長野工業高等専門学校紀要 ・第
20号
(1989)131箱 形 断 面 柱 の 相 関 座 屈 実 験
永藤壽宮 小林清
In t e r a e t i o n B u c k l i n g E x p e r i m e n t o f B o x C o l u m n
s I
Toshimiya NAGATO
Boxsectionspresentveryinterestingpropertiesinthefieldofcompressedele‑
ments.Thepurposeofthisexperimentsistosupplyexperimental‑dateofinteraction buckling(overallandlocalbuckling).Testcolumnsareclassifiedinto4 typesaccord・
ingtothosecolumns'lengtb.
Supportconditionsarepln・endedtypebyusingnewdevelopedbowl・shoe.
I
1. ま え が き
近年,構造解析において,電子計算機の発達に伴い,橋梁未体及び,各部材の力学的合理 化断面が,多 く用い られ,薄肉軽量化が進め られている. しか しなが ら
1969年1 1 月におきた 第
4Danube橋の落橋事故か ら始まり次々の事故に会い,その中で圧縮板の耐荷力特性に ついて指摘された.近年において耐荷力における大 きなファクターである初期不整等を考慮 した局部座屈問題や,全体座屈問題については,多 く研究がなされたが,特に局部 と全体座 屈の相関性については,余 り取 り扱われてお らず,最近では,名古屋大学 と大阪市立大学でI その分野について進められているだけである.わが国の道路橋示方書も,その相関性につい て若干の改正が,なされたが,理論的根拠は,明白ではない.従って本研究は,相関座屈の 耐荷力に対 しての影響を
3つのタイプつまり
(1)局部座屈が,先行 し,全体座屈を生 じるもの
(2)局部座屈 と全体座屈の同時発生(
3)全体座屈が先行 し,局部座屈を誘発させるもの
3種に分 辞 しそれぞれ供試体を作製 し,圧縮耐荷力実験を行い,極限強度 と達成強度について考察 し た結果を報告し,理論適用の材料 とする.また実験の際の両端 ピソ支東 とい う条件に対 し著 者が開発 した
2軸方向回転可能な経済的な球面支東を使用 した.
2.
供 試 体 の 選 定
鋼種は
,SS41とし箱形断面についての局部座屈強度は,小松等による圧縮板の由荷力曲 級,全体座屈は
,E.C.C.S.の複数柱強度曲線を用いて,両座屈強度が,等 しくなる とい う点及び,耐圧試験機の能力1
00
t,‑ ッドクリアランス1
.5mの 制約条件を満たす様に,
* 平成元年
3月 土木学会中部支部において発表
* * * 文部技官
原稿学付 平成革年
9月
30日
132
2 占木供試体
Bの断面構成及び長 さを決定 した.更に謎本供試体 と同一断面で長 さが,基本供試 体 の
1.1倍の供試体
A及び
0.9倍 の供試体
C,及 び短櫨t ) 宅 試体
S
を作製 した. 支持粂作は, 上述 の通 り,両部 ぷピン支承で
, 至妙
帆強軸 とも阿転可能な球面 ビン支 承 を設計
/"5血100
tとして.
没.?I及永健一 , ミ 享 官 ・小林 亨 I t J t
. 5
183.0 8.54 . 5
∪■くrー4.5 亡⊃くt:>r
図
1断 面 諸 元 びr 硝注した.花形
析tT L l " I ; 元を図
1 に示す.上
瓶 下郷立/ 床を̀
g・i'tlに/ ‑ J ' ' . す・
災 歓mu t ・ 試作 ( 知性)を球泊り= . ソ文 J l tに
枇付け,変位計等を設粧 した圧縮耐荷力試験状況 を写
ユ‡2に示す.
ピ ソ 支 承
2
突 敦 状 況
3. 材 料 実 験
引張試験片は,圧縮実験用供試体 と同一銅材か ら切 り出 した
JIS5号片を用 いた.その
結果は,蓑 1 に示す通 りである.それぞれの値は, 4 本づつ試畝を行 った平均値である.
箱形断面桂の
仰関越̲hilUl輸 1334.残留応 力度測 定
残留応 ノJ 度は,試験用短柱供試体 で,切断法に よ り
,別
姓 Lf1.i)l ぞjL 畑 は 把に,銅球 を打 ち込み,切断 した後,銅球 の距離を コソタ ク トゲージ (
1/100 0m) で恥1 ' J i iL,
㌫日日 . L た ものであ る. 切断後 の供試体 を写真
4に, また, その結果 を朗 2
I'̲I)くす.
写真
3残留応力度供訳体
̲ ⊥
図2残懲 応 力度分和国
5.初期 たわみ測 定
初期 たわみ測定は ,
ml J 定
mジグを開発 し,柱 の初期 たわみ ( 弱軌 強軸方向)及び,収 の 初婚] たわみをそれぞれ変 位計 (
1/100mm)を用 いて測定 された. その結果 を
袈 2に示す. ま た供試体
Aの柱 の初期 たわみを図
3に,板 の初期 たわみを図
4に
1例 として示す.
表2
供試体の初期たわみ
spa(nm)
I w (
&pk
n箭
lて版P
BmA
X W cmax ( 弱軸プ チ 向)
S (400m m )
l 1.3(1/140)A (1260m
n l )
B (1400皿)1.4(1/131)
1.3(i/141) l 1.3(1/970) 1.4(1/131) l 1.4(1/1000) C (1540mm) 8.3(1/22) l 4.9(1/286)
WnlaX=
‑
1.5〜l‑TITIlnununUnUnU︻u55nUl1
図
3柱初期たわみ分布図 ( 供試体
A)永礎L 詣官 ・小林
NJtVno.x=24.5
ー5'F35
長
日▼
図
4駁初
∬1 たわみ分布図 ( 供試体A)
6.
本 実 験
何れ偏心 が, 充/ t iしない
イ風 推
'JiZ他触
感皮 の
1/3和腔 の/ ( ' ' j血 レベルにおいて,調整用 ゲ ージに よ り, それ ぞれ の情 が, それ らの' 1 T f ・ p ‑ Jn r t の
5,O
bl 刈小 こ収 まるよ うに, スペ ーサ ーで調 盤 した.J f u部
牌Ja
l. が,発f l ミ す る関所 を変
(;X..Tf ・ で, あ るrl ! 比 h f uL, そ の部分 に変 位 計等 を集 小 させ J , J 珊排J. ・ l J . 性状 を祝祭 した.
7.
実験結果及び考察
供試体
AはJ r J部雌J dと全 体座W. の辿成座W. を
JJiじて ) 山 城 し
,帆 式体
B, 供試体
Cは全体座 屈優 先 のJ ; j祁座屈肋 機す なわ ち全体座屈 に よる全体変 形 に よ り
kJ珊座州 を腐発 して朋壊 に至 った.短柱供試体は,局 部座屈 を生 じてF b j 壊 した. それぞれ の敵地後 の供試体 を写其
4, 5に示す.
写真
4座屈後供試体 写真
5座屈後供試体
本紙 では, 局部座屈 と全体座屈 の速成座屈 を生 じた供試体
Aにつ いて考案 してい く.第
4節 の残留応 力 の図
2を見 る と各断面 内にそれ ぞれ残留応 力 の平均 を取 る とほぼ降伏応 力に対
して 0 . 4‑0. 5 位生 じてい る郭がわか る.また第 5 節 の初期 たわみ の図 3,4 で 明 らかな よ うに
供試体 作製時 の熔接順序 に よ り板 及 び柱 にそれ ぞれ正弦波が オ ーダー的 には少 ないが生 じて
箱形断面柱の相関座屈実験
135いる事がわか る. ( 供試体
Cについては柱の初期たわみが 非常に大 きいので耐荷力をか な り低下する事がわかる)残 留応力に しろ初期たわみに し て も内側にゲージを貼 るため に音形で最初成形 し,ひずみ ゲージを貼 った後,蓋を熔接 した結果 として生 じたもので ある.
まず荷重‑ひずみ曲線につ いて報告 してい く.
図
5は,蓋側のそのゲージ が貼 ってある部分が凹部に徐 々に曲げを生 じ
P/Py‑0.75に至 って大 きな曲げ変形,す なわち局部座屈を生 じた と観 察 され る.図 6は図 5の点 の 近傍にある為
P/Py‑0.75以 降図
5の点の曲げ変形に引き ず られ同様に変形 したものと 観察 され る.
図
7, 8は蓋側のそれ らの ゲージが貼 ってある部分 の溝 側にある点の荷重‑ひずみ曲 線であるが
P/Py‑0.75付近 で除荷現象を表,裏のゲージ とも共に起 こしている事か ら, その部分は
,P/Py‑0.75付 近で全体変形に よiて凸部の 部分 となったか らであると予 想 され る.その債向は,溝側
0・5 1・D l・S tE/El)2・O
図6 荷重‑ひずみ曲線 ( 供試体A 蓋側)
M O ・ 5 1 ・ Q l ・ 5 【 E ノ . E y ) 2 ・ 0 図7 荷重‑ひずみ曲線 ( 供試体A溝側) 全体のゲージの荷重‑ひずみ
曲線に共通 した除荷現象である.
すなわち図
5の点が
P/Py‑0.75付近で局部座屈を生 じると同時に背側全体が
P/Py=0.75
以降,引張になっていることか ら,全体変形を起 こす全体座屈を生 じ等せている事が 推察され うる. したがって局部座屈 と全体座屈の達成座屈現象が生 じていると思われ る・
一方,図 9は荷重一板変位曲線であるが,図 5の嘩すなわち局部座屈を起 こした場所に設
置 されていた変位計で測定 された. この図か らも
P/Py‑0.75付近で大 きな板 の変位の増
136
大を示 していることか ら,局 部座屈発生を照査 しているも のと考え られる.
次に図
10は,荷重一柱たわ み曲線であるが荷重に よる柱 のたわみを変位計を使用 して 測定 された もので' ある.
前 と同様に終局段階の一歩 手前すなわち
P/Py‑0.75で
3次モー ドの全体座屈を生
じている事が観察 され る.
供試体
Bは,同様に観察 し て全体座屈優先の局部座屈崩 壊 ( 全体変形が生 じてか ら局 部変形が生 じている)であっ た.
供試体
Cは,前にも述べた ように初期たわみ量が大 きく その影響で柱 としての耐荷力 を大 きく減少させていたので 全体座屈優先の崩壊 した.
今回の達成座屈実験につい ての理論的解法の報告は次の 機会にするが,筆者等は,残 留応力を考慮 した有限帯板法 を使用 して理論的解法を 目指 した.‑ ソキーの有限変位論 を用いエル ミt jト多項式を使 用 して導かれた もので一般固 有値問題 として‑ クス ・ホル ダー OL 法を コレスキー分解 で修正 して用いた ものである.
その理論を使用 して導かれ た座屈値は,理論値 とほぼ一 致 しているが,初期たわみの 項を考慮できない とい う欠点 を持 っているので現在新たに それを考慮 した形で開発中で ある/
永藤詩宮 ・小林 清
8 ・
0 口・5 1・Q llS (E/印 2lD図 8 荷重‑ひずみ曲線 ( 供試体 A 溝側)
図
10荷重一柱たわみ曲線
Vn&x=‑2.5「一丁圭
霊sQ・憲〇
八日
図1 1 残留たわみ図 ( 供試体A)
箱形断面柱の相関座屈実験
137図11に残留たわみ図を示すが,正弦の全体座屈波形を全体的に示 し中央部に局部座屈波形 性状を示 L. ていもことがわか る.
表
3に供試体
A〜C及び短柱供試体の座屈 の最終強度比較 とそれぞれの座屈性状の比較を 示す.供試体
A〜C及 び
Sの長手方向の長 さは,表
2に準 じる.
・ 表
3座 屈 強 度 比 較 表
8.
過去のデーターとの比較
過去数年の相関座屈実験についてまとめると,図1
2‑図14の断面諸元別にh)
〜(C)として分 析 して,初期たわみ,残留応力及び柱の細長比 と板の幅厚比で まとめ,達成座屈荷重 と速成 な しの座屈荷重の比較の表を表 4に示す.
図1
2供 試 体 b )
全体座屈 と局部座屈の達成座屈 強度は,非達成座屈強度に対 して 一般的に座屈強度の低下を もた ら
している.
またその低下の割合は,蛙 の細 長比の増大 と板の幅厚比の増大 と ともに大 きくなっている事が観察 される.
図1
3供 試 体 脚 図
12‑図
14過去数年間の突放断面諸元
図
14供 試 体 ( C )
138
永藤詩官 ・小林 清
表
4達成座屈強度比較表 ( 過去数年間)
9.
結 論
(1)
全体座屈 と局部座屈 との達成座屈問題の理論適用データーを提供 した.
(2)
裏側にゲージを曲 る為に最初に港形で供試体を作 り,その後で蓋をするという方式を採 った為に残留応力が比較的大きい.
(3)
本研究室で開発 した全方向回転可能 ピン支承は,有効的に稼働 した.
( 4 ) 局部座屈は,供試体の長手方向に幾つか発生するが,多 くは中央部分に 2‑ 3 波のフラ ソジ幅の波長をもって生 じる.
(5)
局部座屈優先のスパン長
0.9倍の供試体は,局部座屈発生後直ちに全体座屈につなが ら ず
,5‑11%の後局部座屈強度を有 してお り,またその儀向は幅厚比の大きい供試体ほど 顕著に観察された.
(6)
柱の細長比及び板の幅厚比が大 きくなるほど,遵成座屈の彫響が大 きくな り極限強度の 低下をもたらす.
参 考 文 献
(1)
小松定夫,北 田俊行 :初期不整を有する圧縮板の掻限強度特性に関する研究,土木学会論文報告 集 第
270号 昭和
53年2月
Pl〜P14(2)