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追悼の辞

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Academic year: 2021

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追悼の辞

著者 竹下 賢

雑誌名 關西大學法學論集

巻 48

号 3‑4

発行年 1998‑12‑25

URL http://hdl.handle.net/10112/00024488

(2)

謹んで本書を上田惟一教授の御霊前に捧げます

関 西 大 学 法 学

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文集を刊行することになった︒ 関西大学法学部長 上田惟一教授は一九九七年一0月二二日︑五三歳の若さで早逝された︒それから︑

かにそうは信じられないほど︑ご葬儀や追悼講演会のことが思い出される︒

関西大学法学部は︑法学会発行の法学論集のこの一巻をもって︑同僚による研究論文から成る︑上田教授の追悼論

上田教授の学問的な生涯を想い起こせば︑その政治思想史研究は︑ミルトンとピューリタン革命という二つの大き

なテーマを対象にしている︒研究業績からみれば︑いわば前期と後期にミルトン研究が︑中期にピューリタン革命研

一九八一年から一九八八年までの八年間であり︑この時期は上田教授にとって︑研

10

月一八日の一周忌法要の前に︑この期の論文一0編を収録した論文集﹃ピューリタン革命史研究﹄が︑関西大

学出版部より出版された︒法要の席では︑編集に当たられた山川雄巳教授より︑その著書についてのご紹介があった︒

参会者一同︑上田教授の研究の継続を望むべくもないことに︑残念の思いを抱いたものであった︒

当該の著書は︑精密ともいうべき実証的な作業の成果であるといえ︑欧米の研究者でも取り組みの不十分な領域に 究生活がもっとも充実していたと推測できる︒ 究が位置している︒この中期は︑

追 悼 の 辞

一年以上が過ぎ去ったが︑にわ

竹 下

(4)

当時の意識は︑まさにグローバルであった︒ ようとする︑上田教授らしい国際的な視野での研究であった︒ 第四八巻第三•四合併号

入り込む研究であったように思える︒とりわけ︑そのことは︑ご自身の言にもあるように︑政治史と教会史と思想史

という三つの分野を渉猟しようという︑貪欲な姿勢にみられよう︒

収められた論文のうち︑﹁神の権利論対エラストス主義﹂は︑従来は注目されていなかった論争を︑当時のパンフ

レットという古文書を精査して跡づけた︑画期的な論文ではないかと推測する︒また︑一連の論文の最後を飾る︑

九八八年三月刊行の論文﹁ニューイングランド会衆教会派とピュアリタン革命﹂は︑視角における独自性を遺憾なく

発揮するものであった︒それは︑アメリカ諸州の動きがピューリタン革命にどのような影響を与えたかを明らかにし

ピューリタン革命史の研究は︑もともと︑イングランドとスコットランドの関係はもとより︑ローマ教会︑さらに

大陸諸国との関係を含むものであるが︑アメリカに結びつけられることによってグローバルなものになる︒振り返れ

ば︑昨年二月︑入試期間中に上田教授を含む数人で︑ゆっくりと歓談する機会があったが︑その折の話題は︑上田教

授が出された次のような疑問をめぐってであった︒﹁マルコ・ポーロは﹃東方見聞録﹄を何語で書いたのか﹂︒教授の

教授は旅行がお好きであった︒アメリカの提携大学であるジョージ・ワシントン大学にも︑研究交流で短期間︑滞

在されていた︒今になって思うのは︑そうした時に︑将来の論文の構想を練っておられたのではないかということで

ある︒それは︑ピューリタン革命を世界の思想史に位置づけるということであったと思う︒

こうした新たな研究地平での業績を本格的に展開する前に︑また︑前述のエラストス主義の論稿も未完のままに︑

教授は逝ってしまわれた︒だが︑その課題は後進に託されているのである︒本書に結集された諸論文は︑専門分野は 関法

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違うものの︑それぞれに託された課題を果たすものといえ︑関西大学法学部は︑本書を上田教授に捧げ︑これをもっ

てご冥福を祈る次第である︒

一九九八年︱二月八日

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