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物の利用(miseadisposition)を伴う役務提供契約の法的構造
一はじめに
二miseadisposition概念
三債務分類論におけるmiseadisposition
四サービス契約におけるmiseadisposition
五むすび
lはじめに 上井長十
川問題提起(検討内容)
他人の物を利用する契約は'われわれの日常生活において頻繁に行われている。典型契約の類型で見ると、
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貸借契約に該当する場合が多いであろう。ところが、物の利用という行為が、役務の提供を伴うとなると、物
の利用という行為の法的位置、づけは複雑なものとなる。たとえば、当該物に蝦庇があるという主張をする場合、
蝦庇の有無は物が通常持つべき性質に適合していないことをいうのか、それとも役務と結びつけて蝦庇の有無
を判断するのか、その基準は不透明となる。契約類型論の視点から見ると、利用に関する行為については各種
貸借契約類型として位置づけ'貸借契約規範をもっぱら適用することになるのか、明確な基準は存在しない。
サービスと物の利用とがセット(セットという言葉には様々な形態が含まれるが、この点は後述する)になっ
た契約では、物の利用という行為とサービスとを、分解して考えるべきなのか(複合的取引)、それとも単一の
契約における一行為態様として位置づけるべきなのであろうか︹︺
そこで'本稿では、物の利用行為が役務提供を伴うケースにおける'物の利用行為の法的評価・位置づけを
考察してみたい。
ところで、「三債務分類論」で考察するが、契約の給付内容について、講学上'与える・為す・為さざる、
の三つに債務の目的を分類して考察することがある。債務の目的について、わが日本法では、債務の履行強制
方法あるいは債務不履行責任の要件論、契約類型論などに資するべ‑、様々な分類が試みられてきている。そ
の中で、この、与える債務'為す債務という概念を用いた債務口臼的の分類方法は'わが日本民法典において、
債務の目的としては条文に明文化されていない概念ではあるが'民法典制定当時から債務内容の分類概念とし
てしばしば用いられてきた分類法であを。周知の通‑、与えるという概念は'わが国では、引渡行為として捉
えるのが一般的であろう。物の利用といった場合'利用する前提として、一般的にその物が利用者の支配下に
移されている必要がある。この場面で第lの引渡行為がまず存在する。売買のように物の使用収益処分権限す
物の利用 (mis eえ dispo sitio n) を伴 う 役 務提 供 契約の法 的構 造
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4 3
物の利用 (miseadisposition)を伴 う役務提供契約の法的構造
ベてを買主に移転してしまう契約では'引渡行為によって売主が負う債務は無‑なる(担保責任の問題は残り、
同責任の法的性質の解釈によっては、まだ債務が残ることになる)。売買契約では観念的な所有権移転義務に
並ぶ、現実的な物に対する三つの機能の支配移転をもたらす行為として引渡行為は据えられか。それに対して、
貸借契約の場合は、物の貸借終了により'物を返還しなければならず'この場面において第二の引渡行為が存
在する。賃貸人の賃借人への目的物引渡に加え'賃借人の目的物返還義務も、「引渡」という行為を伴う。返還
までの間、借主はその物を利用するが、貸主は'使用収益させる義務(条文で明言しているものとして民法六
〇1条)を負い'その態様を所有権との結合性を強調し、状態債務と呼称する見解があか。しかし'ここで'
債務の目的の三分類のどこかに'この使用収益させる義務が含まれることになるのか一点疑問が生じる。この
使用収益させる義務は、引渡という与える債務+使用収益が侵害された場合の妨害排除・修繕などを貸主が施
す行為という抽象的内容の為す債務、の結合によ‑構成されていると考えるのであろうか。それとも、引渡と
いう与える債務に包含される(引渡債務における一つの不履行態様なのか)ことになるのか。抽象的な債務目
的レベルにおいて'物を利用させる、という行為態様を既存の分類に溶接することはできるのであろうか。
㈱検討方法
フランスでは、近時、物の利用が契約内容になっている契約において、その物の利用行為を'miseadisI
positioロという用語で表現することがある。物の利用を伴う契約といえば、典型契約類型においては、売買あ
るいは貸借をその代表として思い浮かべることができる。近時フランスにおいて'典型契約における本質をな
す債務内容を分析する際にmiseadispositionを本質に持つ契約tといったような表現をする場合があるが、そ
の一方で、ある契約が物の利用行為を伴うも'典型契約該当性に蹄蹄を覚える具体的契約のことを、misea
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dispositionを要素とする契約、といった表現をすることもある。また、従来の典型契約に該当するか否かに関
係な‑、およそ物の利用行為を伴う契約のことを、l般にmise.idispositionを債務の目的とする契約、と表現
することもある。なお、「利用」という行為の対象として、物の存在が必要なのかというと、そうではない。人
は権利の客体ではないことを前提として'たとえば人材派遣契約とは、自社が雇用する人材スタッフを他社に
派遣する契約であるが、派遣するとは、言い換えれば、特定の能力を他人に引き渡すことに他ならない。
そこで、本稿の検討方法としては'miseadispositionを伴う契約をどのように捉えているのか、フランス法
の動向を考察するO結論を先取りすると、miseadispositionを伴う契約には、単純な物の利用を構成要素とす
る典型契約(売買'貸借)には該当せず'サービスとしての性格を持つものがあるとの分析がある。物の利用
行為を伴う契約が'どのような要件および構造を有していれば、それが役務提供契約として性質付けられるの
であろうか.以下では'まず'miseadispositi()n概念を明確化した上で'miseadispositionは債務の目的とし
て自立した存在た‑得るのかを考察し、最後に物の利用を伴う役務提供契約の法的構造を見てい‑ことにする。
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二miseadisposition概念
1miseadispositi()nとは
フランスの法律用語集においては、miseadisposition概念を人に関する場合と物に関する場合とにわけ、人
に関する場合では、「misealadisposition契約において、l時的な仕事の遂行をするべ‑人材派遣会社が利用