バ オバ ブ な どの大 きな木 に長 い茎 を 立て か けて お き,そ の 日陰
を利 用 して ヤ ム イモ の 種 い もを ス トックす る。
641
国立民族学博物 館研究 報告 別冊 12号
2) フ オ ニ オ
B.G.5,000年 頃 か ら 栽 培 さ れ,ス ー ダ ン ・サ バ ン ナ 帯 で 最 も古 い 食 用 作 物 で あ る フ ォ ニ オ は1グ ラ ム 中 に お よ そ2,000粒[PURSEGLOBE 1981]が 含 ま れ る ほ ど の 極 小 の 貧 弱 な 穀 物 で あ る た め に,英 語 で は ハ ン グ リー ・ ラ イ ス と 呼 ば れ る 。 こ の メ ヒ シバ 属 の フ ォ ニ オ に は,2種 の 栽 培 種 が あ る 。 そ の う ち,穂 が 脱 穀 し に くい の で 主 に ソル ガ ム ・ ビ ー ル の 醸 造 に 用 い ら れ る ブ ラ ッ ク ・フ ォ ニ オ(Dlg珈 磁 伽 γπの は,北 部 ト ー ゴ か ら ベ ナ ン に 連 な る ア タ コ ラ 山 系 に 住 む ラ ン バ 族 農 耕 民 の0部 が 栽 培 し て い た と い う 報 告[PORTネRES 1976]が あ る が,大 部 分 の と こ ろ で は,フ ォ ニ オ(」D・exilis) の 栽 培 が 一 般 的 で あ る。
女 た ち は,フ ォ ニ オ の 穀 粒 を 手 で す く っ て 投 げ た あ と,刃 の 小 さ い 鍬 ブ ン ダ ンで 軽 く土 を 被 せ て い く。 フ ォ ニ オ の 種 子 に は 少 量 の ロ0ゼ レ や ト ウ ジ ン ビ エ の 種 子 も混 ぜ て い る こ と が 多 い 。 発 芽 し て し ば ら くの 聞 の フ ォ ニ オ 畑 は 淡 く柔 らか い 草 色 の 絨 毬 を 敷 きつ め た 景 観 を 呈 す る 。 そ の 後,8月 以 後 の 刈 入 れ が 始 ま る ま で に,単 独 か,3〜
4人,多 くて5人 く ら い の 女 た ち の ッ ゥ バ ロで,除 草 が2回 ほ ど 行 わ れ る。 そ の 際, 雑 草 は 手 で 引 き 抜 か れ た り,鍬 ブ ン ダ ンで 取 り 除 か れ る。 と っ た 雑 草 が 手 に0杯 に な
っ た ら畑 の 一 箇 所 に 集 め て 置 く。 女 た ち の ツ ゥ バ ロ に 際 し て,ソ ル ガ ム ・ビ ー ル や 食 事 な ど の もて な しが な い の は 男 た ち の 農 作 業 と 比 較 して 軽 度 で あ る た め で あ ろ う 。 茎 が40cmほ ど に ま っ す ぐ伸 び て,茎 の 先 端 に 白 っ ぽ い 穂 が つ き始 め る 。 穂 が 茶 色
っ ぽ く色 付 き 始 め る 頃 は 雨 期 の ピ ー ク に あ た る こ と が 多 い 。 実 っ た 穂 の 重 み と 雨 の た め に 積 先 が 倒 れ か か る 頃,野 鳥 の 群 れ が 穂 を っ い ば み に 来 る 。 茎 や 穂 の し げ み に 身 を 隠 す 鳥 を 畑 か ら追 い 出 す た め に,少 年 や 少 女 た ち が 早 朝,昼,夕 方 と, 1日2〜3 回,鳥 追 い を 行 う。 ま た,家 か ら火 の つ い た 薪 を 持 参 して,畑 で 焚 火 を して 煙 を た な び か せ た り,手 を 打 ち な が ら,大 声 を あ げ た り,空 缶 を 棒 で 打 ち 鳴 ら して 威 嚇 す る。
彼 ら は,パ ル ミ ラ ヤ シ の 葉 の 繊 維 で 編 ん だ 投 石 器 ア フ ダ ラ ン(afudalan)9)を 携 行 す る こ と も あ る 。 時 に は 大 人 が 銃 に 散 弾 を っ め て 打 ち放 っ た り,パ チ ン コ(tai)を 用 い て 追 い 払 う(図6‑2)。
身 内 だ け(例 え ば 親 と 息 子)で 穂 の 成 長 具 合 を 試 す 意 味 で,穂 の 熟 し て い る も の を 9)afudalan(pl・ ψ 弼 魏);投 石 器(stone・sling)はtolowata(草本 の0種:未 同定。 kisyuで作 った
縄nambiluで は ない)を 用 い て 自作 され る 。 特 にabionta(フ ォリオ 畑)で の鳥 追 い の時 に 使 わ れ る 。両 端(① と②)の 長 さが160cmほ どあ る紐 状 に編 ん だ もの の 真 ん 中ほ どに石 を 置 くた め の少 々幅 広 くな った 箇 所 ③ が あ る。 ま ず,① の 穴 に 中指 を 通 して か ら,② を 親 指 と人 差 し指 で
握 る。 ③ に小 石 を 置い て か ら,ぐ る ぐる振 り回 し,② の 方 を 離す と③ の石 だけ が 飛 び去 る。紐 全体 を 飛 翔 させ るの で はな い 。 鷲αg吻πηやbulinjyoな どの 中型 の鳥 の捕獲 は無理 で, asumasu, tabusu(野 生 の ホ ロホ ロチ ・ウ), chafulan(ハ トの一 種),加 πやlisuな ど小型 の 鳥 を狙 う。
642
武 田 ス ーダ ン ・サバ ン ナ農 耕 民 ラン バ族 の食 物 をめ ぐ る技 術 体 系
図6‑2 フ ォ ニ オ(1)igitaria exilis)
選 択 的 に 少 量 刈 り取 る こ と も あ るが,本 格 的 な 刈 り 取 り は4〜5人 か ら7〜8人 の 男 た ち が ッ ゥ バ ロ で 行 わ れ る 。腰 バ ン ドの 前 方 に 紐 で く く っ た リ ョ ウ ト ラ ン(r1Otolan)10) を ぶ ら 下 げ て,横 一 列 に な っ て 前 屈 した 姿 勢 で 前 進 し な が ら,ナ イ フ で フ ォ ニ オ の 根 元 か ら10cmぐ ら い の 所 を 刈 り 取 って い く。 そ れ が 左 手 一 杯 に な っ た と き,根 元 か ら右 手 で 引 き 抜 い た 数 本 の フ ォ ニ オ で,刈 り取 っ た フ ォ ニ オ の 束 の 根 に 近 い 方 を し っ か り と巻 き つ け る 。 巻 き つ け る フ ォ ニ オ の 終 端 部 を リ ョ ウ トラ ンの 鋭 っ た 先 端 部 で 押
し込 ん で は ず れ な い よ う に 締 め つ け る11)。 き つ く縛 られ た フ ォ ニ オ の 束 は 後 方 に 投 げ ら れ,そ の 束 を 女 や 子 供 た ち が 回 収 し,刈 り 取 っ た 畑 の あ と の 一 画 に,穂 先 を 上 に して 一 束 ず つ 円 陣 を 組 む よ う に 立 て 掛 け て い く。 大 き な 陣 笠 状 に 積 み 上 げ ら れ た フ ォ ニ オ は こ の 状 態 で2〜3日 畑 に 放 置 さ れ 天 日 に 干 さ れ る が,鳥 の 食 害 を 防 ぐ た め に 当 座 の 消 費 分 を 脱 穀 した あ と の フ ォ ニ オ の 藁 くず が 被 せ られ る 。
フ ォ ニ オ の 播 種 か ら刈 り入 れ ま で の 一 連 の 仕 事 で 男 が 関 与 す る の は こ の 刈 り 取 り作 業 だ け で あ る 。 女 た ち は 畑 か ら フ ォ ニ オ を 金 だ らい に 入 れ て 家 に 運 び,コ ン パ ウ ン ド の 中 庭 な ど で,両 手 で 壁 を 支 え に して,5〜6束 の フ ォ ニ オ を 両 足 で 少 しず つ 前 方 に 回 す よ う に しな が ら踏 み つ け て 脱 穀 す る。
10)刈 り取 った フ ォニ オ の束 を 縛 るの に使 う道 具で,ア ンテ ロープ の 角,牛 の 角,マ メ科 ミモ ザ亜 科 の 木chatachatan(Presopis africana)など で作 った ものが あ る。い ずれ も,一方 の先 端 部 が 尖 って い る。 ま た,形 状 は作 業 能 率 を 上 げ る たあ に直 線 状 で な く尖 った先 端 部 に反 りを きか して い る。
11)フ ォニ オ が左 手一 杯 にな るま で刈 り取 る。手 に一 杯 に な った もの を束 ね る 時,成 人 した男 性 で な け れ ば そ の束 の太 さ は十 分 で ない とい う。 この た あ,ま だ 手 の小 さい少 年 な どに は この仕 事 は 不適 と いわ れ る が,少 年 た ち だ けで 刈 り取 り作業 を や って い る のを 観 察 した こ とが あ る 。 女 た ち が足 で 脱穀 す る と きに,小 さな 束 で は作 業 が十 分 に はか ど らな い こ とと畑 で の作 業 能 率 が上 が らな い理 由 に基 づ くた め か も しれ な い 。
643
国立民族学博物館研究報告別冊 12号 ツ ゥバ ロ の ロ ーテ ー シ ョ ンの関 係 で 長 引 く こと もあ るが,刈 り取 った あ との 畑 は大 体1週 間 ほ ど放 置 され た後,男 た ちだ け の ツ ゥバ ロで 鍬 バ グウ ォ ンを 用 い て短 い茎 と 根 が 残 った まま の状 態 で耕 起 され る。 この畝 は 裏作 に利 用 され る。 裏 作 に ゴマ 類 を植 え る場 合 は,一 方 を掘 り起 こ して 畝 を 立 て土 を か けて い く。 バ ンバ ラ ・ナ ッ トを 裏作 に 利用 す る場 合 は畝 を 立 てて か ら豆 を1粒 ず つ植 え 込 ん で い く。
二 毛作 で播 種 す る ゴマ類 は,10月 頃 か ら取 り入 れ が可 能 であ る。 稀 に 裏作 と して ソ ル ガ ム を播 く場 合 もあ るが,取 り入 れ は 翌年 の1月 頃に な る。
3) ト ウ ジ ン ビ エ と 米
最 も耐 乾 性 に 優 れ た 作 物 と い わ れ る トウ ジ ン ビ エ は サ ヘ ル の 諸 部 族 に と っ て は 最 も 一 般 的 な 作 物 で あ る が,ス ー ダ ン ・サ バ ン ナ 帯 の ラ ン バ 族 で は そ の 栽 培 量 は 限 ら れ て い る。 ト ウ ジ ン ビ エ だ け が 植 え られ る専 用 の 畑 は な く,普 通,ソ ル ガ ム と一 緒 に 播 種
さ れ る(図6‑3)。 早 生 の 品 種 もあ る よ う だ が,そ の 栽 培 量 は 少 な い 。
ラ ン バ 族 が 栽 培 して い る 米 は,ニ ジ ェ ー ル 川 で 開 発 さ れ た グ ラ ベ リ マ 稲 で は な く, ア ジ ア 種(Oryga sativa)で あ る 。 稲 の 畑 は 雨 水 に よ っ て,水 か さ が 高 く な る よ う な 場 所 を 選 ん で 畑 が 作 ら れ る の で 陸 稲(upland‑cultivation)で は な い 。 男4〜5人 が,
ほ とん ど 立 木 が な く草 に お お わ れ て い る 所 を ま ず バ グ ウ ォ ンで 一 方 だ け を 起 こ す 。 そ
図6‑4 米(Or■za saliva) 644
武 田 ス ーダ ン ・サ バ ン ナ農 耕民 ラ ンバ 族 の食 物 をめ ぐ る技 術 体 系
の 上 に籾 を 手 で ば ら播 い て か ら,も う一 方 の 土 を 掘 り起 こ して畝 を 立 て る(図6‑4)。
した が って,畝 の も っ と も高 い所 に だ け うま く播 種 す る こと に は な らな い の で 畝 と畝 の間 の低 い所 に も芽 が 萌 出 す る こ とに な る。 ソル ガ ム畑 の伐 り拓 き と は異 な って,雑 草 を 倒 す 道 具 テ ィー タ は使 わ れ な い。 や は り,直 接 バ グ ウ ォ ンで草 も土 も掘 り起 こさ
れ る ので 雑 草 も土 中 に埋 ま った 畝 に な る。
発 芽 して 間 もな い 頃,苗 を鳥 の害 か ら保 護 す るた め に,棒 切 れ の 先 に ひ らひ らさせ る細 長 く切 った ビニ ー ル を縛 った もの を 土 に さ し込 む。
稲 の畑 の 除 草 は 妻 た ち や娘 た ちが鍬 ブ ンダ ンを手 に して 行 わ れ る。男 た ち の ツ ゥバ ロで 畝 に 対 して 直 角 に横 一 列 に な って 前 進 しな が ら穂 先 を刈 り取 って い く。 根 元 か ら 10cmく らい の所 を刈 るが,そ の と き刈 った束 を 左 手 で つ か み,右 手 に持 った ナ イ フ で 切 って い く。 刃 の 切 れ が悪 くな ると,畑 に持 参 した 平 た い 砥石 で 時 々刃 を 研 ぐ。
手 に一 杯 に な った 稲 は フ ォ ニオ の よ うに 束 ね な い で,適 当 な所 に置 い て お く。 女 た ち は男 た ち が刈 った も のを 回収 しな が ら,刈 り残 しを手 で 引 き抜 いて い く。女 が2人 で 向 か い 合 って 雑 草 を編 んで 作 った縄 や 樹 皮 な どで 束 ね た稲 は,金 だ らい に入 れて 家 ま で 頭 上 運 搬 され る。
4) ト ウ モ ロ コ シ
除 草 は 男 た ち が ツ ゥ バ ロ で 行 うの が 普 通 で あ る が,少 女2〜3人 が 一 組 に な っ て 行 う こ と も あ る 。 トウ モ ロ コ シ の 場 合,茎 が40cmく らい 伸 び た 頃 に,根 元 近 くに 棒 で 穴 を あ け て,そ こ に 化 学 肥 料12)を 入 れ て 手 や 足 で 土 を か ぶ せ る。 施 肥 は 主 に 女 の 仕 事 で あ る が,男 が 手 伝 う こ と もあ る(図6‑5)。
図6‑5 トウ モ ロ コ シ(Zea mays) 12)首 都Lom6で 作 っ た 化 学 肥 料 で,50 kg詰 め の も の が2,500 F。
に 比 べ れ ば 半 値 で あ る。
ワ タの栽 培 に使 わ れ る肥 料
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国立民 族学博物館研究報告別冊 12号 8〜9月 に か けて,男 女 が 取 り入 れ を行 うが,切 りと った 穂 だ け を麻 袋 な どにつ め て家 に運 ぶ。 その 後,何 度 か 中庭 な ど にひ ろ げ て天 日干 しを 行 う。
1984年,ケ トワ家 で 取 り入 れ られ た トウモ ロ コシの 数 は お よ そ2,000本(大 小 さ ま ざ ま な大 きさを 平 均20cm位 の大 き さに な ら した 時 の 概 算)で,自 家 消費 と大 部 分 が物
々交 換 に 用 い られ て い る。
5) ヤ ム イ モ 類 とそ の 他 の塊 根 類
塊 根 類 の な か で も っ と も作 付 面 積,労 働 投 入 量 の 多 い の は ヤ ム イ モ で あ る 。 降 雨 量 に よ っ て 生 育 が 規 定 さ れ る ヤ ム は 降 雨 量 に 恵 ま れ た ラ ンバ ・ラ ン ドが ヤ ム 栽 培 の 北 限 に 位 置 す る。 そ れ 以 北 で 見 られ る ヤ ム 類 は 南 か ら トラ ッ ク な ど で 運 搬 さ れ た も の で あ る 。 ヤ ム の 種 類 は15種 ほ ど あ る が,ギ ニ ァ ・サ バ ンナ あ る い は 熱 帯 降 雨 林 起 源 の ホ ワ イ ト ・ギ ニ ア ・ヤ ム や イ エ ロ ー ・ギ ニ ア ・ヤ ム は 少 な く;大 部 分 は ブ ッ シ ュ ・ヤ ム (1)ioscorea Praehensilis)と ダ イ ジ ョ(1). alata)が 主 な 栽 培 種 に な っ て い る。
女 た ち が ヤ ム イ モ の 種 い も を ス ト ッ ク す る 仕 事 や 川 で の 泥 落 しや 運 搬 の 仕 事 を 除 け ば,塊 根 類 の 作 業 は ほ と ん ど 男 手 に よ って 行 わ れ る(図6‑6)。 ヤ ム イ モ の マ ウ ン ドは 乾 期 の12月 以 後 に 作 られ,種 い も の ス ト ッ ク(数 日 間 土 中 に 埋 め て 乾 燥 を 防 ぐ)や 植 え 付 け ま で 貯 蔵 小 屋 チ ュ ク ル(chtikulu) i3)に ス ト ッ ク す る の は1月 の 仕 事 に な る 。 ヤ ム イ モ の 場 合 は 長 期 間 に わ た っ て 取 り 入 れ が 可 能 で あ る た め に,あ る一 定 の 時 期 に 収 穫 期 が 集 中 す る穀 類 と異 な る大 き な 特 徴 だ と言 え る 。 ま た,土 中 に 埋 め た ま ま の 状 態
図6‑6 ヤ ム イ モ 類(1)ioscorea spp.)
13)ソ ル ガ ムの穀 倉 と異 な って 作物 が直 に地 面 に 接 す る(図2参 照)。
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