���・� 行 列
m×n個の数a (i= 1,2,…,m;j= 1,2,…,n)をm 行,n列の形
= a a
…
… a
a a
…
… a
…
…
…
…
… a a
…
… a
に並べたものを行列(matrix)と呼び,
= ( ) = (a )
で表す.a を行列の要素(element)という.行列式の場合と異なり,行の数 mと列の数nは必ずしも等しくない.特に,m =n の行列を正方行列とい う.a が i =j のとき 1,i ≠j のとき 0の正方行列を単位行列と呼び,
で表す.
学の 表現の方が解釈が容易なため,そちらが主流になっている.しかし
1
行列は 量子力学の式を表現するための便利な道具である.また実
行列による取り扱い
上巻の 1章で述べたように,Heisenbergが量子力学を導入したとき行列に よる表現を用いた.現在では,Schr�diongerの波動力学に基づく量子力
ree-Fock法,CI法などでは対角化などの行列演算が必須であ
,
.この章 では,行列および行列と量子力学の関係について述べる
際の応用である Hart
とにする.
る こ
柱の文章が2字から5字までは字取り5倍の揃えにす
校 は コ ピ ー 2 通
ノン ブル:
序文
・目 次は
、i ii
〜と なる る
5字以上はベタ
= 1 0
…
… 0
0 1
…
…
… 0
…
…
…
0 0 0
… 0 1
または ( )��=δ�� (15・1・1)
である.また,行列 の行と列を入れ替えた行列を の転置行列と呼び, � で表す.すなわち
�= a�� a��
…
… a��
a�� a��
…
… a��
…
…
…
…
… a��
a��
…
… a��
または a���(�)��= ( )��=a��(15・1・2)
である.
次に行列についての定義をあげておく.行列 と は,対応する要素がす べて等しいとき,等しいとする.すなわち,
( )��= ( )��のとき = (15・1・3) 二つの (m,n)行列 , に対して, と の和 は次のように定義される.
= + =
a��+b�� a��+b��
…
… a��+b��
a��+b�� a��+b��
…
… a��+b��
…
…
…
…
…
a��+b�� a��+b��
…
… a��+b��
(15・1・4)
すなわち,行列の和 の要素は行列 , の対応する要素の和である.減法 についても同様である.例えば, = のとき, - の各要素は 0とな るが,これを零行列と呼び, で表す.
数�と行列 の積� は次のように定義される.
15 行列による取り扱い
… …
…
…
… 2
柱の 章が2字か文 5字までは字取り5倍の揃えにする 5字以上はベタ
ら
��・� Born-Oppenheimer近似
系に含まれるn個の電子の番号を i= 1,2,…,n,N 個の原子核の番号を A= 1,2,…,N とする.また,A番目の原子核の電荷と質量を原子単位で Z�,M�とすると,ハミルトン演算子は次のようになる.
^H = -∑
���
�1
2��-∑
���
� 1
2M���- ∑
�����
���Z�
r��+∑
���
�1 r��+ ∑
���
�Z�Z�
R��
(16・1・1) ただし,n個の電子の座標を �,�,…,�,N 個の核の座標を �,�,…, � として,r�� ��- ��は電子iとj の距離,R�� � �- ��は核AとB の距離, �� ��- ��は電子i と核Aの距離である.なお,原子の場合は N = 1であるから,上式の右辺の最後の項は存在しない.Schro�dinger方程 式
^HΨ=EΨ (16・1・2) を解いて得られる波動関数Ψには,電子の座標 τ�,τ�,…,τ�(スピン座標をσ�
として,τ�= (�,σ�))と核の座標 �,�,…, �とが含まれているはずであ 固定され た核のポテンシャルの中で運動すると考える (Born-Op
33
nheimer近似).こ のポテンシャルエネルギー曲面 (PE
原子核の運動の考慮
いままで,電子の波動関数を求めるとき,原子核の運動を無視してきた が,この章ではこの運動も考慮することにする.その際,原子核は電子に比 べてはるかに重く,電子に比べて極めてゆっくり動くので,電子は
Sの形状が分子振動を決定する.なお,ポテンシャルエネルギーに関連 pe
Hellmann-Feynmanの定理についても述べる.
E
S)の最低の極小点が分子の平衡位置を,
P し
て
章
柱の文 が2字から5字 は字取り5倍 揃えにする 5字以上はベタ
まで
校
は コ ピ ー 2 通
ノン ブル:
序文
・目 次は
、i ii
〜と なる の
る.これらの座標をまとめて,それぞれτおよび と表すことにする.すな わち,
Ψ(τ�,τ�,…,τ�; �,�,…,�) Ψ(τ;) (16・1・3) である��.ところで,原子核は電子に比べてはるかに重いので,電子に比べて ゆっくり運動するはずである.そこで,電子は固定された核の場の中で運動し ていると考えると,上のΨは
Ψ(τ;)=Ψ��(τ;)Ψ����( ) (16・1・4)
の形に分離できるであろう.ただし,Ψ��(τ;)は核の座標 をパラメータ として含む電子の波動関数,Ψ����( )は核の波動関数である.(16・1・4)の近 似をBorn-Oppenheimer(ボルン-オッペンハイマー)近似という��.(16・1・
1)で,��は だけに,��は だけに作用する.また,��Ψ��(τ;)= 0と してよい (Ψ��に はパラメータとして含まれており, にあまり依存しな い,特に核の平衡位置の近傍では にほとんどよらない).これらのことを考 慮して,(16・1・1),(16・1・2)および (16・1・4)より
Ψ����( )-∑
���
�1
2��- ∑
�����
���Z�
r��+∑
���
�1 r��+∑
���
�Z�Z�
R��Ψ��(τ;)
+Ψ��(τ;)-∑
���
� 1
2M���Ψ����( )=EΨ��(τ;)Ψ����( )
上式の両辺をΨ��(τ;)Ψ����( )でわって,変形すると 16 原子核の運動の考慮
1)(16・1・2)からわかるように,この章では核の運動を含むSchr�dionger方程式が時間に依 存しない,エネルギー一定の定常状態を扱っている.反応を取り扱う場合などには,原 子核を波束とみなして,時間に依存するSchr�dionger方程式を解くことも行われる.
2)Born-Oppenheimer近似に近い用語として,断熱近似がある.両者はしばしば同義語と して使われるが,区別する場合もある.詳細については,例えば,近藤 保 編,大学院 講義 物理化学,東京化学同人 (1997)参照.
4 3
文 の 章が2字
柱 から5字までは字 5倍の揃えにする 5字以上はベタ
取り
���・� 分子の対称性と群論
群論(group theory)とは群 (ある条件を満たす集合.条件についてはすぐ 後に詳しく述べる)の性質を研究する学問である.天才的な数学者Galois(ガ ロア) により代数方程式の対称性を表現する言語として導入された後,対称 性との関連で,数学だけでなく物理学,化学,経済学など広い学問分野で応用 されている.物理学の分野では,はじめに結晶型の分類に用いられたが,量子 力学の登場によって,固有状態の諸性質を研究するための強力な武器として使 われるようになった.本書でも,分子の対称性を利用すると,エネルギー固有 値を求めるための永年方程式が簡単になり,電子状態が対称性によって分類さ れるとともに,CI計算も大幅に簡略化されることを述べた (上巻p.279,p.
329など).このような考察は群論を用いると系統的に行うことができる.さ らに,摂動による状態の分裂の様子や電子,振動および回転各状態間の遷移の 選択則などを詳しい計算をすることなく知ることができる.群論は簡単な計算 で分子の有用な性質を議論するための直接的な手段を提供するものである.
この節では,まず,分子の対称性を説明する例としてアンモニアを取り上げ 態,振動状態などを分類 し,摂動に基づく状態の分裂や光遷移の選択則
67
を論じることができる.
1)É.Galois(1811-1
群 論
この章では,分子の対称性を系統的に考察して,それを量子化学の計算に 応用する手段を述べる.その際に用いられる理論が群論である.群論をもと にして,詳しい計算をすることなく,分子の電子状
回逮捕され,21歳で決闘で死んだ.決闘の 前日に書き残した代数理論
など
はるかに時代に先んじており,1870年頃ようやく理解さ れた
832)は共和主義者として 3 は,
.
章
柱の文 が2字から5字まで 取り5倍の揃えに 字以上はベタ
は字
校
は コ ピ ー 2 通
ノン ブル:
序文
・目 次は
、i ii
〜と なる する
5
る.図 17・1(a)において,アンモニア分子をz 軸のまわりに 120
°
回転すれば,分子は元の空間配置になる (三つの水素分子H�,H�,H�は区別しないもの とする).このように,ある物体を動かす操作をしたとき,その物体をもとの 形に重ね合わせることができるとき,その操作を対称操作(symmetry opera- tion)という.対称操作のうち,ある軸のまわりの 2π/nラジアンの回転を記 号C�で表す.ただし,回転の向きは右ねじをまわしたとき,ねじが軸 (図 17・1(a)ではz 軸)の正の方向に進む向きとする (図 17・1(a)参照).軸の上 から見ると,反時計回りが正の向きである (図 17・1(b)).よって,z軸のま わりの 2π/3= 120
°
の回転はC�で,これはアンモニアの対称操作である.z 軸のまわりの 4π/3の回転でも分子はもとの位置に重なる.これはC�の操作 を行った後で,同じC�の操作をもう一度行うことに相当するので,C�C�=C�� (17・1・1) で表すことができる.C�の操作をもう一度行うと (合わせてz 軸のまわりの 2πの回転)分子は最初の位置に戻る.これは効果としては分子を動かさない ことに相当するが,動かさない操作も対称操作の一つと考えてE で表す��.す なわち
17 群 論
1)Eはドイツ語のEinheit(英語のunity)の頭文字である.
図��・� アンモニアの座標軸と対称操作 8
6
文
の 章が2字から5
柱 では字取り5倍の揃えにする
5字以上はベタ
字ま
���・� Slater行列式の間の積分
N 個の原子核とn個の電子からなる分子のSchro�dinger方程式は,原子核 を固定したとき,(16・1・5)から
-∑���
�1
2��- ∑
�����
���Z�
r��+∑
���
�1 r��+∑
���
�Z�Z�
R��Ψ��(τ;)=E��( )Ψ��(τ;) (18・1・1) である.上 式 の ( )内 の 第 4項 は 一 定 値 だ か ら,こ の 式 か ら 次 式 を 得 る ((16・1・7)~ (16・1・11)).
�∑��
�
^H�(i)+∑
���
�1
r��Ψ��(τ;)=E�( )Ψ��(τ;) (18・1・2) ただし
^H�(i) -1
2��-∑
���
�Z�
r�� (18・1・3)
E��( )=E�( )+∑
���
�Z�Z�
R�� (18・1・4) 行列式間の積分 の計算について述べる.次に,一般的な形の Hartr
131
Fockの方程式を導く.
さ ら に,Hartree-Fockの
Hart ree - Fock の方法
原子の 1電子関数を求める Hartree-Fockの式については上巻で示した ((10・1・17)).本章では原子・分子に適用できる一般的な形で,この式を導 くことにする.そのための準備として,まず,二つの Slater
)(またはφ( )β(σ))で表されるときの,Hartree-F ee-
の式を求め て,それをもとにして分子内の電子分布や電気双極子
軌 道 関 数ψ(τ)が 空 間 部 分 と ス ピ ン 部 分 の 積 φ( )α(σ
を考察す る.
k モー
oc ント メ 字
は から で 取 字
柱の文章が2 はベタ
5字ま
校
は コ ピ ー 2 通
ノン ブル:
序文
・目 次は
、i ii
〜と なる り5倍の揃えにする
5字以上
で あ る.な お,原 子 の 場 合 は (18・1・3)で N = 1,(18・1・4)で E��( )=
E�( )とすればよい.以後,しばらくは,Ψ��(τ;)=Ψ(τ�,τ�,…,τ�)と し,(18・1・2)を書き換えて
^HΨ=E�Ψ (18・1・5)
^H =∑
���
�
^H�(i)+∑
���
�1
r�� (18・1・6)
と表すものとする.
いま,n電子系のSlater行列式
Ψ(τ�,τ�,…,τ�)= 1 n!
ψ�(τ�) ψ�(τ�)
ψ�(τ�)
ψ�(τ�) ψ�(τ�)
……
ψ�(τ�)
……
……
……
……
ψ�(τ�) ψ�(τ�)
ψ�(τ�)
(18・1・7)
において,{ψ�}={ψ�,ψ�,…,ψ�}はn個の電子が占めている 1電子軌道で規 格直交系をなすものとする.すなわち
ψ��(τ�)ψ�(τ�)dτ�=δ�� (18・1・8)
である.
本書では,以後計算を進めるに当たって,次の二つのタイプの演算子^F と
^GをSlater行列式で挟んで積分する必要が生じるので,まずその一般的な取 り扱いを述べておこう.
^F(τ�,τ�,…,τ�)=∑
���
�
�f(τ�) (18・1・9)
^G(τ�,τ�,…,τ�)=∑
���
���(τ�,τ�) (18・1・10)
(18・1・6)の第 1項の∑
���
�
^H�(i)は^F に,第 2項の∑
���
�
1/r��は^Gに対応する.
^F,^G はそれぞれ 1電子演算子および 2電子演算子と呼ばれる.
ところで,(18・1・7)の行列式は
18 Hartree-Fockの方法 132
章が2
柱の文 5字までは字取り5倍の揃えにする 5字以上はベタ
字から
���・� 法と他の方法の比較
分子の性質を計算する主な方法として,ab initio法,密度汎関数法 (21 章),半経験的方法 (22章)および分子力学法 (23章)がある.本章ではab
initio分子軌道法について述べるが,ここで後章で取り上げる他の三つの方法
についてもふれておく.
(�)半経験的方法(semi-empirical method)
半経験的方法では,ハミルトニアンを簡単化して量子力学的計算を行う.そ の際,実験値に合うように調節されたパラメータを用いる.半経験的と呼ばれ るのはこのためである.上巻 14章で述べたHu�ckelの分子軌道法は半経験的 方法の最も単純な例である.
(�) 法(ab initio method)
ab initio とはラテン語でfrom the beginningという意味である.ab initio 法では,半経験的方法と異なり,正しいハミルトニアンを使う.また,原則と して,基本物理定数の他は実験値を使わないで計算を進めるので,非経験的方 法(non-empirical method)または第一原理法(first principles method)とも 呼ばれる.
artree-Fock法を用いて 1電子近似の範囲 内で最良のφ�(
169
求める.次に配置間相互作用 (CI)法,摂動法,結合ク ラスター法などを用いて
分子軌道法
ab initio分子軌道法では原則として実験値を使わないで分子の電子状態を 計算する.その際,通常,まず基底状態における 1電子軌道φ�( )を適当 な基底関数系の一次結合で表し,H
の章ではこれらの取り扱い を順に述べることにする.ab initi
)を
軌道法をいろいろな分子に適用した 例は次章で取り上げる.
電子相関を考慮する.こ o分子
文章が2字から5字まで り5倍の揃 の
通
ノン ブル:
序文
・目 次 は字取
ii
〜と なる えにする
5字以上はベタ
は
、i
校 は コ ピ ー 2
柱
i
n i t
a b i o
(�)密度汎関数法(density-functional method)
この方法では波動関数を求めない.その代わりに基底状態の電子密度ρ�( ) を (基底状態のエネルギーを最低にするという条件から)変分原理により決定 する.エネルギーその他の量はρ�( )の汎関数��で与えられる.例えば,E = E[ρ�( )]である.
(�)分子力学法(molecular mechanics method)
この方法ではハミルトニアンや波動関数を使わない.すなわち,量子力学的 方法ではない.その代わり,分子を原子 (球)の集合体ととらえ,分子のエネ ルギーを結合の伸縮,変角,2面角の変化などの力の定数を使って表す.
ab initio法 で は,通 常 ま ず 基 底 状 態 をSlaterの 行 列 式 Ψ�=�φ�φ�φ�φ�
…φ���φ����で表す (ただし,閉核のn電子系の場合).そして,φ�( )を適当 な基底関数系{χ�( )}の一次結合 (18・5・1)で表して,Roothaan-Hallの式 (18・5・14)から 1電子近似の範囲で最良のφ�( )を決定する.しかし,この方 法 (Hartree-Fock法)で求めたΨ�には,水素分子の例で述べたように (上巻
�11・7),電子相関が正しく考慮されていない.Hartree-Fock法では 2個の 電子を交換しても�Ψ���は変化しないという要請はSlaterの行列式を用いるこ とで満たされる.また,Slaterの行列式から,同じスピンをもつ電子は空間 の同じ場所を占めないというPauliの原理が導かれる (上巻 �8・2pp.158- 159).すなわち,Hartree-Fock法には同じスピンをもつ電子間の主な相関は 含まれている.しかし,反対スピンをもつ電子間の相関は全く考慮されていな いのである.Hartree-Fock法でSCF関数を求めた後で,電子相関を取り入 れるためにしばしば使われるのが配置間相互作用 (CI)法 (�19・3)である.そ の 他 に,Mo/ller-Plessetの 摂 動 法 (�19・4),結 合 ク ラ ス ター (coupled-clus- ter)法 (�19・5)などがある.これらの方法はまとめてpost-SCF法と呼ばれ る.
19ab initio分子軌道法
1)汎関数 (functional)とは,ある関数の他の関数空間への写像をいう.例えば,積分値 F= ψ�( )�f( )ψ( )dv は関数ψ( )を指定すると写像として得られる.この関係 を,[ ]を使って F=F[ψ( )]で表し,Fをψ( )の汎関数という.
70 1
文 が章 2字から5
柱の は字取り5倍の揃えにする
5字以上はベタ
字まで
���・� 平 衡 構 造
�16・5で述べたように,分子の平衡構造を求めるには原子核間の反発を含む エネルギー E��=U(��,��,…,��)が極小になる点を決める必要がある.た だ し,��が 原 子 核 の 質 量 で 重 み を つ け た 直 交 座 標m����X�の と き は n= 3N,��が内部座標のときは n= 3N - 6または 3N - 5である.極小点を 求めるには,�16・5で述べたように,∇∇U の値を利用する共役勾配法や準 ニュートン法などが使われる.
まずHartree-Fock法におけるエネルギーの 1次微分について考えてみよ う.(18・5・23)と (18・5・13)より,閉殻の場合には
U =E�+E���=1 2 ∑
�����
�P��(H��+� F��)+E���
=∑
���P��H��+� 1 2 ∑
�������P��P��(μν�λσ)-1
2(μσ�λν) +E��� (20・1・1) については,次の二つの章で取り上げる密度汎 関数法および半経験的分
225
法の場合とも共通するところが多いので詳し く述べた.なお,この章および 21~
分子軌道法の応用
この節ではab initio分子軌道法の応用として,いろいろな分子の性質の計 算例について述べる.計算法
子軌道 n03プ
24章で取り上げる計算例の多くは著者 が主に Gaussia ログラムを用いて計算したものである.
るな
〜i と 章が2字から5字までは字取り5倍の揃えにする
5字以上はベタ
柱の文
校
は コ ピ ー 2 通
ノン ブル:
序文
・目 次は
、i i
t o i
b i ni
a
�U
���=∑
���P���H���
���+1 2 ∑
�������P��P���
���(μν�λσ)-1
2(μσ�λν) +�E���
���
+∑
���
�P��
���H��+� ∑
�������
�P��
���P��(μν�λσ)-1
2(μσ�λν)
(20・1・2) ただし, ∑
�������(�P��/���)P��= ∑
�������P��(�P��/���)を用いた.上式の右辺の 最 後 の 2項 は (18・5・13)か ら∑
���(�P��/���)F��と な る が,こ の 項 は (18・5・
12),(18・5・14)��を用いて次のように変形される.
�∑��
�P��
���F��=∑
���
�
���(2∑
���
���
c���c��)F��
= 2∑
�∑
�
�c���
���(∑
�c��F��)+∑
�∑
�
�c��
���(∑
�c���F��)
= 2∑
�∑
�
�c���
���(ε�∑
�c��S��)+∑
�∑
�
�c��
���(ε�∑
�c���S��)
= 2∑
�ε�∑
���
�c���
���c��S��+∑
���
�c��
���c���S��
(20・1・3) 次に MOφ�=∑
�c��χ�は規格化されているから φ��φ�dv=∑
���c���c��S��= 1 上式を��で偏微分して
�∑��
�c���
���c��S��+∑
���c����c��
���S��+∑
���c���c���S��
���= 0 (20・1・4) (20・1・3),(20・1・4)から (20・1・2)の右辺の最後の 2項は次のようになる.
∑���
�P��
���F��= -2∑
�ε�∑
���c���c���S��
���
20 ab initio分子軌道法の応用
1)(18・5・14)より ∑
�c��F��=ε�∑
�c��S��,この式の複素共役をとると ∑
�c���F���=�
∑�c���S���.ε�は実数,F���=F��,S���=S��であるから ∑
�c���F��=ε�∑
�c���S��, μとνを取り替えると,∑
�c���F��=ε�∑
�c���S��となる.
226
章が2
柱の文 5字までは字取り5倍の揃えにする 5字以上はベタ
字から
���・� Hohenberg-Kohnの定理
いままで,n個の電子を含む原子や分子の系の計算において,波動関数 Ψ(τ�,τ�,…,τ�)を用いてきた.例えば,系のエネルギーは E = Ψ�^HΨdτ から得られる.また,一般に古典的物理量F の期待値はΨをとおして,�F>
= Ψ�^FΨdτから求められた.ところで,波動関数は 4n個の変数 τ�=
��,��,z�,σ�(i = 1,2,…,n)を含むが,物理量の計算にこれほど多数の変数 が必要であろうか.例えば,電気双極子モーメントの期待値は (18・7・4)より
��>= -e ρ( )dv+∑
���
�Z�e � (21・1・1)
で表される.この計算式に含まれている変数は (�,�,z)の三つのみである (�は核の配置を与えるパラメータであるから,変数ではない).すなわち,
hnの定理に より保証される.密度汎関数法は 1951年に Slate
272
唱した Xα法に端を 発する.多電子系の計算が簡単になるので,
密度汎関数法
密度汎関数法(density functional method)では,波動関数の代わりに,基 底状態の電子の確率密度ρ�( )を求め,エネルギーその他の物理量をρ�( ) の汎関数として計算する (E=E[ρ�( )]など).ただし,ρ�( )は通常の 変分法と同様に基底状態のエネルギーを最低にするという条件から求められ る.このような手続きの正当性は �21・1で述べる Hohenberg-Ko
算コストで電子相関を取り入れた計算ができるの で,現在では原子・分
rが提
体表面の計算にも広く応用されるようになって いる.特に,原子
はじめは粒子数の多い固体に用 いられた.1964年に Hohenberg-Kohnの定理が発表されて以来,理論や計算 法も整備され,少ない計
分子への応用が進んだのは,�21・5で述べる勾配補正密 度近似 (G
子や固
)の開発によって計算精度が向上したためである.
DA
・ C
なる
〜と 章が2字から5字までは字取り5倍の揃えにする
5字以上はベタ
柱の文
校
は コ ピ ー 2 通
ノン ブル:
序文
・目 次は
、i ii
Ψの代わりにρを用いれば,変数は 4nから 3に減少するのである��.なお,
上式で��>はρ( )をもとにして計算される.このような関係があるとき,
��>はρ( )の汎関数(functional)であるといい,��>=��>[ρ(r)]で表す (p.170注参照).
さて,n電子系のハミルトニアンは (16・1・8)より
^H��= -1 2∑
���
���-∑
���
�
v(�)+∑
���
�1
r�� (21・1・2) である.ただし
v(�)= -∑
���
�Z�
r�� (21・1・3) は電子iにはたらく原子核からのポテンシャルである.このように電子にはた らく外部からのポテンシャルを密度汎関数理論(density functional theory, DFT)では,外部ポテンシャル(external potential)と呼ぶ.(21・1・2)から わかるように,外部ポテンシャルv(�)と電子数nがわかれば,H^��が決定す る.そしてSchro�dingerの方程式 ^H��Ψ��=E�Ψ��を解けば,固有関数Ψ��と 固有値E�が得られる.その結果,基底状態のエネルギーが決まる.一方,こ のあと述べるHohenberg-Kohnの第一定理は,v(�)とnの代わりに電子密 度を基本的変数として,系の基底状態のエネルギーが決まることを述べてい る.
Hohenberg-Kohnの第一定理
縮重していない基底状態をもつ分子では,基底状態におけるエネルギー,波 動関数,その他の電子的性質は基底状態の電子の確率密度ρ�( )が決まれば 求められる.ただし,エネルギーについては,定数部分の差の任意性は存在す る.
[証 明] この定理を証明するには,ρ�( )が決まれば,電子数nと外部ポ テンシャルv(�)が決まることを示せばよい.このとき,ハミルトニアン^H��
�21・1 Hohenberg-Kohnの定理
1)ただし,実際の応用では,後に述べるKohn-Shamの方程式によることが多く,その場 合には変数の数は基底関数の数などに依存し,3より多くなることがある.
73 2 章
文 が2字から5字までは字取 5倍の揃えにする 5字以上はベタ
り 柱の
���・� 半経験的分子軌道法における近似
次節以下で示すように,半経験的分子軌道法にはいろいろな種類がある.こ こではそれらに共通して用いられる近似について述べることにするが,その前 にまず,ab initio法の筋道を示す.
分子軌道φ�を基底関数χ�で展開したとき,すなわち φ�(�)=∑
���
�c��χ�(�) (22・1・1)
のとき,閉核分子 (電子数n個)の基底状態
Ψ=�φ�φ�φ�φ�……φ���φ���� (22・1・2) では,展開係数c��と軌道エネルギーε�はRoothaan-Hallの式 (18・5・14)
�∑��
�(F��-ε�S��)c��= 0 μ= 1,2,…,m i = 1,2,…,m
(22・1・3) で求められる.ここで,F��はFock行列 (18・5・13),S��は重なり積分であ る.
子にはほとんど適用できない.
本章で述べる半経験的分子軌道(sem
307
pirical molecular orbital,SEMO)
半経験的分子軌道法
最近コンピューターは急速に進歩をしており,ステロイドのような大きい 有機分子もab initio法や密度汎関数法で扱えるようになってきた.しかし,
これらの方法はタンパク質や核酸などの高分
て計算を簡略化したもので,その計算速度はab initio法の 10
iem
000倍であるため,巨大分子の研究にも応用されている.
io
法は ab init法の枠組みに沿っ
0~ 1 の
柱 文章が2字から5字ま 取り5倍の揃えにする 5字以上はベタ
では字
校
は コ ピ ー 2 通
ノン ブル:
序文
・目 次は
、i ii
〜と なる
F��= χ��(�)^F(1)χ�(�)dv�
=H���+ ∑
�����
�P��(μν�λσ)-1
2(μσ�λν) (22・1・4)
S�� χ��(�)χ�(�)dv� (22・1・5) (22・1・4)において,(18・5・10),(18・5・12)および (18・5・8)より
H���= χ��(�)^H�(1)χ�(�)dv�
= χ��(�) -1
2��-∑
���
�Z�
r��χ�(�)dv� コア積分 (22・1・6)
P��= 2∑
���
���
c���c�� 密度行列 (22・1・7)
(μν�λσ)= χ��(�)χ�(�)χ��(�)χ�(�)
r�� dv�dv� 電子反発積分 (22・1・8) なお,(22・1・3)を行列を用いて表すと次のようになる ((18・5・17)).
= � (22・1・9)
以上がab initio 法の要約である.さて,SE法で は 次 の 近 似 に よ りab initio法の計算が簡単化される.
(1)ab initio 法と異なり,全電子を対象とせず,一部の電子 (通常,価電 子)のみを取り上げる.そして,原子の価電子軌道をSTOで表して,それら をMOの基底とする.
この場合,(21・1・6)のコア積分は
H���= χ��(�)^H�(1)χ�(�)dv�
= χ��(�) -1
2��-∑
���
�V�(1)χ�(�)dv� (22・1・10) 22 半経験的分子軌道法
8 0 3
の文章が2字から
柱 では字取り5倍の揃えにする
5字以上はベタ
5字ま
���・� 分 子 力 場
分子力学(molecular mechanics,MM)法は,いままで述べた量子力学的 方法 (ab initio法,密度汎関数法および半経験的方法)とは全く異なり,バネ で結ばれた原子からなる分子のモデルを用い,電子の存在は無視される .結 合の伸縮や結合角の変化 (変角)に伴う力の定数,非結合原子間の相互作用な どをパラメータとして,分子のポテンシャルエネルギーE を原子位置の関数 として求め,Eを極小にすることから,平衡状態における分子の形や分子の いろいろな立体配座を求める.
分子力学法において分子や分子系のポテンシャルエネルギーは次式で表され る.
E =E +E +E+E +E +E +E (23・1・1)
た だ し,分 子 力 学 で は ポ テ ン シャル エ ネ ル ギーは立 体 エ ネ ル ギー(steric の 予測には応用できないが,計算時間が短いので巨大分子 (タンパク質 340
など)や,分子の集団にも適用できるという利点がある.なお,
分子力学法
量子力学的方法では,分子は電荷と原子核の位置とを与えることによって 規定され,分子のいろいろな性質が導かれるが,分子力学法では原子の位置 の他,あらかじめ原子間の結合と種類 (単結合,2重結合など)を設定して 計算を開始する.したがって,この方法は結合の組み換えを伴う化学反応
を扱う手 法,QM/MM法と ONIOM法について述べる.
1)原子 (
や核酸
運動を電子の運動と分離して扱うから,Born-Oppenh
�23・3では 量子力学的方法と分子力学法を組み合わせて,大きい系の化学反応
4)を 暗黙のう
核)の
めている
eimer近似 (p.3 る
ちに認 ことにな . ま 柱の文章が2字 字
ブル:
序文
・目 次は
、i i から5
なる では字取り5倍の揃えにする
5字以上はベタ
〜i と
校 は コ ピ ー 2 通
ノン
energy)と呼ばれるので,ポテンシャルエネルギーをE とした.右辺のE は結合伸縮 (stretching),E は結合角の変角 (bending),E は結合のねじれ (twisting),E は面外変角 (out-of-plane bending),E は以上の運動の 間の相互作用 (交差項,cross term)に基づくエネルギーである.また,上式 の最後の 2項は非結合原子間の相互作用で,E は原子間の静電 (electro- static)相互作用,E は原子間のvan der Waals相互作用である.上式の各 項を原子の座標で微分して負の符号をつければ原子にはたらく力が得られるの で,各項を分子力場(molecular force field)という.なお,通常E はkcal molの単位で表される.
分子中の各原子は原子の種類とその環境によっていろいろな原子タイプ (atom type)に分類される.例えば,有機分子において,C原子ではsp(単 結合),sp(2重結合),sp(3重結合),カルボニル,芳香族環などに属するも のは区別される.また,C,O,Nなど異なった原子に結合したH原子は互いに 区別される.次に述べるようにいろいろな分子力場が提案されているが,分子 力場によって原子タイプの種類と数が違う.有機化合物では通常 50~ 70の原 子タイプがある.MM3ではその数は 155に達する.なお,タンパク質などの 大きい分子では,CH やCH を一体のものとして一つのタイプとして取り扱 い,計算時間を減らす試みもされている.
表 23・1に代表的な分子力場を示す.表でCHARMM,OPLS,AMBERな どはほとんど交差項を含まない分子力場である.しかし,巨大分子の平衡構造 やエネルギーを高速で求めるのに適している.MM2やMMFF94は 3次以上 のポテンシャル関数を用い,多くの交差項を考慮した力場で,平衡構造やエネ ルギーの他,基準振動数もよく再現する.MM3やMM4はMM2の改良版 で,電気陰性度,超共役などの化学的効果も考慮した力場である.なお,分子 力学法のプログラム名とそのプログラムで使われている力場とを区別する必要 がある.例えば,CHARMMプログラムパッケージでは,CHARMM力場と MMFF94力場の両方を使うことができる.
次に (23・1・1)の各項を説明しよう.以下の説明で 1,2原子対,1,3原子対,
�23・1 分 子 力 場 341
文 が章 2字から5
柱の は字取り5倍の揃えにする
5字以上はベタ
字まで
���・� 反 応 の 経 路 簡単のため,反応
A+BC→[A…B…C]→ AB+C (24・1・1) が常に直線状の原子配置をとりながら反応する場合を考える.ただし,[A… B…C]は反応の遷移状態の原子配置を表す.この系の自由度はABの原子間 隔R とBCの原子間隔R のみであるから,ポテンシャルエネルギー曲面 (PES)の等高線は図 24・1のようになる.図で左上の �aはR がBCの平衡 間隔に等しくR が大きい始状態,右下の �bはR がABの平衡間隔でR が大きい終状態である.図の上方の ①-�a-② (に相当する紙面上)の経路R を横軸にとって,ポテンシャルエネルギーE の依存性を示すと,図 24・2(a) のようになる.これは分子BCのポテンシャル曲線である.同様に,右方の経 路 ③-�b-② を横軸にとると,分子ABのポテンシャル曲線が得られる.図の 太い点線 �a-�x-�bは谷底 �aを出発して渓谷沿いに移動し,途中で峠 �xを越
364
に観測することはほとんど不可能である.最近フェムト秒のレーザー光を用 いて遷移状態に関する情報を得ようとする試みがあるが,現
化学反応
この章では化学反応を量子化学で取り扱う方法といくつかの例について述 べる.化学反応は簡単なものから複雑なものまで種々様々であるから,量子 化学の計算に際して,系の大きさと必要精度に応じて,ab initio法,DFT 法,SE法などが使い分けられる.反応の遷移状態は寿命が短いので実験的
.特に断らない限り,ここでは原子核を古典粒子として扱う.
1)いままで,ポテンシャルエネルギーを U=E で表してきたが,こ
在のところ,化 学構造などの直接的な情報は理論計算によって初めて与えられるといえよ う
同を避けるため,Eで
の章では内部エネ ルギーUとの混 表すことにする.
字か 柱の文章が2
ル: 序文
・目 次は
、i ii
〜と なる ら5字までは字取り5倍の揃えにする
5字以上はベタ
校
は コ ピ ー 2 通
ノン ブ
えて再び谷底 �bに到達する経路で,ポテンシャル曲線は図 24・2(b)のように なる.この経路は反応物と生成物のポテンシャルが極小であるような経路で,
経路に沿った座標を反応座標(reaction coordinate)という.峠 �xは遷移状態
�24・1 反 応 の 経 路
図��・� 反 応 A+ BC→[A… B… C]→
AB+ C の エ ネ ル ギー曲 面 (PES) の等高線図.点 a,x,bはそれぞれ始 状態,遷移状態および終状態を表す.
図��・� 図 24・1のポテンシャル曲線.(a)①-◯a-②に相当する紙面上の経路R を横軸にとった場合,(b)反応座標を横軸にとった場合
365 柱の文章が2字から5字までは字取り5倍の揃えにする
5字以上はベタ