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学校教育における食青の現状

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(1)

長崎大学総合環境研 究

8

2

pp. 5 3 ‑60 2006

8

学校教育における食青の現状

波速美穂*・中村 修**・宮

崎 藍* ・ 秋永優子* * *

ThePr e s e ntCondi t i onsa ndaPr o bl e mofFoodEduc a t i oni n Sc hooIEd uc a t i on

Mi hoWATANABE, Os a muNAKA M

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f y t hep r e s e n tc on d i t i o nsa n dt het a s kso ft hef o o de du c a t i oni ns c hoo l , Iha v e i n v e s t l ga t e d9 4mode lbus i n e s sa re a so ff oo de d uc a t i o ni n2 00 4a ndgo tt hef o l l owi ngr e s ul

t.

Th e r e

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e t h r e et a s kso ft hef oo de du c a t i oni ns c hoo

l.

Fi r s t , at h e meo fc l a s sa n dl e a rnl n gc o n t e n t sO ff oo de d uc a t i o na r es c a r c e l ys ys t e ma t i z e d. Se c on d, on ly t

hek nowl e d g ea n dt hei n f o r ma t i ona repr ov i de da n dwedono tr e a c ht hepo l n tWhe r et hes t u de n t sc a n l e a rnt hes pe c i f l Ct e C hm iq ue st ha tc a nber e f le c t e di nr e a ll i f e . A n dt hel a s t , i ti sno te va l ua t e dwh e t he rwe ha v ea c hi e v e dt hepo l i c yt a rg e tbyf o o de d u c a t i o no rno

t.

Ke ywo r l ds/Foo de du c a t i o n, S c h o ol e du c at i o n

1 .

はじめに

平成

1 7年 6月 1 0日に食育基本法 (

平成十七年法律 第六十三号)が成立した。この法律は、国民一人一人 が 「食」についての意識を高め、国民全体で 「食育」

の推進に取り組むことを、 目指すものである。

食育」という言葉は、明治期のベストセラー小説 『 道楽』 (村井弦脅著,明治

36

年初版発行)の中で初め て用いられたが、最近まで一般に定着するには至らなか った。 (森田

2 004)

現在では、文部科学省、農林水産省、厚生労働省が それぞれ の食育論を展開している。また、内閣府の食事 調査会をはじめとして官民の立場から多様な 「食育」に 関する見解が発表されている。

*長崎大学大学院生産科学研究科前期課程

**長崎大学大学院生産科学研究科

***福岡教育大学家政教育講座

受領年月 日

2 006

(平成

1 8

年)

1

2 4日

受理年月 日

2 006

(平成

1 8

年)

3

1 4日

学校における食青の取り組みに関しても内容 は様々で あり、 「学校教育においても 『食育』の定義や含まれる 内容は多様である。このような状況は 『食育』という概 念についての共通認識が定まっていないことのあらわれ とみることもできる」。 (川 口2

00 4)

そこで、本論では、学校教育での食青の現状と政策と の関連性を検討し、分類を試みる。

2.

食青の社会背景及び施策上の位置づけ 2‑1食育基本法における食青の位置づけ

平成

1 7年 6月 1 0日に食育基本法 (

以下、基本法) が成立した。

基本法の 目的は、 「食青について基本理念を明らかに し、その方向性を示し、国、地方公共団体及び 国民の食 青の推進に関する取組を総合的かつ計画的に推進する

(食育基本法 附則)ことである。また、国民の食に関 する考え方を育て、健全な食生活を実現することで、生 産者と消費者 の信頼関係の構築、地域社会の活性化、

食文化の継承、発展、環境と調和のとれ た食料 の生産及

(2)

び 消費 の推進並 び に食料 自給率 の向上 に寄与すること も期待されているO

基本法では食青の基本理念として 「国民の心身の健康 の増進と豊かな人間形成 (

2

条)

食に関する感謝 の 念と理解 (

3条)」をあげている。また食青の方 向性

として 「伝統的な食文化、環境と調和した生産等へ の配 意 及 び 農 山漁村 の活性化 と食料 自給 率 向上へ の貢献 (

6条) 」

食品の安全性 の確保等における食青 の役 割 (

7

条)」(食育基本法』平成

1 7

6

1 0日 成

立)を示している。

さらに、食育推進運動の展開として、国、地方公共団 体、学校や保育所等の教育関係者、農林漁業者、食品 関連事業者、国民の責務も明らかにしている。

2 ‑2

農林水産省における食青の位置づけ

食育基本法成立以前から、農林水産省、厚生労働省、

文部科学省では積極的に食青に取り組んできた。

食青が政府 の課題とされ たのは、平成

1 4年であり、

農林水産省が最も早く政策課題として位置づ けた。

農林水産省が食青に取り組む背景には

2つの課題 の

存在が ある。食料 自給率に関する問題と、食品の安全 ・ 安心の問題である。

現在、 日本の食料 自給率 は約

40%

と先進国の中で最 低である。国民の食料の

60%

を海外に依存している状況 は食料安全保 障 の観点か らみても大きな 問題で あり食 料 自給率向上が課題とされている。 (1)

ll 79%

L 53%

ー ̲ 53%‑48%一高 一一一40%

73% 40%

60%

5 4

%

♂ ㌔ ㌔ ♂ ♂ 矛

図 1.総合食料供給熱量 自給率 (農林水産省 『食料需給表』)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

図 2.PFC

バランス (農林水産省 『食料需給表』)

そして食料 自給率の低下は、食料消費構造と深く関係 している。食料消費は昭和

50

年代 中ごろがタンパク質

(P)脂質 (F)炭水化物 (C) の熱量バランスが ほ ぼ 適切で、従来 の 日本食に畜産物 、野菜、果物などの 多様な副食品から構成され るいわゆる 「日本型食生活」

が 形成され た。その後、食生活 は変化 し続 け、現在 は 主食である米が減少する一方で、畜産物、油脂等が増 加 している。米 は国内で 自給可能な 自給率の高い食品で あり、畜産物 ・油脂は輸入に頼るため 自給率低下の要 因 でもある。また、脂質過多の食生活 は生活習慣病の原因 にもなっている。

2つ 目の課題である食品の安全 ・安心 の問題 は平成 1 4

年の

BSE問題や食品の虚偽表示 問題を契機 としてい

る。これ らの問題 により国民の信頼を損ね る事態 に陥り、

信頼を回復する必要性が 生じた。

そこで平成

1 4

年農林水産省は 「食』と 『農』の再生 プラン」を提案した。このプランで は食の安全と安心 の 確保として 「子供の時か ら 『食』について考える習慣を 身につけるよう 『食』の安全、 『食』の選び方や組み合 わせ方などを子供たちに教える 『食育』を促進」すると されているOこれ を受け、平成

1 5年食の安全 ・安心の

ための政策大綱が発せ られ 「消費者 の安心 ・信頼確保 一厚 生労働省と一体 となった食品表示運営 ・監視強化 、 トレーサ ビリティ ・システム導入支援 、地域 ・学校 ・家 庭での食育推進、地産地消推進、動物検疫強化 」がう たわれ た。(大島

20 0 4)(

森 田

20 0 4)(

農林水産省

2 0 03)

このような背景を踏まえ、平成

1 5

年度版 『食料 ・農業 ・ 農村 白書』で は 「食育」を 「食に関する適切な判断力を 養 い、生涯 にわたって健全な食生活を実現することにより、

国民の心身の健康 の増進と豊かな人間形成に資するも の」併せて、 「地産地消の取組や交流活動等を通じて、

消費者と生産者との顔の見える関係を築き、食に関する 信頼関係を構築することにより、農山漁村 の活性化や食 料 自給率の向上に貢献する」と定義 している。 (農林水 産省

2 003)

2 ‑3

厚生労働省における食青の位置づけ

厚生労働省が食青に取り組む背景には、生活習慣病に よる国民医療費の逼迫した現状がある。近年、国民の生 活習慣病による死亡者は全死亡者数 の約

6割 を占めて

いる。また、生活習慣病 による医療費は、〜年以降、国 民所得 の伸び 率を上回る傾 向で推移 しており、平成

1 4

年度 にお いて国民医療費 に占める割合 は一般診療医療 費総額

23

91 1 3

億 円のうち

22

.4%におよんでいる。(

‑5 4‑

(3)

学校教 育 にお ける食青 の現状

200 4)

(

3)

350

300

250

200

150

100

50

0

303.583 311.24

269.577

206.074

160.159

119.805

64.77 24.962 ll.224

S40年度 45年度 50年度 55年度 60年度 H.2年度 7年度 12年度 14年度

図3国民医療費の推移

(厚生労働省 『平成14年度国民医療費の概況』

)

このため生活 習慣 病 の予 防が 急 とされ て いる」が 良?)。生活習慣病は、食習慣に起因し発症する疾患が とりわけ多いため、食習慣に関する対策が重要な課題と なっているO

そこで厚生労働省は、国の健康づくり対策として、平

1 2年から 「 21

世紀における国民健康づくり運動 ( 康 日本

21 )」を始め、この中に 「

栄養 ・食生活」の項 目 を設けた。また、平成

1 5年に制定した 「

次世代育成支 援対策推進法」の中では (においては

」 )

地方公共団 体等に行動計画の策定を義務づ け、行動計画に盛り込む べき事項の

1

つである 「母性並び に乳幼児等の健康の 確保及び増進」の中に 「食育」の推進を盛り込んでいる。

厚生労働省にお ける食青 は健康維持 に重点を置 いて おり、平成

1 6

年度の 『厚生労働 白書』では 「様々な経 験を通じて食に関する知識と食を選択する力を修得 し、

健全な食生活を営む力を育てること」 「食の安全 の確保 のみならず、心身の健康を確保し、生涯 にわたって健康 で質の高い生活を送る基礎となるもの」と定義している。

(厚生労働省

2004)

(河野

2004)

2‑4

文部科学省における食青の位置づけ

文部科学省が 食青 に取り組む背景には、食生活 の変 化、 日常的な身体活動の減少、ストレスの増加などの原 因による子供の生活習慣病、特に肥満の増加の問題があ る。 (文部科学省

200 4)

また、食習慣 は、大人になってから確立するのではな く徐 々に形成され るものであり、特に小学生の時期 にお ける食習慣がその後 の食習慣 に及ぼす影響は大きいと されている。

そこで文部科学省は、平成

1

1年保健体育審議会答 申

で 「食に関する指導」の重要性を示し、平成

1 3年から

子どもの体 力向上のための総合的な方策について」の 諮 問、答 申を行った。そして平成

1 5年には中央教育審

議会スポーツ・青少年分科会の下に食に関する指導体制 部会を設置し、さらに平成

1 6

年には 「栄養教諭」制度 が新設され た。 (針谷

2005)

文部科学省は学校教育での食青を主眼においており、

平成

1 6

年度版 『文部科学白書』において、食青を 「 養や食事のとり方、食品の品質や安全性について正しい 知識 ・情報に基づ いて 自ら判断し、食生活を管理してい く能力を子どもたちに身につけさせること」と定義してい る。 (文部科学省

200 4)

2 ‑5

研究者による「食育」の定義

国の各省庁による食青の定義以外にも、研究者が各々 の視点により食青の定義を提案している。

足立

( 2005)

は食生態学の見地から、食青を 「人々 が人間らしく生きる ・生活する資源としての食、同時に健 康の資源でもある食を営む力を育てること、そしてこれ ら を実現可能な社会 ・環境を育てること」と定義づ けてい る。

高田

( 2004)

食育』とは、子ども達が食べるこ との意味を理解し、一人ひとりが 自立的に食生活を営む 力を育てることを意味する。さらに、子ども達がその能力 を育てやす いような食環境づくりを推進すること」として いる。

武見

( 2005)

は 「食青とは、狭義の食生活改善、す なわち食物摂取内容の向上や、狭義の健康の維持 ・増 進だけをね らいとするのではなく、人間形成や食文化 の 形成 ・継承、社会 ・環境 ・経済とのかかわりまで、広い 視野をもって取り組むべきものであること、しかしながら、

ひとりの人間の視野や、1つ の組織が実際に扱える範囲 は限られているから、様 々な立場 の人や組織がそれぞ れ の立場で食青に取り組む努力と、そうした活動を有機 的につなぐネットワークの構築が必要である。また、食 青とは決して子どもだけの問題ではなく、子どもから大人 まで、地域社会に暮らすすべての生活者を対象としたも のである」

服部

( 2005)

どんな食材や食品が安全か危険か しることと、料理 ・食体験

食事のマナー、しつけ

境問題、リサイクル、食料 自給率の理解』の

3

点である。」

と定義している。

以上、研究者の間でも、食青についての決定的な定義 がないことが わかる。

(4)

3.

学校教育における「食育」と関係機関

3‑1

食青の対象と関係機関

食青は全ての世代を対象にしたものである。厚生労働 省は食青という言葉が広がる以前から、未就学児そして 社会人以上を対象に健康診断や食生活指導、運動指導 など健康維持の面から指導を行ってき

た。従 って厚生労働省における食青は未就学児と社会人 以上を対象にしている。

そして、文部科学省は、食育基本法において子どもた ちに対する食青が特に重要視され第

2 0

条において学校、

保育所等における食青の推進がうたわれていることもあ り、小、中学生を対象とした食青に取り組んでいる。

3 ‑2

学校教育における食青と文部科学省

学校教育での食青は総合的学習の時間を中心に家庭 科、社会科、保健体育と関連させなが ら行 われている。

学校教育では

食育』という言葉が教育に利用され るようになる以前から、教育関係者や栄養士が食に関す る教育について、総合的に 『食教育

食の教育

食生 活教育』などと呼んで考察し、理論化を図ってきた

」(

1 9 8 7 a)

これまでの食に関する教育をみると 「食教育」は家庭 科や保健体育科 の中で行われてきた食生活 の知識 ・技 術および健康に関する教育であり、健康教育の

1

つとし て取り組まれてきた。

現在、 「食教育

の概念は 「健康という視点にたった 日常の食習慣の望ましい姿へ の変容を目的とした教育」

(

学校教育辞典

』2 0 0 3 )

とされている。

また、 「食に関する指導」は 「児童生徒が単に食に関 する知識を身に付 けるだけではなく、知識を望ましい食 習慣の形成に身につけられるような実践的な態度を育成 する

(文部科学省

2 0 0 4)

ことを目的とし、学校給食の 時間、各教科、学級活動などで学校栄養職員を活用して 行われている。

これ らの取り組みに加え、文部科学省は平成

1 4

年度 から小学校

5

年生、中学校

1

年生を対象とした食生活教 材の全国配布を始めた。

食生活学習教材 は、スポーツ ・青少年局学校健康教 育課健康教育企画室が 中心になり、食に関する指導 の一 層の充実を図るため、学識経験者、学校栄養職員、教 育関係者等の協力を得て作成され たものである。

教材 は、児童生徒が食生活 について学び 、望ましい

食習慣を身につけ将来 にわたってそれ を実践していく力 をつけるということをね らいとしており、その基本的な構 成は、「望ましい食習慣 に関する内容

食の 自己管理能 力に関する内容

食文化に関する内容」となっている。

具体的には、小学生用 の教材では朝ごはん、おやつの 食べ方、郷土料理をテーマとしている。 また、中学生 用 の教材は、生活習慣病、食事バランス、ファーストフ ー ド店、コンビニエンスストアの利用、ダイエット、外国 の食文化など幅広く取り扱っており、より実践的な力を身 につけることを目標とし,現代社会に生きる子どもたちを 取り巻く食に関する諸問題について、生徒 自身が 自分の 食生活に関して問題意識を持ち、問題を解決するための 行動に結びつ けられ る内容となっている。 (文部科学省

2 0 0 2 )

さらに平成

1 6

年度からは 「学校を中心とした食育推進 事業」を開始した。この事業では昨年度全国

94

地域が モデル事業に取り組んだ。そこでは、農業体験や郷土料 理講習会、親子料理講習会、専門家による講習会、学校 栄養士、養護教諭、担任教諭による、野菜嫌いの克服や、

バランスの良い食事、塩分 ・糖分のとりかた、地域の特 産品理解などの取り組みがなされ た。 (文部科学省スポ ーツ青少年局学校健康教育課

2 0 0 4 )

313

学校教育における食青と農林水産省

農林水産省が実施する学校教育での食青は、農業と の関わりが深 い、いわゆる食農教育である。

食農教育は平成

9

年頃から、総合的な学習の時間が 創設されることを受けて、「食」と 「農」テーマに学習す ることを目的に展開され た教育である。この 「食」と 「

を結びつけた教育は農林水産省、文部科学省の政策と して位置づ けられ実施されている。

農林水産省と文部省 (当時)は、平成

1 0

1 2

月、

農業体験学習等を推進するため、 「文部省 ・農林水産省 連携の基本方針に合意 した。また、平成

1

1年

7

月制 定 「食料 ・農業 ・農村基本法」を受けて翌年

3

月に決 定され た 「食料 ・農村 ・農業基本計画

では 「次代を 担う子供達が 、食習慣を形成する上で重要な時期に、食 生活や食料の生産及び 消費について正しい知識を習得 できるよう、各教科や学校給食等においてこれらに関する 教育の充実を図る」、「国民が農業に対する理解と関心を 深めるよう、学校教育や社会教育における農業に関する 学習の充実、農業体験 の機会の充実等を図る

。」

とされ た。(森田 「食青の背景と経緯

」2 0 0 4 )

(文部科学省 「 部科学自書

2 0 0 3 」 )

‑5 6‑

(5)

学校教 育 にお ける食青 の現状

これらを踏まえ、農林水産省は、平成

1 5

年度から 「 どもたちの農業 ・農村体験学習推進事業」を始めた。こ の事業では教育 ・農業関係機 関による全国的な推進体制 整備、指導マニュアル作成、シンポジウムの開催等が取 り組まれている。また、文部科学省と連携し学校教育に おけるモデル地 区での体験学習の受け入れを行うととも に、農業体験学習の効果的な進め方も検討している。

さらに各地方農政局では、職員が小学校や中学校へ 出 かけていく 「出前講座」を積極的に行っている。稲のバ ケツ栽培、籾殻から精米までお米の変身を実験するなど の体験学習や専門知識をもつ職員による食の安全 ・安心 をめぐる状況、食料 ・農業 ・農村政策全般(食料 自給率、

農畜産物をめぐる国際情勢等)について、食品の表示 ・ 規格 についての学習、備蓄米を保管している政府倉庫の 見学、ダムや農業用水路等 の各種関連施設の見学、野 菜や果物の選果場や市場の見学など農業関連施設見学、

農畜産物の生産(作付面積 ・生産量(顔)等)、農業経営な どに関する資料、食品産業、貿易、物価等に関する資料、

食生活、品質表示等に関する資料などの農林水産業の各 種資料や統計調査結果資料等の提供など、多様な取り 組みがなされている。 (近畿農政局 「食育出張講座のと りくみ

」2 0 0 4 )

この他にも 「最近積極的取り組まれている給食に地場 農産物を利用することも、食と農についての理解を滴養 する重要な取り組みとして位置づ けられている。」 (森 田

2 0 0 4)

このように農林水産省 は学校現場で積極 的に食青 に 取り組んでいるが 、 「農林水産省が取り組む食育 (食農 教育)で 中心的な位置を占めるのは、学校 内外での農 業体験学習であり、農業体験 によって農業理解者や担い 手を育成することを目的としており、あくまでも農業振興 の視点にたったものである

」 (根岸

2 0 0 2 )

という意見も ある。

3 ‑4

学校教育における食青と厚生労働省

厚生労働省は、学校教育 における具体的事業は実施 していない。前述したように、厚生労働省の主な対象は 未就学児と社会人以上である。ただし、未就学児、社会 人以上の食青のあり方を検討する中で子どもにふれてい る内容のものはある。

平成

1 5

年に 「食を通じた子どもの健全育成‑いわゆ る 『食育』の視点から‑のあり方に関する検討会

を立 ち上げ 、次代を担う子どもが 「食」を通じて心身ともに 健やかに育つための取 り組みをどのように推進していく

かについて議論を重ね た。そして、平成

1 6

年に報告書

楽しく食べ る子どもに〜食からは じまる健康す こやか ガイド〜」をとりまとめている。この報告書には、発達に 応じた 「食べる力」を育てるため、 目標として 「食事の リズムがもてる」 「食事を味わって食べる」 「一緒に食べ たい人が いる」 「食事づくりや準備に関わる」 「食生活や 健康に主体的に関わる」の

5

つが掲げ られ、発達段階 に応じて子どもたち自身が食に関する健全な知識と実践 力を身につけることができるように、その方策が検討さ れている。

地域レベルにおいては、前述した 「次世代育成支援対 策推進法」の行動計画策定指針に 「食育」が 盛り込ま れているため、地域の実情に応じて具体的な取り組みが 推進されるよう体制の整備が 図られ ることになっている。

(厚生労働省

2 0 0 5 )

(河野

2 0 0 4 )

4.

学校教育における食青の分類 4‑1学校教育における食青の分類

文部科学省が平成

1 6

年度から実施している学校を中 心とした食育推進事業の報告書

( 9 4地域)を基に食青

の授業テーマ、学習内容から学校教育で実施されている 食青を分類する。

ここでは、授業テーマと学習内容を、

K

J法を用いて分 類した。その結果

7

つの分類項 目が浮かび あがった。

分類項 目は 「地域農業の理解」「農業に関する体験学 習」「農業に関する知識型学習」「生活習慣病に関する学 習」「栄養に関する学習」「食行動 ・食習慣に関する学習」

食文化 ・伝統に関する学習」である。

地域農業の理解」は、地域特産品や地域生産者な どその地域独 自のものを理解する内容、地産地消を推進 する内容を意味する。具体的には、学校給食へ の地場産 物利用、米作りをしている生産者との交流などである。

農業に関する体験学習」は、地域性が反映されて いない体験、経験型の農業学習を意味する。多くの地域 で野菜作り体験や米作り体験に取り組んでいたが、その 取り組みに地域性が反映されている場合は先の 「地域農 業の理解」、反映されていない場合はこの 「農業に関す る体験学習」に分類した。

農業に関する知識型学習」は、米の歴史など農業に 関する知識の学習を分類した。

生活習慣病に関する学習」は、授業テーマ、学習 内容に 「生活習慣病」という文言がある場合のみこの項 目にまとめた。

(6)

栄養に関する学習」は、授業テーマ、学習内容に

栄養」「バランス」という文言がある場合やカルシウム、

鉄分、ビタミンなどの栄養素に着 目している場合とした。

食行動 ・食習慣に関する学習」は、朝食や間食など の 日常の食習慣に関する内容や食に対する消費購買行 動やダイエット、欠食などの内容でまとめた。

食文化 ・伝統に関する学習

は、郷土料理や餅つ きなどの季節行事、食事作法に関する内容とした。

「2

学校数青における食膏の内容分析

食青の取り組み内容を分類したところ、「地域農業の理

」22

件、「農業に関する体験学習

」32

件、「農業に関 する知識型学習」3件、 「生活習慣病に関する学習

」 l l

件、 「栄養に関する学習」43件、「食行動 ・食習慣に関 する学習」57件、「食文化 ・伝統に関する学習」6

7

件で あった。最も多く取り組まれた授業テーマ、学習内容は

食文化 ・伝統に関する学習の 「郷土料理講習会」

1 9

件であった。

7

項 目に整理できた内容はさらに、「地域農業の理解」

6

項 目、「農業に関する体験」8項 目、 「農業に関する知 識型学習」2項 目、「栄養に関する学習」6項 目、「生活 習慣病」2項 目、「食習慣 ・食行動に関する学習」1

0

目、「食文化 ・伝統に関する学習

」22

項 目と

、46

項 目に 細分化でき、幅広い内容が扱われていた。(詳細は巻末 資料の表(丑〜⑦)

5.

食青の取り組みと政策

5

‑1食青の取り組みと政策 目的

学校教育の現場では、「食育というくくりがあるにも かかわらず、多様なテーマが取り組まれていた。

次に、食育基本法、各省庁における定義、社会背景 から政策 目的と学校教育での食育関係を検討した。

政策で掲げられている食青の目的は

A

食の安心 ・安 全」

B

農業の理解」、

C

地域農業の理解」

D

養や食事の取り方」

、E

食文化継承」

、F

生活習慣病」

G

食の選択能力」

、H

食の自己管理能力」と整理し、

また

該当なし」も加えて

、4.2

の内容を分類した。

(

4)

この結果、

A

食の安心 ・安全」3件、B農業の理解」

33

件、C地域農業の理解」22件、D 栄養や食事の 取り方」48件、E食文化継承」73件、F生活習慣病」

7

件、

G

食の選択能力」0件、H 食の自己管理能力」

0

、Ⅰ

該当なし

」2

件となった。

食文化継承」に関する内容がもっとも多く扱われてお り、「食の選択能力」「食の 自己管理能力」に関する授業

80 70 60 50 40 30 20 10 0

‑ ‑

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図 4.

食青 の内容と政策 目的の関連

食文化継承」に関する内容がもっとも多く扱われてお り、「食の選択能力」「食の自己管理能力」に関する授業 の取り組みはほとんどなされていないO

栄養や食事の取り方の学習で 「食の選択能力」、 「 の自己管理能力」が習得できると判断されるかもしれな い。だが、実際に行われている授業は、例えば 「朝食 の大切さ」に関する授業であれば 、朝食の役割や必要 性は学習するが、朝食の準備、調理などの実際にどのよ うな行動をすればよいのかについては、授業内容として 扱っていない。もっぱ ら、知識や情報の提供にとどまり 手法や手段の習得には至っていない。それゆえ 「食の自 己管理能力」を習得する内容に分類することはできない。

5 ‑2

食青の取り組みに関する課題

食青を政策 目的で分類したとき、最も多く取り組まれて いるのが 「食文化継承」

( 7 3

件)であった。

もちつき、そば打ち体験、豆腐料理教室などイベント 的であり一過性のものが多い。これらは 日本の伝統的な 食べ物ではあるが、伝統的な食べものとしてそばや豆腐 を取りあげる理由が授業で示されておらず、授業を通し ての獲得 目標も設定されていないケースが多い。

次に、 「農業

をテーマとした、農林水産省が進める 食青では、「食の安心 ・安全」「農業の理解」「地域農業 の理解

3

項 目を合わせ

58

件。これは、以前から食 農教育として農業体験学習が取り組まれていたことや、

農林水産省が積極的に学校教育と関わりを持つ事業を 展開している結果と言える。

一方、小学生から高校生のうち

1 0人中 4人が生活習

慣病の危険因子を持っている現状があるにもかかわらず、

厚生労働省が進める 「生活習慣病の予防」をテーマにし ていたのは

7

件と少ない。

‑58‑

(7)

学校教育 にお け る食青 の現状

農林水産省と厚 生労働省 の学校へ の関わりかたのち が いが、学校現場での食青 の内容に大きく影響をもたら している、と考えることができる。

また、「食の選択能 力」「食の 自己管理能力」といった 実生活 にお ける具体 的手法や手段 に関する取組例 が0 であった。

食に関する知識や情報提供はあるが 、実際の食を変え うるような知識や技能、実践 についてはほとんど行 われ ていない、ということである。これ は農業の理解に関する 点でも同様で、例えば 、地域農業に関する情報 の提供、

農家との交流は行うが、地元 の農産物を購入する、利用 するといった行動 につながるような授業 は行 われていな い。

学校 にお ける食青 の指導 に際し、何 に重点を置き、

それ らを関連づ けるか を十 分 に検 討 しなくては いけな い」 (村 田

2 0 0 5 )

という指摘 がでてくるのも当然である。

最後 に食育全体を通した課題であるが 、ほとんどすべ ての授業にお いて、授業 の評価 が行 われていない。授 業の 目的はそれぞ れ掲 げているのだが 、その結果、児 童に何が残ったのかという検証が行われていない。授業 の前後で児童の食や農へ の意識 ・行動がどのように変化 したのか、ということも測定されていない。

例えば 、「朝食 の欠食率」「地域農業 の理解」「生活習 慣病 の知識」など測定可能なものも数多くあるはず なの に、測定が なされていなかった。

6.

おわりに

本論では、学校教育で取 り組まれている食青の現状を 政策 目的との関連性から分類 した。

その結果、食青という一つのテーマであるにも関わら ず、実に多様なテーマに取 り組んでいることが わかった。

また、政策の視点から見た場合、

①幅広い課題であるにもかかわらず 、農水省の政策課 題に偏っていた。一方で厚生労働省の政策課題につ いて は、ほとんどふれ られていない。

②知識、情報 の提供にとどまり、実生活 に反映できる

)

1 . 1 0No

.1

2 0 0 5

伏木亨 「食青に何 がもとめられているのか

農業と経済』

Vo l . 7 0 No . 1 2 p p 5 8 ‑ 6 6 2 0 0 4

二見大介 「子どもの栄養と食育プログラムの評価

Z

児科臨床

』Ⅵ

)

1 . 5 7No . 1 2 p p 2 5 ‑ 3 5 2 0 0 4

村 田光範 「食青をめぐって」 『小児科臨床

』Ⅵ

)

1 . 5 8 No . 4 p p 2 3 8 5 ‑ 2 3 91 2 0 0 5

森 田倫子 「食青 の背景と経緯‑『食育基本法案』に関連 して」 調査と情報

4 5 7

P

.4

2 0 0 4. 1 0

具体的手法の習得に至っていない

③食青としてそれぞ れ掲 げ たテーマが授業で達成さ れたのかどうかが測定されていない。

以上 3

点が明らかになった。

引用および参考文献

足立己幸編 『食生活論』 医歯薬 出版

p p1 7 4 ‑ 1 8 5 1 9 8 7 a

足立己幸 「畜産は食青 の中心課題」『畜産コンサルタン

』Ⅵ

)

1 . 41 No

.

2 2 0 0 5 b

大 島巌 「食育その展開」『月刊食料と安全

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)

1 . 9 No . 3 2 0 0 4

川 口恵子 ・財津庸子 「食生活領域 にお ける 『食育』研 究の動向

『日本食生活学会誌

』Ⅵ

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1 . 1 5 No . 2 p p 9 8 ‑ 1 01 2 0 0 4

河野美穂 「食を通じた子どもの健全育成‑いわゆる食育

‑の意義につ いて」『小児科臨床』Ⅵ)

1 . 5 7No . 1 2 2 0 0 4

近畿農政局 「食育 出張講座 のとりくみ農業 と経済』

Vo l . 7 0 No . 1 2 2 0 0 4

厚生労働省 『平成

1 6

年度版 厚生労働 白書』

島田彰夫 「食青の動向と食育基本法」『農業と経済』

Vo l . 7 0 No ・ 1 2 p p1 3 1 1 7 2 0 0 4

食生活学習教材 小学校低学年用」 「高学年

中学生用

文部科学省

新版 学校教育辞典」教育出版

2 0 0 3

高 田哲 「医師 は食青 にどう関わるか」 『小児科 臨床 』

VO L. 1 5 7 N o . . 1 2 p p1 7 1 2 3 2 0 0 4

武見ゆかり

食育』をめぐる社会 の動きと今後 の課題」

科学

』Ⅵ

)

1 . 7 5 No

.1

p pl O 7 ‑ 1 1 0 2 0 0 5

農林水産省

平成

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年度版 食料 ・農業 ・農村 白書』

根岸久子 『学校給 食 と食農 教育 』農 林金融

6

月号

p p 3 9 3 ‑ 4 0 9 2 0 0 2

服部栄養専 門学校ホームペ ージ

h t q ) : / / www. h a t t o r i. a c . j p / p r in s h i p a l / s h o k ni

k

u / i n d e x. h e

mi

( l a s t a c c e s s 2005 / 1 0 / 0 9 )

針谷順子 「食育とその活動」『食料と安全』

文部科学省スポーツ青少年局学校健康教育課

学校を中心とした食育推進事業実施報告書」

平成

1 7

3

31

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平成

1 6

4

1

文部科学省 『文部科学 白書

2 0 0 3 』2 0 0 3

文部科学省 『文部科学 白書

2 0 0 4』2 0 0 4

文部科学省 『文部科学 白書

2 0 0 5 』2 0 0 5

(8)

1 地域農業 の理解

巻末資料

内容

件数

分類

地域生産者による農業指導や授業

ll

C 地場産物を取 り入れた学校給食 4 C

地域の農家訪問学習 3 C

地域の名産品調べ 2 C

いわ しの水揚げ体験 .流通 .調理 に関する学習

1 C

直売所の見学 1 C

2 農業 に関す る体験学習

内容 件数

分類

野菜作 り 1 3 B

米作 り体験 1 3 B

野菜流通 セ ンター見学 1 B

有機肥料見学 1 B

地引網体 験 1 B

有機肥料作 り 1 B

定置網体験 1 B

水 産加工場 での体験学習 1 B

3 農業 に関す る知識型学習

内容 件数

分類

米 の歴 史 .種類 について

1

B 安心安全 な食 な どについての学習 2

A

4 生活習慣病 に関す る学習

内容 件数

?#

生活習慣病 に関す る学習 6 F 生活習慣病予 防料 理教室 1 F

5 栄養 に関す る学習

内容

件数

分類

栄養 に関す る学習 1 7 D

( 栄養 とい う文言 を含 む)

食事バ ランス関す る学習 1 2 D 野菜 .野菜 の栄養素 を 8 D テーマ に した学習

塩分 .糖分 .脂肪分 の摂 りに関 し 4 D て

給食時 間の栄養士 に よる給食指導 1 D 人 間の生活 に欠かせ ない微 生物 1 D

( 納菌 .酵 母菌) の学習

6 食 行動 ・食習慣 に関す る学習

内容 件数

分類

朝食 に関す る学習 8 D

食事作法 に関す る学習 2 E

ダイエ ッ トに関す る学習 1 D

家族 の健 康 と食事 1 E

食の安全 ( 食品工場の衛生管理)学習 1 A

噛 む こ との大切 さ 1 H

昔 のお菓子 1 E

昔 の給食 1 E

戦争 当時 の食生活 1 E

消化 と吸収 に関 して

1

H

7 食文化 ・ 伝統 に関す る学習

内容

件数

分類 内容

件数

分類

郷土料理 に関する体験

1 9 C 味噌作 り

1

E そば打 ち体験 9 E 巻 き寿司作 り 1 E 親子料理教室 6 E 流 しそうめん 1 E もちつき 5 E 干 し柿づ くり 1 E

地元の食材を使 った料理

5 E 七草がゆ 1 E 豆腐料理教室 4 E バ リの料理実習 1 E

旬の野菜 を使 った料理

3 E 飯 ごう炊飯 1 E 昔の食べ物づ くり 2 E 草 もちづ くり 1 E バター作 り 1 E おにぎり大作戦 1 E パフェ作 り 1 E

よもぎとたんばばの食べ方

1 E

クリスマスケーキ作 り

1 E おい しいお茶の入れ方 1 E

ー6 0‑

表 1 地域農業 の理解巻末資料 内容 件数 分類 地域生産者による農業指導や授業 l l C 地場産物を取 り入れた学校給食 4 C 地域の農家訪問学習 3 C 地域の名産品調べ 2 C いわ しの水揚げ体験

参照

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