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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

Tyr 含有ジペプチド類の脳代謝および認知機能に対 する機能性の統合的研究

市瀬, 嵩志

http://hdl.handle.net/2324/4110570

出版情報:Kyushu University, 2020, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

(2)

氏 名 市 瀬 嵩 志

論 文 名 Integrative studies on the functionality of Tyr‑containing dipeptides on  brain metabolism and cognitive functions (Tyr含 有 ジ ペ プ チ ド 類 の 脳 代 謝

および認知機能に対する機能性の統合的研究)

論文調査委員 主 査 九州大学 教 授 古 屋 茂 樹 副 査 九 州 大 学 教 授 松 井 利 郎 副 査 九 州 大 学 教 授 伴 野 豊

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

高齢化が進む先進諸国においては、加齢に伴い増加する認知症疾患の予防と治療法の開発が喫緊 の課題となっている。しかし同病の発症機序は不明のままであり、予防法や根本的な治療薬も未だ 確立されていない。 一方でコホート研究からは、食事パターンが認知症発症に影密し、大豆関連食 品や乳製品などのペプチド高含有食品の摂取と高齢者の認知症発症リスク低下との相関が指摘され ている。このような背景のもと、本論文は、食品タンパク質、特に大豆タンパク質中に存在するチ ロシン (Tyr)含 有 ジ ペ プ チ ド 類 に 着 目 し 、 脳 内 神 経 伝 達 物 質 代 謝 促 進 作 用 を 示 す ペ プ チ ド の 同 定 と認知症モデルでの機能発現、さらにはその分子機序を明らかにしようとしたものである。

まず大豆、カゼイン、およびコラーゲンから調製された短鎖ペプチドのマウスヘの亜慢性経口摂 取により、大脳皮質の代謝物に現れる変化を比較している。短鎖ペプチドの由来の違いにより、固 有の代謝物変化が大脳皮質に生じたことを主成分分析から明らかにしている。個別の成分について の比較から、大豆ペプチド群ではTyrならびにそれを前駆体として合成される Catecholamine類 に 属す代謝物の増加が顕著であることを見いだしている。 Catecholamine類 は 神 経 伝 達 物 質 と し て 脳 高次機能に重要な役割を果たしているため、続いて関与成分の同定を試みている。主 要 大 豆 タ ン パ ク質中に存在するTyrを含むジペプチド配列から出現頻度の高い配列のうち、ヒト腸管モデル細胞 Caco・2の透過試験で高い透過係数を示した 3ペプチドについてマウスヘの急性経口投与後の Tyr

とCatecholamine類を定祉した結果、 Ser‑Tyrは大脳皮質と海馬でTyrとNoradrenaline (NA)  代 謝 物 3‑Methoxy‑4‑hydroxyphenylethyleneglycol(MHPG)ならびに NA代 謝 回 転 を 顕 著 に 増 加

させることを明らかにしている。

次いで、 Ser•Tyr を含む Tyr 含有ジペプチド 39 種類について、経口摂取 30 分後の脳内 Tyr およ ぴ MHPG最 を 比 較 検 討 し た と こ ろ 、 大 脳 皮 質 に お い てTyr盤の増大はTyr・Tyr投与で顕著である が、 MHPG 祉は Tyr•Trp 投与によって最も顕著に増大することを突き止めている。そこで、 Tyr•Trp を用いてアルツハイマー病モデルマウスでの記憶障害に対する作用を検討し、 Tyr•Trp の経口摂取 により

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字型迷路試験での短期記檄障害が有意に改善されることを明らかにしている。脳 組 織 の 逍 伝子発現解析を行ったところ、 Dopamineシナプス経路構成速伝子とケモカイン経路構成遺伝子の 発現変化が Tyr·'l'rp 投与によって正常化されることを見出している。さらに、 Tyr•Trp 投与群では Tyrを出発物質とする Catecholamine類合成経路の初発代謝中間体である Dopaに加え、 NADな どのTrpキヌレニン経路代謝産物が特異的に増加していることを脳内代謝物解析から明らかにして いる。これらの結果に基づき、 Tyr•Trp の短期記憶障害改善作用は Tyr/Trp 両代謝経路の活性化に よる脳内Catecholamine類代謝促進作用であると結論するに至っている。

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(3)

以上要するに、本研究は経口摂取したTyr含有ジペプチド類が脳機能に及ぽす作用を脳内代謝並 ぴに行動レベルで明らかにし、その分子機序の一端にCatecholamine類神経伝達物質代謝経路の充 進が関わっているとの知見を得たものであり、システム生物工学ならぴに分子栄養学の発展に寄 与する価値ある業績と認める。

よ っ て 、 本 研 究 者 は 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 得 る 資 格 を 有 す る も の と 認 め る 。

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