●講演会レポート 法学部政治学科 竹中千春教授
『部長、その恋愛はセクハラです!』に続き、2018 年に『ここ からセクハラ!アウトがわからない男、もう我慢できない女』を刊 行された牟田和恵先生に、力強い講演をしていただきました。
欧米で「セクシュアル・ハラスメント」という概念が現れたのもさほ ど昔ではなく、日本では「性的嫌がらせ」と訳され、「セクハラ」の 略語が広がりました。裁判でこの語が使われた 1989 年には流 行語大賞を取り、1999 年に男女雇用均等法が改正されて「事業 主の防止(配慮)義務」となったそうです。とはいえ、20 年前に遡
ります。しかし、まだまだセクハラは蔓延っている。なぜか。牟田先生はこの問いへの答えをくださいました。
第1に、強要していないなら許されるという誤った常識がある。しかし、偉い人が加害したとき、弱い立場の被害 者はとても「ノー」と言えません。第2に、「好色な悪漢」に見えない、紳士的な男性が加害をしている。混乱します。
第3に、露骨なわいせつ行為でなければセクハラではないという誤解。たいしたことじゃない、という甘えです。つま り、加害者だけでなく、被害者や周囲の人々もセクハラを許容しやすい社会構造や常識が変わっていない。これを
「ビルトインされた鈍感さ」と、牟田先生は批判します。
大学キャンパスの問題も、牟田先生は「ハラスメント問題が写し出す大学の病」(『現代思想』、2014 年)という論 文で指摘されました。立教大学は、人権・ハラスメント対策センターやジェンダー・フォーラムを中心に、各部署も協 力してセクシュアル・ハラスメントに取り組んできています。牟田先生には、もっともっと努力できると激励されました。
セクハラは、人間が互いに尊重して共同生活を営めるかという、人間社会の根本問題に関わります。「セクシュア ル・ハラスメント」という外来語はわかりにくい。仮に「心身に嫌なことをしないで」と言いかえると、もう少し身近にな るでしょうか。つま先を踏まれたら痛いし、「止めて」と言う。「痛い」と叫ぶ人が横にいれば、隣の人は助けようとす る。そういう人間としての気づきと助け合いが大事だと示唆する、現代の言葉の一つが「セクハラ」ではないかと考 えます。
「ハラスメント」も英語ですが、「いじめ」と言いかえたらどうでしょう。レイプは極限の性暴力ですが、そこまでいか なくても、あらゆる性的ないじめは残酷な犯罪です。しかも、弱い立場の人々がいじめられやすい。上司に対する部 下、先生を前にした学生、日本に暮らす外国籍の人々や留学生。ですから、セクハラのない大学とは、いじめのな いキャンパスです。牟田先生のお話にさまざまなことを考え、改めて身の引き締まる思いでした。先生にエンパワー していただいた 2 時間でした。心から感謝いたします。
立教大学
人権・ハラスメント対策センター
2019 年度 人権週間プログラム
講演会 『ここからセクハラ!
アウトがわからない男、もう我慢できない女』
立教大学は、個人のアイデンティティ、思想や信条の自由を理念としています。人権・ハラスメント対策センターは、
この理念に基づき、ハラスメントの防止と発生時の問題解決をサポートしています。
人権意識の高いキャンパス環境を目指して、毎年、人権に関する講演会や映画上映会を開催しています。
2019 年度に開催された講演会についての講演録は人権・ハラスメント対策センターHPに掲載しています。
過去に実施した講演会・映画上映情報も掲載しているので、ぜひアクセスしてみてください。
https://spirit.rikkyo.ac.jp/human_rights/
■人権・ハラスメント対策センター 相談室
何かありましたらお気軽に、下記の人権・ハラスメント対策センターまでご相談ください。
キャンパス 池 袋 新 座
場 所 6号館1階 6号館3階
開 室 時 間 月 ~ 金 9:00~17:00 連絡先 : 池袋相談室 ☎ 03-3985-3192
新座相談室 ☎ 048-471-7396
E-Mail : jinken@rikkyo.ac.jp
池袋キャンパスマップ
(6号館人権・ハラスメント対策センター相談室の位置)
新座キャンパスマップ
(6号館人権・ハラスメント対策センター相談室の位置)
人権 2019Spring と同じキャンパスマップを、池袋・新座ともお願 いいたします。
授業中のマナーについて
学生の皆さんには、良好な学習環境の中で授業を 受ける権利があります。例えば、私語、スマートフォ ンによる撮影音、バイブレーション機能の音、これ らにより学習環境が悪化することは、学習する権利 を奪うことになります。
静かに授業を受けましょう。
なお、教員が私語をしている学生に適切な注意を 行うことはハラスメントにはなりません。
池袋相談室(6号館1階)
新座相談室(6号館3階)
春・秋季人権週間プログラム等 講演会・映画上映会
人権・ハラスメント対策センターでは、毎年度人権に関する講演会や映画上映会を 開催しています。2013~2018 年度に開催した内容を下記に収録していますので、是非 アクセスしてご覧になってください。
① 公開授業&講演会:「スポーツ指導者として、
どこまでが指導でどこからがハラスメントなのか」
日 時:2019年6月24日(月) 会場:新座キャンパス
講 師:溝口 紀子氏 スポーツ社会学者、柔道家、日本女子体育大学・大学院教授
※2020 年開催の東京オリンピックに向け、日本におけるスポーツへの関心が急速に高まっている中、近年、様々 なスポーツ界におけるハラスメント等がマスコミなどに多く取り上げられ、社会問題にもなっています。五 輪などの国際大会で、選手としても仏代表コーチとしてもご活躍され、現在、大学教授の溝口氏から、「師弟 愛とハラスメント」「月経ハラスメント」「武道ハラスメント」「満身創痍ハラスメント」の4つのハラスメン トについて、動画などを交えてお話を伺い、学生や教員からの質問が飛び交いました。
② 講演会:「ここからセクハラ!アウトがわからない男、もう我慢できない女」
日 時:2019年7月13日(土) 会場:池袋キャンパス
講 師:牟田 和恵氏 社会学者(歴史社会学・ジェンダー論)、大阪大学大学院教授
※セクハラはなくなるどころかあちこちで起こっています。セクハラは受け手に大きな被害を与えるだけでな く、組織にとってもハラスメントをした当人にとってもダメージを与えます。なぜ気づかずにセクハラをし てしまうのか、どうしてNOと言うことができないのか、周囲はどのような行動をとればいいのか。これまで の常識を覆す実効的な「新」常識について、お話を伺いました。(表紙参照)
③ 映画上映「愛と法」&講演会「僕がゲイで良かったこと」
日 時:2019年11月11日(月) 会場:新座キャンパス 講 師:平良 愛香氏
日本基督教団川和教会牧師、農村伝道神学校教師、桜美林大学・立教大学兼任講師
※映画『愛と法 OF LOVE & LAW』は、大阪の下町で法律事務所を営む弁護士夫夫(ふうふ)と、そこに全国 から相談にやってくる“自分らしさ”のためにたたかう人々を描いた文部科学省選定の映画です。国際映画 祭でも賞を受賞したこの話題作を上映しました。
また、映画上映に先立ち、同性愛者であることを公言した日本で最初の牧師で、立教大学兼任講師の平良 愛香氏に、同性愛についてご自身の経験や、同性愛者を取り巻く環境についてお話を伺いました。世の中に は名前や性別、環境など与えられたもの、押し付けられたものがいっぱいあり、それが自分にとってしんど い、窮屈なのであれば、そのまま受け入れるのではなく、自分がどうやって生きていきたいか考え、気づき、
探して、つかみ取っていくことが大事なのであると平良氏はメッセージを送りました。
2019 年度に実施した講演会・映画上映会 情報
💻 講演録本文を下記「V-Campus SPIRIT」で公開しています。
https://spirit.rikkyo.ac.jp/human_rights/
「人権・ハラスメント対策センター」⇒「取り組み」⇒「人権週間プログラム講演録」
※立教大学オフィシャルサイト経由でもご覧いただけます。
スマートフォンからも ご覧いただけます。
④ 啓発授業「長時間労働と法律」
~労働問題や労働条件を知り、自分らしい生き方を実現しよう~
日 時:2019年11月28日(木) 会場:池袋キャンパス 講 師:中村 優介氏 江東総合法律事務所、日本労働弁護団事務局次長
木谷 晋輔氏 『東京過労死を考える家族の会』 メンバー
※2019 年 4 月より働き方改革関連法案の一部が施行されました。長時間労働・過労死過労自死の ニュースが後を絶たない今、労災などの法的問題や、労基法改正、過労死ラインの見直し、労働施策総
合推進法の改正、現在の法整備の状況や、職場におけるハラスメントの実態について、労働問題に詳し
い中村弁護士に伺いました。また、過酷な労働環境から同僚を亡くし、自身も体調を崩された木谷氏か らも実体験を伺い、これから社会に出る学生の皆さんに、自分を守るための勇気を持つことの大切さを教えて
いただきました。
⑤ 講演会:「就活生へのセクシュアル・ハラスメント」
日 時:2019年12月12日(木) 会場:池袋キャンパス 講 師:竹下 郁子氏 Business Insider Japan記者
※ビジネスニュースサイト『Business Insider Japan』で、
「就活セクハラ」の記事を書いている竹下氏を講師にお招きし、就活生を取り巻く状況を、男女それぞれの 事例を元にお話を伺いました。WEBで行った「就活セクハラ緊急アンケート」では、回答者の約半数がOB 訪問や面接、インターンシップの場でセクハラ被害に遭ったことがあるという結果となり、近年深刻化する 就活セクハラの実態が浮き彫りとなりました。取材を通して分かった問題点では、学生と企業の社員という 絶対的な権力関係により、精神的にも支配され、断れず、恐怖で内定を辞退した例や、どこに相談すればい いのかわからない、なめられる自分が悪いと被害者の7割以上が誰にも相談できずにいることもわかりまし た。夜遅くに行われるOB訪問やマッチングアプリの普及によって、就活セクハラが国会でも社会問題とし て動き始めた今、立教大学としての対策や被害にあった企業に対する大学側の対応について、キャリアセン ターからもお話を伺いました。また、女性だけに課されるパンプスやメガネ、メイクなどの身だしなみの規 定についてもお話を伺い、これら社会問題に対し、会場からは驚きの声が上がりました。
2018 年度 講演会を5本、ワークショップを実施しました。
<講演会>
1.「ブラックバイトの驚くべき実態とその対処法」
2.「原発避難者に避難元・避難先との二重のつながりの保障を ~日本学術会議の提言をめぐって~」
3.「働きすぎ社会から身を守る!―長時間労働・パワハラの実態と対応―」
4.「これってセクハラ?!どうしたらいいの?」
5.「スポーツにおけるインテグリティと競技能力の向上」
<ワークショップ>
・「自分らしく生きるためのsexual consentについて学ぼう」
2017 年度 講演会を4本、映画上映+監督による講演会1本を実施しました。
<講演会>
1.「知っていますか?外国人技能実習生-もう始まっている多民族・多文化共生社会」
2.「SNS 拡散力の光と影-ネットワーク社会における世論、書き込み、炎上-」
3.「池袋の多文化共生を考える-魅力ある街づくりを共に実践する取り組み-」
4.「働きすぎ社会から身を守る!-長時間労働・パワハラの実態と対応-」
<映画上映+監督による講演会>
・映画「ちづる」上映
2017~2018 年度に実施した講演会・映画上映会
情報
春・秋季人権週間プログラム等 講演会・映画上映会
人権・ハラスメント対策センターでは、毎年度人権に関する講演会や映画上映会を 開催しています。2013~2018 年度に開催した内容を下記に収録していますので、是非 アクセスしてご覧になってください。
① 公開授業&講演会:「スポーツ指導者として、
どこまでが指導でどこからがハラスメントなのか」
日 時:2019年6月24日(月) 会場:新座キャンパス
講 師:溝口 紀子氏 スポーツ社会学者、柔道家、日本女子体育大学・大学院教授
※2020 年開催の東京オリンピックに向け、日本におけるスポーツへの関心が急速に高まっている中、近年、様々 なスポーツ界におけるハラスメント等がマスコミなどに多く取り上げられ、社会問題にもなっています。五 輪などの国際大会で、選手としても仏代表コーチとしてもご活躍され、現在、大学教授の溝口氏から、「師弟 愛とハラスメント」「月経ハラスメント」「武道ハラスメント」「満身創痍ハラスメント」の4つのハラスメン トについて、動画などを交えてお話を伺い、学生や教員からの質問が飛び交いました。
② 講演会:「ここからセクハラ!アウトがわからない男、もう我慢できない女」
日 時:2019年7月13日(土) 会場:池袋キャンパス
講 師:牟田 和恵氏 社会学者(歴史社会学・ジェンダー論)、大阪大学大学院教授
※セクハラはなくなるどころかあちこちで起こっています。セクハラは受け手に大きな被害を与えるだけでな く、組織にとってもハラスメントをした当人にとってもダメージを与えます。なぜ気づかずにセクハラをし てしまうのか、どうしてNOと言うことができないのか、周囲はどのような行動をとればいいのか。これまで の常識を覆す実効的な「新」常識について、お話を伺いました。(表紙参照)
③ 映画上映「愛と法」&講演会「僕がゲイで良かったこと」
日 時:2019年11月11日(月) 会場:新座キャンパス 講 師:平良 愛香氏
日本基督教団川和教会牧師、農村伝道神学校教師、桜美林大学・立教大学兼任講師
※映画『愛と法 OF LOVE & LAW』は、大阪の下町で法律事務所を営む弁護士夫夫(ふうふ)と、そこに全国 から相談にやってくる“自分らしさ”のためにたたかう人々を描いた文部科学省選定の映画です。国際映画 祭でも賞を受賞したこの話題作を上映しました。
また、映画上映に先立ち、同性愛者であることを公言した日本で最初の牧師で、立教大学兼任講師の平良 愛香氏に、同性愛についてご自身の経験や、同性愛者を取り巻く環境についてお話を伺いました。世の中に は名前や性別、環境など与えられたもの、押し付けられたものがいっぱいあり、それが自分にとってしんど い、窮屈なのであれば、そのまま受け入れるのではなく、自分がどうやって生きていきたいか考え、気づき、
探して、つかみ取っていくことが大事なのであると平良氏はメッセージを送りました。
2019 年度に実施した講演会・映画上映会 情報
💻 講演録本文を下記「V-Campus SPIRIT」で公開しています。
https://spirit.rikkyo.ac.jp/human_rights/
「人権・ハラスメント対策センター」⇒「取り組み」⇒「人権週間プログラム講演録」
※立教大学オフィシャルサイト経由でもご覧いただけます。
スマートフォンからも ご覧いただけます。
④ 啓発授業「長時間労働と法律」
~労働問題や労働条件を知り、自分らしい生き方を実現しよう~
日 時:2019年11月28日(木) 会場:池袋キャンパス 講 師:中村 優介氏 江東総合法律事務所、日本労働弁護団事務局次長
木谷 晋輔氏 『東京過労死を考える家族の会』 メンバー
※2019 年 4 月より働き方改革関連法案の一部が施行されました。長時間労働・過労死過労自死の ニュースが後を絶たない今、労災などの法的問題や、労基法改正、過労死ラインの見直し、労働施策総
合推進法の改正、現在の法整備の状況や、職場におけるハラスメントの実態について、労働問題に詳し
い中村弁護士に伺いました。また、過酷な労働環境から同僚を亡くし、自身も体調を崩された木谷氏か らも実体験を伺い、これから社会に出る学生の皆さんに、自分を守るための勇気を持つことの大切さを教えて
いただきました。
⑤ 講演会:「就活生へのセクシュアル・ハラスメント」
日 時:2019年12月12日(木) 会場:池袋キャンパス 講 師:竹下 郁子氏 Business Insider Japan記者
※ビジネスニュースサイト『Business Insider Japan』で、
「就活セクハラ」の記事を書いている竹下氏を講師にお招きし、就活生を取り巻く状況を、男女それぞれの 事例を元にお話を伺いました。WEBで行った「就活セクハラ緊急アンケート」では、回答者の約半数がOB 訪問や面接、インターンシップの場でセクハラ被害に遭ったことがあるという結果となり、近年深刻化する 就活セクハラの実態が浮き彫りとなりました。取材を通して分かった問題点では、学生と企業の社員という 絶対的な権力関係により、精神的にも支配され、断れず、恐怖で内定を辞退した例や、どこに相談すればい いのかわからない、なめられる自分が悪いと被害者の7割以上が誰にも相談できずにいることもわかりまし た。夜遅くに行われるOB訪問やマッチングアプリの普及によって、就活セクハラが国会でも社会問題とし て動き始めた今、立教大学としての対策や被害にあった企業に対する大学側の対応について、キャリアセン ターからもお話を伺いました。また、女性だけに課されるパンプスやメガネ、メイクなどの身だしなみの規 定についてもお話を伺い、これら社会問題に対し、会場からは驚きの声が上がりました。
2018 年度 講演会を5本、ワークショップを実施しました。
<講演会>
1.「ブラックバイトの驚くべき実態とその対処法」
2.「原発避難者に避難元・避難先との二重のつながりの保障を ~日本学術会議の提言をめぐって~」
3.「働きすぎ社会から身を守る!―長時間労働・パワハラの実態と対応―」
4.「これってセクハラ?!どうしたらいいの?」
5.「スポーツにおけるインテグリティと競技能力の向上」
<ワークショップ>
・「自分らしく生きるためのsexual consentについて学ぼう」
2017 年度 講演会を4本、映画上映+監督による講演会1本を実施しました。
<講演会>
1.「知っていますか?外国人技能実習生-もう始まっている多民族・多文化共生社会」
2.「SNS 拡散力の光と影-ネットワーク社会における世論、書き込み、炎上-」
3.「池袋の多文化共生を考える-魅力ある街づくりを共に実践する取り組み-」
4.「働きすぎ社会から身を守る!-長時間労働・パワハラの実態と対応-」
<映画上映+監督による講演会>
・映画「ちづる」上映
2017~2018 年度に実施した講演会・映画上映会
情報
●講演会レポート 法学部政治学科 竹中千春教授
『部長、その恋愛はセクハラです!』に続き、2018 年に『ここ からセクハラ!アウトがわからない男、もう我慢できない女』を刊 行された牟田和恵先生に、力強い講演をしていただきました。
欧米で「セクシュアル・ハラスメント」という概念が現れたのもさほ ど昔ではなく、日本では「性的嫌がらせ」と訳され、「セクハラ」の 略語が広がりました。裁判でこの語が使われた 1989 年には流 行語大賞を取り、1999 年に男女雇用均等法が改正されて「事業 主の防止(配慮)義務」となったそうです。とはいえ、20 年前に遡
ります。しかし、まだまだセクハラは蔓延っている。なぜか。牟田先生はこの問いへの答えをくださいました。
第1に、強要していないなら許されるという誤った常識がある。しかし、偉い人が加害したとき、弱い立場の被害 者はとても「ノー」と言えません。第2に、「好色な悪漢」に見えない、紳士的な男性が加害をしている。混乱します。
第3に、露骨なわいせつ行為でなければセクハラではないという誤解。たいしたことじゃない、という甘えです。つま り、加害者だけでなく、被害者や周囲の人々もセクハラを許容しやすい社会構造や常識が変わっていない。これを
「ビルトインされた鈍感さ」と、牟田先生は批判します。
大学キャンパスの問題も、牟田先生は「ハラスメント問題が写し出す大学の病」(『現代思想』、2014 年)という論 文で指摘されました。立教大学は、人権・ハラスメント対策センターやジェンダー・フォーラムを中心に、各部署も協 力してセクシュアル・ハラスメントに取り組んできています。牟田先生には、もっともっと努力できると激励されました。
セクハラは、人間が互いに尊重して共同生活を営めるかという、人間社会の根本問題に関わります。「セクシュア ル・ハラスメント」という外来語はわかりにくい。仮に「心身に嫌なことをしないで」と言いかえると、もう少し身近にな るでしょうか。つま先を踏まれたら痛いし、「止めて」と言う。「痛い」と叫ぶ人が横にいれば、隣の人は助けようとす る。そういう人間としての気づきと助け合いが大事だと示唆する、現代の言葉の一つが「セクハラ」ではないかと考 えます。
「ハラスメント」も英語ですが、「いじめ」と言いかえたらどうでしょう。レイプは極限の性暴力ですが、そこまでいか なくても、あらゆる性的ないじめは残酷な犯罪です。しかも、弱い立場の人々がいじめられやすい。上司に対する部 下、先生を前にした学生、日本に暮らす外国籍の人々や留学生。ですから、セクハラのない大学とは、いじめのな いキャンパスです。牟田先生のお話にさまざまなことを考え、改めて身の引き締まる思いでした。先生にエンパワー していただいた 2 時間でした。心から感謝いたします。
立教大学
人権・ハラスメント対策センター
2019 年度 人権週間プログラム
講演会 『ここからセクハラ!
アウトがわからない男、もう我慢できない女』
立教大学は、個人のアイデンティティ、思想や信条の自由を理念としています。人権・ハラスメント対策センターは、
この理念に基づき、ハラスメントの防止と発生時の問題解決をサポートしています。
人権意識の高いキャンパス環境を目指して、毎年、人権に関する講演会や映画上映会を開催しています。
2019 年度に開催された講演会についての講演録は人権・ハラスメント対策センターHPに掲載しています。
過去に実施した講演会・映画上映情報も掲載しているので、ぜひアクセスしてみてください。
https://spirit.rikkyo.ac.jp/human_rights/
■人権・ハラスメント対策センター 相談室
何かありましたらお気軽に、下記の人権・ハラスメント対策センターまでご相談ください。
キャンパス 池 袋 新 座
場 所 6号館1階 6号館3階
開 室 時 間 月 ~ 金 9:00~17:00 連絡先 : 池袋相談室 ☎ 03-3985-3192
新座相談室 ☎ 048-471-7396
E-Mail : jinken@rikkyo.ac.jp
池袋キャンパスマップ
(6号館人権・ハラスメント対策センター相談室の位置)
新座キャンパスマップ
(6号館人権・ハラスメント対策センター相談室の位置)
人権 2019Spring と同じキャンパスマップを、池袋・新座ともお願 いいたします。
授業中のマナーについて
学生の皆さんには、良好な学習環境の中で授業を 受ける権利があります。例えば、私語、スマートフォ ンによる撮影音、バイブレーション機能の音、これ らにより学習環境が悪化することは、学習する権利 を奪うことになります。
静かに授業を受けましょう。
なお、教員が私語をしている学生に適切な注意を 行うことはハラスメントにはなりません。
池袋相談室(6号館1階)
新座相談室(6号館3階)