大型画像表示装置システム設計法に関する研究
著者 長谷 智弘
雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告
巻 18
ページ 182‑184
発行年 1997‑03‑29
出版者 静岡大学大学院電子科学研究科
URL http://hdl.handle.net/10297/1231
氏名・(本籍
)
長谷
智
弘 (兵庫県
)
学 位 の種 類
博
士
(工
学)
学 位 記 番 号
工博乙第
62
号学位授与の日付
平 成 7年 9月 28日 学位授与の要件
学位規則第4条第2項該当
学位論文題目
大型画像表示装置の システム設計法に関する研究
論 文 審 査 委 員 (委員長)
教 授 畑 中 義 式
教 授 安 藤 隆 男
教 授 池 田 弘 明
教 授 久 保 高 啓 助教授 下 平 美 文
論 文 内 容 の 要 旨
情報化社会の進展の中で、 ヒユーマ ンインターフェースとしての表示装置は、大型化、高精度化 さ れ、 より自然に近い形で画像情報 を表示するものが求められている。こうした流れの中で、屋内外競 技場、 コンベ ンションホール等の用途で使われる巨大表示装置の開発 と製作 に関 しては、従来の小型 表示装置 とは異なる特別の考慮 を必要 としている。本論文は、大型画像表示装置の最高性能 と価値 を 引 き出す システム設計法を示す ことにある。特 に、画像表示装置の開発に必要な表示画面の設計手法 の確立、新発光表示素子 と新 しい信号処理方式の開発、画像表示装置のシステム化方法 についてまと めた ものである。
まず、モザイク状の画素構造 を持つ画像表示装置では、画素構造が 目立ち易いので画像表示面の設 計が重要である。そこで画像表示面の設計 に関わる、画像表示面 と人間の視覚特性 との関係について 検討する。特 に、この画素構造が作 る妨害感 を明 らかにする簡単なモデルを提案 し、併せて主観評価 実験で本モデルの妥当性 を検証 した。 またこの ようにして得 られた画像表示装置の解像度
(Modulttioll Transfer Function)を
明 らかにした。次 に、このようにして得 られた画像表示面の設計手法を生か して開発 した大型画像表示装置につい て述べ る。特 に新 しい発光表示素子 とその駆動法、本装置の階層的構成法 について述べ る。まず新 し い発光表示素子の電極設計 とその駆動法 について詳細に検討 し、ダイナ ミック駆動 を採用するに至る 経緯 を述べた。次に本装置の階層的構成法について述べる。ここではスクリーンを構成する匡体内に 表示装置 としての全機能 を集約 させ、機能的にも構造的にも特有の階層構造 となる設計方法を考案 し た。 この階層構造の採用 により、スクリーンの軽量、薄形化が実現で き、 さらに各階層のそれぞれの
信号の伝送、分配方式を最適 にすることにより、スクリーン制御方式その ものに汎用性 と拡張性 を持 たせた。このようにして開発 した大型画像表示装置では、CRT方式の16個の画素 ドットを持つ新型発光 表示素子 を縦横 に3072個並べ、2∞ インチのデイスプレイを構成 している。そ して、1300cd/m2の輝度 と 通常のテレビ受像機 と同 じ色再現範囲と応答性 を持ち、さらに、低消費電力
(6kw/h)、
薄型(25cm)、
軽 量(1。3t)等の特徴 を持 つている。最後 に、大型画像表示装置 を一つの構成要素 とする大型画像表示ネ ットワークシステムの構成法に ついて述べる。特 に、このネッ トワークシステム上で構成 した音場制御 システム、ディジタル画像伝 送システム、画像機器の制御法 を述べる。音場制御 システムは、任意の聴取位置に設置可能な可搬型 の調整卓を用いて、空間的に分散配置 された
Digital Signd Process∝
付 きアクテイブスピーカをそれぞれ 独立に正確 に制御で きる機能の実現のために開発 されたものである。次 に、デイジタル画像伝送シス テムは、ディジタル画像信号 を電話回線網およびCA]日との両立性 を持たせたブロー ドバ ンドLAN上で も伝送で きる方法 を提案 している。 また、これ らのシステムでは、画像機器の複雑な制御 をするに当 た り、複数の制御信号 をcATV回線上を高速に多重伝送する方法 と、自由度のある通信制御プロ トコル で実現する方法 も述べている。 さらに、多種多様の画像機器が多数で構成 される大型画像情報 システ ムにおいて、メッセージオブジェク ト転送を使用 した画像機器の新 しい制御法 を提案する。 この方式 では、起動、制御、表示などのシステムソフ トウェアをオブジェク ト指向的考え方で実現する。従来 のような制御 コー ドを転送する代 わ りに、その制御 オブジェク トに対応 したメッセージオブジェク ト を転送することで起動、制御、表示等の端末動作 を実現で きる方法 を示 した。以上述べたように、本論文は大型画像表示装置の開発 に必要なヒューマ ンインターフェースの設計 要件 と、情報化社会にあつて高機能性 を追求 した付加価値の高いシステムに関 し、新 しい発光表示素 子 とその駆動法、信号処理法、表示装置全体 を外部 システムと融合す るネッ トワーク構成法 に関 して 新 しい知見をまとめたものである。
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論 文 審 査 結 果 の 要 旨
屋内競技場、 コンベ ンションホール等で、画像情報表示用 として大型画像表示装置が用いられるよ うになって きた。本論文はこれらの巨大画面を用いるヒューマ ンインターフェイスとして、特別の事 柄 を考慮 し、表示画面画素構成の設計法、新発光表示素子 と駆動方法の開発及び表示信号の処理方式 の開発、更に、表示装置を中心 としたシステム全体の設計 について述べたものである。モザイク状の 画素構造 をもつ表示装置では、画素構造が 目立ち易いので、人間の視覚特性 と画素配列法、解像度特 性の関係 を考慮する必要がある。人間の主観評価実験の結果 を踏 まえ、画素配列 と解像度に関 し、総 合的M「を表す式 を導出 し、大型画像表示装置の開発の基礎 とし、これを2章3章において述べている。
第4章において、画像表示面の設計法に従い、対角幅2∞ インチの大型画像表示装置の開発について 述べている。 ここでは、新 しい発光表示素子 とその駆動方法、及び本表示素子の階層的構成法につい て述べている。本素子はCRTと 同 じ発光方式の採用、1素子 に収4画素の配置 とダイナ ミック駆動法の採 用により、薄型軽量化 を計 りつつ、
1,3∞
Cd/m2の 高輝度 を実現 している。本装置の階層的構成法では、スクリーンを構成する筐体内に表示装置 としての全機能を集約 させ、さらに、小規模のまとまりを階 層的に積み重ねて大規模化する。即ち、素子 をユ■ ッ ト化 した ものをモジュールとしこれが独立に作 動するもの とし、 さらにこれをブロック化 して、用途に応 じてブロックの数を調節 して、画面を構成 で きるようなシステムとしている。これはモジュールごと独立の走査ができ、発光期間割合を大 きく で き高い輝度が得 られることと、画面の大 きさを、必要に応 じて簡単に適応できる利点がある。
第5章では、大型画像表示装置を一つの構成要素 とする情報ネットヮークシステムの構成法について 述べている。 これ らは、音場制御 システム、デジタル画像伝送 システム、画像機器制御システムか ら 成 ってお り、巨大空間の音場 を多数のスピーカー群 をコンピューターで制御 し、所望の周波数特性、
音圧 レベルが得 られるようシステム化する方法を述べている。また、画像情報の伝送に関 して、CA]膨 との双方向両立性 をもたせ、かつ、cA]円回線上で高速に多重伝送する方法、自由度のある通信制御プ ロ トコルで実行する方法を述べている。さらに、多数の画像機器群 との結合に関 して、従来のように 制御 コー ドを転送するかわ りに、その制御 オブジェク トに対応 したメッセージオブジェク トを機器間 で交換することにより起動、制御、表示等のシステム動作 を可能 とする方法を提案 し、実証 した。
以上、要するに、大型画像表示装置を中心 とした、表示装置全体のシステム化の方向を示 している。
これは、博士(工学)の学位に十分値するものと認める。