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〜エンパワーメントの定義,概念およびフレームワーク作り〜

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管理会計分野のエンパワーメント 研究の問題点

〜エンパワーメントの定義,概念およびフレームワーク作り〜

宮 脇 秀 貴

Ⅰ は じ め に

これまで管理会計の分野では,宮脇( a・b)や谷・宮脇( ),谷( ) を端緒として,現場の活性化を促すエンパワーメントの研究,ラインカンパニ ー制やアメーバ経営を含むミニプロフィットセンター制度によるエンパワーメ ントの研究,そして,生物学や脳科学の視点からのエンパワーメントの研究と いう,大きく つの観点から,エンパワーメントと会計システム・会計情報の 繫がりが研究されてきたと考えられる。宮脇( a・b)や谷・宮脇( ) の当初の研究から考えれば,管理会計分野の中でも会計とエンパワーメントの 関係を多面的に取り扱う研究が増え,その分エンパワーメント研究が深まって きたことは周知の事実である。しかし,宮脇( )などでは,その当時の経 営学分野のエンパワーメント研究の一部の成果を用いて研究が展開されている ものの,管理会計分野のエンパワーメントに関する研究の中で,経営学分野な どのエンパワーメント研究の成果を十分に検討しているものは存在しないと 言っても過言ではない。

例えば,管理会計分野でエンパワーメントに関する管理会計の文献を整理し たものは,挽他( )と伊藤( )が存在するが,どちらも管理会計分野 の内側からの検討であり,両研究も指摘しているように,これまでの管理会計 分野のエンパワーメント研究では,ごく一部を除けば,エンパワーメントの概 念は所与のものとして取り扱われてきたことから,これを明確にする必要性が

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あると課題が述べられている。つまり,これまでの管理会計分野のエンパワー メント研究では,明確なエンパワーメントの定義をせずにエンパワーメントの 効果を考察してきたと考えられるのである。

そこで,本稿では,管理会計分野のエンパワーメント研究を考察するために 必要なエンパワーメントの定義や概念,フレームワークを,経営学などの主要 な文献を用いて構築していくことにする。また,経営学分野のエンパワーメン ト概念の問題点として指摘されている概念間の整理を行い,これまで経営学分 野でも曖昧にされてきた概念間の関係性を示すことで,経営学と管理会計の両 分野の今後のエンパワーメント研究の発展へ寄与できれば幸いである。

このように,本稿の貢献は,管理会計分野のエンパワーメント研究にこれま でなかったエンパワーメントの定義や概念,フレームワークを提示すること,

および経営学分野でも曖昧にされてきたエンパワーメントを構成する概念間の 関係性を明示することにある。

以下では,まず,管理会計分野のエンパワーメント研究を整理した,挽他

( )と伊藤( )の見解を検討し,問題点を明らかにする。次に,エン パワーメントの歴史を簡単に追いながら,エンパワーメントという言葉が身に まとった「可能性」の視点から,エンパワーメントを定義する。そして,経営 学分野などの主要なエンパワーメント研究を時系列に検討し,主に経営学分野 で用いられるエンパワーメントの概念を整理し,フレームワークを構築する。

さらに,経営学分野などのエンパワーメントの失敗要因や問題点を取り扱った 研究を分析することから,エンパワーメントを構成する概念間の関係性を捉え 直し,経営学分野のエンパワーメントのフレームワークを修正することを通し て,管理会計分野のエンパワーメント研究を整理するために用いるフレームワ ークを構築する。

Ⅱ 管理会計分野以外のエンパワーメント研究の流れ

ここでは,経営学分野などの主要なエンパワーメント研究を,時系列に整理 していき,主に経営学分野のエンパワーメントとは何を表しており,どのよう

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な枠組みかを明らかにする。そして,経営学分野のエンパワーメント概念の概 念間の関係性を整理し直すことを通して,管理会計分野のエンパワーメント研 究を整理するために用いるエンパワーメントの定義,概念およびフレームワー クを構築し,提示する。

以下では,まず,管理会計分野のエンパワーメント研究を整理した先行研究 である挽他( )と伊藤( )を検討し,残された課題を明らかにする。

次に,経営学分野以外の,エンパワーメントが本来取り扱われてきた分野の文 献を用いて,エンパワーメントという言葉とそれが意味するものを定義する。

そして,経営学分野などの主要なエンパワーメント研究を,時系列に整理し,

その枠組みを明らかにする。さらに,エンパワーメントの失敗を研究する文献 を検討することを通して,これまで用いられてきた経営学分野のエンパワーメ ントの概念を見直す。最後に,これまでの考察を踏まえて,管理会計分野のエ ンパワーメント研究を整理するために用いる定義や概念,フレームワークを構 築する。

.管理会計分野のエンパワーメントに関する先行研究の問題点

ここでは,管理会計分野のエンパワーメントに関する研究を整理した先行研 究を考察し,残された課題を明らかにしていく。これまでに管理会計分野のエ ンパワーメント研究を整理した文献は つあり,それらは挽他( )と伊藤

( )である。まず,これらの研究の特徴を述べていく。

⑴ 挽他(

挽他( )は,分権化された組織の管理会計という視点から, 年か ら 年までの日本の管理会計分野でエンパワーメント研究が扱われた の 論文・著書を,エンパワーメントの理論的基礎,エンパワーメントの定義,エ ンパワーメントを促進するための方策および管理会計ツールの つの軸で整理 している。ただし,この つの軸の視点は,あくまでも管理会計の内側からエ ンパワーメントを捉えようとしているものであり,この期間の管理会計分野の

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エンパワーメント研究が,Johnson( )のエンパワーメントの考え方に大 きな影響を与えられているものの,それ以外のエンパワーメントの議論を参照 することはほとんどなく,その概念を詳細に検討してこなかった点を,挽他

( )は不足点として指摘している。したがって,指摘をするものの,経営 学との結び付きから,管理会計分野のエンパワーメント研究を捉え直そうとす るものではない。

⑵ 伊藤(

続いて,伊藤( )は,組織状況の変化に適合した管理会計ツールを考え るという視点から,挽他( )と同様に 年から 年までの日本の管 理会計分野のエンパワーメント研究が扱われた の論文・著書を整理してい る

。彼は,依拠しているエンパワーメントの理論,エンパワーメントの定義,

エンパワーメントを促進するメカニズムおよび具体的な管理会計ツールとい う,挽他( )の つの軸とほぼ同じ視点から検討している。ただし,伊藤

( )も管理会計の内側からエンパワーメントを捉えた上で,挽他( )の 見解と同様に,Johnson( )のエンパワーメントの考え方に大きな影響を 与えられているものの,それ以外のエンパワーメントの議論を参照することは ほとんどなく,その概念を詳細に検討して来なかった点を不足点として指摘し ている。そして,伊藤( )では,宮脇( )のように,Conger & Kanungo

( )やThomas & Velthouse( )などを用いて,エンパワーメントの概

念の一端を紹介している。しかし,挽他( )と同じように,経営学との結 び付きから,管理会計分野のエンパワーメント研究を捉え直そうとするもので はない。なお,伊藤( )は,個々の管理会計ツールと組織構造・組織文化 などの経営システムとの関係を,双方向に影響を与えるものとして捉えてお

( ) 挽他( )と伊藤( )の研究対象の違いは,伊藤( )には挽他( )が 対象にしなかった重複した内容の論文が 本含められており,挽他( )では,伊藤

( )が対象としていない論文が 本含まれているが,ほぼ同じ対象を整理している と言える。詳しくは,挽他( )と伊藤( )を参照せよ。

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り,それぞれの視点から文献整理を行うことも課題としてあげている。

⑶ 管理会計分野のエンパワーメント研究の問題点

挽他( )と伊藤( )の見解に共通するのは,管理会計分野ではほと んどの研究がエンパワーメントの概念そのものを所与のものとして,つまり明 確に特定することなく研究が進んできたこと,そして,エンパワーメントの概 念を明らかにする必要性があると説いていることである。なお,伊藤( ) は,ごく簡単にConger & Kanungo( )やThomas & Velthouse( )を 用いて,エンパワーメントの概念を紹介しているが,それは宮脇( )など でも行われており,管理会計分野のエンパワーメントに関するほとんどの研究 は,エンパワーメントの概念を所与のものとして展開されてきたと言っても過 言ではない。したがって,本稿の貢献の つ目は,挽他( )と伊藤( ) の課題であり,従来はなかった管理会計分野のエンパワーメント研究を整理し ていくための,経営学などのエンパワーメント研究を踏まえたエンパワーメン トの定義や概念,フレームワークを構築することである。

.「エンパワーメント」という言葉の語源と定義

ここでは,経営学の分野にエンパワーメントという言葉が入ってくる前まで のエンパワーメントの歴史的な発展を整理している久木田・渡辺( )を用 いて,エンパワーメントの語源とそもそものエンパワーメントが意味するも の,すなわち定義を明らかにしていく。

Empowerment という言葉は,権利や権限を与える意味の法律用語として

世紀に使われ始め,社会的に広く使われ出したのは,第 次世界大戦後,

アメリカの公民権運動やカウンセリング,フェミニズム運動などの社会変革活 動を契機としてである(久木田・渡辺 ,p. )。久木田・渡辺( )は,

現代社会が物理的・経済的なパワーを中心とする社会から,知識や心理的なパ ワーとそれを生み出す人間そのものを尊重するような社会へと移行しようとす る中で,社会的パラダイムの移行プロセスを捉える概念として,エンパワーメ

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ントに着目している。

彼らの言う人間尊重社会とは,全ての人間が本来持っている潜在能力を最大 限に伸ばし発揮できるような社会を意味しており, 人ひとりがエンパワーメ ントによって,様々なパワーを一生に亘って獲得し,自らの決定とコントロー ルができるような社会,そして,そのような広範なエンパワーメントによって 引き起こされる変革のプロセスの後に形成される平等で公正な社会のことであ る。

さらに,久木田( b)は,エンパワーメントの発想には,「力のない」人々 が力を得ていくという含蓄があることや,「弱者」をエンパワーメントしてい く,すなわち,「強者」が「弱者」に対し力を与え,弱者を解放していくとい う解釈も見られるが,それだけではないとしている(pp. − )。これまで パワーを持たなかったもの(弱者)がパワーを持つようになると,これまでパ ワーを持っていたもの(強者)を含めた社会に,例えば,社会的,経済的,政 治的,心理的および価値的な変化を含む構造的で質的な変化が生じ,これを 関係性のトランスフォーメーション(相互変容)と考え,強者をも含む関係性 の変化と捉えている。つまり,エンパワーメントとは,特定の限られた「場」

で,ある側面の強化によって他の側面も強化され,さらにその側面が元の側面 やそれ以外の側面を強化するような連鎖的で相乗的な作用を意味するものなの である。

このように,エンパワーメントという言葉は,社会や組織で弱い立場の人た ちに権利などを与えるというマイナスからゼロへというイメージの意味だけで はなく,社会全体や組織の中で,ある人たちに権限などの様々なパワーを与 え,潜在能力を引き出すという側面は勿論,そのことにより,権限などの様々 なパワーを与える側も変容し,関係性の連鎖を変化させ,より好い「場」を形 成していくというゼロからプラスへのイメージを持った言葉として捉えること が大切となる。

以上のことを踏まえて,組織を対象とする本稿では,エンパワーメントを,

「組織の中の組織成員に権限や心理的なものも含む様々なパワーを与えて,組

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織成員の潜在能力を引き出すとともに,権限などの様々なパワーを与える側と の関係性を変容させ,新しい関係性を導くもの」と定義しておく。

.管理会計分野以外でのエンパワーメント研究の流れと課題

ここでは,上記 .のエンパワーメントの定義を踏まえながら,管理会計分 野以外のエンパワーメントに関する主要な研究は勿論,それ以外のものでも国 内外問わずできる限り収集し,時系列に整理していくことで,エンパワーメン トの概念がどのように構成されてきたかを明らかにする。なお,整理の際の視 点は,上記 .のエンパワーメントの定義であり,要素としては,どのパワー を与えて組織成員の潜在能力を引き出そうとしているかという視点と与える側 と与えられる側の関係性の変容の視点である。

経営学の分野では,弱い立場のものに権限などのパワーを与えるという問題 は,作業者の労働内容を作業者以外の人間が標準化し合理的に課業管理を行う 科学的管理法に対する批判として,人間の自主性や社会性に焦点を当てた人間 関係論が台頭した当時から取りあげられており,権限委譲の重要性は,職務拡 充論や参加的経営論の中で極めて重要な問題として論じられてきている(上田

)。しかし,エンパワーメントという言葉が経営学分野に表れたのは 年代前後のことである。

以下では,経営学分野の中で,エンパワーメントという言葉が最初に使われ

始めたKotter( )の研究から時系列に整理していく。本稿の対象となる経

営学分野などのエンパワーメント研究は,時系列に,Kotter( ),Kanter

( ),Conger & Kanungo( ),Thomas & Velthouse( ),金井( ),

保田( ),Spreitzer( ),Bartlett & Ghoshal( ),Mohrman( ),

久木田( b),井上( ),開本( ),植戸( ),青木( a),

森山( ),磯( ),田尾( ),木村( ),今田・金井( )で ある。

なお,繰り返しになるが,整理の際の視点は,上記 .のエンパワーメント の定義から導かれたもので,「どのパワーを与えて組織成員の潜在能力を引き

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出そうとしているか」と「与える側と与えられる側の関係性の変容」の つの 視点である。

①Kotter( )・Kanter( )

年代後半から 年代に入ると,Kotter( )やKanter( )な どに代表されるように,組織が市場に素早く適応するためには,権限をミドル マネジメントなどに委譲していくという形のエンパワーメントが注目されるよ うになった。

したがって,権限というパワーを与えて,ミドルマネジメントを活性化しよ うとしていると考えられる。

②Conger & Kanungo( )

Kotter( )やKanter( )のような権限委譲によるエンパワーメント

の概念を拡張し,一石を投じたのがConger & Kanungo( )である。彼ら は,権限委譲の側面だけのエンパワーメントがうまく機能していないことか ら,エンパワーメントを関係概念と心理的概念の つの側面から捉え,実践し ていこうとした。

まず,関係概念とは,社会学的にパワーを捉え,組織成員間あるいは組織成員 と組織単位間でのパワー関係を記述する概念で,主にConger & Kanungo( ) までのエンパワーメントの文献で扱われてきた権限委譲を指している。

次に,心理的概念とは,組織成員の自己効力や有能感が高まる心理的な状態 を記述する概念であり,心理的にエンパワーされた状態とは,部下が自分はや ればできるという自己効力感を持った状態であるとしている。また,彼らは,

心理的にエンパワーするためには,例えば,参加的経営,目標設定,フィード バックシステム,モデリング,能力ベースの報酬および職務充実という要素が 必要であるとした。

したがって,権限だけでなく心理的なパワーも与えて,組織成員の積極的な 行動を促そうとしていると考えられる。

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③Thomas & Velthouse( )

Thomas & Velthouse( )は,Conger & Kanungo( )の流れから,組 織成員がパワーを持っていると認知された状態が心理的にエンパワーされた状 態であると捉え,そのためには,例えば,やればできるという自己効力感,自 分が選択して決定しているという自己決定感,自分の行っていることには意味 があると思える有意味感,および周りに影響を与えているという自覚を持つこ とができる影響感を持っている状態であるとした。これらの要素を組織成員が 得るためには,組織成員を取り巻く環境となる,例えば,リーダーシップのあ り方,権限委譲,職務設計および報酬システムなどを操作することで,組織成 員個人の行動の結果や将来の結果に影響を与えることができると考えた。

したがって,権限などのパワーを持つことが心理的なパワーが充足すること であると捉え,組織成員が自己決定感を持ち,自己効力感や有意味感を持って 行動し,影響感を感じられるように環境を整えることが必要であると考えられ る。

④ 金井( )

金井( )は,変革型ミドルマネジメントが仕事を遂行する上で直面する ものとして,情報とパワーに関するギャップをあげている。情報ギャップに関 しては,何らかの情報収集行動に向かわせる不確実性低減行動を取らせ,パワ ーギャップに関しては,何らかの政治的行動である依存性対処行動を取らせる としている。金井( )は,ミドルマネジメントの職務に内在する根深い挑 戦課題をパワーギャップとし,また,変革型ミドルマネジメントが新たな課題 に革新的に挑戦するには,部下に思い切って任せる必要があり,日頃からの育 成を心がける必要があるとしている。

したがって,情報と権限というパワーを与えて,ミドルマネジメントを革新 的な行動に向かわせるとともに,仕事を部下に任せる関係を作ることを指摘し ていると考えられる。

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⑤ 保田( )

保田( )によれば,雇用慣行の再構築をはかる目的で,雇用慣行を見直 すことの意味は,改めて今までの個人と組織の関係という基本的な枠組みの再 構築を求めることであると述べている(p. )。個人および組織の各々が主体 的に考え,行動できることが対等なパートナーの基本であり,人と組織を対等 なパートナーとした新しい関わりが今求められており,従来までの集団として の「人」ではなく,「自律した個人」として組織成員を捉え直さなければなら ないとしている。

したがって,組織と組織成員が対等なパートナーになることができるように 権限というパワーを与えて,組織成員の自律的な行動を促そうとしている。

⑥Spreitzer( )

Spreitzer( )は,Thomas & Velthouse( )までの理論を基にして,

年後半から 年前半にかけて,フォーチュン の組織の様々な部門で働く 人のミドルマネジメント(中間管理職)を対象に,Thomas & Velthouse

( )が示したエンパワーメントの心理的概念を構成する つの要素である 自己効力感,自己決定感,有意味感および影響感を調査した所,組織成員の役 割のあいまい性が心理的なエンパワーメントに高く影響し,統制の範囲,社 会・政治的な支持,情報へのアクセスおよび部門の風土がある程度影響を及ぼ していることを示した。

したがって,組織成員は,自律的に行動できると,心理的なパワーが満たさ れた状態となることから,組織成員が自律的に行動できる組織環境作りが組織 成員の心理的な満足を促すと考えられる。

⑦Bartlett & Ghoshal( )

Bartlett & Ghoshal( )は,ISS(International Service Systems)や M

(Minnesota Mining & Manufacturing Co.),ABB(Asea Brown Boveri)の事例から,

個を活かす企業の組織成員が取る企業家的な行動の つの特徴を導き出した。

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・個人の自発性を引き出すためには,自分が関与していることについて は,「当事者意識を持つ」ように仕向ける。

・自分が当事者意識を持っているという自覚に加え,強い自己規律も必要 である。これは,現場の自発性を企業の全社的方向に合わせ,あちこち に散らばっている企業家精神が混沌とした状態に陥るのを防ぐためであ る。自己規律は個人が持っている行動基準のことであり,上から課せら れる管理とは異なるものである。

・マネジメント(管理者)は,部下の疑問に答え,失敗を許容するような 支援的な文化を作ることで,個人を尊重していることを示す必要があ る。そのような環境でなければ,現状を変えるために必要なリスクを自 由に取ることもできず,組織成員個人への真のエンパワーメントは実現 できない。

彼らは,人間,権限,そして戦略的資源の全ての面で大きな移行があって初 めて,従来の権限委譲が真のエンパワーメントに変わると捉えており,エンパ ワーメントを,上司の権限の一部を部下に委譲し,その運用を任せるととも に,必要な情報,経営資源および育成のサポートを与えることとしている。

彼らは,社内の雰囲気が変われば,それが組織成員の行動に影響を及ぼすと 考え,「服従・コントロール・契約・制約」の要素を持つ伝統的な企業の行動 環境から,「規律・サポート・信頼・ストレッチ」の要素を持つ,絶えず自己

( ) Bartlett & Ghoshal( )では,以下のように説明している(訳pp. − )。規律

とは,命令や方針に闇雲に従うことではなく,組織成員が見通しやコミットメントに基 づいて行動するために深く身についた規範であり,サポートとは,コントロールの代わり になるものであり,上司と部下の関係が指導,支援およびガイドとなり,コントロール が支配していた上下の関係だけでなく,同僚同士の横の繫がりにも同様に当てはまるも のである。信頼は,組織のプロセスが透明でオープンな企業に生まれ,公正な経営慣行 によって強化されるものであり,信頼し合う社員は,互いの判断に依存し,互いのコ ミットメントを信じるようになる。ストレッチとは,個人の持つ潜在能力を完全に引き 出すように刺激し,それぞれの組織が最高の水準に達することができるように組織成員 に挑戦させる,組織に深く根差した規範であり,課せられた基準であり,個人の向上心 を高め,自分や他人に対する期待値を高めるように奨励するものである(訳p. )。視 野を狭め活動を制限する制約とは対照的に,ストレッチは,組織成員に,もっと野心的 な目的に向かって邁進する気持ちを引き起こすのである。

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革新を続けられる企業の行動環境を構築することを提案している。

したがって,「規律・サポート・信頼・ストレッチ」の要素を持つ組織環境,

つまり権限だけでなく心理的なパワーも与えることが,組織成員の当事者意識 を育むと同時に,彼らを自己規律的な行動へ向かわせると考えられる。

⑧Mohrman( )

Mohrman( )は,エンパワーメントを個人,グループおよび組織の目的・

目標の達成に影響を与えることができるものと捉え,エンパワーメントを,心 理的概念,社会的概念および組織設計の つの概念から構成されるものとして いる。心理的概念に関しては,個人のスキルや能力に関する自信に基づく成功 するであろうと信じる力である自己効力感に関係すると捉えている。社会概念 や組織設計に関しては,次の 点を強調している(p. )。まず,組織成員を エンパワーして意志決定させていくには,組織成員個人のスキルや動機と同様 に,組織の慣習,組織構造,方針および評価・管理システムによって組織成員 の行動が制約を受けるとしている。次に,エンパワーメントによる組織成員個 人やチームの自律性を考えると,そもそもエンパワーメントは,組織の方向性 や強調したいことを含んだ形で定義されるものなので,組織全体の責任の中に 位置づけられなければならないとしている。

このように,Mohrman( )によれば,エンパワーメントは,組織成員や チームの「自律性」を追い求めるものであるにもかかわらず,その自律性は組 織の方向性に規定されるものとされている。

したがって,エンパワーメントは,組織成員に権限や心理的なパワーを与え て,自己効力感を持つことができる行動を促すが,組織構造や評価の仕方など の組織のあり方に規定されると考えられる。

⑨ 久木田( b)

久木田( b)は,特定の限られた「場」での,エンパワーメントの相乗 効果とは,ある側面の強化によって他の側面が強化され,さらにその側面が元

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の側面やそれ以外の側面を強化するような連鎖的な作用を意味しており,エン パワーメントのプロセスが通常,弱者の強化と力の獲得を意味するのに対し て,トランスフォーメーション(相互変容)は強者をも含む関係性の変化を意 味するとしている(p. )。また,エンパワーメントのプロセスを促進するた めに行われる介入で最も大切なことは,働きかける側の態度と弱者との関係性 であり,一方的に働きかけることや弱者の自己決定を疎外するような関わり方 は,エンパワーメントを促進しないと述べている(p. )。

したがって,エンパワーメントは,組織成員に様々なパワーを与えること で,組織成員間あるいは組織成員と組織単位の関係性をより好いものに変容さ せていこうとするものと考えられる。

⑩ 井上( )

井上( )は,組織成員の組織内での累積情報がエンパワーメントの鍵と 考えている。日本企業には,組織成員全員が組織行動に関わる情報をやり取り する「見えざる情報ネットワーク」があり,入社と同時に加入することになる。

そのため,組織成員の進む方向が組織の方向と一致するのは,会社や上司の統 制や規制があるからではなく,組織成員個々人が自分のデータベースの中に形 成している方向感や役割意識が共有されているからである。日々の営みが強 く,組織全体として関わりが活発で交換された情報が多いと,方向感や役割意 識の共有度が上がる。その結果,組織成員個々人が自分で選ぶ行動の方向が組 織が望む方向と一致する。やり取りが少ないと情報共有度が下がり,独りよが りで行動する組織成員が増えて,組織はバラバラになる。つまり,日常の業務 に関わるやり取りを重ね,情報累積を増やし,納得度を高めることで, 人ひ とりの内面でのエンパワーメントが行われ,「自分はこうやろう」というやる 気が自然に形成されるとしている。

したがって,公式・非公式の情報というパワーを持つことによって,また,

その累積によって,組織成員はエンパワーされ,組織のベクトルに近い行動を 行うとともに,自分でやる気を生み出していくと考えられている。

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⑪ 開本( )

開本( )では,研究開発部門を対象にして,エンパワーメントを心理的 エンパワーメントと状況的エンパワーメントという つの側面から測定しよう とした。心理的エンパワーメントとは,心理的に元気づけられ,活力が漲った 状態を表しており,状況的エンパワーメントとは,成長機会・権限委譲・支援 などであり,好意的な職場環境を表している。結果としては,上司の有能感は 部下の気持ちを萎えさせることや,自分の能力に自信を持ち,周りの環境が自 分にとって不利ではないという認識が,組織成員のやる気を促すことが分かっ た。なお,開本( )自身の具体的なエンパワーメントの定義は示されてい ない。

したがって,組織成員に心理的なパワーと状況的なパワーである好意的な職 場環境を与えることで,組織成員と組織単位の関係がより好いものに変化して いくと考えられる。

⑫ 植戸( )

植戸( )は,社会福祉の実践場面でのワーカー(組織成員)とクライエ ント(相談者)のエンパワーメントを考察している。彼女は,エンパワーメン トを,個人や集団がパワーを獲得することと捉え,自らの生活をコントロール し,社会に変革を起こしていくことであるとともに,援助の理念・目標でもあ り,援助のプロセスあるいはアプローチであるとしている。

したがって,クライエント(相談者)に権限などのパワーを与えることで,

クライエント(相談者)とワーカー(組織成員)およびクライエント(相談者)

と社会との関係性が変わっていくと考えられている。

⑬ 青木( a)

青木( a)は,エンパワーメントと企業戦略との関連を, 年から

年にかけて日本の製造企業約 社を対象に行った調査データを用い て,新しい戦略の創発を促す組織成員の創造性とそれを組織内で共有する創造

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的な学習に焦点を当てて分析した。その結果,組織成員は心理的にエンパワー されると,挑戦意欲を高め,能力を発揮し,創造性を発揮することが示され た。

したがって,組織成員に心理的なパワーを与えると,挑戦意欲が高まり,創 発的な行動を促すことができると考えられる。

⑭ 森山( )

森山( )は,医療関係者の間でもエンパワーメントが関心の的になって おり,その理由として,患者を強くして病気に打ち勝つ能力を高めることが できる点をあげている。親身な一言が,痛みに耐えていた心を開かせ,その 言葉により変容できれば,本人がやる気を起こし,成果に繫がると述べている

(p. )。

したがって,患者と医療関係者(組織成員)との関わりから,患者は心理的 なパワーや情報に関するパワーを持つことで,自らの行動を変えることがで き,より積極的な行動を起こすことができると考えられる。

⑮ 磯( )

磯( )は,一般的なエンパワーメントを,組織成員に能力や権限を与え ること,あるいは力を付けることを意味するとしている。また,人にパワーを 与えるということだけでなく,本来,人は知識や意欲を持っているものであり,

その持てるパワーを状況に合わせて引き出していくことをエンパワーメントと している。組織成員たちに参加による動機づけを行い,仕事に自主的に取り組 ませ,組織の活性化をはかろうとするのがエンパワーメントの考え方である。

自分自身をエンパワーできる人,すなわちセルフエンパワーメントを日常的に 発揮できる人は,職場の中で一緒に仕事をしている人を元気づけ,力づけるこ とのできる人であると捉えている。

( ) 回収された調査票は, 年が 社, 年が 社,そして, 年が 社 であり,本文では, 年間の平均回収企業数を示すことにした(青木 ,p. )。

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経営の場面では,エンパワーメントとは,与えられた業務目標を達成するた めに,組織メンバーに自律的に行動する力を与えることを言う(p. )。エンパ ワーメントの特徴は,自律性を促し,支援することにある。自律性を促すとは,

業務の遂行にあたって,リーダーが業務目標を明確に示す一方で,その業務方 法については,組織成員の自主的な判断に委ねることを意味している。また,

支援するとは,具体的な指示や解決策を組織成員に与えるのではなく,組織成 員自身が問題点を発見したり,不足する能力を開発したりできるように,職場 の環境を整えることを意味している。

したがって,組織成員に様々なパワーを与えることは勿論,組織成員に眠る パワーを引き出せるような支援を組織が行うことが必要であり,そのような関 わり方が組織と組織成員との関係性に変化をもたらすと考えられている。

⑯ 田尾( )

田尾( )は,組織が活性化するためには,部下にパワーを与え,それぞ れが責任を持って働けるような仕組みに作り替えなければならないと考えてい る(p. )。組織とは,通常,時間を経るごとに作業がルーティン化して,組 織成員が意欲的でなくなるため,エンパワーメントを,再度の意欲を喚起する 仕掛けでもあり,やる気を失っているというよりも眠っている部下の資源を相 応に探り当て,表に引き出すこととしている。なぜなら,部下,特に若い人 は,自分の仕事の内容に自信を持っていないと考えられるからである。つま り,上司が部下と共有できる物理的・心理的な世界の大きさが部下のモチベー ションを支えることに繫がると考えられている。具体的には,権限の分散化,

参加,コミュニケーション回路などの開放,直属の上司のリーダーシップ,文 書化などの情報管理の刷新および部下との情報共有などが,エンパワーメント を促し,部下に自由裁量の余地,あるいは可能性を残して,上司が共に何かを 行い,さらに,部下に自分だけでも何かができるというエンパワーされている 気分を与えることは,特に若い人を意欲的にさせると考えられている。

したがって,上司が権限や情報,心理的なパワーを部下に与えること,なら

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びに上司が様々なパワーを部下と共有することが,部下の積極的な行動に繫が ると考えられている。

⑰ 木村( )

木村( )は,人的資源管理における施策・指標の つとしてエンパワー メントを捉え,仕事経験からの学習がエンパワーメントに与える効果を検証し ている。具体的には,仕事の遂行を通じた成長が組織成員の心理的エンパワー メントに与える影響を分析しており,組織成員を心理的にエンパワーするため には,組織成員に,力を与えられた,力を引き出されたという感覚を持たせる ことが重要であり,個人の認知が必要であるとしている。日常の業務中の気づ きの習慣化が心理的エンパワーメントに与える効果とともに,気づきの習慣化 によって影響を受けた心理的エンパワーメントが,組織成員の成長を追求する 行動に与える効果を実証的に解明しようとしたが,可能性が示されたのみで あった。

したがって,日々の仕事の経験からもたらされる気づきは,心理的なパワー を組織成員自身が持つことに繫がっており,そのような気づきを組織成員に促 す,組織成員間や組織単位と組織成員との関係性が重要であると考えられる。

⑱ 今田・金井( )

今田・金井( )は,自己組織化という文脈の中でエンパワーメントを捉 えており,組織成員のエンパワーメントを,ソーシャルワークの分野でこの言 葉に込められる意図を引き合いに出し,生きる力や事柄を成す力を剝奪されて しまった人が本来の力を最大限に発揮するように支援することであり,管理す ることではなく支援することがエンパワーメントという言葉が考案された由来 であるとしている。

現場の人に,任せた,頑張れと言うだけでなく,情報とか支援とか応援の裏 づけがあった上で任せたと言うことが大切であり,ただ任せたと言うだけでな く,資源や情報の裏づけがあった上で真に元気づけるという意味合いで,エン

(18)

エンパワーメント

関 係 概 念

心理的概念

権 限 委 譲

???

パワーメントという言葉を使うことがあると述べている(p. )。

したがって,組織成員が本来の力を発揮できるように,権限や情報,心理的 なパワーを与え,支援する環境を整えることで,自然に自発的な組織成員の行 動を促すことができると考えられている。

以上のように,経営学などの分野では,それぞれの研究の視点からエンパワ ーメントが捉えられているが,共通するものとして,様々なパワーを組織成員 に与えるプロセスで,組織成員の心理状態を好いものにして,組織成員間ある いは組織成員と組織単位との関係性をより好い方向に変え,組織成員の積極 的な行動を促そうとしている点をあげることができる。つまり,このような エンパワーメントの考え方には,様々なパワーを与えるという側面と組織成 員の心理状態という側面が存在しており,この考え方の根本には,Conger &

Kanungo( )のエンパワーメントに対する捉え方が当てはまると考えられ

る。なぜなら,Conger & Kanungo( )では,エンパワーメントを,関係 概念と心理的概念の つの側面から捉えており,まさに経営学分野などのエン パワーメントの捉え方の根底に位置する考え方であると判断することができる からである。

それでは,Conger & Kanungo( )のエンパワーメントを構成する関係 概念と心理的概念の関係を図で表すと図 のようになる。エンパワーメントの 概念を構成する関係概念は,権限委譲などのことを指し,心理的概念は,自己

【図 】Conger & Kanungo( )の関係概念と心理的概念

(19)

効力感などを指すが,これまでの文献の整理でも明らかなように,エンパワー メントの心理的概念は組織成員の心理的な状態を指すが,それが何によっても たらされるかは明確に記述されていない。つまり,関係概念は権限が委譲され ることで組織成員間の関係性が変容することを意味しているとしても,心理的 概念が何によってもたらされるかははっきりとしていない。また,そもそも心 理的概念は何によって構成される概念かも明らかではない。

心理的概念の側面を充たせば,組織成員の創造的な行動を促すことができる という実証結果(青木 )もあるが,なぜ,そのような行動を誘発できる かはもう少し検討する必要がある。次節では,エンパワーメントの心理的概念 に着目して,その研究経緯を辿って行き,心理的概念の構成要素などを詳しく 探っていく。

.エンパワーメントの心理的概念を構成する要素

ここでは,Conger & Kanungo( )やThomas & Velthouse( )が示し た自己効力感,自己決定感,有意味感および影響感などのエンパワーメントの 心理的概念を表すこれらの要素に関する研究を時系列に整理しながら,Conger

& Kanungo( )の心理的概念の意味を明確にしていく。

なお,ここでの対象となる研究は,時系列に,Harlow( ),White( ),

DeCharm( ),Deci( ),Seligman( ),Bandura( ・ ),

Csiksezentmihalyi( ),Deci & Flaste( ),久木田( a)である。

①Harlow( )

Harlow( )は,猿にパズルを解かせる実験を通して,上手に扱うことや

探究心のみに動機づけられた時のみ,何時間もパズルに取り組み,熟達度が高 まることを発見した(pp. − )。また,上手に扱うことや探究心に加えて餌 が動機づけに用いられると,餌が与えられなくなった時点で,興味を失いパズ ルを解くことを止めることも発見した。

(20)

②White( )

White( )は,環境と効果的に相互作用する能力として有能感を示し(p.

),有能感を持つことが内発的な満足をもたらし,人は有能感を得るために 様々な活動に取り組むとしている(pp. − )。

③DeCharm( )

DeCharm( )は,自己原因性(personal causation)を動機づけの本質と

捉えている(p. )。DeCharmによれば,人間は自己原因性を求め,自分の 行動の原因の主体あるいは起源が自分でありたいとしようとすることから,自 己原因性を,自分の周りの環境を効果的に変化させようとする人間の根本的な 動機づけの傾向とした。

彼はチェスの指し手(Origin)と駒(Pawn)の例をあげ,自己原因性を次の ように説明している(pp. − )。チェスの指し手は,自分で考えて駒を動 かしているので,自分の行動を自分で選択・決定しており,自分の中に行動の 原因があるため,自己原因性を強く感じることができるが,一方のチェスの駒 は,指し手によって動かされるので,自分の行動は自分ではどうしようもでき ない他の力によって決定されているため,自己原因性を感じることはないので ある。つまり,自己原因性とは,自分が外的な力によって操られるチェスの駒 のような存在ではなく,チェスの指し手のように,自分が自分自身の行為の

「源泉」でありたいという欲求のことである。

このように,自己原因性は,自己決定感や影響感に繫がる概念であると考え ることができる。

④Deci( )

Deci( )は,自己を有能で自己決定的であると感知できるようにするこ

とが内発的動機づけを生み,チャレンジ精神を育むことになると述べている

( ) White( )は,有能感の動機づけ側面を特に効力感(feeling efficacy)と呼んでいる

(p. )。

(21)

(pp. − )。つまり,有能感と自己決定感が内発的動機づけに繫がり,人は物 事に挑戦していくと考えられている。

⑤Seligman( )

Seligman( )は,犬などの動物に電気を流す実験から,電気を流されて

も回避できないことを動物が学んだ場合には,電気から逃げることができる状 況でも電気を受け続けることを発見した。これらの実験から,対処が不可能な 事象を経験した生体が,自分の反応は無意味であると学習すると,その学習が 反応の誘引を下げて,行動の動機づけを妨害する(訳p. )。また,事象が対 処可能なものに変わった時でも,先ほどの学習が認知を抑制し,対処可能であ るという学習が進まず,認知的な歪曲が生まれことになる。これをSeligman

( )は,学習性絶望感(無力感)とした。

⑥Bandura( ・ )

Bandura( ・ )は,恐怖症を持つ人の治療から,簡単に成功できる

ような成功体験を積み重ねても,確固たる自己効力感を作ることはできないの で,忍耐強く取り組み,努力を重ねることで克服していくような成功体験を積 む必要があるとし,いったん確立された自己効力感は,他の状況に一般化でき ると述べている。

⑦Csiksezentmihalyi( )

Csiksezentmihalyi( )によれば,フローとは, つの活動に深く没入し

ていて他の何物も問題とならなくなる状態,つまり,その経験それ自体が非常 に楽しいので,純粋にそれを行うことのために多くの時間や労力を費やすよう な状態のことを言う(p. ,訳p. )。何かをやらされている時には絶対に感じ ることのない感覚である。

(22)

⑧Deci & Flaste( )

Deci & Flaste( )は,内発的な動機づけが,人に,豊かな経験,概念の

理解度の深さ,レベルの高い創造性およびより良い問題解決を導くことになる と述べている(訳p. )。

Deci & Flaste( )では,人が外発的に動機づけられやすい理由は,自己

が希薄だからであるとしている(訳pp. − )。自己が希薄な人は,外的な 基準に頼って自分の価値を判断しようとしており,外的な目標を達成できるか どうかで随伴的自尊感情

が生じるようになる。特に若い頃にそうした環境で 育った人たちは,自分の価値を判断する基盤として,外的基準に注意を向ける ようになり,例えば,初めは両親が必要だと指摘したもの,後には社会が暗黙 にあるいは明示的に提唱したものが自分の価値を判断する基準となる。そし て,自己が希薄であれば,外的な目標を達成したとしても,満足感や内発的欲 求が満たされることはないのである。なぜなら,外的な目標は,自分の内から 発した目標ではないからであり,外的基準に沿って行動しているその人は,偽 りの自己を演じているからである。

Deci & Flaste( )は,有能感のみが高い動機づけを生む本質となるので

はなく,有能感に自律性の感覚が伴われて初めて最高の結果が生じることを強 調している(訳pp. − )。彼らはその理由を,人は自分を取り巻く世界に関 わる中で,有能感を発達させると同時に,活動をより自律的に行える時には いっそう効果的に振る舞うことができるようになり,より大きな満足感が人に もたらされるからとしている。

⑨ 久木田( a)

久木田( a)では,エンパワーメント概念と最も近い教育分野における

概念は,発達心理学,認知心理学および社会心理学などの発展の中で生まれた 内発的動機づけの理論であると述べている(p. )。内発的動機づけの理論は,

( ) 例えば,簡単に言うと,良い子にしていればお菓子を買ってあげるや掃除をすれば敬 うなどである。

(23)

Pavlov( )以来主流を占めていた外からのコントロールのための外発的 動機づけに対して,個人の本来持っている好奇心や課題の選択と解決方法に ついての自己決定,課題遂行時の効力感などを説明することによって,学習者 がいかに学習意欲を高め,かつ自発的に問題を発見し解決していくかを示して いる。

以上のように,エンパワーメントの心理的概念を表す状態とは,前向きなプ ラスの心理状態を表すものであり,例えば,上記の研究からは,有能感や自己 決定感(自己原因性),自己効力感があり,他にはThomas & Velthouse( ) に出てくる影響感や有意味感などがあげられる。また,有能感や自己決定感,

自己効力感などは,そもそも内発的に動機づけられたものか,それとも外発的 に動機づけられたものかによって,その効果や持続力が異なると考えられる。

つまり,エンパワーメントの心理的側面は,さらに,外発的に動機づけされる 側面と内発的に動機づけされる側面の つに分けることができる。これを図示 すると,次ページの図 のようになる。

エンパワーメントの心理的概念は,外発的動機づけによるものと内発的動機 づけによる要素に分けることができると考えられる。ただし,依然,何によっ て心理的概念が満たされるかは明らかではない。これを図示すると,次ページ の図 のようになる。

例えば,権限委譲が関係概念を満たすと同時に心理的概念を満たすことにな るのか,あるいはそもそも心理的概念を満たすものが関係概念にも影響を与え るかは現段階では分からない。つまり,経営学分野などの研究でも,関係概念 と心理的概念は所与であり,明確に関係概念と心理的概念の関係を検討してい る研究は皆無である。この点にアプローチする所も本稿の大きな貢献部分であ ると考えられる。次節では,この つの概念の関係性を,エンパワーメントに 批判的な研究を整理することによって得られる課題から,検討していくことに する。

(24)

エンパワーメント

関 係 概 念

心理的概念

内発的動機づけ

外発的動機づけ

エンパワーメント

関 係 概 念

心理的概念

権限委譲

???

.エンパワーメントの関係概念と心理的概念の関係性

ここでは,エンパワーメントに批判的な研究で取りあげられている,エンパ ワーメントの失敗事例から導かれる要因を整理し,それを基にエンパワーメン トの関係概念と心理的概念の関係性を見直すことで,これまで曖昧だった関係 概念と心理的概念の関係性を探っていくことにする。

なお,ここでの対象となる研究は,エンパワーメントに対する批判的な記述 が記載されている文献を対象とし,時系列に,金井( ),Randolph( ),

Bartlett & Ghoshal( ),Blanchard他( ),Simons( a・b),Mohrman

( ),Argyris( ),Forrester( ),山 中( ),上 田( ),青 木

( b),青木( )である。

【図 】Conger & Kanungo( )の心理的概念の つの区分

【図 】Conger & Kanungo( )の心理的概念を充足させる要因

(25)

① 金井( )

金井( )は,若くして大きく任されることの意味を,情報・教育産業に 属するある会社の新人 人の適応調査から考察している。決してエンパワー メントという言葉を使っているわけではないが,「若くして大きく任せる」と いうことは,新しく権限を委譲し,自律性を高めることと解釈でき,そこで は,「大きく責任が任されると,新人は広範な情報チャネルへの感受性を高め る」が,一方で,「上司から思い切って任されると,実は新人は,情報源とし て上司を余計に気にかける」という。つまり,任せようとすればするほど,任 される方は,任せてくれた人を気にして意志決定をしてしまうという,任せる ことのヒラメ・パラドクスが起こる可能性を示唆している。

②Randolph( )

Randolph( )は,エンパワーメントを,意志決定権限を委譲するだけで

なく,組織成員が既に持っている豊かな知識と内発的な動機づけ要因を共有す ることとしている。このようなエンパワーメントが失敗する原因として,官僚 的で階層的な組織文化の中で育ってきた組織成員とマネジメント(管理者)に とっては共に,ここで身につけた習慣や予測,規範を直ぐに変えることが難し い点をあげている。そして,帳簿の公開を含む様々な情報を共有し,ヒエラル キーを自律的なチームに変えるなど,組織のあらゆる構造を変えることで,組 織成員に自律性を与えることが大切であるとしている。このように,Randolph

( )は,マネジメント(管理者)と組織成員がエンパワーメントに慣れて おらず失敗してしまうことを指摘し,組織構造を変えることでエンパワーメン トの関係概念を強化することを提案しているが,心理的概念に関しては,どの ように自律性を創造するかについての具体的な記述はない。

③Bartlett & Ghoshal( )

Bartlett & Ghoshal( )は,人間,権限,そして戦略的資源の全ての面で

大きな移行があって初めて,従来の権限委譲が真のエンパワーメントに変わる

(26)

と捉えて,エンパワーメントを,上司の権限の一部を部下に委譲し,その運用 を任せるとともに,必要な情報,経営資源および育成のサポートを与えること としている。これまで,資産や資源,責任を下に委譲する必要性を認めたマネ ジメント(管理者)たちが犯してきた大きな過ちの つは,権限を委譲する際 に行動のガイドラインをほとんど示さず,また期待される成果も明確にせず,

さらには業績評価の基準も曖昧にしてきたことであり,エンパワーメントとは 放任することではないと述べている(訳pp. − )。企業が焦点や方向性を定 め,業績を達成し得たのは,企業家的組織の戦略計画や事業予算を厳しく管理 したからではなく,組織成員 人ひとりの毎日の仕事や行動の中に,全社的な レベルで規律を深く刻み込ませたからであり,規律という一定の秩序が存在す るからなのである。彼らが考える組織に規律を徹底させていくための最も有効 な手段は,明確な業績基準を設け,情報を公開し,社内の同僚たちとの比較に 基づいて,継続的に挑戦させる環境を作り上げることである。

また,多くの企業で変革が失敗する 番大きな要因は,現場の組織成員が企 業家的行動を取ることができないことにあるのではなく,上司が彼らに自由を 与え,支援することができないことにあるとしている。例えば,分権化された 小さな事業ユニットを作ったり,業績基準を定義し,それを支援する情報の 流れを作ったりすることは,企業家活動を促進する組織環境を創造する上で,

大変大きな力となる。しかし,従来の階層組織の中で従順に物事を進めていく 習慣が身についているため,組織成員たちが新たな自由を有効活用する上での 態度や知識,あるいはスキルを持ち合わせてないのである。特にミドルマネジ メントやシニアマネジメントにとって,これまで彼らの役割を定義づけ,権威 を正当化してきた多くの管理業務を手放すことは非常に難しく,重要な経営資 源の管理や活動の責任が現場に移されたことで,マネジメント(管理者)の多 くは,もはや自分は会社にとって不要な存在になったのではないかという不安 に駆られ,他の組織成員へのエンパワーメントを,自分が骨抜きにされること を意味すると捉えたことから,エンパワーメントが促進しなかったとBartlett

& Ghoshal( )は述べている(訳p. )。そこで,彼らは,マネジメント

(27)

(管理者)の役割を従来の管理重視のものからコーチのような役割に変え,新 たに権限委譲された現場のマネジメント(管理者)や組織成員が期待通りの企 業家になれるように支援する必要があることを強調したのである。

これらのことを踏まえて,彼らは,社内の雰囲気が変われば,それが組織成 員の行動に影響を及ぼすと考え,「服従・コントロール・契約・制約」の要素 を持つ伝統的な企業の行動環境ではなく,「規律・サポート・信頼・ストレッ チ」の要素を持つ,絶えず自己革新を続けられる企業の行動環境を構築するこ とが大切であると考えたのである。

このように,Bartlett & Ghoshal( )は,エンパワーメントを進めていく ためには,規律やコントロールが必要であることを強調している。エンパワー メントの関係概念に関しては,組織成員が当事者意識を持つことができる環境 や自己規律できる環境,情報の公開および経営者・マネジメント(管理者)が 支援者として組織成員に接することをあげており,心理的概念に関しては,関 係概念を整えれば,組織成員は自律性を持って行動できるようになると考えら れている。

④Blanchard他( )

Blanchard他( )は,エンパワーメントを,いまだ十分に活かされ切れ

ていない人間の能力を伸ばし,最大限に活用するための手段を提供するものと している。また,エンパワーメントとは,パワーを与えることではなく,人に は本来,知識や意欲という形の漲るパワーが備わっていて,最高の仕事を行お うとするものなので,このパワーを引き出すことを指すと述べている(訳p.

)。例えば,エンパワーメントが実践されている組織では,組織成員はベス トのアイデアを出し,進んで仕事を行うようになるだけでなく,仕事に喜びを 感じ,会社は自分のものという意識を持ち,誇りを持って仕事に取り組むよう になることが示されている。さらに,組織成員がまず最初に組織の利益を優先 した上で,責任ある行動を取るようになることも示されている。

彼らは,エンパワーメントを実現するための つの鍵を導き出している。な

(28)

お, つ目の鍵の情報共有が他の つの鍵の基礎となっている関係である。

・組織成員全員で,情報(利益,競合他社,競争の度合い,マーケット シェア,生産性および今の問題点など)を共有すること。

・仕事の範囲を決め,自主管理領域を作ること。

・階層組織を自己統率チームと取り替えること。

エンパワーメントが成功した企業では,組織成員は,責任が増えた分,やり がいを感じるようになったり,次々とアイデアを出すようにもなったりする 他,仕事の質を上げることによって,もっと速く仕事をしたり,もっとコスト を下げることができるのではないかと知恵を絞ったりするようになったと記さ れている。

ただ,一方で,エンパワーメントの職場を作るには,マネジメント(管理者)

は,命令や統制するという意識を捨て,部下を支援し,部下に責任を持たせる ような環境作りに専念すべきであるが,単に話をしただけで組織成員に行動の 変化を期待してもエンパワーメントは実現できないとしている。なぜなら,こ れまで自発的に仕事を行ったことがないとか,意志決定に参画したことがない という組織成員であれば,どうすれば良いかが分からないからであると述べて いる(訳p. )。

このように,Blanchard他( )では,エンパワーメントの関係概念に関 しては,情報の共有化と階層組織から自己統率チームへ組織を変えることがあ げられており,心理的概念に関しては,情報の共有化と組織を自己統率チーム 化することによって,組織成員がやりがいを感じ,自ら知恵を出して行動して いることから,組織成員に有能感や自己効力感,自己決定感を持たせることが できると考えられている。

⑤Simons( a・b)

Simons( a・b)は,組織内の相反する要因,例えば,無限の機会と有限

の注意力,トップダウン戦略とボトムアップ戦略,革新と予測可能性および学 習とコントロールという相反するものの緊張関係をどのように調和するかをテ

(29)

ーマとしている。例えば,市場競争の激化と市場動向の速さから,顧客と緊密 に接触できる下方の組織成員たちに意志決定権を下ろさなければならないこと に迫られたマネジメント(管理者)が,意志決定権をより上位のレベルからよ り下位のレベルへと移すという意味での組織成員に対するエンパワーメント は,反応的な組織を構築するための必要条件であったと捉えられている。

しかし同時に,意志決定権の部下への委譲は,危険性も孕んでいるとし,エ ンパワーメントに関する文献の大半は,エンパワーメントにはより大きなコン トロールが必要であるという事実を見逃していると指摘し,活用されるコント ロールシステムが,エンパワーメントとコントロールの両者のバランスを取ら なければならないと述べている(訳p. )。効果的にエンパワーメントする には,単に意志決定権と資源を組織の数レベル下に押し下げるのではなく,組 織成員の潜在能力を解き放つために,情報を与え,訓練を受けさせる必要があ ると指摘している。すなわち,彼は,組織成員に潜在的な問題や機会,利用可 能な資源を認識させる情報を与え,自分の部署のニーズに対応し,効果的に行 動するのに必要な手段を活用するための組織成員の訓練の必要性を説いている のである。ただし,組織成員が情報を持ち,訓練を受けていたとしても,コン トロールが適切に配置されていなければ,組織成員たちにとっては,効果的に エンパワーメントを拡大されたことにはならないと強調されている。

このように,Simons( a・b)は,エンパワーメントにもコントロールが 必要であることを指摘し,多元的なコントロールを説明している。エンパワー メントの関係概念として, つのコントロールシステム(信条のシステム,事 業倫理境界システム,診断型のコントロールシステムおよび双方向型のコント ロールシステム)であり,心理的概念に関しては,詳しい記述はない。

( ) 信条のシステムとは,明確な原則と価値観を示すものであり,組織成員たちに指針を 与え,彼らが適切なトレードオフを行うために必要なものである(Simons b,訳 p. )。意志決定権を付与する場合,その背後に,自社の基本的な存在目的,価値観お よび組織の目指す方向に対する,組織の部下たちの明確な理解が存在していなければな らない。

(30)

⑥Mohrman( )

Mohrman( )は,まず,組織成員をエンパワーして意志決定させていく

には,組織成員個人のスキルや動機と同様に,組織の慣習,組織構造,方針お よび評価・管理システムによって組織成員の行動が制約を受ける点を見逃して はならないとしている。次に,エンパワーメントによる組織成員個人やチーム の自律性を考えると,そもそもエンパワーメントは,組織の方向性や強調した いことを含んだ形で定義されるものなので,組織全体の責任の中に位置づけら れなければならないとしている。

このように,Mohrman( )によれば,エンパワーメントは,組織成員や チームの「自律性」を追い求めるものであるにもかかわらず,その自律性は組 織の方向性に規定されるものと考えられている。

⑦Argyris( )

Argyris( )は,エンパワーメントの成功のためには,職場での組織成員

のコミットメントの本質を理解することが必要であるとしている。なぜなら,

コミットメントの状況によって,人間的エネルギーが活性化され,持てる能力 が発揮されることもあるが,逆に意欲の喪失を引き起こしもすると考えられて

( ) 事業倫理境界のシステムとは,シニアマネジメント(上級管理者)が禁止されている 行動のタイプを明確に述べた指針を示すものである(Simons b,訳pp. − )。

なぜ指針が必要かと言えば,意志決定権の委譲や中核的な価値と信条の効果的な伝達が 行われたとしても,機会探索行動は無限ではあり得ないからである。

( ) Simons( b)では,エンパワーメントはコントロールの放棄を意味するのではな

いと述べられている(訳p. )。エンパワーメントは,コントロールの対象の変更なの である。インプットあるいはプロセスに対するコントロールが存在しなければ,それら のアウトプットに対して個人が責任を負わなければならない。もし部下がパフォーマン スに責任を負うことができないならば,彼らのエンパワーメントを拡大することはでき ない。したがって,成果の測定が可能な診断型のコントロールシステムが決定的に重要 となる。こうしたシステムでは,システムが要求するアウトプットを達成するための,

インプットとプロセスの操作方法を考案するのは,組織成員たちに任されている。

( ) これは,情報を公式的に流す導管を提供するシステムである(Simons b,訳p.

)。それによって学習は,組織内を縦横に流れ,組織は組織成員による創意工夫の利 益を獲得するのである。また,このシステムは,戦略的に不確実な領域に対して注意力 を集中させるためにも役立つものである。

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