道路費用と自動車課税についての一考察
その他のタイトル A Study on the Highway Cost and Taxation
著者 沼田 昭夫
雑誌名 關西大學商學論集
巻 7
号 6
ページ 518‑534
発行年 1963‑02‑28
URL http://hdl.handle.net/10112/00021647
一 序 説
二道路費用の性格
︱ ︱ ︱ 自 動 車 課 税 の 問 題 点
1
道 路 費 用 の 配 分
2 適正自動車課税への接近
四 結 語
産業革命に当って︑文字通り諸産業の発達を促進しその牽引力を如実に示した鉄道は︑それ自体も急速な発展を
見せたが︑今日ではもはや斜陽化の道を辿りつつあることは明白な事実である︒鉄道にかわって︑鉄道の分野と従
来考えられていた分野を自動車が蚕食し︑ ついに鉄道はその創設以来持ちつづけて来た独占的地位を捨て︑自動車
運送と競争の場に立たざるを得なくなった︒鉄道は既に運送する権利を失いながら︑運送する義務を残され︑その
クリームに当る運送対象は自動車に奪われつつある︒このように︑鉄道運送は︑次第にその運送市場におけるシェ
g アを狭められてきたのである
道路費用と自動車課税についての
沼
一 考 察
田 昭
四六
夫
519
第
1表 英 国 に お け る 鉄 道 と 道 路 運 送 の 特 徴
道 路 費 用 と 自 動 車 課 税 に つ い て の 一 考 察 ( 沼 田 )
I
鉄 道
I道 路
│ルートの状態 直 線 ル ー ト 国 内 横 断
交 通 量 頻 繁 閑 散
距 離 長 距 離 短 距 離
鉄道への接近 直接(側線) 間 接
荷 扱 し 、 機 械 化 人 力
積 荷 大量(車扱) 少量(トラック車扱)
貨 物 頑 丈 こ わ れ 易 い
J. ~- Sargent : British Transport Policy, 1958. p.28
例えば︑自動車運送は︑ し
て い る ︒
このような鉄道の後退と自動車の進出は︑交通業の新陳代謝を活澄化し︑両交通機関の競争を益々深刻なものと
③
このような変化の起ってきた理由は鉄道と自動車のもつ特徴を一瞥することによっても明かである︒︵第一表︶
d o
o r
t o
d o
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なければならない︒ 競争的であり︑ 発揮する︒同時に︑自動車運送の経営は概ね中小規模のものが多く相互に サービスとこれによって節約される運送時間と包装費の点でその有利性を
四 七
また︑運送車両単位の小なることが経営を弾力的にし︑
そ
の費用構造も鉄道の場合と異って固定費の部分は小で︑費用の大部分は可
1 4 1
変費に属することなど自動車運送の特徴的性格は鉄道運送のそれと対照的
な点が多い︒殊に両者が競争的立場に立つとき︑これらの点が極めて重要
な意義をもってくる︒
つまり︑固定費の総費用中に占める割合の大小がこ 4 では特に注目され
︵第二表︶この点は︑こ 4 では︑換言すれば︑通路の
費用の負担をめぐる問題ということができる︒鉄道および自動車の両者の
競争条件は︑この通路費用の負担において著しい差を見出すことができる︒
周知の如く︑鉄道は自己の路線その他の厖大な固定設備を私有している
から︑その固定設備について発生する費用の負担は︑鉄道自身にかかって
`くる︒しかし︑輸送量が大になることによってその負担は軽減されるが︑
第 2 表 交通機関別費用構成
I
固定費(形)
I可変費(形)
鉄 道
61 39海 運
56 44水 運
44 56運 河
61 39ノ`
ス
40 60道 路 費 を 含 む バ ス
46 54卜
ラ
ツク
32 68道路費を含むトラック
50 50空 運
54 46Carl Pirath: Die Grundlagen der Verkehrswirtschaft. 1949 S.242
どの自動車課税や通行料によって道路費用の一部は︑直接間接に て︑自動車の使用する道路は︑自己のものではなく︑公共の設備 さて︑このような費用構造の差は︑通路費用の負担の有無にあ の負担を感じることは殆どない︒ 費用中に占める割合が大であるため︑鉄道におけるような固定費 これに反して︑自動車運送は︑運送用役に関連する可変費の総 輸送量が小であれば単位運送量当りの負担は重くなる︒鉄道経営 が大量輸送を実現できなければなりたたないことはこの点からで も理解されよう︒ るということができる︒鉄道が自己の通路を所有しているの反し である場合が殆どである︒もちろん︑自動車が燃料税・登録税な
負担してきたとはいうものの︑ それらはなお︑自動車が道路費用
の負担を免れてきたことを否定するものではない︒ 山
M.L•Faira n d . E . W . W i l l i a
m s
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r a
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1 9 5 0 . p . 1 3 9 . 図等級の低い嵩高貨物は除いて︑道路運送業者は幹線に沿って︑大量重量貨物の定期的運送に従事し︑鉄道にはむしろ辺鄭 な 地 方 へ 不 定 期 的 小 口 貨 物 の 運 送 で 比 較 的 費 用 の か か る 運 送 を 残 し た ︒
M . R .
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1 9 4 9 . p . 1 8 6 .
⑱
J . R .
S a r g e n t , B r i t i s h T r a n s p o r t P o l i c y , 1 9 5 8 . p . 2 8 .
道 路 費 用 と 自 動 車 課 税 に つ い て の 一 考 察
︵ 沼 田 ︶
四 八
道 路 費 用 と 自 動 車 課 税 に つ い て の 一 考 察
︵ 沼 田 ︶
需要︵観光・ドライヴ︶を除いて派生需要と呼ばれる︒
四九
山可変費は九
0
%
以 上
一
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% に 及 ぶ こ と も あ る ︒
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1 9 5 9 .
p . 2 3
道路交通用役の需要が多種の用途に亘る複合需要であることは︑道路が単に経済的輸送のみでなく︑政治・文化
・治安・軍事的用途など多岐に及んでいることによって明かである︒
また︑道路交通用役は即時財であり︑道路の利用は時間的・場所的に不均等であり︑その需要は︑
ここにみる如き需要のもつ種々の点は道路費用に反映することが少くない︒
道路費用は建設時乃至拡張時に巨大な固定設備を必要とし
7
償却•利子など固定的費用の総費用に対する比率が 大である。従って、限界費用•平均費用は操業度が高い程換言すれば交通量の大なる程或る点まで低下する傾向が
ある︒道路の設備単位は大であって︑ 一部の本源的
しかもその容最が固定的であるため︑過小交通量の場合には︑道路利用の不 均等からオフ︒ヒークの状態を生じて設備の遊休化を来し︑建設費のロスとなる︒ところが︑交通量の増加とともに 容量の限度に近ずくにつれて︑混雑や交通麻痺を生じ︑速度・安全・正確など道路用役の低下を伴う︒
②
また︑道路交通用役の道路に対する重量・占有空間・台数なども多種に及ぶ︒
③
これらの諸事情に加えて︑道路が﹁過去の遺産﹂と称しうる資本設備を使用することができること︑並びに道路 が非商業用に使用されることが︑道路交通の費用を社会的費用として把握するとき︑
それを極めて困難なものにし
( 1 )
てしまう要因である︒
百万ドル
Pavement 25 Grading and drainage1 1
Structure 5 Joint cost 40 Total 81
ともあれ︑道路運送は︑巨額の固定費負担の少からぬ部分を免れているわけで︑むしろ︑道路運送においては︑
道 路 の 費 用 は
︑
ガソリン税などの間接的な手段によって︑固定費の部分に属するものを可変費に転換して負担され
ていることになる︒たゞし︑道路運送の場合はこのような課税の形で通路の費用は負担することを余儀なくされる
が︑鉄道運送の場合は︑間接費負担の仕方についてはその経営体に委ねられてどこで負担するかという自由を有す
固
さて︑焦点は道路費用に限定されてきた︒この道路は︑過去の原始費用 る ︒
( o r i
g i n a
l c o s t ) ・
が不当に低く︑また︑
建設︑維持に当っては租税により負担されてきたことが少くない︒このことが︑道路運送の経済性を高めたことは
明白であり︑且︑今日鉄道運送との競争条件の平等化の点から道路費用は道路運送の総費用の中に含まれるべきで
あると論ぜられる所以である︒
では︑道路費用の公正な負担は果して可能であろうか︒そして︑鉄道と自動車が公平な競争条件にたちうるであ
ろうか︒次に取り上げるべき問題は︑これらと関連して自動車課税をめぐって道路費用の配分とその基準における
問 題 で あ る ︒ 米 国 に お け る 一 九 五 二 年 の 道 路 費 用 は 下 の 通 り で あ っ た ︒
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Vol·XLVIII•No.2
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4 .
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p p . 1
3 3
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43
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2 3 .
道 路 費 用 と 自 動 車 課 税 に つ い て の 一 考 察
︵ 沼 田 ︶
五
0523
一般租税に負うところが多かったが︑利用者税
1 1 1
に負担を限定しようとする議論が進められてきた︒この方法は︑
用者は主として自動車であるから
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に基いて課税の根拠を明確にすることができ︑交通機関
岳 の競争条件を是正し︑道路建設を政治と切り離して経済的基盤に基いて行うことができる
良は量的に厖大であり︑道路網の複雑さとその機能の重要性から公共的性格を有するが︑課税についての利用者利
益と費用原理を道路経済に適用するのである d しかし︑道路の非経済的利用を除いて考えるとしてもなお︑自動車
課税の公平を期すことは極めて困難なことである︒
道路費用の配分という点から︑二つの考え方が基本的に把握される︒その一っは︑道路交通用役に伴い発生した
道路費用に比例して受益者にそれを配分するものであり︑他の考え方は︑道路使用者の受けた用役の価値に比例し
道 路 費 用 と 自 動 車 課 税 に つ い て の 一 考 察
︵ 沼 田 ︶
(1 )
( 6 ) ( 5 ) ( 4 )
J . R . S a
r g e n
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c i t . p . 3 8 .
J . R
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. p . 8 8 .
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5 5 .
p . 1 3
8 .
道路費用の配分
五
既に述べたように︑道路はその建設又は拡張に当って巨大な資本を必要とする︒従って︑道路費用の主な問題の
︱つはこの建設費用の負担を如何にするかということである︒建設後の維持管理費用もこれに含めて︑道路費用の
使用者に対する負担は︑交通業における競争と交通調整の面から益々重視されてきた︒
( u s e
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a x
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)
道路費用は過去において︑
一般課税よりも便利であり徴収し易く︑道路の利
つまり︑道路の建設改 によって直接利用者
道 路 費 用 と 自 動 車 課 税 に つ い て の 一 考 察
︵ 沼 田 ︶
4 て道路費用を受益者に配分するというものであな︒
前者に属する方法として限界理論
った基本的道路
( b a s
i c r
o a
d )
を想定し︑全車両にこの費用を配分し︑その費用と重量車両が走行可能な現実の道
路の費用との差額を更に重量車両の程度に応じて配分して行くという方法である︒この場合︑配分基準は︑道路建
設に当って構造上︑最も関連の深い車軸荷重に求められる︒ただし︑ここで問題とされることは︑基本的道路の合
理性とその決定にある︒
同様にして道路費用を機能別に分類して︑道路利用者の負担が利用道路網の費用と比例的関係にあるべきだとす
る方法がある︒車両の走行距離・大きさ・重量とは無関係な美化造園などの費用は
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s と呼ばれ︑各車両のグループに車両台数に応じて配分される︒
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連する費用を含む
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s と呼ばれる︒これは通常の建設・維持費を走行距離に従って配分するも
のである︒第三の道路費用は︑
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s
と呼ばれ︑走行距離・車両の大きさ・重量の別に関連するもの
伺
で操業トンマイルに従い配分される︒これは後に述べる総トンマイル法が総費用を配分するのと異り︑重量と距離
が影響をもつ費用のみを配分する点がや 4 精密である︒これらの方法により総道路費用の配分を行うとしてもなお m 完全な費用配分方法とはいい難く︑むしろ総トンマイル説の誤謬を指摘したに止まる︒
他方︑受益者の受けた利益即ち用役価値に従い費用配分を行う方法として総トンマイル説が挙げられる︒
岡 ︑
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この方法は車両重量と走行哩数の積に比例して
重量別車両グループに配分するものである︒しかし︑この場合︑配分の甚準とする数値が必ずしも道路用役価値の 負担されるべき総費用を全車両叉は 第二の費用は︑車両の大きさと重量の別に関
5( i
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r e
m e
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o r y )
がある︒これは︑軽量車両の走行に充分な構造をも
五
道路費用と自動車課税についての一考察︵沼田︶
u m
このような混雑の発生する道路においては︑通常私的限界費用と社会的限界費用との乖離は益々大となる︒例え の増大によって︑鉄道や空運へ交通量の転換がありうる︒ c o
s t
t h e o r y ,
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f o d i f f e r e n t i a l b e n e f i t s , s p a c e , t i m e
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) が あ る が
︑
五
測定と一致せず︑用役価値はむしろ積荷の如何︑用役の質に依存すると考えられる︒
つまり︑道路使用によって受
担の過重をもたらした︒要するに︑道路費用は総重量やトンマイルとは関連せず︑道路建設時に技術的に考慮され るのは総重量ではなくて車軸荷重である︒但し︑先の方法は調査は簡単で︑過去の調査によれば全体として概ね必
圃
要な負担か或いはそれ以上の負担がされていたことが明かになっている︒
皿
この他にも用役価値の測定基準を運転費・距離及び時間の差による便益・空問及び時間に求める方法
( o
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,
これらの方法は何れも配分方法
u n
に一長一短があって︑組合せて適用することによって合理的配分に近ずくことが可能である︒
適正自動車課税への接近
価格形成における社会的厚生極大化の条件は︑限界費用価格決定原理より︑限界費用に価格を等しくすることに よって達成される︒交通業のなかでも︑鉄道や道路の如く固定費用の比率の高い交通機関では︑運送需要の不均等 から遊休設備を生じ︑価格を限界費用に等しくすることによって価格の引下げが可能となるのである︒
しかし︑交通量が輸送能力に近ずくにつれて陰路を呈して交通の流れを阻げ限界費用は逓増する︒道路網におけ る混雑部分は交通量を減少させ︑閑散部分には交通量を増大させる必要が生じる︒そのためには料金徴収のほか特 定車種の乗り入れ禁止や駐車制限などの手段がとられるが好ましくない結果を生ずることもある︒道路交通の価格
(2 )
ける用役価値は必ずしも重量に比例しないのである︒しかも︑
一般的にこの方法の適用は︑重量物グループに税負
526
用と価格が等しいというビグーの条件は次の如くである︒ しかし︑これらの課税はその徴収技術上可成り簡単化される必要があり︑交通量の最適配分は益々困難となる︒
凹
ただし︑車両走行によって生じる路面損傷の如き費用は社会的限界費用に比較して著しく小であるからむしろ無視
皿 しうるのである︒
さてここでこれらの場合の適正妥当な燃料税・通行料を限界費用価格決定原理に立脚して求めてみよう︒限界費 て
く る
︒ 第
1図
Y D
T'(Il)T(IJ)Tl(DT(D T'T x
( 註 )
A.A.Walters, The Theory and Measurement of Private and Social Cost of Highway Congestion, Econometrica, Vol. 29. No. 4. (Oct. 1961) p.678より,
道路費用と自動車課税についての一考察︵沼田︶
る︒そのとき地方免許料が補足的手段として意味をもっ 安い燃料の輸送を目的とする運送を惹起するおそれがあ 税がこの場合最も有効であるが︑都市と地方の税率の差 う考慮されなければならない︒この場合︑課税は都市内 高いから︑都市における自動車課税はより高率となるよ
ま た
︑
一般に都市は地方に比較して道路の混雑の度が
︵ 第
一 図
︶
これに当る︒そのようなところでは︑通行料のような形
閥
でその乖離を埋めることが望ましい︒
走行距離に基くよう調整されるべきである︒従って燃料
には限界があり︑差が甚だしいときは︑地方から都市へ ば︑常に交通麻痺を生じる道路・トンネル・橋梁はほゞ 五 四
527
道路費用と自動車課税についての一考察︵沼田︶ つぎにわれわれは一般都市燃料税の最適値の算出を試みてみよう︒ここに必要とされるのは︑費用函数と需要函
数である︒費用条件は︑道路の新規建設や拡張工事に際して大きく変化する以外は︑道路上の交通量によって決定
闘
される︒しかし︑需要曲線は︑有効な通行料の決定や道路改良の効果測定に関して重要であるにも拘らずその確認
が困難である︒このことが適正通行料の算定を極めて難事業に追いこむ︒
そこで︑特定道路での速度と交通量に関する資料から︑弾力性を導き出すことにする︒
次の回帰方程式からズの特定量
の x O
時 の 弾 力 性 L C x o ) を 求 め う る ︒
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は 単 位 費 用 ︑
X
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通 量
︑
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…•巌涛)
五 五
d
は弾力性とする︒
課すことが望ましい︒ 更に低い点にあるべきである︒というのは︑都市において三〇哩という比較的高速度を前提とし︑燃料税が︑単位 燃料当り長距離走行可能な車両へ転換することが困難であるからである︒
かりに燃料税を都市では三三セント︑地方では一 0 セントと弾力性に従って差別をつけると少数の大都市を除ぃ
て︑地方から都市へ燃料密輸が横行するからそのような試みは不可能である︒また︑有料道路の大部分に通行料を
課す口実はないことになる︒何故ならば︑そこには混雑が全くないかあっても極めて小だからである︒
貨物自動車については︑燃料税に反映される如きより以上の社会的費用を生じるから︑燃料税以外に特別哩税を
第 3 表 時速
30マ イ ル の と き
1マ イ ル
当 り 運 転 費
(1959年 )
費 用 項 目
l運 転 費
ガソリン
(1ガロソ
15マイ セント
ルと仮定) (
1) 1.40潤 滑 油
.21ク ィ ャ な ど
.35維 持 費
1.00償 却 費 (使用者)
1.12運 転 費 小 計
4.08時 問
(2) 7.001
マ イ ル 当 り 費 用 合 計
11.08註 ( 1 )
( 2 )
( 3 )
1
ガロン
20セント(課税前)
1
台
1時間
2ドル
A.A. Walters, op. cit. p.691.
道 路 費 用 と 自 動 車 税 課 に つ い て の 一 考 察
︵ 沼 田 ︶
当り運転費︵第三表︶が都市燃料税の算定に用いられそれから
適正燃料税の最低値が知られる︒すなわち︑
一哩当りニ・ニセントという値が適正燃料税であるが︑実際は
T ;
C =
; d
; =
l l
. 0
8 X
0 .
2 =
= a
2 .
2
若干の資料から算出した 0 ・ニという弾力性と乗用車の一哩
明 し
た ︒
良好な都市道路の閑散時の交通量のそれと略々等しいことが判 その結果︑最良の道路のある都市の平均交通量の弾力性は︑
> 翌
︒
L (
x o
) 1
1 >
>
ゃ
B 0
+ a
五 六
いま︑所与の道路において︑第二図によれば︑約︱二 0 両にて弾力性は無限大となる︒最適交通流量を得るため
に必要な需要の弾力性は資料がないので︑第三表から七〇ー︱
1 0
両の範囲の時速一七哩のときの一哩当り費用は
約一九セントと推定され︑燃料税が適用され︑第二図から弾力性を 0 .七とすると一哩当り通行料は約一 0
セ ン ト
となる︒同様にして︑弾力性一ならば八・五セントとなる︒
A . A .
W a
l t
e r
s
の推算では一五セントの通行料が望ま
第 2図 交通量と時間との関係
道路費用と自動車課税についての一考察︵沼田︶ 五 七
0 0 0 3 2 1
走行所要時間︵分︶
゜30 4.o 印
( 註 )
第 3 図 速度と密度との関係
Smax
‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑‑‑ ‑ ‑‑ ‑ ‑‑‑‑7 ̲ , , ‑ ‑
'
シ
,
ク
速
度 (S)
◎
60 70 80 90 100 110 120 130 140 12分間毎に乗入れる車両数
A.A. Walters, op. cit. p.694'
log D (¥=o)‑log D
( 註 )
A.A. Walters, op. cit. p.693.道路交通需要の増大から道路上の車両密度が大となり交通流量が激減することは︑今日交通麻痺の問題として世
論を賑わせている︒このような場合には︑費用曲線を利用して最低速度を探ることが重要である︒
第 4 表 乗 用 車 速 度 と 通 行 料
速 度 ( 哩 )
I道 路
I道 路
lI35 9.0セント/哩 7.8セント/哩
30 14.4 12.3 25 28.3 22.8 20 94.5 62.0
現 行 通 行 料
l50. セント I 40.oセント哩当り現行通行料
I35.3セント/哩1 1.07セント/哩( 註 ) (
1)最大流量時の速度は道路
Iでは
17.00哩 ,
路
IIでは
15.77哩
(2) A.A. Walters: The Theory and Measur‑
ement of Private and Social Cost of Highway Congestion. Econometrica, Vol. 29. No.4. 1961. p.696.
道
K. Sj
はそれぞれ費用・定数・所与の速度とする︒
しいとされ︑このときの交通量は︱
1 0
│
︱ 二
0 両で速度は︱ニー一四哩となる︒
道路上の車両密度と速度とによって適正通行料の算出を試みる︒第三図に示される如く︑速度が上昇するにつれ て密度は減少する︒しかしこの比例的関係は低速の範囲に限定され︑
ここで密度・速度をそれぞれ
D.s
として︑その積
X を交通流量とする︒流体動学から導入された次式を用いて︑
交通流量を表わすと︑ につれて密度は更に減少し第一二図の破線を辿る︒
道路費用と自動車課税についての一考察︵沼田︶
速度の弾力性は次の如くなる︒ x d s
{ 3
. "
"
"
s
d x f 3
ーS
特定道路の能力速度
8 は次式より得られる︒但し
h.aを
それぞれ車両間隔・定数とする︒
そこで所与の速度または所与の通行料についての速度の変 化に対する適正通行料
ほ次の如く表わされる︒但し︑
T jC j .
S 1
1 p
( l
o g
, h
ー
l o
g ,
a )
S11
湘霙ー p(Iogx
—logs)
X 1 1 D s
S 1
1 p
( l
o g
D (
s 1
1 0
)
ー
l o g D )
速度が無制限走行速度
( S m a x )
に接近する 五八
道 路 費 用 と 自 動 車 課 税 に つ い て の 一 考 察 ︵ 沼 田 ︶
11 和
( P )
﹂第三表の数値をあてほめて
hの値を求めると
Sj
Si│p
ここで残された問題は︑最大交通流量に到達するように道路への乗り入れ車両数を減少させ︑通行料を有効な限
度まで引き上げることである︒同時に通行料の算出には需要弾力性も知る必要がある︒
山
W.J•Hudsona n
d J
. A .
C o
n s
t a
n t
i n
, M
o t
o r
T r
a n
s p
o r
t a
t i
o n
,
1 9 5 8
. p p . 1 1 7
│ 8
.
②
w .J•Hudson
a n
d J
. A .
C o
n s
t a
n t
i n
;
i b i d
.
③
E .
T
r o
x e
l ,
o p .
c i t . ,
p . 2 5
4 .
④
C h
a r
l e
s A
. T
a f f .
C o
m m
e r
c i
a l
M
o t
o r
T r a n
s p
o r
t a
t i
o n
,
1 9 5 5
. p p
6 .
3
ー
7 2 .
. C f
E m
e r
y
T r
o x
e l
,
E c
o n
o m
i c
s o
f
T r
a n
s p
o r
t .
1 9
5 5 .
p p . 2
6 1
ー
9 . 固完備した資料・技術的問題・適切な資本費の配分など問題となるところは少くない︒
A .
R .
F e
r g
u s
o n
, 0
p .
i t c
. p p
2 .
2 4
ー
5.
⑥この三種の費用の比は、それぞれ―――-•六形、四
0.七形、四五•六形であった。
C.A.T a f f
. o p
c i .
t .
p . 7 0
.
m
道路の損粍の程度によって重量車と軽量車の道路に対する影響を見ようとする方法もある︒コンクリートの自然的歪みと 通過車両の与える荷重によってこれを調べるのであるが︑ここには走行距離を考慮する必要がある︒
C l i f
t o n
M .
G r
u b
b s
;
甚だ低く有効通行料を遥かに下まわるものであるという︒
k及 び
8 ︿ の数値によって
を算出することが可能となる︒ T i
k=ll.08x3011333Ti11cj(~) C
;1 1K ]S j
とすると
五 九
︵第四表︶この結果によれば︑現行の通行料は何れも
搭甜睾正』皿酋醤盛涵足
0今 ¥.JQ
1搬條(起田)
1(O" .,Highways, Proceedings of the Business and Economic Statistics Section, 1961, pp.358‑60. n
全 寧{叫起以̲,̲̲入郵・ ‑<都祁ヂ
Ci‑‑'痘甜葉王以ヨ内葉棋如要製
⇒心
f..>J料此心兵#゜
A. A. Walters, Track Costs andMotor Taxation, The Journal of Industrial Economics, Vol, II, No. 2, April 1954. p.137.
豆
C.A.Taff. op. cit. p.68.亘#..>J
^化を熙溢惹·部ヒ堂巨
Q堕捉.誼業痘甜
Q殿溢以弓心鏃崇壮勾
Q疑令
Qヨ心足寧涯~,痘淫
Q製に以弓心振孟縣旦弓 門
J嵌よ和兵{部ヒ圏棋
..>J冊宜·栞茫押祁俎竺掌蒋
Qいた心宦匡坦寧捏以中全
i--'栢約ふ
~t(loリ兵如置裟縣ゃ嵌よが因ば 狛ぶ唸
i‑‑'OO巌や怜心茶'中 Q 抵製茶
1活や廷笛ぐ心共ドニ心゜
Cf. D.J. Reynolds, The Economics of Rural Motorways, The Journal of Industrial Economics. Vol. X, No. 1,Nov. 1961, pp. 12‑5.
St. Clair, Problems of National Highway Cost Allocation Study, Proceedings of Business and Statistics
Section, 1961, p. 364.
言
C.A.Taff. op. cit. p.73.彗證器菜俎訊燻諷 Q 語竪以索
⇒ド条〇黍咲忌や母心
..>J'摺葉足
idleoverhead..>J皆召兵心←岩正猫兵
(unusedcapacity)如赳
⇒心゜
J.M. Clark; Studies in the Economics of Overhead Costs, 1923. p.304.塁
M.Beckman, C.B. McGuire and C.B. Winsten, Studies in the Economics of Transportation. 1956. pp.86‑7.+据怒-<「#国磁迩墜則」
1忍く
1-ll¼-'10回ー
10嵐鈴匪゜ 茎
A.A.Walters, The Theory and Measurement of Private and Social Cost of Highway Congestion. Economet‑rica. Vol. 29. No. 4. Oct. 1961. pp.676‑97 2:§
巳心宦纏足弓心知
J心茶唸二゜
塁社会的限界費用=私的限界費用
X(l十私的限界費用曲線の弾力性)
A.A. Walters, op. cit. p. 680.里 *'""'>‑ヽ竺押菜睾 Q 翁
4叫座砥睾庄茶砦惑
⇒心心甜令や母兵召唄に宰如腑
..>J,....)や#ぐ賭井忠謬ャ
e暇米葉圧以サ
Ci‑‑'+<出炉
J..>J如迦蕗
⇒#゜
HaroldHotelling, The General Welfare in Relation to Problems of Taxation and Railway and Utility Rates, Econometrica, Vol. 6, No. 3, July 1938, pp. 260‑2.巨
Cf.John R. Meyer and others. The Economic of Competion in the Transportation Industries, 1959 pp. 66ー9.道 路 費 用 と 自 動 車 課 税 に つ い て の 一 考 察
︵ 沼 田 ︶
一
ノ
交通業における競争が激化するにつれて︑道路費用の負担の問題は重要視されてきた︒
設・維持費用を充分負担していないと考えられてきた︒道路の建設はむしろ非利用者によるものが多く︑道路費用
②
は利用者・非利用者があわせて負担する場合が少くなかった︒道路からうける利益は直接の利用者のみにとどまら
ず︑利用者以外にも及ぶことが多い︒たとえば︑道路の建設・改良に伴う地価の騰貴などその著例であろう︒
1 4 1
かつては道路利用者に対する負担は︑車両を運転する特権と燃料に対する課税であったが︑限界費用価格決定原
1 5 1
理を自動車課税に応用することによってその負担は軽くなると考えられた︒道路使用に起因する費用は小部分であ
るから一度建設された道路の自由な使用を制限する如き通行料の徴収は望ましくない︒しかし︑道路の自由な利用
による混雑が発生すれば︑社会的限界費用と私的限界費用の間に乖離が生ずる︒ここに自動車課税を用いて私的限
界費用を社会的限界費用に近ずけることができるのである︒このように厚生経済学的資源配分の見地から自動車課
税は道路費用以外の規範を用いることによって道路交通用役生産の最適状態へ導くことが可能となると考えられる
田貨物自動車ほむしろ補助金をうけて︑鉄道は納税者の立場に甘んじていることになるという︒
C o
n v
e r
s e
,
P a
u l
D . ,
H a
r v
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W .
H
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g y
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T ,
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E l
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t s
f o
M a r
k e
t i
n g
, 5
t h
e d .
1 9
5 4 ,
p .
99
.
③
J o
h n
R .
M e
y e
r a
n d
o t h
e r s ,
o p
c i .
t .
p .
70
.
③道路の与える便益はこのような利用者以外の者に与える外部経済的部分と︑支払った通行料部分および消費者余剰的部分 とに分けて考えられる︒大石泰彦﹁道路の経済問題﹂日本経済新聞︑一九六二年五月四日
が︑残された問題も少くない︒
四
一般に自動車は道路の建
④今野源八郎﹁アメリカ道路発達論﹂三七四ー七頁︒参照︒
( 0•H.
B r o w n l e e a n d W a l t e r W . H e l l e r , H i g h w a y D e v e l o p m e n t a n d F i n a n c i n g , A m e r i c a n E c o n o m i c R
e v
i e
w ,
V o l . X L V I , o N . 2 , M a y 1 9 5 6 .
p p . 2 3 4 , 2 3 8 .
⑥通行料の徴収がさけられないとしてもピーク時に限ることが好ましく︑重量大型車には道路損傷の故に課税される︒
B . P .
B e
c k
w i
t h
, M
a r
g i
n a l
‑ C
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t P
r i
c e
‑ O
u t
p u
t C o n t r o l , 1 9 5 5 p p . 2 3 3
ー
4.
m
道路用役に対する適正価格は社会的限界費用に等しい需要価格であるという︒
J a m e s M . B u
c h
a n
a n
, T h e P r i c i n g f o H i g h w a y S e r v i c e s , N a
t i
o n
a l
T a x J o u r n a l , V o l . V , o N . 2 . J
u n
e 1 9 5 2 . p .
1 0 0 .