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集団参加をめぐる意識と行動
-大学生調査から-
田中勉
1.はじめに
本稿の目的は集団に参加することの持つ意味について考察するために行った 予備的調査の結果を検討し,より本格的な調査研究へ進むための準備を行うこ
とにある。
ところで集団参加は,個人にとって不安をもたらす過程でありまたストレス
をともなうものである。しかしそのプロセスにおいては,別な側面も存在する ことが明らかになっている。そのひとつは,集団加入にともなう自己概念の変 化である。われわれの社会的同一性は集団成員性と密接な関係がある。集団の 成員になることは,われわれに自分が誰であるかの再定義を要求することにな
る。また新メンバーは既存のメンバーと対比して自分自身を「新」メンバーとして二範囑化」させるし,集団内の他者からもそのように「範蠕化」されるこ とになる。こうした「自己範囑化(Self-Categorization)のプロセスは,
新しいメンバーが集団規範を獲得してゆく過程としても考察できるだろう。(1) 集団規範は個人を集団へ取り込み,集団成員として保護し,位置づけを与え る機能を果たすと同時に,個人の行動を拘束する作用も果たすのである。規範
の拘束的側面に注目し,それを集団参加の過程において個人が支払うコストと見なすならば,コストとリウォードの交換という観点からの考察も意味を持つ
ことになろう。いかにこのコストを算定しリウォードを評価するかによって,集団参加の積極度・持続度が規定されることになるであろう。また,集団 参加に関して個人がいかなる価値観を持っているかが,交換における比較較量 の基準を左右することになると考えられる。このような関心に沿って調査結果
の検討を行うことにしよう。
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2.アンケート調査の概要
以下では,アンケート調査の集計結果の一部を取り上げる。この調査は,
大学生を対象として「部・クラブ・サークル|集団への参加に関して行われ た。(2)
大学生をとりあげた理111は,従来から指摘されている「若者の集団・組織離 れ」といわれる現象についてその実態を把握し,その持つ意味の検討を行いた かったからである。若者'11代の集団・組織離れは,企業における「新人類」論 議とも関連し,また大学においては,かつてのような1-部」や「体育会」的団 体が敬遠され,「愛好会」「|司好会」のような「仲良し集団」的なサークル活動 への指向が強まっているといわれている。
そこで調査では,課外活動集団への参加の有無・参加集団の種類・参加の理 由・参加したことで得たもの・集団参加をめぐる考え(価値観)などに関する 設問を行った。
また,調査対象としては,①集団のリーダーと②一般メンバー,の二つのグ ループを取り上げ,集団における地位=役割の差異によって判断や意見に違い がみられる力、をも探ることにした。なお,今回の調査は,予備調査でありサン プル数も少なく,サンプリングにおける制約によって対象者の所属学部に偏り があり,大学生集団の代表性という点において不十分であることをつけ加えて おかねばならない。
「一般メンバー調査」のサンプル数は301で,男子が40%,女子が60%であ る。以下の結果の分析では主に「集団所属状況Jによる回答の差異に注目して ゆくことにするが,簡単にその様子を見ておくと,課外活動集団へ ̄所属して いる」は78%と高く,参加することが当たり前であるといってもよい現状で ある。「以前属していたがやめた」(以下「やめた_と略)が14%,「所属した ことがない_〔「非参加」)は8%のみであった。さらに,「所属している」と答 えた235人については,その所属団体を尋ね,その種類を四つに分けた。その 結果一体育会に属するスポーツ団体」(以下一体育会一と略)が16%,「体育 会に属さないスポーツ団体I(lスポーツ」)が48%,「音楽・演劇団体一(「音・
漬」)が13%,「その他の団体(その他)が23%という構成であった。
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3.参加の理由と成果
まずはじめに,どのような理[|]でクラブやサークルに参加したのか,そして 参加したことによりいかなる成果を得ているのかをみることにする。三隅は大 学生のクラブは「文字通りのボランティアの集まりであり……,もし,クラブ 員が新たな人的・物的資源の補充を怠るならば,それはクラブ集団の機能低 下,さらには消滅につながるのである」と述べて,学生集団の結成・存続にお ける ̄自発的参加」という特色に注目している。(3)自発的な参加および脱退の 原則という点から学生集団の特性を考えるならば,学生の課外活動集団はメン バーを経済的利害や物理的強制力以外の何らかの誘因によって引きつけておか なければならない。この仮説が妥当だとすれば,学生の集団参加の理由を,参 加によって充たそうとしている欲求は何かということで整理できる,それは大 きく分けて集団の目標達成活動領域と,対人関係領域に求めることができるだ ろう。M、ショウは,「集団に内在する欲求満足の源泉」として ̄①集団メン バーに対する魅力(対人魅力),②集団活動に対する魅力,③集団目標に対す る魅力(すなわち,集団の目標をその個人が高く価値づけている場合),およ び,④集団の成員になること自体の魅力」をあげて論じ,「集団のメンバーに なることによって満足されると思われる集団外の欲求」としては,「①集団の 外にいる他者への魅力および,②集団の外にあるいろいろな目標への魅力であ ろう」と述べて集団参加の手段的側面にも言及している。(イ)つまり,欲求充足 の源泉について集団内と集団外の区分を行っている。この調査ではこうした区 分を念頭において,14項目の文章を示しそれぞれに対して「おおいにあては まる」「まああてはまる」「あてはまらない」の3選択肢から答えてもらっ た。表1でその結果をみる,表中の数字は「おおいにあてはまる」,~まああて はまる」の合計すなわち「肯定」の回答の割合を示している。なお,表では肯 定回答の多かった順に項目を並べ変えて表示している。
対象者「計)の回答を見ると.まず第一に対人的な親和欲求,次いで目標達 成の欲求,の充足が求められている。
「学科・クラス以外の友人をつくれるので」(88%が肯定している,以下同 じ),「大学での居場所が欲しかったので_(80%),「魅力的なメンバーがいる ので」(67%),に対して肯定の回答が多くなっている。また「活動内容が魅力
70
表1参加理由
%,(実数)
的だったので」(85%),「知識・技術を習得・向上させたかったので」(71%),
「団体の目標にひかれたので」(69%),もかなり肯定されている。一方,手段
的項目である「就職に役立つので」(12%)に対しては否定的である。以上の回答を集団参加の状況別にみると,参加集団のタイプによっていくつ かの特徴がある。まず,現在参加している者についてその集団の分類別にみ る。「体育会」では, ̄活動内容が魅力的」「知識・技術を習得・向上」「趣味と
一致」といった集団活動そのものに関わる項目での肯定が高く,「学科・クラ ス以外の友人」や「人間関係の訓練-1~異性の友人と知り合う機会が得られる」などの人間関係項目を肯定する割合は他の集団タイプに比べて低くなってい る。そして特徴的なのは「友人・先鞭のすすめ」を半数以上があげていること である。
これと対照的に「スポーツ」では,むしろ「学科・クラス以外の友人」や
「大学での居場所」さらに「異性の友人」でより強い肯定がみられる。「音・
横」では,「魅力的なメンバーがいる」と「知識・技術を習得・向上」が最も 強く肯定され,F学科・クラス以外の友人」や「大学での居場所」がそれに次
参加の状況 体育会(30) スポーツ
(91) 音・横 (24) その他
(43) やめた (41)
31.
(229)
学科・クラス以外の友人をつくれるので 活動内容が魅力的だったので 大学での居場所が欲しかったので
自分の趣味と一致するので
知識・技術を習得・向上させたかったので 団体の目標にひかれたので
魅力的なメンバーがいるので 人間関係の訓練になるので
大学で課外活動をするのは当たり前なので 異性の友人と知り合う機会が得られるので 友人や先輩にすすめられたので 高校でやっていたことなので 就職に役立つので
強制的に人らされたので
00603363306633 79788555415211 87←、30696472864 ●●■●●●のG■●0●●0 00604364307733 ”凹皿ね布氾闘的別記釦犯74 0■●●ひCQ●●●●①●● 777784873413 99903530756308 ●●●●●●●■●●●●●● 22183939586403 89886966332 1 67864559963460 白●●●●●の●●●■●■可 17414418523730 8776555643212 33051831616719 ●の①●●●●p□■●●●● 02892570378198 8887766644321 75070976723016 ●●■◆わ●●、●ロ●●の● 42007040029071
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いでいる。「その他」の集団では,「団体の目標にひかれた」を95%が肯定し ておりきわだった特徴を示している。また,「活動内容が魅力的」もほとんど の者が肯定している。これは,「その他」の中に「ボランティア活動」を目的 とするサークルが含まれていることの反映であるとも考えられる。この点は後 の「成果」の考察でも取り上げる。
またこの質問には,以前は所属していたが ̄やめた」という者にも回答して もらった,「知識・技術を向上させたかった」を除くと,現在参加している者 と比べて回答分布に大きな差異はなかった。
ところで,以上の理由によって参加した結果,その欲求は充足されているの だろうか。「集団参加で得たものは何か」を13項目の文章への肯定・否定とい う形で尋ねると,「参加理由一としてあげられた項目と対応する「成果」項目 を肯定する傾向がみられ,欲求の充足という面からみると参加者の動機づけが 確保されているとみることができよう。すなわち,「友人・仲間ができた」(96
%が肯定,以下同じ)「楽しい時間が持てた(86%)「大学での居場所ができ た_(80%)「学生生活にハリがでた」(76%)「知識や技術が向上した」(69%)
「協調性・責任感などが養えた」(67%)などの成果が得られたという答が多
かった。
これに対して,「就職活動に役だった」(20%)「社会に貢献できた」(15%)
については否定的であった。
表2は参加状況別に「成果」を示している。現在参加している者についてそ の集団の分類別にみてみよう。「体育会」では,「知識や技術が向上した」が多 く,逆に「異性の友人と知り合えた」が低くなっている。また,「就職活動に 役だった」が45%ほどあり,他のタイプに比べて多くなっている。「知識・技 術を習得・向上させたい_が「参加理由」として多く選択されていたことと合 わせて考えると,「体育会」メンバーの特色を示す結果となっているといえよ う。人間関係項目を肯定する割合は他の集団に比べて低いが,それでも「友 人・仲間ができた」「大学での居場所ができた」をかなりの割合でF成果」と
してあげている。
-スポーツーでは,「友人・仲間ができた」 ̄大学での居場所ができた」に肯 定が多い,特徴はみられない。「音・漬」では,他のタイプに比べて「異性の 友人と知り合えた」と「リーダーシップが養成できた」が多くなっているのが 目につく。また,「その他一では,「理由」で述べたようにボランティア・サー
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表2成巣 %,(実数)
97.0’10001100.0’100.Ol781l9f 94.4192.6189.2
97.1184.2196-3181.6 弧 80.21811
窪↑ftC 、’7851F
J188.916
「l LI
、180816
]I」[」_[]
5-516[1F
、団体0
職活動lにiQ rl L」
14
クルが含まれているためか,「社会に貢献できた」が他のタイプに比べてかな り高くなっていることに着目しておこう。
この質問にも,以前は所属していたが「やめた」という者に回答してもらっ ている。現在参加している者と比べて回答に大きな差異がみられ,当然のこと ながら ̄成果」が得られたというlLll答は少なくなっている。これは,もし「成 果」が得られていれば参加を継続する動機づけになったであろうから,「やめ た」者がすべての項目で ̄成果|があったと答えていないのは当たり前と言 える。
4.参加の問題点
表3では,集団活動へ参加していて感じる問題点を尋ねている。先述のF成 果」を参加によって得られるリウォードとすると,問題点は参加にともなうコ ストとして意識されている事柄であるとみてよいだろう。どのような問題を感 じているかの検討は,コストが大きいと感じた場合集団参加を停止することが
参加の状況 体育会スポーツ
(3`l)(107) 音・iiii (27) その他
(49) やめた(41)
計 (258)
0864523338
□■■●●●●●●● 718
0917735750 ●●●
0886766664 466 323
1
754-,433432
18631344144 277 ●●●●■の●●の● ●●● 235 1192911514 9887666653 321 6505986692 104 ●白●●巴●●の■G ●●● 1625869679 516
73
表3集剛の問題点 %,(実数)
9-2160_舟 5.9159.C 野川の箇柾
rL
。
系カミ矩 DB・OGの十渉力Ka
,)7嵩kIrl1IJ
1m
r1
、 L」
16
比較的容易な大学生の課外活動を考える際に看過できない課題となる。
「役職につくと責任が重い」と「時間的に拘束される(自分の時間がない)」
について,半数以」二が ̄かなり感じる ̄まあ感じる」としている。「活動がつ まらない,「先輩・後雅関係が煩わしい_「知識や技術で皆についてゆけない」
は ̄感じない」と否定する回答が圧倒的である。参加集団分類別にみると,
「体育会」ではほぼ全員が「時間的に拘束される」と感じており,「役職につく と貨任が重い」「OB・OGの干渉がある」の項目で他のタイプよりも問題とし て認識されている度合いが高い。逆に, ̄メンバーのやる気が低い」や「活動
がつまらない」は他に比べて問題とされておらず,「体育会」メンバーのモラールの高さを示す結果となっている。「スポーツ」では問題を指摘する割合 が低く,6割を超える項'二|はないが,「先誰・後鑛関係が煩わしい」で「体育 会」よりも「感じる]が多いのが目につく。「音・減」では,「時間的拘束」
~役職」の他に「学業に支障がある」が多くなっている。 ̄先輩・後輩関係一は
ほとんどあげられない。その他」では,ほかのタイプより多くあげられる項
目はないが,活動に活発'性が欠如している様子が見てとれる。74
全体として「体育会」が目標達成活動に重心のかかった集団運営をしてお り,そのことに関わる問題が指摘されている。同様の傾向が「音・漬」にもみ られる。「スポーツ」と「体育会」を対比すると,参加者の層の違いが浮かび 上がってくるが,この点は後でまたふれよう。
一般メンバーが感じる問題点と関連して,リーダーがあげる集団運営上の問 題点にもふれておこう。「新人部員が少ない」と「積極的な参加者が少ない」
という活動メンバーの確保が最大の問題として指摘されており,「財政的な問 題」「学業との両立が困難」がそれに次いでいる。これに対して,「協調性に欠 けるメンバーがいる」や「学年間の対立がある」「異性をめぐるトラブルがあ る」といった人間関係をめぐる問題点についてはあてはまらない」と否定す る回答の方が圧倒的に多い。これは,リーダーが集団維持に関する活動の重要 性を認識し,人間関係のトラブル解決に努力していることの反映でもあろう。
ちなみに,リーダーとしての役割認知についての質問に対しては,「集団内部 の人間関係の調整や仲裁」および「雰囲気を擬り」二げる」のがリーダーの役割
として重要だという回答が寄せられていた。
また'~やめた」者に対して「それはなぜか」を熱れたところ,「時間的な拘 束がきつかった」「他に興味のあることができた」「費用の負担が重い」F活動 内容に魅力がなくなった」に,70~90%が「あてはまる」と答えている。「団 体のあり方に疑問を感じた」も多い。「人間関係が煩わしくなった」「先輩・後 爺関係が煩わしい」という対人関係上の問題点をあげる割合も半数を超えて
いる。
さらに,「参加してない」者(ただしこの調査では24人のみであった)にも その理由を答えてもらった,集計対象は少数であるので,明確な傾向を見いだ すことは困難だが,「あてはまる」という回答が多かった項目をあげる。「他に 興味のあることがある_'’'二1分にあった団体がない_力《多いが,「人間関係が煩 わしい」やF集団活動に関心がない_といった項目もあげられていることを忘
れてはならない。
5.集団に関する意識
大学生活と集団活動に関して大学生がどのような考えを持っているかを知る
ために,大学生活や勉学さらには友人関係に関する‐意見」を十三の文章で示
75
し,各々についての賛否を尋ねた。その中に集団参加がもたらす拘束的側而に 関する項目を入れておいた。本稿では以下に示す五項目についての回答に限っ て述べる。すなわち,「先飛・後輩のけじめは大切だ」,「自分を犠牲にしても 集団の発展に尽くしたい」,「きらいな人ともうまくつき合っていくべきだ」,
~集団に参加することでの拘束は当然だ-,「集団の中では我を通すよりも他人 と協調すべきだ_'の各文章に対して「そう思う_から「そう思わない」まで四 段階で肯定・否定の回答を得た。これは,集団参加状況に関わらず調査対象者 全員に対しての質問である,また同じ質問をリーダーにもしている。結果を表 4で示す。
「一般メンバー」の回答結果をみると,「他人と協調すべきだ」(69%が「そ うだ」「まあそうだ」と肯定している,以下同じ)「拘束は当然だ_(63%)「う まくつき合っていくべきだ」(62%)「先輩・後輩のけじめは大切」(55%)に ついては半数以上が肯定している,一方「集団の発展に尽くしたい」(18%)
は否定されている。集団内の人間関係における調和には積極的であるが,いわ ゆる「集団主義」的価値には否定的である。
この設問に関してはひとつの仮説がおかれていた,「体育会」(伝統的な集団 志向が残っているとみられる)と,そのほかのいわゆる「サークル」(集団主 義より個人の都合を優先しよう)という所属集団の違いで,それに参加してい る個人の価値志向に差異がみられるだろう,というものである。すなわち,
表4集団意識
%,(実数)
JW「 Pl L」
。
劃の中では我を通す。
↓)他人と協調すべきプ
参加の状況 体育会(38) スポーツ
(113) 音・演 (30) その他
(53) やめた (37) 非参加
(23)
一般メンバー (294) 計
リーダー (66)
先輩・後輩のけじめは 大切だ
自分を犠牲にしても集 団の発展に尽くしたい きらいな人ともうまく つき合っていくべきだ 集団に参加することで の拘束は当然だ 集団の中では我を通すよ
りも他人と協調すべきだ
83168 72886 07000
● ◆ ● 0 097698 00、。戸、5〈b26n℃【I 35507
● ● ● B ●06000 61676 24752
G ● ● ● ●42557 43555 04821
● □ ● ● ●545
458136
■ ■ ● ● ■91327
qU4△』、〈b 04369
● ● 。58129 51666 (UP、[IoJの。
● ● ● ● ●04680 訂釦、両ね
● ■ ■ ■ □76
~体育会」参加者は集団による拘束により許容的であろう,というものである。
そこで,所属集団分類別に結果を見ると,かなりの項目で有意な差があっ た。「体育会」(調査対象となった大学には高校時のスポーツ成績による推薦入 学制度は設けられていない)に所属する学生の方が集団の拘束に対する許容度 が高い,という仮説は妥当であるといえる。そして,「体育会一といわゆる サークルの中でも ̄スポーツ系サークル]とを対比すると,共にスポーツ活動 を目標としているのにもかかわらず,かなり異なった回答を示しているのは,
それぞれの参加者の特色を反映しているといえよう。
また,集団活動に満足しており職種的に参加している者ほど「集団の発展に 尽くしたい」や「拘束は当然だ」を強く肯定しており,「集団主義一的価値を 受け入れていることが明かである。
これに対して,「やめた_'「非参加」という者は,「先輩・後輩のけじめ_「う まくつき合っていくべきだ」は否定する回答の万が上回っている。とりわけ,
「自分を犠牲にしても集団の発展に尽くしたい」を肯定する答は1割にも満た ない。ここからも,現在参加していない学生の,集団への拒否的態度がみてと れる。このことが,若者の集トル組織離れといわれることとどのように関連す るかは不明であるが,このような学生の存在にも注意を向ける必要があるだ ろう。
最後に,「リーダー」がこれらの項目についてどう反応したかをみると(表 4で対比できる),「集団の||]では我を通すよりも他人と協調すべきだ_(72%
が肯定,以下同じ) ̄拘束は当然だ](74%)「きらいな人ともうまくつき合っ ていくべきだ」(71%)「先飛・後鮒のけじめは大切だ」(57%)については半 数以_'二が肯定しているが,「自分を犠牲にしても集団の発展に尽くしたい」(39
%)は否定する回答の方が多い。一般メンバーに比べてリーダーがより「集団 主義=的であるとはいえないが,リーダーでは「集団の発展に尽くしたい」を 肯定する割合が一般メンバーの2倍近くあることに,そのおかれている立場の
`性格がよく現れている。
《注》
(1)JC・Turner“RediscoveringTheSocialGroup,,Blackwelll987年,
R・Brown“GroupProcesses”Blackwelll988年
(2) ̄一般メンバー調査」は都内某私立大学のいくつかの講義の受講者に対して ギャングサーベイ方式で行った。このため,サンプリングは厳密ではなく、また
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文系学部の講義であったので理工系学部の学生の対象者が少なく,同大学の学生 という母集団の代表性についての欠陥がある。
「リーダー調査」は同大学で篭録している課外活動団体の責任者に直接手渡し で調査票を配布し後日回収した。サンプル数は66で,男子が64%,女子が36%
である。所属団体の分類で分けると.「体育会」が17%,「体育会に属さないス ポーツ団体」が32%!「音楽・演劇団体」が24%,「その他の団体」が27%と なっている。
(3)三隅二不二「リーダーシップ行動の科学」有斐閣1984年,p、289,三隅はこの ことを大学生のスポーツクラプにおけるリーダーシップ行動を構成する因子に関 連して述べている。 ̄物的および人的資源のiili充と充実を通じてクラブ集団を維 持してゆく行動」がリーダーシップ項にIとして,企業や役所といった組織に見い だされる項目とは別に学生集団には不可欠であると指摘している.
(4)M、ショウ「小集団行動の心理」誠信謝房Ⅲpp98~99
ショウは「人はなぜ集団に加入するのか」という問に対して,「最も一般的な 水準から言えば,その集団がある個人的欲求に合致するので加入するのだと言え よう」としてこれらの源泉を提示している。
(本稿は1993年度法政大学特別研究助成金による研究成果の一部である)