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日本語音声を用いた中国語発音習得法試案

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(1)

日本語音声を用いた中国語発音習得法試案

著者

黄 名時

雑誌名

名古屋学院大学外国語学部論集

8

2

ページ

33-50

発行年

1997-04-30

URL

http://doi.org/10.15012/00000827

Copyright (c) 1997 黄名時

(2)

日本語音声 を用 いた中国語発 音習得法試案

1.

は じめ に 中国語の学習において留意すべ き事柄 は多数 あるが

,

と りわけ初学者 に とっては発 音を如何 に的確 に把握す るかが習得上の大 きな課題 の一つであろ う。発音を順調にマ スターできるか否かは

,そ

の後 の中国語学習がスムーズにい くか ど うか

,更

に言 えば 学習者が中国語を好 きになれ るか否かにかかわ る重要 な第一歩である。語音の習得が 初学者 に とって最初の関門 と言 えよ う。 筆者 は これ まで大学の授業での発音指導のなかで

,

日本人学生の中国語の語音学習 の難点が どこにあるのか

,つ

ま り具体的 にどのよ うな発音の習得が学生に とって難 し いのかを見 いだす ことに注意 を払 い観察を行 って きた。そ して

,

この よ うな 日本人学 生に共通す る発音上 の弱点を よ り速 く克服す る方法 として

,生

の発音指導 と同時 に 日 本語の類似音を紹介 し理解 させ ることによってそれぞれの発音の把握 と習得 を助 けて きた。学生に とって分か り易い 日本語の音声例を実際に援用 して示す ことは学習上 あ る程度効果をあげることが可能である。小稿 は筆者 の以上の よ うな中国語音の教学経 験 に基づいた発音習得法を試案 として整理 し集約 した ものである。 ここでは

,最

初の発音学習の段階で扱 う「中国語音節表」の400余の音節 について, 日本人学生の発音習得上の難点になっている音節を重点的に取 り上げ

,

日本語の近似 音声を最大限活用 して初学者の中国語音習得のためのアプローチ法の一つ として これ を参考 に供 したい。 なお

,本

文では

,中

国語 と日本語の発音対照 とい う形式で叙述す るが

,小

稿 は初学者の入門段階 としての語音学習を想定 しているので

,

ここでは各音 節の`声調'の問題 については暫 く置 くこととす る。

2.語

音 につ いて

中国語 (現代漢語

)に

は小稿 《附表》[共通語の声母韻母組合せ一覧表

]に

見 る如 く 総数400余の基本 となる音節がある。その音節 は大多数が声母 と韻母が組合わ さって 成 り立 っている。表 に現れているよ うに

,声

母が21個

,韻

母が38個ある1)。 一つの音 節 は

,声

母 な しに単 に韻母のみで も成 り立ち うるが

,韻

母 なしには成立 し得 ない2)。

(3)

3.声

特 徴 として

,21個

あ る声母 の うち`有声音 'は

m, n, 1, rの

4つ

のみ で

,そ

の他 の声母 はすべ て`無声 音'であ り発音時 に声帯 を震わせ ない よ うに注意す る。 声母 の なかで `唇

'm[m],`舌

尖 音 'の

n[n]と

1[1],`舌

歯 音

'S[s],`舌

'X[β ]及

び`舌根音

'h[x]の

6つ

に関す る発音 は他 に混 同す るよ うな声母 が な く

,ま

た それぞれ 日本語 の語音 に相 当近 いため初学者 に とって問題 の少 ない もの とい え よ う。以下 にそれぞれ 日本語音 の対応例 をい くつ か示 してお こ う。(中 国語音 をすべ て忠実 に うつす ことはで きないが小稿 で は便宜上 カタカナ表記 を用 い る。)

m

唇 音 :日 本語 以上 に上唇 と下唇 が強 く触 れ合 う

ma(マ )mo(モ )mai(マ

)mei(メ

)maO(マ

)mou(モ

ウ)

n

舌尖音 :日 本語 以上 に舌先 を上 の歯茎 に しっか りつ け る

na(ナ )nai(ナ

)nei(ネ

)nao(ナ

)nou(ノ

ウ)

1

舌尖音 :舌先 を上 歯茎 につ け るが英語 の`1'ほどで はな く

,む

しろ 日本語音 と

英語 音 の中間 ぐらいの発音 で あ る

la (ラ

)lai(ラ

)lei(レ

イ)lao (ラ:オー)lou (ロ ウ)

S

舌 歯音 :日 本語 に近 いが

,

もっ と舌先 を下 の前歯 にあて る よ うにす る

sa(サ )si(ス

)sai(サ

)sou(ソ

)su(ス

ウ)

X

舌面 音 :日 本語 の シの要 領 で あ るが

,舌

先 を下 の前歯 に こころ もち触 れ る ぐら いのつ も りで発音す る とよい

xi(シ )xia(シ

)xiao(シ

ア オ

)xie(シ

エ)

h

舌根 音 :日 本語 のハ行 子音 よ りも強 い摩擦音 で

,喉

の奥 か ら強 く出す

ha(ハ )hai(ハ

)hao(ハ

)hou(ホ

)hua(ホ

ワ)

以上 の

6つ

の声母 につ いては上述 の如 くかな り日本語音 に近似 しているため学 習上 ほぼ問題 ない と思われ るが

,次

に挙 げ る唇音

f[f]お

よび

,そ

り舌音 (舌 尖後音

)の

sh[0]と

r[毛 ]に

つ いては 日本語 にない発音 であ るため

,習

得上 努力 を要 す る も ので あ る。 まずfにつ いては英語既習者 で あれ ば比較 的容易 であろ う。

fは

日本語 の フの子音 で は な く

,英

語 のfに近 いのでそれ を参考 にすべ きであ る。

fの

発 音 の特徴 は上歯 と 下唇 が触 れ合 う点 にあ る。 これ に関す る音節 は下記 の

9つ

で あ る。

fa

英語far[fa:r]の [fa:]に近 い

fo

英 語 four[fЭ:r]の [fo:]に 近 い

fei

英語feint[feint]の [fei]に近 い

fan

英語

fan[fan]に

近 い

(4)

その他 の音節

fou,fen,fang,fengに

ついてもこの英語音fを念頭 に置 いて発音練 習す る必要がある。 次 に shと

rで

あるが

,

これは `捲舌

'を

伴 う発音で 日本人初学者 にとっては最 も習 得困難 な声母 の一つである。 まず

,声

母shの発音要領 を説明 しよ う。 これは舌尖後阻の `無声摩擦音'と よばれ るもので

,舌

先を上側 にそ り上 げ硬 口蓋 まで近づけて

,わ

ずかの隙間か ら息を出す。 声帯 は震 えないよ うにす る。 声母

r[毛

]の

発音要領 は基本的に shと 同 じであるが

, rは

`有声摩擦音'であ り, 発音時 には若干の摩擦 とともに声帯が震 える。 前述 した よ うに上記 shと

rは

いずれ も`拾舌音'(そ り舌音

)に

属 し, 日本語音にな い発音であるため

,習

得上特 に留意すべ きものである。 さて,合計21個ある声母の うち上述 の

9つ

以外 に,初学者 に とっては厄介な

6組

(計 12個)の相対す る有気音 と無気音がある。この有気/無気の区別 は 日本語では特 に意識 されないため 日本人学生に とって最 も難 しい ものの一つであるが,中国語 には有気/無 気の対立があ り

,

したが って意味が違 って くるので両者の区別が一つの重要 なポイン トになる。常 に両方を対照 させなが らその違 いを把握 して発音練習す る必要があろ う。

6組

の対立す る有気音 と無気音のペアをまず列記 してお こう(左に無気音

,右

に有 気音 を示す)。 ①b : p, ②d : t, ③ g : k, ④ Z : C, ⑤ zhich, ⑥j : q 各ペアの声母の発音要領 は

,両

者 とも日の形や舌の位置は全 く同 じであるが

,無

気 音 は発音す るときの破裂が弱 く有気音 は破裂が強い。

b, d, g, Z,zh, jが

無気 音であるのに対 し

, p, t, k, C,ch, qは

有気音で

,後

者 は息を強 く出すのが特 徴である。発音の際に息を強 く吐 く要領で行 えば コツがつかめ よ う。発音練習に当 っ て

,紙

切れな どを 口元にあてて息が強 く出るか否かを確かめ るとよい。但 し

,有

気音 無気音のいずれ も`無声音'であるので

,発

音時 に声帯 を震わせ ないよ うに注意す る。 前述の如 く日本語では通常

,有

気/無気の区別や存在 は意識 され ることがないが

,実

際にはその違 いが歴然 と指摘で きるケースが多 々ある。 ここでは

,該

当す ると思われ る日本語の音声例 (含外来語

)を

有気 と無気 とに分 けてそれぞれい くつか列記 し

,参

考 に供す る3)。

b[p]無

気の

`唇

'←

一→

p[p`]有

気の

`唇

'

ba(立

派の`パ

')一

pa(パ

リ・ パ ッ トの`パ')

bo(鳩

ぼっぼ・ かっぼ・ しっぼの`ポ

')一

po(ポ

イン トの`ポ')

bai(一

杯の `パイ

')一

pai(パ イプ・ パ イナ ップルの`パ')

bei(疾

病の`ペ

')一

pei(ペ

イ・ ペイン トの`ペ')

(5)

bi(ヒ ッピー・ ′ヽッピーの`ヒ

")一

pi(ピ

ークの`ピ')

bu(陳

腐・ パ イプ・ 還付・ 発布の`プ

')一

pu(プ

リン トの `ブ') 無気音bも有気音pも共 に無声音であ り

,声

帯 を震わせない。音節の発音練習では 日本人学生に とって無気音

bが

濁音の よ うにな りがちだが

,例

えば`ba'は上記 日本語 例の`立'のパの如 く

,決

して濁音 にならないよ うに注意す る。有気音

pの

ほ うは力 強 く息を吐 くよ うにす るのがポイン トである。 ②

d[t]無

気の`舌尖音'←一→

t[t`]有

気の`舌尖音'

da(わ

た し・ 綿・ カ ッターの`夕

')一

ta(田

0樽・ タワーの`夕')

dai(大

体0交代・ 包帯の`タ イ

')一

tai(鯛・ 太陽・ タイヤの`タ イ')

dei(予

定・ 公定の`テイ

')一

「tei」 程度の`テイ'(teiは 共通語音にはないが北

京語音 にある)

dao(機

織 の`タ オ'の部分

)一

tao(倒

す・ タオルの`タ オ')

dou(列

島・ 教頭の`ト ウ

')一

tOu(塔

・ 東京・ 灯籠 の`ト ウ') ③

g[k]無

気の`舌根音'←一→

k[k`]有

気の`舌根音'

ga(学

科・ 消化の`力

')一

ka(蚊

・ 科 目・ 鳥・ カラオケの`力')

gai(紹

介 。一階の`カ

')一

kai(開

始・ 会合・ 海上 の `カイ')

gei(滑

稽 。合計の`ケイ

')一

kei(警

察・ 経理・ 稽古の `ケ イ')

gao(赤

鬼の`カオ'の部分

)一

kao(香

り・ 顔の`カ')

gou(格

好0学校 の`コ ウ

')一

kou(`乞

う'に 近 い)

gu(絶

句・ 十 中八九の`ク

')一

ku(九

・ 苦闘・ 空気の`ク '`ク ゥ')

gua(た

くあん・ エクア ドルの`ク ア

')一

kua(桑

・ 鍬 の`ク ア') guai(`具'に近 いが濁音ではない

)一

kuai(`く わい'または`こわい'に近 い) ④

Z[ts]無

気 の`舌歯音'←一→

C[ts`]有

気 の`舌歯音'

zi(大

津・ 魚釣 り・ 一つの`ツ')一

ci(お

月様・ 突指の`ツ') zai(`ツ ァイ'に 近 い

)一

al(zaiに

対す る有気音) zei(`ツ ェイ'に 近 い

)一

「cei」 (共通語音 には無いが北京語音 にある)

zu(共

通・ 一通 の`ツ ク

')一

Cu(Zuに

対す る有気音) Zの発音要領は

,舌

先 を平 らに伸 ば して上歯の裏 に当て

,息

で隙間を開け摩擦 させ て出す。無気音である。これに対 し

,Cも

Zと 同 じ要領で発音す るが

,有

気音である。

zh[t5]無

気の

`捨

舌音

'←

一→

ch[ts]有

気の

`捲

舌音

'

前述の声母

shと

同系の

`そ

り舌音

'で,`舌

尖後阻

'の

無気の

`無

声破擦音

'で

ある。

(6)

発音要領 は

,舌

先 をそ り上 げて硬 口蓋 にあて

,舌

先 と硬 口蓋 の隙間か ら息を摩擦す る よ うにして出す。声帯 は震わせ ない。chも同 じ要領で発音す るが,こ れは zhと 対照の 有気音で

,息

を強 く出す。両者 とも日本語にはない`拾舌音'であるため

,初

学者 には 相当の努力が要 る。 ⑥

j[tF]無

気の`舌面音'←一→

q[tF`]有

気の`舌面音' ji(大 地・ 無知・ スイッチの`チ

')一

qi(チ ャンネルの`チ') jia(紅 茶・ピッチャー`チャ')一――qia(チ ャイナ・チャンス・チャレンジの`チャ') jie(御知恵・ 一会の`チエ')一一―qie(チ ェス・ チェックの`チェ')

4.韻

母 韻母 は合計38個ある。それ らは単韻母

,複

韻母

,拾

舌韻母お よび鼻韻母の

4種

類 に 分 けられ る。 【1】 単韻母

単韻母 とは1つの母音か ら成 る韻母で

, a[a], 0[o], e[v], 6[ε

],一i[1],

-1[1], i[i], u[u], u[y]の

9つ

がある。 この うち6[ε

]は

(感動詞 として

の単用 を除いて)単 独では存在せず複韻母 にのみ現れ る。 また―iは声母

zh,ch,sh,

rの曖味韻母である`舌尖後韻母

'[1]お

よび声母

Z, C, Sの

曖味韻母である`舌 前韻母

'[1]と

して用 い られ るのみである。(この一iは単韻母

i[i]の

発音では決 し てないので注意を要す る)。 したが って

,実

際には

6つ

の単韻母のみが存在す ることに なる。単韻母 の中で 日本人学生に とって とりわけ習得困難 な発音 といえば eと の二 つが挙げ られ よ う。他の韻母の

aiu80は

日本語のアイウエオの発音 に近 いため, やや工夫をすれば比較的問題 な くク リアで きるであろ う。但 し

,中

国語の韻母 のほ う はも う少 し口形のはっき りした発音であるため

,

日本語のアイウエオに比べそれぞれ の特徴 を強調す る必要がある。

aに

ついては 日本語 のアよ りも大 きく口を開け

, iは

日本語のイよ りず っと口を左右 に引 き

,舌

の位置 もかな り前寄 りにす る。

uは

日本語 の ウよ り口をすぼめて突 き出 し日本語 に比べて舌の位置 もかな り奥寄 りにす る必要が あ り

, 6は

日本語 の工 よ り口を よ り左右 に引 き

, 0は

日本語のオよ り口をまる くして 突 き出す よ うにす る。 さて

,

ここで 日本人初学者 に とって発音の難 しい単韻母の一つである

e[v]を

取 り上げ

,そ

の発音要領 を検討 してみ よ う。単韻母

eは

後述の複韻母ie[iε

]の

]の

発音ではない。単韻母

eは

舌 を後舌半狭 に し

,

口をすばめず

,や

や左右 に平た く広 げ る。要領 は

,ま

0を

発音 し舌 はそのままで唇 を左右 に平 らに引 くか

,又

は工の構 え でオを発音す るとこの音が出せ る。 日本語 にはない韻母であるため 日本人学生には習

(7)

得困難 な発音の一つであるが

,練

習時の コツとしては腹の底か ら吐 くよ うな要領でや れば案外習得 しやすいか も知れない。 つづいて単韻母 [y]の 発音要領を説 明 しよ う。 てっと り早 い発音法 としては唇 を 強 くすぼめた`ユ'の口形 で`イ '[i]と 発音すれば簡単 にこの音が出せ るが

,

しか し , 北京語音の観点か らよ り正確 な発音 を求めるなら

,や

や難 しいが

,実

際には逆 にまず `イ'[i]の音を出 し舌の位置をそのまま保 ち口を小 さ くすぼめ る。 こち らのほ うが正音 が出 しやすい。その際`イ ユ'などと二音にならないよ う

,必

ず一音で発音す るよ うに 注意す る。 【2】 複韻母 複韻母 とは

2つ

または

3つ

の母音か ら成 る韻母で

,計

13個ある。

2つ

の母音か ら成 るものには

ai[ai],ei[ei],ao[au],ou[Э

u],ia[ia],ie[ic],

ua[ua],uo[uo],ue[yε

]の計

9個

がある。発音の強弱は

ai,ei,ao,ouに

ついて は前の母音がはっき り発音 され

,ia,ie,ua,uo,ueに

ついては後 ろの母音がはっき り発音 され る。それぞれ 日本語のア ィ,エ ィ,ア ォ(も しくはア ゥ),オ ゥ,ィ ア,ィ エ,ゥ ア,ゥ オ,ュエの発音に近 い。

3つ

の母音か ら成 るものには,iao[iau],lou(lu)[iou], uai[uai],uei(ui)[uei]の

4個

がある。 これ らは全 て真 ん中がはっき りと発音 され, それぞれ `ィ アォ'(又は `ィ ア ゥ'),`ィ オ ゥ',`ゥ ア ィ',`ゥ エ ィ

'に

近 く

,滑

らかな連 続 した一音節 として発音す るのが要領である。 したが って現実音 はiaoが`ヤォ',iou が`ヨ ウ', uai力``ワ ィ' とい う発詢 こはぼ近 い。 ここで留意すべ き発音 はiouと ueiで ある。この二つは前 に子音が付 く場合 には,表 記上それぞれ oと

eが

省略 され

,iuと

uiに なる。

iuの 表記 に関連す る音節には

you,miu,diu,niu,1lu,jiu,qiu,xiuの

8つ

が あるが

,発

音練習の際にはiと

uの

間にやや軽 く短 い

0の

音 を入れ る。you`ヨ ウ'は

複韻母iu`ィ オ ゥ'がそのまま音節 となった ものであるが

,他

の例で言 えば

miuは

`ミ

オ ウ

',niuは

`ニオ ゥ',liuは `リ オ ゥ',jiuは `チオ ゥ

',xiuは

`シオ ゥ'とな り, コツ としては音が跳 ばないよ うそれぞれ必ず連続 した一音節で滑 らかに発音す る。例を挙 げると,`老酒 (ladiu)'は 従 って`ラ ォチ ュウ'で はな く`ラ ォチオ ゥ'に 近 い。

uiの 表記 に関連す る音節 にはwei,dui,tui,zui,cui,sui,zhui,chui,shui,rui,

gui,kui,huiの

13個がある。上述 した よ うにuiはuei(ゥ エ ィ

)と

発音 し

, uと

iの 間に

6(工

)を明確 に入れた

3母

音か ら成 っていることを忘れてはならない。wei は ueiが そのまま音節 となった ものであるが

,ほ

かの例 えば zuiは `ッ ゥエ ィ',suiは `ス ウエ ィ

',kuiは

`ク エ ィ

',huiは

`ホエ ィ'となる。但 し

,そ

れぞれ音がばらばらに ならないよ うに必ず連続 した一音節で発音す ることが肝要である。

(8)

たい ことがある。それは複韻母 の eiで あるが

,そ

の発音 は上述の如 く日本語の`エイ'

に近 いが,実際に複韻母 eiを 伴 う全ての音節を北京語音の観点か ら検討 してみ ると,

一つやや難点が生ず るのに気付 くであろ う。実際 にeiを伴 う音節 としてはei,bei,

pei,mei,fei,dei,nei,lei,zei,zhei,shei,gei,kei,heiの

計14個あるが, こ の中で heiの eiに ついては現実の北京語音 は程度の差 はあるが完全 なる ei`エ ィ

'で

はない。 ここの

eは

単韻母の

e[V](或

は[Э

])に

近 く

,従

ってheiは

he[X青

]に

1を 添 える感 じで発音 したは うが現実の北京語音 に近 い。 この点を実際の発音指導の 中で どのよ うに体系づけ反映 させてい くかは今後の課題であろ う。) 【3】 捨 舌 韻母er[ひ] erは単韻母 に含 め て考 える こともあ るが

,小

稿 で は単 独 の捲 舌韻 母 として扱 う。 こ の拾舌韻母erの発音要 領 は あい まい母 音 e[Э]を 発音 す る ときに舌先 を クル ッと上 側 に拾 いて (即 ち

,そ

り上 げ る要領 で

)硬

口蓋 に近 づ け るのが特徴 であ り

,独

立 した一 音節 として は このerの 1個だ けで あ る (但 し

,前

の音節 と結合 して一音節化 し`r化 音'とな る こ とが あ る)。 これ は 日本語 にはない音 で あ るため 日本人初学者 に とっては

特 にマ ー クす べ き発音 の一 つ で あ る。例 えば`二

(er)'は

英 単語 “

her"の

`er'に 近 い。他 に も例 えば末尾 に

r[ひ

]の

付 いた英単語 “

far"

tower"

“shower''等の 音 を思 い起 こせ ば

,

この `そり舌韻母 'の 発音要領 がつ かめ よ う。 【4】 鼻韻母 鼻韻母 とは鼻音を伴 った韻母で

,合

計16個ある。混同 じやす い鼻韻母 ど うしを比較 対照す る便宜上

,下

記①②④⑤⑦③ に示す如 くペアにして対比併記 した。この所謂“n と

ngの

区別"は日本語では特 に意識 されないため,日本人初学者 に とっては習得上最 難関の一つになっているマークすべ き発音である。 この鼻韻母の把握 は特 に重要 と思 われ るので

,各

音節について 日本語 における近似・ 類似の語音例 を参考 としてい くつ か上げてい くこととしょ う4)。 ①

an [an]

― ang [αO] ② en [Эn] ――――eng [oO] ③

― ong [u10] ④ ian [icn] ― iang [iaD] ⑤

in [in]

― ing [10] ⑥

― iong [iuo] ⑦

uan [uan]

一 uang [uαO] ③ un(uen) [uЭn] ― ueng [uoO] ⑨ uan [yan]

(9)

⑩ un [yn] 初学者にとって発音が混乱 もしくは混同じやすいのは

,①

②④⑤⑦③の

6ペ

,計

12個 の鼻韻母である。 その他の鼻韻母については混同す る対象がないので比較的安心であるが

5),_応

こ こにそれらの発音要領をまず記 しておこう。 ③ の鼻韻母

ong[uO]は

基本的 には 日本語の`オン'に近 いが

,音

声記号か らも窺わ れ るよ うに

,正

確 には

0の

前に

u(ウ

)の

音をやや入れ るのが正 しい。 したが って0 を発す る前に 口形 としては唇 をすぼめた ウ

(u)の

態勢で`オン

'(又

は ゥオン

)と

発 音すればよい。この

ongは

単独では音節 とはならず必ず他の声母 と結 んで音節を構成 す る特殊 な韻母である。

ongを

有す る音節 は

dong,tong,nong,long,zong,cong,

Song,Zhong,chong,rong,gong,kong,hongの

13個である。 日本語の近似例 を 紹介 しよ う。

dong lト

ンカーの`ト プ に近 いが

,上

述の要領 をつかみ

,実

際 にはやや`ウ'の 音 をいれたは うがベターである (以下同 じ

)[無

気音]

tong

とんかつ・ トンガ・ 敦連 の`ト ン'に 近 い [有気音]

nong

のんき0ノ ンキ ャ リア0ノ ンクレジ ッ トの`ノ ン'に 近 い

long

ロング・ 論語・ 論議0論外の`ロ ン'に 近 い

zong `ツ

ォン'に 近 い [無気音]

cong

上記

zongに

対す る有気音

song

損害・ 尊敬・ ソング・ 村会の`ソ ン'に 近 い

zhong

捲舌音

zhに

鼻韻母

ongが

結 びついた もの [無気音]

chong

捲舌音

chに

鼻韻母

ongが

結 びついた もの [有気音]

rong `ロ

ン'の よ うに聞 こえることがあるが拾舌音であることに注意

gong

結婚観 の`コン'に 近 い [無気音]

kong

根気・ 今後・ 混合・ コンクール0コ ンク リー トの`コン'に近 い [有気音]

hong

本気・ 基本給・ 本格的・ 香港・ 本腰の`ホン'に 近 い

⑥ の

iong[iuD]の

発音 は`ィ オン'(又は ヨン

)に

近 いが

,上

述のongと同様

,ong

の前

,即

ちiと

0の

間に 口をすぼめたu`ウ'の音をやや入れ るのが正 しい。 この鼻韻 母iongを有す る音節 は下記の

4つ

である。

yong

四階 (よ んかい)・ クンヨン画の`ヨン'に 近 い

,iongが

そのまま音節 とな

jiong

ち ょん切 る・ チ ョンガークラブの`チョン'に 近 い [無気音]

qiong

上記 jiongに 対す る有気音

xiong

ク ッシ ョンカバー・ デ コレーシ ョンケーキの`シ ョン'に 近 い ⑨ の鼻韻母

uan[yan]は

,

日本語の `ユアン

'(も

しくは`ユエ ン')に近 いが

,正

(10)

確には単韻母

uの

項でもふれた ように口をよりすぼめた形で発音す るのが正 しい。

uanを

有する音節は下記の

4つ

である。

yuan i所

以 (ユエン

)に

近い (も しくは`ユアプ

),uanが

そのまま音節 となる

juan `チ

ュエン

'(又

は`チュアン')に 近い [無気音]

quan

上記のjuanに 対する有気音

xuan

酒宴・ 主演 (シュエン

)ま

たは手腕 (シュワン

)に

近い ⑩の鼻韻母

un[yn]は

日本語の `ユン

'に

とりわけ近 く

,

これで一応問題ないが, 理想 としては単韻母 の発音要領を想起 し

,

日形をすぼめたより正確な発音法を心が けるべ きである。

unを

有す る音節は

4つ

ある。

yun `ユ

ン'に近 い

jun `チ

ュプ に近 い [無気音]

qun

上記junに対す る有気音

xun

旬の・ 一瞬に・ 春闘の`シュン'に 近 い 以上 の③⑥⑨⑩ は鼻韻母の うち混同す る対象のないものばか りであるので

,入

門者 にとって も区別上特 に混乱す ることはないであろ う。 ここで問題 としてクローズア ツ プされて くるのはそれ ら以外の上記

6ペ

ア12個の鼻韻母である。これ らは 日本人学生 に とって混同が生 じやすいため

,そ

れぞれの発音上 の特徴をつかんで的確 に区別す る 工夫を考 える必要がある。 以下,一

nは

`舌尖鼻韻母',一

ngは

`舌根鼻韻母'で ある。

①の

an[an]と

ang[α

O]の

区別

anは

まず

aを

発音するが

,そ

の際

,舌

の位置は単韻母の aよ りやや前に置 く。つづ いて舌先を上の歯茎にあてて離 さないようにし

,息

を鼻から出す。短 く発音す るのが コツである。

anを

有する音節は下記の如 く19個 ある。

an

アンテナ・ 案内・安堵の`アプ に近い

,anが

そのまま音節 となる

ban

一 般的 の `バン'に近 い [無気音]

pan

バ ンダ・ パ ン トマイム・ パ ンナ コ ッタの `バン'に近 い [有気 音]

man

まんなか・ 満 タン ●マ ン ト●マ ング リン ●マ ンネ リの `マプ に近 い

fan

英 語 の `fan'に 極 め て近 い発 音

dan

異端 の・ 牡 丹 の花 0`簡 単 に'の `タ ン'に近 い [無気 音]

tan

短 大0単調・ 丹 念・ 担 当 の `タ ン'に近 い [有気音]

nan

何年・ 難読・ 難点・ 南東 の `ナン'に近 い

lan

乱読・ 蘭 の花・ ランナー・ ラン ドセルの`ラ ノ に近 い

zan `ツ

ァン'に近 い [無気音]

can

上 記

zanに

対 す る有気音

(11)

san

サ ンタ・ 二人0産地0山頂・ 参入の`サン'に 近 い

zhan

捲舌音

zhに

鼻韻母

anが

結 びついた もの [無気音]

chan

上記

zhanに

対す る有気音

shan

拾舌音

shに

鼻韻母

anが

結 びついた もの

ran `ラ

ン'の よ うに聞 こえることもあるが捲舌音であるので注意

gan

ミカンの花・ 時間の問題・ 実感的の`カン'に 近 い [無気音]

kan

感動・ 監督・ 観音・ カソニングの`カン'に近 い

,上

ganに

対す る有気音

han

反応・ 反対・ 判断・ 犯人・ ハ ン ドルの`ハン'に 近 い 一方の

angは

,まず舌の位置がやや後 ろ寄 りの

aを

発音 し,つづいて舌を奥に引 く。 舌根を軟 口蓋 に寄せ鼻か ら息を出す。要領 としては音節末尾 の鼻音`ng'[ン]を強調

,鼻

に強 くかけて発音す る。最後 は 口がやや開いた状態で舌根が軟 口蓋 につ く。ang を有す る音節 は上述の

anに

それぞれ対応す るもので

,同

じ く19個ある。

ang

餡かけ・ あん こ う・ 暗号 ●アングル ●アンコール・ 案外 の`アン'に 近 い

bang

審判官・ 出版記念・ 運搬 日の `パソ

'に

近 い

,ア

ウ トバーンの `バーン'の 如 く聞 こえることもあるが濁音ではないので注意 を要す る [無気音]

pang

パ ソ粉・ バ ンク・ パ ンケーキの`パン'に 近 い [有気音]

mang

漫画0万が一 ●マンゴー ●マングースの`マゾ に近 い

fang

英語のfに鼻韻母

angが

結 びついた発音 に近 い

dang

負担減0感嘆語 。最短距離の `タ ン'に 近い [無気音]

tang

短期・ 単語 ●タンク・ 端午の `タ ン'に 近い [有気音]

nang

軟膏・ 難行・ 何月・ 難儀 の `ナン'に 近 い

lang

蘭学・ 乱気流・ 欄外・ ランクの`ラン'に 近 い

zang `ツ

ァプ に近 い [無気音]

cang

上記

zangに

対す る有気音

sang OOさ

んが・ 珊瑚・ 参加0三角・ サ ングラス・ サ ンキ ューの`サン'に近 い

zhang

捲舌音

zhに

鼻韻母

angが

結 びついた もの [無気音]

chang

拾舌音

chに

鼻韻母

angが

結 びついた もの [有気音]

shang

拾舌音

shに

鼻韻母

angが

結 びついた もの

rang

拾舌音

rに

鼻韻母

angが

結 びついた もの

gang

交換券・ 夜間金庫・ 玄関 口の`カン'に 近 い [無気音]

kang

観光・ 寒気・ 缶切 り・ 看護・ 間隔・ 歓迎 の`カン'に 近 い

,上

gangに

す る有気音

hang

ハ ンカチ・ ハ ングル0繁華街0′ヽンガーの`ハン'に 近い

②の

en[Э

n]と

eng[oO]の

区別

(12)

enは

まず あいまい母音[Э]を発音 し

,つ

づいて舌先を上歯茎 にあてて鼻か ら息を抜

く。 コツは短 く発音す ることである。

enを

有す る音節 は

en,ben,pen,men,fen,

den,nen,zen,cen,sen, zhen,chen,shen,ren,gen,ken,henの

17個である

(最初の `en'は鼻韻母

enが

そのまま音節 となった もの)。 この

enの

発音要領 は上述

の如 く

[o]の

発音が入 るので初学者 に とっては難音の一つになる。

一方の

engは

[Э]を発音 したあ と舌根を軟 口蓋 につけ鼻か ら息を出す。 この鼻韻母

は特 に鼻 にかけるのが特徴の発音で

,要

領 としては `ng'を 強調す る気持ちで [Э

]に

`ンノ をつ けて発音すればよい。

engを

有す る音節 には

eng,beng,peng,meng,feng,

deng, teng, neng, leng, zeng, ceng, seng, zheng, cheng, sheng, reng, geng,

keng,hengの

19個がある。この中で特 に`feng'については英語のfを念頭 において,

`フ ォン'と発音すればほぼ正確 な音が出る。

④ のian[iε

n]と iang[iaO]の

区別

ianと iangはその ローマ字表記が似ているため混同 じやす いが

,実

際の音 はそれぞ れ全 く異 なるので習得上 の混乱 はないはずである。

ianは

, iと nの

間にある

`a'が

](工

)と発音 され る。 したがってianは `ィ エ

ン'に 近 い。ianを 有す る音節は下記の11個である。

yan ianが

そのまま音節 となる。上述の如 く`ィ エン'の発音であるが

,胃

炎(イ エン

)に

近 い。

bian

まずbiは執筆(シ ッピツ

)の

ピに近 い無気音であ り

,

これに`エン'を付 け た`ピエ プ がその音である。鼻炎 (ビエン

)の

よ うに聞 こえることもある が決 して濁音ではないので注意を要す る。

pian

上記のbianに対す る有気音, `ピ エン'に 近 い

mian

見 えん (ミ エン

)に

近 い

dian

下記 tianに 対す る無気音

tian

テ ィーバ ッグのテ イー或 いは

Tシ

ャツの

Tに

`エプ をつけた発音 `テ ィエ ン'に 近 い [有気音

]但

,滑

らかな一音節で発音す る

nian

二 円・ 煮 えん (ニエン

)に

近 い

Han

離縁 (リ エン

)に

近 い

jian

一円・ 幼稚園の`チエン'に 近 い [無気音]

qian

上記 jianに対す る有気音

,チ

エーン店の`チェーン'に 近 い

xian

支援 (シエ ン

)に

近 い

一方

,iangは

,単韻母 iに

angが

結 びついた ものである。発音 は`ィ アン'となるが

,

実音 は これ よ りやや縮 まった`ヤノ に近 い。但 し

,正

確 にはもっと強 く鼻にかかる音

(13)

yang

iangがそ の ま ま音節 となる。慰安会 の`イア ン'或 い はヤ ング ●ヤ ンキ ーの `ヤン'に近 い ニ ャン コの `ニャン'に近 い 高梁 ごはんの`リ ャン'に近 い 赤 ち ゃん言葉・ ち ゃんち ゃん この`チャノ に近 い [無気音] ち ゃん こ鍋 の`チャン'に近 い [有気 音] シ ャンク0シ ャング リラの `シャン'に近 い nlang liang Jlang qlang xlang ⑤ の

in[in]と

ing[i3]の

区別 inは `イ 'を発音 したあ と舌先 を上歯茎 にしっか りあてて `ン'と言 う。 このin(イ ン

)の

特徴 は鼻音`n'を短 く止め ることにあ り

,

日本語で例 えば

,引

導・因縁・隠遁0 イン ドの`イ ン'が それに近 い。inを 有す る音節 は下記の

9つ

である。

yin

印肉・ 隠匿・ インチ・ イン トネーシ ョン・ 引退・ インテ リアの`イ ン'に

,inが

そのまま音節 となる。

bin

フィリピン島・ 出品0逸品・ 別品の`ピプ に近 い [無気音]

pin

ピンチ・ ピンナ ップ・ ピン トの`ピン'に 近 い [有気音]

min

ミンチ・ 明朝・ みんな・ ミン トの`ミ ノ に近 い

nin

ニンニク・ 認定・ 忍耐の`ニ ン'に 近 い

lin

隣地・ 輪廻・ リンチ ●林道・ 輪読の`リ ン'に 近 い

jin

景気沈滞・ 色素沈着 の`チン'に 近 い [無気音]

qin

上記jinに対す る有気音

xin

診断・ 身体・ 信託・ 震度・ 心中・ 侵入 0シ ンナーの`シン'に 近 い 一方

,ingは

鼻音`ng'が長 く残 るのが特徴である。故 にinと比べて鼻音がず っと強 く鼻にかか る。要領 としては

,尾

音 ng[ン グ]を意識的に強調 し長 く延 ばす よ うにして 発音練習す るのが コツである。鼻 に息を十分通 し

,最

後 はやや 日が開 きかげんになる。 日本語 の例 を観察す るとこの鼻音

ngの

部分がやや弱いが

,以

下 に参考 としてい くつ か語例 を挙げてお こ う。なお

,ingを

有す る音節 は11個あ り

,inに

比べて

2個

多い。

ying

イング リッシュ・ 隠語・ 因果・ インク・ 慇懃 の`イ ン'に近 い

,ingが

その まま音節 となる

bing

ダンピングの`ピノ に近 い [無気音]

ping

ピンク色の`ピン'に 近 い [有気音]

ming

ミンク・ タイ ミング・ 民家0民芸の`ミ ン'に 近い

ding

コーテ ィングの`テ ィン'に近 い

,デ

ィーンの如 く聞 こえることもあるが濁 音ではない [無気音]

ting

テ ィーンエイジャーの`ティーン'に 近 い [有気音]

(14)

ning ling Jlng 人形・ 人間・ カンニングの`ニン'に 近 い リングル注射・ 林檎・ 臨海・ リングの`リ ン'に 近 い 低賃金・ 赤ちんき・ 地盤沈下・ バ ー ドウォッチングの`チン'に近 い 音] 上記 jingに対す る有気音 芯が強い 0シ ンガー・ シングルの`シゾ に近 い [無気 qlng xlng ⑦ の

uan[uan]と uang[uoO]の

区別

uanは

単韻 母

uに anが

結 び付 いた もので あ る。 した が って発 音 は `ゥ ア プ とな る

が実際 には`ワ ン'に 近 い。 コツとしては最後 に舌先 を上歯茎 にあてて鼻音

n(ン

)を

短 く止 め るのが特 徴 で あ る。

uanを

有 す る音節 は15個あ る。

wan

ワンダ フル・ ワン ツース リーの`ワン'に 近 い

,uanが

そ の まま音 節 とな る

duan

下記tuanに対 す る無気 音

tuan

英 語

two[tu:]の

[tu]に

an[an]が

つ いた もので`ト ウア プ に近 い[有

気 音]

nuan `ヌ

ア ン'に近 い luan `ルア ン'υこ近 い

zuan `ツ

クア ン'又は `ツ ワ ン'に近 い [無気 音]

cuan

上 記

zuanに

対 す る有 気 音

suan

吸 わ ん 0ス ワンに近 い

zhuan

捲舌音

zhuに

鼻韻母

anが

ついた もの [無気音]

chuan

拾舌音

chuに

鼻韻母

anが

ついた もの [有気音]

shuan

捲舌音

shuに

鼻韻母

anが

ついた もの

ruan

捲舌音ruに鼻韻母

anが

ついた もの

guan

タクアン煮の`ク フ′ に近 い [無気音]

kuan

食わんの

?

の`ク ワン'に 近 い [有気音]

huan

保安庁の`ホアン'に 近 い

一方

uangは

単韻母

uに angが

結 びつ いた もので あるが

,前

述 した よ うに

angは

`舌根鼻韻母

'で

あるので舌根を軟 口蓋 につけ特 に鼻に強 くかかるよ うに して `ゥ アー

ン'または`ワーン'と長 くのばすのが コツである。最後 は 口をやや開いた状態で終わ

るのが特徴である。

uangを

有す る音節 は7つである。

wang

湾曲0湾岸の`ワン'に 近 い

,uangが

そのまま音節 となる

zhuang拾

舌音

zhuに

鼻韻母

angが

ついた もの [無気音]

chuang拾

舌音

chuに

鼻韻母

angが

ついた もの [有気音]

(15)

guang

kuang

huang

た くあん粥の`ク アプ に近 い [無気音 ] 食わんか。ノ の`ク アン'に 近 い [有気音 ] 保安官の`ホアプ に近 い ③ の

un[uon]と ueng[u00]の

区別

unは

よ く`ウン'と発 音 され る よ うに聞 こえる こ とが あ り,その発音 で一応問題 はな

いが,も ともと

unは

単韻 母

uに enが

結 びつ いた もので あ るた め,よ り正確 には`uen'

[uon]と発 音 しなけれ ば な らない。 したが って実際 には [o]の音 が若 干 入 るのが正 し

い。決 して 日本語音 の`ウ ェプ で はないので注意 を要す る。

unを

有す る音節 は下記 の

14個で あ る。

Wen unが

そ の まま音節 とな る

,云

々・ 運動 の`ウン'に近 い

dun

下記tunに対 す る無気 音

tun

英語

two[tu:]の

[tu]に `en'が 結 びつ いた もの, `ト ゥン'に近 い [有

気音]

lun `ル

ン'に近 い

zun `ツ

ゥン'に近 い [無気音]

cun

上 記

zunに

対 す る有気 音

sun `ス ゥ ン'に近 い

zhun

拾 舌音

zhuに

鼻韻母

enが

つ いた もの [無気音]

chun

拾 舌音

chuに

鼻韻 母

enが

つ いた もの [有気 音]

shun

捲 舌音

shuに

鼻韻母

enが

つ いた もの

run

捲 舌音

ruに

鼻韻 母

enが

つ いた もの

gun `○

○君 の'の `ク ン'に近 い

,濁

音 の `グン'では ない [無気音]

kun

― くんだ り・ 薫 陶 の `ク ン'に近 い

,上

gunに

対 す る有気音

hun `ホ

'の構 えで韻母 を `ウ

'に

し―

nを

つ け る,`ホゥン

'に

近 い。 或 は英語 の

hood[hud]の

[hu]に [on]が

つ いた発音 に よ り近 い

一 方

uengは

日本語音 の `ウォン'に極 め て近 い発音 で

,ほ

ぼ それ で問題 ない と思わ れ るが

,uengは

も とも と単韻母

uに engが

結 びつ いた もので あ る。ポ イン トとしては 鼻音

ngを

強調す るた め

,舌

根 を軟 口蓋 につ けた あ と息 を通 して鼻 に強 くか か る よ う にす る。 この

uengは

声母 と結 んで音 節 を構 成 す る例 は な く

,実

際 に は

,

この鼻韻母

uengが

唯一 の音節 と して存在す るのみ で ある。

(16)

5。

あ とが き

以上 は 日本語音声 を用 いた中国語発音習得法の試案であ り

,

日本人初学者のための 中国語音節へのアプローチの一つ として提示 した ものである。小稿 は筆者 の実際の教 学経験 に基づいて整理 した ものであるが

,

これは入門者が少 しで も速 くスムーズに中 国語の語音がマスターで きることを願 って工夫 した方法である。(紙幅の関係か ら語音 例をい くつか割愛 した ケースも少 な くないが,)各音節 について 日本語の近似の音声例 を挙げ

,時

には英語音を も援用 して叙述 したが

,

これによってい くらかで も語音の把 握や習得 の助 けになれば幸 い と考 えている。しか し実際には

,例

えば 日本語 にない`拾 舌音

'等

まった くお手上げの音節を含め

,十

分に対応す る語音 を例示 し得 ないケース も多数存在す る。 もともと日本語音声 を引用 して中国語の発音の説明を行 うこと自体 自ず と限界があろ う。 日本語音の援用であるため どうしても原音 を正確 には表 し切れ ない部分があ り

,結

果 として無理が多 々あるのを痛感す る。 しか し

,

日本語音声 を最 大限動員 して発音 の説 明を試み よ うとす るこの方法 はそれで も初歩 の 日本人学生 に とって決 して意味のない ことではないであろ う。それは少な くとも初学者が中国語音 を学習す る際の一つの参考や手がか りにはなるもの と信 じている。 なお

,本

試案には不備 な点が多 々あると思われ るが諸賢の ご教示 を乞い補正を して いきたい と考 えている。 1997年春節 於聖・ 莫尼十 江

1)小

稿では声母の分類 に「唇音・ 舌尖音 。舌尖前音 。舌尖後音 。舌面音 。舌根音」の用 語を

,韻

母の分類に「単韻母・ 複韻母・ 鼻韻母」の用語を用いたが, これは『費用漢 語課本』(北京語言学院

)に

拠 る。

2)但

,例

外 として「m」「n」ng」hm」hng」 等がある。

3)小

稿 で挙げた 日本語例の子音は

,有

気音については語頭 に現れ るものを

,無

気音につ いては語中に現れるものを基本的に想定 した。語例の有気/無気は,一般的にそのよ う に認め られると考 えられるものであるが,中には異論がある語例 もあるかも知れない。

4)日

本語の「 ン」は環境によって以下の4種類の音声 として現れ得 る。 したが って鼻韻母―nについては② に該当す る用例を,鼻韻母―ngについては③に該当 す る語例を基本的に挙げてある。 ①

[N]こ

れで終わ る言い切 りの場合 ② [n]ナ行・ 夕行 。ダ行の前に くる場合 ③ [0]力行・ ガ行の前に くる場合 ④

[m]マ

行・ パ行・ バ行の前に くる場合

5)こ

こに示 した① ∼⑩の鼻韻母の対比は初学者のn/ngの区別学習のために, ローマ字 発音表記 に着 目して便宜上設定 した ものである。音韻論的にはongはuengと併記 さ

(17)

,iongは

unと対比 され るべ きものであ る。 『費用漢語課本 (第一冊)」 北京語言学院 商務印書館

1985年

『音声学』服部四郎 岩波書店

1984年

「 中国語の有気・ 無気子音 と日本語の無声・ 有声子音の生理的0音響的0知覚的特徴 と教 育」朱春躍『音声学会会報』第205号 日本音声学会 1994年 所収 『日本語音声学』天沼寧 。大坪一夫・ 水谷修 くろしお出版

1996年

『広辞苑」(第四版

)新

村出 岩波書店

1991年

(本稿 は1993年度名古屋学院大学研究奨励金の研究成果の一部である) [附記

]

小稿 は校正の段階で樋 口勇夫氏 よ り貴重 なご意見をいただいた。 ここに感 謝 の意を表わ したい。 文 献

(18)

《附表》「共通語の声母韻母組合せ一覧表」 普 通 話 声 韻 併 合 絶 表

I`able of the Conlbinations of the lniti als and]Finals in Cornrnon lSpeech

\詢母 声母\

ang eng

ba bo bai bei bao ban ben bang beng bi biao bie pa pO pal pao pOu pan pen pang peng

fa fo fei fou fan fen fang feng

da de fai dei dao dou dan den dang deng dong dia diao die

tai tang teng tiao tie

nang neng

la lo le lai lei lao lou lan lang leng long lia liao lie

zang zeng

cang ceng

sang seng song

zh zha zhe zhi zhai zhei zhao zhou zhan zhen zheng ch cha che chi chai chao chou chan chen

轟 sha she shi shai shei shao shou shan shen

rong

qla qlao

gal gOu gang

ka ke kai kei kao kou kan ken kang keng kong ha he hai hei hao hou han hen hang heng kong

(19)

uang ueng ●n

wang 、7eng 沖 yue

bian bin bing btl

pln

fu

diu dian ding du duo dui duan dun

tian ting tui

n● nue

liu lian lin liang ling luo luan lun lu lue

zhu zhua zhuo zhual zhui zhun

chu chua chuo chual chui chun

shu shua shuo shual shui shun

〕long

qu que

xing

ku kua kuo kuai kui kuan kun (uan`

hu hua huo huai hui huan hun

参照

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外国人日本語学習者の日本語発音不安尺度作成の試み

大学生の英語音声習得の現状 とその発音記号習得 との関連性 だけに着 日し ,aを 「エイ」あるいは [el]と 書けた解答 を正解 と判断 した。正解率 は (16)の

前節で指摘した清水(2 0 1

「n」か「ng」が付く前・後鼻韻母で,5行目は韻母中

(ここで?を付けたのは、 PDF版では確認できないものである――筆者注)

1 中国人学習者の日本語発音における自己モニター行動 早稲田大学日本語教育研究科 趙靚 第1章 序論 第1章では、本研究の背景、目的および本論文の構成について記述する。 中国の高等教育機関における日本語教育の現状を見ると、語彙や文法の積み上げ方式で 学習していくのが一般的な教育の形態である。実際に筆者が体験してきた中国の高等教育