要 約
株式公開企業で94年までに1回以上、「民間等との共同研究」制度を利用した企業にアンケートを 行った。その結果、最初に利用した頃と現在との間に、技術環境は益々激しくなっているものの、
法律・規制や経済環境はさほど変化していないと見ている。にもかかわらず、企業は技術環境は大 きく変化していると知覚し、新しい技術でかつすぐに商品化できる技術を求める傾向にある。
Ⅰ はじめに
日本の産学共同は、Bayh-Dole act(1980年制定)に刺激されて、国立大学をはじめとする文部 省所営の研究所2)でも産学共同研究をはじめるようになったと言われることが多いが、この法律と
「民間等との共同研究」制度は根本的に異なる。Bayh-Dole actは基本的に、米国内の中小零細企 業の研究開発活動を応援し、新産業とベンチャー企業の育成を目的としていると言われている。そ れに対して日本の国立大を対象とした「民間等との共同研究」制度は、Bayh-Dole actとは異なり 当初から企業の規模や外国法人禁止といった規制による相手先3)を限定していなかった。この点 で、日本の産学共同の方向は、当初から大企業が共同研究を組みやすいという点で大きく異なって きている4)。実際に、文部省学術国際局研究助成課(1984−1997)のデータによると、1983から94 年にかけて制度利用件総数は8520件であるが、そのうち株式公開企業が関係するものは4386件5)
(51.47%)である。この点を鑑みても、株式公開企業の存在がいかに大きいか分かる。この原因に は、明治維新以降日本の産学共同が官主導ですすめられた事実に大きく影響されているだろう
(Scott 1989、Niosi 1995、綿引1999など)。これに関する詳細点は、産業史の分野に任せよう。
もちろん大手の中でも株式を公開していない企業も多いが、これら株式公開企業の動向を探ること によって、非公開企業の大手企業が何を大学求めているのかを知るきっかけとなるであろう。
過去の研究では、産学共同研究に関するアンケート調査は殆ど行われておらず、たとえば北海道 東北開発公庫(1998)では、北海道内の大学及び研究機関に限定したアンケート調査であり、
Rogers and Gibson(1994)のMMCのような事例には対処できない。対象を地域に限定していな
いという点で大きく異なる。これらを踏まえて、今回の調査は、産学共同研究を行う上で何が問題 点なのかを検討するために、幅広く情報を集めることとを目的とした。
主な質問項目は、(1)企業研究者と大学研究者のコミュニケーション手段、(2)共同研究を行う企 業の外部環境の変化と目的、(3)実際に企業が支払うコスト、(4)大学附属機関である技術関連の相
【資料】
株式公開企業との産学共同研究目的と環境
1)綿 引 宣 道
談窓口の役割、(5)共同研究を行う条件であるが、本稿では(2)の共同研究を行う企業の外部環境の 変化と目的についての報告である。
Ⅱ 「民間等との共同研究」制度の利用状況
1983年の制度発足から1994年までに、1回以上「民間等との共同研究」制度(以下共同研究と省 略する)を利用した企業は、産業分野別6)利用企業数を図1、また産業分野別利用件数図2のよう になる。
図1から分かるとおり、21分野中1位の化学・ゴム分野(102社)と2位の電気機器分野(98社)
が他を圧倒して参加企業多いことがわかる。ところが図2を見ると、共同研究件数は電気機器分野
(1252件)が2位の電気・ガス分野(613件)の約2倍行っている。しかも参加企業数は電気・ガス 分野は16位でわずか13社しか行っていない。産業分野別での1社当たりの平均値を図3で示すと、
次のようにかなり違いが出ていることが分かる。特に、電気・ガス分野47.15件と倉庫・通信分野
(倉庫0件、通信35.5件)が極端にその平均値が高くなっている(図3)。
通信がわずか2社で民営化まえのNTTとKDDを含む事から、これは異常値としても、産業別で 1社が行う共同研究数が極端に差が出ている。これは、共同研究を行う企業の外部環境依存すると 知覚していることが予測できる。このことは、綿引
(1998)の調査で、分野ごとに特許及び実用新案の 申請件数に分散があることが明らかになっている が、共同研究件数と申請件数の分布とは必ずしも一 致していない事が分かる。これは、各産業ごとで特 許にしやすい分野とそうでない分野の差があるかも しれないが、法規制などによって公的性格の等の外 的要因、また共同研究の目的および動機付けといっ た企業のそのものが、各企業毎に異なる事情に(製 品開発戦略などの内的)原因があるのではないかと 考えた。
農林
・鉱業 建 設食品
・繊維 紙・パル
プ 科学
・ゴム ガラス・土石
鉄 鋼非鉄
・金属 金属製品機 械電気機器
輸送用機器精 密その他製造 商 業金融
・保険 不動
産 運 輸倉庫
・通信 電力
・ガスサー ビス
農林
・鉱業 建 設食品
・繊維 紙・パル
プ 科学
・ゴム ガラス・土石
鉄 鋼非鉄
・金属 金属製品機 械電気機器
輸送用機器精 密その他製造 商 業金融
・保険 不
動産 運 輸倉庫
・通信 電力
・ガスサー ビス
図1 共同を行った企業数
図2 分野別民間等との共同研究件数
農林
・鉱業 建 設食品
・繊維 紙・パル
プ 科学
・ゴム ガラス・土石
鉄 鋼非鉄
・金属 金属製品機 械電気機器
輸送用機器精 密その他製造 商 業金融
・保険 不動産
運 輸倉庫
・通信 電力・ガス
サー ビス
全体平均
図3 1社あたりの平均件数
Ⅲ アンケート調査
本稿で取り上げる対象は、対象企業が環境に関する知覚と共同研究の目的である。企業の置かれ ている環境を、外部環境として①法律・規制といった一方的に影響を受けるものと②経済環境のよ うに市場を介して間接的に変化を与えまた受けるもの、③他社の研究開発活動、また自らの活動そ のものによって自ら開発した技術そのものを陳腐化させる可能性があるものとして直接的な環境と して捉えた。こうした環境に対する知覚と共同研究目的との間に何らかの関係があると思われ、同 時に目的に関する調査も行った。
本調査は、「民間等との共同研究」が制度化された1983年から1994年にかけて1回以上、この制度 を利用した店頭公開以上の企業550社7)を対象にアンケート調査を行った。2000年2月20日発送、
3 月15日 発 送 有 効 で 締 め 切 っ た。送 付 件 数550社、返 信 数89通(16.18%)、う ち 有 効 回 答85通
(15.45%)であった。
なお、今回の調査は仮説を作る前段階としての位置づけである。
1.法律・規制について
法律・規制が、企業側に有利に作用するほど、つまり法律・規制に守られるほど共同研究への動 機が下がるので研究数が減る考えられた。設問では、当該企業を取りまく法律・規制一般について 質問を行った。
有 効 回 答 率
(%)
有 効 回 答 企 業 数 制 度 利 用 企 業
の 割 合 ( % ) 制 度 利 用
企 業 数 業 種
2.352941 2
0.909091 5
農 林 ・ 鉱 業
15.29412 13
9.272727 51
建 設
1.176471 1
6.727273 37
食 品 ・ 繊 維
1.176471 1
0.727273 4
紙 ・ パ ル プ
18.82353 16
18.54545 102
化 学 ・ ゴ ム
1.176471 1
2.909091 16
ガ ラ ス ・ 土 石
4.705882 4
3.272727 18
鉄 鋼
2.352941 2
3.272727 18
非 鉄 ・ 金 属
3.529412 3
3.272727 18
金 属 製 品
11.76471 10
11.45455 64
機 械
16.47059 14
17.81818 98
電 気 機 器
9.411765 8
6.727273 37
輸 送 用 機 器
2.352941 2
2.727273 15
精 密
3.529412 3
1.636364 9
そ の 他 製 造
1.176471 1
3.454545 19
商 業
0 0
0 0
金 融 ・ 保 険
0 0
0 0
不 動 産
0 0
1.636364 9
運 輸
0 0
0.363636 2
倉 庫 ・ 通 信
2.352941 2
2.363636 13
電 力 ・ ガ ス
2.352941 2
2.909091 17
サ ー ビ ス
100 85
100 550
合 計
表1 株式公開企業での「民間等との共同研究」の利用状況 1983−94年
(1)法律・規制の多寡(図4−1) (2)法律・規制の敵対度(図4−2)
(3)法律・規制の有利不利(図4−3)
法律・規制の多寡については、どちらでもないとす る見解が増えているものの、差ほどの変化は見られな い。しかし、法律・規制が自社の活動の障害要因(敵 対度)については、若干であるが共同研究開始当初か ら比較して薄れてきている。法律・規制が自社の活 動を保護するように作用しているか否かは、若干では あるが有利(保護)になるようになっていると知覚して いる。
全体として法律・規制に関しては、共同研究の前後 では大きく変化していない。開始されてから期間が短いということもあるであろうが、自社に不 利・障害となるような規制を逆手に取るような研究成果が出ていない可能性がある。
2.経済環境
(1)経済環境の変化の度合い(図4−4) (2)新製品の投入の必要性(図4−5)
(3)競争の多寡(図4−6)
経済環境の変化(1)については「民間等との共同研究」制度が1983年から実施され、以降バブル 経済とその崩壊があったことを考えると、その企業がおかれている経済環境が激しく変化している
多い………少ない
図4−1 法律・規制の多寡
非生産的………生産的
図4−2 法律・規制の生産性
障害………有利 44
図4−3 規制の障害
激しい………安定的
図4−4 経済環境の変化
従来の製品………新しい製品
図4−5 新製品の必要性
ことは当然であろう。(2)では、既存の製品の改良あ るいは、低価格化に向かうかの問でもある。この問に 対する回答は新しい製品への開発に向かう傾向が見ら れる。(3)では、競争環境の状況についてである。これ によると、競争企業は全体的に多くなってきており、
バブル期を通じて多くの企業が多角化を進めたため に、潜在的競争企業が増加したと考えられる。
3.技術環境
(1)技術の変化(図4−7) (2)予測可能(図4−8)
(3)R&Dの試行錯誤(図4−9)
自社が取り扱う技術内容の変化(1)についてであるが、共同研究開始当初は、「やや激しい(30 社)」が一番多かったが、現段階では「激しい(34社)」と変化が激しくなっていると知覚している。
(2)では、変化の予測可能性を質問したところ、さほど大 きく変化していないことが分かる。前問(1)と総合する と、企業は特定の方針を持って研究開発活動を行ってお り、その技術目標に近づく速度が加速していると読む事が 可能であろう。(3)では、研究開発活動の試行錯誤に関する 質問である。試行錯誤の度合いは「やや多い(31社)」が45 社に増加している。このことは、既存の技術発展の思考と は異なる思考パタンを要求されるようになっているといえ る。
4.共同研究の現在の目的
先の研究(綿引1998)では、1件あたりの共同研究の費用が1214万円から、94年には338万円に徐 々に下がっている事が分かっている。文部省の資料では、個別の共同研究に関する金額は記されて いないものの、研究内容と若干のインタビュー8)からは一部で億円単位といった大型の共同研究が 行われ、多くが42万円の制度が規定する最低金額レベルであると思われる。もしこの予想が正しい
多い……… 少ない
図4−6 競争者の多寡
激しい………安定的
図4−7 技術環境の変化
予測不能………可能
図4−8 技術変化の予測可能性
多い ……… 少ない
図4−9 研究開発段階の修正
とするならば、この金額での共同研究で企業は何を求めているのか非常に疑問である。なぜなら ば、この制度を利用しないで奨学寄付金制度を利用した場合、大学の研究者がそこで得られた技術 情報から特許及び実用新案を申請すると、企業は特許権の所有を主張できないばかりか、論文公表 によりで公知の事実になってしまう可能性があるからだ。受託研究制度はこれほどではないにせ よ、企業にとって決して望ましいはずはないからである。
(1)既存の技術の発展か保有しない技術の獲得
共同研究を行うには、ある程度保有する技術を商品化での 問題点を解決するためか、あるいは全く新しい技術を導入す る目的かの選択である。換言すれば、企業は暫時的な改善の ためなのか、またはイノベーションを起こすための手段とし て共同研究を行うかである(図5−1)。
現段階で求めるのは「既存の技術の発展」よりも「所有し ない技術の獲得」の傾向が見られる。このことから、革新を 起こすため、あるいは新しい分野への進出を共同研究に求め る傾向があるといえる。
(2) 基礎研究か応用研究
基礎研究は応用研究に比べて、一般的に資金と時間がかかるといわれている。企業は、売れる 商品を市場に提供して、はじめて維持と発展が可能になる。したがって当初の予想では、企業で は秘密管理が重要となる応用研究を担当し、時間と資金がかかる基礎研究を大学と共同で行うと 予測していた。
しかし、予測とは大きく異なり、企業が大学研究者に対してすぐに商品化が可能な応用研究を 求めている事が分かった。その一方で、基礎研究に関して、ややそう思う(21社)とあまり思わ ない(28社)の2つにピークがあり、かつ応用研究を望まない(9社)があることに注目された い。(図5−2−1、図5−2−2)。
大学研究者に対する要望(自由回答)では、積極的に「基礎研究から応用研究へ展開してほし い(大証2部 化学)」「製品開発に応用できる斬新な技術の開発 (東証1部 石油・石炭製品)」 と要望している。
思わない ……… そう思う
図5−1 既存の技術発展あるいは 保有しない技術
そう思う ………思わない
図5−2−1 基礎研究
思わない………そう思う
図5−2−1 応用研究
また、共同研究をしたくない条件として、「研究成果の活用について確固たる(製品化の)展望 がない(東証1部 建設業)」「基礎研究のみ(東証1部 精密機器)」「(共同研究費用を)基礎研 究に持ち込もうとすること(していただきたくない)…基礎研究の追求はわかるが、企業ニーズ の多くは、応用研究にある。それに協力していただく姿勢が必要と思います。(東証2部 その他 製造)」など、基礎研究に特化した研究者との共同研究はなるべく避けたいとする傾向にある。
共同研究を行って良かったとする(自由回答)こととして、「教授の方針が、企業に役立つ応用 研究に意欲的であること(東証2部 その他製造)」としている。
その一方で、極少数であるが共同研究をしたくない条件(自由回答)として「末端の応用研究 中心(東証1部 精密機器)」、共同研究に関する要望(自由回答)では「…我々の研究所のよう に、ある程度の実験施設(規模、性能の両面で)を有し、2-3年先の実用化・商品化を主目標 にしている機関では、大学には基礎的な研究、独創的な研究、高度な理論・解析的な研究を期待 しています。(東証1部 建設業)」とする企業もある。
おそらくこの違いはこの発言の中にも見られるように、大学に基礎研究を求めるか応用研究を 求めるかは、企業の基本的戦略に依存しているようである。
(3) 学生の獲得
たとえ、株式を公開するような大きく有名な企業であっても、急速に発展している分野では、
実際に優秀な学生を従業員として確保する事はなかなか困難である。
この質問に関しては、学生を確保する目的はほとんど ない事が明確になった(図5−3)。むしろ、アンケー トの余白あるいは自由回答欄に、学生の就職と共同研究 をリンクさせるようなところとは出来るだけ避けたい とする意見も多数あった。
例えば、共同研究をしたくない条件として「学生の就 職活動と絡ませてくる大学(東証1部 建設業)」と明 言している。これが大きな副次的問題を含む可能性が ある。研究をしたくない条件として、「当社の情報を外 部に漏らす(東証1部 機械)」「研究段階で、外部に漏 れるようのないように。(東証1部 ゴム製品)」などの意見が出ている。これは、企業にとって は当然の要求であろう。しかし、現在では研究室制度の変更により、講座単位での教官の集団に よる研究は難しくなっている。したがって、どうしても学生の実験への関与が必要になる場合が ある。このとき実験に参加した学生は、必ずしも共同研究した企業に就職するわけではないの で、その研究内容をライバル企業への持ち出すまではしないものの、何らかのノウハウを持ち出 す可能性は少なくとも残される。研究を行っている段階で情報を持ち出されなくても、卒業後に 持ち出される可能性は残るのである。
本稿では述べてはいないが、実際に企業から大学に派遣される研究者は、ほとんどの場合、非 常駐であっても0人(完全な分担型)という場合も少なくない。このことを見ると企業は、大学 では実際にどのように情報管理がなされているのかを知ることが出来ないであろう。学生を一時
思わない ……… そう思う
図5−3 学生の確保
的にせよ従業員にするなどによって秘密保持契約を結ぶ、あるいは常駐研究者を派遣するなど企 業側が情報管理で改善すべき点が見られる。
(4)ブランドの獲得
先の研究(綿引1998)では、共同研究に関する報道は共同 研究対報道件数と言う観点から見ると相対的に減ってきて いる事がわかっている。その一方で、成功事例などは何度も 繰り返し報道されることが多く、大学のイメージと商品販売 をトータルで見れば、さしてブランドあるいは広告効果を獲 得するコスト高いものではないが、あったとしても副次的効 果に過ぎない(図5−4)。
図からも明らかであるが、大学名のブランドを利用したい とする企業は少ない。アンケートでは質問事項には記載し
なかったが、余白あるいは自由解答欄に「(共同研究を行うのは、)大学より研究者の実力次第(精 密機器 東証1部)」「研究者のレベルが低いところとはしたくない。(石油・石炭製品 東証1部)」 また、「大学が良かったと言うよりは、先生が良かった。大学の良否ではなく、やはり個人の研究 姿勢が共同研究を行う上で重要なファクターと考える。(サービス業 大証2部)」「研究内容に合 わない、またそういう研究をしない大学これ以外の条件は有りません(東証1部 化学)」等の意 見が寄せられた。このことから分かるように、企業はあくまでも大学との共同研究をしていると いう意識は乏しく、個人の研究者あるいは研究室との共同であることを強く意識している。
つまり、共同研究を行うか否かは、大学研究者の個人の能力あるいは研究方針に依存しており、
大学のブランド力を利用する傾向は薄いと言える。
検 討
今回のアンケート集計では、変数の調整などは行っておらず、報告に留めている。それでもなお、
主に共同研究の目的について現段階でも言えそうな点は幾つかある。
企業の環境に関しては、共同研究の開始時期が異なるために一概にその変化の程度を断定的に述 べる事は出来ないが、共同研究の開始時と現在との間には、法律・規制に関してと経済状況につい ては殆ど変化していないと感じている。その一方で、技術環境は大きく変化したと知覚している。
共同研究目的は、現段階では現在企業が所有していないもので商品化につながる技術を共同研究 に求めているようである。なぜならば4(1)で既存の技術の発展あるいは保有しない技術の獲得の 測定では、保有しない技術の獲得に偏り、その一方で4(2)基礎研究か応用研究については、大学に 応用研究を求めているのも事実である。この2点からは、すぐに商品化可能でかつ企業が保有しな い技術を大学研究者に求めていることが分かる。
おそらく企業が保有しない技術を大学研究者が持つ事は有り得るだろうが、すぐ商品化につなが るようなのものであるかどうかは、大学研究者の日頃の思考からは難しい要求であろう。しかし、
これが出来るかどうかで共同研究の企業側の満足度および共同研究数に大きく寄与する事になりそ うである。
思わない ……… そう思う
図5−4 ブランドの確立
むすびにかえて
今回の調査は、産学共同の全体像を知るためのもので、集計の中間報告的位置づけである。次稿 では、企業が支払うコスト、大学附属の技術相談窓口の役割についての集計を報告する。各変数間 の関係については、まだ時間がかかると思われる。
引用文献
註
Gibson, David and Everett M.Rogers 1994
R&
D collaboration on trial Harvard Business School Press
北海道東北開発公庫 1998報告書「産学官連携に関するアンケート調査結果」
文部省学術国際局研究助成課 1984−1997
報告書「民間等と共同研究の実施状況」
Niosi, J 1995 Flexble Innovation : Technological Alliance in Canadian Industry
McGill-Queen's University Press : QuebecScott, John T 1989 "Historical and Economic perspectives of the national
corperative research act" in Cooperative research and development : the industry −
university
−government relationship Albert N. Link and Gregory Tassey(eds)
Kluwer Academic Publishers : Massachusetts
綿引宣道 1998
「日本の国立大学における産学共同の動向」
弘前大学経済学会『弘前大学経済研究』
第21号 195〜208ページ 綿引宣道 1999
「産学官共同研究の史的研究:日英米比較」
弘前大学経済学会『弘前大学経済研究』 第22号 19〜29ページ
協力いただいた企業名をあげてお礼を申し上げるべきであるが、アンケート調査に関して守秘義務により、企 業名は特定しなかった。協力いただいた方には、長いアンケートにもかかわらずご協力いただき感謝申し上げ ます。また、弘前大学地域共同研究センター内山先生、岩手大学、大阪大学の各先生から重要なヒントをいただ き、お礼を申し上げます。
1)この研究は、文部省科学研究費補助金(奨励研究A11730056)の補助のもとに行われたものである。
2)文部省所管の大学、高等専門学校、短大、研究所がそれに含まれる。以下、大学と総称する。
3)財団法人や自治体も行っている。
4)産学共同研究に関しての経緯は、綿引(1999)を参照されたい。
5)複数の企業が1つのテーマで参加している場合も含む。
6)なお、本稿で用いている産業分野の分類は、株式コードにしたがった。
7)倒産し、あるいは公開廃止となった企業3社を除いた。また、企業が合併した場合は存続会社で数え1社と し、名称を変更した会社も重複しないように数えてある。
8)弘前大学(1998年7月10日)、山形大学(2000年2月22日)、岩手大学(2000年2月2日)の地域共同研究セ ンターの専任教官、および大阪大学(2000年3月16日)の先端技術センターの専任教官に対する各インタビ ューによる。
回答にあたってのご注意
Ⅰ 選択式の質問には、全ての質問(5Bを除いて)に答えて下さい。
Ⅱ 5段階評価については、番号に○を1つだけつけて下さい。
例 役に立った 1 ② 3 4 5 役に立たなかった
Ⅲ 共同研究を行った大学で、技術相談センターがない(あるいはなかった)場合は、大学の事務 と読み替えて下さい。
質 問
1.貴社について教えて下さい。
差支えなければ、担当者のご連絡先(電話番号とE-mailアドレス)をお書き下さい。弘前大学地 域共同研究センター(企業のための窓口)と連絡が取り易いようにいたします。大学の技術相談セ ンターと最も直接的に関連する組織名称(事業部、部、課など)を書いて下さい。
貴社名(あるいは貴組織名)
担当者のお名前 御職位
主たる連絡先の住所
電話あるいはFAX E-mailアドレス
A.大学との共同研究(委託研究、民間等との共同研究等を含め)を行った経験のある事業部(あ るいは部)に所属する人数を書いて下さい。事業部に分かれていない場合は、企業全体の従業員数 を書いて下さい。
約 人
B.企業全体として、大学の技術相談センターを何年前から利用していますか?
年から(西暦)
C.企業全体として、大学に企業の研究員を派遣し研究資金を提供するする共同研究は、何件行い ましたか?国立大学の場合は、「民間等との共同研究制度」でお書き下さい。
注)「民間等との共同研究制度」とは、「研究員受け入れ制度」「委託研究制度」「奨学寄付金制度」
と異なります。
D.過去1年間に、1テーマあたり大学の技術相談センター、大学の研究者と1ヶ月あたり月にど のくらいコンタクトをとりましたか?その手段と、技術に関する相互理解に役立ったか評価して下 さい。
直接会う 全くなかった 1 2 3 4 5 充分効果があった TEL 全くなかった 1 2 3 4 5 充分効果があった 手紙・FAX 全くなかった 1 2 3 4 5 充分効果があった E-Mail 全くなかった 1 2 3 4 5 充分効果があった
2.貴社の外部環境について教えて下さい
2-1 大学の技術相談センターと最初に相談した時点における、貴社の外的環境の特徴について、
全て5点で評価して下さい。
A 法律あるいは規制について
規制が多い 1 2 3 4 5 ほとんどない 非生産的である 1 2 3 4 5 生産的である 自社に対して障害 1 2 3 4 5 自社に対して有利
B 経済的・競争環境について
変化が激しい 1 2 3 4 5 安定的である
従来の製品で間に合った 1 2 3 4 5 新製品が必要であった 競争者が多い 1 2 3 4 5 競争者が少ない
99年 98年
97年 96年
95年
国立大学
公立大学
私立大学
C 技術環境について
変化が激しい 1 2 3 4 5 安定的である 予測が不可能だった 1 2 3 4 5 予測が可能であった 研究開発の段階での修正が多い 1 2 3 4 5 少ない
2-2 現在の貴社の外部状況について A 法あるいは規制について
規制が多い 1 2 3 4 5 少ない 非生産的 1 2 3 4 5 生産的 敵対的 1 2 3 4 5 友好的 B 経済的・競争環境について
変化が激しい 1 2 3 4 5 安定的
従来の製品で間に合った 1 2 3 4 5 全くの新製品が必要だった 競争者が多い 1 2 3 4 5 競争者が少ない
C 技術環境について
変化が激しい 1 2 3 4 5 安定的 予測不可能 1 2 3 4 5 予測が可能 研究開発の段階での修正が多い 1 2 3 4 5 少ない
3.現在の産学共同に関する目的について
現在、大学との共同研究を行う理由について教えて下さい。
A 貴社が既に持つ技術を発展させることが目的である。
思わない 1 2 3 4 5 そう思う
B 貴社が持っていない新技術の確立が目的である。
思わない 1 2 3 4 5 そう思う
C 基礎研究が目的である。
基礎研究 1 2 3 4 5 応用研究
D 商品化のための技術が目的である。
思わない 1 2 3 4 5 そう思う
E 学生の確保が目的である。
思わない 1 2 3 4 5 そう思う
F ブランド・イメージを確立が目的である。
思わない 1 2 3 4 5 そう思う
G その他、具体的にお書き下さい。
4.大学との共同研究を行う現在の選択規準について教えて下さい
A 大学の知名度による。
思わない 1 2 3 4 5 そう思う B 大学の研究者個人のレベルによる。
思わない 1 2 3 4 5 そう思う C 研究施設の充実度による。
思わない 1 2 3 4 5 そう思う D 大学の研究者と以前から個人的つながりがあったから。
1はい 2いいえ
5.大学の技術相談センターについて
5-1 最初に大学と共同研究が組まれたとき、大学の技術相談センターについてお伺いします。
A 最初に共同研究を行った大学に技術相談センターはありましたか?
1あった 2無かった
B 大学の技術相談センターを利用しましたか?
1 利用した 2利用しなかった
その理由
C 大学の技術相談センターは、貴社のアイディアや特定の目標を事前に共有していましたか?
全く共有していない 1 2 3 4 5 充分に共有した
D 貴社にとって、大学の技術相談センターは役立つと思いましたか?
疑っていた 1 2 3 4 5 疑う余地はなかった
5-2 現在の大学の技術相談センターとの共同についての質問 A 現在、貴社は大学の技術相談センターを利用していますか?
1 利用している 2利用していない
その理由
B 大学の技術相談センターは、貴社のアイディアや特定の目標を共有していますか?
全くできていない 1 2 3 4 5 充分共有している
C 貴社の能力を高めるのに、大学の技術相談センターは役立つと思いますか?
全く役に立たない 1 2 3 4 5 充分役に立つ
D 大学の技術相談センターの規則・法律を、貴社はどの程度受け入れられますか?
全く受け入れられない 1 2 3 4 5 問題なく受け入れられる
E 大学の技術相談センターに対して期待することは何ですか?(いくつでも)
6.大学との共同研究が成立した当初について
A 貴社が既に保有する技術を商品化するとき、追加的に技術や知識獲得は必要でしたか?
不要 1 2 3 4 5 必要不可欠
B 研究開発に必要な技術や知識を大学の研究者が持つのは必要でしたか?
不要 1 2 3 4 5 必要不可欠
C 研究開発に必要な設備を大学の研究者が持つことは必要でしたか?
不要 1 2 3 4 5 必要不可欠
7.大学の知的所有権、特許実用新案に関する方針について
A 大学との共同研究が初めて成立した当初、大学の技術相談センターが貴社の要求を達成させる 為に方針を変更する必要がありましたか?
全く必要がない 1 2 3 4 5 大いに必要だった
B 大学との現在の共同研究について、大学の技術相談センターが貴社の要求を達成させる為に方 針を変更する必要がありましたか?
全く必要がない 1 2 3 4 5 大いに必要だった
8.大学との共同研究の「結果」について
現在の貴社の立場から、大学の技術相談センターとの関係の直接的な結果として、年に何回の研究 レポートを貴社に提出したり、論文発表するのが妥当だと思いますか?
A 研究レポート 回 その理由をお書き下さい
B 会合での発表 回 その理由をお書き下さい
C 論文の提出 回 その理由をお書き下さい
D 特許・実用新案 件 その理由をお書き下さい
9.最初に行った共同研究について教えて下さい
A 大学との共同研究が成立した年に、いくつの大学と共同研究を行いましたか?
国立大学 校 件 公立大学 校 件
私立大学 校 件
B 研究室あるいは研究者個人に直接申し込んだ。
1はい 2いいえ
C 前問でいいえと答えた方のみお答え下さい。どの組織、あるいは個人を経由しましたか?
1大学の技術相談センター 2公設の試験場経由 3その他(具体的に)
D 共同研究で大学に支払った金額は1テーマあたりいくらですか?
万円
E 大学との共同研究が成立した当初1テーマあたり貴社の何%の研究開発費支出をしましたか?
また何人の研究者を大学研究室に派遣しましたか?
% 人
F 大学との共同研究が成立した当初、大学の技術相談センターおよび大学の研究室と新技術につ いての打ち合わせに、1テーマあたり貴社は何時間費やしましたか?
時間
G 大学との共同研究が成立した当初、貴社は貴社が所有する以外の研究施設で何時間費やしまし たか?
時間
H 大学との共同研究がはじめて成立した当初、貴社のどの職位で意思決定がなされましたか?(こ のような分類がない場合はそれに相当する職位)
1社長・重役会議レベル 2部長 3課長 4係長 5それ以外(具体的に)
I 大学との共同研究がはじめて成立した当初、新技術の開発、商品化の為の活動について相互理解 を深めるために、1テーマあたりどのくらいの時間を大学の技術相談センターと時間と人を派遣し ましたか?
時間 人
10.現在の大学との共同研究について
A 現在、いくつの大学と共同研究を行っていますか?
国立大学 校 件 公立大学 校 件
私立大学 校 件
B 研究室あるいは研究者個人に直接申し込んだ。
1はい 2いいえ
C 前問でいいえと答えた方のみお答え下さい。どの組織、あるいは個人を経由しましたか?
1大学の技術相談センター 2公設の試験場経由 3その他(具体的に)
D 99年に、貴社の研究開発費の何%(予算ベースでも可)が大学との共同研究に支出されています か?
%
E 99年に、大学の技術相談センターとの新技術についての打ち合わせに、貴社は年に何時間費やし ていますか?
時間
F 現在、貴社は他の研究施設(大学、公設の研究所)で研究時間の約何%費やしていますか?
%
G 現在、共同研究の直接的な結果として、何人の学部および大学院の卒業生が貴社で働いています か?
約 人
H 現在、1テーマあたり研究開発のために何人、大学の研究室に派遣していますか?
常駐の研究者 人 非常駐の研究者 人
I 現在、貴社は大学の技術相談センターが主催するセミナーに年に何回参加していますか?
回
J 現在、大学の技術相談センター主催のセミナーは役に立ちますか?
またく役に立たない 1 2 3 4 5 大いに役立つ
K 現在、研究開発について相互理解を深めるために、1年あたり何日、大学の技術相談センターあ るいは大学の研究者と時間を費やしていますか?
約 日
L 現在の時点で研究開発について、大学の技術相談センターとどの職位で対応がなされています か?(このような分類がない場合はそれに相当する職位)
1社長 2部長 3課長 4係長 5その他具体的に
11.大学との共同研究について重要な付加的要因について
A 共同研究を成立させた当初、ライバル企業との関係の有無やうわさにどのくらい影響されまし たか?
全く影響しなかった 1 2 3 4 5 とても影響した
B 共同研究を成立させた当初、大学の地理的な環境はどのくらい影響しましたか?
全く影響しなかった 1 2 3 4 5 とても影響した
C 共同研究を実際に行ってみて、ライバル企業との関係の有無についてのうわさにどのくらい影 響されましたか?
全く影響しなかった 1 2 3 4 5 とても影響した
D 共同研究を実際に行ってみて、大学の地理的な環境にどのくらい影響されましたか?
全く影響しなかった 1 2 3 4 5 とても影響した
E 共同研究を実際に行ってみてして良かったと思える大学はどこですか?大学名と理由を書いて 下さい。
大学名 理由
F 共同研究をしたくない大学の条件をお書き下さい。(いくつでも)
最後に、大学との共同研究をする上で、大学、研究者あるいは法律などでご意見・ご要望がありま したら、お書き下さい。
ご協力ありがとうございました。