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港湾・空港などの広域地盤の耐震対策に関する研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

港湾・空港などの広域地盤の耐震対策に関する研究

稲田, 雅裕

https://doi.org/10.15017/4060256

出版情報:九州大学, 2019, 博士(工学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)

港 湾 ・ 空 港 な ど の 広 域 地 盤 の 耐 震 対 策 に 関 す る 研 究

令 和 元 年 10 月

稲 田 雅 裕

(3)
(4)

港湾・空港などの広域地盤の耐震対策に関する研究 目次

第1章 緒論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 1.1 研究の背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 1.2 羽田空港沖合展開事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

(1)羽田空港の歴史・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

(2)沖合展開事業の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

(3)空港舗装に関する技術課題と対応の概要・・・・・・・・・・4

(4)耐震対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 1.3 福岡空港耐震対策事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

(1)福岡空港の歴史・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

(2)耐震対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 1.4 本論文の目的と構成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

第2章 空港滑走路の耐震対策効果の評価手法・・・・・・・・・・・・・・19 2.1 概説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 2.2 羽田空港新B滑走路の耐震設計の概要・・・・・・・・・・・・・21

(1)地盤の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

( 2) 耐震 設計 の流 れ・・ ・ ・・ ・・・ ・ ・・ ・・・ ・ ・・・・・23

( 3) 液状 化判 定と 改良対 象 層の 特定・ ・ ・・ ・・・ ・ ・・・・・24 2.3 地盤液状化に伴う不同沈下による被災予測・・・・・・・・・・・26

(1)解析手法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26

(2)解析に使用した地盤データ・・・・・・・・・・・・・・・・30

( 3) 解析 結果 ・・ ・・・ ・ ・・ ・・・ ・ ・・ ・・・ ・ ・・・・・31 2.4 液状化対策工法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33

(5)

(1)現場条件に応じた最適工法の選定 ・・・・・・・・・・・・33

(2)SCP工法の現地試験施工による仕様決定・・・・・・・・・35

(3)対策工法決定のまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 2.5 耐震対策効果の評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40

( 1) 滑走 路舗 装の 被災量 解 析手 法・・ ・ ・・ ・・・ ・ ・・・・・40

( 2) 解析 結果 と液 状化対 策 効果 の定量 化 ・・ ・・・ ・ ・・・・・43 2.6 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46

第3章 静的圧入締固め工法による既設滑走路直下地盤の耐震対策・・・・48 3.1 概説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48 3.2 羽田空港における静的圧入締固め工法の選定と耐震対策効果の確認・・・49

(1)静的圧入締固め工法の選定・・・・・・・・・・・・・・・49

(2)試験施工区における静的圧入締固め工法(CPG工法)の改良仕様・・50

(3)CPG 工法による耐震対策効果の確認・・・・・・・・・・・54

(4)試験施工から得られた知見・・・・・・・・・・・・・・・65 3.3 静的圧入締固め工法の耐震対策に関する設計法・・・・・・・・・・67

(1)改良後N値の予測に用いた手法・・・・・・・・・・・・・・・67

(2)従来の設計法との比較及び予測した改良後N値と実測値の比較・・71 3.4 静的圧入締固め工法の改良効果の新たな評価法・・・・・・・・・・74

(1)静的圧入締固め工法の改良効果の評価方法・・・・・・・・74

(2)CPG 工法の改良範囲内の K 値の長期安定性・・・・・・・・78

(3)土圧係数の計測法と PS 検層を用いた土圧係数の推定法・・・80

(4)静的圧入締固め工法の改良効果の評価手順・・・・・・・・・86 3.5 静的圧入締固め工法の隆起量管理を基本とした施工法・・・・・・87

( 1)静的圧 入締固 め工法に 伴う地盤 隆起とそ の課題・ ・・・・・87

( 2)試験施 工にお ける静的 圧入締固 め工法の 改良仕様 ・・・・・88

(3)CPG 工法の施工方法による地盤変位抑制効果の確認・・・・91

(6)

3.6 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・96

第4章 薬液注入工法による既設滑走路直下地盤の耐震対策・・・・・・・・99 4.1 概説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・99 4.2 羽田空港における薬液注入工法の選定と耐震対策効果の確認・・・101

(1)薬液注入工法の選定・・・・・・・・・・・・・・・・・・101

(2)試験施工区における浸透固化処理工法の改良仕様・・・・・103

(3)浸透固化処理工法による耐震対策効果の確認・・・・・・・107

(4)試験施工から得られた知見・・・・・・・・・・・・・・・113 4.3 薬液注入工法の耐震対策に関する設計法・・・・・・・・・・・・114

(1)薬液注入工法の設計法の流れと適用可能な地盤条件・・・・114

(2)目標強度の設定法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・115

(3)薬液のシリカ濃度の設定・・・・・・・・・・・・・・・・117

(4)注入速度及び注入間隔の設定・・・・・・・・・・・・・・119 4.4 福岡空港における薬液注入工法の設計法の有効性の確認・・・・・121

(1)試験施工の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・121

(2)薬液注入工法の改良仕様の設計・・・・・・・・・・・・・122

(3)改良効果の確認・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126

(4)福岡空港における試験施工のまとめ・・・・・・・・・・・131 4.5 薬液注入工法の改良効果の新たな評価方法・・・・・・・・・・132

(1)薬液注入工法の改良効果の評価方法の課題・・・・・・・・132

(2)人工模型地盤を用いた室内実験・・・・・・・・・・・・・133

(3)実験結果 -薬液改良土の一軸圧縮強さ quとNd値の関係・・136

(4)薬液注入工法の改良効果の新たな評価方法の提案・・・・・138

(5)薬液注入工法の改良効果の新たな評価方法のまとめ・・・・144 4.6 薬液注入工法の適用にあたっての課題と対応・・・・・・・・・・145

(1)対象範囲の地盤調査段階の課題と対策・・・・・・・・・・145

(7)

(2)施工計画段階の課題と対策・・・・・・・・・・・・・・・148

(3)施工中の管理方法に関する課題と対策・・・・・・・・・・152

(4)施工後の地盤改良効果の評価方法に関する課題と対策・・・155 4.7 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・157 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・158

第5章 福岡空港における薬液注入工法の新たな適用手法の実証・・・・・160 5.1 概説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・160 5.2 現地試験施工による適用手法の実証方法・・・・・・・・・・・・162

(1)現地試験工区の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・162

(2)実証方法の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・168

(3)浸透固化処理工法の品質評価方法・・・・・・・・・・・・171 5.3 現地試験施工による適用手法の実証結果・・・・・・・・・・・・173

(1)薬液注入の出来形確認結果・・・・・・・・・・・・・・・173

(2)薬液注入の品質評価結果・・・・・・・・・・・・・・・173

(3)総合評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・174 5.4 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・175 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・175

第6章 結論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・176

謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・183

(8)

第1章 緒論

1.1 研究の背景

四面環海の島国である我が国は、3.6 万 km という長大な海岸線延長を有する 一方で、国土面積の3分の2を急峻な山地が占める。利用可能な国土面積の狭さ を克服する手段としての臨海部埋立が進み、都市や工業地帯が発展したほか、港 湾や空港、トンネルや橋梁を駆使した道路や鉄道による交通ネットワークの拡大 によって拠点間の交流が支えられてきた。

他方、我が国は地震多発国でもある。昭和 39 年(1964 年)の新潟地震におけ る新潟空 港や信濃川河畔の被害(写真-1.1.1) を契機に地盤の液状化現象が知ら れることとなった。平成7年(1995 年)の阪神淡路大震災では神戸港内の大規 模埋立地であるポートアイランドや六甲アイランドでの地盤液状化被害、平成16 年(2004 年)の日本海中部地震や、平成 23 年(2011 年)の東日本大震災では、

臨海部埋立地に留まらず、内陸の自然形成地盤においても多数の地盤液状化被害 が認められた。

【新潟空港】 【信濃川河畔】

写真-1.1.1 新潟地震(1964)における新潟空港や信濃川河畔の被害状況1)

港湾や空港の整備にあたっては、地盤の安定性、沈下といった問題に対して、

常時必要とされる機能を確保できるよう計画されることに加え、その中でも重要 な施設については液状化被害を回避する耐震性まで考慮されなければならない。

特に造成表面そのものが滑走路やエプロンなどの基本施設となる空港や港湾のコ ンテナターミナルなどでは厳しい平坦性や排水勾配を確保することが要求される ため、地盤の沈下は根本的な課題となる。これまでの大規模災害において、陸路 が寸断された場合の緊急支援物資輸送や支援人材派遣のために港湾や空港が果た してきた役割に鑑みるに、重要な施設の地震後の供用性の確保の重要性はますま す大きくなっている。

しかしながら、港湾や空港が建設される地盤は、必ずしも最初から将来の施設

(9)

利用まで想定されて計画的に埋立てられた場所ではないことが多い。従って、施 設立地点の地盤の埋立履歴や埋立材料も様々であり、分散したボーリングによる サンプリング調査で地盤の全体像を確実に把握することが出来ないなど、いわゆ る地盤リスクが常に伴う。地盤リスクの存在を前提として、如何に施設に求めら れる供用性を担保した合理的な計画・設計・施工が行われるかが課題である。

また、上述のとおり、地盤の液状化問題が認識されたのは比較的最近のことで もあり、液状化対策が考慮されずに建設されたが、その施設の重要性に鑑み、事 後的に液状化対策を講じなければならないケースも増加してきている。

このような課題に対処した代表的な先例が羽田空港沖合展開事業である。同事 業を通じて検討された対処方法が、その後の港湾空港整備の地盤リスクに起因す るトラブルを未然に防止し、あるいは事後対策として応用され、そこからさらに 新たな技術課題が発見されてきている。本研究は、ますます厳しくなる港湾空港 建設環境の中にあって、地盤リスクに伴って生じ得る事後的なトラブルを低減し、

必要とされる施設の要求性能を確保するための合理的な計画・設計・施工方法に 資するため、これらの実務経験を体系的にとりまとめたものである。

1.2 羽田空港沖合展開事業

(1)羽田空港の歴史2),3)

羽田空港(正式には、東京国際空港)は、昭和6年(1931 年)に約 53ha の敷 地に長さ300 m・幅 15mの滑走路を有する我が国初の国営民間航空飛行場(「東 京飛行場」)として開設された。その後、昭和 13 年(1938 年)から 15 年(1940 年)に長さ 800m・幅 30mの滑走路を増設し、敷地約 73ha に拡張される。第二 次世界大戦後の米国接収を経て、昭和 27 年(1952 年)に、長さ 2,100 m・幅 45

mと長さ1,650 m・幅 45mの2本の滑走路を有する敷地 257ha の規模の空港とし

て返還された。航空機のジェット化の進展に応じ、国は昭和 42 年(1967 年)に 第1次空港整備五箇年計画を策定、空港整備が本格的に進むこととなり、昭和45 年(1970 年)には滑走路3本を有する沖合展開前の羽田空港の原形が整う。昭 和 53 年(1978 年)に新東京国際空港(現・成田国際空港)が供用開始し、羽田 空港から大半の国際線を移転したが、モータリゼーションの進展は留まることを 知らず、国内航空需要の増大により、羽田空港の滑走路処理能力の限界が見えて きた。このため、その後の航空需要増大への対応、社会問題化していた航空機騒 音問題の解消を図るために、東京都が廃棄物処分場としていた羽田沖埋立地に空 港機能を沖合展開する「羽田空港沖合展開事業」が計画され、昭和 59 年(1984 年)から実施に着手された。

(10)

(2)沖合展開事業の概要2),3)

羽田空港沖合展開事業は、第Ⅰ~Ⅲ期の段階計画である。昭和 59年(1984年)

から 63 年(1988 年)の第Ⅰ期計画では、旧 C 滑走路との近接により事実上休止 されていた旧 A 滑走路に代わる新 A 滑走路(長さ 3,000 m・幅 60 m)を新設す るもので、敷地は 408ha から 586ha に拡張された。昭和 62 年(1987 年)から平 成5年(1993 年)の第Ⅱ期計画では、羽田沖埋立地の中央を貫く東京湾岸道路 の整備に併せて旅客ターミナル機能を沖合に移転、現在の第一(西側)旅客ター ミナル地区に加え、モノレール、京浜急行及び道路等のアクセス交通が整備され、

敷地は 894ha となった。平成2年(1990 年)からの第Ⅲ期計画では、旧 C 滑走

路(長さ3,150m・幅60m)に代わる新 C滑走路(長さ3,000m・幅60m)、旧B 滑走路(長さ2,500m・幅 45m)に代わる新B滑走路(長さ2,500m・幅60m)

を沖合に新設するとともに、第二(東側)旅客ターミナル地区の整備が行われ、

平成 16 年(2004 年)に完成、敷地は 1,271ha となった(なお、新 C 滑走路はそ の後の平成 26年(2014 年)に 3,360 mに延伸された)。本沖合展開事業終了後も 航空需要の増大、滑走路処理能力の限界突破は確実なことから、その後、「羽田 空港再拡張事業」が計画され、平成 19 年(2007 年)に着工、平成 22 年(2010 年)に完了した。同再拡張事業では、多摩川河口部に埋立と桟橋のハイブリッド 構造の人工地盤が造成され、D滑走路(長さ 2,500m・幅60m)を新設、国際線 旅客ターミナル地区を新たに整備し、敷地 1,522ha に拡張され、現在に至ってい る。滑走路処理能力は沖合展開事業前の年間約 16万回から現在は年間約 41万回 に増大している。

図-1.2.1 羽田空港

(11)

(3)空港舗装に関する技術課題と対応の概要4)

羽田空港沖合展開事業が実施された羽田沖廃棄物埋立地は、東京都内発生の浚 渫ヘドロや建設残土で埋立てられた初期含水比が 250 %にも及ぶ超軟弱地盤であ り、“マヨネーズ”とか“お汁粉”と比喩されていた場所である。これを総延長 で地球2周分に相当する砂杭を造成し圧密促進するバーチカルドレーン工法によ り地盤改良し、施設施工期間の関係から残留不同沈下を前提とした上で事業は実 施された。このような過酷な施工条件下で、地盤改良法について様々な検討と創 意工夫が行われたことに加え、滑走路やエプロンなどの空港基本施設の設計に際 しても様々な検討が行われた。舗装に関する技術課題と対応の要点のみ概説する と以下のとおりである。

①埋立履歴や埋立材料の多様性により、分散したボーリングによるサンプリング 調査で得られた土質データや地層から画一的な手法での地盤モデルを作成しても 実際と合わないことが問題であった。地盤の全体像を精度良く把握することが出 来ないため、残留不同沈下量や沈下に伴う地盤表面形状の変化の予測には、不均 一な広域地盤の性状を確率変数として捉え、モンテカルロ法による繰返し試行計 算に よって 平 均的 な沈下 形 状を シミュ レ ート する手 法 を考案5 )し適用し た(図

-1.2.2)。表-1.2.1 6 )に示すような厳しい平坦性や排水勾配の確保が求められる滑

走路やエプロンの舗装の施工面は、同沈下予測を踏まえてあらかじめ予測沈下量 の一部を上げ越施工するなどで常時機能が満足されるよう設計した7)~9)

図-1.2.2 圧密による不同沈下シミュレーション5)

スタート 入力データの読み込み 施行回数、土質構成、土質定数と

そのばらつき、荷重条件 土質定数の割付け 粘土層厚、CV、CC、Py、eo

荷重載荷ごとの沈下計算 No 荷重載荷は終了したか

沈下の基準時間からの 残留沈下量の計算

Yes

不同沈下量の計算と構造物におよぼす 影響度の判定

Yes 沈下の基準とする時間がまだあるか

指定の施行回数を行ったか No

Yes 終了

横断方向

縦断方向

深さ方向

(12)

表-1.2.1 滑走路やエプロンの限界勾配6)

施設 最大縦断勾配 最大横断勾配

0.8% 1.0%

滑走路 ※1:滑走路の末端から ※2:※1に規定する部 1.5%

(滑走路長1,500m以上) 滑走路の長さの4分 分以外の部分 の1以下の距離にあ

る部分

誘導路 1.5% 1.5%

(滑走路長1,500m以上)

エプロン 1.00

②地盤表面の挙動に追随しない無筋コンクリートエプロン舗装版では、版下に様 々な形状の空洞の発生が懸念された。このため、沈下予測結果に応じて、不同沈 下量が軽微な地点では版厚が大きめの無筋コンクリート(NC)版を使用し、概 ね段差 6cm 程度の微細な空洞の発生は許容(図-1.2.3)する5)こととし、それ以 上の大きな不同沈下が予測される地点では、版厚が薄いプレストレストコンクリ ート(PC) 舗装と し、地盤 表面の挙動変化に追随させることを基本とした。不 同沈下に伴いやむを得ず舗装勾配が規定を超えた場合には、PC 版を持ち上げて 版下にグラウト注入して調整するPCリフトアップ工法を導入した 10)~14)

図-1.2.3 土田らの検討による不同沈下量と最大応力の関係5)

③埋立て間もない人工地盤であり、埋立材の透水性が低いことから、地下水位が 高止まりしていた。滑走路の舗装は路床下部まで含めると3m弱の厚さとなるた め、地下水面が路床に浸入することになる。沖合展開第Ⅰ期計画で整備した新 A 滑走路は、供用開始直後に舗装表面クラックなどのトラブルが生じ、地下水の舗 装体への浸入による劣化が問題とされた。このため、沖合展開第Ⅲ期計画で新設 された新 C 滑走路及び新 B 滑走路では、滑走路舗装体をフィルタ層で包み込み 舗装体への地下水浸入を防ぐ新構造を導入する高地下水位対策を立案し、適用し

0 50 100

0 5 10 15 20

(kgf/cm3)

不同沈下量 S

中央 端部 一脚 二脚 無荷重 スラブ

スラブ 端部

中央部

30m

(13)

15)~17)

④沖合展開に伴い、利用しなくなる旧空港地区を更地に戻すため、舗装撤去材が 大量に発生する。再生資源の利用を促進するといった理念を超えて、当該事業に おけるゼロエミッションを実現するとの目標を立て、新設舗装へのリサイクル材 の全量適用を目指した。リサイクル材を利用した滑走路舗装が、時速 300km で 離着陸を繰り返す大型航空機の衝撃荷重に耐える品質に足りるかを様々な試験に よって検証し、適用した18)~23)

⑤その他、限られた工期の中で、効率的な急速施工ができるよう、下層路盤を通 常厚さ 65cm の粒状材施工から、厚さ 33cm のアスファルト安定処理のフルデプ ス舗装施工としても荷重分散性能等の品質に問題がないかとか、路床厚をジオテ キスタイル混入により低減できないかなど施工法や設計法に関する様々な試験等 を実施し、施工時間の短縮と品質の担保が両立する効率化を追求した24)~28)

(4)耐震対策

平成7年(1995 年)の阪神淡路大震災に際し、神戸港では、耐震強化岸壁と して設置されていた摩耶埠頭岸壁を除きほぼ全ての港湾施設が損壊し、ポートア イランドや六甲アイランドでは広域的な液状化が発生した。阪神高速をはじめと する陸上交通網も大きな被害を受けたが、関西国際空港が利用可能であったため、

支援要員は関西国際空港から海路で応急復旧した神戸港旅客ターミナル経由で被 災地入りすることも可能であった。神戸港摩耶埠頭耐震岸壁は緊急物資輸送や給 水等の支援船の拠点となった。陸路が寸断された場合の緊急支援物資輸送や支援 人材の派遣のために港湾や空港が果たした役割があらためて認識された。このた め、同震災直後の設計施工となった新 B 滑走路では、耐震滑走路とすることを 設計コンセプトに導入することとした。埋立履歴や埋立材質にばらつきがある沖 合展開地盤部が地震時に液状化した場合の滑走路変状状態をアセスメントするた めに確率論的手法を導入 29)し、液状化対策の規模や範囲を決定した。滑走路新 設部は施工実績が多く信頼性も十分なサンドコンパクションパイル工法(以下、

「SCP 工法」という)で液状化対策を実施することとした。SCP 工法の適用にあ たっては、複数の改良率を設定し、様々な砂杭の経、杭配置、杭間距離を変化さ せた試験施工を実際に現地で実施し、改良効果を確認して仕様を決定した。液状 化対策未実施のため液状化が発生する周囲の地盤の中で、液状化しない改良舗装 部体がどう挙動するかまで検討して、滑走路外縁部の地盤改良範囲を決定した。

一方、供用中の新 A滑走路と新設の新B滑走路の交差部(439m)が存在し、SCP 工法では滑走路舗装上に大きな削孔を伴うため空港運用停止中の夜間作業のみで この全体を施工することが不可能であったため、同区間の地盤改良をどのような 工法で実施するかは課題として残った。その後の検討により、流動性の極めて低 いモルタルを地盤中に圧入して均質な固結体を連続的に造成、この固結体による

(14)

土中密度増加による締固め効果で周辺地盤を強化する静的圧入締固め工法(CPG 工法)が開発され、夜間の空港運用停止時間帯で削孔、施工、翌朝までの舗装仮 復旧 と いっ た施 工サ イク ルで 同工 法の 適用 が可 能と なる 施工 法が 開発 され たほ か、液状化対象層に滑走路外から管を挿入し水ガラス系溶液型恒久薬液を注入し て液状化強度を増加させる薬液注入工法(浸透固化処理工法)も開発され、現場 施工条件に応じて適用されることとなった。これらの工法はその後、供用中の滑 走路や港湾構造物直下の液状化対策工法として進化・発展しつつ適用事例が増加 していくこととなる。しかしながら、これらの工法では、施工前、施工中、施工 後を通じて対象改良部を直接目視確認できないことに起因した確実な改良効果を 得るための施工方法や、サンプリング調査に伴う試料の乱れの影響等により実務 的な地盤強度の確認が困難であることなどから、合理的かつ簡便な改良効果の確 認方法等が課題と認識されている。

図-1.2.4 羽田空港新 B滑走路の液状化対策地盤改良工法

(15)

1.3 福岡空港耐震対策事業

(1)福岡空港の歴史

福岡空港は、昭和 19 年(1944 年)に旧日本軍により北部九州の防衛基地とし て長さ 600mの滑走路建設が着手され、当時は席田(むしろだ)飛行場と呼ばれ ていた。第二次世界大戦後の昭和 20 年(1945 年)には連合軍に接収され、空軍 板付基地となり、昭和 25 年(1950 年)勃発の朝鮮戦争時には最前線基地として 使用された。昭和 26 年(1951 年)の日米安保条約締結により基地の提供が決定 し、民間航空の国内線、昭和 40 年(1965 年)に国際線が開設され、並行して民 航用ターミナルビル建設等も行われ、西日本における幹線空港となった。昭和 46 年(1971 年)の米軍からの管制権の返還に続き、翌 47 年(1972 年)には全面返 還され、福岡空港としての供用が開始された。昭和 46 年度(1971 年度)を初年 度と する 第2 次空 港整備 五 箇年 計画以 降 、滑 走路をは じめとす る空港土 木施設 の改良・整備が鋭意進められ、長さ 2,800 m、幅 60 mの滑走路を有する拠点空 港となり、平成 11 年(1999 年)に国際線ターミナルや貨物ターミナルを有する 西側 ター ミナ ル地 域整備 が 完了 し、現 在 に至 っている 。その後 の航空需 要の増 大に 伴い 、国 内線 の誘導 路 交通 処理量 と 駐機 能力の増 加を図る とともに 、国内 線ターミナルビルを改築する東側ターミナル地域の再整備が令和2年(2020年)

の完了を目指して進められるとともに、現滑走路の西側に長さ 2,500 m、幅 60 mの新滑走路を増設する事業が令和7年度(2025 年度)の完了を目指して進行 中である。

図-1.3.1 福岡空港

(16)

(2)耐震対策

福岡空港は、那珂川及び御笠川沿いの沖積低地上に立地し、工学的基盤であ る風化花崗岩、沖積層下に分布する洪積砂層の層厚や土質が空港敷地内で大き く変化する(図-1.3.2)。平成 17 年(2005 年)3月の福岡県西方沖地震時に震度 5強の揺れを受けた際には地盤の液状化は発生せず、目立った地震被害は生じ なかった。また、敷地内地中には弥生時代から古墳時代の集落遺跡が埋蔵され ている。

【滑走路縦断方向】

【滑走路横断方向(断面①-①')】 【滑走路横断方向(断面②-②')】

図-1.3.2 福岡空港の成層状況

平成 19年(2007年)4月、国土交通省航空局が設置した「地震に強い空港の あり方検討委員会」により、空港の耐震化についての基本的考え方がとりまと められた。過去の地震災害時において空港が緊急物資輸送の拠点等としての役 割を果たしたことに鑑み、地震災害時に空港には緊急物資及び人員等の輸送基 地としての役割が求められており、特に航空ネットワークにおいて重要な役割 を果たしている図-1.3.3 の全国 13 空港(新千歳、仙台、新潟、成田、羽田、中 部、伊丹、関西、広島、高松、福岡、鹿児島、那覇)については、航空ネット ワークの維持、背後圏経済活動の継続性を確保するため、極力早期に耐震性の

(17)

向上を推進すべきことが提言され、滑走路は発災後3日以内に機能確保される べき施設とされた。

図-1.3.3 航空輸送上重要な13空港

これを受けて、福岡空港の耐震計画が検討されることとなった。検討は平成 19 年度(2007年度)から開始され、羽田空港で確立された耐震設計手法をもとに、

福岡県西方沖地震時に液状化被害が発生しなかった経緯を踏まえて微修正した 手法 30),31)によって検討し、図-1.3.5 のとおり液状化対策範囲を決定、現場試験 施工等の綿密な工法検討を経て、薬液注入工法による液状化対策を選定した。

図-1.3.4 福岡空港の液状化による不同沈下予測31)

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図-1.3.5 福岡空港の既設滑走路の液状化対策範囲と バルーングラウト工法適用範囲

地盤改良の実施設計は 25年度(2013年度)に完了し、現地施工が平成26(2014 年度)~27年度(2015 年度)に行われた。施工は、滑走路外から滑走路下の改 良対象砂層まで曲がり削孔で薬液注入管を挿入して薬液を注入するもので、薬 液注入の際にゴム製のバルーンを膨張させて薬液の逆流を防ぐ新工法である「バ ルーングラウト工法」(図-1.3.6)で実施された。

図-1.3.6 バルーングラウト工法の概要

(19)

しかしながら、工事完了後の調査で、事前の仕様に比して、薬液注入割合が 38

~43 %、削孔位置精度が 40 ~ 55%にとどまるという施工不良が発見された。

類似の施工不良問題が他の港湾や空港の現場でも発見されるに至り、複雑な地 盤条件下における薬液注入工法の適用に関し、従来の施工管理手法だけでは不 十分であり、再発防止に向けて追加対策が必要であること、虫食い的な改良が 実施された地盤を修補するに当たり、新たに創出された地盤条件をどのように 評価・把握し、当初仕様に拘らず如何に合理的に修補工事を計画・実施した上 で地盤改良効果を確認するかといった新たな実務的問題の提起につながった。

1.4 本論文の目的と構成

これまで述べたとおり、羽田空港沖合展開事業は、地盤の埋立履歴や埋立材料 も様々で通常の地盤調査では全体像を明確にできない地盤を相手とするに際し、

発生が想定されるリスクを限りなく低減することで、必要とされる要求水準を満 足する施設を構築する事業であった。技術課題への対処方針の検討過程において 様々な手法が開発され、適用された。地盤リスクに伴う問題やトラブルは、羽田 に特化したものではなく港湾空港の建設現場のどこでも起こり得る。福岡空港に おいても、現滑走路の地盤を検証した結果、地震時に一部液状化し、供用不能に なることが判明し、供用中滑走路直下の液状化対策として薬液注入工法を適用し たが、その施工不良問題の発生を契機に、施工前の地盤状況や施工後の地盤改良 効果を合理的に評価する手法を検討することとなった。

本研究では、羽田空港沖合展開事業及び福岡空港耐震化事業で実施した耐震対 策を検討、実施する過程で得られたデータや知見を通じて、広域地盤の耐震対策 に関する調査・設計・施工及び地盤改良効果の評価方法を考察し、施設の要求性 能を確保するための合理的な計画・設計・施工・事業評価方法のあり方を明らか にすることを目的としている。

第1章では、本研究の背景、特に基軸となる羽田空港沖合展開事業及び福岡空 港耐震化事業の概要を述べるとともに、本研究の目的及び論文の構成について記 している。

第2章では、羽田空港沖合展開事業における新設滑走路の設計上の技術課題の うち、地震時の地盤液状化対策に絞り、先ず広域地盤の不均一性を確率的に取り 扱うことにより、液状化に伴う不同沈下による滑走路表面の被災程度を予測する 手法を確立し、実務設計に適用したことを述べ、次に、予測計算によって明らか となった被災を軽減・防止する方策として、滑走路新設部直下の液状化対策工法 と し て 砂 杭 の 振 動 圧 入 に よ り 締 固 め を 行 う サ ン ド コ ン パ ク シ ョ ン パ イ ル 工 法

(20)

(SCP 工法)を適用したことを概説する。さらに、舗装構造自体に及ぶ地震によ る損傷程度を FEM 計算により予測し、地盤改良の程度の差によって滑走路表面 変状にも差が出ることを考え合わせ、その補修の容易性(費用、工期)を定量化 し、これを事前の液状化対策の実施規模と比較することによって、地盤改良工事 の合理性を評価するといった手法について述べる。

第3章と第4章では既設構造物の液状化対策工法である静的締固め工法と薬液 注入工法について述べる。新設の滑走路では、第2章で述べた SCP 工法による 地盤 の液 状化 対策 が一般 的 であ るが、 供 用中 の滑走路 直下地盤 の液状化 対策は 航空 機の 発着 の運 用をし な い夜 間の工 事 とな るため、 滑走路上 に大きな 削孔を 伴う SCP 工法では翌朝までの復旧が困難であることから適用することができな い。 そこ で、 滑走 路を供 用 しな がらの 夜 間の 空港運用 停止時間 帯で液状 化対策 の地 盤改 良を 実現 するに あ たっ て、羽 田 空港 、福岡空 港では様 々な試験 施工が 実施 され 、種 々の 比較検 討 の結 果、最 終 的に 滑走路地 盤中に地 中構造物 がない 一般 部に つい ては 静的圧 入 締固 め工法 を 、地 中構造物 がある範 囲につい ては施 工中の変位がほとんどない薬液注入工法をそれぞれ採用した。

第3章では、このうちスランプ値 3cm 程度と流動性が極めて低いモルタルを 地盤 中に 圧入 して 地盤密 度 を増 大させ る 静的 圧入締固 め工法の 試験施工 の工事 内容 につ いて 概説 した後 、 施工 前後に 実 施し た地盤調 査から静 的圧入締 固め工 法に より どの よう な改良 効 果が 発揮さ れ てい たかにつ いて述べ る。また 、砂杭 やモ ルタ ルの 圧入 を地盤 に 対す る繰返 し せん 断力であ ると捉え 、この繰 返しせ ん断 に伴 う負 のダ イレタ ン シー (体積 圧 縮) の蓄積に よって締 固め効果 が発揮 され ると 考え 、改 良率と 累 積せ ん断ひ ず みを 関連づけ る係数を 導入する ことで 改良後 N 値(目標 N 値)を設定するという新たな設計法が既往の研究により提 案さ れて いた が、 この設 計 法が 静的圧 入 締固 め工法に ついても 適用でき ること を検 証し 、静 的圧 入締固 め 工法 の設計 法 とし て新たに 提案する 。さらに 、本工 法の 地盤 改良 効果 につい て は、 従前は 標 準貫 入試験か ら求めら れるN値 から判 断さ れる こと が多 いが、 そ れだ けでは 詳 細な 改良効果 を判断で きない場 合もあ る。 本研 究で は本 工法の 改 良効 果の特 徴 であ る密度増 加に加え 、水平方 向の地 盤内 応力 の増 加に も着目 し て、 孔内水 平 載荷 試験や弾 性波探査 を適用し た新た な改良効果の評価方法について提案する。

第4章では、水ガラス系溶液型恒久薬液を地盤内に注入して間隙水を薬液で置 き換 え固 結す るこ とによ り 液状 化強度 を 増加 させる薬 液注入工 法の試験 施工の

(21)

工事 内容 につ いて 概説し た 後、 施工前 後 に実 施した地 盤調査か ら薬液注 入工法 によ りど のよ うな 改良効 果 があ るかに つ いて 述べる。 併せて、 薬液注入 工法で 改良 され た試 料か ら求め た 繰返 しせん 断 応力 比及び設 計外力と の関係か ら、目 標とする設計基準強度 quckを設定し、これを可能とするための薬液濃度や注入速 度・ 間隔 を設 定す るとい う 薬液 注入工 法 の設 計法を明 らかにす る。また 近年、

薬液 注入 工法 の改 良後の 強 度は 、同じ 固 結工 法である 深層混合 処理工法 等のよ うに 改良 後強 度が 高強度 に はな らない た め、 改良後地 盤の試料 採取時に 乱れの 影響 を受 けや すい ことが 課 題と して明 ら かと なってい たことを 踏まえ、 従前の 改良後地盤からサンプリングして採取した試料を用いて求める一軸圧縮強さ qu

によ る改 良効 果の 管理で は なく 、試料 採 取時 の乱れの 影響を受 けない原 位置で のサ ウン ディ ング 調査手 法 を基 本とし て 、改 良効果を 評価する 管理手法 に転換 すべきと考え、動的コーン貫入試験(PDC調査)から得られる Nd値の増分(△Nd 値)を一軸圧縮強さ qu に変換することで地盤改良効果を評価するという新たな 具体的手法を提案している。

第5章では、福岡空港で実施された薬液注入工法の中の新工法であるバルーン グラ ウト 工法 を適 用した エ リア におけ る 施工 不良およ びその後 実施され た修補 工事 の概 要に つい て説明 し てい る。ま た 、試 験施工エ リアで実 施された 修補工 事の 地盤 を対 象に 実施さ れ たサ ウンデ ィ ング 試験、各 種土質試 験をもと に、第 4章 で提 案し た薬 液改良 地 盤の 改良評 価 手法 も用いな がら総合 的に評価 するこ とで 、本 手法 の有 効性を 確 認す るとと も に、 修補地盤 の改良評 価手法の 課題に ついて述べる。

第6章では、前章までに論じた研究を総括し、本研究の結論としてとりまとめ た。

以上、要するに、広域地盤の液状化に伴う不同沈下による空港滑走路などの被 災予 測手 法を 我が 国で初 め て確 立し、 耐 震対 策の必要 性や範囲 を判断し 、耐震 対策 の合 理性 を評 価する 手 法を 明らか に した こと、さ らに、供 用中構造 物の直 下における液状化対策工法として静的圧入締固工法と薬液注入工法が開発され、

その 設計 法を 確立 、我が 国 で初 めて現 場 適用 し、その 有用性を 整理した こと、

加えて、従前の調査方法では十分対処できなかった課題を軽減する方法として、

各種 の現 場デ ータ から、 孔 内水 平載荷 試 験や サウンデ ィング調 査等の原 位置調 査の 有効 性を 確認 し、広 域 地盤 全体の 性 能と いう観点 から地盤 改良効果 を評価 する手法を新たに提案したものである。

(22)

表-1.4.1 本論文が対象とする事項

(23)

表-1.4.2 本論文の構成

第1章 緒論

・研究の背景

・研究の目的

・論文の構成

第2章 空港滑走路の耐震対策効果の評価手法

・広域地盤の液状化に伴う不同沈下による被災予測手法の確立

・耐震対策の合理性に関する評価手法の確立

第3章 静的締固め工法による既設滑走路直下の耐震対策

・羽田空港及び福岡空港における現場試験施工を通じた設計手 法の確立

・水平方向有効応力の増加を加味した地盤改良効果の確認手法 の確立

第4章 薬液注入工法による既設滑走路直下の耐震対策

・羽田空港及び福岡空港における現場試験施工を通じた設計法 の確立

・動的コーン貫入試験等サウンディングによる地盤改良効果の 確認手法の確立

第5章 福岡空港における薬液注入工法の新たな適用手法の実証

・第4章で確立した適用手法の妥当性の検証

第6章 結論

(24)

参考文献

1)(社)土木学会新潟震災調査委員会編:昭和 39年新潟地震震害調査報告書,

1996.6

2)運輸省第二港湾建設局監修, (財)沿岸開発技術研究センター:東京国際空 港沖合展開事業技術総録,2000.1

3)Hiroaki NAKATA,Keiichi AKIMOTO,Hiroshi KANAZAWA,Yasuharu TSUJI,

Masahiro INADA:Haneda Airport offshore expansion project,Civil Engineer International,Oct.1997,pp.36-45,1997.10

4)金澤寛:高地下水位下における埋立軟弱地盤上の空港滑走路舗装構造に関す る研究,港湾空港技術研究所資料No.1212,2010.3

5)土田孝,小野憲司:数値シミュレーションによる不同沈下の予測とその空港 舗装設計への適用,港湾技術研究所報告Vol..27,No.4,pp.127-143,1988 6)運輸省航空局監修,(財)航空振興財団:空港土木施設設計基準,1989 7)常陸壮介,塩見雅樹,伊藤和央,稲田雅裕,中ノ堂裕文,福田直三:地盤改

良深度仕様の異なる境界領域の不同沈下の解析,第 30 回土質工学研究発表会 講演集,pp.2147-2150,1995.7

8)塩見雅樹,金澤寛,稲田雅裕,田中洋行,田中隆司,福田直三,児玉信之:

数値図化手法を応用した東京国際空港滑走路部の沈下発生状況のモニタリン グ,土木学会第50回年次学術講演会講演概要集第6部 Vol.50,pp.64-65,1995.9 9)塩見雅樹,金澤寛,稲田雅裕,福田直三:超軟弱地盤上の空港建設における

地盤改良の計画と実際,土木学会論文集 No.546/Ⅵ-32,pp.23-37,1996.7 10)土木学会:コンクリート標準示方書(設計編),1991

11)八谷好高,横田弘:空港コンクリート舗装の不同沈下管理に関する考察,港 湾技術研究所報告Vol.30,No.1,1991

12)早田修一,八谷好高:地盤の不同沈下を考慮した空港コンクリート舗装の構 造設計,土木学会論文集 No.451/Ⅴ-17,pp.313-322,1992.8

13)金澤寛,藤本憲久,稲田雅裕,寺田敏朗,宮内健:表面切削部があるプレス トレストコンクリート舗装の供用性、補修性に関する検討,舗装工学論文集 Vol.1,pp.87-94,1996.12

14)上薗晃,中島禎,宮内健,今井泰男,稲田雅裕:PC 舗装リフトアップ工法

に使用するグラウト材の品質に関する検討,舗装工学論文集 Vol.1,pp.299-304,

1996.12

15)伊藤和央,稲田雅裕,児玉道久:東京国際空港新C滑走路の設計について,

平成6年度土木学会関東支部技術研究発表会講演概要集 Vol.22,pp.506-507,

1995.3

16)橋本和明,塩見雅樹,金澤寛,稲田雅裕,寺田敏朗:排水層を設けた空港舗

(25)

装の現地試験と舗装設計,土木学会第 50 回年次学術講演会講演概要集第3部 (A)Vol.50,pp.774-775,1995.9

17)秋元恵一,金澤寛,辻安治,平山義夫,今井泰男,稲田雅裕:東京国際空港 新C滑走路の建設,土木学会論文集 No.560/Ⅵ-34,pp.43-55,1997.3

18)藪中克一,稲田雅裕:空港舗装廃材の性状について,平成7年度土木学会関 東支部技術研究発表会講演概要集Vol.23,pp.672-673,1996.3

19)石黒昌信,稲田雅裕,藪中克一,浜昌志:空港舗装における再生アスファル ト混合物の性状調査,第 31 回地盤工学研究発表会講演概要集,pp.2369-2370,

1996.7

20)浜昌志,稲田雅裕,藪中克一,石黒昌信:再生アスファルトバインダーの劣 化性状,土木学会第 51回年次学術講演会講演概要集第5部 Vol.51,pp.128-129,

1996.9

21)藪中克一,稲田雅裕,石黒昌信,浜昌志:空港舗装廃材による再生コンクリ ート材の耐久性について,土木学会第 51 回年次学術講演会講演概要集第5部 Vol.51,pp.148-149,1996.9

22)秋元恵一,金澤寛,稲田雅裕,藪中克一,浜昌志:繰返し荷重載荷による塑 性変形を考慮した空港滑走路舗装の変形解析,舗装工学論文集 Vol.1,pp.7-14,

1996.12

23)秋元恵一,金澤寛,稲田雅裕,藪中克一:空港舗装発生材の新設滑走路への 再利用に関する検討,舗装工学論文集 Vol.1,pp.213-222,1996.12

24)(社)日本アスファルト協会:フルデプス・アスファルト舗装設計施工指針

(案),1986.9

25)運輸省航空局監修,(財)航空振興財団:空港アスファルト舗装構造設計要 領,1990

26)(社)日本道路協会:アスファルト舗装要綱,1992

27)秋元恵一,金澤寛,稲田雅裕:空港アスファルト舗装における路床置換厚の 低減の可能性に関する検討,舗装工学論文集 Vol.1,pp.103-110,1996.12 28)沼田哲雄,稲田雅裕,藪中克一:段差の緩和を目的としたアスファルト舗装

構造の現場走行試験,平成8年度土木学会関東支部技術研究発表会講演概要集 Vol.24,pp.598-599,1997.3

29)宮田正史,井合進,一井康二:液状化による不同沈下の予測手法の開発,港 湾技研資料,No.908,1998.9

30)山崎浩之,江本翔一:地震動波形の影響を考慮した液状化の予測・判定に関 する提案,港湾空港技術研究所報告 Vol.49,No.3,2010

31)池内章雄,稲田雅裕,波多江裕司,岸良安治,小野寺隆柔:液状化による地 盤の不同沈下を考慮した滑走路の耐震性能評価,沿岸技術研究センター論文集 No.11,pp.65-68,2011.10

(26)

第2章 空港滑走路の耐震対策効果の評価手法 2.1 概説1)~4)

羽田空港沖合展開事業第Ⅲ期の中核プロジェクトは、新 C 滑走路及び新 B 滑 走路の新設であった。

新 C 滑走路では、地下水の舗装体の浸入による舗装劣化を防止するため、フ ィルタ層で舗装体全体を包み込み、路床下部の排水層に外部からの地下水を集水 し、排水管を通じて排水し、舗装体への地下水の浸入を防止する高地下水位対策 を講じる という新たな舗装構造設計を行 った( 図-2.1.1)ことに加え、不同沈下 解析により圧密残留沈下量を予測し、施工中も沈下量の動態観測を緻密に実施し、

航空機の安定走行が確保されるための平坦性と表面排水のための勾配規定といっ た施設要求性能が施設供用後も長期間にわたり確保されるよう下層路盤厚の上げ 越修正施工を行って建設された(図-2.1.2)。平成4年度(1992 年度)より調査設 計に着手され、平成7年度(1995 年度)に現地着工、平成8年(1996 年)夏ま でに用地造成工、土工、舗装工などの一連の土木工事が完了、その後、航空灯火、

無線施設等の工事、実機による試験飛行を経て、平成8年度(1996 年度)末に 供用が開始された。

図-2.1.1 新C滑走路の舗装断面

滑走路本体 表層 As

基層 As 上層路盤 As安定処理

フィルタ 単粒度砕石 下層路盤 安定処理

フィルタ 路床 山砂

ショルダー

粒度調整砕石

粒度調整砕石

単粒度砕石 路床排水管

(単位:mm)

(端部詳細)

1%

30,000 10,000 10,000 20,000

3,499

3,499 2,751 500 1%

1%

893 200

400

50 50 250

2,030

1201508601,150200150500 200150

500

2502,030200150500

(27)

図-2.1.2 下層路盤厚の上げ越修正量

続く、新 B 滑走路では、新 C 滑走路同様の高地下水位対策を講じること、圧 密残留沈下を見込んだ上げ越施工を実施することに加え、沖合展開前の旧空港地 区の舗装撤去に伴い大量に発生するアスファルト廃材及びコンクリート廃材を原 則全量リサイクル活用すること、そして大規模地震後にあっても軽微な損傷を受 ける程度にとどめ、迅速に復旧、運用できるような耐震性を持たせることが設計 コンセプトとなった。廃材リサイクルに関しては、表層(厚さ 5cm)は新材、基

層(厚さ11cm)及び路盤(厚さ48cm)はアスファルト廃材による再生率 70%、

舗装体を包み込む排水フィルタ層の全量をコンクリート廃材を活用することで、

ゼロエミッションを実現した(図-2.1.3)。

図-2.1.3 コンクリート廃材を利用した排水フィルタ層

5cm 表層(新材)

11cm

48cm

115cm 路床(新材)

85cm

アスコン破砕材 約14万m3

コンクリート破砕材 約9 万m 基層(再生AS70%)

路盤(再生AS70%)

路床排水層

(再生CO100%)

(28)

大型航空機の重荷重に耐える空港舗装へのこれだけ大量のリサイクル材を適用 することは初めてのことであり、室内試験及び現地試験舗装へのジャンボジェッ ト機 同 等荷 重を 載荷 でき る原 型荷 重走 行車 によ る1 万回 繰返 し走 行試 験等 によ り、長期耐久性や施工性等の詳細な確認調査を実施した上で適用された。耐震対 策としては、地盤表面の舗装構造物という滑走路の特性上、地震時の地盤液状化 に伴う不同沈下による地表面の変状の軽減が主目的であった。滑走路に要求され る厳しい平坦性や勾配規定を満足させられるよう早期復旧できる程度の変状に抑 え、変状に伴う舗装構造体へのクラック等の損傷程度も軽微であることが必要で あり、これが整備目標となる。従って、設計方法としては、液状化に伴う不同沈 下による変状の予測を行い、必要な対策工法を選定、仕様を決定し、整備目標を 満足できる程度の地盤変状に抑えられることを確認する必要がある。さらに、そ の耐震対策が工期、工費と対策効果に鑑みて合理的なものかどうかを評価する必 要もあった。平成5年度(1993 年度)より調査設計に着手され、その設計検討 期間中の平成7年(1995 年)1月 17 日の阪神淡路大震災を受け、耐震滑走路と しての検討が追加され、平成8年(1996 年)夏に基本設計を完了、平成9年度

(1997 年 度)に現地着工し、地盤改良工事、舗装工事、関連工事、フライトチ ェックを経て、平成12年度(2000年度)末に供用が開始された。

2.2 羽田空港新 B滑走路の耐震設計の概要

(1)地盤の状況

新 B 滑走路は、図-2.2.1 のとおり、空港南西部(04 側)の旧空港地区から北東 部(22 側)の沖合展開地区に至る長さ 2,500 mの滑走路であり、地盤の埋立履歴 が異なり、地盤改良仕様も異なる部分を横断する形で計画された。地下には埋め 殺された旧護岸、建築物基礎のほか湾岸道路トンネルなど地下埋設構造物も存在 している(図-2.2.2)。

(29)

図-2.2.1 新B滑走路

図-2.2.2 新B滑走路の地下埋設構造物と地盤改良仕様

土層構成は、図-2.2.3 のとおり、表面から Bs 層(建設残土層)、As0 層(浚渫 砂層)、Ac1 層(浚渫粘土層)の人工地盤、その下に As1層(沖積砂層)、Ac2 層

(沖積粘土層)、Ds 層(洪積砂層)と Dc 層(洪積粘土層)の互層といった原地 盤となっている。埋立の施工履歴が異なることから、成層は不均一である。沖合 に行くほど原地盤が深くなり、AP-18m程度となる。直下には Ac2層が 20m程度 堆積し、上部には超軟弱な浚渫粘土 Ac1 層が 10 m程度の厚さで形成された。表

(30)

層の建設残土 Bs 層が投入された埋立の完了は平成4年(1992 年)であり、正規 圧密状態の Ac2 層の上部に大量の浚渫粘土 Ac1 層と建設残土 Bs 層が急速に形成 された結果、埋立直後の圧密沈下量は5~9mもの大きなものとなった。地盤改 良仕様は Ac1 層の改良を目的としたプラスティックボードドレーン(PBD)工法 の他、Ac1 層と Ac2 層の両層の改良を目的としたサンドドレーン(SD)工法、

超軟弱粘土層でのドレーンの自立を図った袋詰めサンドドレーン工法、構造物近 傍の生石灰杭工法などが図-2.2.2のとおり現場条件に応じて使用されている。

図-2.2.3 新B滑走路の土層構成

液状化が懸念されるのが Bs 層、As層である。Bs 層は N 値が 10前後と低く、

透水性も 10-4cm/sec オーダーと小さい。さらに細粒分含有率も 10 ~ 40 %とばら ついており、pH は 10.6程度とアルカリ性である。As1層も透水性が 10-4cm/sec オ ーダーと小さく、細粒分含有率が30~ 40%と高いが、粒度のばらつきは比較的 少ない。なお、地下水位はGL-1.0~2.0mと高止まりしている。

(2)耐震設計の流れ

空港が地震災害時にもその機能を維持し、緊急輸送拠点としての役割を果たす ためには、滑走路や誘導路といった空港基本施設が震災直後でも即時応急復旧に より供用できるレベルの被災にとどめることが必要である。地震時には、地盤の 液状化に伴って発生する不同沈下、これによる舗装面のクラックや圧壊が想定さ れ、許容勾配の逸脱や段差の発生、舗装構造の健全性などの被災状況を予測する ことが肝要であり、検討の流れを図-2.2.4 に示す。先ずは液状化が懸念される Bs 層、As層(①)が設計対象地震に対して液状化するのか否かを粒度分布やN値、

繰返し三軸試験等を通じて判定する(②)。液状化するとの判定がなされた場合 には、その影響度合いを見るために、地盤液状化に伴う地表面の不同沈下状況を 予測する(③)。次に、不同沈下量の程度に応じて、当該被災状況が応急復旧可 能なレベルとなるよう対策工を講じる(④)。対策工については、完全に液状下 層を改良する場合から、事後の応急復旧が軽微であれば一部の液状化を許容する 場合、または地盤改良は行わないといったレベルまで様々な想定があり、事前対

Bs As

As1 Ac2

Ac2

Ds Ds

Ds Dc

Dc

Dc Bs

As1 Ac1 As0

Ac1 As1 Ac1

As0 Bs

Ds Dc

沖展側(22側) 旧ターミナルビル側(04側) 既設部(新A滑走路端部)

成層断面図 (新B滑走路センター) AP

+ 10 0

- 10

- 20

- 30

- 40

- 50

- 60 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 2200 2400 2500

(31)

策レベルと復旧容易性との間にはトレードオフの関係がある。また、液状化層を 完全に改良して地表面の変状を防止した場合にあっても、舗装構造自体が地震外 力に よ り損 傷( クラ ック や圧 壊の 発生 )す る恐 れも あり この 予測 も必 要と なる

(⑤)。復旧容易性の判断には、地表面変状(許容勾配等の逸脱)と舗装構造の 損傷の両面を加味して被災規模を予測する(⑥)ことが必要となる。この被災程 度に応じた復旧に要する費用・工期を定量化(⑦)し、事前対策にかかる費用と の関係でもっとも合理的な事前対策のレベルを総合判断する(⑧)といった手順 で検討する。

図-2.2.4 耐震設計の流れ

(3)液状化判定と改良対象層の特定5),6)

図-2.2.5 に粒度試験結果を示す。粒度分布より、Bs 層、As0 層及び As1 層は液 状化対象層とされる。特に Bs 層は、阪神淡路大震災で広範囲に液状化被害が観 測された 神戸港ポートアイランドの真砂 土(図-2.2.6)と類似した粒度分布を示 している。

+ =

①液状化対象層の特定(Bs層、As層)

②液状化判定

・N値と粒度 ・繰返し三軸試験 等

③液状化による 不同沈下の予測 シミュレーション

④液状化対策範囲及び工法の決定

⑧耐震対策の合理性に関する総合評価

⑤FEMによる舗装 構造の被災予測 シミュレーション

⑥地震後の被災 規模の予測

⑦被災程度に応じた 復旧費用・工期の定量化

(32)

図-2.2.5 粒度試験結果

図-2.2.6 神戸港ポートアイランドの粒度分布

これらの層を対象として、先ず等価 N 値と等価加速度による液状化判定6)を実 施した。この方法は、限界 N 値法という液状化判定方法であり、本検討では東 京港の耐震強化岸壁の設計に用いる基盤加速度 383gal の八戸波(1703 年元禄地 震M8.2相当)を入力地震動として地震応答プログラムSHAKEを用いた。図-2.2.7 に示すとおり、大半の測点がⅠ(液状化する)~Ⅱ(液状化する可能性が大きい)

の範囲に分類された。

(33)

図-2.2.7 等価 N値~等価加速度による液状化判定結果

次に、繰返し三軸試験(石原らの方法)による液状化判定も実施したが、図-2.2.8 に示すとおり、大半の測点が液状化安全率 FL=1.0を下回る結果となり、液状化す るものと判定された。

図-2.2.8 石原らの方法による液状化判定結果

なお、以上の液状化判定方法の考え方については、第3章3.5に後述する。

2.3 地盤液状化に伴う不同沈下による被災予測

(1)解析手法

埋立履歴や埋立材料の多様性により、分散したボーリング調査で得られた土質 データや地層から画一的な手法での地盤モデルを作成しても実際と合わないこと

範囲 等価N値、等価加速度に

よる液状化の判定

Ⅰ 液状化すると判定する

液状化すると判定するか、

繰返し三軸試験より 判定するかを決定する

液状化しないと判定するか、

繰返し三軸試験より 判定するかを決定する

Ⅳ 液状化しないと判定する

0 5 10 15 20 25 30

0 100 200 300 400 500 600

等価N値

等価加速度αeq(gal)

Bs As1 As0

(34)

は周知であり、広域地盤では不同沈下特性や力学特性を確率的に取り扱うことが 合理的である。この観点から、宮田・井合・一井はモンテカルロシミュレーショ ンを用いた「広域地盤を対象とした液状化による不同沈下の予測プログラム」を 開発した7)。解析手法の概要を図-2.3.1に示す。

図-2.3.1 液状化による不同沈下シミュレーションの概要7)

このプログラムは、広域地盤の不均一性を確率モデルによって表すことを基本 とし、液状化による地盤の沈下現象を支配する指標として N 値、層厚、地震時 の最大せん断応力τ max の3つを規定、これら指標の統計的性質が正規分布に従 うものとし、空間的にばらつきを持って分布するという確率モデルを導入して液 状化に伴う不同沈下状況を予測するものである。なお、地盤の不同沈下は深度方 向とともに、水平方向の物性値のばらつきにも大きく影響される。地盤が均一で あれば一様な沈下分布を示すが、水平方向に物性が大きく変化すれば局所的な不 同沈下が生じることとなる。従って、地盤物性値の水平方向の相関は不同沈下を 予測する上で重要なパラメータである。このため、N 値と層厚については、水平 方向に相関を持つように与えることとしている。

解析対象地区における多数の地盤調査データにより層毎の N 値及び層厚の平 均、分散を算出するとともに、数ケースの代表的地層モデルに対する SHAKE に よる地震応答解析を実施し、最大せん断応力τ max の平均、分散を設定し、解析 に使用する確率変数を整理しておく。また、解析対象地区における多数の地盤調 査で得られた動的土質試験の結果から、「最大せん断ひずみγ max ~液状化安全率 Fの関係図」及び「最大せん断ひずみγ max ~体積ひずみεの関係図」を整理 しておく。さらに、水平方向相関距離を現地ボーリング間隔を基に算出しておき、

SHAKEによる地盤応答解析

② 新たな最大せん断応力の計算

③ 等価加速度α の計算

④ 限界N値(N )の計算

⑤ 等価N値(N )の計算

⑥ 液状化安全率Fの計算

⑦ 最大せん断ひずみγ を求める

⑧ 体積ひずみε を求める

⑨ 各層の沈下量の計算

横断方向

縦断方向

深さ方向

*

L 65 ep

max

v

参照

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