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日本人のための節電方法

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Academic year: 2021

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日本人のための節電方法

─家庭と地域の融合システムの提案─

Methods

of saving electricity used for Japanese citizen

- A proposal of united systems between a household and an area -

1W080542-2 弓削田 南     指導教員 長 幾朗 教授        YUGETA Minami               Prof.CHOH Ikuro       

概要:2011年3月11日、宮城県沖を震源とするマグニチュード9.0の東日本大震災により東北を中心とした広い範囲で 壊滅的な被害を受けた。その中でも福島第一原子力発電所の事故は、国際原子力事象評価尺度レベル7に相当する最悪 の事態であった。そしてこれらは人々の意識や社会的ニーズを一変させ、日本全土で「節電・省エネルギー(以下、省エ ネ)」の課題に取り組む姿勢が生まれた。危険な事故を二度と起こさないよう、原子力から自然エネルギーなどの再生可 能エネルギーへの転換に注目が集まり、また「節電・省エネは身近なところからできる震災復興支援の手段」という意 識が芽生えた。

  本論文では、日本における節電・省エネルギー対策を見直すために、国内の現状と他国との比較、現在研究されてい る関連技術の情報収集を行い、日本の特徴を考慮した有効な節電方法とは何かについて考察し、提案した。

キーワード: 節電、省エネ、有効な節電方法

1. スマートハウス

  スマートハウスとは、IT技術の活用による家庭内消費 電力の監視・制御や、省エネルギー設備の積極的な導入 により、家庭内でエネルギー消費の効率的な抑制を行う 住まいである。二酸化炭素の排出量を削減しながら快適 な生活の維持を目指している。太陽光発電システムや省 エネ家電の導入、スマートメーターなどによる電力使用 量の制御が行われる。現段階では、多様な企業が実証実 験に取り組んでおり、経済産業省による委託事業として の「スマートハウス実証プロジェクト」や、企業間の連 携も進んでいる。しかし日本ではスマートハウスに対す る認知度・理解度は低く、他国に比して普及が立ち遅れ ている。

  スマートハウスの利用により30%程度のエネルギー消 費削減に成功しているアメリカ合衆国や、スマートメー ターの導入に伴い年間670億円のコスト削減を果たして いるイタリアの電力会社などの事例を参考として、今後 日本がいかにスマートハウスへの移行を図っていくかが 焦点となっている。本研究では、検証すべき点として使 用電力の「見える化」の効果や公的補助の有無による利 用度の変化などに着目した。

図1. スマートハウスのイメージ

2. スマートコミュニティとエコシティ

  スマートコミュニティとは、家庭やビル、交通システ ムをITネットワークにより繋ぎ、地域全域でエネルギー を有効活用する次世代の社会システムである。風力や太 陽光などの再生可能エネルギーを用いるだけでなく、電 力を制御する仕組みを整備し地域内で融通することによ り節電を実現する。エコシティとは、環境シティ・コン パクトシティ・福祉シティの3要素を併せ持つ都市であ る。

  国内では「次世代エネルギー・社会システム協議会」

が設立され、国内4地域において実証実験が実施されて いるが、その内の1地域、愛知県豊田市では「Smart  Community豊田東山・豊田高橋」と名付けられた実験 のための街が計画され、2015年1月の完成を目指してい る。また過去には、青森県青森市において交通エネル ギー・暖房エネルギーの消費量削減のため、都市のコン パクト化や発電所の廃熱を活かした温水供給などが試み られた事例がある。スマートコミュニティ・エコシティ の課題として、郊外化の進んでいる現実の都市と指向が 相反していることから、市民の支持を得られるのかとい う点と、持続可能な都市構造と言われているが定量的・

科学的な根拠に乏しい点などが挙げられている。またこ れらの構築において考慮すべきことは、自動車の交通量 削減などのための高密度の混合土地利用を推進するこ と、そして行政などによる意識の徹底と全面的な補助が 行われなければ普及し得ないということだ。

3. その他の節電・省エネ方法

 スマートハウス、スマートコミュニティ・エコシティ を除く他の提案から今後有効となるであろう試みについ て考察した。

卒業論文/制作説明書

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  同一木材で四辺を強固に繋いだフレームを並べて居住 空間を作るaerohouse(エアロハウス)では、長期にわ たって使用可能な堅牢な構造とすることで資源を削減 し、また外断熱通気工法・空気循環システムなどを用い て温度や通気性を維持するなどの工夫がなされている。

 図2. エアロハウスの構成図

また藤村[*1]の提案による非電化製品は、電気を用いず に電化製品と同様の効果をもたらす。現在製品化されて いる製品は、除湿器・掃除機など11種類に及んでいる。

藤村は震災以前から原子力発電の危険性を示唆してお り、非電化製品普及のためにアトリエの公開や1年間の 修行場なども設けている。日立製作所が開始した省エネ 支援ASPサービスECO・POM・PA(エコポンパ)は、使 用電力量の見える化を用いた省エネを、促進する行動に 対するコンサルティングをネットワークを介して多店 舗・多拠点企業向けに提供するサービスである。

4. 提案

  本研究では、前述の節電・省エネ方法に対する考察・

意識調査から、現在の日本ではどのようなシステムに ニーズがありまたどのようなシステムが有効かを分析 し、“MY  Smart  Town”を提案した。また本提案では、

事例が多数挙げられていることから、生活者の意識調 査・現状分析・新たな改善要素の発見という3本の軸を 立てて提案した。

  アンケートによる意識調査で洗い出すべき点として、

現在の家屋に関する課題、立地条件に関する希望、必要 の無い家電製品の有無、節電・省エネに対する意識、非 電化製品に対する意見、電気自動車利用の有無、オール 電化に対する不安、スマートメーターの需要度、今後の 日本の予測などの項目を挙げた。そして調査の結果か ら、スマートコミュニティの立地条件が好まれること、

節電に関する認知度の向上と補助制度整備の必要性、電 気自動車の使いやすさ・耐久性についての不安、「見え る化」は有効であるということ、スマートハウスの需要

があることなどが判明した。現状分析からは、スマート メーターの導入が必須であるのに対し、エコキュート・

エネファームなどの導入は先送りにすべきであるとの指 向が生まれた。また高齢者・障害者の利便性を高めるた め治安の良化を促進するために、コミュニケーションを 活性化させて安全な街とし、自動車の交通量を減らすた めに小規模のコミュニティを形成する必要があるという ことが明らかとなった。そして、堅牢かつシンプルな設 計により資源や経費を抑えながらも室温や通気性を維持 した家屋を制作することができるということを知り得 た。

  “MY  Smart  Town”のコンセプトは「昔の暮らしを忘 れる生活」、便利で快適で環境にも配慮し且つ無意識の うちに節電が行える生活の実現を目指す。家屋では、ス マートハウスに加えて人感センサの応用を行う。形態 は、広さと部屋数の多さに特化した戸建て家屋で、デザ インはヨーロッパ建築に倣っている。遮音設備・断熱構 造・空気循環システムが整備され、耐震強度があり頑丈 なので壊れにくい。市街は駅から徒歩15分の距離を半径 とした円形を成しており、中央に駅を配し線路沿いには 商業施設やレストラン・病院などが設けられている。市 街は自動車通行禁止で両端に駐車場が設けられ、電気自 動車の充電が可能である。街中には小学校などが置かれ て、休日には非電化製品の作り方講座などの開催を活発 に行っている。また空き地には樹木の植生を行って原っ ぱを作ることで景観を美しく保つとともに運動スペース としての活用も見込んでいる。ゴミ処理の廃熱を暖房に 使うなどの再生利用も行う。スマートメーターの支給や 新設備取り付けの無料化などの補助金制度を整え、これ らに入居する際に手放した家電製品数に見合った割引 サービスの実施なども行う。また節電センターを駅に隣 接して設置し、電気自動車や省エネ家電の新商品の情報 や環境資産指標などの公開も行う。

5. おわりに

  “MY  Smart  Town”での生活は利便性が高く、またわ ずかな時間でも徒歩で移動する必要があるため健康維持 にも良い。コミュニケーションを活性化することにより 治安を維持し、住民間の交流も保つことができる。市街 で開催されるイベントやスポーツ施設の充実により街中 での身近なレクリエーションを充足することもできる。

このようにして特に意識せずに日常生活内で節電・省エ ネが促進される。このようなスマートハウス、スマート タウンが、次世代において望まれる環境であろう。

注1)藤村靖之 日本の発明家、『愉しい非電化』(洋泉社,2004)

参考文献

1)丸山直美/三橋博巳/廣野桂子/矢口和宏(編著) 『ECOシティ』中央経済社       (2010/5)

2)経済産業省:www.meti.go.jp/

図版

1)経済産業省『環境・エネルギー課題解決産業』

       :www.meti.go.jp/committee/summary/0004660/vision2010c.pdf 2)『aerohouse』:www.aerohouse.net/

卒業論文/制作説明書

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