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中国語と日本語の褒めの言語行動の対照研究 : 談話 展開の観点から

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

中国語と日本語の褒めの言語行動の対照研究 : 談話 展開の観点から

王, 欣

https://doi.org/10.15017/4060248

出版情報:九州大学, 2019, 博士(学術), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

(様式6-2)

氏 名 王 欣

論 文 名 中国語と日本語の褒めの言語行動の対照研究―談話展開の観点から―

論文調査委員 主 査 九州大学 教授 松村 瑞子 副 査 九州大学 教授 山村 ひろみ 副 査 九州大学 教授 井上 奈良彦 副 査 九州大学 教授 秋吉 收 副 査 麗澤大学 教授 井上 優

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

褒めは、人間関係の構築や維持に重要な役割を果たす言語行動とされている。そのため、中 国語や日本語でも、褒めを行なうことで良好な人間関係を構築することができると思われがち である。ところが、異文化コミュニケーションの現場では、相手を褒める意図で表現した言葉 が、考え方の相違から相反する意味に解釈され、結果的にコミュニケーション上のトラブルに 発展するケースも少なくない。本研究では、中国語と日本語の自然談話を録音して文字化をし た談話データをもとに、両言語の褒めの談話展開およびジェンダー差を分析した。その結果を 基に、ポライトネスという観点から中国語および日本語の褒めを対照させ、さらに両言語に通 じるジェンダー差についての考察を行なった。

本研究は全6章から構成される。

第1 章では、研究背景、研究目的、理論的枠組み、本研究における記述の方法および本研究 の構成について述べた。

第2章では、先行研究を概観したうえで、本研究の課題を具体的に示した。

第3章では、本研究の研究方法について提示した。

第4章以降が本論である。第4章では、褒めの談話展開から先行連鎖、本連鎖、後続連鎖と いう3つの連鎖を分析した。各連鎖の分類、そして各連鎖に見られる中国語母語話者ならびに 日本語母語話者それぞれの特徴および両言語の共通点と相違点を明らかにした。その結果、中 国語母語話者ならびに日本語母語話者ともに、相手との関わりを大事にして良好な人間関係を 目指しているが、どこに重点が置かれているのかが異なっているため、褒めの各連鎖に異なる 傾向が見られることが明らかになった。

第5章では、褒めの談話に見られる文化差およびジェンダー差について、褒めの表現の背後 に見られた中国語母語話者および日本語母語話者、ならびに女性および男性の配慮の差異に焦 点を当てて分析した。また、第4章と第5章の分析結果に基づいて、ポライトネスという観点 から総合的な考察を行なった。中国語母語話者は、相手のポジティブ・フェイスに配慮し、相 手にきちんと褒めが伝わるように積極的な褒めを行なう傾向がある。一方、日本語母語話者は、

相手のネガティブ・フェイスに配慮し、相手への心理的な負担を軽減しようと消極的な褒めを 行なう傾向が強いことが明らかになった。さらに、言語に関わらず、女性は褒めることで良好 な人間関係を構築していると解釈するが、男性は皮肉や本心ではないと解釈しており、文化差 を超えたジェンダー差が確認された。

(3)

終章の第6章では、本研究の要約、意義および今後の展望について述べた。

本研究では、収集した膨大な量の自然会話中の褒めを、主として対照分析的観点から分析す ることで、中国語および日本語の褒めという言語行動の特徴および褒めの談話の背後にある中 国語母語話者ならびに日本語母語話者の配慮を明らかにした。また、ポライトネスの観点から 収集した自然会話データを詳細に分析することで、中国語母語話者ならびに日本語母語話者は ともに、相手との関わりを大事にしているが、その差異の根本は、配慮をどのように表現する のかという運用のレベルにあることを解明した。さらに、褒めのジェンダー差を明らかにする ことで文化差を超えたジェンダー差の存在を示したことは、本研究の大きな意義である。

以上より、本論文は博士(学術)の学位に値すると認められると判断した。

参照

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