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造形活動を利用した空間デザインに関する考察

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造形活動を利用した空間デザインに関する考察

著者 川原? 知洋

雑誌名 静岡大学教育学部研究報告. 人文・社会・自然科学

号 65

ページ 213‑220

発行年 2015‑03

出版者 静岡大学教育学部

URL http://doi.org/10.14945/00009205

(2)

静岡大学教育学部研究報告 (人 社会 自然科学篇)第65号

(20153)213〜

220

造形活動を利用 した空間デザインに関する考察

A Study ofthe Space Deslgn utlレ hg Creatlve Experlence

川原崎

 

 

Tomohiro KAWARASAKI

(平

26年

10月

2日

受理)

Iまじめに

これ までデザ インの主たる対象 はモ ノであった。 しか しなが ら近年、様 々な技術 革新 によ り、

モ ノ自体 よ りもむ しろモ ノの ソフ ト的側面やそれに付随す る情報が我 々に何 を与 えて くれるの かに比重が置かれ始めている。つ ま り、デザ イ ンす る対象 もハ ー ドか らソフ トヘ、モノか らコ トヘ と傾斜 している。一方で、人が存在 している以上、 この世界か ら物理的なモ ノが姿 を消す ことは考 えに くい。モ ノ

 

コ トのデザ インは、社会動向や時代 の潮流 とともにその捉 え方 には 変化が生 じる。 しか し、モ ノにはそれぞれのス トー リーがあ り、 またモ ノが存在 して こその コ トであ り、モ ノとコ ト、ハ ー ドとソフ トは切 り離す ことので きない関係 にある と言 える。 この

ような背景か ら、 より質の高い造形活動

(ソ

フ ト )を 子 どもたちに提供するためには、活動す る空間   環境

(ハ

ー ド )を 一体的に捉 えなが らデザインしてい く必要があるのではないか とい う仮説 を持 ちなが ら、造形活動 と空間 との関係性 について研究 を進めている。

研究の目的と方法

本稿では、

2014年

5月 に実施 された「 こどもの くに

2014」

での造形 イベ ン トの実践 を基 に、

造形活動 と空間 との在 り方について考察 した。両者 を一体的にデザ インす ることにより「造形 活動 を利用 し、空間全体 をメデイアとして捉 えることによって、有益 な情報 を伝達することが で きる」 とい う仮説 を立てた。 この仮説 に対 し、造形イベ ン トでの実践 を考察 してい くことで、

造形活動 と空間デザ インについての新たな関係性 を見出す ことが 目的である。

研究の方法 として、多 くの集客が見込 まれる大型の公共施設 において、子 どもたちの造形活 動 をデザインす る上でのポイン トについて、昨年度の実践事例 Dで の反省 を踏 まえなが ら整理 す る。 また、 どのように造形活動 と空間 とを一体的に捉 え、運動 させてデザインしたのかにつ いて、そのプロセスを辿 りなが ら論 じる。 さらに、造形活動 を利用 し、空間を情報イ 云達メデ イ アとして認識することが可能か どうかの客観的な指標 を得 るため、来館者 にアンケー ト調査 を 任意で実施 した。今 回提案 した造形活動の主旨が どの程度理解 されたのか、または理解 された

ことによってその後の態度変容 に影響があつたかについての分ヽ と考察 を行 う。

こどもの くに

21114‑ど

んどんどうぶつ―の概要

日  

:2014年

5月 3日

(土

)〜 6日

(火)ま

での 4日 間 /10100〜

16:00

場   所 :静 岡県 コンベ ンションアーツセ ンター

(グ

ランシップ

)

213

美術教育講座

(3)

214 川原崎  

対象者 :乳 幼児か ら小学校中学年 までの子 どもとその家族 テーマ :ど うぶつ

主   催 :静 岡県文化財団 入場料 :無 料

このイベ ン トは公共施設 において大型連体 に行われるため、 1日 にお よそ

4,OXlll人

もの人々 が訪れ、 4日 間の会期 中にお よそ

16,03Э

人 もの来館者が参加す る大型 イベ ン トであることが最 大の特徴である。乳幼児 の子 どもたちを主な対象者 として想定 し、造形 イベ ン ト全体のテーマ が毎年決定 される。今年度のテーマは『どうぶつ』 と決定 した。 フ 動物の生態や特性 などか ら

どの ような造形活動が可能なのかを探 りなが らイベ ン ト全体 をデザ インした。

会場構成は、各々の造形活動の性質を吟味 しつつ、全体のシークエ ンスに配慮 しなが ら以下 の ように設計 した。

(図 1参

)

① どうぶつの世界にようこそ /プ ロローグ

② どうぶつに変身

!

③ どうぶつのすみか

④ どうぶつをみんなでたすけよう <本 研究の核 となる造形活動 >

⑤ ミミズクの部屋 /エ ピローグ

① プロローグ展示 として位置づ けた。導入展示 として「Animtt Revol■ ionJと 名付 けた ト ンネルを設置 した。来館 した人々を非 日常的などうぶつの世界へ と誘 う トンネルである。来館 者 はフレームに開けられた穴 を通 り抜 ける。穴の形は

3種

類あ り、人間のシルエ ッ トの穴→猿 人のシルエ ッ トの穴→猿のシルエ ッ トの穴 とい うように、通 り抜 ける穴が徐 々に

4ヽ

さ くな り、

図 ‑1《 会場全体図》

(4)

造形活動 を利用 した空間デザイ ンに関す る考察

迎 え入れ られた人々は、徐 々に小 さ くなる穴に合わせて腰 を屈 めなが らどうぶつの世界へ入 っ てい く。

② 自分が変身したいどうぶつの耳やしつぽを制作する。

③大 きなメイン会場に入つた希望者にはフェイスペイントを行 う。 どうぶつに変身し、 どう ぶつになりきつた子 どもたちは、中央の素材受渡 しカウンターに行 き、大小様々なダンポール や布、紙、紙筒などの素材を用いて自分のすみかを自由に制作する。

④本研究での核 となる造形活動である。詳細については後述することとする。

⑤エピローグ展示 として位置づけた。招待作家の三沢厚彦氏の作品『ミミズク』の展示を行 い、どうぶつの世界を出て行 く来館者に、印象的な余韻を残す役割を担う。

造形活動を提案する際に考慮すべき事項

2014年

1月 下旬頃か ら有志の学生

6名

とチームを組み、図

1の

④にあたるスペースの造形 活動について企画するためのアイデア会議を定期的に行つた。造形活動を企画するにあたり、

静岡市立日本平動物園にも協力 していただいた。学芸員や飼育員の方々に動物の生態などの基 本知識に関する情報を提供 していただきながら、造形活動 として展開する可能性について助言 をいただいた。また、この造形イベントは「アー トとコミュニケーション」という筆者分担担 当の教科専門授業の一環 として取 り組んだ。ゆ乳幼児 とその親との造形活動を通したふれ合い を通 し、造形活動の可能性について、学生それぞれが考えを深めることを期待 した。また、子 どもの造形活動を企画・提案するにあたり、昨年度の実践の反省を踏まえつつ、チーム内の共 通認識として以下のことを考慮 した。

1  多 くの来館者が見込まれるという特徴 を活かすこと。

2  ショッピングモールなどでも行えるような造形活動は計画 しないこと。

3  会場全体の造形活動のシークエンスを意識 し、子 どもたちの体験の幅を広げること。

4  動物園での体験 と差別化すること。

1  図

1に

示 したように、グランシップの展示室は約

30ピ

の展示室が

6個

、メインの展示 室は

400ポ

ほどの大 きな空間である。特にメインの展示室は天丼高 も

6mほ

どあ り、昨年度の イベ ントには

16,000人

ほどの来客実績があつた。多 くの人々が来館 されるということがこのイ ベント最大の特徴である。造形活動をデザインしてい く際には、多 くの人々が参加 してい くこ

とのできる体験内容と空間活用を考慮 していく必要がある。

2  ショッピングモールでも行えるような個人制作を主とした造形プログラムではなく、複 数の体験者が関わり、共同で作品を制作する活動を提案する必要がある。

3  造形活動の導入では、子どもたちがお面やしつぽをポール紙で制作することで動物に変 身し、メイン会場ではどうぶつのすみかをダンボールで制作する造形活動が続いた。素材 を用 いて工作する造形活動が続いたため、工作ではない体験内容を提案する必要がある。

4  イベント会場の近隣に静岡市立日本平動物園があり、毎年 この期間中に日本平動物園には

多 くのお客 さんが来園 している。また、イベント会場であるグランシップは大型の駐車場を

持つていることから、グランシップを起点に動物園に訪れる方が多い。当然、動物園は本物の

動物 とのふれあう体験ができる。イベント会場の近隣に動物園があることと、物理的に動物を

会場に持ち込むことができないことを考えると、必然的に動物 とのふれあい以外の体験を提案

215

(5)

216

川原峙  

しな くてはならなかった。動物の生態や性質 を常套手段で造形活動へ と転換 しようと試みると、

本物の動物 とのふれあい以上の魅力 を提供す ることがで きな くなって しまう。 しか しなが ら、

「動物園で

1ま

体験で きない動物 に関連 した体験」や「グランシップの展示室だか らこそ実現で きる体験」 とい う縛 りは、今回のアイデア発想 には必要な制約であった とも言い換 えることが で きる。

造形活動のデザインフロセス

造形イベ ン ト全体 のテーマが「 どうぶつ」とい うことで、 「ふれあい」 「親 しみ」 「可愛 らしさ」

などの動物の持つプラスイメージを基軸 に造形活動 を提案 した。 よって、メイン会場での造形 活動 を終 えた後半の活動では、あえてマイナスイメージであるキーワ‐ ドを基 に体験内容 を提 案す ることを考えた。具体的には我々が直面 している社会問題 について着 目することを試みた。

導入部か らメイン会場 までの体験内容 との差別化 を図る必要 もあ り、工作の ような体験ではな い「学び」の要素 を取 り入れた体験 を提案す ることが求め られた。そこで、体験 としては遊び やゲームの要素 を強 く出 しなが ら、具体的なメッセージを伝 えることで学ぶ ことの出来 る体験 の可能性 を模索 した。

思考 してい く中で、 「絶滅危惧動物 とい う希少性」 と、「当たる確率の非常 に低いクジ」同士 が リンク した。 この

2つ

の関係 を精査すれば、遊ぶ体験 を主 としなが らも、難 しい社会問題 に 対 してアプローチ してい くことがで きるか もしれない とぃ う微かな可能性が見出され、プーン

テーマを「絶滅危惧動物 をモチーフとした造形活動」に焦点化 した。

しか しなが ら、次の問題が立ちはだかった。それは、絶滅危惧動物 をテーマに掲 げることで、

この問題の重要 さを伝達することが仮 にで きた として も、この ような大 きな社会問題がす ぐさ ま解決 される訳で もな く、中・長期的な問題 として捉 えたところで、我々にで きる具体的な解 決策は無い ように思われた。具体的な手だてを提示することがで きなければ、問題提起す る事 自体が無意味な ものになって しまう。 しか しなが ら、子 どもたちや親 をは じめ とす る多 くの 人々に対 し、近い将来地球上か ら姿を消 して しまうか もしれない動物が この世界 に多数存在す ることについて、 まずは「知 る」 というステ ップが重要であると考 え方 をシフ トした。

この ような社会問題 を取 り上げる場合、効果的に理解 を促す ような伝達方法 を考慮 しなが ら デザインする必要がある。また、絶滅危惧種の選定については、静岡市立 日本平動物園に協力 していただ き、動物園で飼育 されている動物の中で絶滅危惧種 に指定 されている

9E41の

動物 を取 り上 げることとした。 また、絶滅危惧動物 について知 るきっかけ となる

2つ

の コミュニ ケーシ ョンの方法 をデザインした。

(図‑2参

)

1つ 目のコミュニケーシ ヨンの方法 は、「おみ くじ体験」である。巻物状 のクジを約

20,OID

本用 意 し、それをプールのように床一面に散 りばめた。その巻物状のクジを開 くと、内側には 絶滅危惧動物の

9種

、 もしくは身近な動物の

5種

いずれかのイラス トが描かれている。絶滅危 惧動物の絶滅危惧動物のクジの書

J合

を極端に低 くすることで、体験その ものをゲーム感覚で楽

しみなが らも、絶滅危惧動物の希少性 について理解することがで きるようにデザインした。

クジを引いた後、該当する動物のぬ り絵台紙 と交換 し、体験テーブルでぬ り絵 を行 う。ぬ り

絵がで き次第、会場ス タッフがぬ り絵 を所定の壁面に展示する。絶滅危惧動物のクジの割合 を

極端 に低 くしたので、必然的に展示 される絶滅危 瞑動物のぬ り絵の数は少 な くな り、部屋の壁

面のほとんどは身近な動物のぬ り絵 に埋 め尽 くされることになる。空間全体がメデイアとな り、

(6)

造 形活 動 を利 用 した空 間 デザ イ ンに関す る考 察 217

p 転

絶 滅 危惧 種動 物 の ぬ り絵 の民示

(A′

3壁 面 身 近 な動 物 の ぬ り絵 の星ポ C壁 面)

ぞれ所 定 の場所 に展 示する

C壁 面:身近 な動 物の 塗 り絵 展示 場PF

A壁面 とB壁 面:絶滅危 惧動 物の 塗 り絵 展示 場所

バーデーションカーテン

②ぬり絵 の部屋とレッドリス トの動物 の展示

壁 面 には絶 減 危 惧 動 物 の 実物 大 シル エ ットの そ ば に該 当する動物 の情報 も展示されている。

子 どもたちは「ぬ り絵 台 紙 受渡 じカウンター」で クジと引 き換 えにクジ に 印刷 され た動 物 の ぬ り絵 の 台 紙 を受 け 取 る。ぬ り絵 を行 うた め の体 験 テーブル が部 屋 に設 置さ れているので、そこで ぬり絵 を行 う。

絶 減 危 惧動 物 の ぬ り絵 につ いては、A壁面 また は、

B壁 面の実物大シルエットの近 くに展示する。

身 近 な 動Pllのぬ り絵 につ いては、C壁面 に展 示 さ れる。

①動物のクジを引く部屋

動 物 のシルエ ットの迷彩 柄 模様 の「巻 き物 クジ Jが 床 一 面 に広 がつて いる。「巻 き物クジ」プ ー ル の ような空 間を設 計.

「巻 き物クジ」を開 くと、内側 には 日常的 に見 ら れる身近 な動 物5種と、絶 減危 惧動 物9種 が 印 刷 されている。

絶 滅 危 惧 動 物 は 個 体 数 が著 しく少 な い の で 、 絶 滅危惧動 物 のクジの選 べる確 率 を低 くする。

絶 滅危惧動物:身近 な動 物=20.000枚:50枚

壁 面 に展 示 され た ぬり絵 の数 を見 ると、絶 滅 危

 

絶 滅 危 惧 動 物 の「巻 き物 クジ」の書J合 が低 惧 動 物 の数 は身近 な動 物 に比 べて非 常 に少 な

 

量 ことか ら、絶 滅 危 惧 動 物 の 希少 性 を実 感 い ことを視覚 的 に実感する。

         

する。

選 ん だクジ とぬ 嘘 合 紙 の 交 換

ステップ4:絶滅危惧動物

巻 き物 クジを選 ぶ

明 □

図 ‑2《 絶減危惧動物をテーマにした造形活動の概要》

│.̀.X'。

│̀'.X''.‐ .:l,::ll

● ぬ り絵 の部 屋+絶滅危 惧 動 物 の展 示 )動物 の クジを 引 く部 屋

(7)

218

川原崎  

絶滅危惧動物の希少性 を直感的に視覚す ることがで きるように設計 した。 これが

2つ

日の コ ミュニケーシ ヨンの方法である。

アンケー ト調査の分析と考察

今回の造形活動 を通 した子 どもの理解度 と、本来の 目的であった造形活動 を通 して絶滅危惧 動物 について「知 ること」の きっかけになったかについてアンケー ト調査 を実施 した。「 どう ぶつ をみんなでたすけよう」の造形活動 を終 えた子 どもの保護者 に任意で協力 していただ き、

4日 間で

328名

の回答 を得た。

1は

「 どうぶつをみんなでたすけよう」の活動主旨の理解 について尋ねた ものである。「十 分理解で きた」 は

128%と 2割

を切 つたが、「理解で きた」 を合 わせ ると

6割

を超 え、造形活 動 のプログラムの主旨についてある程度の理解 を得 る結果 となった。理解 を促すために行 った 手だて としては、企画主旨をまとめたプリン トをぬ り絵台紙の配布時に手渡 したこと、会場ス タッフが積極的に来館者の方々に声かけを し、企画主 旨を来館者 に直接 に説明するな どの行動 を起 こしたことが このような結果 につながった といえる。 自由記述欄 には、以下の ような記述 があつた。

「絶滅危惧の動物の数がいかに少 ないかを理解する良いアイデアだ と思 う。

(30代

/男 性

)」

「楽 しみなが ら、深刻な問題 について考 えることがで きるとい うことが良い と思 う。

(30代

/女性

)J

「絶滅危惧種の動物 に接するコ トは とて も機会が少ないため、 この様 なクジを引 く体験 をす る ことで子 どもにとって とて も身近 になった と思 う。

(30代

/女 性

)」

「動物園では体験 で きない 企画なので、 よリー層良か つた。

(30代

/女 性

)」

「ただ塗 り絵 をす るだけでな く、教育的なこ

とも含 まれていたので良かつた。

(40代

/女性 )J等 の意見があつた。

一方で、「アンケー ト用紙 を見て、初めて企画主 旨が分かった。

(30代

/女性

)」

「 クジ引 きの 部屋 で企画主 旨をもっと説明すべ きである

(30代

/女性

)」

との記述 もい くつか見 られた :し

か しなが ら、 「 さりげな く伝 えたい ことを伝 えていて良い と思 う

(30代

/女性

)」

との意見 もあっ た。今回の絶滅危惧動物の ような深刻 な社会問題 をテーマにす る際には、情報 を無理矢理押 し つけるのではな く、 さりげな く問題提起 しなが らも印象強 く伝達 してい く方法の模索が必要で あ り、今後の課題であることを認識 した。

‑1

‑2

「 ど うな つ をみ ん な でた す け よ う」の 活動 主 旨 を理 解 して い た だ け ま した か?  絶 滅 危 惧 看 の動 詢 につ い て 、 お 子 機 と考 え る き っか け にな りま した か ?

理解 で き なか った(21%)

(8)

造形活動 を利用 した空間デザ インに関す る考察

2は

この造形活動 を受 け、絶滅危惧種 の動物 について、子 どもと考 えるきっかけ となつ たか どうか を尋 ねた。 こち らは「十分 きつかけになった」「 きつかけになった」 を合 わせて も

4割

程度 とな り、絶滅危惧動物 を知 るきっかけを提供す るとい うこの造形活動の 目的を果た し た と結論付 けるには至 らなかった。 きっかけにすることがで きなかった要因 としては、対象 と なる乳幼児 に対 して、今 回のテーマ・内容の理解がやや困難であつたことがあげ られる。保護 者 に関 してはこの造形活動の主旨には理解 を示 し、かつ好意的に受け止め、絶減危惧動物 につ いて考えるきっかけになった

lLE向

が強かつた ものの、子 どもに対 して理解 を促 し、考えるきっ かけ となるように促す ことはで きなかった とい う傾向が見 られる。「幼児 には難 しい内容だ と 思い ました。 クジ→塗 り絵 だけのイベ ン トに しか子 どもは捉 えない ような気が します。

(30代 /女

)Jと

い う内容の意見が顕者に見 られた。また、内容 を理解 しなければ、単 なる遊びになっ て しまう恐れがあるとの指摘 もあった。

その一方で、態度変容 を示す意見 も多数あつた。「 もう少 し子 どもが大 きくなった ら今 日の 写真 を見せて話 してみたい。

(30代

/女 性

)」

「動物 園にいるゾウ、チ ンパ ンジーが絶滅危惧種 とは知 らなかった。子 どもは動物が好 きで よく動物園に行 くので、 自分でで きることがあれば 是非色 んなことに参加 したい。

(40代

/男 性

)」

等の回答が見 られた。

まとめ

造形活動 を利用 した空間デザインについて、そのプロセスの考察 と事後のアンケー ト調査の 分析 と考察 によつて、以下のことが理解 された。

今 回は残念 なが ら主たる対象者の年齢 と体験内容・伝達内容 との ミスマ ッチ ングがみ られた こともあ り、空間をメデイアとして捉 えなが ら情報 を伝達 してい くことについての可能性 に ついて十分な結果 を得ることがで きなかつたが、子 どもの保護者には企画主旨を効果的に伝 達す ることがで きた。

集積 させ る情報

(造

形活動 を通 して制作 された作品 )の 種類や、展示の方法 をあ らか じめデ ザ インすることによって、情報 を効果的な表現 として生成することが可能だとい うことが確 認 された。 また、 これは造形活動 と空間とを一体的にデザインする必要性 についての裏付 け

となった。

造形活動は、純粋 に造形する活動ではな く、造形活動 を利用することで、無意識的に様 々な 社会問題の入口まで踏み入れるような、先導的な役割 を担 う可能性があることが分かつた。

これは、これまで造形活動 は造形する人間の内面についての研究、教育的な効果 としての研 究 にとどまっていた ものを、社会的に機能す る、または社会 に有効な活動 とい う新たなポジ シ ョンを立脚で き、造形活動の必要性 を広 く一般化 してい く可能性が導 きだせ るのではない だろうか。

体験 自体は人の内側 にあるものだか ら、体験 自体 はデザインす ることはで きない。 しか しな が ら情報 をコン トロールすることで、意味 を伝 える際のコミュニケーシ ヨンの方法 をデザイ

ンす ることは可能であることが実践 を通 して確認す ることがで きた。

今後 も、様 々なテーマに沿 つた造形イベ ン トを企画 し、よ り質の高い体験 となるよう、造形 活動 と運動する空間デザインの様 々な在 り方について、実践 を通 して模索 してい く必要がある。

219

(9)

220

川原峙  

)

1)川

原峙知洋

,「

造形活動の開発 と空間デザインとの関係性 について ―グランシ ツプ『こど もの くに』 ねん どで きゅっ

"の

実践報告 ―」 ,静 岡大学教育実践総合セ ンター紀要第

22号, 2014,pp 155‑160

2)毎

年、静岡県文化財団の担当者、常葉大学教育学部の長橋秀樹准教授 と事前 に話合いの場 を設けて決定 している。昨年度 までは素材 テーマを決めることが慣例 になっていたが、今 年度か ら素材テーマではない「動物」がテーマ として設定 された。

3)学

3年

生対象の授業で、今年度は

20名

程が受講対象者だった。

4)絶

減危惧動物 として、静岡市立 日本平動物園で飼育 されている

9種

の動物 を以下のように 選定 した。→マ レーバク、 フンボル トベ ンギン、アジアゾウ、カンムリシロムク、ボルネ

オオランウータン、オオアリクイ、 レッサーバ ンダ、アムール トラ、チ ンバ ンジー

尚、身近な動物

5種

は以下の通 り選定 した。→イヌ、ネコ、 ウシ、プタ、ニワ トリ

参照

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