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論文審査の結果の要旨

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Academic year: 2021

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論文審査の結果の要旨

miR-15b mediates oxaliplatin-induced chronic neuropathic pain through BACE1 down-regulation

miR-15b

BACE1

の発現抑制により、

オキサリプラチン誘発性慢性神経障害性疼痛を仲介する

日本医科大学大学院医学研究科 外科系疼痛制御麻酔科学分野 大学院生 黒木 直美

British Journal of Pharmacology,volume174,number5,p386-395,2017

年掲載

オキサリプラチンは白金製剤に分類される抗がん薬であり、用量規定毒性として高頻度に神 経障害性疼痛を引き起こすことが知られているが、その分子機構は十分解明されておらず、効 果的な予防法や治療法は確立していない。一方、低分子RNAの一種であるマイクロRNAは様々 ながんや神経障害性疼痛との関連が近年示されているが、抗がん薬誘発性の疼痛への関与は全 く明らかにされていない。

本論文において申請者はオキサリプラチン2 mg/kg 5日間連続腹腔内投与することにより、

神経障害性疼痛モデルを作製し、疼痛責任部位の1つである一次求心性神経の細胞体が存在す る第5腰髄後根神経節(L5DRG)におけるマイクロRNA機能に焦点をあて、オキサリプラチン 誘発性慢性神経障害性疼痛の分子機構の一端を明らかにしようと計画した。研究目的は明確で、

適切な実験計画である。また実験は日本医科大学動物実験指針および組換えDNA実験安全管 理規則に基づき当該委員会の承認の下に行っており倫理的配慮もなされている。

機械的アロディニアはオキサリプラチン初回投与後7日目から認められ、少なくとも28日目 まで持続した。L5 DRGにおいて、マイクロRNA 1つであるmiR-15bはオキサリプラチン 初回投与後28日目に上昇していた。さらに、miR-15bのターゲットとしてβセクレターゼ、

BACE1をルシフェラーゼアッセイにより同定した。DRG細胞においてmiR-15bBACE1 は共発現しており、オキサリプラチンの投与によりmiR-15bの発現上昇に並行してBACE1 発現が減少していた。さらに正常ラットにウイルスベクターを用いてmiR-15bを過剰発現させ ると、BACE1の発現を抑制すると共に機械的アロディニアを誘発した。またBACE1阻害薬 LY2886721の腹腔内投与は機械的アロディニアを引き起こした。

以上の結果を踏まえ、申請者はmiR-15bBACE1の発現抑制を介して、オキサリプラチン誘 発性神経障害性疼痛の慢性症状に少なくとも部分的に関与していると考察した。得られた実験 結果から考察は妥当である。

本研究はオキサリプラチン誘発性慢性神経障害性疼痛の分子機構において新規知見を与えるも のであり、新たな疼痛治療薬の開発に繋がることが期待される。

2次審査において、他の抗がん薬誘発性疼痛および他の疼痛回路部位におけるmiR-15b 関与、miR-15bを直接阻害する実験系の可能性、疼痛発症と分子変化の時間差、臨床応用への 課題等に関して質問がなされたが、的確な回答が得られ、申請者が本研究に関連する知識を十 分に有していることが示された。

以上の結果から、学位論文として十分価値あるものと認定した。

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