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紀世界システムにおける東アジア世界の構築

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21世紀世界 システムにおける東 アジア世界 の構築

‐社会イノベーシ ョンとしての知識情報空間の構築―

 

   

 

は じめに

1.21世紀 グ ローバ ル時代 の東 ア ジア世界

(1)21世紀 グローバ ル時代 の東 アジア世界 の可能性 (2)21世紀世界経済 システムの知識情報基盤 (3)東アジアにお けるアジア共 同体基 盤の認識

2.グローバ ル世界 システムにおける知識情報革命 (1)知識情報革命 の時代一 知 の構 造化 と知識情報化

(2)北東 アジアの21世 紀都 市 の知識情報革命― 都市化 と情報化 (3)グローバ ル世界 の都市化 と知識情報化

3.21世紀知識情報社 会 と社 会経済 システムの構築

(1)知識情報社会 と しての都 市創 成 と ITイ ニ シアテ イブ (2)21世紀知識情報社 会 の社会経 済 システム

(3)知識基盤型社 会 の都市 システム と社会経済 システム おわ りに‑21世紀 の グローバ ル知識情報革命一

は じめ に

い ま、21世紀初頭にあってグローバ リゼーシ ヨンとい う大 きな潮流の中で「 アジアの世 紀」 とされる構図が、はつ きりと読み取れる。それぞれの地域 。国が統合に向けて動 き出 しているのである。世界経済 システムは大転換期 に入 ってお り、新 しい地域形成が進行 し ている。その中心 となっているのは、 アジア地域 に他 ならない。近代 の世界経済 システム が、大 きく転換期 を迎 えているのである。

20世紀末か ら21世紀 に掛 けて展開 した世界 は、アジア、 とりわけ東 アジアを中心 として 展 開 した世界 システムに他 な らない。 アジア経済、 とりわけ東 アジア経済が、高度成長の 時代 に入 ったことは注 目される。東 アジア、 とりわけ北東アジアは、世界経済 システムの なかで極めて重要な役割 を担 うことになるのである。社会経済 システムの中核 を知識情報 セクターが担 ってお り、知識情報活動が社会経済活動のダイナ ミズムを生み出 している。

こうして東アジア、 とりわけ北東 アジア地域の旺盛 な経済発展が、軌道に乗 り、世界経済 のなかで新 しい潮流 を作 りだ しているのである。

‑1‑

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1.21世紀 グローバ ル 時代 の東 ア ジア世 界 (1)21世紀 グローバル時代の東アジア世界の可能性

世界経済システムでは絶対的に も相姑的にも大規模 な地理的な変化が生 じ、その地理的 中心が移動 してお り、現在 も続いている。世界経済において著 しい変化 をもた らしている のは、東アジア、 とりわけ 日本、中国、韓国等の北東アジア、及び東南アジア等の諸国に 他 ならない。 さらにイ ン ドが、 この経済発展 に参加 して、急速な成長 をしている。 こうし てアジア諸国は、世界経済のなかで独 自の地歩 を築 き、21世紀 に新たな展 開を図 りつつあ る。20世紀後半に、 アジアは極 めて高い経済発展 を遂げ、「アジアの奇跡」 と呼 ばれるに いたった。90年代後半 にアジア経済危機の試練 にさらされつつ、北東アジアは装いを新た に して21世紀のグローバル世界 に参画 しつつある。

アジア世界の発展 と変容 に関 して、かつてM.ピオリとF.セーブルは、20世紀末、90年 前後 を境 に進行 した産業の分水嶺 に関 し、その後の世界像 を描いた。先進工業諸国、 とく

に当時欧米で生 じていた社会経済構造の転換 に関 して、巨大企業経済 システムか らクラフ ト型経済 システムヘ 回帰す ると予測 し、産業社会の未来に関す る構図を描いた。 これは、

まさにユー トピア的 ともいえる社会経済 シナ リオであった。

実際に20世紀末の世界経済で進行 したのは、デジタル技術 による産業構造の転換であっ た。 この産業構造は、 とくに機械技術 とデジタル技術の融合か ら構成 される機械情報産業 を基盤 とするものであった。 この世界 システムにおけるデジタル技術の登場 は、国民経済 のあ り方を変 え、国際関係のグローバ リゼーシ ョンを急速に進めたのである。21世紀初頭 にあって、世界経済 システムは、 アナログ型技術基盤を超 えてデジタル技術基盤へ と移行 したのである。

21世紀のいま、イ ンターネ ッ トによ リグローバルな複合的社会情報 ネッ トワークの構築 が行われている。これまで様々にWeb 2.0等の構想が、国内的に、国際的に語 られて、具 体化 している。いまや、 これまで特権的に活用 されて きた情報サービスや コンピュータ・

パ ワーが誰にでも容易 に利用で きる段階に入ることになったのである。社会や産業だけで な く、個人のライフス タイルや労働ス タイル、企業活動、教育・訓練、研究、医療等のあ りかた、アクティビティを大 きく変 えたのである。 これは、 まさに新 しい産業化のパ ター ンが、情報技術・イ ンターネッ トを基盤 にして登場 してきたことを物語 るものである。21 世紀の産業化は、情報化 を基盤 に展開するものである。この産業化 とは、情報テクノロジー によって社会 システム、生活スタイル、教育 システム、医療 システム等に大 きな変容 を迫っ ているのである。 まさに社会経済全体 を包含 した社会変動 といえる。 この産業化 プロセス は、 まさに21世紀初頭 に展 開 している第三次産業革命の展 開に他 な らないのであ り、社会 化の側面 を持 ちなが ら一国内にとどまらず グローバルに進展 しているのである。

(2)21世紀世界経済 システムの知識情報基盤

21世紀のいま、世界経済 システムは新 しい段階に入 りつつあ り、大 きく転位 し、その構 造が変わろうとしている。西欧 を中心 に形成 された近代社会が成立 して200年余 り、産業 革命が産業化 を進めた。近代化 と産業化 は、近代社会 を構成す る二つのベ ク トルであ り、

これが近代化、産業化の最終段 階に至 り、世界経済 システムは完結することになる。そ し て、産業化の方向は、 これ までの方向性 を踏 まえる「 リオ リエ ン ト」に他 な らない。

この「 リオリエ ン ト」 とい うのは、オリエ ン ト(東)世界 に出発点 を持つ文明 として

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の世界 システムが、再び東洋に向かって方向付 けされるとい うことを意味 している。 ここ では、可能性 としての東洋世界 を中心 に世界史的認識が転 回することが意図されている。

現実に進展 しているのは東 アジア世界への文明のシフ トであ り、その地域の急速な発展で ある。

世界 システムの再方向付 けとしての「 リオリエ ン トJの持つ意味は、 まず第一に北東ア ジア経済 における世界経済の中心性への回帰の可能性 を示 し、第二 に産業化の新 しい段階 としての情報化へのオ リエ ンテーシ ョン (方向付 け)を示唆 してお り、そ して第二に世界 経済の中での市場経済へ の再移行 (リオリエ ンテーシ ョン)とい う三重性 を示 している。

世界経済 システムの展開 を新 しい視座のもとにアプローチ しようとするものである。

21世紀の世界経済 システムでは、1980〜 90年代の 日 '米 ・欧 とい う古い三極構造は崩れ 去 り、替わって拡大EU、 NAFTA、 それにアジアによる新 しい三極構造が出現することに なる。 日本経済の発展 は、20世紀後半の世界経済 システムのなかで達成 された もの といえ る。 日本経済が、ようや く90年代半ばからの長期停滞から脱する曙光が見えてきている。

こうした状況のなかで、世界経済システムの新 しい編成のなかでの発展戦略を構築 してゆ くことが必要である。

こうして現代の世界経済システムは、まさに近代の出発 とともに始まり、産業化を進め ることで世界的な拡が りを確立 し、ついに近代以前の経済の中心であった東洋世界へと回 帰する方向にある。そこに東アジアという大輪の華が、咲き開 くのである。それは、近代 世界の終わ りを示す とともに新 しい21世紀グローバル社会時代の到来を告げるものでもあ

る。

これ までの近代 世界 の世界認識 は、西洋 中心主義、 と りわけ20世 紀後半 の西洋一 アメリ カを基盤 とす る世界 システ ム認識 の もとに構築 された世界像 であ り、東洋世界、 ない しは アジア世界 は「世界経済」 の「その他」地域 に位置づけ られて きた。 た しかに、「近代」

世界 を準備 したのは、西洋世界であ り、その世界像 に合 わせて世界経済 システムが作 られ て きた。 しか し、いま世界経済 システムが、新 しい段 階に入 りつつあ り、大 きく転位 し、

その構造が変わろうとしている。産業化に関 しては、イギ リスに始 まる第一次産業革命は、

市民社会 を形成 し、社会発展 をうなが した。そ して第二次産業革命は、アメリカの科学技 術、そ して経済基盤 をもとに展開 した。 このアメ リカ世界 を基盤 とし、 ここを核 にして世 界 システムが構成 され、展 開 して きた。

このマクロとしての世界 システムの構造、課題が国際的な場で課題 として始めて取 り上 げ られたのは、20世紀末の1995年 2月 、ブラッセルで開催 された先進国首脳会議 (サミッ )であ り、 これが「情報化社会サ ミッ トーG7」 とされるに至 った。 ここでは、 グロー バルな視点か ら情報社会 の構築が討議 された。その背景には、80年代以降急速 に進展 した 情報テクノロジーのイノベーシ ョンと情報通信産業の成長がある。90年代 に入 って社会経 済的なアジェンダ (日)となったマルチメデイア社会の構築 に して も、情報、サービス 等がデジタル・デー タとして伝送 されるインタラクテイブ・デジタル・ネ ッ トワーク社会 として意識 され、構想 されて きた。インターネッ トがそのグローバル情報ネ ッ トワークと して登場 し、90年代半ばにあってそれが、グローバル情報インフラと認識 されることになっ た。

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(3)東アジアにおけるアジア共同体基盤の認識

東 アジアでは東 アジア共同体論が盛んに論 じられ、国際会議の場で もその可能性、統合 の方法等が様 々に議論 されている。 これにはASEAN(東南 アジア諸国連合)等のアジア

における共同体構想、 またEU(欧州連合)の東方拡大等の動 きが推進の背景にはある。

EUの例 を見 るまで もな く、東 アジア共同体 を構想 し、実現す るには長い年月を要 し、

また共同の理念 をいかに確立す るかが、大 きな課題 となる。 これを乗 り越 え、共通の統合 目標をうち樹てることが欠かせない要件 となるが、はたしてそれが可能かが、いま問われ ているのである。EUの統合が可能になったの も、 フランスと ドイツという第二次世界大 戦では仇敵同士が、基本的な和解に至ったことが統合の基盤 となった。

東アジアは、中核的な国家である日本、韓国、そして中国という北東アジアの国家、そ してASEANと いう国家群から構成される。不信感は、北東アジア、特に韓国、中国に見 る限り、必ず しも払拭できたと言う保障はない。いまだこの北東アジアでは、朝鮮半島の 南北分断、中華人民共和国と台湾 と言った冷戦の遺産が残ってお り、ここに「共同体」 と いう国際協調システムを創造するのは容易なことではない。

また、 日本はアジア統合のうね りの中で統合に向けて主体的な選択 を行い、積極的な役 割を果たしてきたとは言えない。むしろ、 日本は、米国の戦略シナリオを意識 した外交戦 略を展開してきたように見える。米国は、 日米協調を通 じて中国の政治 。経済・外交行動 を国際秩序に相応 しいものに形成 (シェイプ)して行 くことを狙ってお り、 日本は同盟国 としての役割を期待 されてきたのである。

いま、東アジアは統合のうね りの中にあり、そこでの主体的かつ積極的な行動をとるこ とが、基本的な要件 となる。こうして、 日本は、東アジアにおいて高度な先進社会 として 名誉ある地位を得 ることが、可能になるのである。

21世紀初頭にあってマクロ】犬況を見ると、世界システムは大転換期に入ってお り、新 し い地域形成が進行 している。その中心となっているのは東アジアであ り、とりわけ北東ア ジアに他ならない。近代の世界システムが、大 きな転換期を辿えている。世界経済システ ムは、21世紀初頭に新 しい時代が到来しようとしている。すでに経済面では自然経済圏と しての北東アジア経済圏が形成されてお り、活発な経済交流が進展 しているのは周知の通 りである。

この東アジア世界は、ユーランア大陸の東の部分を占める広大な地域であるが、近代の 認識では全体 としては遅れた地域 とされてきた。このなかで北東アジア経済は、20世紀に 日本が高度成長を達成 し、地域の中心的な役割を果たしてきた。21世紀には東アジアは、

世界経済システムの 《周辺》地域から離陸し、世界経済の中に定位置を確立 しつつある。

その中で、はたしてこの地域の社会経済的、産業・技術的可能性があ りうるのか、また経 済システムの自立性、また社会的、国家的なガバナンスを確立 しうるのかが、大きな課題

となっている。

そして、アジアは、この共同体意識を持ち、一つの世界を構築 しうるかが、大きな課題 となっているのである。近代世界の世界認識は、先のように西洋中心主義のもとで20世 後半の西洋・アメリカ的な認識のもとに構築 された世界像であ り、東洋世界、ないしはア ジア世界は「世界経済」の「その他」地域に位置づけられてきた。いわゆる「近代」を準 備 したのは西洋世界であ り、その世界像に合わせて世界経済システムが作 られてきた。

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この世界構造が、21世紀初頭 において知識情報技術 を基盤 として構造転換が進み、大 き く変容 しているのである。

2.グローバ ル世 界 システ ム にお け る知 識情 報革命 (1)知識情報革命の時代一知の構造化 と知識情報化

この ような中にあって、新 しい潮流が生み出されている。それは、知識情報技術 として のイ ンターネ ッ トWebが、現在進行中のWeb 2.0が、グローバルに知 をネッ トワークす る もの として登場 したことである。

Webは、現代世界の知のイノベーシ ョンを進める基盤である。これまで、長い人類史上 で情報 を伝 える基盤 となってきたのは、い うまで もな く、書籍 (本)であった。 これまで

知 を構造化することが可能な情報 システムは、本であった。ブログの場合、 これを読んだ として も、それは、多 くは単 なる情報 として頭のなかを通 り過 ぎて しまうし、必ず しも知 として定着 はしない。書籍は、その「 目次」に示 されているように階層構造 をもってお り、

構造化 されて提示 されている。 ここでは、ス タティックに知がシステム化 されて位置づけ られている。

これに対 してネ ットワーク・テクノロジー としてのインターネッ トは、瞬時に膨大 な知 の集積 を情報 としてリクエス トに応 じて提示す ることがで きる。 しか し、そこでは、知識 が関係付 け られ、構造化 されてはいない。Web上にある情報 は、必ず しも位置づけ られ、

意味付 け られて提示 されているわけではない。書籍 は、 これを紙媒体 に日次等 によって意 味付 け、位置づけて示 している。

イ ンターネ ッ トの登場により情報 を基盤 とする知識の構造化が、より容易 にな り、グロー バルな拡が りを持 ってダイナ ミックに展開 している。とはいえ知そのものが、インターネッ トによ り有機的に関係付 けられ、新 しい知 を生み出す までには行っていない。 しか し、 こ のイ ンターネッ トと知識の構造化 とこれを基盤 に展開する機能化 によって、情報革命 を超 えて知識情報革命が進展する基盤 になるのである。

近代世界へ入る18世紀中頃までの世界 は、地域的にみて現代世界 とは比べ られないほど に経済発展 の度合や所得格差 は、 はるかに小 さなものであった。 しか し、近代 に入 ると19 世紀 に ヨーロッパ、次いで20世紀 には北米が突出 した経済力 を持ち、世界 をリー ドするよ うになった。 そ して、 この近代化か ら取 り残 されたアジア地域 は、「アジア的停滞」 を取 り沙汰 されることになった。

この差 を生んだ大 きな原因は、前の時代の封建制社会か ら近代社会へ といち早 く先進的 に移行 した ヨーロッパ世界が、近代化 を図ったか らに他 な らない。 この近代化 は、 まず封 建 的な身分・関係か ら解放 され、個人の自律性が確立 したことであ り、原則的には自己の 意志 によって行動す ることが可能になったのである。

これに関 してアジア世界は、近代世界の社会経済基盤 となる産業化 にも大 きく遅れをと ることになったのである。産業化 は、先行す る封建制 とは異 なる社会的再生産の生産基盤 であ り、経済社会の存在基盤 をなす ものである。その基盤は、人間が、 自然界 ない し社会 に働 きかけることで自ら富 を生み出す様 々な活動 にある。 これは、第二次産業革命の基盤 であ り、19世紀か ら20世紀の展 開された富の生産方式であった。

そ して、いま知識情報技術 を基盤に構築 される知識情報社会が、インターネ ッ ト等 によ

‑5‑

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る情報テクノロジーによってグローバ ル 。ネ ッ トワークを構成 し、知識情報化が進展す る ことになる。

(2)北東 アジアの21世紀都市の知識情報革命― 都市化 と情報化

近代 に始 まるルネッサ ンス以後の西欧における個人の自由の尊重がなされるとともに市 民社会 とい うコモ ンスペース (社会的共通空間)の拡大が もた らされた。 これが、 まさに ヨーロッパ世界の近代化 に他 な らない。 これに対 して、18世紀のアジアは、全般的にみて 専制 と身分的社会の種粘下か ら脱却す るのが遅れて しまい、この時期 に近代化 を開始する

ことはで きなかった。

21世紀の社会においては、すでに前世紀 に開発 され蓄積 された情報技術 (IT)に よって 人間の知識は、容易 に情報 と結びつ き、瞬時 に世界 を駆 け巡 り、 また社会的展開をす るこ

とになる。20世紀末か ら現在の21世紀初頭 にあっては、知識情報革命が進展 している。

東 アジアにおいては、中国の「古代 の知」 としての儒教、そ して仏教が知的基盤 となっ て きた。 また、 ヨーロッパにおいては「 中世の知」は、神学に集約 される。近代 を準備 し た知 は、エ ラスムス等 を出発点 とするが、欧州統合 を準備 したECは、「エ ラスムス計画」

等 により、EU統合の知的基盤 を構築 して きたのである。

ヨーロッパ近代、そ してその展開 としてのアメリカでは、19世紀、20世紀 に産業化 を基 盤 にして産業イノベーションを推進 した。「近代の知」 は、近代化 の産業経済 システムの 産業化の基盤的思考様式 となった。 また、20世紀 に大 きく開花することになった産業化 と しての情報化 は、現世的な「知」に他 な らないのであ り、21世紀知識情報社会 において社 会経済イノベーションの機軸 となるものである。

い ま、東 アジア、 とりわけ北東 アジアに新 しい知の革命が進展 している。21世紀初頭 に あって北東アジアの知的位相 は、大 きくシフ トし、知識情報革命が進展するのである。

グローバ ル化する世界のなかで、現代 の都市 は情報化への移行期 にあって、その流れを 大 きく変 えて きている。かつて産業化への道の りにあった各都市 は、それ までの封建都市 か ら近代的な産業都市へ と変貌 し、構造 も活動 もすっか り変わって しまったのである。か つてジェー ン・ジェイコブスは、都市 を分析単位 とす る経済学の必要性 を強調 したが、そ れは「一国の経済の盛衰は、それを構成す る諸都市 によって規定 される」 ということを前 提 に していた。た しかに都市経済学は、本来のマクロの視点か ら都市 を分析 し、都市のあ

りかたを論 じたのであった°

ところで世界で最 も早 く産業化 を進めて きたイギ リスに関 してA.ギャブルは、 イギ リ ス経済の衰退の歴史 を世界経済のダイナ ミズムのなかに位置づけ、非工業化、すなわちこ こでは空洞化のプロセスを検討 した。そ して「海外生産の増加、国内製品の輸入 による代 替の進展 は、国内の製造業の製造出荷額、付加価値出荷額 。生産額の減少、工場数の減少、

従業人口の低下をもた らし、それ らが一定の水準 を超 えて進行 し、非工業化あるいは工業 の崩壊 といった場合、空洞化」が進行す ると主張 した。 この場合 にも工業化が都市 の盛衰 と深 く関わ りあってお り、 また非工業化の現象 は、都市で もっとも顕著 に現れるものであ

いま、 とりわけアジア諸国の都市 に顕著 に現れているのは「過剰都市化」 とも言 うべ き ものであ り、これは「産業化 なき都市化」 ともい うべ きものであ り、 また産業化 な き脱産 業都市化 とも言える事態が、進行 しているのである。アジアの諸都市 は、 これまで雇用基

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盤において近代化 した産業群 に欠けてお り、その基盤は脆弱であるとされて きた し、経済 難民 とも言 うべ き人々が都市 に流入 して きたことも現実であつた。 しか し、21世紀 にあっ て都市空間の構成原理が、大 き く変わって来ている。

都市は、国内領域で作用す る経済的・社会的プロセスの結果 として形成 されるものであ り、国内領域で都市間関係が形成 され、完結 したものとされて きた。 しか し、経済のグロー バル化が進むにつれ、国民経済や国民国家の完結性が低下 し、他 の地域 との諸関係が形成 されるようになったのである。 こうして東アジアの諸都市 は、グローバ ル経済の中の結節 (ノ ー ド)と して組み込 まれている。世界経済の関係が密接 になるにつれ、経済活動の グローバル化 とナシ ヨナルな領域 を超 えた経済的 リンクが発生 しているか らである。

先進 コア経済 において産業空洞化が進む一方、直接投資形態でのグローバルな生産配置 投資が激増 し、周辺工業化の雁行的発展が見 られる。 この投資関係 を基礎 とするイン トラ およびインターナシヨナルな構造的 リンケージが形成 されつつある。 このグローバ ルな空 間的分散 と経済的統合 を可能にしたのが、ITを基盤 としている知識情報技術 に他 ならない。

こうした構造調整 を基礎 とした新 しい国際分業関係 は、従来の直線的な (中心一周辺

)

関係か らもっと複雑で細分化 された生産プロセスの配置 と統合 を基礎 とす る「相互依存的 相互作用」関係 に変わ りつつある。 これは、知識情報技術 による社会経済 システムの変容 と再構築 を示 している。そ してグローバルな経済的構造調整は、東 アジアの都市形成 にも 影響 を与 え、新 しい者卜市形態 を創 出す る要因になりつつある。東 アジア諸都市の構造変化

も「世界都市化」のコンテキス トのなかで考えられなければならない°

20世紀型の世界 を覆 って きた中央集権的な政治 システム、経済力、軍事力 を土台 として 構成 されるハー ドな国家 システムではな く、文化、伝統 を互いに尊重 し、地域の持てる力 を社会発展 に生かせ るようなソフ トな地域 システムヘ と変わって行 くことが、地域発展、

そして地域創成の条件 となる。地域間でIT等を活用 してソフ トなネッ トワークを作 り上げ、

文化、経済的な交流 を進めることが必要である。それは、国家中心の発展か ら地域間交流 協力 と発展への転換 と新 しい枠組みを創造することである。それは、 まさに基盤 としての 都市 プラツ トフオームを構築 し、交流 を可能 とす る都市 ネ ッ トワークである。

(3)グローバ ル世界の都市化 と知識情報化

産業革命以後の近代社会の発展 は、人口をはじめ として金融、政治、文化的機能の都市 へ巨大な「集積」 をもた らした。工業生産において生産力が上がって くると、都市が膨 ら み、あるいは新 しい都市が生 まれることになる。産業化 と都市化の同時進行 は20世紀初頭 以降 も進行 し、 これが21世紀 に続 くトレン ドと見なされている。 とくに開発途上国で、都 市が巨大化す るとい う予測が行 われている。 しか し米国や 日本 などの先進国では、一方的 な都市の巨大化への方向が変わっているといわねばならない。先 に述べた ように都市機能 が拡散 し「脱都市化」が起 こ りつつある。情報ネ ッ トワーク化 によって分散 オフイスや在 宅勤務が普及 し、 また商業、金融機能 も都市の外 に移 りつつある⑤高速道路、高速鉄道、

航空網の発達によって、必ず しも人口が大都市に一方的に集中す ることはあ りえない。こ れは技術、 とくにITが発達 し、電子化 に基づ く通信 と交通機関のインフラの整備が進ん だことによるところが大 きい。

文明の成立 とともに発生 した都市社会 との関連で見ると、都市 と農村 の対立、そ して都 市 による農村の支配が生み出された。近代世界では、産業化 によって都市的性格 を強めた

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国々が、農村的性格 を多 く残 した国々を支配 した。植民地の独立、解放 とともに、多 くの 開発途上国で も急速 な都市化が進行 したのは、それが従属的地位か ら逃れるための必要条 件で もあったか らである。いま進行 している脱都市化現象が、先進国 と開発途上国の経済 的、政治的、文化的格差 を再び拡大することにな らないであろうか。近代 において豊かな 都市社会が貧 しい農村社会 を支配 したように、近未来社会 においては豊かな脱都市化が、

貧 しい都市社会 を支配す ることにならないだろうか。た しかに脱都市化 は、新 しい情報社 会に生 じた社会的な拡散現象 を示 してお り、 これが どのような役割 を果たすかが、今後の 都市経済にとり重要 な課題 となっているのである°

新 しい国際分業関係が諸都市 間のグローバル 。ネ ッ トワークを空間的に連鎖 させる方法 として「機能都市 システム」概念が提唱されてお り、都市 リンケージと情報 リンケージを 関連付 けた「東アジア都市回廊 (East Asian Urban Corridor)」 の形成が提唱 されている。

都市成長のプロセス とパ ター ンに関 して東アジアにおける「新工業化」 と経済のNIES化

がその地域的空間的投影 として新たな都市化の可能性 をもた らしているのである。

これに関 して トーマス・フリー ドマ ンは、「世界 は平 らである」 とす る。 た しかに、知 識情報草命の時代 にあって工業社会型社会経済 システムを基盤 に展 開される (先進国一後 進国)とい う図式では、 このグローバルに展開する知識情報化 の構図を読み取 ることは出 来ない。 フリー ドマ ンによれば、「世界 をフラッ ト化 した10の力」 は、次の ように要因分 析 される°。これは、まさに世界経済 システムが、知識情報技術 によってイノベーションが 引 き起 こされていることを示 しているのである。

フラット化の要因1】 ベルリンの壁の崩壊と創造性の新時代

フラット化の要因2】 インターネットの普及と接続の新時代

フラツト化の要因3〕 共同作業を可能にした新しいソフトウェア

フラット化の要因41アップローデイング:コ ミュニティの力を利用する

フラット化の要因5】 アウトソーシング:Y2Kとインドの日覚め

フラット化の要因61オフショアリング:中国のWTO加

フラット化の要因7】 サプライチェーン:ウ ォルマートはなぜ強いのか

フラット化の要因8〕 インソーシング:UPSの新しいビジネス

フラット化の要因91イ ンフォーミング:知 りたいことはグーグルに聞け

フラット化の要因101ス テロイド:新テクノロジーがさらに加速する

これまでの ように工業化の レベルでの都市化 と脱都市化 を求めて情報社会の効率性の論 理のみ を追い求めていたのでは、脱都市化の意義 を踏 まえた21世紀の都市社会の全体像 は 見 えてこない し、再構築 は不可能である。21世紀初頭の現在、現代都市 を知識情報都市ヘ と構造転換 を図 り、その基底 に立 って都市マネジメ ン トを進めることが、基本的に欠かせ ない要件である。

3.21世紀知 識情 報社 会 と社 会経 済 システ ムの構築 (1)知識情報社会 としての都市創成 と ITイ ニシアティブ

現在進展 している知識情報革命 を推進するには、地域社会 としての都市型社会の社会経

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済 シス テ ム をデザ イ ンし、いか にそれ を実現 す る方 策 を採 るか にかか ってい る。 この21世 紀型 の都 市社 会 を創 成 して行 くため には、ITをいか に社会経済 システムのなか に染み こま せ るか にかか っている。そのため都市倉U成 政策 として「都市社会 の情報化 ・知識化」 と「都 市社会 の領域拡大・高度化」 とい う二つの軸か ら構成 される四つの都市活動の領域か ら議 論 を展 開す ることが可能 となる。

第一の領域では、都市基盤 として情報インフラの整備 を行 う必要がある。それは、超高 速ネ ッ トワークインフラ整備であ り、超高速アクセス網 を実現 し、だれで も低廉 な料金で 利用す ることができるようにしなければならない。すべての都市住民が安価 にインターネッ トに常時接続することは、欠かせない基礎的な要件である。インターネ ッ ト端末やインター ネッ ト家電の普及 による常時接続 を想定するとき、十分 なア ドレス空間を備 え、プライバ シー とセキュリテイの策護が容易なインターネ ッ ト網への移行が実現されるべ きであろう。

同時 に国内のイ ンターネ ット網の超高速化 に合わせ て国際的なイ ンターネ ッ ト・アクセス の超高速化 を推進す ることで、都市 は、 これ までの限定 された地域 を超 えてより広い都市 地域 を構 成す ることが可能になるのである。

第二の領域では、社会経済 システムにおけるビジネス展開の場 (プラッ トフオーム)と しての電子商取引 (EC)を整備することが求め られる。インターネット上で形成 される市 場での電子商取引は、企業間取引であれ、企業・消費者間であれ、基本的にはだれで もが 参加 で き、 これまでの取引形態 を超 える超高速の取引 を実現す る。 さらに国境 を超 えてサ イバー空 間に市場が形成 され、eビジネス として新 しい取引形態が生まれることになる。

そのため には誰 もが安心 して参加で きる制度基盤 と市場のルールを整備 し、サイバー空間 を活性化 し、その活力の維持のための制度 を構築す ることが基本的な要件である。 さらに 電子商取引は、国境 を超 えて展開 し、 グローバルな取引が拡大する。 このため、国際間の 商取引 を円滑 に行 えるような国際的な枠組みを早急 に構築する必要がある。

第三の領域 は、公共的サービス、 また市民の主体的な社会経済 システムヘの参加 に関わ るコミュニテイ形成の領域である。まず、電子政府 。自治体に関わる領域があ り、情報ネッ トワークを通 じて縦割 りの組織 を超 えて省庁横断的、 自治体の情報 を一体的に瞬時に共有 し、活用す るような行政システムを構築 し、市民サービスを実現することにある。 これは 行政の既存業務 を単にオンライン化す ることではな く、IT化に向けた組織改革の革新的な システム設計 に寄 らなければならない。 さらに、NPO o NGOな どの社会活動 を通 じて、

社会が必要 としている社会サービスを市民 自らが行 うこともこの領域 に関わってお り、そ のための手段 としてITが有効 に使 われることになる。ITは、 ともすれば電子商取引など の営利活動 を支 える手段 として見 られがちであるが、非営利活動 を支 える手段 として も欠 かせ ない ものである。ここに市民 によるITイニシアテ イブ発揮の基盤 となるものである。

第四の領域 は、都市型のコミュニケーシ ョンを実現す るものである。21世紀社会は、知 識基盤型社会 になるが、それをもっとも典型的に展 開す る場 は、都市社会である。情報社 会 における都市住民の生産物 は、不可視の情報・知識 という財・サービスであ り、 これが 都市の産出物の多 くを占めることになる。まさにそれは知的生産物に他な らないのであ り、

これ を生産す る手段 としてITが活用 されることになるのである。 この領域で強力なコン ピタンス (力)を持ち、それを発揮す ることが、 これか らの社会的な活力 となるのであ る。そのためには、情報 リテラシーを持つITの知識 を身につけ、ITの便益 を享受 し、さ

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らにこれを基 に知的創造力、論理思考力 を持 ち、それを発揮するような人材 の育成が、 こ こでは欠かせ ない要件であ り、21世紀 に必要 とされる人材 の教育が大 きな課題である。高 度 な機能 を持つ人材は都市 に集中する傾向にあるが、そのための社会環境が整備 されなけ れ ばな らない ことは、い うまで もない。

(2)21世紀知識情報社会の社会経済 システム

社会経済 システムとは、 こうした社会経済の リアルな世界だけではな く、デジタルなシ ステムを基盤的なプラッ トフオームとし、その上に展開される多様 なプレーヤー、すなわ ち企業、公共組織、政府、自治体、NPO、 市民などが活動する場である。その活動領域 は、

社会経済のすべてにわたっているが、活動モー ドに関 して分けると、大 きく第一にビジネ ス活動、第二 にコミュニティ活動、そ して第三 に知的社会的文化活動 に分類 される。 この 活動圏は、 ビジネス圏、公共圏、そ して文化圏 とほぼ重な り合 うのである。 これ らの領域 では、それぞれプレーヤーの性格、行動特性、 またルール も異 なっているのである。

21世 紀の都市社会においては、都市基盤 としての情報基盤が整備 され、その上にたって 社会的な社会経済活動が行われ、情報生産、知的生産が行 われることになる。かつての都 市社会 は、物的生産、流通サービス等の結節点 としての拠点 としての性格 を持 っていたが、

これか らの都市社会は、知的な生産物 を生産す る拠点 とな り、国際的なネ ッ トワーク拠点 としての役割 を担 うことになる。

このため、都市社会はITイニシアテ イブの もとに社会経済システムを構築 し、新 しい イ ンターネ ッ トを構築 し、社会的課題 を解決す るためのITソリューシ ョンの発見 に努め る必要がある。21世紀の都市社会 は、単 にみずか らの都市問題 を見いだ し、それを解決す るためのソリューションを提供す るだけでな く、社会全般の解題 を見いだ し、解決するた めの基盤 となるのである。

まず、第一に21世紀の都市社会 における政策 は、 まず都市住民にとっての快適な環境の 都市づ くり・環境づ くりになる。都市の住民 は、生産者であるとともに生活者であ り、そ のための生産環境、住環境の整備 を図る必要がある。市民生活の利便性 を向上 させ るとと もに、住むこと、働 くことの社会的な制約条件 としての道路渋滞、大気汚染、騒音、 ゴ ミ 処理 な どの新 たに発生 した都市・環境問題の課題解決が、社会経済発展のために必要な条 件 である。 このための方策 として、人 と自然が共生する豊かな都市環境の実現、快適な生 活環境 の確保 を図ることが都市政策の欠かせ ない要件である。

第二に現代の都市経済活動は、市場経済 システムの もとで行われてお り、社会的活動は、

一種 の市場競争 を通 じて行われることになる。すべての社会的活動 は、比較 され、序列化 され、そ して評価 されるのである。その尺度は、社会的能力、機能性、効率性、販売額、

そ して利益等 々であ り、道徳規準で評価 されるのではな く、経済基準で評価 されるのであ る。 これに関連 して経済格差が生 じる可能性 は大 きく、そのため格差縮小・是正の政策 を 採 ることが、都市政策の解題で もある。

第三 に、非市場経済 システムとしての公共 システムにおける評価や価値観は、行政サー ビス、ボランティアやNGO、 NPOの場で行 われる。市場経済 システムの足 らぬ部分を補 うことはで きても、あ くまで も社会経済 システムのなかのサブシステムである。高度な知 的情報活動の成果 としての芸術 などの文化全般の活動 も、評価のされ方 自体がつ まるとこ ろ、市場的評価で決まることが多い市場経済 システムのサブシステムない しシステムその

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ものに組み込 まれている。 これに関 しては公共サービスの改善 とコス ト削減 を行い、 また 生産性 を上げる良好なサー ビスを提供す るためにも、公共 ―民間パー トナーシップの方式

を確 立 し、実現 してゆ くことが求め られる。

21世紀の都市社会は、ITイニシアテイブを基盤 にしてシステム構築が行われる。その運 営 メカニズムとしての市場経済 システムは、知的活動 としての創意工夫 を求め、促す とい う点 にあ り、知的活動 もこのメカニズムを通 じて評価 されることになる。 しか し、市場が 提供す るものの中か らしか知的生産物 を選択で きないことになるとき、都市の創造性 は失 われ、衰退することになる。はた して社会的に必要 とされる知的情報生産物が、適切 な価 格で提供 されるのか、 また今後、高度化す る都市経済のなかで知的生産 を行 う社会経済生 産性が、全体 として高め られるのか、 ここに都市政策の大 きな課題がある。

(3)知識基盤型社会の都市 システム と社会経済 システム

東 アジア・北東アジア地域の旺盛 な経済発展が軌道に乗 り、世界経済のなかで新 しい潮 流 を作 りだ している。それは、社会経済 イノベーシ ョン、都市 イノベーシ ョン、そ して知 識情報 イノベーションに他 な らない。

18世紀か ら19世紀 に掛けて展開 した第一次産業革命 は、産業化 による世界経済の一体化 の第一サイクルであ り、 とくにヨーロッパ世界 を基盤 とし、植民地経営な どにより世界経 済の一体化 をはかった。第二次産業革命 は、世界の一体化の第ニサイクルであ り、アメリ カの産業化 とグローバル化であったさらに現在進行 している第二次産業革命は、情報化 な どによる世界の一体化の第ニサイクルに他 な らない。 グローバル化する経済 システムのな か、70年代か らは東南 アジアの産業化、そ していまは韓国、中国等 を含めた北東 アジア地 域 の産業化、情報化が中心的な経済発展 のモメ ン トとなっているのである。

これは世界経済システムの地域構成 に大 きな変容 をもた らす ものであ り、21世紀 には東 アジア地域、 とりわけ北東 アジア地域のシェアが拡大す ることを意味 している。21世紀の 世界経済 は どうなっているか とする課題設定の もとでのOECDは予測作業 を行 った。そ れによれば、2020年には「低成長」「高成長」 とい う二つのシナ リオか ら世界経済の将来 像 を予測 した場合、高成長 シナ リオではOECD諸国では低い人口増加が予測 されるが、

他方一人当た りの所得 は年率2.5%の上昇 となるとい う。 とくに東 アジア諸国は高度経済 成長 を続 け、一人当た りの平均所得 はOECD平均 の4分3の水準 にまで到達す ると予 測 している。

21世紀 において、世界はグローバ リゼーシ ョンとい う大 きな潮流の中で、それぞれの地 域が独 自の統合に向けて動 き出 している。その統合原理は、単なる国家間の地域連合体で はな く、国家 を超 えて企業や個人のネ ッ トワークをも包み込んだ構成体 とな りつつあると い うものである。そこで21世紀の世界経済 システム、同様に北東アジア経済は、市場化 (市 場経済化)、 世界化 (グローバ リゼーシ ョン)、 そ して情報化 とい う三重の特性 を持つ こと になる。

第一 には、 これまで世界秩序 は、超巨大 国家 と中小国家 とい うタテの関係か ら構成 され て きたが、90年代 に一般化 して きている「市場経済化」が進んでお り、そこでは国民国家 の規模 の大小 を必ず しもとうところではな くなっている。社会主義的国民経済 としての中 国経済は、成長著 しい経済体質を取 り始めてお り、それを自ら「社会主義的市場経済」 と 規定 し、その もとでの経済発展 を図ろうとしている。 これか らはヨコの関係か らの秩序 も

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形成 され、多極化 してゆ くとい う方向がある。21世紀初頭にあって知識情報技術、ネ ッ ト ワーク・テクノロジーが、 まさに社会経済 システムにとってクリテイカル・テクノロジー になっている現在、 これを知識情報技術 を社会経済 システムに組み込みフレキシブル・ イ ンテリジェン ト・インフォメーシ ョン (柔軟 な知識情報)システム (FIIS)を組み込んだ 知識情報基盤に立って知識情報活動 を展 開するかに掛かっているのである。 これが、基本 的には21世紀の世界 システムを構成す るのであ り、国家・組織 間関係 は、 もとよ り個人間 の関係性 もこれにより規定 されて くるのである。

第二の世界化 (グローバ リゼーシ ョン)の問題 は、世界経済のなかでは地域化 (ローカ ライゼーション)の問題 と密接 に関連 している。 とりわけ、90年代か ら21世紀 の世界経済 システムにおける国際貿易体制の顕著 な特徴 は、 リージョナ リズムとグローバ リズムとい う二つの大 きな潮流が併存 していることにある。 リージ ョナ リズムは、すでに欧州におけ る地域経済統合の進展 に現れている。 この展 開は、異なる地域、経済の発展段 階、経済体 制 に係 わらず進展 しているものである。他方、多国間交渉に基づ く全世界的な自由貿易活 動 を保証 しようとす るグローバ リズム も存在 している。経済のグローバ リズムは、wTo

体制の発足前後に大 きく盛 り上が り、 曲折はあるにせ よ貿易 と環境、ない し貿易 と労働 と いった世界経済課題に関 して多国間交渉を進めている。現在の世界政治経済におけるグロー バ リズムとリージ ョナ リズムの相克、 また、国際貿易体制の成立 と変化は、 まさに世界経 済 システムにおける進化する系 とその経路依存性の問題 を提起 している。

この世界経済の潮流のなかで、北東 アジア経済 を構成する主要な経済体制である、 日本 経済、韓日経済、そ して中国経済は、 この地域の主要な経済 システムとして21世紀 の経済 システムに大 きな役割 を果たす ものである。それぞれが持っている局所的な経済発展 プロ セスは、それぞれ累積 的な性質 を持 ってお り、経済 システムを規定 してお り、 リージョナ リズムの基盤 とな り、歴史的な軌道が重要な意味を持っている。同時に、 この特性 を基 に してグローバ リゼーシ ョンを進めることになる。社会経済システムの構成者や参加者が、

多様化す る方向が顕著 にみ られる。 グローバル世界 において国家は、それぞれ工業化、情 報化 を推進するためにグローバル化 をはか り、その点では国家の枠組み、閾値 を低 くしつ つ、それによって自らの優位性 を確立 しようとしているのである。

第三にインターネッ トなど情報技術 の発達により、知識情報技術が社会技術基盤 とな り、

社会発展のあ り方や地域 間関係 を変 えようとしている。 こうしてそれぞれの地域 で多様 な 主体か ら構成 される多極 的な世界秩序が形成 されることになる。知識情報化 は、デジタル 革命 と称する合理化 によ り、モノ作 りに比べて情報 ソフ トウェアの生産に必要 とされる労 働力 も資本 も相対的に少 な くてすむこと、お よびこの場合余剰資本 は海外の生産拠点の拡 充 にあて られることは可能だが、労働 の国際移動 はほとんど行 われないことによ り、国内 において失業率が増大す るという結果 を招 く。グローバル化は、先進国か ら途上 国への生 産ベースの移転により、当該先進国か ら生産、雇用、所得の機会の流出を招 く可能性があ り、途上国か らの安価 な製品の輸入 により先進国の生産労働者の賃金は伸 び悩み、貿易利 益 を享受する技能労働者 との賃金格差 を拡大す る効果 を有 している。

しか も、知識情報化 とグローバ リゼー ションには相乗効果がある。情報通信 。運輸技能 の効率向上は貿易投資 を活発化 させ、貿易投資の 自由化は技能導入 と競争促進 によって情 報革命 を促進する。いってみれば、情報化 とグローバ リゼーシ ョンの進展 に人間が対応で

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きず労働市場のバランスが崩れることになる。 しか しなが ら、社会的厚生の増大のために は、科学技術の進歩、経済の革新的な発展の持続に加えて、人間の質的進歩がバランスを とって進むことが必要であ り、情報化、グローバ リゼーションに伴 う雇用問題は21世紀の 経済社会に移行する先進国が直面する最も深刻な問題である。

このように現在、世界経済システムの構築に関連して進行 しているグローバルな現象は、

第一にグローバルな市場化の進行であ り、第二に世界化 (グローバル化)であ り、一見矛 盾するかに見えるが、第三に知識情報化を基盤にしているのである。まさにフリー ドマン の言う『世界は平 らであるJは、この状況を極めて直感的に直裁に表現 している。そして、

21世紀初頭の東アジア・北東アジアは、これらを基にして新 しい地域発展の時代を迎えて いるのである。

おわ りに‑21世紀 の グローバル知識情報革命一

いま、21世紀の初頭にあって世界経済システムでは絶対的にも相対的にも大規模な地理 的な変化が生 じている。その社会経済中心地域が移動 してお り、現在 もその動 きは一層活 発になっている。また、知識情報を核 とするイノベーション、グローバル化の進展で世界 経済は大競争時代 を迎えている。21世紀世界経済のグローバ リゼーションという大 きな潮 流の中で、新 しいプレーヤーが登場 し、またそれぞれの地域で独 自の統合に向けて動 き出 している。その統合原理は、単なる国家間の地域連合体ではなく、これまでの国家を超え て企業や個人のネットワークをも包み込んだ構成体 となりつつある。これが、国家間、企 業間、そして個人間の関係を変え、世界秩序に地殻変動をもたらすことになる。

21世紀は、こうして知識情報革命 という人類の知の展開の新 しい段階に入ることになる。

1)ジェー ン・ ジ ェ イ コブ ス (中村 達 也 、谷 口文 子 訳 )『都 市 の経 済 学一 発 展 と衰 退 の ダイナ ミッ クス』TBSモデリ タこ三カ 1986(」ane JacObs,C'サ ,9d αれ

'サ

9邸珍αoFNαοれd,P′cヵ J9s OF 娩 οれοれcL推,Rttdom House 1984)。

2)Andrew Gamble,B′ 力αサ

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α胞,Macmillan 1981(邦 :Aギ ャブ ル (都築 忠 七 、 小 笠 原欣 幸 訳)『イ ギ リス 衰 退100年史』 み す ず 書 房 、 1987)

3)田坂 敏 雄 「過剰 都 市 化 と世界 都 市 化J(大阪市 立 大 学 経 済研 究所 「 ア ジ アの大都 市Jプロジェ

ク ト News letter 1996 12.No.4)。

4)Fu―Chen Lo&Yuc―Man Yeung(Editor),β9′ 'IPbO巧

り河OC力,9s tれ rtcゥ

"c As,α ,United Nations lJniversity Press,」 anuary 1997.

5)トー マ ス ・ フ リー ドマ ン (伏見威 春 訳)『フ ラ ッ ト化 す る世 界 (上)』 日本 経 済新 聞社 2006。

キー ワー ド :社 会 イノベー シ ョン 知識情報空間 都市化 産業化 情報化 知識情報化 知識基盤型社会

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UDAtthtti)

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参照

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