平成20年度先導的地域情報システムの開発・調査事業
「 電子契約システムの導入による公共サービスの効率化に関する調査研究 」
調 査 報 告 書
平成21年3月
財団法人ニューメディア開発協会
この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。
http://ringring-keirin.jp
■■ 目 次 ■■
第1章 調査研究の概要 ... 1
1.1 公共サービスにおける電子契約システム導入の背景・目的...1
1.2 調査研究の実施体制...2
第2章 実証実験について ... 4
2.1 実証実験の目的...4
2.2 実証実験の実施範囲及び実施方法...4
2.3 実証実験の実施結果(公共サービス向け電子契約システムの標準仕様)... 10
2.4 実証実験から導出された課題... 20
2.5 その他、従前からの課題... 30
2.6 公共サービス向け電子契約システムを導入するにあたって留意すべき事項.... 31
第3章 社会基盤システムとして電子契約システムを確立していくために ... 34
3.1 公共サービス向け電子契約システムを社会基盤システムとして確立する必要性 ... 34
3.2 社会基盤システムとして電子契約システムを確立するための提言... 36
3.3 公共サービス向け電子契約システム提供実現へのロードマップ... 40
【資料編】... 42
■公共サービス向け電子契約ASPサービス導入効果の試算... 42
■公共サービス向け電子契約ASPサービス利用料の考え方... 49
■電子入札コアシステムにおける落札者決定通知書のXML定義... 52
■ASPサービス向けSLAにおけるサービス項目のモデルケース... 58
■オンライン申請を実施する際のインセンティブ付与... 62
■ユニバーサルデザイン関連... 65
■公共サービス向け電子契約システム画面遷移イメージ... 71
■研究会開催記録... 72
はじめに
近年、我が国では e-Japan 戦略からはじまり、IT 新改革戦略、重点計画-2007、重点計 画-2008、さらに、「デジタル新時代に向けた新たな戦略 〜三ヵ年緊急プラン〜」(IT戦略 の今後の在り方に関する専門部会 2009年3月)等では、IT化による住民や事業者といっ た利用者にとっての利便性の向上、業務の効率化やコスト削減が大きく謳われています。
行政においては、住民や事業者向けのサービスとして電子入札や電子申請などのサービス は提供されているものの、電子契約システムについては導入・提供にまでは至っていませ ん。一方、民間対民間(B2B)における契約締結では、すでに電子契約サービスがASP等 により提供されており、利用率も伸びています。
そこで、利用者(事業者)の利便性と効率化の観点から、行政における電子契約の早期 導入の実現を目的に、特に民間事業者によるASPサービス事業提供の可能性について検討 する「官公庁における電子契約導入研究会」を平成19年11月に設置致しました。
本年度の同研究会では、行政における契約締結業務フローの標準化、契約システムに必 要な機能の整理等、公共サービス向け電子契約システムの標準仕様策定を中心に調査研究 を行いました。また、G2B(2B)による入札から契約締結までを一気通貫で行うことが可 能となる電子契約システムを導入することで、行政・事業者の業務効率化、コスト削減だ けでなく、地域産業の活性化に資するために、社会基盤システムとして確立する必要性を 説き、国及び地方公共団体に対する提言をとりまとめました。さらに、公共サービス向け 電子契約システム提供までのロードマップを描いています。
本調査研究の成果が、我が国のより一層の電子自治体の推進並びに利用者の利便性・効 率性の向上、地域産業の振興、地域事業者の経営力の向上等に資すれば幸いです。
最後になりましたが、本研究会に参加し活発な討議をしていただいた研究会メンバーの 皆様、また実務的な立場からご助言いただいた地方公共団体職員の皆様に対し、心より感 謝申し上げます。
平成21年3月
官公庁における電子契約導入研究会 主査 松田 貴典
第1章 調査研究の概要
1.1 公共サービスにおける電子契約システム導入の背景・目的
急速な情報通信技術の進展を背景に、2006年にIT戦略本部において決定された「IT新 改革戦略」では、「世界一便利で効率的な電子行政」を実現することが目標として掲げられ、
「国・地方公共団体に対する申請・届出等手続におけるオンライン利用率を2010年度まで
に 50%以上とするなど、利便性・サービス向上が実感できる電子行政を実現する」ことが
謳われている。
この目標に対し、電子自治体に関しては、現状ITの基盤整備等が着実に進展する一方で、
必ずしも住民や事業者といった利用者が、その利便性やサービス向上を実感できていない のが実情であり、利用者の満足度向上や簡素で効率的な行政運営の実現が大きな課題とな っている。
この公共サービスの向上の一つに、主に事業者を対象とした公共調達業務がある。この 調達関連業務には業者登録や入札、契約締結業務などが挙げられる。このうち、入札の電 子化は、都道府県レベルでは2008年度には95.7%の導入率となるなど、かなり進みつつあ るが、契約締結業務の電子化はいまだ実現していない。一方、民間対民間(B2B)向けに は、建設業界等において電子契約ASPサービスが導入され、調達、見積、契約といった関 連業務の電子化による業務の効率化、印紙税不要によるコスト削減が実現しつつある。
このような背景のもと、平成19年度に地方公共団体向け ASPによる電子契約サービス 導入の可能性を探るべく、その効果と課題抽出に関する調査研究を実施し、電子契約シス テム導入による次の効果と課題を整理した。
図. 地方公共団体における住民サービスの進捗状況
(出典:地方自治情報管理概要 平成20年10月(総務省)) 19 .1 %
44 .7 %
7 8.7 % 87 .2 %
9 5 .7 %
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度
ホームページの開設率 汎用受付システムの導入率 公共施設予約のオンライン化率 電子入札の実施率(公共工事)
電子納付の実施率 電子入札の急激な実 施率の上昇
■ 導入による効果
・ 契約方法、手続きおよび採用技術に関するガイドラインを策定し、業務フローの 標準化を図ることで、社会基盤システムとして電子契約システムを利用すること により、行政・受注事業者(主に中小企業事業者)の利便性向上、業務効率化(=
コスト削減効果)※1が図れる。
・ サービス提供事業者にとっては、新たなビジネスマーケット創出
■ 導入に向けての諸課題
・ 地方公共団体における契約締結業務フローの標準化
・ 電子署名の方式、電子証明書の検証方法に関する標準仕様の策定
・ 契約に係る電子文書の保管に関する標準仕様の策定
・ 契約書に係る電子文書の第三者閲覧方法に関する標準仕様の策定
さらに、上記の課題に加え、社会基盤システムとすることで、産業振興の観点から受注 事業者(中小企業)やサービス提供事業者に対する公的機関からの支援策の必要性につい ても、早期実現に向けての課題であると位置付けた。
本年度は上記の課題の解決に向け、以下の内容について調査研究を実施し、公共向け電 子契約システムの導入により、行政業務の効率化、地域産業の振興と中小企業等のIT化に よる経営力の向上を目指すものである。
■平成21年度の調査研究概要
¾ 公共サービスにおける契約締結業務フローの標準化
¾ 公共サービス向け電子契約システムとして必要な基本機能の整理
¾ 公共サービス向け電子契約システムに求められるユーザビリティの整理
¾ 上記の内容をもとにした公共サービス向け電子契約システム標準仕様の策定
¾ 社会基盤システムとしての公共サービス向け電子契約システムの確立
1.2 調査研究の実施体制
外部有識者、事業者メンバー及び地方公共団体メンバーからなる「地方公共団体向け電 子契約システムの導入による公共サービスの効率化に関する調査研究委員会」(主査:大阪 成蹊大学 松田 貴典教授)を設置して調査研究を実施した。
なお、実証実験については、実証実験コンソーシアムを組織し、実施した。
※1業務効率化(=コスト削減効果):試算結果は巻末の「資料編」を参照。
図.調査研究の実施体制
「地方公共団体向け電子契約システムの導入による公共サービス の効率化に関する調査研究会」
研究委員:<主査>松田貴典(大阪成蹊大学 教授)
<副主査>篠原 健(追手門学院大学 教授)
<アドバイザー>福本洋一(第一法律事務所 弁護士)
メンバー企業:㈱コンストラクション・イーシー・ドットコム
㈱三菱東京UFJ銀行 ㈱帝国データバンク 日本電子認証㈱
協力団体:京都府 大阪府 兵庫県 堺市
事務局:(財)ニューメディア開発協会
(財)関西情報・産業活性化センター
(株)NTTデータ 代表幹事者
(財)関西情報・産業活性化センター 実証実験コンソーシアム
第2章 実証実験について 2.1 実証実験の目的
契約締結業務を電子化する目的(狙い)は、契約締結業務フロー、取り扱うデータ項目 及び機能の標準化を図ることによる地方公共団体の業務改善と受注者(=事業者)に対す る利便性の向上に寄与することにある。標準化による具体的な効果としては、汎用的な契 約システムの導入によるコスト削減、地方公共団体内部でのデータ連携による業務効率化 等が考えられる。
そのために、地方公共団体における契約締結業務の電子化を実現するにあたって、第一 義的に解決すべき課題は、特に地方公共団体側の契約締結業務フローの標準化である。現 状、業務フローは地方公共団体ごとに異なり、さらに各担当部署によってもさまざまな業 務フローにより遂行されていると推測される。ASP サービスを利用するためには、まずは 業務の標準化(共通化)を図り、その有効性・妥当性を検証する必要がある。本研究会で は、複数の地方公共団体で汎用的に利用できる標準的な契約締結業務フローを策定し、模 擬的に契約締結業務を実施できる環境を構築し、標準業務フローと基本機能に関して検証 することを目的に、実証実験を行う。
2.2 実証実験の実施範囲及び実施方法
2.2.1 実証実験で対象とする業務範囲本研究会では、調達関連業務(「入札関連業務」、「契約締結関連業務」、「支払関連業務」)
のうち、契約書の受け渡し、署名、契約書の保管等、契約締結関連業務を対象範囲として いる。なお、標準的な契約締結業務フローを作成するにあたっては、一般的に地方公共団 体の中で最も取扱い件数が多いと言われる「建設・工事」関係の契約を対象とした。
図.実証実験の対象業務範囲
契約締結関連 契約締結関連
業務業務 入札関連業務
支払関連業務
事業者登録
契約伺 入札参加資格申請
入札執行 開札・落札
契約保証金支払(※1)
契約書・関連書類の 提出(※2)
契約書(案)受取り 契約書(案)への
記名・押印
※1:「契約保証金」の代わりに「履行保証保険 証券」とする場合もある 地方公共団体庁舎に来庁
地方公共団体庁舎に来庁 業者情報システム
①業者情報の 登録 行政文書管理システム
①起案文書の登録
契約書に調印 行政文書管理システム
③契約情報の登録
支払
行政文書管理システム
④検査完了情報の登録
・・・調達業務支援システム
・・・契約締結業務
発注者(甲:地方公共団体) 受注者(乙)
契約情報登録
(契約締結)
地方公共団体庁舎に来庁もしくは 電子入札システムで入札
入札参加 電子入札システム
②入札情報の登録
・・・(電子)入札(システム)
内容確認後、
記名・調印
※場合によっては 契約内容を変更
(=変更契約)
検査実施 事業者登録
2.2.2 実証実験の進め方
本研究会における実証実験の進め方を次の図に示す。
2.2.3 実証実験の内容
実証実験の実施内容は次のとおり。
(1) 契約締結業務フローの標準化
契約締結業務の電子化にあたっては、標準的な契約締結業務フローを検討する必要 がある。
具体的には、契約締結業務において発生する処理を抽出し、それぞれの処理におけ る対応パターンを明確にし、それらの処理の組み合わせによって業務フローを作成す る。具体的には、前述の対象範囲における発注者側(地方公共団体)及び受注者側(事 業者)にて発生する処理を次の表のように整理した。
調査シート
業務調査
(実証実験参加団体)
各業務について以下の調 査を依頼
・契約業務手続きの手順
・入力パラメータ 契約締結業務の
パラメータ整理表
機能洗い出し
契約締結業務で 必要な機能
機能の標準化 契約締結業務フロー の標準化
契約締結業務フロー
(標準化案)
実証実験システム 構築
実証実験 システム
実証実験
標準仕様の策定
表.契約締結業務において発生する業務処理の内容
発注者側(地方公共団体) 受注者側(取引先)
No. 処理 処理内容 No. 処理 処理内容
1 電子契約システム(ホーム ページ)アクセス
電子契約システムによる契約締結を行うた めのホームページへのアクセス
1 電子契約システム(ホームペ ージ)アクセス
電子契約システムによる契約締結を行う ためのホームページへのアクセス
2 ID/パスワード入力
ID/パスワードによるシステムへのログイン
2 ID/パスワード入力
ID/パスワードによるシステムへのログ イン
3 契約書案件名登録
契約締結を行う案件名を登録(将来的には、
電子入札システムとの連携により、自動的に 情報を取得できる仕組みへ拡張できるように する)
3 契約書(案)受信
発注者が電子契約システムに送信し(仮 登録)した契約書(案)を受信
4 受注者名(取引先名)登録
契約締結を行う相手方(受注者、取引先)を 登録(将来的には、電子入札システムとの連 携により、自動的に情報を取得できる仕組み へ拡張できるようにする)
4 契約書(案)受信確認
契約書(案)を受信したことを発注者(地 方公共団体)に自動的に連絡
5 契約締結日登録
契約締結日を登録
5 受注者名記名
契約書(案)に受注者名を記名
※ 発注者側で予め記名した契約書
(案)を作成
6 契約金額登録
契約金額を登録(将来的には、電子入札シ ステムとの連携により、自動的に情報を取得
できる仕組みへ拡張できるようにする) 6 署名付与
契約書(案)に受注者署名を付与
7 その他、必要なデータ項目 の登録
除外条項、前払金額、瑕疵担保期間など、
契約案件によって追加が必要なデータ項目
を登録 7 契約書(案)送信
記名・署名付与した契約書(案)を電子契 約システムに送信(仮登録)し、発注者
(地方公共団体)が契約書(案)を受信で きる旨、発注者へ通知
発注者側(地方公共団体) 受注者側(取引先)
No. 処理 処理内容 No. 処理 処理内容
8 契約書(案)作成
契約締結を行う契約書(案)を作成
8 契約書(案)到達確認
記名・署名付与した契約書(案)が電子 契約システムに送信(登録)され、発注者
(地方公共団体内)が契約書(案)を受信 したことを確認する
9 契約書(案)管理
契約締結を行う契約書の公開/非公開を設 定・管理
9 契約締結完了通知受信
発注者(地方公共団体)が契約書(案)に 記名・署名付与した契約書を電子契約シ ステムに送信(登録)し、契約締結が完 了した旨、受注者に自動的に通知・受信
10 契約書(案)送信
作成した契約書(案)を電子契約システムに 送信(仮登録)し、受注者(取引先)が契約書
(案)を受信できる旨、受注者へ通知 10 契約締結完了通知受信確認
契約締結完了通知を受信したことを確認 した旨、発注者に自動的に通知
11 契約書(案)到達確認
作成した契約書(案)が電子契約システムに 送信(仮登録)され、受注者(取引先)が受信
したことを確認する 11 契約書の利用・閲覧
契約締結が完了した契約書を監査など により、閲覧
12 契約書(案)受信
受注者が記名・署名付与し、電子契約システ ムに送信(仮登録)した契約書(案)を受信
※ 発注者側で予め記名された契約書(案)
を作成し、これに受注者が署名した契約 書(案)を受信
13 契約書(案)受信確認
契約書(案)を受信したことを受注者(取引 先)に自動的に連絡
14 発注者名記名
契約書(案)に発注者名を記名
※ 発注者側で予め記名済み
発注者側(地方公共団体) 受注者側(取引先)
No. 処理 処理内容 No. 処理 処理内容
15 署名付与
契約書(案)に発注者署名を付与
16 契約書保管(契約締結完 了通知)
契約書(案)への記名、署名付与が完了した 契約書を電子契約システムへ送信(登録)
し、契約締結が完了した旨、受注者へ通知
17 契約書の利用・閲覧
契約締結が完了した契約書を監査などによ り、閲覧
(2) 公共サービス向け電子契約システム基本機能の検討
公共サービス向け電子契約システムに必要とされる基本機能について、次の表に示 す。
表.公共サービス向け電子契約システムに必要とされる基本機能
サービス名 機能名称 機能の概要
1.契約基本サービス
①調達支援業務 調達支援業務として、調達案件の登録・管理、入札公告 等の入札・見積依頼に必要な手続及び手続に必要な書 類の作成支援に関する機能。
②契約締結支援業務 契約締結支援業務として、契約書・請書の授受及び関 連書類(契約書、請書、発注書等)の作成依頼に関する 機能。
③状況照会業務 状況照会業務として、調達案件の業務進行状況の紹介 及び契約書(地方公共団体保持分)の原本性検証等に 関する機能
2.契約書原本保管サービス
①原本保管業務 原本保管業務として、契約書に付与された利用者(事業 者)側のタイムスタンプや電子署名等を検証する。本サ ービスとして原本性を保証する手段(タイムスタンプや 電子署名の付与等)を講じるとともに、定められた期 間、保管し、必要に応じて破棄を行う。
②原本利用業務 原本利用業務として、事業者や第三者からの検索要求 に従い、契約書等を検索し、契約書等及び関連する情 報(証拠情報等)を提供する。また、事業者や第三者か らの検証要求に従い、契約書等の原本性の検証を行 い、結果を返したり、事業者側で契約書等の検証を行っ たりする。
契約書等の原本性の検証とは、契約書等に元々、付与 されていたタイムスタンプや電子署名の検証とともに、
本サービスにより付与されたタイムスタンプや電子署名 等の検証を含む。
3.情報公開サービス
①情報公開業務 利用者の要求に応じた該当情報の検索、編集及び利用 者への提供。
②利用者支援業務 情報公開の利用者向けに最新情報等を提供。
(3) 電子契約システムの操作性
システム利用者のアクセシビリティを向上するため、万人にとって使いやすい、ユ ニバーサルデザインを導入することが必要となる。実証実験では、「システム内で使 用される用語の分かりやすさ・統一感」、「ナビゲーションの分かりやすさ」、「システ ム内で表示されている文字サイズ」について、内容の確認を行った。
2.3 実証実験の実施結果(公共サービス向け電子契約システムの標準仕様)
2.3.1 契約締結業務フローについて
(1) 契約締結業務フローについて
実証実験を実施した結果、契約締結業務フローについては、各団体で大きな違 いは見受けられなかった。しかし、B2Bで行われている一般的な契約締結業務フ ローとは異なり、発注者が受注者に対して渡す契約書は「(案)」の段階のもので ある。したがって、発注者の記名、署名は付されていない契約書(案)が、受注 者に渡されることになる。
(2)契約締結時に添付する書類について
契約締結時に添付する書類は、「発注者から受注者へ渡す書類」と「受注者から 発注者へ提出する書類」の2つに大別される。以下に、受け渡しされる主な書類 を挙げる。ただし、契約を行うために独立した部局(例:契約局。以降、「契約局」
とする)を持つ地方公共団体では、契約書以外の書類は、基本的には各原課の管 理としているため、契約局での管理は「契約書のみ」となる場合が多い。
表.契約締結時に発注者・受注者間で受け渡しを行う書類(契約書以外)
発注者から受注者へ渡す書類
図面
仕様書
監督職員通知書 その他
受注者から発注者へ提出する書類
契約保証金納付領収書(履行保証保険証券)
工程表
下受け業者通知表 監理技術者等通知書 監理技術者等変更通知書 その他
以上の実証実験の実施結果から、公共サービス向け契約締結業務フロー及び電子 契約システムを開発・サービス提供する際に留意すべき事項は次のとおりである。
図.地方公共団体における契約締結業務フローの標準仕様の例
イ ン ター ネッ ト L
G W A N
/ 庁 内 L A N
/ イ ン ター ネッ ト 等
発注者
(甲:地方公共団体)
受注者
(乙)
①職員ログイン 職員がシステム操作の ためにID・パスワード等 でログインできること
②契約書(案)の作成 職員が電子データにて契 約書(案)を作成できるこ と(発注者情報・受注者 情報ともに記名)
④契約書(案)の送信 作成した契約書(案)を Web画面から受注者に送 信できること
③契約書(案)の登録 作成した契約書(案)を契 約システムへ登録し、公 開/非公開操作や更新・
削除が管理できること
契約書(案)
⑥契約書(案)の受信 受信した契約書(案)を Web画面から取り出すこ とができること
⑤受注者ログイン 受注者がシステム操作 のためにID・パスワード 等でログインできること
到達通知 送信通知
⑦契約書(案)へ記名 契約書(案)に社名など 必要事項を記名できるこ と
※「②」の段階で記名済
⑧契約書(案)へ署名 契約書(案)に電子署名 を押印できること
⑰状況照会 調達案件の契約締結業 務処理状況を照会できる こと
⑨契約書(案)の返信 契約書(案)を発注者へ Web画面から返信できる こと
契約書(案)
返信通知
⑩契約書(案)の受信 受信した契約書(案)を Web画面から取り出すこ とができること
⑪契約書(案)の確認 受信通知
受信した契約書(案)の 内容を確認できること
⑫契約書(案)へ記名 受信した契約書(案)に必 要事項を記載できること
※「②」の段階で記名済
⑬契約書(案)へ署名 契約書(案)に電子署名 を押印できること
契約書(確定版)
⑭契約書の保管
(仮完了)
確定した契約書の原本を 保管(仮完了)できること
⑱契約書の利用・閲覧 契約書(案)を発注者へ Web画面から返信できる こと
契約締結完了通知
契約締結完了受信通知
監査人・金融機関等
(丙)
⑲第三者ログイン
第三者がシステム操作 のためにID・パスワード 等でログインできること。
ただし、ログイン権限は、
発注者または受注者が 認めた者に限る
⑳契約書の利用・閲覧 契約書(案)を発注者へ Web画面から返信できる こと
契約書(案)の作成
契約書への 記名・署名
契約書の保管
契約書の参照
⑯契約書の利用・閲覧 契約書を閲覧・利用でき ること
契約締結手続きの流れ
他システムへの登録 文書管理システム、契約 事務システムなど、他の システムへ登録
証明書の有効性確認
(受注者証明書に対して) 受注者側で付与された電 子署名の証明書の有効 性をCRLにより確認でき ること
認証局(民間)
認証局(LASDEC)
証明書の有効性確認
(発注者証明書に対して) 発注者側で付与された電 子署名の証明書の有効 性をCRLにより確認でき ること
電子入札コアシステムとの連携 電子入札コアシステムの「落 札者決定通知書」データと データ連携を行う
⑮契約書の保管
(完了)
確定した契約書の原本を 保管(完了)できること
表.契約締結業務の電子化にあたって留意すべき事項
留意すべき事項 電子契約システムを利用した
契約締結
¾ 発注者/受注者双方で、電子契約システム
(電子契約 ASP サービス)を利用して、契約 締結を行うことを事前に了解しておく必要 がある。(例:入札公示の際に、契約締結の 条件として「電子契約システムで契約締結す る旨に同意する等)
契約書(案)の作成 ¾ 建設工事に関する契約書は、「建設工事請負 契約書」との名称にて、ほぼ各団体が共通の 様式を利用し、受注者に提供している(一部 の団体では、受注者側で作成したり、各建設 業協会より紙ベースで受注者に購入させる 場合もある)。
¾ したがって、当該電子契約システムでは、「建 設工事請負契約書」をベースに、各利用団体 で雛形を作成することを前提とする。
契約保証金領収書などについて ¾ 契約保証金や履行保証保険証券(履行ボン ド)については、H21 年 3 月現在、国土交通 省にて当該書類の電子化に関する勉強会を 開催中(※平成 20 年度中に勉強会は終了予 定 国土交通省ホームページより)である
(「入札ボンド・履行ボンドの電子化に関す る勉強会」)
¾ したがって、当該電子契約システムでは、契 約保証金納付領収書や履行保証保険証券の 扱いは国土交通省の仕組みを参考にする。
仕様書、図面などの取り扱い について
¾ 仕様書、図面は必ずしも契約書と一対の資料 として保管する必要がないとの解釈がある こと、また建設・工事関連業務における仕様 書・図面は膨大な量になり、ネットワーク上 でやりとりすることが現実的ではないこと、
さらには多くの自治体では建設・工事関連業 務の場合、仕様書・図面は原課が管理してい ることなどを勘案し、原則として、電子契約 システムでの取り扱いの範疇としない。
2.3.2 電子契約システムで必要な機能
実証実験を実施した結果、公共サービス向け電子契約システムで必要となる機 能は、先述の基本機能が主になるが、機能概要(要件)として、いくつかの機能 追加が必要となった。以下、結果を示す。
表.電子契約システム機能の標準仕様(案)
対象者
追加 すべき
機能
サービス
項目 機能名称 機能概要 関連する記載事項/書類等 留意事項・備考等
利用者認証機能 ID/パスワードの認証によるサービス利用のアクセス制限機能を提 供
− −
ユーザ権限判断機能
認証を正しく通過した利用者のユーザ ID をもとに、その利用者の権 限(管理者、一般利用者、第三者)の判断を行い、サービスを利用で きる権限をコントロールする機能を提供
− −
追加機能 認証 サービス
ユーザ ID 発行 機能
管理者権限を持つユーザは、一般利用者ユーザ ID を発行できる機能 を提供
− −
基本機能 契約締結支援 機能①
契約締結支援業務として、契約書(案)の作成・登録・管理に関する 機能を提供
¾ 契約締結に必要な契約関連情報を入力できること
¾ 契約締結に必要な契約関連書類を当該地方公共団体のデータ領域 に格納・登録できること
¾ 受注者に契約関連情報・書類を送信する前に、入力・登録した情 報・書類の内容を確認できること
¾ 登録した契約関連情報・書類の公開・非公開操作や更新・削除の 管理・設定ができること
⇒各団体において契約書(案)を PDF ファイルにて作成のうえ、受注 者に配布できるようにする。また、契約書(案)への記名は Adobe 社 Acrobat の電子記名(署名)機能を利用するものとする。
また、将来的な既存業務システムとの連携を考慮し、右の「関連す る記載事項/書類等」に記載された項目が既存業務システムと電子契 約システムにおいて受け渡しができるようにし、当該項目が自動的に 契約書に割り当てられる機能が拡張できるようにする。
◎電子契約システムに登録すべき情報
■ 契約者情報
・発注者名
・受注者名(受注者 ID)
■契約書情報
・契約書様式
・関連契約番号
・契約名(工事名)
・区分(新規・変更・追加・取り消し)
・品目区分(追加:「建設・工事」、「測量・建設コ ンサルタント等」、「委託役務、物品」)
・元契約番号
・注文番号
・契約期間(工期)
・契約締結日
・契約金額
・契約概要
・自由記入欄1〜3
■ 送信書類:契約書(案)及び補足書類
・契約書
・補足書類
・コメント
■ 契約関連書類名(自由記入)
■ 書き込み項目制限書類作成方法
・ Word 文書の場合、受注者側で書き換えられる可能性 があり、行政側で「チェック」作業が新たに発生す る)
(※電子申請システムの場合、PDF で作成すること が一般的)
■ 京都府における契約書様式
・ 京都府の基準工事契約書様式に基づき、落札決定後、
落札業者が作成。当該様式は、電子データで自ら作 成は、または、各建設業協会より紙ベースで購入し ている。
◎参考
大阪府及び堺市では、国土交通省等が発行する契約書 雛形に沿ったものを使用。
自治体職員向け︵甲︶機能
基本機能
契約基本 サービス
契約締結支援 機能②
契約締結業務を支援する機能として、契約書・請書の授受に関する機 能を提供
¾ 登録した契約関連情報・書類を受注者が閲覧できるように送信(シ ステムに格納)できること
¾ また、同情報をシステムに格納した後、閲覧可能状態になった旨 を、電子メールで発注者から受注者に電子メールで送信すること
¾ この場合、必要に応じて契約関連番号などの識別子を差し込める ようにすること
¾ 受注者に送信した契約関連情報・書類の到達結果応答を、発注者 端末に表示できること
¾ ここでは、発注者から送信された契約関連情報・書類を受注者が受信 したことの確認情報のみを発注者に伝える。また、必要に応じて契約 関連番号などの識別子を差し込めるようにすること
¾ 受注者からシステムに送信された契約関連情報・書類を受信できるこ と
⇒原則として、図面や仕様書など、契約書以外の添付書類は当該シス テムでは取り扱わないこととする。ただし、原則として仕様書概要版 など、比較的要領の小さい添付ファイルは、当該システムにて取り扱 えるようにする。
■発注者から受注者へ渡す書類
・図面
・仕様書
・監督職員通知書
・その他
■受注者から発注者へ渡す書類
・工程表(業務計画書)
・下請け業者通知表(再委託通知表)
・施行体制表(履行体制表)
・管理技術者等通知書(履行体制表)
・監理技術者等通知書(監督職員通知書)
・監理技術者等変更通知書
・その他
⇒(工事代金内訳書、施行計画書、工事着手届、主 任技術者等経歴書、施行管理担当者経歴書、請負 代金内訳書、資格確認の写し、建退共掛金収納書 届)
■ 契約履行保証
・ 契約保証金、履行保証保険証券(履行ボンド)の電 子化については、国土交通省で勉強会を発足し、検 討中。
■契約書に添付すべき書類
・ 大阪府、堺市など「契約局」を設置している団体の 場合、図面、仕様書等の契約書関連書類は契約局で は扱っていない(各原課で管理)。
・ したがって、電子契約システムで扱う範囲は「契約 書」と「一部の添付書類」程度に留める方が整理し やすい。
■ 契約締結日の扱いについて
・ 電子的に付与されるタイムスタンプと契約締結日の 整合性をどのように担保するのか。
対象者
追加 すべき
機能
サービス
項目 機能名称 機能概要 関連する記載事項/書類等 留意事項・備考等
また、契約関連書類名を登録できる機能は提供する。
基本機能
状況照会機能
状況照会業務として、契約締結業務進行状況の照会に関する機能を提 供
− −
基本機能 認証基盤
サービス 電子署名・押印機能
受注者から受信した契約書に対して、発注者側の電子署名を記名、証 明書を押印(埋め込む)する機能を提供。
¾ LGPKI もしくは特定認証業務指定機関の電子証明書を付された電子 署名を契約関連書類に付与できること
¾ (財)日本データ通信協会認定タイムスタンプ認定事業者にて検証可 能なタイムスタンプを契約関連書類に付与できること
¾ の電子証明書を付された電子署名を契約関連書類に付与できること
¾ (財)日本データ通信協会認定タイムスタンプ認定事業者にて検証可 能なタイムスタンプを契約関連書類に付与できること
⇒「LGPKI 証明書利用者の手引(ASP サービス提供者及び公的機関編)
第 1.5 版(財)地方自治情報センター 2008 年 10 月 22 日)」を参 考に、電子契約 ASP サービスからも LGPKI が参照できる仕組みを提供 すること。
※ 参考 URL:
http://www.lasdec.nippon-net.ne.jp/cms/resources/content/613/
F-2-3-1̲riyotebiki̲asp̲20081022.pdf
なお、電子署名の明示機能の実現は望ましいが、必須とはしない。
(※電子入札システムでは署名のイメージを明示していない)
■ 発注者が署名する順番
・受注者から先に記名・押印する。
■ 発注者証明書(職(官)責証明書の利用
・発注者は地方公共団体となるため多くの場合、利用 する電子証明書は、LGPKI の証明書となる。
しかし、民間が提供する電子契約(ASP)サービスか ら LGPKI への接続が認められていない。
・したがって、電子契約(ASP)サービスからでも、ブ リッジ認証局(BCA)を介して、LGPKI への接続及び 証明書の検証が行えるよう、中央省庁へ働きかけを 行っていく。
■ 採用すべき署名形式
中央省庁で検討されている XML 形式の署名方法の採用 を前提とするが、ASP サービス提供開始当初は、PDF 形 式による署名方式を採用するなど、ソフトランディン グできる仕組みについて検討すべき。
基本機能
契約書原本 保管
サービス 原本保管機能
原本保管業務として、契約書に付与された利用者(事業者)側のタイ ムスタンプや電子署名等を検証する。また、本サービスとして原本性 を保証する手段(タイムスタンプや電子署名の付与等)を講じるとと もに、定められた期間で保管し、必要に応じて破棄を行う機能
⇒既存業務システムとの連携を考慮し、右の「関連する記載事項/書 類等」に記載されている項目は、XML データ等により、エクスポート できる機能を提供する。
■文書管理システム等、既存業務システムへの登録事 項
・取引先名(業者名)
・取引先コード(業者コード)
⇒「団体独自で割り振っているコード」を使用
※地方公共団体によっては、TDB 企業コードと連携 している場合あり。
・契約案件名
・契約案件(管理コード)
・契約締結日
・契約金額
・契約内容(概要)
・その他
■ 他システムとの連携方法
・ 電子契約システムと連携する(と想定される)シス テムとして電子入札システム、調達支援業務システ ム、文書管理システム、財務会計システム等が考え られる。これらのシステムとデータ連携させないこ とには、業務の効率化が図れない。
・ 他システムとデータ連携させられるとすれば、どの ような方法が考えられるか?
■ 取引先コード(業者コード)の統一
・ 発注者及び受注者の業務効率化を図る手段の一つと して、現行の契約締結業務で行われている取引先コ ードの入力がある。これを統一することで、入力の 手間や誤記入の確立が減るとともに、自治体にとっ ては、受注者の信用調査にも利用できる。
■ 電子契約 ASP サービスを乗り換えた場合の契約書 の扱い
・ 行政側が何らかの理由により他社 ASP サービスに乗 り換えた場合、以前利用していた ASP サービスで保 管していた契約書を他社の ASP サービスに移し変え
対象者
追加 すべき
機能
サービス
項目 機能名称 機能概要 関連する記載事項/書類等 留意事項・備考等
ることが可能か?
・ 理想的には、銀行の ATM システム(BANCS:「BANks Cash Service)とは、みずほコーポレート銀行、新生銀行 を除く都市銀行間を接続する CD/ATM の相互接続ネ ットワーク」)のような仕組みの実現。
■ タイムスタンプの必要性
・ タイムスタンプの付与には、電子認証における特定 認証業務の認定のように、主務大臣など信頼できる 組織から認定を受けたもののみを有効とする。
タイムスタンプの付与方式については、長期データ保 管を考慮し、国際標準である RFC3126 等に則した標準 的な技術のものを採用する。
基本機能 原本利用機能
原本利用業務として、事業者や第三者からの検証要求に従い、契約書 等の原本性の検証を行い、結果を返したり、事業者側で契約書等の検 証を行ったりする。
契約書等の原本性の検証とは、契約書等に元々、付与されていたタイ ムスタンプや電子署名の検証とともに、本サービスにより付与された タイムスタンプや電子署名等の検証を含む。
− −
基本機能 情報公開 サービス
第三者契約案件閲覧 権限発行機能
契約締結情報を会計検査院等、契約当事者以外の第三者を対象が閲覧 する場合、システムに保管された契約書の閲覧権限を付与するための 機能を提供
− −
利用者認証機能 ID/パスワードの認証によるサービス利用のアクセス制限機能を提 供
− −
追加機能 認証 サービス
ユーザ権限判断機能
認証を正しく通過した利用者のユーザ ID をもとに、その利用者の権 限(管理者、一般利用者、第三者)の判断を行い、サービスを利用で きる権限をコントロールする機能を提供
−
基本機能 契約締結支援 機能
契約締結支援業務として、契約書(案)の作成・登録・管理に関する 機能を提供
¾ 契約締結に必要な契約関連情報を入力できること
¾ 契約締結に必要な契約関連書類を発注者のデータ領域に格納・登 録できること
¾ 発注者に契約関連情報・書類を送信する前に、入力・登録した情 報・書類の内容を確認できること(※契約書については電子署名 押印機能により、電子署名が付与されたものを登録する)
¾ 登録した契約関連情報・書類の公開・非公開操作や更新・削除の 管理・設定ができること
¾ 登録した契約関連情報・書類を発注者が閲覧できるように送信(シ ステムに格納)できること
¾ また、同情報をシステムに格納した後、閲覧可能状態になった旨 を受注者から発注者に電子メールで送信すること
¾ この場合、必要に応じて契約関連番号などの識別子を差し込める ようにすること
− −
受注者向け︵乙︶
機能
基本機能
契約基本 サービス
状況照会機能
状況照会業務として、契約締結業務進行状況の照会に関する機能を提 供する機能
− −
対象者
追加 すべき
機能
サービス
項目 機能名称 機能概要 関連する記載事項/書類等 留意事項・備考等
認証基盤
サービス 電子署名押印機能
発注者側から受信した契約書に対して、受注者側の電子署名を記名、
証明書を押印(埋め込む)機能を提供。
¾ 特定認証業務指定機関の電子証明書を付された電子署名を契約関 連書類に付与できること
¾ (財)日本データ通信協会認定タイムスタンプ認定事業者にて検証可 能なタイムスタンプを契約関連書類に付与できること
⇒契約書(案)への記名は Adobe 社 Acrobat の電子記名(署名)機能 を利用するものとする。
なお、電子署名が付与された契約書(案)が電子契約 ASP サービス のサーバにアップロードされた段階で、認証局の公開した失効リスト を用いて証明書の有効性を検証し、無効な場合は受注者側に契約書 (案)を差し戻す機能等を提供する。
− ■ 発注者証明書(職(官)責証明書の利用
・ マルチトラスト方式等を採用することにより、電子 入札コアシステムに対応していない電子証明書しか 利用できない電子契約(ASP)サービスであっても、
電子入札コアシステム対応の証明書が利用できるよ うになる。
・ これにより、受注事業者側の負担軽減が図れる(=
複数の電子証明書を用意する必要がなくなる)。
基本機能
契約書 原本保管 サービス
原本利用機能
原本利用業務として、事業者や第三者からの検索要求に従い、契約書 等を検索し、契約書等及び関連する情報(証拠情報等)を提供する。
また、事業者や第三者からの検証要求に従い、契約書等の原本性の検 証を行い、結果を返したり、事業者側で契約書等の検証を行ったりす る。
契約書等の原本性の検証とは、契約書等に元々、付与されていたタイ ムスタンプや電子署名の検証とともに、本サービスにより付与された タイムスタンプや電子署名等の検証を含む。
− −
基本機能 情報公開 サービス
第三者契約案件閲覧 権限発行
機能
契約締結情報を元に融資を受ける際に、金融機関等、契約当事者以外 の第三者を対象が閲覧する場合、システムに保管された契約書の閲覧 権限を付与するための機能を提供
− −
基本機能 認証
サービス 利用者認証機能
ID/パスワードの認証によるサービスへのアクセス制限を行う機能 を提供
− ・ ID/パスワードの発行・運用・管理は誰が行うのか?
⇒ID/パスワードの発行は、サービス利用者となる「発 注者」もしくは「受注者」がサービス提供事業者に対 し、発行の申請を行う。各 ID/パスワードの管理責任 は、申請者が負う。
監査人、
金融機関 向け(丙)
機能
基本機能 情報公開 サービス
契約案件閲覧 機能
監査人、金融機関等、契約当事者以外の第三者が閲覧できる機能を提 供
− −
2.3.3 電子契約システムの操作性
公共サービス向け電子契約システムに求められるユーザビリティやウェブアクセシ ビリティの概要は、次のとおり。
(1)用語の統一
実証実験を実施した結果、公共事業の契約締結業務において使用されている用 語を用いる。具体的には、次のとおり。
統一すべき用語 システム関連
「(契約書(案))」の登録」
「(契約締結)登録仮完了」
「(契約締結)登録完了」
「区分」⇒「区分(「新規」、「変更」、「追加」、「取り消し」から選 択)」
「品目区分」⇒「品目区分(「建設・工事」、「測量・建設コンサル タント等」、「委託役務・物品」から選択)」
書類名等
「契約期間」⇒「契約期間(工期)」 「契約名」⇒「契約名(工事名)」 「属性情報」⇒「契約情報」
「契約用書類」⇒「契約書」
(2)画面上に表示する説明文など
画面上に表示する文言は、専門用語ではなく、平易な分かりやすい文言を利用 すること。
(3)フォームやボタンの表示サイズなど
重要なポイントのものについては、視覚的に大きく、目に入りやく表示するこ と。
(4)誰もが利用できるよう配慮されたデザイン
ユーザビリティやウェブアクセシビリティの考え方にもとづき、「障害のある人 や高齢者を含め、誰でもがウェブサイトのコンテンツを利用できる」ように配慮 されたデザインの適用が求められる。具体的には、W3C勧告として定義されてい る「ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン 1.0」を適用すること が望ましい。なお、ユニバーサルデザイン、ウェブアクセシビリティの詳細は、
巻末の資料編を参照のこと。
2.4 実証実験から導出された課題
2.4.1 既存業務システムとの連携(1)課題
地方公共団体の業務効率化とデータ入力等のミスを防止するためには、特定のシステ ムを単体で導入するだけではなく、関連する既存業務システムとの連携を行う必要があ る。契約締結業務と直接的に連携するシステムは、電子入札システムや契約管理システ ム、文書管理システム等がある。これらの既存業務システムとの連携方法とその実現性 について明確にする必要がある。
(2)解決策
既存業務システムとの連携を図るためには、複数の地方公共団体での調査・実証実験 により、多くの団体で導入されており、かつXMLデータの仕様が公開されている電子 入札コアシステムとの連携により、実現することが望ましい。また、地方公共団体によ っては、契約締結された案件を管理する目的で、「契約管理システム」等を導入してい る場合があることから、電子契約システムと当該システム間でデータ連携を実現する必 要がある。
2.4.1.1 電子入札コアシステムのXMLデータとの連携
(1)電子入札コアシステムとは
電子入札コアシステムとは、国土交通省の外郭団体である財団法人日本建設情報総合 センター(JACIC)の電子入札コアシステム開発コンソーシアムにおいて開発した電子 入札システムのことである。同コンソーシアムの規約改定版の定義によれば、「複数の 公共発注機関に適用可能な汎用性の高い電子入札システムの基幹部分およびこれに密 接に関連する部分」とされている。
国土交通省では電子政府・電子自治体の実現および公共事業改革の重点施策として CALS/EC(公共事業支援総合情報システム)の一体的な推進に取り組んでおり、電子 入札システムはCALS/ECにおける調達サイクルを担うシステムの一つに位置付けられ ている。
同省では、官公庁や全国の自治体が電子入札システムを開発する際における重複投資 の回避を狙い、コアシステムの普及を推進している。各団体がコアシステムを活用する ことで、共通機能を開発する必要がなく、各団体独自の固有機能だけを追加すれば済む ようになる。2002年6月にバージョン 1をリリース、2009年1月時点でバージョン 5.1まで機能拡張している。
最近では、コアシステムの導入に加え、都道府県内の市町村を取り纏めて共同アウト ソーシングとして電子入札システムを構築する事例が増えてきており、独自開発が困難 な小規模市町村にも近隣団体と足並みを揃えてサービスが提供できるような形で普及