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指 導 教 員

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Academic year: 2021

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(1)

冠 動 脈 ス テ ン ト 留 置 術 後 に お け る 抗 血 小 板 薬 2 剤 併 用 療 法 の 安 全 性 と 有 効 性 に 対 す る 抗 潰 瘍 薬 の 影 響

T h e I m p a c t o f A n t i u l c e r D r u g s o n S a f e t y a n d E f f i c a c y o f D u a l - a n t i p l a t e l e t T h e r a p y a f t e r C o r o n a r y S t e n t I m p l a n t a t i o n

平 成 2 5 年 度 論 文 博 士 申 請 者

安 武 夫 ( Ya s u, Ta ke o )

指 導 教 員

庄 司 優

(2)

2

目 次

序 章

1 章 . D AP T に よ る 上 部 消 化 管 出 血 と 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト に 対 す る ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 併 用 の 影 響

1 . は じ め に 2 . 方 法

2 . 1 対 象 症 例 2 . 2 評 価 2 . 3 統 計 解 析 3 . 結 果

4 . 考 察

2 章 . D AP T に よ る 上 部 消 化 管 出 血 に 対 す る H2 受 容 体 拮 抗 薬 と プ ロ ト ン ポ ン プ 阻 害 薬 の 発 生 抑 制 効 果 の 比 較

1 . は じ め に 2 . 方 法

2 . 1 対 象 症 例 2 . 2 評 価 2 . 3 統 計 解 析 3 . 結 果

4 . 考 察

(3)

3

第 3 章 上 部 消 化 管 出 血 低 リ ス ク 症 例 に お け る 、D AP T に よ る 上 部 消 化 管 出 血 と 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト に 対 す る H2 受 容 体 拮 抗 薬 の 影 響 1 . は じ め に

2 . 方 法

2 . 1 対 象 症 例 2 . 2 評 価 2 . 3 統 計 解 析 3 . 結 果

4 . 考 察

終 章

1 . 総 括 と 結 論 2 . 結 語

参 考 文 献

謝 辞

(4)

4

序 章

日 本 は 高 齢 化 社 会 や 食 の 欧 米 化 に 伴 い ,動 脈 硬 化 や 生 活 習 慣 病 罹 患 患 者 が 増 加 し ,虚 血 性 心 疾 患 の 発 生 が 増 加 し て い る 。厚 生 労 働 省 の 平 成 2 3 年 人 口 動 態 統 計 で は , 心 疾 患 が 死 因 の 第 2 位 ( 1 5 . 6 % ) で あ る 。そ の う ち 虚 血 性 心 疾 患 に よ る 死 亡 は 約 半 数 の 7 万 8 千 人 を 占 め る 。

虚 血 性 心 疾 患 の 治 療 に は ,カ テ ー テ ル に よ る 内 科 的 な 経 皮 的 冠 動

脈 イ ン タ ー ベ ン シ ョ ン( P e r cut a ne o us co ro na ry i nt e r v e nt i o n; P CI )

と 外 科 的 な 冠 動 脈 バ イ パ ス 手 術 が あ る 。冠 動 脈 疾 患 の 治 療 に お い て

は ,狭 窄 ま た は 閉 塞 し た 冠 動 脈 の 血 行 再 建 が 重 要 で あ り ,侵 襲 性 の

低 い P CI が 主 流 を 占 め る 。 P CI の 冠 動 脈 ス テ ン ト 留 置 術 に 使 用 さ

れ る 冠 動 脈 ス テ ン ト は ,金 属 製 ス テ ン ト よ り も ,長 期 的 に 再 狭 窄 を

抑 制 す る こ と が 可 能 な 薬 剤 溶 出 性 ス テ ン ト ( D rug -e l ut i ng

st e nt ; D ES ) が 多 数 の 症 例 に 使 用 さ れ て い る 。 し か し , D ES は 血

管 内 皮 の 修 復 反 応 の 遅 延 を き た す た め ,血 栓 性 閉 塞 で あ る ス テ ン ト

血 栓 症 の 発 生 リ ス ク を 長 期 的 に 抱 え て し ま う 。そ の た め ,ス テ ン ト

血 栓 症 の 発 生 率 は 1 % 未 満 と 低 い も の の , 発 生 す れ ば 致 命 的 と な り

得 る こ と か ら , D ES 留 置 後 は ア ス ピ リ ン と ク ロ ピ ド グ レ ル に よ る

抗 血 小 板 薬 2 剤 併 用 療 法 ( dua l -a nt i pl a t e l e t t he ra py : D AP T ) を

最 低 で も 1 年 間 継 続 す る こ と が 推 奨 さ れ て い る

1 )

。 長 期 の D AP T

は , 消 化 管 出 血 や 脳 出 血 な ど の 重 篤 な 出 血 性 合 併 症 が 問 題 と な る 。

重 篤 な 出 血 性 合 併 症 が 発 生 す る と , 止 血 処 置 と し て , D AP T を 中 止

せ ざ る を 得 な い 。そ の 結 果 ,ス テ ン ト 血 栓 症 や 心 血 管 イ ベ ン ト の 発

生 リ ス ク が 増 加 す る た め ,出 血 性 合 併 症 の リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト は 非

(5)

5

常 に 重 要 と な る 。出 血 性 合 併 症 の 中 で ,上 部 消 化 管 出 血 は 抗 潰 瘍 薬 に よ る 発 生 抑 制 が 期 待 で き る 。D AP T で 用 い る ア ス ピ リ ン は 上 部 消 化 管 出 血 の リ ス ク 因 子 で あ り ,ク ロ ピ ド グ レ ル と の 併 用 に よ り ,さ ら に リ ス ク が 上 昇 す る

2 )

。 過 去 の ca se -co nt ro l st u dy で , 重 度 の 消 化 管 出 血 に 対 す る ハ ザ ー ド 比 は 非 抗 血 小 板 薬 療 法 群 に 対 し て ,ク ロ ピ ド グ レ ル 単 剤 群 で 1 . 1 ,ア ス ピ リ ン 単 剤 群 で 1 . 8 , D AP T 群 で 7 . 4 と 報 告 さ れ て い る

3 )

。そ の た め ,上 部 消 化 管 出 血 の 発 生 抑 制 に 対 し て ,プ ロ ト ン ポ ン プ 阻 害 薬 ( pro t o n -pum p i nhi b i t o rs: P P I )の 併 用 が 2 0 0 8 年 の 米 国 心 臓 病 学 会 財 団 / 消 化 器 病 学 会 / 心 臓 協 会 の 抗 血 小 板 薬 療 法 の 消 化 管 障 害 リ ス ク 低 減 に 関 す る エ キ ス パ ー ト コ ン セ ン サ ス ガ イ ド

4 )

で は 推 奨 さ れ て , 臨 床 現 場 で も 頻 用 さ れ て い る 。

D AP T で 使 用 さ れ る チ エ ノ ピ リ ジ ン 系 の ク ロ ピ ド グ レ ル は 血 小

板 の P 2 Y1 2 受 容 体 に 不 可 逆 的 に 結 合 し , 血 小 板 凝 集 を 抑 制 す る 。 同 チ エ ノ ピ リ ジ ン 系 で あ る チ ク ロ ピ ジ ン よ り も 血 液 毒 性 や 肝 障 害 の 発 生 が 少 な く , 安 全 性 が 高 い 。 ク ロ ピ ド グ レ ル は チ ト ク ロ ー ム P 4 5 0 ( CYP ) 1 A2 , 2 B6 , 2 C9 , 2 C1 9 と 3 A に よ り 活 性 化 さ れ る プ ロ ド ラ ッ グ で あ る 。 CYP 2 C1 9 遺 伝 子 多 型 は ク ロ ピ ド グ レ ル 抵 抗 性

5 )

や 臨 床 転 帰 に 影 響 を 及 ぼ す 要 因 と し て 報 告 さ れ て い る

6 , 7 )

。ま た ,

CYP 2 C1 9 は P P I の 代 謝 に も 関 わ っ て い る

8 )

。 そ の た め , P P I は ク

ロ ピ ド グ レ ル と の 相 互 作 用 の 可 能 性 が 考 え ら れ て い た 。特 に オ メ プ

ラ ゾ ー ル は 強 い C YP 2 C1 9 阻 害 作 用 を 介 し て ,ク ロ ピ ド グ レ ル の 抗

血 小 板 作 用 の 減 弱 を 示 唆 す る 研 究 や 臨 床 転 帰 に 影 響 を 及 ぼ す と い

う 研 究 が 報 告 さ れ た

9 )

。 相 反 し て , ク ロ ピ ド グ レ ル と P P I の 相 互 作

用 は 臨 床 転 帰 に 影 響 を 及 ぼ さ な い と す る 報 告 も 存 在 し ,混 沌 と し た

(6)

6

状 況 で あ る

1 0 )

。 現 在 の と こ ろ , 明 確 な 根 拠 を 示 す 研 究 は 報 告 さ れ て い な い 。こ の よ う な 背 景 で , D AP T の 有 効 性 を 犠 牲 に し な い 出 血 性 合 併 症 発 生 抑 制 の た め の 薬 物 治 療 の 探 究 を 目 標 と し た 。

第 1 章 で は ,代 謝 過 程 に CYP 2 C1 9 の 寄 与 が 少 な い ラ ベ プ ラ ゾ ー

ル の 併 用 が ,D AP T に よ る 上 部 消 化 管 出 血 と 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト に

影 響 す る か に つ い て 検 討 を 行 っ た 。 2 0 1 0 年 の 米 国 心 臓 病 学 会 財 団 /

消 化 器 病 学 会 / 心 臓 協 会 の 抗 血 小 板 薬 療 法 の 消 化 管 障 害 リ ス ク 低 減

に 関 す る エ キ ス パ ー ト コ ン セ ン サ ス ガ イ ド で は ,消 化 性 潰 瘍 ま た は

上 部 消 化 管 出 血 の 既 往 が な い 症 例 に お い て ,ク ロ ピ ド グ レ ル と P P I

の 相 互 作 用 問 題 も 考 慮 し , H 2 受 容 体 拮 抗 薬 ( hi st a m i ne

H2 -re ce pt o r a nt a g o ni st : H2 RA )も 選 択 肢 の ひ と つ で あ る と 報 告 し

た 。 そ こ で , 第 2 章 で は 上 部 消 化 管 出 血 低 リ ス ク 症 例 に お け る ,

D AP T に よ る 上 部 消 化 管 出 血 に 対 す る H2 RA と P P I の 発 生 抑 制 効

果 の 比 較 を 行 っ た 。さ ら に , P P I の 長 期 使 用 に よ る 弊 害 が 報 告 さ れ ,

上 部 消 化 管 出 血 低 リ ス ク D AP T 施 行 全 症 例 に P P I を 投 与 す べ き か

ど う か は 疑 問 で あ る 。そ こ で ,第 3 章 で は 上 部 消 化 管 出 血 低 リ ス ク

症 例 に お け る ,D A P T に よ る 上 部 消 化 管 出 血 と 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト

に 対 す る H2 RA の 影 響 に つ い て 研 究 を 行 っ た 。

(7)

7

第 1 章 D AP T に よ る 上 部 消 化 管 出 血 と 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト に 対 す る ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 併 用 の 影 響

1 . は じ め に

ラ ベ プ ラ ゾ ー ル は , 非 酵 素 的 還 元 反 応 が 主 代 謝 経 路 で あ り , CYP 2 C1 9 の 寄 与 が 少 な い 。 そ の た め , オ メ プ ラ ゾ ー ル や ラ ン ソ プ ラ ゾ ー ル と は 異 な り ,ク ロ ピ ド グ レ ル へ の 影 響 が 少 な い の で は な い か と の 仮 説 を 立 て た 。本 章 で は ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 併 用 に よ る 消 化 管 出 血 や 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト の 発 生 状 況 に つ い て 後 ろ 向 き コ ホ ー ト 研 究 を 行 っ た 。

2 . 方 法

2 . 1 対 象 症 例

2 0 0 6 年 6 月 か ら 2 0 0 9 年 3 月 の 期 間 に 湘 南 鎌 倉 総 合 病 院 循 環 器 科 に て D ES を 留 置 し た 4 2 3 例 を 対 象 と し た 。除 外 基 準 は D AP T を 1 年 未 満 に 中 止 し た 症 例 , 転 院 や 追 跡 不 能 症 例 , 上 部 消 化 管 出 血 を 惹 起 さ せ る 可 能 性 が あ る 薬 剤( 非 ス テ ロ イ ド 性 抗 炎 症 薬 ,シ ク ロ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ - 2 阻 害 薬 , ス テ ロ イ ド ), H2 RA , オ メ プ ラ ゾ ー ル , ラ ン ソ プ ラ ゾ ー ル の 併 用 と し た 。 ま た , H2 RA と オ メ プ ラ ゾ ー ル , ラ ン ソ プ ラ ゾ ー ル 以 外 の 粘 膜 保 護 薬 , ワ ル フ ァ リ ン , 抗 血 小 板 薬 , O T C の 使 用 は 除 外 基 準 と し な か っ た 。

最 終 的 に 3 0 2 例 が 本 章 の 該 当 と な り , 観 察 期 間 は 3 9 5 . 1 ± 2 7. 7

日 で あ っ た( 図 1 )。D ES 留 置 後 1 年 間 D AP T に ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 1 0

m g を 併 用 し た 1 0 3 例 を D AP T + ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 群 と し た 。 一 方 ,

(8)

8

D AP T の み で 抗 潰 瘍 薬 非 併 用 の 1 9 9 例 は D AP T 群 と し た 。 両 群 と も , D AP T と し て ク ロ ピ ド グ レ ル ( 5 0 -7 5 m g )と ア ス ピ リ ン 腸 溶 錠

( 1 0 0 -2 0 0 m g )を 少 な く と も 1 年 間 継 続 し た 。す べ て の 症 例 は D ES 留 置 1 年 前 後 に 冠 動 脈 造 影 を 施 行 し た 。

2 . 2 評 価

診 療 録 を 用 い て 診 断 , 臨 床 検 査 値 , 処 方 歴 , 薬 剤 管 理 指 導 記 録 を も と に 患 者 背 景 お よ び 服 薬 歴 の 調 査 を 行 い ,診 療 録 に 記 載 さ れ て い る 診 断 や 臨 床 転 帰 を も と に 安 全 性 お よ び 有 効 性 に つ い て 評 価 し た 。

安 全 性 の 評 価 項 目 は 累 積 上 部 消 化 管 出 血 非 発 生 率 と し ,観 察 期 間 中 に お け る D AP T + ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 群 お よ び D AP T 群 の 上 部 消 化 管 出 血 の 発 生 数 を 比 較 し た 。上 部 消 化 管 出 血 は 吐 血 や 下 血 の 症 状 や 進 行 性 の 貧 血 に 対 し て ,内 視 鏡 的 に 潰 瘍 か ら の 出 血 が 確 認 さ れ た も の と 定 義 し た 。 さ ら に , 上 部 消 化 管 出 血 の 重 症 度 を T h r o m b o l y si s In My o ca r di a l I nfa rct i o n の 基 準

11

を 用 い て ,ベ ー ス ラ イ ン か ら の ヘ モ グ ロ ビ ン 低 下 が 3 g / dl 未 満 を m i ni m a l b l e e di ng , 3 -5 g / dl を m i no r b l e e di ng , 5 g / dl を 超 え る 出 血 を m a j o r b l e e di ng と 定 義 し , 評 価 し た 。ま た ,下 部 消 化 管 出 血 に つ い て も 上 部 消 化 管 出 血 と 同 様 の 定 義 に て , 発 生 数 を 調 査 し た 。

有 効 性 の 評 価 項 目 は 累 積 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト 発 生 率 と し ,観 察 期

間 中 に お け る D A P T + ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 群 お よ び D AP T 群 の 主 要 有 害

心 イ ベ ン ト 発 生 数 を 比 較 し た 。主 要 有 害 心 イ ベ ン ト の 定 義 は 心 関 連

死 , 急 性 冠 症 候 群 , ス テ ン ト 血 栓 症 , 標 的 病 変 再 血 行 再 建 と し た 。

さ ら に , ス テ ン ト 血 栓 症 は Aca de m i c Re se a rc h Co nso rt i um

(9)

9

de fi ni t i o n

1 2 )

に 準 じ , 急 性 (D ES 留 置 後 2 4 時 間 以 内 ), 亜 急 性 (2 4 時 間 か ら 3 0 日 ) , 遅 発 性 (3 0 日 か ら 1 年 ) と ク ラ ス 別 け し , 評 価 し た 。

本 章 の 研 究 は 「 疫 学 研 究 に 関 す る 倫 理 指 針 」 に 準 じ , 湘 南 鎌 倉 総 合 病 院 倫 理 委 員 会 の 許 可 を 得 て 実 施 し た 。

2 . 3 統 計 解 析

患 者 背 景 は 2 群 間 に つ い て , Ma nn -Whi t ne y U t e st ま た は χ

2

t e st を 行 っ た 。 2 群 の 患 者 背 景 の 比 較 に つ い て , 年 齢 , 体 格 指 数 ( b o dy m a ss i nde x : BMI ), 留 置 ス テ ン ト 数 は Ma nn -W hi t ne y U 検 定 を 用 い , そ の 他 の 項 目 に 関 し て は χ

2

検 定 を 用 い た 。 累 積 上 部 消 化 管 出 血 非 発 生 率 お よ び 累 積 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト 発 生 率 に つ い て は K a pl a n -Me i e r 生 存 曲 線 を 用 い ,l o g -ra nk 検 定 を 行 っ た 。有 意 水 準 を 0 . 0 5 と 設 定 し , コ ッ ク ス 比 例 ハ ザ ー ド モ デ ル を 用 い て , ハ ザ ー ド 比 お よ び 9 5 % 信 頼 区 間 ( co nfi de n ce i nt e rv a l : 以 下 , C I ) を 算 出 し た 。 統 計 解 析 は S P S S v e r. 11 . 0 を 用 い た 。

3 . 結 果

患 者 背 景 は , 心 筋 梗 塞 の 既 往 と 虚 血 性 心 疾 患 の 家 族 歴 が D AP T +

ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 群 で 有 意 に 多 か っ た 。 ま た , D AP T + ラ ベ プ ラ ゾ ー

ル 群 に お い て は , D ES の 留 置 数 お よ び カ ル シ ウ ム 拮 抗 薬 や β 遮 断

薬 の 使 用 が 有 意 に 多 か っ た ( 表 1 )。 観 察 期 間 に 上 部 と 下 部 を 含 む

消 化 管 出 血 は D A P T 群 で 1 6 例 ( 8 % ), D AP T + ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 群 で

4 例 ( 3 . 9 % ) に 認 め ら れ , 上 部 消 化 管 出 血 に お い て は D AP T 群 で 7

(10)

10

例 , D AP T + ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 群 で 1 例 に 認 め ら れ た ( 表 2 )。 累 積 上 部 消 化 管 出 血 非 発 生 率 は 2 群 間 に お い て 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た ( p = 0.19) ( 図 2 )。 ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 投 与 に よ る 上 部 消 化 管 出 血 発 生 の ハ ザ ー ド 比 は , 0 . 2 7 [95 % co nfi de nce i nt e rv a l (CI ) 0 . 0 3 -2 .2 2 , p = 0.22] で あ っ た 。上 部 消 化 管 出 血 を 発 生 し た 症 例 の う ち ,D AP T 群 の 3 例 に m a j o r b l e e di ng が 認 め ら れ た が , D AP T + ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 群 で は 1 例 も 認 め ら れ な か っ た ( 表 3 )。 下 部 消 化 管 出 血 に お い て も 2 群 間 に 差 は 認 め ら れ な か っ た ( p = 0. 50) ( 図 3 )。 下 部 消 化 管 出 血 の 詳 細 は 憩 室 出 血 6 例 ,虚 血 性 腸 炎 2 例 ,大 腸 癌 1 例 ,大 腸 ポ リ ー プ 1 例 ,痔 核 1 例 ,小 腸 潰 瘍 1 例 で あ っ た 。上 部 と 下 部 を 合 わ せ た 消 化 管 出 血 と し て も 2 群 間 に 差 は 認 め ら れ な か っ た ( p = 0. 17) 。 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト は 追 跡 期 間 中 に D AP T 群 で 1 3 例 ( 6 . 9 % ),

D AP T + ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 群 で 9 例 ( 8 . 7 % ) に 発 生 し た 。 ス テ ン ト 血 栓 症 は , D AP T +ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 群 で 亜 急 性 ス テ ン ト 血 栓 症 を 1 例 , D AP T 群 で 遅 発 性 ス テ ン ト 血 栓 症 を 1 例 発 生 し た 。 2 群 間 に お け る 累 積 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト 発 生 率 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た ( p = 0 . 5 6 ) ( 図 4 )。 ま た , ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 併 用 に よ る 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト 発 生 の ハ ザ ー ド 比 は , 1 . 2 8 (9 5 % CI 0 . 5 4 -3 . 0 0, p = 0.56) で あ っ た 。

4 . 考 察

本 章 の 研 究 か ら , ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 併 用 に て 上 部 消 化 管 出 血 に お け

る m a j o r b l e e di ng の 発 生 は 認 め ら れ な か っ た 。 し か し , 累 積 上 部

消 化 管 出 血 非 発 生 率 に 差 は 認 め ら れ ず ,ラ ベ プ ラ ゾ ー ル の 上 部 消 化

(11)

11

管 出 血 の 発 生 抑 制 効 果 を 確 認 す る こ と は 出 来 な か っ た 。一 方 ,主 要 有 害 心 イ ベ ン ト の 発 生 に お い て は ラ ベ プ ラ ゾ ー ル に よ る 影 響 が 非 常 に 小 さ い と 考 え ら れ た 。

D AP T に よ る 消 化 管 出 血 は M AT CH t ri a l で は 2 . 5 %

1 3 )

, B AT st udy で は 1 . 0 %

1 4 )

と 報 告 さ れ て い る 。 本 章 の 結 果 を MAT C H t ri a l や BAT st udy と 同 様 の 定 義 に て ,消 化 管 出 血 を 再 評 価 す る と D AP T 群 で 4 . 0 %,D AP T + ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 群 で 1 . 9 %で あ り ,両 群 を 合 わ せ る と 3 . 3 %で あ っ た 。 MAT CH t ri a l や BAT st udy よ り も , 消 化 管 出 血 が 高 頻 度 で あ っ た こ と は ,ワ ル フ ァ リ ン 併 用 を 除 外 基 準 に 含 ま な か っ た こ と が 要 因 と な っ た 可 能 性 が あ る 。さ ら に ,BAT st udy で は D AP T 群 に ア ス ピ リ ン と シ ロ ス タ ゾ ー ル の 併 用 も 含 ま れ て お り ,消 化 管 出 血 の 頻 度 が 少 な か っ た と 考 え ら れ た 。本 章 の 研 究 で は ヘ リ コ バ ク タ ー ・ ピ ロ リ 感 染 が 上 部 消 化 管 出 血 の リ ス ク 因 子 と な る が ,感 染 の 有 無 を 評 価 す る こ と が で き て い な か っ た 。ま た ,対 象 症 例 の ア ス ピ リ ン と ク ロ ピ ド グ レ ル の 投 与 量 は 統 一 で は な か っ た が ,投 与 量 と 上 部 消 化 管 出 血 の 発 生 に 相 関 は 見 ら れ な か っ た ( 表 3 )。 D AP T に よ る 上 部 消 化 管 出 血 に 対 す る P P I の 効 果 は , 冠 動 脈 疾 患 2 0 , 5 9 6 症 例 の 後 ろ 向 き コ ホ ー ト 研 究 で は ク ロ ピ ド グ レ ル に P P I の 併 用 を 行 い 消 化 管 出 血 に よ る 入 院 が 有 意 に 抑 制 さ れ た と の 報 告 が あ る

1 5 )

。 ま た , P CI 施 行 後 の m a j o r b l e e di ng に よ り , 院 内 死 亡 率 が 有 意 に 上 昇 し , 出 血 関 連 死 が 1 2 % と の 報 告

1 6 )

が あ り , P P I を 使 用 す る こ と の メ リ ッ ト や , m a j o r b l e e di ng を 抑 制 す る こ と の 重 要 性 が 報 告 さ れ て い る 。

ス テ ン ト 血 栓 症 は 冠 動 脈 ス テ ン ト 留 置 後 に 発 生 す る 稀 な イ ベ ン

(12)

12

ト で あ る が , 死 亡 率 が 2 0 ~ 3 0 % と 致 死 率 の 高 い 病 態 で あ る 。 国 内 に お い て ,ス テ ン ト 血 栓 症 の 発 生 率 は D ES 留 置 後 1 年 以 内 に 0 . 6 8 % と の 報 告 が あ る

1 7 )

。 本 章 の 結 果 で は , ス テ ン ト 血 栓 症 が D AP T + ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 群 で 1 . 0 % , D AP T 群 で 0 . 5 % で あ り , ラ ベ プ ラ ゾ ー ル

は D AP T 期 間 に お け る ス テ ン ト 血 栓 症 の リ ス ク 上 昇 に 影 響 し な か

っ た 。 D AP T + ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 群 は D AP T 群 と 比 較 し , 心 筋 梗 塞 の 既 往 と 虚 血 性 心 疾 患 の 家 族 歴 が 有 意 に 多 く ,主 要 有 害 心 イ ベ ン ト の 発 生 リ ス ク が 高 か っ た に も 関 わ ら ず ,D AP T 群 と 差 を 認 め な か っ た 。 本 章 の 結 果 か ら ,ラ ベ プ ラ ゾ ー ル は ク ロ ピ ド グ レ ル の 血 小 板 凝 集 抑 制 効 果 を 減 弱 さ せ な い ,ま た は 臨 床 転 帰 に 影 響 を 及 ぼ さ な い 程 度 の 減 弱 で あ る か も し れ な い と 考 え ら れ た 。同 様 に ,国 内 未 発 売 で あ る パ ン ト プ ラ ゾ ー ル や エ ソ メ プ ラ ゾ ー ル に お い て は 血 管 拡 張 薬 刺 激 性 リ ン 蛋 白 質 リ ン 酸 化 反 応 や 血 小 板 凝 集 測 定 で わ ず か な 影 響 の み で あ っ た と の 報 告 が あ る

1 8 )

。 Ra y ら は ク ロ ピ ド グ レ ル と パ ン ト プ ラ ゾ ー ル の 併 用 に て 重 大 な 心 血 管 イ ベ ン ト の 増 加 に 寄 与 し な い と 報 告 し て い る

1 5 )

。 P P I と ク ロ ピ ド グ レ ル に よ る 薬 物 相 互 作 用 の 問 題 は ,オ メ プ ラ ゾ ー ル の よ う に C YP 2 C1 9 阻 害 作 用 の 強 い P P I だ け の ド ラ ッ ク エ フ ェ ク ト で あ り ,ク ラ ス エ フ ェ ク ト で は 無 い の か も し れ な い 。

他 に , CYP 2 C1 9 遺 伝 子 多 型 の 問 題 が あ る 。日 本 人 の CY P 2 C1 9 po o r

m e t a b o l i ze r の 頻 度 は 欧 米 人 よ り も 高 頻 度 で あ り , CYP 2 C1 9 po o r

m e t a b o l i ze r の 遺 伝 子 多 型 が * 2 / * 2 , * 3 / * 3 , * 2 / * 3 で あ る

1 9 )

。 最 近

の 研 究 で は C YP 2 C1 9 po l y m o rphi s m が ス テ ン ト 血 栓 症 や 心 血 管 イ

ベ ン ト の リ ス ク 要 因 で あ る と 報 告 さ れ て い る

2 0 - 2 2 )

。し か し な が ら ,

(13)

13

D AP T に P PI を 併 用 し た 集 団 に お い て , CYP 2 C1 9 遺 伝 子 多 型 は 心 血 管 イ ベ ン ト に 関 与 し な い と の 報 告 も あ る

1 0 )

。 S i b b i ng ら は ホ モ 変 異 体 (C YP 2 C1 9 * 2 / * 2 g e no t y pe ) の 患 者 が P CI 後 3 0 日 以 内 に ス テ ン ト 血 栓 症 を 多 く 発 生 し て い る と 報 告 し て い る

2 3 )

。本 章 の D AP T + ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 群 で 発 生 し た ス テ ン ト 血 栓 症 の 1 例 は P CI 後 3 0 日 以 内 に 発 生 し た 亜 急 性 ス テ ン ト 血 栓 症 で あ っ た こ と か ら , CYP 2 C1 9 po o r m e t a b o l i ze r を 疑 い , CYP 2 C1 9 遺 伝 子 多 型 を B ML ゲ ノ ム 解 析 サ ー ビ ス に て 測 定 し た 。 そ の 結 果 , C YP 2 C1 9 * 3 / * 3 の po o r m e t a b o l i ze r で あ る こ と が 判 明 し ,亜 急 性 ス テ ン ト 血 栓 症 は ラ ベ プ ラ ゾ ー ル に よ る 影 響 で は 無 く , CYP 2 C1 9 遺 伝 子 多 型 に よ る 影 響 と 判 断 し た 。 C YP 2 C1 9 po o r m e t a b o l i ze r の 頻 度 が 多 い 日 本 人 を 対 象 に し た 研 究 で は ,ク ロ ピ ド グ レ ル の 有 効 性 を 判 断 す る た め に は , CYP 2 C1 9 遺 伝 子 多 型 の 測 定 が 重 要 で あ る と 考 え ら れ た 。

心 房 細 動 の 合 併 症 に よ り ,D AP T に ワ ル フ ァ リ ン を 併 用 し た 症 例

が 本 章 で は 1 6 例 含 ま れ て い た 。 ワ ル フ ァ リ ン を 併 用 す る こ と に よ

り ,D AP T よ り も 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト の 発 生 が 低 下 す る と の 報 告 が

あ る

2 4

。 し か し , 出 血 性 合 併 症 の 発 生 に 関 し て は , 増 加 す る ま た

は し な い と の 相 反 す る 報 告 が あ る

2 4 , 2 5 , 2 6 )

。 本 章 で は 出 血 時 の

P T-I N R を 確 認 し て い な い が , D AP T + ワ ル フ ァ リ ン 併 用 症 例 の 2 5 %

に 上 部 ・ 下 部 消 化 管 出 血 が 見 ら れ ,出 血 性 合 併 症 の 増 加 傾 向 が 認 め

ら れ た 。高 齢 化 に 伴 い ,心 房 細 動 を 合 併 し た 冠 動 脈 ス テ ン ト 留 置 術

施 行 症 例 は 増 加 す る こ と が 予 測 さ れ , D AP T + ワ ル フ ァ リ ン 併 用 に

お け る 安 全 性 が 危 惧 さ れ る 。最 近 , 心 房 細 動 を 合 併 し て い る D AP T

症 例 に 対 し ,ク ロ ピ ド グ レ ル と ワ ル フ ァ リ ン の 2 剤 の み で ,出 血 性

(14)

14

合 併 症 を 有 意 に 抑 制 し ,心 血 管 イ ベ ン ト も 有 意 に 低 下 し た と の 報 告 が あ り ,対 象 症 例 の 7 0 % が 欧 米 の ワ ル フ ァ リ ン 治 療 域 に 入 っ て い た

2 7

。し か し ,日 本 で は 心 房 細 動 に 対 す る ワ ル フ ァ リ ン の 治 療 域 は 国 外 と 比 較 し ,低 値 に 設 定 さ れ て い る 場 合 が 多 い た め ,慎 重 に 対 応 す る 必 要 が あ る 。 今 後 , 日 本 人 に お け る ク ロ ピ ド グ レ ル + ワ ル フ ァ リ ン の 安 全 性 と 有 効 性 ま た は ク ロ ピ ド グ レ ル + 新 規 抗 凝 固 薬 ( ダ ビ ガ ド ラ ン , リ バ ロ キ サ バ ン , ア ピ キ サ バ ン ) を 検 討 す る 必 要 が あ る 。

本 章 に は い く つ か の 限 界 が あ る 。1 点 目 は 単 一 施 設 に お け る 後 ろ 向 き コ ホ ー ト 研 究 で あ る こ と 。 2 点 目 は D AP T 群 と D AP T + ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 群 間 に お い て ,心 筋 梗 塞 の 既 往 や 虚 血 性 心 疾 患 の 家 族 歴 に 差 が 認 め ら れ て お り ,主 要 有 害 心 イ ベ ン ト の 発 生 に 影 響 を 及 ぼ し て い た 可 能 性 が あ っ た 。 3 点 目 は 消 化 管 出 血 や 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト の 発 生 率 が 低 か っ た た め ,得 ら れ た 結 果 の 統 計 学 的 検 出 力 が 低 く ,正 確 な 結 果 を 反 映 し て い な い か も し れ な い 。

結 論 と し て , D E S 留 置 後 の D AP T 施 行 患 者 に お い て , ラ ベ プ ラ

ゾ ー ル の 消 化 管 出 血 発 生 抑 制 効 果 は 限 ら れ て い た 。ま た ,ラ ベ プ ラ

ゾ ー ル の 併 用 は ス テ ン ト 血 栓 症 を 含 む 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト の 発 生

を 増 加 さ せ な か っ た 。 こ れ ら の 結 果 は CYP 2 C1 9 遺 伝 子 多 型 や P P I

の ド ラ ッ ク エ フ ェ ク ト を 考 慮 し な け れ ば な ら な い 。

(15)

15

表 1 . 患 者 背 景

D A P T

D A P T + ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 群

p

n 1 9 9 1 0 3

年 齢 6 7 . 4 ± 1 0 . 1 6 9 . 0 ± 9 . 6 0 . 11 3

男 性 ( n , % ) 1 4 4 ( 7 2 . 4 ) 6 9 ( 6 7 . 0 ) 0 . 3 3 2

体 格 指 数 ( k g / m2) 2 3 . 2 ± 3 . 2 2 3 . 6 ± 3 . 9 0 . 5 1 4 高 血 圧 ( n , % ) 1 2 9 ( 6 4 . 8 ) 6 6 ( 6 4 . 1 ) 0 . 8 9 8 耐 糖 能 異 常 ( n , % ) 7 9 ( 3 9 . 7 ) 3 6 ( 3 5 . 0 ) 0 . 4 2 1 脂 質 異 常 ( n , % ) 11 5 ( 5 7 . 8 ) 7 0 ( 6 8 . 0 ) 0 . 0 8 5

喫 煙 ( n , % ) 5 4 ( 2 7 . 1 ) 2 5 ( 2 4 . 3 ) 0 . 5 9 1

慢 性 腎 臓 病 ( n , % ) 推 算 糸 球 体 濾 過 量

< 6 0 m l / m i n / 1 . 7 3 m2

7 5 ( 3 7 . 7 ) 4 0 ( 3 8 . 8 ) 0 . 8 4 6

血 液 ・ 腹 膜 透 析 ( n , % ) 9 ( 4 . 5 ) 1 ( 1 . 0 ) 0 . 1 0 2 心 筋 梗 塞 ( n , % ) 3 5 ( 1 7 . 6 ) 3 3 ( 3 2 . 0 ) 0 . 0 0 4 虚 血 性 心 疾 患 の 家 族 歴

( n , % )

3 0 ( 1 5 . 1 ) 2 9 ( 2 8 . 2 ) 0 . 0 0 7

脳 梗 塞 ( n , % ) 2 3 ( 11 . 6 ) 11 ( 1 0 . 7 ) 0 . 1 8 9 消 化 性 潰 瘍 ( n , % ) 9 ( 5 . 0 ) 7 ( 6 . 8 ) 0 . 4 0 3 冠 動 脈 疾 患 の 診 断

安 定 狭 心 症 ( n , % ) 11 4 ( 5 7 . 3 ) 5 7 ( 5 5 . 3 ) 0 . 7 4 6 急 性 冠 症 候 群 ( n , % ) 5 4 ( 2 7 . 1 ) 2 8 ( 2 7 . 2 ) 0 . 9 9 3 ス テ ン ト 留 置 数 2 . 5 ± 1 . 6 3 . 1 ± 1 . 9 0 . 0 0 4

(16)

16 服 用 薬 剤

A C E 阻 害 薬( n , % ) 3 8 ( 1 9 . 1 ) 2 1 ( 2 0 . 4 ) 0 . 7 8 8

A R B ( n , % ) 6 7 ( 3 3 . 7 ) 3 4 ( 3 3 . 0 ) 0 . 9 0 8

C a 拮 抗 薬( n , % ) 7 0 ( 3 5 . 2 ) 4 9 ( 4 7 . 7 ) 0 . 0 3 7 β 遮 断 薬( n , % ) 6 0 ( 3 0 . 2 ) 4 4 ( 4 2 . 7 ) 0 . 0 2 9

H M G - C o A 還 元 酵 素 阻 害 薬

( n , % )

1 3 7 ( 6 8 . 8 ) 8 0 ( 7 7 . 7 ) 0 . 1 0 6

胃 粘 膜 保 護 薬 ( n , % ) 2 6 ( 1 3 . 1 ) 8 ( 7 . 8 ) 0 . 1 6 7 ワ ル フ ァ リ ン ( n , % ) 7 ( 3 . 5 ) 9 ( 8 . 7 ) 0 . 0 5 5

(17)

17

表 2 . 消 化 管 出 血

D A P T 群

D A P T + ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 群

n 1 9 9 1 0 3

消 化 管 出 血 ( n , % ) 1 6 ( 8 . 0 ) 4 ( 3 . 9 ) 上 部 消 化 管 出 血 ( n , % ) 7 ( 3 . 5 ) 1 ( 1 . 0 )

M i n i m a l b l e e d i n g 3 0

M i n o r b l e e d i n g 1 1

M a j o r b l e e d i n g 3 0

下 部 消 化 管 出 血 ( n , % ) 9 ( 4 . 5 ) 3 ( 2 . 9 )

M i n i m a l b l e e d i n g 5 2

M i n o r b l e e d i n g 3 0

M a j o r b l e e d i n g 1 1

(18)

18

表 3 . 上 部 消 化 管 出 血 症 例 の 詳 細

年 齢 性 別

消 化 性 潰 瘍 の 既 往

出 血 の 重 症 度

D A P T

D E S

留 置 後 か ら の 期 間

8 7

D A P T

M a j o r

胃 ・ 十 二 指 腸 潰 瘍

ア ス ピ リ ン 1 0 0 m g

ク ロ ピ ド グ レ ル 7 5 m g

5 8

5 6

D A P T

M a j o r

胃 潰 瘍

ア ス ピ リ ン 1 0 0 m g

ク ロ ピ ド グ レ ル 5 0 m g

2 6 3

5 0

D A P T

M a j o r

胃 潰 瘍

ア ス ピ リ ン 2 0 0 m g

ク ロ ピ ド グ レ ル 5 0 m g

2 0

7 0

D A P T

M i n o r

胃 潰 瘍

ア ス ピ リ ン 2 0 0 m g

ク ロ ピ ド グ レ ル 5 0 m g

3 0 9

7 2

D A P T

M i n o r

胃 潰 瘍

ア ス ピ リ ン 1 0 0 m g

ク ロ ピ ド グ レ ル 7 5 m g

ワ ル フ ァ リ ン 2 m g

3 9

6 4

D A P T

M i n o r

胃 潰 瘍

ア ス ピ リ ン 2 0 0 m g

ク ロ ピ ド グ レ ル 5 0 m g

6 5

7 5

D A P T

M i n o r

十 二 指 腸 潰 瘍

ア ス ピ リ ン 1 0 0 m g

ク ロ ピ ド グ レ ル 7 5 m g

1 3 5

6 9

D A P T + ラ ベ プ ラ ゾ ー ル

M i n i m a l

胃 潰 瘍

ア ス ピ リ ン 2 0 0 m g

ク ロ ピ ド グ レ ル 7 5 m g

5 1

(19)

19

表 4 . 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト

D A P T 群

D A P T + ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 群

n 1 8 8 1 0 3

主 要 有 害 心 イ ベ ン ト ( n , % ) 1 3 ( 6 . 9 ) 9 ( 8 . 7 ) 心 関 連 死 ( n , % ) 2 ( 1 . 1 ) 0 ( 0 ) 急 性 冠 症 候 群 ( n , % ) 0 ( 0 ) 1 ( 1 . 0 ) ス テ ン ト 血 栓 症 ( n , % ) 1 ( 0 . 5 ) 1 ( 1 . 0 )

急 性 0 0

亜 急 性 0 1

遅 発 性 1 0

標 的 病 変 再 血 行 再 建 ( n , % ) 1 0 ( 5 . 3 ) 7 ( 6 . 8 )

(20)

20

図 1 . 研 究 デ ザ イ ン

図 2 . 累 積 上 部 消 化 管 出 血 非 発 生 率

(21)

21

図 3 . 累 積 下 部 消 化 管 出 血 非 発 生 率

図 4 . 累 積 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト 発 生 率

(22)

22

第 2 章 D APT に よ る 上 部 消 化 管 出 血 に 対 す る H2 受 容 体 拮 抗 薬 と

プ ロ ト ン ポ ン プ 阻 害 薬 の 発 生 抑 制 効 果 の 比 較

1 . は じ め に

1 年 間 に 及 ぶ 長 期 間 の D A P T に よ る 上 部 消 化 管 出 血 に 対 し て P P I

や H2 R A が 使 用 さ れ て い る 。一 方 で ,シ ト ク ロ ム P 4 5 0 ( 以 下 , C YP )

2 C1 9 を 介 し た 薬 物 相 互 作 用 に よ り , 2 0 1 0 年 10 月 ア メ リ カ 食 品 医

薬 品 局 か ら ク ロ ピ ド グ レ ル と オ メ プ ラ ゾ ー ル の 併 用 を 避 け る べ き

で あ る と の 勧 告 が 出 さ れ , 国 内 に お い て も 併 用 注 意 と な っ た 。 P P I

と ク ロ ピ ド グ レ ル の 薬 物 相 互 作 用 が 臨 床 転 帰 に 影 響 し う る か に つ

い て は 様 々 な 報 告

6 , 2 8 , 2 9 )

が あ り , オ メ プ ラ ゾ ー ル 以 外 の P P I に つ

い て も 影 響 が あ る と し た 報 告 も あ る

6 )

。P P I と ク ロ ピ ド グ レ ル の 薬

物 相 互 作 用 の 問 題 は い ま だ 明 確 に な っ て い な い 。一 方 , H2 R A は 低

用 量 ア ス ピ リ ン 潰 瘍 予 防 の 有 用 性 が 報 告

3 0

さ れ て い る 。 し か し ,

D AP T に 対 し て H2 R A の 上 部 消 化 管 出 血 発 生 抑 制 効 果 に つ い て の

報 告 は 少 な く , P P I よ り も 抑 制 効 果 が 劣 る と 報 告

3 1 )

さ れ て い る 。

そ の た め , 臨 床 現 場 で は P P I と H2R A の 選 択 に 苦 渋 し て い る 状 況

が あ る 。 2 0 1 0 年 の 米 国 心 臓 病 学 会 財 団 / 消 化 器 病 学 会 / 心 臓 協 会 エ キ

ス パ ー ト コ ン セ ン サ ス ガ イ ド

3 2

で は , 消 化 性 潰 瘍 ま た は 上 部 消 化

管 出 血 の 既 往 が な い 症 例 に お い て は ,H2 R A も 選 択 肢 の ひ と つ で あ

る と し て い る 。国 内 で ア ス ピ リ ン と ク ロ ピ ド グ レ ル の D A P T に よ る

上 部 消 化 管 出 血 の 発 生 抑 制 に つ い て H2 R A と P P I の 比 較 を 行 っ た

報 告 は な い 。 本 章 で は , D ES 留 置 後 に ア ス ピ リ ン と ク ロ ピ ド グ レ

ル に よ る D A P T を 施 行 し ,消 化 性 潰 瘍 ま た は 上 部 消 化 管 出 血 の 既 往

(23)

23

が な い 上 部 消 化 管 出 血 低 リ ス ク 症 例 に 対 し て , H2 RA ま た は P P I の 併 用 症 例 を 対 象 と し ,抗 潰 瘍 薬 の D A P T に よ る 上 部 消 化 管 出 血 の 発 生 抑 制 効 果 と 安 全 性 に つ い て 後 ろ 向 き コ ホ ー ト 研 究 を 行 っ た 。

2 . 方 法

2 . 1 対 象 症 例

2 0 0 6 年 6 月 ~ 2 010 年 3 月 の 期 間 に 湘 南 鎌 倉 総 合 病 院( 以 下 ,当 院 ) に て , 安 定 狭 心 症 , 急 性 冠 症 候 群 , 7 5 % の ス テ ン ト 再 狭 窄 に 対 し て D ES を 留 置 し た 症 例 を 対 象 集 団 と し た 。 対 象 症 例 の 選 択 基 準 は 対 象 集 団 の う ち ,ア ス ピ リ ン と ク ロ ピ ド グ レ ル に よ る D AP T 施 行 症 例 , H2 R A ま た は P P I を D APT に 併 用 し た 症 例 と し た 。 除 外 基 準 は 消 化 性 潰 瘍 ま た は 上 部 消 化 管 出 血 既 往 症 例 ,上 部 消 化 管 出 血 以 外 の 要 因 に て D A P T を 1 年 未 満 に 中 止 し た 症 例 , H2 R A ま た は P P I に よ る 有 害 事 象 以 外 の 要 因 に て H2 R A ま た は P P I を 1 年 未 満 に 中 止 し た 症 例 ,転 院 や 追 跡 不 能 症 例 , 上 部 消 化 管 出 血 を 惹 起 ま た は 助 長 さ せ る 可 能 性 が あ る 薬 剤( ワ ル フ ァ リ ン , D AP T 以 外 の 抗 血 小 板 薬 , 非 ス テ ロ イ ド 性 抗 炎 症 薬 , シ ク ロ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ - 2 阻 害 薬 , ス テ ロ イ ド ) の 併 用 を 除 外 基 準 と し た 。 な お , 胃 粘 膜 保 護 薬 の 使 用 は 除 外 基 準 に 含 め な か っ た 。 対 象 症 例 の う ち H2 R A 併 用 症 例 を D AP T + H2 R A 群 , P P I 併 用 症 例 を D AP T + P P I 群 に 分 類 し た( 図 5 )。

観 察 期 間 は D AP T 開 始 か ら 1 年 以 上 と し , 後 ろ 向 き コ ホ ー ト 研 究 を 行 っ た 。 既 往 と し て の 慢 性 腎 臓 病 は 推 算 糸 球 体 濾 過 量

< 6 0 m l / mi n/ 1 .7 3 m

2

と 定 義 し た 。

(24)

24

2 . 2 抗 潰 瘍 薬 の 有 効 性 お よ び 安 全 性 の 評 価

診 療 録 を 用 い て 診 断 , 臨 床 検 査 値 , 処 方 歴 , 薬 剤 管 理 指 導 記 録 を も と に 患 者 背 景 お よ び 服 薬 歴 の 調 査 を 行 い ,記 載 さ れ て い る 診 断 や 臨 床 転 帰 を も と に 抗 潰 瘍 薬 の 有 効 性 お よ び 安 全 性 に つ い て 評 価 し た 。

有 効 性 の 評 価 項 目 は 上 部 消 化 管 出 血 発 生 抑 制 効 果 と し ,観 察 期 間 中 に お け る D AP T + H2 R A 群 お よ び D AP T + P P I 群 の 累 積 上 部 消 化 管 出 血 非 発 生 率 を 比 較 し た 。上 部 消 化 管 出 血 は 吐 血 や 下 血 の 症 状 や 進 行 性 の 貧 血 に 対 し て ,内 視 鏡 的 に 潰 瘍 か ら の 出 血 が 確 認 さ れ た も の と 定 義 し た 。 さ ら に , 上 部 消 化 管 出 血 の 重 症 度 は T h r o m b o l y si s In My o ca r di a l I nfa rct i o n の 基 準

11

を 用 い て ,D AP T 開 始 時 か ら の ヘ モ グ ロ ビ ン 低 下 が 3 g / dl 未 満 を m i ni m a l b l e e di ng , 3 -5 g / dl を m i no r b l e e di ng , 5 g / dl を 超 え る 出 血 を Ma j o r b l e e di ng と 定 義 し た 。

安 全 性 の 評 価 項 目 は H2 R A お よ び P P I に よ る 有 害 事 象 と し , 観 察 期 間 中 の D AP T + H2 R A 群 お よ び D AP T + P P I 群 の 有 害 事 象 の 発 生 数 を 比 較 し た 。

2 . 3 統 計 解 析

2 群 の 患 者 背 景 の 比 較 に つ い て ,年 齢 は Ma nn -W hi t ne y U 検 定 を

用 い , そ の 他 の 項 目 に 関 し て は χ

2

検 定 を 用 い た 。 累 積 上 部 消 化 管

出 血 非 発 生 率 に つ い て は K a pl a n -M e i e r 生 存 曲 線 を 用 い , l o g -ra nk

検 定 を 行 っ た 。 有 意 水 準 を 0 . 0 5 と 設 定 し , コ ッ ク ス 比 例 ハ ザ ー ド

モ デ ル を 用 い て , ハ ザ ー ド 比 お よ び 9 5 % 信 頼 区 間 ( co nfi de n ce

(25)

25

i nt e rv a l:以 下 , CI )を 算 出 し た 。ま た ,有 害 事 象 に つ い て は F i she r の 直 接 確 率 検 定 を 行 っ た 。 統 計 解 析 は S P S S v e r. 11 . 0 を 用 い た 。

本 章 の 研 究 は 「 疫 学 研 究 に 関 す る 倫 理 指 針 」 に 準 じ , 湘 南 鎌 倉 総 合 病 院 倫 理 委 員 会 の 許 可 を 得 て 実 施 し た 。

3 . 結 果

3 . 1 対 象 症 例

対 象 症 例 は 2 9 3 例 で あ り , D AP T + H2 R A 群 が 11 4 例 , D AP T + P P I 群 が 1 7 9 例 で あ っ た 。 対 象 症 例 の 観 察 期 間 は 3 8 9 . 5 ± 23 . 2 日 で あ っ た 。対 象 症 例 の 背 景 ,治 療 薬 , D AP T の 詳 細 を 表 5 に 示 し た 。 H2 RA は ラ ニ チ ジ ン ( n = 7 4 ) ,フ ァ モ チ ジ ン (n = 3 5 ) ,ラ フ チ ジ ン (n = 3 ) , ニ ザ チ ジ ン (n = 1 ) , シ メ チ ジ ン (n = 1 ) で あ っ た 。 P P I は ラ ベ プ ラ ゾ ー ル (n = 1 2 7 ) , ラ ン ソ プ ラ ゾ ー ル (n = 4 9 ) , オ メ プ ラ ゾ ー ル (n = 2 ) で あ っ た ( 表 6 )。 2 群 間 に お い て , 症 例 の 背 景 因 子 お よ び 薬 物 治 療 に 差 は 認 め ら れ な か っ た 。

3 . 2 抗 潰 瘍 薬 の 有 効 性 の 比 較

観 察 期 間 中 に 上 部 消 化 管 出 血 の 発 生 は D AP T + H2 R A 群 で 2 例

( m i no r b l e e di ng , m i ni m a l bl e edi ng が 各 1 例 ), D AP T + P P I 群 で は 1 例( m i ni m a l b l e e di ng )発 生 し た 。累 積 上 部 消 化 管 出 血 非 発 生 率 に 差 は 認 め ら れ な か っ た ( p = 0.32 )( 図 6 )。 上 部 消 化 管 出 血 を 発 生 し た 3 例 の 詳 細 を 表 7 に 示 し た 。 H2 R A の P P I に 対 す る 上 部 消 化 管 出 血 発 生 の ハ ザ ー ド 比 は , 3 . 1 3 ( 9 5 % CI 0 .2 8 -3 4 . 6 , p = 0 . 3 5 ) で あ っ た 。

3 . 3 抗 潰 瘍 薬 の 安 全 性 の 比 較

(26)

26

H2 R A ま た は P P I 併 用 に よ る 有 害 事 象 は 5 例 に 認 め ら れ ,

D AP T + H2 R A 群 2 例 ( 1 . 8 % ), D AP T + P P I 群 3 例 ( 1 . 7 % ) で あ っ た が , 発 生 頻 度 に 差 は 認 め ら れ な か っ た ( p = 1.00 )。 有 害 事 象 の 内 訳 と し て D AP T + H2 R A 群 で は 肝 機 能 障 害 が 1 例 , 発 疹 が 1 例 に 認 め ら れ , P P I へ 変 更 と な っ た 。 ま た , D AP T + P P I 群 で は 発 疹 が 1 例 , 下 痢 が 2 例 に 認 め ら れ た 。 発 疹 の 1 例 と 下 痢 の 1 例 は H2 R A に 変 更 と な り , も う 1 例 の 下 痢 症 例 は 服 用 中 止 と な っ た 。

4 . 考 察

臨 床 現 場 で は D A P T に よ る 上 部 消 化 管 出 血 の 発 生 抑 制 目 的 に , H2 R A ま た は P P I の 併 用 が 汎 用 さ れ て い る 。第 1 章 の 結 果

3 3

で は 抗 潰 瘍 薬 未 使 用 の D AP T 施 行 症 例 に m a j o r b l e e di ng が 認 め ら れ , 上 部 消 化 管 出 血 発 生 率 が 3 . 5 % で あ り , Ya suda ら は 3 . 3 % と 報 告

3 4

し て い る 。本 章 で は H2 RA ま た は P P I を 併 用 す る こ と に よ り , m a j o r b l e e di ng は 認 め ら れ ず , D AP T に よ る 上 部 消 化 管 出 血 の 発 生 抑 制 に 抗 潰 瘍 薬 の 併 用 が 必 須 で あ る こ と を 再 確 認 す る こ と が で き た 。

H2 R A と P P I の 選 択 に 関 し て は ,消 化 性 潰 瘍 や 消 化 管 出 血 の 既 往

の あ る 症 例 に 対 し て , P P I の 併 用 が 推 奨 さ れ て い る も の の

4

,そ れ

以 外 の 症 例 で は 明 確 に な っ て い な い 。本 章 で は ,消 化 性 潰 瘍 ま た は

上 部 消 化 管 出 血 の 既 往 の な い 上 部 消 化 管 出 血 低 リ ス ク 症 例 に 対 す

る H2 R A と P P I の 有 効 性 を 比 較 す る た め に 有 効 性 の 指 標 と し た 累

積 上 部 消 化 管 出 血 非 発 生 率 は D AP T + H2 R A 群 で 9 8 . 2 % ,

D AP T + P P I 群 で 9 9 . 4 % で あ り , 2 群 間 に 差 を 認 め な か っ た 。 し か

し ,本 研 究 で は 上 部 消 化 管 出 血 の 影 響 因 子 で あ る ヘ リ コ バ ク タ ー ・

(27)

27

ピ ロ リ 感 染 の 有 無 が 不 明 で あ っ た 。さ ら に ,後 ろ 向 き コ ホ ー ト 研 究 で あ る た め ,H2 R A と P P I の 用 量 が 医 師 の 裁 量 で 異 な っ た 。そ の た め ,D AP T に よ る 上 部 消 化 管 出 血 の 発 生 抑 制 の た め に 必 要 な 各 薬 剤 の 投 与 量 を 検 討 す る こ と が 出 来 な か っ た 。

本 章 の 対 象 症 例 の う ち , 4 5 % が 慢 性 腎 臓 病 を 合 併 し て い た 。 さ ら に , 慢 性 腎 臓 病 は 虚 血 性 心 疾 患 の 危 険 因 子

3 5 )

で あ る た め , 高 齢 化 に 伴 い 慢 性 腎 臓 病 を 合 併 し た 症 例 が 今 後 増 加 す る こ と が 予 想 さ れ る 。H2 RA は P P I と 異 な り ,腎 機 能 を 考 慮 し た 用 量 調 節 が 必 要 と な る た め , D AP T に よ る 上 部 消 化 管 出 血 の 発 生 と H2 R A の 用 量 を 検 討 す る た め に は ,腎 機 能 正 常 症 例 の み を 用 い て 評 価 し な け れ ば な ら な い か も し れ な い 。 D AP T に よ る 上 部 消 化 管 出 血 発 生 抑 制 の た め の H2 RA の 必 要 量 は , FAMO U S st ud y

3 0

に て 報 告 さ れ た フ ァ モ チ ジ ン の 投 与 量 が 4 0 m g で あ っ た こ と か ら , 国 内 で 使 用 で き る 胃 潰 瘍 , 十 二 指 腸 潰 瘍 治 療 に 準 じ た 投 与 量 で あ る 考 え ら れ ,腎 機 能 正 常 症 例 に 対 し て , ラ ニ チ ジ ン 3 0 0 m g , フ ァ モ チ ジ ン 4 0 m g , ラ フ チ ジ ン 2 0 m g ,ニ ザ チ ジ ン 3 0 0 m g ,シ メ チ ジ ン 8 0 0 m g が 必 要 量 で あ る と 考 え て い た 。実 際 の H2 RA の 投 与 量 は ,腎 機 能 低 下 症 例 の み な ら ず 腎 機 能 正 常 症 例 に 対 し て も ,H2 RA が 減 量 に て 投 与 さ れ て い る 症 例 も 認 め ら れ た 。し か し な が ら , H2 R A 減 量 症 例 に 上 部 消 化 管 出 血 は 発 生 し て い な か っ た 。そ の た め , H2 R A の 必 要 投 与 量 に 関 し て は 今 後 検 討 し な け れ ば な ら な い 。 ま た , D AP T + H2 RA 群 の 上 部 消 化 管 出 血 2 症 例 は , 上 部 消 化 管 出 血 発 生 抑 制 に 必 要 と 考 え ら れ る 用 量 の

H2 RA が 投 与 さ れ て い た 。こ の 2 症 例 は 消 化 管 出 血 因 子 と し て ,高

齢 ( 8 0 歳 , 7 2 歳 ) が 共 通 し て い た こ と か ら , 高 齢 者 に 対 し て は 抗

(28)

28

潰 瘍 薬 の 選 択 を 再 検 討 す る 必 要 が あ る か も し れ な い 。

安 全 性 の 指 標 と し た 有 害 事 象 の 発 生 率 に つ い て も 両 群 に 差 は 認 め ら れ な か っ た 。ま た ,P P I の 長 期 投 与 に よ る 骨 折

3 6 )

や 肺 炎

3 7

の 増 加 が 懸 念 さ れ た が ,本 章 で は 観 察 期 間 中 に 骨 折 や 肺 炎 を 発 生 し た 症 例 は 両 群 で 見 ら れ な か っ た 。

本 章 の 結 果 か ら 上 部 消 化 管 出 血 低 リ ス ク 症 例 に お い て は , H2 R A

が P P I の 代 替 に な り 得 る か も し れ な い 。 ク ロ ピ ド グ レ ル と P P I の

薬 物 相 互 作 用 の 問 題 が ,い ま だ 明 確 に な っ て い な い 状 況 に お い て は

H2 R A が P P I の 代 替 に な り 得 れ ば , 臨 床 的 意 義 は 大 き い と 考 え る 。

ま た , H2 R A が P P I よ り も 安 価 で あ る こ と を 考 え る と 医 療 経 済 的 な

利 点 に も つ な が る 。 ジ ェ ネ リ ッ ク 医 薬 品 を 用 い た 場 合 に , H 2 R A を

用 い る と P P I よ り も 薬 剤 費 を 3 ~ 6 倍 抑 制 す る こ と が 可 能 と な る 。

日 本 人 を 対 象 と し た ア ス ピ リ ン と ク ロ ピ ド グ レ ル の D A P T に よ る

上 部 消 化 管 出 血 の 発 生 抑 制 に 対 し て は H2 R A と P P I の 有 効 性 と 安

全 性 を 比 較 し た 報 告 が な い た め , 臨 床 現 場 で の H2 R A と P P I の 選

択 に 本 章 の 結 果 が 有 用 な 一 助 に な る と 考 え る 。

(29)

29

表 5 . 対 象 症 例 背 景

D A P T + H 2 R A D A P T + P P I p

n 11 4 1 7 9

年 齢

6 7 . 7 ± 1 0 . 7 6 8 . 2 ± 9 . 7 0 . 6 0

男 性

7 8 11 6 0 . 5 2

既 往 歴

高 血 圧

6 8 11 8 0 . 2 7

糖 尿 病

4 8 7 1 0 . 6 7

脂 質 異 常 症

5 7 1 0 2 0 . 2 4

喫 煙

2 1 3 7 0 . 6 3

慢 性 腎 臓 病

5 8 7 6 0 . 1 5

心 筋 梗 塞

3 4 4 8 0 . 5 7

冠 動 脈 疾 患 の 診 断

安 定 狭 心 症

5 2 8 5 0 . 7 5

急 性 冠 症 候 群

4 2 6 2 0 . 7 0

ス テ ン ト 再 狭 窄

2 0 3 3 0 . 8 4

服 用 薬 剤

A C E 阻 害 薬

2 1 2 9 0 . 6 2

A R B

4 8 6 9 0 . 5 4

C a 拮 抗 薬

4 0 8 2 0 . 0 6

β 遮 断 薬

2 9 6 2 0 . 0 9

H M G - C o A 還 元 酵 素 阻 害 薬

6 7 11 4 0 . 3 9

胃 粘 膜 保 護 薬

4 6 0 . 9 4

(30)

30

表 6 . 対 象 症 例 に 併 用 さ れ た H 2 R AP P I A ) H 2 R A

医 薬 品 名 用 量 / 日 n = 11 4

ラ ニ チ ジ ン 7 5 m g 1 5

1 5 0 m g 3 5

3 0 0 m g 2 4

フ ァ モ チ ジ ン 2 0 m g 1 6

4 0 m g 1 9

ラ フ チ ジ ン 1 0 m g 2

2 0 m g 1

ニ ザ チ ジ ン 1 5 0 m g 1

シ メ チ ジ ン 4 0 0 m g 1

B ) P P I

医 薬 品 名 用 量 / 日 n = 1 7 9

ラ ベ プ ラ ゾ ー ル 1 0 m g 1 2 7 ラ ン ソ プ ラ ゾ ー ル 1 5 m g 2 7

3 0 m g 2 2

オ メ プ ラ ゾ ー ル 1 0 m g 2

2 0 m g 1

(31)

31

表 7 . 上 部 消 化 管 出 血 3 症 例

年 齢 性 別

群 薬 剤 用 量

出 血 の 重 症 度 出 血 の 詳 細

D A P T

D E S

置 後 か ら の 期 間

8 0

D A P T + H 2 R A フ ァ モ チ ジ ン

4 0 m g

M i n o r 胃 潰 瘍

ア ス ピ リ ン 2 0 0 m g ク ロ ピ ド グ レ ル 5 0 m g

2 4 8 日

7 2

D A P T + H 2 R A ラ ニ チ ジ ン

3 0 0 m g

M i n i m a l 胃 ・ 十 二 指 腸

潰 瘍

ア ス ピ リ ン 1 0 0 m g ク ロ ピ ド グ レ ル 7 5 m g

1 3 5 日

6 9

D A P T + P P I ラ ベ プ ラ ゾ ー ル

1 0 m g

M i n i m a l 胃 潰 瘍

ア ス ピ リ ン 2 0 0 m g ク ロ ピ ド グ レ ル 7 5 m g

5 1 日

(32)

32

図 5 . 研 究 デ ザ イ ン

図 6 . 累 積 上 部 消 化 管 出 血 非 発 生 率

(33)

33

第 3 章 上 部 消 化 管 出 血 低 リ ス ク 症 例 に お け る , D AP T に よ る 上 部 消 化 管 出 血 と 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト に 対 す る H2 受 容 体 拮 抗 薬 の 影 響

1 . は じ め に

抗 血 小 板 療 法 に お け る 上 部 消 化 管 出 血 の リ ス ク 因 子 は ,高 齢 ,ヘ リ コ バ ク タ ー ・ ピ ロ リ 感 染 ,ワ ル フ ァ リ ン ,ス テ ロ イ ド や N S AI D S の 併 用 ,消 化 性 潰 瘍 や 消 化 管 出 血 な ど の 上 部 消 化 管 イ ベ ン ト の 既 往 が あ る 。そ の 中 で 上 部 消 化 管 出 血 の 最 も 強 力 な リ ス ク 因 子 は 上 部 消 化 管 イ ベ ン ト の 既 往 で あ る

3 8 )

。 そ の た め , 上 部 消 化 管 出 血 イ ベ ン ト の 既 往 が あ る 症 例 に 対 し て は , D A P T 施 行 中 の P P I 併 用 を 推 奨 し て い る

3 2 )

。 最 近 , P P I が 心 血 管 イ ベ ン ト の リ ス ク 因 子 か も し れ な い と の 報 告

3 9 )

や ア ス ピ リ ン 服 用 症 例 に お け る P P I 併 用 が 心 血 管 イ ベ ン ト を 増 加 さ せ る と の 報 告 が あ る

4 0 )

。 さ ら に , P P I の 長 期 使 用 は H2 RA よ り も ,骨 折 ,肺 炎 や Clos tridium difficile に よ る 胃 腸 感 染 な ど の 有 害 事 象 の リ ス ク を 増 加 さ せ る と の 報 告 も あ る

4 1 )

。 し た が っ て , D AP T 施 行 全 症 例 に P P I を 投 与 す べ き か ど う か は 疑 問 で あ る 。

H2 RA は P P I よ り も 胃 酸 分 泌 抑 制 作 用 が 緩 や か で あ る

3 1 )

が , ア

ス ピ リ ン に 起 因 す る 胃 ・ 十 二 指 腸 潰 瘍 の 発 生 を 抑 制 す る

3 0 )

。 さ ら

に , シ メ チ ジ ン 以 外 の H2 R A で は CYP 2 C1 9 を 介 し た D AP T と の

相 互 作 用 は 報 告 さ れ て い な い 。第 2 章 の 結 果 か ら も ,H2 RA は 上 部

消 化 管 出 血 低 リ ス ク 症 例 に お い て ,D AP T に よ る 上 部 消 化 管 出 血 の

発 生 を 抑 制 す る こ と が 出 来 る か も し れ な い 。し か し な が ら ,我 々 の

知 る 限 り で は D A P T に 対 す る H2 R A の 影 響 と し て , 上 部 消 化 管 出

(34)

34

血 発 生 抑 制 効 果 や 心 血 管 イ ベ ン ト を 評 価 し た 報 告 が な か っ た た め , 本 章 に て 研 究 を 行 っ た 。

2 . 方 法

2 . 1 対 象 症 例

上 部 消 化 管 出 血 低 リ ス ク 症 例 の 中 で ,D AP T 施 行 期 間 に 上 部 消 化

管 出 血 や 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト に 対 す る H2 RA の 影 響 を 調 査 す る た

め に , 後 ろ 向 き コ ホ ー ト 研 究 を 行 っ た 。 2 0 0 7 年 4 月 か ら 2 0 11 年 3

月 に 湘 南 鎌 倉 総 合 病 院 と 葉 山 ハ ー ト セ ン タ ー に お い て , D ES 留 置

術 を 施 行 さ れ た 11 6 6 症 例 を 調 査 対 象 と し た 。D ES 留 置 後 の D AP T

は 1 年 間 の ク ロ ピ ド グ レ ル 7 5 m g と ア ス ピ リ ン 1 0 0 m g の 維 持 用 量

で あ り , 急 性 冠 症 候 群 や 緊 急 P CI の 場 合 は ア ス ピ リ ン 2 0 0 m g の 咀

嚼 と ク ロ ピ ド グ レ ル 3 0 0 m g を 投 与 し ,そ の 後 は 維 持 用 量 で あ っ た 。

除 外 基 準 は 上 部 消 化 管 イ ベ ン ト の 既 往 と P P I ,シ メ チ ジ ン , N S AI D S ,

CO X2 阻 害 薬 , ス テ ロ イ ド , ワ ル フ ァ リ ン の 併 用 と し た 。 シ メ チ ジ

ン は H2 RA の 中 で CYP 2 C1 9 阻 害 作 用 が あ る た め ,シ メ チ ジ ン 使 用

症 例 は 除 外 と し た 。適 格 症 例 の う ち ,D AP T 期 間 中 に H2 RA が 処 方

さ れ た 症 例 を D A P T + H2 RA 群 , 抗 潰 瘍 薬 が 処 方 さ れ て い な い 症 例

を D AP T 群 と し た 。 上 部 消 化 器 症 状 に て P CI 以 前 か ら H2 RA を 服

用 し て い た 症 例 も D AP T + H2 RA 群 に 含 め た 。 ま た , シ ロ ス タ ゾ ー

ル や プ ロ ス タ グ ラ ン ジ ン ア ナ ロ グ の 抗 血 小 板 薬 お よ び ,一 般 用 医 薬

品 も 両 群 に お い て 除 外 項 目 と せ ず , 最 終 的 に , D AP T + H2 RA 群 は

2 9 6 例 , D AP T 群 は 4 4 7 例 で あ っ た ( 図 7 ) 。

(35)

35

2 . 2 評 価

D AP T 期 間 中 の 臨 床 評 価

D ES 留 置 後 か ら 1 年 間 の D AP T 期 間 中 の 患 者 の 臨 床 経 過 を 調 査 し た 。本 章 に て , H2 RA が 上 部 消 化 管 出 血 の 発 生 を 抑 制 さ せ る こ と が 可 能 で あ る か ,ま た , H2 RA が 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト 発 生 に 影 響 を 及 ぼ さ な い か と い う こ と の 2 項 目 を 評 価 し た 。上 部 消 化 管 出 血 は 進 行 性 の 貧 血 , 吐 血 , 下 血 が 認 め ら れ た 場 合 に 内 視 鏡 検 査 を 実 施 し , 内 視 鏡 的 に 出 血 性 の 潰 瘍 を 確 認 で き た も の と 定 義 し た 。上 部 消 化 管 出 血 の 重 症 度 は T hro m b o l y si s I n My o ca rdi a l I nfa rct i o n の 基 準

1 1 )

に 準 じ て 評 価 し た 。ま た ,下 部 消 化 管 出 血 の 発 生 も 上 部 消 化 管 出 血 と 同 様 の 定 義 に て 調 査 し た 。

主 要 有 害 心 イ ベ ン ト は 心 関 連 死 ,急 性 冠 症 候 群 ,ス テ ン ト 血 栓 症 , 標 的 病 変 部 血 行 再 建 と 定 義 し た 。 ス テ ン ト 血 栓 症 は Aca de m i c Re se a r ch Co ns o rt i um de fi ni t i o n

1 2 )

に 準 じ て 定 義 し た 。

本 章 の 研 究 は 疫 学 研 究 の 倫 理 指 針 に 従 い ,湘 南 鎌 倉 総 合 病 院 倫 理 委 員 会 に て 承 認 を 得 て 実 施 し た 。

2 . 3 統 計 解 析

2 群 の 患 者 背 景 の 比 較 に つ い て , Ma nn -Whi t ne y U 検 定 ま た は χ

2

検 定 を 用 い た 。累 積 上 部 消 化 管 出 血 非 発 生 率 や 累 積 主 要 有 害 心 イ ベ

ン ト 発 生 率 に つ い て は K a pl a n -Me i e r 生 存 曲 線 を 用 い , l o g -ra nk

検 定 を 行 っ た 。 有 意 水 準 を 0 . 0 5 と 設 定 し , コ ッ ク ス 比 例 ハ ザ ー ド

モ デ ル を 用 い て , ハ ザ ー ド 比 お よ び 9 5 % 信 頼 区 間 ( co nfi de n ce

i nt e rv a l : 以 下 , C I ) を 算 出 し た 。 統 計 解 析 は S P S S v e r. 11 . 0 を 用

(36)

36

い た 。

3 . 結 果

2 群 間 の 患 者 背 景 は ,心 筋 梗 塞 の 既 往 や 胃 粘 膜 保 護 薬 の 使 用 頻 度 以 外 は 差 が 認 め ら れ な か っ た ( 表 8 )。 D AP T + H2 RA 群 で は シ ロ ス タ ゾ ー ル (n = 2 3 ) , プ ロ ス タ グ ラ ン ジ ン ア ナ ロ グ ( n = 6 ) , サ ル ポ グ レ ラ ー ト (n = 4 ) ,イ コ サ ペ ン タ エ ン 酸 (n = 2 ) が D AP T 以 外 の 抗 血 小 板 薬 と し て 使 用 さ れ , D AP T 群 で は シ ロ ス タ ゾ ー ル (n = 2 9 ) , プ ロ ス タ グ ラ ン ジ ン ア ナ ロ グ (n = 8 ) , サ ル ポ グ レ ラ ー ト (n = 4 ) , イ コ サ ペ ン タ エ ン 酸 (n = 2 ) が 使 用 さ れ て い た 。D AP T + H2 RA 群 で 使 用 さ れ て い た H2 RA は ラ ニ チ ジ ン (n = 2 1 8 , 7 3. 7 %) , フ ァ モ チ ジ ン (n = 7 4 ) , ラ フ チ ジ ン ( n = 3 ) , ニ ザ チ ジ ン (n = 1 ) で あ り , 用 量 に つ い て は 表 9 に 示 し た 。 平 均 追 跡 期 間 は 3 4 6 ± 9 0 日 で あ り , 追 跡 期 間 に 5 7 症 例 が 追 跡 不 能 と な り , 4 6 症 例 が D AP T を 1 年 以 内 に 中 止 し た 。 P P I は 消 化 管 出 血 ま た は 他 の 消 化 器 症 状 の た め に 3 2 症 例 に 使 用 さ れ ,中 途 打 ち 切 り 症 例 と し て 扱 っ た 。追 跡 期 間 中 に 発 生 し た 上 部 消 化 管 出 血 を 表 1 0 に 示 し た 。上 部 消 化 管 出 血 は D AP T + H2 RA 群 で 2 例 (0 . 7 %) , D AP T 群 で 1 2 例 (2 . 7 %) に 出 現 し た 。 D AP T + H2 R A 群 は 累 積 上 部 消 化 管 出 血 非 発 生 率 が D A P T 群 よ り も 有 意 に 高 か っ た ( p

= 0 . 0 4 9 ) ( 図 8 )。 累 積 上 部 消 化 管 出 血 非 発 生 率 は D AP T + H2 RA 群

で 9 9 . 3 % (9 5 % co nfi de nce i nt e rv a l [CI ], 9 8 . 3 %-1 0 0 %) , D AP T 群 で

9 7 . 2 % (9 5 %CI , 95. 6 %-9 8 . 8 %) で あ っ た 。 コ ッ ク ス 比 例 ハ ザ ー ド モ

デ ル の 解 析 で は , H2 R A が D AP T 期 間 中 の 上 部 消 化 管 出 血 の 発 生 抑

制 と し て , 有 益 な 傾 向 が 見 ら れ た (H R 0 . 2 5 ; 9 5 % CI , 0 .0 6 -1 . 11 , p =

(37)

37

0 . 0 6 9 ) 。 下 部 消 化 管 出 血 は D AP T + H2 RA 群 で 6 例 ( 2 . 0 %) , D AP T 群 で 11 例 (2 . 5 %) に 出 現 し た ( p = 0. 67) ( 図 9 )。

主 要 有 害 心 イ ベ ン ト は D AP T + H2 RA 群 で 2 9 例 (9 . 7 %) ,D AP T 群 で 5 0 例 (11 . 2 %) に 認 め ら れ た ( 表 11 )。 図 1 0 に 累 積 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト 発 生 率 の K a pl a n -Me i e r 生 存 曲 線 を 示 し た 。累 積 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト 発 生 率 は D AP T + H2 RA 群 で 1 0 . 5 % (9 5 %CI , 6 . 9 %-1 4 . 1 %) , D AP T 群 で 1 2 . 2 % (9 5 %CI , 9 . 0 %-1 5. 4 %) で あ り , 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト 発 生 に 差 は 認 め ら れ な か っ た ( p = 0 . 4 7 4 ) 。コ ッ ク ス 比 例 ハ ザ ー ド モ デ ル 解 析 に て ,H2 RA は 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト の 発 生 に 影 響 し な か っ た (H R 0 . 8 5 ; 95 % CI , 0 . 5 4 -1 .3 4 ; p = 0 . 4 74 ) 。 ス テ ン ト 血 栓 症 は D AP T + H2 RA 群 で 2 例 ( 亜 急 性 1 例 , 遅 発 性 1 例 ), D AP T 群 で 3 例( 亜 急 性 1 例 ,遅 発 性 2 例 )に 認 め ら れ ,差 は 認 め ら れ な か っ た 。

4 . 考 察

ク ロ ピ ド グ レ ル と P P I の 相 互 作 用 に 関 す る 臨 床 的 な 解 釈 に つ い

て は 混 沌 と し て い る 。い く つ か の 後 ろ 向 き コ ホ ー ト 研 究 で は ク ロ ピ

ド グ レ ル と P P I の 併 用 が 心 血 管 イ ベ ン ト の 増 加 と 関 連 が あ る と 報

告 し て い る 。 最 近 で は D o ug l a s ら が , コ ホ ー ト 解 析 に お い て 主 要

有 害 心 イ ベ ン ト の 増 加 が 認 め ら れ た も の の , se l f -c o nt ro l l e d ca se

se ri e s 解 析 で は 増 加 が 認 め ら れ な か っ た と 報 告 し て い る

4 2 )

。 交 絡

を 調 整 し た p ro pe nsi t y sco re m a t ch i ng 法 を 用 い た い く つ か の 後 ろ

向 き コ ホ ー ト 研 究 で は ク ロ ピ ド グ レ ル と P P I の 併 用 に よ る 心 血 管

イ ベ ン ト の 増 加 は 見 ら れ て い な い

4 3 , 4 4 )

。我 々 の 知 る 限 り で は ,P P I

併 用 と 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト と の 因 果 関 係 が な い と 報 告 し た 二 重 盲

図   2 .       累 積 上 部 消 化 管 出 血 非 発 生 率
図 4 .     累 積 主 要 有 害 心 イ ベ ン ト 発 生 率
図 6 .   累 積 上 部 消 化 管 出 血 非 発 生 率
図   8 .     累 積 上 部 消 化 管 出 血 非 発 生 率
+2

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