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認定時定非営利活動法人における寄附金税制

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神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第13号 2009年3月 19

■ 研究論文

認定時定非営利活動法人における寄附金税制

一公益法人制度改革 に伴 う寄附金税制の整備‑

Do n a t i o nT

ax

i nS p e c i 丘e dNo n p r o f it Co r p o r a t i o n

神奈川大学大学 院 経営学研究科 国際経営専攻 博士後期課程

早 川 竜 平

HAY AKA WA, Ry o h e i

『キーワー ド

1は じめに

1998年12月1日に施 行 され た特 定 非営利 活促 進 法

( NP O

法) は2008年12月1日で施 行10年 を 迎 えた

。NP O

法 に よ り設立 され た特定 非営利活 動 法 人

( NP O

法 人 ) は、2008年10月31日現 在、

35,858件 もの数 が認証 され てい る。 この

NP O

法 人 を中心 とす る非営利 セクターは、政府・や行政 を 中心 とする政府 セクター、企業 を中心 とす る営利 企業 セクターでは補 いきれないニーズを果 たす役 割が期待 されてお り、今 日の社会 にとって必要不 可欠な存在 となっている。

2001年 には

、NP O

法人への寄 附 を促 す ことに よ り

NPO

法人の活動 を税制面で支援す るために、

認定特定非営利 活動法人 (認定

NPO

法人)制度 が導入 された。 しか し、認定要件が厳 しい との声 も多 く、何度か認定要件の緩和 が行われたが、導 入か ら7年経過 した現在 もその数 はわずか89法人 にす ぎない。

この よ うななか

、NP O

法 が施 行10年 を迎 えた

2008年12月1日に、公益 法人制度改革 として新公 益法人制度 が施行 され ることとなった。 そ して、

この公益法人制度改革 に伴い、寄附文化の構築 を 改めて見直す こととされ、寄附金税制の整 備 も行 われた。

そ こで、本稿 で は、認定

NPO

法人 におけ る寄 附金税制 と、公益法人における寄附金税制 を比較 し、今後の寄附金税制のあり方 を明 らかに してい くことを 目的 とす るO そのため、第2節では、認 定

NP O

法人 における認定要件 と現状 を検討す る。

3

節 では、認定

NPO

法人 にお け る

4

つ の税 制優 遇措置 を検討す るO第

4

節では、新公益 法人 にお ける寄附金税制 を従来の公益法人 と比較 しなが ら 検 討す る。 そ して、第5節では、非営利 セクター の発展のために寄附金税制はどうあるべ きかを検 討 し、今後の寄附金税制のあ り方 を提言 してい く。

2認定特定非営利活動法人の現状

2.1 認定特定非営利活動法人 とは何 か

(2)

20 神奈川大学大学院経営学研究科 r研究年報』第13号 2009年3月

NPO

法人の資金源 は、会費や寄附金、助成金 や補助金、事業収入などが主に挙げ られるoこの ように、企業 と比べ資金調達が比較的困難である といえよう。

その よ うななか、2001年、個 人や法人 に対 し

NPO

法人への寄附 を促す ことによ り

、NPO

法人 の活動 を税制面 で支援 す るために設 け られたの が、認定

NPO

法人制度である。認定

NPO

法人 とは、

NPO

法人の うちその運営組織及び事業活動 が適 正であること、並びに公益の増進に資することに つ き一定の要件を満たす ものとして、国税庁長官 の認定 を受けたものをいう。つまり、一定の要件 を満 た し国税庁長官か ら 「認定

NPO

法人」 とい う資格 が付与 され ることによ り

、NPO

法人の活 動 を税制面 で支援 しよ うとす る制度 である。 こ れにより

、NPO

法人の活動 を後押 しす ることで、

NPO

法人、 さらには非営利 セクターの発展 を期 待 しているのである。その認定 を受けられるのは、

先 に述べた通 り

、NPO

法人の うちその運営組織 及び事業活動が適正であること、並びに公益の増 進に資す ることにつ き一定の要件を満たす もの と されている。つ ぎは、その一定の要件、つ まり認 定

NPO

法人の認定要件 につ いて見てい くことと する。

2.2認定特定非営利活動法人における認定要件 認定

NPO

法人の認定要件 は大 きく分けて

8

つ あ る

。1

つめは、パブ リックサポー トテス ト

( PS T)

についてである

。PS

Tとは、実績判定期間におけ る総収入金額等の うち、受け入れた寄附金総額な どの占める割合が基準値以上であるかどうかを判 断す るテス トで ある。 これが5分の1以上 とい う 基準値 以上であるか どうか を測 り、 その

NPO

法 人が広 く一般か ら支持 されているかどうかを数値 により判断するとい うものである。なお

、PS

Tの 算出方法には小規模法人の特例があり、原則の算 出方法と特例の算出方法の

2

つの方法がある0

2つめは、活動の対象についてである。実績判 定期間における事業活動の うち、 (1)会員等 に 対す る資産の譲渡等

1

及び会 員等が対象である活

動、 (2)特定の範囲の者 に便益 が及ぶ活動、 (3) 特定の著作物又は特定の者 に関す る活動、 (4)特 定の者の意 に反 した活動、の4つの活動の占める 割合が50%未満であることが要件 とされている2。 これにより、共益的な活動 を制限 しているのであ る。

3つ めは、運営組織 及び経理 につ いてで ある。

この内容 は3つ あり、 まず、 (1)役員の総数の う ちに役員並びにその配偶者及び三親等以内の親族

(親族関係 を有する者)、並びに役員 と特殊の関係 の ある者 の数の 占め る割合、 (2)役員の総数の うちに特定の法人の役員又は使用人である者及び これ らの者 と親族関係 を有する者、並びにこれ ら の者 と特殊の関係のある者の数の占める割合、の 2つの割合 のいずれについて も3分の1以下 である ことが要件 とされているOつ ぎに、会計について 公認会計士又は監査法人の監査 を受けていること、

又は青色申告法人 と同等の取引記録、帳簿の保存 を行 っていることが要件 とされている。 さらに、

不適正 な経理が行われていないことが要件 とされ ている。

4

つめは、事業活動につ いてである。 この内容 は6つ あ り、 (1)宗教活動、政治活動、及び特定 の公職者等又は政党 を推薦、支持又は反対す る活 動 を行 っていないことが要件 とされている。 (2) 役員、従業員、社員又は寄附者等に特別の利益 を 与 えないこと、及び営利 を目的とした事業 を行 う 老等に寄附を行っていないことを要件 としている。

(3)実績判定期間における事業費の総額の うち に特定非営利活動に係 る事業費の額の占める割合 が80%以上であることが要件 とされている。 (4) 実績判定期間における受入寄附金総額 の70%以 上 を特定非営利活動に係 る事業費に充てているこ とが要件 とされている。 (5)助成金の支給 を行 っ た場合は、事後遅滞なく、その助成の実績 を記載 した書頬 をその

NPO

法人 の主 た る事務所の所在 地又は納税地の所轄税務署長 を経由 して国税庁長 官に提出す ることが要件 とされている。 (6)200 万円を超 える海外送金又は持ち出 しを行 う場合 は、

事前にその内容 を記載 した書頬 を国税庁に提出す

(3)

認定特定非営利活動法人における寄附金税制 21 ること 快 音援助など緊急 を要する場合 は事後提

出)が要件 とされている。

5

つめは、情報公開についてである。

報告書等、役員名簿等及び定款等、 (2) 又は従業貞給与の支給 に関す る規定、 の事業活動についての要件における(5) の規定により提出 した書籍の写 し、 (4) する事項、資産の譲渡等に関する事項、

(1)事業 役員報酬 (3)4つめ 及び (6) 資金に関 寄附金に 関す る事項などを記載 した書類、 (5)寄附金 を充 当す る予定の事業の内容 を記載 した書類、これ ら 5つの書頬について閲覧の請求 があった場合 には、

正当な理由がある場合 を除き、閲覧 させ ることを 要件 としている。

6つめは、不正行為等 についてである。法令に 達反する事実、偽 りその他不正の行為により利益 を得、又は得ようとした事実その他公益に反す る 事実がないことが要件とされている。

7つ めは、設立後の経過期間についてで ある。

申請書 を掘出 した日を含む事業年度開始の 日にお いて、その設立の 日以後1年 を超 える期間が経過 していることが要件 とされている。

8つめは、所轄庁の証明についてである。認定 申請に際 し、所轄庁のそのNPO法人につ き法令、

法令に基づ く行政庁の処分又は定款に違反する疑 いがあると認め られ る相当の理由がない旨の証明 書の交付を受けていることが要件 とされている。

2.3認定特定非営利活動法人制度の現状 と問題点 この ように、NPO法人の活動 を支援す る目的 で設 け られた認定NPO法人制度 であるが、2008 年12月1日の時点で認定NPO法人の資格 を取得 し ているのは、わずか89法人 にす ぎない。NPO法 人全体の うちおよそ0.25%である。

この理由には、主に認定要件が厳 しす ぎること が挙げ られ る。そのなかで も、PSTが最大の理由 であるとされている。 この制度は、アメリカにお ける税制優遇措置 を受 けることがで きるNPOの 認定要件を参考に して導入 されたものである。ア メ リカでは、計算方法が 日本 と違 うことや■1、い くつかの認定方法が用意 されてお り、PSTが機能

している。 しか し、 日本ではこのPSTが最大の難 関となってお り、機能 していないのであるo

その他にも、認定要件が厳 しいにもかかわ らず、

それに匹敵する審査体制が整っていないことも問 題点 と して挙げ られ る。認定NPO法人の申請 を してか ら

1

年近 く決定 を得 た されていることもめ ず らしくない。NPO法人 においては、申請 か ら 認証又は不認証決定 までの期間が4ケ月と定めら れているが、認定NPO法人 においてはこの期間 が定められていないO者査途中の情報 もほとんど 開示 されないため、認定の見通 しが立たず、活動 に制約 を受けるとい う問題 も生 じる。

さらに、認定の有効期間についてである。認定 の有効期限は、国税庁長官の定める日か ら同 日以 後5年 を経過す る日まで とされている。 この期間 につ いては、2008年度 の税制改正 で2年 か ら5年 に延長 されたが、それ までは、2年 ごとに認定 を 更新す る再認定の 申請 もあ り、申請数 は相 当数

あったと考 えられ る。

2008年度 の税 制改正 においては、認定期間の 延長のほかにPSTの緩和や小規模法人の特例の緩 和 など、認定要件の見直 しが行われた。 しか し、

い まだに35,000を超 えるNPO法人の うち、認定 NPO法人の資格 を取得 してい るの は、わずか89 法人であ り、 まった く機能 していないのである。

これ らの問題 を解決す るためには、制度 自体がま だ不十分であり、審査体制を大幅に見直す ことが 求め られる。

3 認定特定非 営利 活動法人 における税制 優遇措置

3.1認定特定非営利活動法人に対する個人の寄附 前 節 で 述 べ た通 り、 認 定NPO法 人 制 度 は、

NPO法人への寄 附 を促す ことによ りNPO法人の 活動 を税制面で支援するために設けられた制度で あった。 また、認定NPO法人制度 の適用 を受 け るには、NPO法人の うち8つの認定要件 を満た し、

国税庁長官の認定 を受 けなければな らなかったQ これによ り認定 され ることとなった認定NPO法

(4)

22 神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報』第13号 2009年3月 図表1 認定NPO法 人の認定要件

項 目 要 件

PST 実績判定期間における総収入金額等の うちに占める受入寄附金総額等の割合が基準値 (5分 の1)以上であること

活動の対象 実績判定期間における事業活動の うち、次に掲 げる活動の占める割合が50%未満であること (1)会員等に対す る資産の讃渡等及び会員等が対象である活動● (2)特定の範囲の者に便

益が及ぶ活動

(3)特定の著作物又は特定の者に関す る活動 (4)特定の者の意 に反 した活動

運営組織 次のいずれ も満た していること

及び経理 1運営組織が次のいずれ も3分の1以下であること

(1)役員の総数の うちに授貝並びにその配偶者及び三親等以内の親族 (親族関係 を有す る 者)並びに役員 と特殊の関係のある者の数の占め る割合

(2)役員の総数の うちに特定の法人の役員又は使用人である者

及び これ らの者 と親族関係 を有す る老並びにこれ らの者 と特殊の関係のある者の数の 占め る割合

2会計 について公認会計士等の監査 を受けているか、青色 申告法人 と同等に取引 を記録 し、

帳簿 を保存 していること

3不適切な経理 を行 っていないこと 事業活動 次のいずれ も満 た してい ること

(1)次に掲 げる活動 を行 っていないこと

( A)

宗教活動 (B)政治活動

(C)特定の公職者等又は政党 を推薦、支持又は反対する活動

(2)役員、社員又は寄附者等に特別の利益 を与 えない こと及び営利 を目的 とした事業 を行 う 者等に寄附を行っていないこと

(3)実績判定期間における事業費の総額の うちに特定非営利活動に係 る事業費の額の占める 割合が80%以上であること

(4)実績判定期間における受入寄附金総額の70%以上 を特定非営利活動に係 る事業費に充て ていること

(5)助成金の支給 を行 った場合は、事後遅滞な くその実績 を記載 した書類 を国税庁 に提 出 し ていること

(6) 200万 円超の海外送金又は持ち出 しを行 う場合 は、事前にその内容 を記載 した書類 を国 税庁に提出す ること (災害援助 など緊急 を要す る場合 は、事後提出)

情報公開 次 に掲 げる書類 を閲覧 させ ること (1)事業報告書等、役員名簿等及び定款等 (2)役員報酬又は従業員給与の支給 に関す る規定

(3)事業活動の項 目における (5)及び (6)の規定 によ り提出 した書類の写 し

(4)資金に関する事項、資産の譲渡等に関す る事項、寄 附金 に関す る事項等 を記載 した書類 (5)寄附金 を充当す る予定の事業の内容 を記載 した書類

不正行為等 法令違反、不正の行為、公益 に反す る事実等がない こと 設立後の経過期間 設立の 日以後1年 を超 える期間が経過 してい ること

(出所)筆者作成O

(5)

認定特定非営利活動法人における寄附金税制 23 認定N

P O 法 人

に な るまでの過

(出所)筆者作成。

人 は、税制優遇措置が講 じられ ることとな るので あるDでは、具体的にどの よ うな税制優遇措置 が 講 じられ るのかを、本節で見てい くこととす る。

認定NPO法人 に講 じられ る税制優遇措置 は4つ あ る。1つ めは,個 人 が認定NPO法人 に寄 附 を し た場合の寄附金控除の特例 である。 これは、個 人 が認定NPO法人 に対 し、 その認定NPO法人 が行 う特定非営利活動 に係 る事業 に関連す る寄附 を し た場合 には、 その寄附に係 る支 出金 が特定寄附金 とみ な され、寄 附金控除の適用が認 め られ るとい うものである。寄附金控 除の内容 はとい うと、 そ の寄附 を した年 における総所得金額等か ら寄 附金 控 除額 を控 除す るとい うものである。 この寄附金 控除額 とは、その寄附 を した年 において支出 した 特定寄 附金の合計額 か ら5,000円 を控 除 した金額 である。 しか し、特定寄附金の合計額 が、 その寄 附 を した者 の その年 の総所 得金額 等の40%を超 える場合 には、 その40%に相 当す る金額 を寄 附 金控除額 と しているC ただ し、 この特例は、その 寄附 を した者 に特別の利益 が及ぶ と認 め られ るも のは除かれ ることとされてい るO

ここで、寄附金控除の対象 となる所得椀 につ い て見てい くD所得税 とは、個人の所得 に対す る税 の ことである。所得税の課税標準 は、総所得金額、

山林所得金額、退職所得金額の

3

つ で あ るとされ てい る。前述 した寄附金控 除における総所得金額 等 とは、 これ ら3つ を併せ た もので あ り、控 除す る際は、総所得金額、山林所得金額 、退職所得金 額 の順 に控 除す ることと してい る。所得税 法 は、

総所得金額等か らい くつかの控 除 を行 うべ きであ

ると規 定 してい る。 その うちの

1

つ が寄 附金控 除 で あ り、 この規定 は、公益 を目的す る事業への個 人の寄附 を奨励す ることを目的 と してい るもので ある

4

。 この寄 附金控 除の規 定 は、 もと もと国や 地方 公共 団体 に対 す る寄附金、財務大臣が指定 し た寄 附金、特 定公益増進法人

5

に対す る寄 附金 の ことであった。 しか し、認定NPO法人 に対す る寄 附金 もそれ らと同様の公益性 があるとされ、特定 寄附金 と してみな され ることとなったのである60 3.2認定特定非営利活動法人に対 す る法人の寄附

認定NPO法人 におけ る2つ めの税 制優遇措置 は、

法人 が認 定NPO法 人 に寄 附 を した場合 の寄 附金 控 除 の特 例 で あ る。 これ は、法人 が認 定NPO法 人 に対 し、 その認定NPO法人 が行 う特 定 非営利 活動 に係 る事業 に関連す る寄 附 を した場合 に は、

一般 の寄附金 の損金算入限度額 とは別枠 に、 もう 1つ の損金算入限度額 を設 け られ、 それ に算入 す ることがで きるとい うもので ある。

ここで、損金算入限度額 について少 し見て い く こととす る。今述 べ た税制優遇措置 の内容 か ら2 つの損金算入限度額 があることが分か る。一般の 寄附金の損金算入限度額の ことを一般損金算入限 度額 とい い、別枠 の もう

1

つの損金算 入限度額 の

ことを特別損金算入限度額 と呼ぶ こととす る。

まず、一般損金算入限度額 につ いてで ある。法 人税法 は、法人 が支 出 した寄附金 につ いて、一般 損金算入限度額 を設 け、寄附金の うちその限度額 内の金額 は費用 と して損金算入 を認 め、 それ を超 える部分の金額 は損金算入 を認めない ことと して

(6)

2 4

神 奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報j第

1 3

2 0 0 9

3

いる。法人税法でい う寄附金 とは、金銭その他の 資産、経済的な利益の贈与、無償の供与のことで あり、一般に認識 されている寄附金のよりも広い 意味を持つO この規定の背景には、寄附金が法人 の収益 を生み出すのに必要な費用か、それ とも利 益処分の性質 をもつ ものなのか、とい う判断が困 難であったことがある。これにより、公平の維持 とい う観点か らこの規定が設けられたのである

7

つ ぎに、特別損金算入限度額についてであるC 法人が特定公益増進法人に対 し、その特定公益増 進法人の主 たる目的である業務に関連す る寄附金 がある場合には、先に述べた一般損金算入限度額 とは別枠で もう

1

つ、特別損金算入限度額 を設け ることがで きるとされている。 これが、特別損金 算入限度額 であ り、認定

NPO

法人 に対 し、その 認定

NPO

法人 が行 う特定非営利活動 に係 る事業 に関連する寄附金がある場合にも、この特別損金 算入限度額が適用 され るのである。特定公益増進 法人に対 して一定の寄附金がある場合 には、これ と合わせて特別損金算入限度額の範囲内で損金算 入することができる。 また、これ らの寄附金の合 計額が特別損金算入限度額 を超 える場合 は、その 超 える部分を一般の寄附金 と併せて一般損金算入 限度額の範囲内で損金算入することがで きること とされている。

3. 3

認定特定非営利活動法人に対す る相続財産 の寄附

認定

NPO

法人における

3

つめの税制優遇措置は、

相続 又 は遺贈 によ り財産 を取得 した者 が、認定

NPO

法人に寄附 を した場合 の課税対象除外の特 例である。 これは、相続又は遺贈により財産 を取 得 した者が、その取得 した財産 を相続税の申告書 の捷 出期 限 までに認定

NPO

法人 に対 し、 その認 定

NPO

法人 が行 う特定非営利活動 に係 る事業 に 関連す る贈与 を した場合には、その贈与 を した財 産の価額は、その相続又は遺贈に係 る相続税の課 税価格の計算の基礎に算入 しないとい うものであ る8。 ただ し、その寄附の贈与 を受 けた認定

NPO

法人が,その贈与があった 日か ら

2

年 を経過 した

日までに、認定

NPO

法人に該当 しないこととなっ た場合、又は取得 した財産 を特定非営利活動に係 る事業の用に供 していない場合には、適用 されな いこととしている。

相続税 とは、所得税の補完税であるとされてお り、偶然の理 由によ り得 た所得の増加 を抑制す ることを目的 としているgo相続税の課税物件 は、

相続又は遺贈によって取得 した財産であり、これ を相続財産 という。 この相続財産には、財産権の 対象 となるすべての物や権利が含まれ ることとな る。 これにより、特許権や著作権などの無体財産 権、 さらには先物取引における取引委託契約上の 権利 も相続財産に含まれ ると解 されている

1 0 。

このように、相続財産に対 して相続税が課税 さ れることとなるが、寄附を奨励することを目的と して、一定の財産に対 しては課税 されないことが 規定 されている。 この一定の財産 とは、国や地方 公共団体 などに対 し、教育若 しくは科学の振興、

文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進 に著 しく寄与す るものに贈与 をした財産のことで あ るO これ に、認定

NPO

法人 が行 う特定非営利 活動に係 る事業に関連する贈与 も含まれるという わけである。

3.4 認定特定非営利活動法人におけるみな し寄 附金制度

認定

NPO

法人における

4

つめの税制優遇措置は、

いわゆるみな し寄附金制度である。 これは、認定

NPO

法人がその収益事業 に属す る資産の うちか ら、その収益事業以外のために支出 した金額 を、

その収益事業 に係 る寄附金 とみなすというもので ある。 なお、認定

NPO

法人 における寄附金の損 金算入限度額 は、所得金額 の

2 0%

相 当額 と して お り、他 の寄附金 と併せ て

2 0%

と している,認 定

MPO

法人以外の

NPO

法人 における寄附金の一 般損金算入限度額は、普通法人 と同様の所得金額 の

2 . 5%

である。

NPO

法人 は、収益 事業 を行 う場合 において、

その収益事業 における所得のみが法人税の課税の 対象 とされている。 しか し、認定

NPO

法人にお

(7)

認定特定非営利活動法人における寄附金椀制 25 いては、 このみな し寄 附金制度 が適用 され ること

によ り、その法人 の内部の ことであるに もかかわ らず、収益事業 に属す る資産 の うちか ら・その収 益事業以外 のために支出 した金額 を、損金算入限 度額へ算入す ることがで きるので ある。 これによ

り、公益事業の促進 を図 ろ うと してい るので あるo

4 公益法人にお ける寄附金税制

4.1 公益法人制度改革の趣 旨

前節で述べ た認定NPO法人 に講 じられ る4つの 税制優遇措置の よ うに、個人や法人の寄附金 に対 して控 除や損金算入 を認 め ることで寄 附 を促 し、

資金面 か ら認定NPO法人 な どを支 えよ うとす る 税制の ことを、一般 に寄附金税制 とい う。 この寄 附金税制 を充実 させてい くことが、 日本 における 寄 附文化の構築 を後押 しす る大 きな要 因にな ると

考 えられ る。 そこで、本節では公益法人 における 寄附金税制 をとりあげてみ ることとす る。

公益法人 とは、一般 に旧民法34条 によ り設立 さ れ た社 団法 人、財 団法人 の こ とをいい、民 法34 条法人 ともいわれ る。 じつ は、 このいわゆる民法 34条法人 は、2008年12月1日に公益 法人制度改革 における一般社団法人及び一般 財団法人に関す る 法律 (一般法人 法)、公益社 団法人及び公益 財団 法 人 の認定 等 に関す る法律 (公益 法人 法)、一般 社 団法人及び一般財団法人 に関す る法 律及び公益 社 団法人及び公益財団法人の認定等に関す る法律 の施行に伴 う関係法律 の整備等 に関す る法律 (一 般 法人整備法) の施行 によ りその規定 は廃止 され、

特例 民 法法人 とな った1 1。 これ に よ り、特 例民 法法人 となった民法34条法人 は、5年 間の移行期 間中に、公益法人制度改革 によ り新 たに創設 され た法人 である一般社団法人及び一般財団法人、公 益 社団法人及び公益財 団法人 に移行 しなければな

図表3 みな し寄附金制度の しくみ 買盈定NPO法人が行 う率藻;

l【:::: l:==コ :=コ =コ lIl t⊂:::: ⊂: にコ =:: l【::::

⊂ =

=

::::

l

⊂ 二 二

= :::=:

= =

コ 「「 l

‑ 収益事業 収益率畏以外の番;慕

課税軒裡 # 非課税所

∵ .

I

(出所 )筆者 作成 。

(8)

26 神奈川大学大学院経営学研究科 r研究年報j第13号 2009年3月

らないのである。 この公益法人制度改革は、これ までの公益法人制度 を抜本的に見直 されたもので あ り、 これ までの民法34条法人 に大 きな影響 を 与 えるであろう。では、なぜ公益法人制度改革 を 行 うに至 ったか見ていくこととする。なお、本稿 において、民法34条法人の ことを、以後、従来 の公益法人 と呼ぶこととす る。

従来の公益法人が誕生 したのは、1896年の民 法が制定 された ときまで遡 るO許可主義 によ り 設立 され る従来の公益法人制度 は、100年余 りの 間、 日本の劇的な社会 システムの変化、なかで も 非営利 セクターが著 しく発展 している間において も、抜本的な改革が行われていなかったのである。

従来の公益法人制度における最大の問題は、主務 官庁制であった2。具体的には、 (1)主務官庁に より許可 されなければ法人化で きない、 (2)主務 官庁による指導監督 を受けなければならない、と い う

2

つの大 きな問題があった。 そ して、 これ ら は、主務官庁の自由裁量に委ね られていたのであ り、非営利セクターとして機能するわけがないの であるQ

そこで、2002年 か ら内閣官房行政改革推進事 務局 を中心 として公益法人制度改革が本格的には じまることとなった‑1㌔ そして、2004年12月に閣 議決定 された 『今後の行政改革の方針』のなかで、

公益法人制度改革の趣旨をつ ぎの通 り述べている。

「日本 において、個人の価値観 が多様化 し、社会 のニーズが多岐にわたってきているなか、政府セ クターや営利企業セクターでは満たすことのでき ない社会のニ‑ズに対応す る多様 なサービスを提 供 し得 る非営利セクターを、社会経済 システムの 中に積極的に位置付 けることが重要である。また、

民法制定以来100余年にわたり抜本的な見直 しが 行われていない従来の公益法人の制度については、

歴史的に大 きな役割 を果た して きたものの、主務 官庁の許可主義の下、法人設立が簡便でなく、公 益性の判断基準が不明確であり、営利法人類似の 法人が存続 しているなど様々な批判、指摘 を受け るに至 っている。このため、こうした諸問題に適 切に対処する観点か ら従来の公益法人制度 を抜本

的に見直 し、広 く非営利セクターの活動の健全な発 展を促進することが重要な課題となっている。.4」

このような趣 旨の下、公益法人制度改革が行わ れることとなった。そ して、一般法人法、公益法 人法、一般法人整備法か らなる新公益法人制度が 誕生す ることとなった。その主な内容は、従来の 公益法人における許可主義ではなく、準則主義 と なったことにより簡便に法人化できるようになっ たことである。そ して、公益性の判断については、

行政庁である都道府県知事又は内閣総理大臣が行 うこととなり、「法人格の取得」と 「公益性の判断」

を分離す ることとなったのである。

4.2 新公益法人制度における法人形態

では、新公益法人制度の内容について見てい く こととする。新公益法人制度では、先に述べたよ うに、従来の公益法人である社団法冬、財団法人 という法人形態は廃止 され、新たに一般社団法人 及び一般 財団法人、公益社団法人及び公益財Efl 法人 とい う法人形態が創設 された'5。 これに伴い、

従来の公益法人は、移行期間である5年間は、特 例民法法人 とい う法人形態 となる。特例民法法人 は、この移行期間中に新公益法人制度 に規定 され る法人に移行 しなければならない。なお、移行 し なかった場合は、解散 したもの とみなされる。

一般社団法人及び一般財団法人は、登記をする ことによって設立することがで きる。従来の公益 法人では、法人 を設立するためには、 (1)公益 に 関するものであること、 (2)営利 を目的 としない こと、 (3)主務官庁の許可 を得 ること、が要件 と なっていた'6。 この許可主義 を改め、準則主義に より簡易に法人化で きるようになったのである。

この一般社団法人及び一般財団法人の うち、行 政庁の認定 を受けると、公益社団法人及び公益財 団法人 となることができるOこの認定は、行政庁 が設置する民間有識者 による公益認定等委員会な どの意見によって判断 され る。

こうして、「法人格の取得」 と 「公益性の判断」

を分離することにより、複雑 となっていた公益法 人 を把握することができ、それに見合 った税制優

(9)

認定特定非営利活動法人における寄附金税制 27 図表

4

新公益法人制度の しくみ

法人格yv?,)取得 公益性の堀 野

[ ̲ ・ .

H l

公益認定等委員会 (出所)筆者作成。

遇措置 などが行われ るとい うわけである。

4. 3

新公益法人制度 における法人税 法上の取扱

Ll

新公益法人制度における法人税法上の取扱いを 見てい くこととするO まず、一般社団法人及び一 般財団法人につ いてである。一般社団法人及び一 般財団法人 は、法人税法上の取扱いにおいて、非 営利性 について一定の要件 を満 たすか ど うかで、

非営利 法人型17と普通法人型18の2種類 に分け ら れている。非営利法人型は、収益事業 を行 う場合 において、その収益事業 における所得のみが課税 の対象 とされている。 これに対 し、普通法人型 は、

すべての所得 に対 して課税 の対象 とされてい る。

法人税率については、非営利法人型及び普通法人 型 ともに

3 0%

としてい る。ただ し、年

8 0 0

万円以 下 の部 分 については22%と して い る。 また、従 来の公益法人に適用 されていたみな し寄附金制度 は、非営利法人型及び普通法人型 ともに適用 され ないこととなった。

つ ぎに、公益社団法人及び公益財団法人につい てである。公益社団法人及び公益財団法人 は、収 益事業 を行 う場合 において、その収益事業 におけ る所得のみが課税の対象 とされてい る。 さらに、

収益事業 で あって も公益 目的事業

1 9

に該 当す る 場合 は、その事業 は課税 の対象 とな らないことと されてい る。法人税 率 につ いて は

、3 0%

と され てい る。 ただ し、年

8 0 0

万円以下 の金額 につ いて は22%と している。 なぜ、公益社団法人及び公益 財 団法人 において も法人税率 が

3 0%

となったか については、公益 目的事業 に該 当す る収益事業 を 課税の対象 とな らない ことと したことにより、税 率 を優遇す る理 由が乏 しくなったか らであると考 え られ る

2 0

。 み な し寄 附金制度 につ いて は、公 益社団法人及び公益財団法人においては適用 され ることとなる。

なお、特例民法法人においては、従来の公益法 人の制度 を継続 して適用 され ることとなっている。

4.4新公益法人制度における寄附金税制

公益法人制度改革 において、公益法人における 寄附金税制 も見直 された。 まず、前項で述べたみ な し寄附金制度の改正であるO従来の公益法人で は、み な し寄 附金 制度 が適 用 されて お り、損金 算入限度額 は所得金額の

2 0%

であった。 しか し、

新公益法人制度 では、公益社団法人及び公益財団 法人 にのみ、みな し寄附金制度 が適用 され ること となった。そ して、その損金算入限度額は、①所

(10)

28 神奈川大学大学院経営学研究科 r研究年報113号 2009年3月 図表

5

新公益法人における法人税法上の取扱 い

公益社団法人 ‑般社団法人 特例民法法人

公益財団法人 一般財団法人

非営利法人型 普通法人型 法人税の

課税対象 収益事業のみ 収益事業のみ 全所得 収益事業のみ

法人税率 30%800万円以下の部分は 30%(800万円以下の部 3(0%800万円以下頭部 22%

22%) 分は22%) 分は22%)

みなし寄附金 適用あり 適用なし 適用なし 適用あり

一般損金

算入限度額 額((つぎのうちいずれか多い金彰公益 目的事業に使用するD所得金額の50%金額 所得金額の2.5% 所得金額の2.5% 所得金額の20%

(出所)筆者作成。

得金額 の50%に拡大 され、 さらに、② 公益 目的 事業に使用 し、又は使用す ることが確実であると 認め られ るものに相 当す る金額の うち、いずれか 多い金額 とされた。 これによ り、収益事業 におけ る所得のすべてを公益 目的事業に使用 して、それ をみな し寄附金 とすれば、その収益事業 における 所得のすべてを損金算入す ることがで きることと なったのである。

つ ぎに、公益社団法人及び公益財団法人 が、特 定公益増進法人に含 まれ ることとなったことであ る。従来の公益法人が特定公益増進法人 となるに は、主務官庁2】が認定 を行い、 これにつ いて財務 省 に よって協議 され なけれ ば な らなか った。 そ の数 は、お よそ25,000法人 ある公益法人 の うち、

2008年4月1日の時点でわず か853法人 で あった。

しか し、公益法人制度改革 により、 まず、個人が 公益社団法人及び公益財団法人に対 し寄附 を した 場合 には、特定寄附金 とされ、寄附金控除の適用 が認め られ ることとなった。そ して、法人 が公益 社団法人又は公益財団法人に対 し寄附 を した場合 には、特別損金算入限度額 に算入す ることがで き るようになったのである。 また、相続又は遺贈 に

よ り財産 を取得 した者 が、公益社団法人及び公益 財団法人に寄附を した場合の課税対象除外の特例 も適用 され、 これ ら3つ は認定NPO法人における 税制優遇措置 と同様であるといえよう。

この ように、政府は非営利 セクターの存在の重 要性 を認識 し、公益法人制度改革 を行 うことと なった。 その内答 は、従来の公益法人の問題であ る、公益性の判断基準が不明確 なことや、営利法 人に持似 した法人など様々な公益法人が存在 して い ることな どを、「法人格 の取得」 と 「公益性の 判断」 を分離す ることにより解決す るものである。

これによ り、公益性 が明確 となった公益社団法人 及び公益財団法人には、 このような思い切 った税 制優遇措置 を講 じることが可能 となったのである。

(11)

認定特定非営利活動法人における寄附金税制 29

5 非営利セクターの発展 と寄附金税制

5.1 公益法人制度改革 に伴 う寄附金税制の整備 公益法人制度改革 において、新公益法人制度 と い う新たな非営利法人制度が創設 され るなか,非 営利 セクターの重要性 を踏 まえ、それ らを資金面 か ら支 える寄附金税制について も検討す る必要 が あるとされて きた。そ して、公益法人制度改革 に 伴い、公益法人だけではな く、その他の寄附金税 制 も整備 され ることとなった。

その なかで、認定

NPO

法人 におけ る認定要件 などの見直 しも行われ た。 まず

、P

ST22について である

。5

分の

1

以上 とい う

P S

Tの基準値 を

2 0

11年

3

31

日まで延長す ることとされ た

2 3

。 これに合 わせ て、実績判定期間 が2年 か ら5年 に延長 され た。そ して、 これ まで

P S

Tが

5

分の

1

以上 であるこ とと、 さらに各事業年度 おいて10分の1以上であ ることも条件 とされていたが、 この各事業年度の 判定 を廃止 した。 これ らによ り、認定 を受 けやす

くなったといえよう。

つ ぎに、認定 の有効期限 につ いて

、2

年 か ら

5

年に延長 され たO これ によ り、2年 ごとに申請 を 行わなければな らなかった負担が軽減 され るであ ろう。その他に、社員の親族等及び特定の法人に おける要件 を廃止す ることとな り、社員の うちに 親族等又は特定の法人の占める割合 が観覧事項に 加 えられ ることとなったなどの改正 が行われた。

以上 が、認定

NP O

法人 にお け る認定要 件 が見直 された内容である

また、法人 が、認定

NPO

法人 や公益 増進法人 などに寄附を した場合 における特別損金算入限度 額の拡大が行われた。従来は、所得の2.5%であっ たが、2倍の5.0%に拡大 されたO これ によ り、法 人はよ り多 くの寄附がで きる環境 が整 い、寄附意 識の向上が期待 され るであろう。 その他に も、い わゆるふるさと納税 などの寄附金税制 も整備 され た。 このように、新公益法人制度以外に も寄附金 税制の整備が行われ、寄附文化の構築 を図 ってい

る。

5.2 寄附金税制の必要性

NP O

法人 におい て寄 附金 とは、重要 な財源 で ある。寄附金税制が整備 され ることによ り、今後 その重要性 は増 してい くことが予想 され るし、増 してい くべ きである。 また、税制調査会 に設置 さ れた非営利法人 ワ‑キ ング ・グル ープは、寄附金 税制 を整備す る目的 として、公益法人制度改革 を 契機 として、「税制面において、アメリカや ヨーロッ パ並みに寄附文化 を育んでい くための インフラ整 備に積極的に寄与するとの視点が重要 となる24」 と 述べているO

そ もそも、寄附金税制のね らい とは、寄附の イ ンセ ンティブを与 えることである。個人や法人が、

認定

NPO

法人 や公益 増進 法人 な どといった、公 益性の高い法人に対 して寄附 を した場合、その個 人や法人に寄附金控除や特別損金算入限度額の適 用 を行 うことによって、寄附の インセ ンテ ィブを 与 えているのである。 これによ り、寄附文化が構 築 されてい くことが期待 され るO そ して、今回の 公益法人制度改革 によ り、特定公益増進法人の範 囲が拡大 されたことや、特別損金算入限度額が拡 大 されたことによって、寄附の インセンテ ィブが 高 まったといえよ う。

また、 山内直 人

[ 2 0 0 3

] に よ ると、 この よ う な寄 附金税制 を行 う根拠 と してつ ぎの

2

点 を挙 げ てい る

。1

つめは、個人や法人が

NP O

法人や公益 法人 などへの寄附 を奨励す ることにより、それ ら が行 うサービスの供給量 を増大 させ、政府が直接 提供す る公共 サービスの量 を減少 させ ることがで きる とい う点 で あ る25

。2

つ めは、個 人 や法人 な どの納税者が、政府 セクターか らのル ー トと非営 利 セクターか らのル ー トといった、公共 サ‑ビス の供給 に関す る複数の選択肢 を与 えるとい う点で ある26。

5.3 寄附金税制の今後の展望

公益法人制度改革 が行われたことによって改正 された寄附金税制 をまとめると、現在の公益法人 と

NPO

法人 における寄 附金税制 は、図表

6

の よう に比較す ることがで きる。

(12)

30 神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報j第13号 2009年3月 今回の公益法人制度改革 によ り、公益 社団法人

及び公益財団法人が公益増進法人 に含 まれ ること となった。2008年12月1日に施行 され たばか りで、

手続 き上 の問題 などもあ り、 どれだけの一般社団 法人及び一般財団法人 が、公益社団法人及び公益 財団法人に認定 され るか分か らないが、少 な くと も従来の公益 法人が特定公益増進法人 に認定 され る数 よ りは増加す ると考 えられ る。 そ して、それ はNPO法人 が認 定NPO法 人 に認 定 され る数 よ り 多い とも考 え られ る。 なぜ な ら、公益法人制度改 革 において認定NPO法人 の認定要 件 も緩 和 され たが、公益財B]法人及び公益社団法人の認定要件 や認定方法 を比較す ると、 まだ厳 しい とい えるか らで あ る。 これ らの認定NPO法人 の問題 点 を解 決 してい くには、新公益法人制度の動向 を注視 し

なが ら、 さらに見直 しが必要 で あ ろ う。 その際、

ただ緩和す るだけではな く、公益性 の判断が明確 であ り、かつ適正 な ものであることが重要 である。

この よ うに、寄附文化の構築 は徐 々にではある が、確実 に構築 されてい るといって よいであろ う。

今後の寄附金税制のあ り方 と しては、一時的に多 額の寄附 を した場合 に、寄附 を した年以降に繰 り 越せ る制度 があって も良いのではないか と考 える。

先 に述 べ た よ うに、認定NPO法人 に おけ る認定 要件 の

PS

Tにおいて、各事業年度 の条件 が廃止 さ れ た。 これは、一 時的に多額 の寄附 を受 けた場合 にお いて も、認定NPO法 人 の認定 要 件 とす るべ きで あるとい うことが見 て取れ る。 そ うであるな ら、寄 附 を した者 の観点 か らも、寄附 を した年以 降 に繰 り越せ る制度 があって も良い と考 える。 ま

図表6 公益法人 とNPO法人における税制優遇措置

公益社団法人公益財団法人 一般社団法人一般財団法人 認定NPO法人 NPO法人 非営利法人型 一般法人型

法人税の

課税の対象 収益事業のみ 収益事業のみ 全所得 収益事業のみ 収益事業のみ 法人税率 30% (800万円以下の 30% (800万円以下の部分 30% (800万円以 30% (800万円以

部分は22%) は22%) 下の部分は22%) 下の部分は22%)

みな し寄附金 適用あり 適用なし 適用あり 適用な し

一般損金

算入限度額 (①公益 目的事業に使用つ ぎのうちいずれか多い金額∋所得金額の50%する金額 所得金額の2.5% 所得金額の20% 所得金額の2.5% 特別損金

算入限度額 ‑ 所得金額の5% ‑ 所得金額の5%

個人寄附受け入れ

(寄付者の取扱い) 寄附金控除あり 寄附金控除なし 寄附金控除あり 寄附金控除な し

法人寄附 受け入れ

(寄付者の取根い) 特別損金 一般損金 特別損金 一般損金

算入限度 算入限度 算入限度 算入限度

額へ算入 額へ算入 額へ算入 額へ算入

(出所)筆者作成。

(13)

認定特定非営利活動法人における寄附金税制

3 1

た、寄附金 だけではな く、ボランテ ィア活動に対

する税制優遇措置があって も良いのではないか と 考 える

2 7

。 その ために も、 ボ ランテ ィア活動 を 法令で規定す る必要性 は高いと考 えられ る。

6 おわりに

認定NPO法人における税制優遇措置 は4つ あ り、

それ らは寄附金税制 と呼ばれ、個人や法人が認定 NPO法人に対 して寄 附 を しやすい環境 を整 える ものであった。寄附金税制のね らいは、個人や法 人に対 し寄附のインセ ンテ ィブを与 えることであ り、 これにより日本の寄附文化が構築 されてい く ことを期待 している。

NPO法人 と同 じ非営利法人である公益法人は、

2 0 0 8

1 2

1

日に新公益法人制度 が施行 され、大 きな転換期 を迎 えた。 これ らの公益法人制度改革 のなかで、公益法人における寄附金税制だけでな く、認定NPO法人 を含む その他の寄 附金税制 も 見直 された。 これは、 日本の寄附文化が希薄であ り、寄附金税制による効力にも限界があると考 え られたためである。 そ して,寄附金税制 を見直す ことにより、最終的にはアメ リカや ヨーロッパ並 みの寄附文化 を構築 させ ることを目的としたもの である。 しか し、認定NPO法人制度 を見てみ ると、

認定要件が緩和 され るな ど寄附金税制の整備が行 われたが、 まだ改善の余地 はあるとい えるもので あった。

このように、寄附文化 を構築す るために、政府 や行政は、制度 を充実 させ ようと動 き出 している。

ただ、寄附文化は急 に構築 され るものではな く、

徐々に構築 され るものであるC 政府や行政は、 こ の ことを考慮 しな くてはな らない。そのためには、

中長期的な改革 として考 え、その時々に適 した制 度 を充実 させていかなければな らないのである。

1

資産の譲渡等 とは、資産の譲渡及び貸付並び に役務の提供の ことである0

2 割合 の算定方法は、事業活動 に係 る事業費の 額、従事者 の作業時間数 その他の合理的な指 標 により算定 され る。

3 たとえば、 日本では本来の事業収入 を分母に 算入す ることとされているが、アメ リカでは 算入 しないこととされている。

4

金子宏

[ 2 0 0 8 ]1 7 3

5 特定公益増進法人 とは、公益法人等 の うち、

教育又 は科学の振興 、文化の向上、社会福祉 への貢献その他公益の増進 に著 しく寄与する もの として主務大臣に認定 された法人の こと である。

6 その他 に住民税の寄附金控除 も適用 され る0

7

金子宏

[ 2 0 0 8 ]2 9 7

8 ただ し、その寄附 を した者又 はその親族等の 相続税又は贈与税の負担が不 当に減少す る結 果 となる場合 は除 く。

9

金子宏

[ 2 0 0 8 ]4 4 8

1 0

金子宏

[ 2 0 0 8 ]4 5 1

1

1 公益法人制度改革 によ り、中間法人制度 も一 般法人法に統合 された。

1 2

主務官庁 とは、内閣の行政事務 を分担管理す る大 臣 を長 とす る内閣府及び11省 (総務省、

外務省、法務省、財務省、文部科学省、厚生 労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通 省、環境省、防衛省) を指す もの とす る0

1 3

和久井結実

[ 2 0 0 8 ]2 6

1 4

内閣府

[ 2 0 0 4

] (一部加筆 している)

1 5

正確 には、一般社団法人、一般財団法人の う

ち、行政庁に認定 された法人の ことを公益財 団法人、公益社団法人 とい う。

1 6

上西左大信

[ 2 0 0 8 ]1 0 6

1 7

非営利法人型 とは、一般社団法人又は一般 財 団法人の うち、つ ぎに掲 げるものをい う。

(1)事業 によ り利益 を得 ること又はその得 た 利 益 を分配 す ることを 目的 と しない法人 であって、その事業 を運営す るための組織

(14)

3 2

神奈川大学大学院経営学研究科 r研究年報J 第

1 3

2 0 0 9

3

が適正 で あ る もの と して政 令 で定 め る も の

(2)会員か ら受 け入れ る会 費によ りその会員 に共 通 す る利 益 を図 るための事業 を行 う 法人 で あ って その事業 を運営 す るための 組織 が適正 で あ る もの と して 政 令 で定 めるもの

1 8

普通法人型 とは、一般社団法人又 は一般財団 法人の うち、非営利 法人型以外の もの をい う。

1 9

公益 目的事業 とは、学術、技芸 、慈善 その他 の公益 に関す る事業 であ り、不特定 かつ多数 の者 に利益 の増進 に寄与す るもの をい う。

2 0

穂積康一 ・菊池菟 ・人見貴行

[ 2 0 0 8 ]1 2 4

2 1

‑部 は都道府県知事 が認定 をす る。

22 PSTとは、実績判定期間 におけ る総収入金額 等の うち、受 け入れ た寄 附金総額 などの 占め る割合の ことである0

2 3

改正前は

、2 0 0 3

4

1

日か ら

2 0 0 8

3

3 1

日 までの間に申請 した場合 に適用 されていた。

2 4

税制調査会基礎 問題小委員会 ・非営利法人課 税 ワ‑キ ング ・グル ープ

[ 2 0 0 5 ]

2 5

山内直人

[ 2 0 0 3 ]1 0

2 6

山内直人

[ 2 0 0 3 ]1 0

2 7

山内直 人

[ 2 0 0 3 ]1 2

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参照

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