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3 カ ル バ ペ ネ ム 5 抗 菌 薬 の M I C 測 定 5 3. 結 果 3

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Academic year: 2021

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多 職 種 協 働 A n t i m i c r o b i a l S t e w a r d s h i p P r o g r a m に よ る 抗 菌 化 学 療 法 の 適 正 使 用 推 進 に お け る 臨 床 薬 剤 師 の 貢 献 に 関 す る 研 究

S t u d i e s o n t h e C o n t r i b u t i o n o f C l i n i c a l P h a r m a c i s t s i n P r o m o t i n g R a t i o n a l A n t i m i c r o b i a l C h e m o t h e r a p y w i t h M u l t i d i s c i p l i n a r y A n t i m i c r o b i a l S t e w a r d s h i p P r o g r a m

平 成 2 7 年 度 論 文 博 士 申 請 者

栃 倉 尚 広 (To c h i k u r a , N a o h i r o)

指 導 教 員

越 前 宏 俊

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目 次

序 章 1

第 1 章 . カ ル バ ペ ネ ム 系 抗 菌 薬 の 使 用 と 緑 膿 菌 の 薬 剤 耐 性 1.は じ め に 4

2. 方 法 2 . 1 カ ル バ ペ ネ ム 使 用 状 況 の 推 移 5

2 . 2 緑 膿 菌 の 薬 剤 感 受 性 と 推 移 5

2 . 3 カ ル バ ペ ネ ム 5 抗 菌 薬 の M I C 測 定 5

3. 結 果 3 . 1 カ ル バ ペ ネ ム 使 用 状 況 の 推 移 7

3 . 2 緑 膿 菌 の 薬 剤 感 受 性 と 推 移 7

3 . 3 カ ル バ ペ ネ ム 5 抗 菌 薬 の M I C 測 定 8

4.考 察 8

第 2 章 . 多 職 種 協 働 に よ る 抗 M R S A 薬 適 正 使 用 推 進 の 効 果

1.は じ め に 1 3 2. 方 法

2 . 1 抗 M R S A 薬 適 正 使 用 カ ン フ ァ レ ン ス 1 4 2 . 2 抗 M R S A 薬 使 用 状 況 の 推 移 1 5 2 . 3 抗 M R S A 薬 適 正 使 用 の 推 移 1 6 2 . 4 M R S A と M S S A 検 出 状 況 の 推 移 1 6 2 . 5 M R S A の 薬 剤 感 受 性 と 推 移 1 7 2 . 6 統 計 解 析 1 7

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3. 結 果

3 . 1 抗 M R S A 薬 使 用 状 況 の 推 移 1 7 3 . 2 抗 M R S A 薬 適 正 使 用 の 推 移 1 8 3 . 3 M R S A と M S S A 検 出 状 況 の 推 移 1 8 3 . 4 M R S A の 薬 剤 感 受 性 と 推 移 1 8 4. 考 察 1 9

第 3 章 . 鼠 径 ヘ ル ニ ア 根 治 術 に お け る 予 防 的 抗 菌 薬 投 与 の 有 効 性 1. は じ め に 2 4 2. 方 法

2 . 1 研 究 デ ザ イ ン 2 5

2 . 2 選 択 基 準 と 除 外 基 準 2 6 2 . 3 無 作 為 化 2 6 2 . 4 手 術 手 技 2 7 2 . 5 介 入 2 7 2 . 6 フ ォ ロ ー ア ッ プ 2 7 2 . 7 統 計 解 析 2 8 3. 結 果

3 . 1 患 者 2 9 3 . 2 研 究 結 果 2 9 3 . 3 S S I 症 例 の 詳 細 3 0 4.考 察 3 1

終 章

1.総 括 3 6

(4)

2.結 語 3 7

謝 辞 3 8

引 用 文 献 3 9

図 表 4 8

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1

序 章

抗 菌 薬 に 対 す る 耐 性 菌 の 出 現 と 蔓 延 は 世 界 的 な 問 題 と な っ て い る 。 米 国 疾 病 管 理 予 防 セ ン タ ー ( C e n t e r s f o r D i s e a s e C o n t r o l a n d

P r e v e n t i o n ; C D C ) は 、 カ ル バ ペ ネ ム 耐 性 腸 内 細 菌

(C a r b a p e n e m - r e s i s t a n t E n t e ro b a c t e r i a c e a e;C R E) を 「 悪 夢 の 耐 性 菌 」 と し て 大 き く 取 り 上 げ て い る 。 ま た 、 多 剤 耐 性 ア シ ネ ト バ ク タ ー や ニ ュ ー デ リ ー ・ メ タ ロ β ラ ク タ マ ー ゼ 産 生 菌 (N D M) は イ ラ ク 、イ ン ド 、タ イ な ど 中 東 か ら 東 南 ア ジ ア の 国 々 に お い て 急 激 に 増 加 し て い る 。こ の よ う な 状 況 の な か で 、耐 性 菌 に 対 す る 対 策 が グ ロ ー バ ル な 視 点 で 展 開 さ れ る よ う に な っ た 。2 0 11 年 、 世 界 保 健 機 関

(Wo r l d H e a l t h O r g a n i z a t i o n;W H O) は 「A n t i m i c r o b i a l R e s i s t a n c e : N o A c t i o n To d a y, N o C u r e To m o r r o w」 と い う メ ッ セ ー ジ を 発 信 し て い る 。1耐 性 菌 感 染 症 の 制 御 に は 、サ ー ベ イ ラ ン ス に よ る 正 確 な 疫 学 情 報 の 把 握 が 必 須 で あ り 、ま た 効 果 的 な 感 染 対 策 、適 切 な 抗 菌 薬 療 法 、ワ ク チ ン に よ る 感 染 症 予 防 な ど 複 数 の 対 策 を 並 行 し て 実 施 し て い く こ と が 必 要 で あ る 。

耐 性 菌 に よ る 感 染 症 の 実 態 と し て 、 米 国 で は 毎 年 2 0 0 万 人 以 上 の 人 々 が 耐 性 菌 に よ る 感 染 症 を 起 こ し 、そ の う ち 、少 な く と も 2 万 3 千 人 が 死 亡 し て い る と い う 推 定 結 果 が 報 告 さ れ て い る 。2ま た 、 耐 性 菌 に よ る 感 染 症 の 死 亡 率 は 、 感 受 性 菌 に 比 べ て 2~3 倍 程 度 死 亡 率 が 高 く な っ て い る と 報 告 さ れ て い る 。3耐 性 菌 に よ る 医 療 コ ス ト へ の 影 響 も 少 な く な い 。耐 性 菌 に よ る 感 染 症 が 起 こ る と 、治 療 の た め に 追 加 の 費 用 が 必 要 と な り 、ま た 入 院 期 間 を 延 長 せ ざ る を え な く な る 。耐 性 菌 感 染 症 に よ る 医 療 費 の 増 加 は 莫 大 な も の と な り 、米

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2

国 で は 耐 性 菌 感 染 症 に よ っ て 年 間 の 医 療 費 が 2 0 0 億 ド ル 増 大 し 、さ ら に 社 会 的 に 3 5 0 億 ド ル の 経 済 損 失 が 起 こ っ て い る と 推 定 さ れ て い る 。3

米 国 感 染 症 学 会 (I n f e c t i o u s D i s e a s e s S o c i e t y o f A m e r i c a;I D S A) は“耐 性 菌 に 立 ち 向 か う た め に 重 要 な 4 つ の 手 段”と し て 、① 感 染 症 の 予 防 、 耐 性 菌 の 広 が り を 防 ぐ 、 ② 耐 性 菌 の 状 況 の 把 握 、 ③ 抗 菌 薬 の 適 正 使 用 、そ し て ④ 新 し い 薬 あ る い は 検 査 法 の 開 発 、の 重 要 性 を 指 摘 し て い る 。4と く に ④ に 関 し て 、 米 国 は 2 0 2 0 年 ま で に 耐 性 菌 に 有 効 な 抗 菌 薬 を 1 0 薬 剤 開 発 す る こ と を 目 標 に 、“ B a d b u gs , N e e d

D r u g s 1 0 × ’ 2 0 ”と い う 標 語 で 国 民 に 呼 び か け て い る 。新 薬 の 開 発 に は

莫 大 な コ ス ト が か か る が 、 抗 菌 薬 は 高 血 圧 、 脂 質 異 常 症 、 糖 尿 病 な ど の 慢 性 疾 患 に 比 べ て 投 与 期 間 は 短 く 、た と え 使 用 さ れ る 頻 度 が 高 く て も 、企 業 に と っ て あ ま り 利 益 を 生 み 出 さ な い 。そ の た め 新 規 抗 菌 薬 の 開 発 は 近 年 停 滞 し て お り 、現 存 す る 抗 菌 薬 の 適 正 使 用 を 推 進 し 、 薬 剤 耐 性 菌 の 出 現 を 抑 制 す る こ と が 求 め ら れ て い る 。

抗 菌 薬 の 濫 用 を 防 ぐ 手 段 と し て 、A n t i m i c r o b i a l s t e w a r d s h i p は 感 染 症 診 療 の 基 本 や 抗 菌 薬 の 適 正 使 用 に つ な が る 重 要 な 考 え 方 で あ る 。 米 国 で は 2 0 0 7 年 に I D S A と 米 国 病 院 疫 学 学 会 (T h e S o c i e t y f o r H e a l t h c a r e E p i d e m i o l o g y o f A m e r i c a;S H E A) の 合 同 で 「 抗 菌 薬 管 理 の た め の プ ロ グ ラ ム 作 成 ガ イ ド ラ イ ン 」 を 発 表 し た こ と か ら 、 A n t i m i c r o b i a l s t e w a r d s h i p の 啓 発 が 進 め ら れ て い る 。 5 こ の A n t i m i c r o b i a l s t e w a r d s h i p p r o g r a m(A S P) の 中 心 と な る 戦 略 は 「 介 入 と フ ィ ー ド バ ッ ク 」 と 「 抗 菌 薬 使 用 制 限 」 で あ る が 、 教 育 や ガ イ ド ラ イ ン 、施 設 ご と の ロ ー カ ル フ ァ ク タ ー の 把 握 、適 切 な 投 与 量 や

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3

d e - e s c a l a t i o n な ど を 組 み 合 わ せ て 実 践 す る 診 療 科 横 断 的 な 活 動 を 提

案 し て い る 6

本 研 究 で は A S P の 理 念 を 実 現 す る 包 括 的 な 抗 菌 化 学 療 法 管 理 に 関 す る 臨 床 薬 学 的 実 践 の 試 み に つ い て 検 討 す る こ と を 目 的 と し て 、 第 1 章 で は 、院 内 カ ル バ ぺ ネ ム 系 抗 菌 薬 の 使 用 ガ イ ド ラ イ ン を 策 定 す る た め に 必 要 と な る カ ル バ ペ ネ ム 系 抗 菌 薬 の 使 用 状 況 と 緑 膿 菌 の 薬 剤 耐 性 に 関 す る サ ー ベ イ ラ ン ス を 行 っ た 。第 2 章 で は 、抗 菌 薬 使 用 届 出 制 度 お よ び 多 職 種 感 染 症 専 門 家 ( 医 師 、 薬 剤 師 、 看 護 師 、 臨 床 検 査 技 師 )に よ る 介 入 と フ ィ ー ド バ ッ ク が 抗 M R S A 薬 適 正 使 用 推 進 に 与 え る 抗 菌 薬 使 用 状 況 へ の 影 響 を 検 討 し た 。第 3 章 で は 、臨 床 的 課 題 と し て ヘ ル ニ ア 根 治 術 に お け る 早 期 術 後 創 感 染 ( S u r g i c a l

S i t e I n f e c t i o n;S S I) に 対 す る 抗 菌 薬 予 防 投 与 が 有 効 で あ る か を 前

向 き 臨 床 試 験 で 検 討 し た 。

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4

第 1 章 . カ ル バ ペ ネ ム 系 抗 菌 薬 の 使 用 と 緑 膿 菌 の 薬 剤 耐 性

1. は じ め に

緑 膿 菌 は 、水 ま わ り な ど の 生 活 環 境 中 に 広 く 常 在 し 、健 常 者 に 対 し て は 通 常 病 原 性 を 示 さ な い 、日 和 見 感 染 の 原 因 菌 の ひ と つ で あ る 。 し か し な が ら 、免 疫 能 が 低 下 し た 患 者 な ど で は 血 液 中 に 侵 入 し 、菌 血 症 や 敗 血 症 を 起 こ す と 、エ ン ド ト キ シ ン シ ョ ッ ク が 誘 発 さ れ 、多 臓 器 不 全 、 死 亡 す る こ と も あ る 。 ま た 、 多 く の 抗 菌 薬 に 対 し 自 然 耐 性 を 示 し 、 し ば し ば 治 療 に 難 渋 す る 。

カ ル バ ペ ネ ム 系 抗 菌 薬 ( 以 下 、 カ ル バ ペ ネ ム ) は ほ と ん ど の 嫌 気 性 菌 、グ ラ ム 陰 性 桿 菌 、グ ラ ム 陽 性 球 菌 に 抗 菌 活 性 の あ る 広 域 抗 菌 薬 で 、 こ れ ら 細 菌 の う ち 、 さ ま ざ ま な β‐ ラ ク タ マ ー ゼ を 産 生 す る 株 に 対 し て も 抗 菌 活 性 を も つ 。そ の た め 、カ ル バ ペ ネ ム は 日 本 で 繁 用 さ れ て お り 、不 適 切 な 使 用 や 漫 然 と し た 継 続 投 与 に よ り 、耐 性 菌 の 発 現 ・ 増 加 が 引 き 起 こ さ れ る こ と は 周 知 の 事 実 で あ る 。7 , 8 )と く に カ ル バ ペ ネ ム 耐 性 緑 膿 菌 、多 剤 耐 性 緑 膿 菌 の 出 現 が 大 き な 問 題 と な っ て お り 、全 国 的 な 抗 菌 薬 感 受 性 サ ー ベ イ ラ ン ス に お い て も 緑 膿 菌 に 対 す る カ ル バ ペ ネ ム を 含 め た 各 種 抗 菌 薬 の 感 受 性 は 全 般 的 に 低 下 し て い る と 報 告 さ れ て い る 。9 )現 時 点 で 日 本 大 学 医 学 部 付 属 練 馬 光 が 丘 病 院 ( 以 下 、 当 院 ) で は カ ル バ ペ ネ ム 使 用 に 関 す る 院 内 ガ イ ド ラ イ ン は な く 、 そ の 使 用 は 主 治 医 の 裁 量 に の み 任 さ れ て い る 。 今 回 我 々 は 、今 後 策 定 す べ き 院 内 ガ イ ド ラ イ ン の 基 礎 的 な 資 料 作 成 を 目 的 と し て 、カ ル バ ペ ネ ム 使 用 状 況 、緑 膿 菌 の 薬 剤 感 受 性 に 関 す る 調 査 を 行 っ た 。 ま た 、3 ヵ 月 と 短 期 間 で は あ る が 、 緑 膿 菌 の 臨 床

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5

分 離 株 を 対 象 に カ ル バ ペ ネ ム の 感 受 性 試 験 を 行 い 、全 国 サ ー ベ イ ラ ン ス と の 比 較 、 交 差 耐 性 に つ い て 検 討 を 行 っ た 。

2 .方 法

2 . 1 カ ル バ ペ ネ ム 使 用 状 況 の 推 移

2 0 0 5 年 1 月 か ら 2 0 0 8 年 6 月 ま で の 3 . 5 年 間 の i m i p e n e m / c i l a s t a t i n

(I P M / C S)、m e r o p e n e m(M E P M)、p a n i p e n e m / b e t a m i p r o n(PA P M / B P)、

b i a p e n e m(B I P M)、d o r i p e n e m(D R P M) の 使 用 量 ( バ イ ア ル 数 ) を オ ー ダ リ ン グ シ ス テ ム に よ り 6 ヵ 月 ご と ( 前 期 :1~6 月 、 後 期 :7

~1 2 月 ) に 集 計 、 調 査 し た 。

2 . 2 緑 膿 菌 の 薬 剤 感 受 性 と 推 移

同 期 間 に お い て 入 院 患 者 か ら 分 離 、同 定 さ れ た 緑 膿 菌 8 1 3 株 を 対 象 に I P M / C S、M E P M、g e n t a m i c i n(G M)、a m i k a c i n(A M K)、c i p r o f l o x a c i n

(C P F X)、l e v o f l o x a c i n(LV F X)、p i p e r a c i l l i n(P I P C)、c e f t a z i d i m e

(C A Z)、c e f e p i m e(C F P M) の 感 受 性 率 の 調 査 を カ ル バ ペ ネ ム 使 用

状 況 の 調 査 と 同 様 に 、6 ヵ 月 ご と に 行 っ た 。 測 定 に は 日 本 ビ オ メ リ ュ ー 社 の V I T E Kを 使 用 し た 。 ま た 、2 0 0 7 年 後 期 か ら 2 0 0 8 年 前 期 に お け る カ ル バ ペ ネ ム 耐 性 株 に 対 す る 各 種 抗 菌 薬 の 感 受 性 率 の 比 較 検 討 を 行 っ た 。

2 . 3 カ ル バ ペ ネ ム 5 抗 菌 薬 の M I C 測 定

1) 使 用 抗 菌 薬

PA P M( 第 一 三 共 )、B I P M( 明 治 製 菓 )、D R P M( 塩 野 義 製 薬 ) に

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6

つ い て は 力 価 の 明 ら か な 原 末 を 用 い た 。M E P M、I P M に つ い て は 極 東 オ ク ト パ ネ ル M P O P 2( 極 東 製 薬 工 業 ) を 用 い た 。

2) 対 象 菌 株

2 0 0 7 年 11 月 ~2 0 0 8 年 1 月 の 3 ヵ 月 間 に 、当 院 の 入 院 患 者 か ら 分

離 、 同 定 さ れ た 緑 膿 菌 3 8 株 を 対 象 と し た 。 な お 、 同 一 患 者 の 同 一 材 料 由 来 の 株 に つ い て は 、 初 回 分 離 株 の み と し た 。

3) 薬 剤 感 受 性 の 測 定

最 小 発 育 阻 止 濃 度 (m i n i m u m i n h i b i t o r y c o n c e n t r a t i o n;M I C) の 測 定 は 日 本 化 学 療 法 学 会 に よ る 微 量 液 体 希 釈 法 に 準 じ て 行 っ た 。1 0 ) な お 、精 度 管 理 に は 日 本 化 学 療 法 学 会 の 精 度 管 理 株 に 指 定 さ れ て い る P s e u d o m o n a s a e r u g i n o s a AT C C 2 7 8 5 3 株 に 相 当 す る 、J C M 6 11 9 株 を 使 用 し た 。

4) 耐 性 菌 の 判 定 基 準

耐 性 菌 の 判 定 は 臨 床 検 査 標 準 協 会 ( C l i n i c a l a n d L a b o r a t o r y S t a n d a r d s I n s t i t u t e;C L S I) に 準 じ 、1 1 )規 定 の な い PA P M、B I P M、

D R P M に つ い て は M E P M、I P M と 同 様 の 基 準 を 適 応 し た 。

全 国 的 な 感 受 性 サ ー ベ イ ラ ン ス と の 耐 性 率 の 比 較 は χ2 独 立 性 の 検 定 を 行 い 、 危 険 率 5 %で 有 意 と 判 定 し た 。 全 国 的 な 感 受 性 サ ー ベ イ ラ ン ス に つ い て は 2 0 0 4 年 に メ ロ ペ ン 調 査 研 究 会 が 報 告 し て い る

が 、1 2 )D R P M の 感 受 性 を 測 定 し て い な い た め 、5 抗 菌 薬 の 感 受 性 を

測 定 し た 2 0 0 2 年 の 吉 田 ら の 報 告 9 )も 合 わ せ て 比 較 を 行 っ た 。な お , 統 計 解 析 に は M i c r o s o f t E x c e l X P(M i c r o s o f t C o .)ア ド イ ン ソ フ ト の エ ク セ ル 統 計 S t a t c e l 2( オ ー エ ム エ ス 出 版 ) を 使 用 し た 。

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3 .結 果

3 . 1 カ ル バ ペ ネ ム 使 用 状 況 の 推 移

カ ル バ ペ ネ ム の 使 用 量 は 2 0 0 5~2 0 0 7 年 前 期 ま で は 2 5 4 7~3 7 6 5 バ イ ア ル と 著 明 な 増 加 は み ら れ な か っ た が 、2 0 0 7 年 後 期 、2 0 0 8 年 前 期 で は 各 々 、6 4 7 9、6 8 7 9 バ イ ア ル と 前 年 に 比 し 2 . 0、2 . 1 倍 と 使 用 量 の 急 激 な 増 加 が み ら れ た ( 図 1)。

診 療 各 科 の 抗 菌 薬 使 用 に お け る カ ル バ ペ ネ ム の 割 合 の 経 時 変 化 は 少 な く 、 内 科 、 外 科 、 小 児 科 、 泌 尿 器 科 で 各 々 、5 2~5 9 %、1 2~

1 7 %、9~1 6 %、5~11 %、 そ の 他 は 3~1 6 %で あ っ た 。

3 . 2 緑 膿 菌 の 薬 剤 感 受 性 と 推 移

2 0 0 5~2 0 0 7 年 前 期 で は 感 受 性 率 の 経 時 変 化 は 乏 し く 、G M、A M K、

C P F X、LV F X、P I P C、C F P M に お い て は 9 0% 以 上 の 高 い 感 受 性 率 を

維 持 し て い た 。 ま た 、I P M、M E P M に お い て も 8 0 %以 上 の 感 受 性 率 で あ っ た 。2 0 0 8 年 前 期 は 2 0 0 7 年 後 期 と 比 較 し I P M / C S、M E P M、C P F X、

LV F X、C A Z の 感 受 性 率 に 約 1 0~1 5 %程 度 の 著 明 な 低 下 を 認 め た 。

( 図 1)。 メ タ ロ ‐β‐ ラ ク タ マ ー ゼ 産 生 株 、 お よ び I P M、C P F X、

A M K に 同 時 に 耐 性 を 示 す 多 剤 耐 性 緑 膿 菌 は み ら れ な か っ た 。

2 0 0 7 年 後 期 か ら 2 0 0 8 年 前 期 に お け る 各 種 抗 菌 薬 の 交 差 耐 性 に つ

い て の 成 績 を 表 1 に 示 し た 。I P M 耐 性 3 5 株 と M E P M 耐 性 2 7 株 の 各 種 抗 菌 薬 の 感 受 性 率 を 比 較 す る と 、I P M 耐 性 株 に お い て 高 い 感 受 性 率 を 示 し た 。I P M / C S 耐 性 ・M E P M 感 受 性 7 株 の 感 受 性 率 は C A Z を 除 き 1 0 0% で あ っ た 。

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3 . 3 カ ル バ ペ ネ ム 5 抗 菌 薬 の M I C 測 定

検 査 材 料 の 内 訳 は 、 痰 1 3 件 、 尿 1 0 件 、 便 3 件 、 膿 1 件 、 胆 汁 1 件 、 耳 漏 1 件 、 そ の 他 9 件 で あ っ た 。 な お 、 血 液 由 来 の 緑 膿 菌 は 検 出 さ れ な か っ た 。

感 受 性 試 験 の 結 果 を 表 2 に 、耐 性 率 の 比 較 を 表 3 に 示 し た 。M I C5 0

と M I C9 0 値 で そ れ ぞ れ の 抗 菌 力 を 比 較 す る と 、D R P M の M I C5 0

M I C9 0 値 は そ れ ぞ れ 0 . 2 5、8 μ g/ m L と 最 も 優 れ て お り 、 つ い で B I P M

で は 0 . 5、1 6 μ g/ m L、M E P M、I P M で は 2、3 2 μ g/ m L、PA P M で は 4、

3 2 μ g/ m L の 順 で あ っ た ( 表 2)。

耐 性 率 は 高 い 順 に M E P M で 2 3 . 7 %、I P M、PA P M で 2 1 . 1 %、B I P M

で 1 5 . 8 %、D R P M で 5 . 3 %で あ っ た ( 表 3)。 こ の 耐 性 率 を 全 国 的 な

サ ー ベ イ ラ ン ス の デ ー タ と 比 較 し た と こ ろ 、M E P M で は 2 つ の 報 告 と 比 べ て 耐 性 率 が 高 く 、 メ ロ ペ ン 特 別 調 査 研 究 会 の 報 告 1 2 )と 比 べ て 耐 性 率 は 有 意 に 高 か っ た (p= 0 . 0 1 3)。B I P M で は 耐 性 率 が 2 つ の 報 告 の 間 の 値 で あ り 全 国 的 な 耐 性 率 と 同 様 で あ っ た 。PA P M で は 吉 田 ら の 報 告 9 )、メ ロ ペ ン 特 別 調 査 研 究 会 の 報 告 1 2 )と 比 べ て 耐 性 率 は 有 意 に 低 か っ た ( 各 々 、p= 0 . 0 11、p= 0 . 0 0 4)。I P M、D R P M で は 、 耐 性 率 は 低 い 結 果 で あ っ た が 統 計 学 的 な 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 。 カ ル バ ペ ネ ム 耐 性 株 に お け る 各 種 カ ル バ ペ ネ ム の 交 差 耐 性 を 図 2 に 示 し た 。I P M、M E P M、PA P M、B I P M 耐 性 株 に 対 す る D R P M の 耐 性 率 は そ れ ぞ れ 2 5、2 2、2 5、3 3 %と 低 値 で あ っ た 。 ま た 、D R P M 耐 性 株 で は 他 の カ ル バ ペ ネ ム は 全 て 耐 性 を 示 し た 。

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4 . 考 察

2 0 0 5~2 0 0 7 年 前 期 ま で は 、 緑 膿 菌 に 対 す る 抗 菌 薬 感 受 性 の 経 時

的 な 変 動 は 乏 し か っ た 。2 0 0 8 年 前 期 に は 9 0% 以 上 の 高 い 感 受 性 を 示 す 薬 剤 は P I P C、G M、A M K の み と な り 、 カ ル バ ペ ネ ム で は 感 受

性 率 8 0 %を 下 回 り 、カ ル バ ペ ネ ム の 使 用 量 増 加 の 影 響 が 示 唆 さ れ た 。

こ の た め 重 症 感 染 症 に お け る エ ン ピ リ ッ ク セ ラ ピ ー と し て の 使 用 も 困 難 に な り つ つ あ る ( 図 1)。

研 究 開 始 点 で は 、カ ル バ ペ ネ ム 使 用 に 関 す る 院 内 ガ イ ド ラ イ ン は な く 、そ の 使 用 は 主 治 医 の 裁 量 に の み 任 さ れ て い る た め 、不 適 切 な 使 用 や 漫 然 と し た 継 続 投 与 が 増 加 し た も の と 考 え ら れ る 。と り わ け 、 緑 膿 菌 に 対 す る 抗 菌 力 に 優 れ 、 中 枢 神 経 系 の 安 全 性 が 高 い た め

M E P M が 積 極 的 に 使 用 さ れ 、そ の 使 用 量 増 加 が 顕 著 に な っ た と 考 え

ら れ る 。1 3 )ま た 、診 療 各 科 の 抗 菌 薬 使 用 に お け る カ ル バ ペ ネ ム の 割 合 の 経 時 変 化 は 少 な く 、 内 科 、 外 科 、 小 児 科 、 泌 尿 器 科 で 各 々 、5 2

~5 9 %、1 2~1 7 %、9~1 6 %、5~11 %で あ っ た 。 と り わ け 抗 菌 薬 使 用

量 の 最 も 多 い 内 科 で の 割 合 は 高 く 、全 体 の 使 用 動 向 、感 受 性 動 向 も こ れ に 大 き く 影 響 す る も の と 推 察 さ れ る 。

カ ル バ ペ ネ ム に 対 す る 耐 性 機 序 と し て 、 ①O p r D 欠 損 、 ② 抗 菌 薬 排 出 シ ス テ ム 、③ メ タ ロ ‐β‐ ラ ク タ マ ー ゼ 産 生 な ど が あ げ ら れ る 。 と り わ け 抗 菌 薬 耐 性 で 問 題 に な る 経 路 は 、O p r D ポ ー リ ン に よ っ て 形 成 さ れ た 親 水 経 路 で あ る 。O p r D ポ ー リ ン 孔 は 、 塩 基 性 ア ミ ノ 酸 や そ れ に 富 む オ リ ゴ ペ プ チ ド の 透 過 経 路 と し て 機 能 し て い る が 、比 較 的 強 い 塩 基 性 側 鎖 を も つ カ ル バ ペ ネ ム を こ の 孔 を 介 し て 緑 膿 菌 の 細 胞 内 に 透 過 す る 。o p r D 遺 伝 子 の 変 異 に よ っ て O p r D の 発 現 量 が

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10

減 少 し た 株 は カ ル バ ペ ネ ム の 使 用 に よ り 選 択 さ れ る 。 今 回 の I P M

と M E P M の 感 受 性 率 の 比 較 検 討 で は 、I P M 耐 性 株 と M E P M 耐 性 株

は 各 種 抗 菌 薬 に 対 す る 感 受 性 が 異 な り 、M E P M 耐 性 株 の 方 が 各 種 抗 菌 薬 に 耐 性 を 示 す 割 合 が 高 く 、M E P M は 複 数 の 抗 菌 薬 に 対 し 交 差 耐 性 が 示 さ れ た ( 表 1)。 こ れ は 、I P M 耐 性 が 主 に O p r D の 欠 損 に 依 存 す る の に 対 し 、M E P M で は O p r D の 欠 損 の 他 に セ フ ェ ム と 共 有 す る 透 過 経 路 の 減 少 に よ り 、抗 菌 薬 の 取 り 込 み が 低 下 、抗 菌 薬 の 排 出 シ ス テ ム の 影 響 に よ り 交 差 耐 性 が 生 じ る も の と 考 え ら れ る 。 1 4 , 1 5 )ま た 、 田 村 は I P M 耐 性 、 か つ M E P M 感 受 性 株 で は 各 種 抗 菌 薬 の 感 受 性 率 が 高 い と 報 告 し て お り 、1 6 )わ れ わ れ の 成 績 と 同 様 で あ っ た 。

今 回 、抗 菌 薬 排 出 シ ス テ ム 耐 性 機 序 に 関 し て 検 討 す る に は 至 っ て お ら ず 明 確 な 言 及 は で き な い が 、 緑 膿 菌 の 抗 菌 薬 耐 性 に は R N D 型 に 分 類 さ れ る マ ル チ コ ン ポ ー ネ ン ト 型 の 排 出 シ ス テ ム が 重 要 と 考 え ら れ て い る 。1 7 )こ れ ら の 抗 菌 薬 耐 性 菌 が 重 要 な 理 由 の ひ と つ に は 排 出 す る 基 質 域 が 広 い こ と で あ り 、こ れ に よ っ て 構 造 的 に 類 似 性 の な い 抗 菌 薬 間 で の 広 域 交 差 耐 性 が 起 こ る 。野 性 株 で も わ ず か に 発 現 し 、 緑 膿 菌 本 来 の 抗 菌 薬 自 然 耐 性 に 寄 与 す る 排 出 シ ス テ ム で あ る

M e x A - M e x B - O p r M は 、 キ ノ ロ ン 系 抗 菌 薬 だ け で な く 、 メ ロ ペ ネ ム

の よ う な カ ル バ ペ ネ ム を 含 む ほ と ん ど の β‐ ラ ク タ ム 系 抗 菌 薬 に 対 す る 耐 性 化 を も た ら す 。こ う し た 耐 性 の 獲 得 に よ っ て 、カ ル バ ペ ネ ム を 中 心 に 各 種 抗 菌 薬 の 耐 性 化 の 傾 向 が 認 め ら れ た と 考 え ら れ る 。

本 邦 に お け る 全 国 規 模 の 調 査 で は 、 メ タ ロ ‐β‐ ラ ク タ マ ー ゼ 産 生 株 は 1 . 6~5 . 8% と さ れ て い る が 、1 8 )今 回 の 結 果 で は 産 生 株 は 認 め ら れ な か っ た 。

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カ ル バ ペ ネ ム の 薬 剤 感 受 性 試 験 の 結 果 で は 、耐 性 率 を 全 国 的 な サ ー ベ イ ラ ン ス の デ ー タ と 比 較 し た と こ ろ 、M E P M で は 2 つ の 報 告 9 ,

1 2 )と 比 較 し て 耐 性 率 が 高 く 、今 後 、M E P M 耐 性 株 の 動 向 に い っ そ う

注 意 が 必 要 と 考 え ら れ る ( 表 3)。 当 院 で は 、M E P M の 使 用 量 は 最 も 多 く 、 前 年 比 で は 約 2 倍 と 増 加 し て お り M E P M 耐 性 化 が 進 ん だ 可 能 性 が 考 え ら れ る 。他 の カ ル バ ペ ネ ム 耐 性 率 は 全 国 的 な サ ー ベ イ ラ ン ス の 結 果 と 比 較 し て も 増 大 し て い な か っ た 。D R P M に お い て は カ ル バ ペ ネ ム 耐 性 菌 に 対 し 、 最 も 優 れ た 抗 菌 活 性 が 示 唆 さ れ た 。

O p r D の 欠 損 や M e x A - M e x B - O p r M の 高 産 生 に よ る D R P M の 抗 菌 活 性

の 低 下 は I P M や M E P M に 比 べ て 小 さ く 、1 9 )こ の こ と が 他 の カ ル バ ペ ネ ム 耐 性 株 に 対 し て も 強 い 抗 菌 活 性 を 発 揮 す る も の と 考 え ら れ た 。 ま た 、S a k y o ら 2 0 )は 、D R P M は カ ル バ ペ ネ ム 耐 性 緑 膿 菌 の 増 殖 を 抑 制 す る 効 力 が 最 も 大 き く 、そ の 抗 菌 活 性 の 強 さ に よ る も の と 報 告 し て お り 、 我 々 の 成 績 を 支 持 す る も の で あ っ た 。 な お 、 院 内 感 染 対 策 サ ー ベ イ ラ ン ス (J a p a n e s e N o s o c o m i a l I n f e c t i o n S u r v e i l l a n c e ;

J A N I S) の 2 0 1 4 年 度 報 告 2 2で は 、I P M 耐 性 率 1 6 . 3% 、M E P M 耐 性

率 9 . 6 %と 2 0 0 7 年 度 以 降 は 緩 や か で は あ る が 低 下 傾 向 を 示 し て お り 、

本 邦 に お い て も 薬 剤 師 が A S P 活 動 に 積 極 的 に 取 り 組 む よ う に な っ た こ と も 一 因 と 考 え ら れ る 。

今 回 は 3 . 5 年 と 短 期 間 の 観 察 で あ る が 、カ ル バ ペ ネ ム 使 用 量 の 増 加 に 伴 う 感 受 性 率 の 低 下 が 示 唆 さ れ 、 特 に M E P M 耐 性 株 で は セ フ ェ ム 系 を は じ め と す る 各 種 抗 菌 薬 に 対 す る 感 受 性 率 の 低 下 が 認 め ら れ た 。カ ル バ ペ ネ ム の 適 正 使 用 に は 、こ れ ら 抗 菌 薬 の 使 用 動 向 調 査 、お よ び 緑 膿 菌 を は じ め と す る 薬 剤 感 受 性 サ ー ベ イ ラ ン ス を 継 続

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し 、こ れ に 基 づ い た モ ン テ カ ル ロ ・ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン な ど を 活 用 し た 、 薬 剤 部 に よ る 感 染 症 診 療 支 援 業 務 も 重 要 で あ る と 考 え ら れ た 。 ま た 、院 内 I C T ラ ウ ン ド 、薬 剤 管 理 指 導 業 務 を 介 し た カ ル バ ペ ネ ム 適 正 使 用 の 取 り 組 み と し て 、「 抗 菌 薬 の 体 内 動 態

( p h a r m a c o k i n e t i c s ; P K ) ‐ 原 因 菌 に 対 す る 抗 菌 活 性

(p h a r m a c o d y n a m i c s;P D)」 を 考 慮 し た 処 方 支 援 も 重 要 に な る と 考

え て い る 。

カ ル バ ペ ネ ム を は じ め と す る 抗 菌 薬 の 適 正 使 用 に は 感 染 制 御 チ ー ム (I n f e c t i o n C o n t r o l Te a m;I C T) の 積 極 的 な 介 入 に よ っ て 、 カ ル バ ペ ネ ム 以 外 で の 治 療 実 績 、あ る い は カ ル バ ペ ネ ム か ら 他 系 統 の 抗 菌 薬 へ の d e - e s c a l a t i o n に よ る 治 療 実 績 を 蓄 積 し て い く こ と が 重 要 で あ る 。カ ル バ ペ ネ ム は 重 症 感 染 症 に 対 す る 切 り 札 的 抗 菌 薬 で あ る こ と を 周 知 徹 底 し 、使 用 届 出 制 、許 可 制 と い っ た 使 用 コ ン ト ロ ー ル を 含 め た 院 内 ガ イ ド ラ イ ン の 策 定 に つ い て も 検 討 す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ た 。

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第 2 章 . 多 職 種 協 働 に よ る 抗 M R S A 薬 適 正 使 用 推 進 の 効 果

1. は じ め に

M e t h i c i l l i n - r e s i s t a n t St a p h y l o c o c c u s a u re u s(M R S A) は 医 療 関 連 感 染 を 起 こ す 代 表 的 な 菌 で あ り 、院 内 で 分 離 さ れ る 耐 性 菌 と し て 最 も 分 離 頻 度 が 高 い も の の 1 つ で あ る 。そ の 頻 度 は 各 医 療 機 関 に よ っ て 異 な る も の の 、入 院 患 者 か ら 分 離 さ れ る S . a u re u s の 5 0~7 0% を M R S A が 占 め て い る と さ れ る 。2 1 , 2 2 )

M R S A 感 染 症 患 者 の 増 加 は 、不 十 分 な

標 準 予 防 策 の 実 施 や 抗 菌 薬 の 不 適 切 な 使 用 に よ る 部 分 が 大 き く 、抗 菌 薬 を 処 方 す る 医 師 個 人 の 問 題 で あ る と と も に 、I C T に と っ て 重 要 な 課 題 で あ る 。 抗 菌 薬 適 正 使 用 の 方 法 と し て 米 国 で は 2 0 0 7 年 に I D S A と S H E A か ら A n t i m i c r o b i a l s t e w a r d s h i p に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン が 発 表 さ れ て い る 。5A S P の 中 心 と な る 戦 略 は 前 向 き な 抗 菌 薬 使 用 調 査 と 介 入 に よ る フ ィ ー ド バ ッ ク 、抗 菌 薬 使 用 制 限 、教 育 な ど を 組 み 合 わ せ て 実 践 す る 診 療 科 横 断 的 な 活 動 で あ る 。2 3A S P の 一 環 と し て 抗 菌 薬 使 用 制 限 に よ る 使 用 量 減 少 や 耐 性 菌 抑 制 の 報 告 は 散 見 さ れ る が 、2 4 - 2 6多 職 種 連 携 に よ る カ ン フ ァ レ ン ス や ラ ウ ン ド の 効 果 を 検 証 し た 報 告 は 少 な い 。2 7

日 本 大 学 医 学 部 附 属 板 橋 病 院 ( 以 下 、 当 院 ) で は A S P 介 入 方 法 と し て 、 す べ て の 入 院 患 者 を 対 象 に I C T メ ン バ ー の 薬 剤 師 が 抗

M R S A 薬 処 方 症 例 を ピ ッ ク ア ッ プ し 、 多 職 種 か ら 構 成 さ れ た 「 抗

M R S A 薬 適 正 使 用 カ ン フ ァ レ ン ス 」を 開 催 し て い る 。医 師 、薬 剤 師 、

細 菌 検 査 技 師 、看 護 師 は 臨 床 情 報 と 細 菌 検 査 結 果 に 基 づ い て 使 用 状 況 の 評 価 を 行 い 、 使 用 継 続 ・ 変 更 ・ 中 止 の 推 奨 を 行 っ て い る 。 我 々

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は 今 回 、 カ ン フ ァ レ ン ス の 効 果 を 検 証 し A S P の 有 用 性 に つ い て 検 討 し た 。

2 .方 法

2 . 1 抗 M R S A 薬 適 正 使 用 カ ン フ ァ レ ン ス

カ ン フ ァ レ ン ス は 感 染 予 防 対 策 室 の メ ン バ ー で あ る i n f e c t i o n

c o n t r o l d o c t o r(I C D)、 抗 菌 化 学 療 法 指 導 医 、 感 染 制 御 専 門 薬 剤 師

(B o a r d C e r t i f i e d I n f e c t i o n C o n t r o l P h a r m a c y S p e c i a l i s t;B C I C P S)、

抗 菌 化 学 療 法 認 定 薬 剤 師 ( I n f e c t i o u s D i s e a s e C h e m o t h e r a p y P h a r m a c i s t;I D C P)、 感 染 制 御 認 定 臨 床 微 生 物 検 査 技 師 ( I n f e c t i o n C o n t r o l M i c r o b i o l o g i c a l Te c h n o l o g i s t;I C M T)、 感 染 管 理 認 定 看 護 師

(I n f e c t i o n C o n t r o l N u r s e;I C N) な ど 有 資 格 者 を 中 心 に 構 成 さ れ 、 週 1 回 開 催 さ れ て い る 。細 菌 検 査 の 結 果 か ら 抗 M R S A 薬 投 与 が 必 要 と 考 え ら れ る 細 菌 は M R S A、m e t h i c i l l i n - r e s i s t a n t c o a g u l a s e - n e g a t i v e s t a p h yl o c o c c i (M R - C N S)、E n t e ro c o c c u s f a e c i u mB a c i l l u s c e r e u s、 そ の 他 の B a c i l l u s s p、C o r y n e b a c t e r i u m s p で あ る が 、 治 療 開 始 時 に は 汚 染 菌 、定 着 菌 な ど の 除 外 も 必 要 で あ る 。本 カ ン フ ァ レ ン ス に お い て は 、「 抗 M R S A 薬 の 投 与 の 対 象 と な る 原 因 菌 が 無 菌 的 な 検 体 か ら 検 出 さ れ て い る 状 況 」、「 無 菌 的 な 検 体 で は な い が 白 血 球 の 貪 食 像 が 認 め ら れ る な ど 原 因 菌 の 可 能 性 が 高 い と 考 え ら れ る 」、「 臨 床 的 に 投 与 が 必 要 な 状 況 と 判 断 さ れ る 」、「 発 熱 性 好 中 球 減 少 症 」、「 抗

M R S A 薬 の 投 与 が 必 要 な 菌 が 検 出 さ れ て い る が 、原 因 菌 で あ る か 不

明 な 状 況 」、「 抗 M R S A 薬 の 適 応 内 だ が 、他 剤 で も 治 療 可 能 と 考 え ら れ る 」、「 細 菌 学 的 検 索 が な さ れ て い な い 」「 抗 M R S A 薬 の 投 与 は 不

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要 と 考 え ら れ る 」、「 使 用 理 由 が 不 明 」 の 9 項 目 に 分 類 し た 。 カ ン フ ァ レ ン ス に て 使 用 理 由 が 不 明 の 場 合 に は 病 棟 ラ ウ ン ド を 行 な い 、診 療 録 の 閲 覧 、「 抗 M R S A 薬 の 適 応 内 だ が 、 他 剤 で も 治 療 可 能 と 考 え ら れ る 」「 細 菌 学 的 検 索 が な さ れ て い な い 」「 抗 M R S A 薬 の 投 与 は 不 要 と 考 え ら れ る 」、「 使 用 理 由 が 不 明 」 に 該 当 す る 場 合 に は 、 主 治 医 へ の 確 認 な ど も 行 な い 評 価 を 完 成 さ せ た 。評 価 結 果 に 関 し て は 、感 染 防 止 対 策 委 員 会 に 報 告 さ れ 、更 に 感 染 対 策 リ ン ク ド ク タ ー へ 文 書 と し て 報 告 さ れ て い る 。 ま た 検 出 菌 の 感 受 性 結 果 か ら d e - e s c a l a t i o n が 可 能 な 症 例 に つ い て は 介 入 し て 、主 治 医 に 標 的 治 療 に 変 更 を 提 案 し た 。

2 . 2 抗 M R S A 薬 使 用 状 況 の 推 移

2 0 0 6 年 1 月 か ら 2 0 1 2年 1 2 月 ま で の 7 年 間 の v a n c o m y c i n(V C M)、

t e i c o p l a n i n(T E I C)、a r b e k a c i n(A B K)、l i n e z o l i d(L Z D)、d a p t o m y c i n

(D A P) 使 用 量 、 お よ び 使 用 患 者 数 を 1 年 ご と に 集 計 し た 。 な お 、

抗 菌 薬 の 使 用 量 は 1 , 0 0 0 患 者 日 数 あ た り の A n t i m i c r o b i a l U s a g e

D e n s i t y(A U D) を 次 式 に よ り 算 出 し 、 評 価 し た 。 抗 菌 薬 の D e f i n e d

d a i l y d o s e(D D D)は W H O の AT C i n d e x v e r s i o n 2 0 1 32 8を 使 用 し た 。 ま た 、 小 児 の デ ー タ は 成 人 の デ ー タ と 区 別 せ ず に 集 計 し た 。

A U D(1 , 0 0 0 患 者 日 数 あ た り ) = 抗 菌 薬 使 用 量 (g)÷[D D D(g)

×入 院 患 者 延 べ 在 院 日 数 ]× 1 , 0 0 0

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2 . 3 抗 M R S A 薬 適 正 使 用 の 推 移

抗 M R S A 薬 の 適 正 使 用 率 、 お よ び d e - e s c a l a t i o n の 実 施 率 を 1 年

ご と に 集 計 し た 。適 正 使 用 の 判 定 は「 抗 M R S A 薬 の 投 与 の 対 象 と な る 原 因 菌 が 無 菌 的 な 検 体 か ら 検 出 さ れ て い る 状 況 」、「 無 菌 的 な 検 体 で は な い が 白 血 球 の 貪 食 像 が 認 め ら れ る な ど 原 因 菌 の 可 能 性 が 高 い と 考 え ら れ る 」、「 臨 床 的 に 投 与 が 必 要 な 状 況 と 判 断 さ れ る 」、「 発 熱 性 好 中 球 減 少 症 」 の 4 項 目 と し た 。 ま た 、 検 出 菌 の 薬 剤 感 受 性 試 験 結 果 に よ っ て 、抗 M R S A 薬 か ら 他 剤 に よ る 標 的 治 療 に 変 更 が 可 能 で あ っ た も の を d e - e s c a l a t i o n と し 、 汚 染 菌 と 判 定 さ れ 抗 M R S A 薬 が 中 止 と な っ た も の は d e - e s c a l a t i o n か ら 除 外 し た 。

2 . 4 M R S A と M S S A 検 出 状 況 の 推 移

同 期 間 に お い て 入 院 患 者 か ら 分 離 、同 定 さ れ た M R S A、m e t h i c i l l i n s e n s i t i v e St a p h y l o c o c c u s a u re u s(M S S A) を 対 象 に 検 出 状 況 を 1 年 ご と に 集 計 し た 。 な お 、 検 出 状 況 は 1 , 0 0 0 患 者 日 数 あ た り の 検 出 率 を 次 式 に よ り 算 出 し 、評 価 し た 。同 一 患 者 か ら 複 数 検 体 が 提 出 さ れ た 場 合 に は 、1 入 院 期 間 に つ き 1 回 の み の カ ウ ン ト と し た 。

検 出 率(1 , 0 0 0 患 者 日 数 あ た り )=( 検 出 患 者 数÷入 院 患 者 延 べ 在 院 日 数 )× 1 , 0 0 0

ま た 、 同 期 間 に お い て 検 出 さ れ た M R S A お よ び M S S A の 総 和 に 占 め る M R S A の 割 合 を 算 出 し 1 年 ご と に 集 計 し た 。

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2 . 5 M R S A の 薬 剤 感 受 性 と 推 移

入 院 患 者 か ら 分 離 、同 定 さ れ た M R S A を 対 象 に V C M、T E I C、A B K、

L Z D の 感 受 性 率 の 調 査 を 1 年 ご と に 行 っ た 。V C M に つ い て は M I C

の 分 布 も 検 討 し た 。 測 定 に は 日 水 製 薬 株 式 会 社 の ラ イ サ ス エ ニ ー® を 使 用 し た 。 な お 、 薬 剤 感 受 性 菌 の 判 定 は C L S I に 準 じ 、1 1 )規 定 の

な い A B K に つ い て は G M と 同 様 の 基 準 で 行 っ た 。

2 . 6 . 統 計 解 析

2 群 の ベ ー ス ラ イ ン 比 較 の カ テ ゴ リ ー 変 数 に 関 し て は χ 2 独 立 性 の 検 定 を 用 い た 。 各 群 の 期 待 度 数 が 5 未 満 の 場 合 は F i s h e r の 直 接 確 率 計 算 法 を 用 い , 何 れ も 危 険 率 5 %で 有 意 と 判 定 し た 。 な お , 統 計 解 析 に は M i c r o s o f t E x c e l 2 0 1 0(M i c r o s o f t C o .) ア ド イ ン ソ フ ト の エ ク セ ル 統 計 S t a t c e l 3( オ ー エ ム エ ス 出 版 ) を 使 用 し た 。

3 .結 果

3 . 1 抗 M R S A 薬 使 用 状 況 の 推 移

抗 M R S A 薬 の 投 与 患 者 数 は 全 調 査 期 間 に お い て 年 間 4 2 0~4 7 6 名

の 間 を 推 移 し て お り 大 き な 変 化 は み ら れ な か っ た 。 抗 M R S A 薬 の

A U D に つ い て も 1 2 . 9~1 6 . 5 の 間 を 推 移 し て お り 有 意 な 変 化 は み ら

れ な か っ た ( 図 3)。 ま た 、V C M の 占 有 率 ( %A U D) は 5 5~8 1% と 最 多 で あ り 、T E I C、A B K、L Z D、D A P で 各 々 、1 4~2 5 %、2~2 6 %、 2~3 %、2 %で あ っ た 。

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3 . 2 抗 M R S A 薬 適 正 使 用 の 推 移

使 用 状 況 の 評 価 で は 、2 0 0 6 年 カ ン フ ァ レ ン ス 開 始 時 の 6 5 . 3 %か ら

2 0 1 2 年 で は 8 2 . 3 %と「 適 正 使 用 」と 判 断 さ れ る 症 例 の 増 加 が 認 め ら

れ た(p< 0 . 0 1)( 図 4)。検 体 未 提 出 で「 評 価 不 能 」な 症 例 や「 抗 M R S A

薬 の 投 与 は 不 要 」と 考 え ら れ る 定 着 症 例 な ど 減 少 傾 向 に あ っ た 。同

様 に d e - e s c a l a t i o n 実 施 率 も 2 0 0 6 年 カ ン フ ァ レ ン ス 開 始 時 に は 3 3 %

で あ っ た が 、2 0 0 7 年 に は 7 2 %、2 0 1 0 年 に は 8 5 %と 有 意 に 増 加 が 認 め ら れ た ( 各 々 p< 0 . 0 5、 p< 0 . 0 1)( 図 5)。 全 調 査 期 間 に お け る

d e - e s c a l a t i o n 実 施 の 内 訳 は 、検 出 菌 の 感 受 性 結 果 か ら M S S A と 判 明

し た 場 合 に は c e f a z o l i n(C E Z)へ の 変 更 が 9 0 %、a m p i c i l l i n / s u l b a c t a m

( A B P C / S B T) へ の 変 更 が 1 0% で あ っ た 。 m e t h i c i l l i n - s e n s i t i v e c o a g u l a s e - n e g a t i v e s t a p h y l o c o c c i (M S - C N S) で は C E Z へ の 変 更 が 1 0 0 %、E n t e ro c o c c u s f a e c a l i s で は A B P C へ の 変 更 が 1 0 0 %で あ っ た 。 ま た 、 主 治 医 へ の 提 案 で 問 題 と な る 症 例 は み ら れ な か っ た 。

3 . 3 M R S A と M S S A 検 出 状 況 の 推 移

2 0 1 2 年 に お け る M R S A 検 出 率 は 、カ ン フ ァ レ ン ス 開 始 時 2 0 0 6 年

と 比 較 し て 1 . 7 2 か ら 0 . 8 4 へ と 減 少 し た ( 図 6)。 ま た 、S . a u r e u s に お け る M R S A の 割 合 は 2 0 0 6 年 カ ン フ ァ レ ン ス 開 始 時 の 5 9 . 3 %か ら 3 5 . 8 %へ と 有 意 に 減 少 し た (p< 0 . 0 1)

3 . 4 M R S A の 薬 剤 感 受 性 と 推 移

M R S A に 対 す る 感 受 性 率 は V C M、T E I C、A B K、L Z D で 各 々 、9 6

~1 0 0 %、1 0 0 %、9 8~1 0 0% 、1 0 0% と 良 好 な 感 受 性 率 を 維 持 し て い

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た ( 表 4)。 ま た 、V C M に 対 す る M I C が 2 μ g/ m L 株 の 割 合 は 1 0 %程 度 で 推 移 し て い た が 、 大 き な 変 化 は み ら れ な か っ た ( 図 7)。

4 .考 察

抗 M R S A 薬 の 使 用 状 況 の 検 討 と フ ィ ー ド バ ッ ク の 結 果 、適 正 使 用

と 判 断 さ れ る 症 例 の 増 加 、 お よ び 薬 剤 感 受 性 判 明 後 の d e - e s c a l a t i o n 実 施 率 の 増 加 の 2 つ の ア ウ ト カ ム が 得 ら れ た 。当 院 で は 抗 菌 薬 適 正 使 用 の た め の 方 策 と し て 、抗 M R S A 薬 の う ち L Z D と D A P は 許 可 制 、

V C M、T E I C、A B K は 届 出 制 を 実 施 し て い る 。 ま た 、 血 液 培 養 陽 性

患 者 ラ ウ ン ド に 加 え 2 0 0 6 年 か ら 感 染 症 専 門 家 に よ る 個 々 の 症 例 で の 適 正 使 用 チ ェ ッ ク 、介 入 を 実 践 す る 目 的 で カ ン フ ァ レ ン ス を 開 催 し て い る 。

使 用 状 況 の 評 価 で は 2 0 0 6 年 カ ン フ ァ レ ン ス 開 始 時 の 6 5 . 3 %、2 0 1 2 年 で は 8 2 . 3 %と 「 適 正 使 用 」 と 判 断 さ れ る 症 例 の 増 加 が 認 め ら れ た

(p < 0 . 0 1)( 図 4)。 介 入 と フ ィ ー ド バ ッ ク は 抗 菌 薬 の 適 正 使 用 を 推

進 す る た め に 最 も 効 果 的 で エ ビ デ ン ス レ ベ ル の 高 い 方 策 で あ る 。2 9 当 院 に お い て も 、 カ ン フ ァ レ ン ス の 開 催 、 評 価 結 果 の 公 表 、 病 棟 ラ ウ ン ド の 実 施 、あ る い は 個 々 の 感 染 症 診 療 へ の 積 極 的 支 援 は 教 育 的 観 点 か ら も 有 用 で あ り 、抗 菌 薬 の 適 正 使 用 を 可 能 に す る と 考 え ら れ た 。「 適 正 使 用 」 と 判 断 さ れ る 症 例 が 経 年 的 に 増 加 し た 要 因 と し て は 、コ ン サ ル テ ー シ ョ ン 数 の 増 加 、介 入 に よ る 処 方 医 へ の 教 育 効 果 、 原 因 菌 検 索 の た め の 血 液 培 養 2 セ ッ ト 採 取 率 の 向 上 な ど 積 極 的 な

I C T 活 動 下 に お け る 感 染 症 診 療 体 制 の 向 上 が 整 っ て き た た め と 考

え ら れ る 。 ま た 、 当 院 で は 週 1 回 の カ ン フ ァ レ ン ス の た め 、 カ ン フ

(24)

20

ァ レ ン ス で の 検 討 は 最 長 で 1 週 間 近 く 前 に 治 療 開 始 さ れ た 症 例 も 含 ま れ る が 、 カ ン フ ァ レ ン ス の み な ら ず 、 随 時 、 医 師 に よ る 血 液 培 養 陽 性 患 者 ラ ウ ン ド 、薬 剤 師 に よ る 抗 M R S A 薬 使 用 患 者 モ ニ タ リ ン

グ や T D M、 微 生 物 検 査 技 師 に よ る 耐 性 菌 モ ニ タ リ ン グ を 行 な う こ

と で 介 入 等 の タ イ ム ラ グ を 解 消 し 、疑 義 の あ る 症 例 で は 感 染 予 防 対 策 室 に 情 報 を 集 約 す る こ と で 適 時 適 切 な フ ィ ー ド バ ッ ク を 可 能 と し て い る 。

ま た 、 薬 剤 感 受 性 判 明 後 の d e - e s c a l a t i o n 実 施 率 で は 、2 0 0 6 年 カ ン フ ァ レ ン ス 開 始 時 は 3 3 %で あ っ た の に 対 し 、2 0 0 7 年 で は 7 2 %、 2 0 1 0 年 で は 8 5 %と 有 意 な 増 加 が 認 め ら れ た ( 各 々p < 0 . 0 5、p < 0 . 0 1)

( 図 5)。 敗 血 症 性 シ ョ ッ ク で は 1 時 間 以 内 に 有 効 な 抗 菌 薬 治 療 が 行 わ れ た 場 合 、生 存 率 は 8 0 %と 高 率 で あ る が 、そ の 後 6 時 間 は 毎 時

間 7 . 6 %ず つ 減 少 す る と さ れ て い る 。3 0そ の た め 、 敗 血 症 の よ う な

重 症 感 染 症 の 経 験 的 治 療 に は 想 定 さ れ る す べ て の 原 因 菌 に 有 効 で 、 感 染 巣 と 思 わ れ る 部 位 で 適 切 な 濃 度 と な る 抗 菌 薬 の 単 独 ま た は 複 数 投 与 が 推 奨 さ れ て お り 、抗 M R S A 薬 を 含 む 多 剤 併 用 療 法 が 必 要 と な る 場 合 も 多 い 。3 1一 方 で 、M S S A 菌 血 症 に お い て 原 因 菌 判 明 後 の 適 切 な d e - e s c a l a t i o n は V C M 継 続 に 比 較 し て 予 後 を 改 善 す る こ と が 報 告 さ れ て お り 、 3 2今 回 の 結 果 は 耐 性 菌 抑 制 の み な ら ず 、 臨 床 効 果 の 点 か ら も 重 要 で あ る 。

当 院 で は 「M R S A ゼ ロ へ ! 」 を ス ロ ー ガ ン に 活 動 し て い る 。 一 般 に 入 院 患 者 か ら 分 離 さ れ て い る S . a u re u s の 5 0~7 0% を M R S A が 占 め る と の 報 告 も あ る が 、2 1 , 2 2当 院 で は 標 準 予 防 策 や 接 触 感 染 予 防 策 の 徹 底 に よ り 近 年 数 年 間 で M R S A は 減 少 傾 向 を 示 し 、S . a u re u s

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お け る M R S A の 割 合 は 2 0 0 9 年 に は 5 0 %を 下 回 り 、2 0 1 2 年 に は 3 5 . 1 % ま で 減 少 し た こ と も d e - e s c a l a t i o n 実 施 率 の 増 加 に つ な が っ た と 考 え ら れ る 。 し か し な が ら 、I C T に よ る 病 棟 ラ ウ ン ド 実 施 、 あ る い は 個 々 の 感 染 症 診 療 へ の 積 極 的 支 援 は 抗 菌 薬 の 適 正 使 用 を 可 能 に す る が 、M R S A 検 出 率 に は 影 響 を 及 ぼ さ な い と の 報 告 も あ る 。2 3 , 2 4

一 方 、 当 院 で は 田 中 ら の 報 告 2 4と 同 様 に M R S A 検 出 率 は 1 , 0 0 0 患 者 日 数 あ た り 1 . 7 2 か ら 0 . 8 4 と 5 1 %と 大 幅 な 減 少 効 果 が 認 め ら れ た 。 小 林 の 報 告 3 5で は M R S A 感 染 症 は 在 院 日 数 の 増 加 を も た ら し 、医 療 費 で み る と 1 施 設 あ た り お よ そ 2 億 7 5 0 0 万 円 の 増 加 に つ な が る と さ れ る 。こ の 点 か ら も M R S A 検 出 率 の 大 幅 な 減 少 は 耐 性 菌 抑 制 の 臨 床 効 果 の み な ら ず 、医 療 費 抑 制 の 点 か ら も 非 常 に 重 要 な 結 果 で あ る 。な お 、詳 細 な デ ー タ の 報 告 は な い が 、当 院 の S . a u re u s に お け る

M R S A の 割 合 は 2 0 1 2 年 以 降 も 緩 や か で は あ る が 減 少 傾 向 を 示 し 、

2 0 1 4 年 で は 3 0 . 7% ま で 低 下 が 認 め ら れ て い る 。

調 査 期 間 に お い て 抗 M R S A 薬 の 使 用 患 者 数 、使 用 量 に 変 化 は み ら れ な か っ た 。使 用 量 に 著 明 な 変 化 が み ら れ な か っ た 要 因 の ひ と つ に

は 、2 0 0 9 年 に I D S A、 米 国 病 院 薬 剤 師 会 、 感 染 症 薬 剤 師 会 に よ る

V C M の コ ン セ ン サ ス レ ビ ュ ー3 6に 基 づ い た V C M の 高 濃 度 管 理 の

積 極 的 な 実 践 、 ま た T E I C に つ い て も t h e r a p e u t i c d r u g m o n i t o r i n g

(T D M)ガ イ ド ラ イ ン で 推 奨 さ れ て い る 2 日 間 負 荷 投 与 、お よ び 高

濃 度 管 理 の 実 践 も 要 因 で あ る と 考 え ら れ る 。2 1 , 3 7当 院 の T D M 実 施 率 は 短 期 使 用 例 を 除 き ほ ぼ 1 0 0 %で あ り 、 高 濃 度 管 理 の 影 響 が

d e - e s c a l a t i o n 実 施 率 の 向 上 に よ る 使 用 日 数 の 減 少 効 果 を 上 回 っ た 可

能 性 が あ る 。ま た 、詳 細 な デ ー タ は 示 し て い な い が M R S A 以 外 の 適

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応 菌 種 の 検 出 率 に 著 明 な 変 化 が み ら れ な か っ た こ と 、発 熱 性 好 中 球 減 少 症 に 対 す る 抗 M R S A 薬 の 使 用 増 加 も 要 因 と し て 考 え ら れ る 。抗

M R S A 薬 の 占 有 率 に つ い て 、日 本 病 院 薬 剤 師 会 学 術 第 5 小 委 員 会 活

動 報 告 と 比 較 し て も V C M が 最 多 、 次 い で T E I C と 大 き な 違 い は み ら れ な か っ た が 、L Z D の 使 用 は き わ め て 少 な か っ た 。3 8V C M に 対

す る M I C が 2 μ g/ m L 株 に 対 し て V C M の 臨 床 効 果 は 期 待 で き な い と

の 報 告 も 多 数 あ り 、3 9 , 4 0今 後 は D A P、L Z D も 含 め 症 例 を 限 定 し て 積 極 的 に 使 用 す る こ と も 考 慮 し て い き た い 。

M R S A の 薬 剤 感 受 性 率 は 諸 家 の 報 告 4 1と 同 様 に V C M、T E I C、

A B L、L Z D 各 々 で 今 回 の 研 究 期 間 を 通 し て 良 好 に 維 持 さ れ て い た

( 表 4)。V C M は 幅 広 い 適 応 症 を 有 し ガ イ ド ラ イ ン で も 第 一 選 択 薬

と し て 推 奨 さ れ る が 、海 外 で は M R S A に 対 す る V C M の M I C が 僅 か ず つ だ が 年 々 上 昇 し て い る 現 象 (M I C c r e e p) が 報 告 さ れ て い る 。

4 2日 本 で は M I C が 2 μ g/ m L 株 は 三 学 会 合 同 抗 菌 薬 感 受 性 サ ー ベ イ ラ ン ス 呼 吸 器 領 域 の 2 0 0 6 年 ~ 2 0 0 9 年 収 集 4 5 4 株 か ら 5 6 株

( 1 2 . 3% )、 手 術 部 位 感 染 領 域 の 2 0 1 0 年 収 集 1 0 3 株 か ら 1 0 株

(9 . 7% ) と 報 告 さ れ て お り 、 世 界 的 に も 1 0% 程 度 存 在 し て い る こ

と が 報 告 さ れ て い る 。4 0当 院 に お い て も 8~1 3 %と 同 様 の 結 果 で あ

り 、M I C c r e e p は み ら れ な か っ た ( 図 7)。 今 後 も 継 続 し て 感 受 性 サ

ー ベ イ ラ ン ス を 実 施 す る と と も に 、D A P も 含 め た 検 討 が 必 要 と 考 え ら れ る 。

本 研 究 で は 、カ ン フ ァ レ ン ス の 臨 床 的 効 果 と し て 治 癒 率 、死 亡 率 、 入 院 日 数 と の 関 連 性 を 示 す ま で に 至 ら な か っ た 。こ れ は 評 価 結 果 に つ い て の デ ー タ 解 析 は 過 去 の カ ン フ ァ レ ン ス 記 録 を も と に し て お

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り 、患 者 転 帰 に つ い て の 記 載 は な く 詳 細 が 不 明 で あ っ た た め で あ る 。 し か し な が ら 、I C T に よ る 全 抗 菌 薬 処 方 例 に 対 す る 介 入 の 結 果 、2 週 間 以 上 の 長 期 使 用 例 の 減 少 、M R S A 検 出 率 の 減 少 、入 院 日 数 の 減 少 な ど の 臨 床 的 効 果 が 報 告 さ れ て い る 。2 5当 院 で は 2 0 1 4 年 6 月 よ り 、カ ン フ ァ レ ン ス を 週 2 回 と し 、カ ル バ ペ ネ ム 系 抗 菌 薬 も 含 め た フ ォ ロ ー ア ッ プ を 開 始 し て お り 、患 者 転 帰 も 含 め た 評 価 に つ い て は 今 後 の 検 討 課 題 と し た い 。

抗 M R S A 薬 の 使 用 状 況 の 検 討 と フ ィ ー ド バ ッ ク の 結 果 、適 正 使 用

と 判 断 さ れ る 症 例 の 増 加 、お よ び 感 受 性 判 明 後 の d e - e s c a l a t i o n 実 施 率 の 増 加 の 2 つ の ア ウ ト カ ム が 得 ら れ た 。こ の 成 果 は 医 師 に よ る 治 療 上 の 評 価 、薬 剤 師 の 薬 学 的 な 視 点 、臨 床 検 査 技 師 の 感 受 性 と 病 原 性 の 評 価 、看 護 師 の 院 内 感 染 対 策 の 視 点 と い っ た 多 職 種 で の 検 討 の 結 果 得 ら れ る も の と 考 え て い る 。A S P の ひ と つ と し て 、カ ン フ ァ レ ン ス は 適 正 使 用 の 推 進 を も た ら し 、 患 者 個 々 の 使 用 状 況 を 把 握 し 、 問 題 点 を 抽 出 す る こ と が 可 能 で あ り 今 後 も 継 続 し て い く 必 要 が あ る 。

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第 3 章 . 鼠 径 ヘ ル ニ ア 根 治 術 に お け る 予 防 的 抗 菌 薬 投 与 の 有 効 性

1 .は じ め に

心 臓 胸 部 外 科 手 術 や 股 関 節 形 成 術 の よ う な 人 工 デ バ イ ス を 使 用 す る 場 合 に は 、日 常 的 な 予 防 抗 菌 薬 の 投 与 が 行 わ れ て い る 。ひ と た び 感 染 を 起 こ す と 、 人 工 物 の 除 去 、 入 院 の 長 期 化 、 医 療 費 増 加 な ど を 引 き 起 こ す 可 能 性 が あ る た め で あ る 。一 方 、鼠 径 ヘ ル ニ ア 根 治 術 や 乳 癌 手 術 の よ う な 清 潔 創 で は S S I 予 防 の た め の 予 防 抗 菌 の 必 要 性 は 明 ら か で は な い 。4 3

鼠 径 ヘ ル ニ ア 根 治 術 を 対 象 に 、予 防 抗 菌 薬 の 有 効 性 を 評 価 す る た め 過 去 1 0 年 間 で 1 0 の ラ ン ダ ム 化 比 較 試 験 が 行 わ れ て い る 。4 4 - 5 4 こ の う ち 2 つ の 研 究 4 44 6で は 、予 防 抗 菌 薬 は 感 染 率 を 減 少 さ せ る の に 有 効 で あ っ た こ と を 示 し た が 、8 つ の 研 究 4 5 , 4 7 - 5 3で は 否 定 的 な 結 果 で あ っ た 。 し か し 、6 つ の 研 究 4 7 - 5 0 , 5 2 , 5 3で は 症 例 数 4 0 0 以 下 の 小 規 模 試 験 で あ っ た た め 、統 計 的 な 優 位 差 を 示 す に は 検 出 力 が 不 十 分 で あ っ た 。 同 様 に 、6 つ の メ タ 解 析 で も 予 防 抗 菌 薬 の 有 効 性 は 示 す こ と が で き な か っ た 。5 4 - 5 9従 っ て 、 こ れ は ま だ 議 論 の 余 地 の あ る 問 題 で あ る 。ま た 、ラ ン ダ ム 化 比 較 試 験 で は 感 染 率 が 高 リ ス ク 患 者 で は な く 、低 リ ス ク 患 者 の 登 録 が 多 く な さ れ て い た 。こ の 結 果 を 受 け 、 欧 州 ヘ ル ニ ア 学 会 の ガ イ ド ラ イ ン 6 0で は 、 臨 床 的 に 感 染 率 が 低 リ ス ク(< 5% )と 推 定 さ れ る 成 人 患 者 で は 予 防 抗 菌 薬 は 推 奨 さ れ て お ら ず 、 ヘ ル ニ ア の 再 発 症 例 、 高 齢 者 、 お よ び 免 疫 抑 制 状 態 な ど S S I の 危 険 因 子 が あ る 場 合 の み 推 奨 さ れ て い る 。

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日 本 で は 1 年 間 に お よ そ 1 6 万 件 の 鼠 径 ヘ ル ニ ア 根 治 術 が 行 わ れ て お り 、米 国 と 欧 州 を 合 わ せ る と 1 年 間 に 1 0 0 万 件 を 超 え る 手 術 件 数 と な る 。4 5も し 、 鼠 径 ヘ ル ニ ア 根 治 術 に お い て 予 防 抗 菌 薬 が 不 要 で あ れ ば 、医 療 費 を 削 減 で き る だ け で な く 、抗 菌 薬 に 起 因 す る ア レ ル ギ ー な ど の 副 作 用 や 耐 性 菌 の 獲 得 リ ス ク を 減 少 で き る 可 能 性 が あ る 。6 1ま た 、鼠 径 ヘ ル ニ ア 根 治 術 の S S I 発 生 率 は わ ず か 1% か ら 4% と 低 リ ス ク で あ り 、6 2予 防 抗 菌 薬 の 使 用 を 正 当 化 す る の に 十 分 で は な い 。 ま た 、 日 本 大 学 医 学 部 付 属 練 馬 光 が 丘 病 院 ( 以 下 、 当 院 ) で の 鼠 径 ヘ ル ニ ア 根 治 術 の レ ビ ュ ー で は 、S S I の 発 生 は 約 1% で あ っ た ( 未 発 表 デ ー タ ) 。 し か し な が ら 、 研 究 時 点 に お い て 当 院 で は 、予 防 抗 菌 薬 の 有 効 性 の 十 分 な エ ビ デ ン ス が な い に も か か わ ら ず 、 日 常 臨 床 で は 実 施 し て い る 現 状 が あ っ た 。

今 回 我 々 は 、 鼠 径 ヘ ル ニ ア 根 治 術 に 対 す る 予 防 的 抗 菌 薬 投 与 が

S S I 発 生 率 を 低 下 さ せ る か ど う か 明 ら か に す る た め 、 単 施 設 、 プ ラ

セ ボ 対 照 、 無 作 為 化 二 重 盲 検 群 間 比 較 試 験 を 行 っ た 。

2 .方 法

2 . 1 研 究 デ ザ イ ン

試 験 は 2 0 0 7 年 7 月 か ら 2 0 1 1 年 1 2 月 に 当 院 の 一 般 外 科 に て 行 っ た 。 本 章 の 研 究 は 「 疫 学 研 究 に 関 す る 倫 理 指 針 」 に 準 じ 、 院 内 の 倫 理 委 員 会 の 承 認 を 得 て 実 施 、全 て の 患 者 に 書 面 に よ る イ ン フ ォ ー ム ド コ ン セ ン ト を 行 っ た 。な お 、本 試 験 は C l i n i c a l T r i a l s . g o v に 臨 床 研 究 の 登 録 を さ れ て い る (N C T 0 0 6 3 6 8 3 1) 。

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2 . 2 選 択 基 準 と 除 外 基 準

片 側 お よ び 両 側 鼠 径 ヘ ル ニ ア 症 例 の う ち o p e n m e s h - p l u g 法 に よ

る t e n s i o n - f r e e ヘ ル ニ ア 根 治 術 の 待 機 手 術 症 例 を 対 象 と し た 。 除 外

基 準 は 外 来 患 者 、 日 帰 り 手 術 、1 8 歳 未 満 、 再 発 ヘ ル ニ ア , 緊 急 の ヘ ル ニ ア 修 復 を 必 要 と す る 嵌 頓 ヘ ル ニ ア と 絞 扼 性 ヘ ル ニ ア 、妊 娠 ま た は 授 乳 中 、β -ラ ク タ ム 系 抗 菌 薬 ま た は セ フ ァ ロ ス ポ リ ン 系 抗 菌 薬 に 対 す る 重 篤 な 薬 剤 過 敏 症 、 薬 物 ア レ ル ギ ー の 既 往 、 手 術 前 4 8 時 間 以 内 の 抗 菌 薬 治 療 、手 術 時 に 感 染 症 の 存 在 、臨 床 上 問 題 と な る 心 疾 患 を 合 併 、基 礎 疾 患 に よ る 二 次 感 染 の リ ス ク が 高 い 症 例 、免 疫 抑 制( ヒ ト 免 疫 不 全 ウ イ ル ス 感 染 症 、悪 性 腫 瘍 、抗 癌 化 学 療 法 な ど )、

米 国 麻 酔 学 会 (A m e r i c a n S o c i e t y o f A n e s t h e s i o l o g i s t s;A S A) 術 前 状 態 分 類 が I V を 超 え る 症 例 、 研 究 に 同 意 が え ら れ な か っ た 症 例 と し た 。ま た 、既 往 に 糖 尿 病 の あ る 場 合 に は H b A 1 c < 6 . 5% を 目 標 に コ ン ト ロ ー ル を 行 っ た 。

2 . 3 無 作 為 化

患 者 は 予 防 抗 菌 薬 群 ま た は プ ラ セ ボ 群 の い ず れ か に 二 重 盲 検 法 で 無 作 為 に 割 り つ け ら れ た 。す べ て の 外 科 医 と 他 の 医 療 ス タ ッ フ は 患 者 の 無 作 為 化 の 詳 細 を 知 る こ と は で き な か っ た 。な お 、薬 剤 部 に て M i c r o s o f t E x c e l 2 0 1 0(M i c r o s o f t C o .) を 使 用 し ブ ロ ッ ク 無 作 為 化 法 で 5 0 名 ご と に 無 作 為 割 り 付 け を 行 っ た 。

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2 . 4 手 術 手 技

皮 膚 は 手 術 直 前 に 剃 毛 を 行 い 、1 0% ポ ビ ド ン ヨ ー ド を 用 い て 消 毒 し た う え で 、全 身 麻 酔 と 局 所 麻 酔 下 で 手 術 を 行 っ た 。メ ッ シ ュ に は m o n o f i l a m e n t p o l y p r o p y l e n e m e s h(P e r F i x P l u g®; C R B a r d , C r a n s t o n , R I)を 使 用 、縫 合 糸 に は 2 - 0 m o n o f i l a m e n t p o l y p r o p y l e n e 糸( P o l y s o r b®;

C o v i d i e n , M I )を 使 用 し て メ ッ シ ュ を 固 定 し た 。 な お 、 ド レ ー ン の 留

置 は 行 わ な か っ た 。

2 . 4 介 入

予 防 抗 菌 薬 群 で は 1 . 0 g の セ フ ァ ゾ リ ン N a( ア ス テ ラ ス 製 薬 株 式 会 社 ) を 1 0 0 m L の 生 理 食 塩 液 ( 大 塚 製 薬 工 場 株 式 会 社 ) に 溶 解 し て 、 執 刀 直 前 に 3 0 分 間 で 点 滴 静 脈 内 投 与 し た 。 プ ラ セ ボ 群 で は 、 生 理 食 塩 液 を 同 方 法 に て 投 与 し た 。

2 . 5 フ ォ ロ ー ア ッ プ

最 初 の フ ォ ロ ー ア ッ プ は 術 後 7〜8 日 の 外 来 受 診 と し 創 傷 被 覆 材 お よ び 縫 合 糸 を 抜 去 し た 。 第 2、 第 3 の フ ォ ロ ー ア ッ プ は 術 後 1 ヵ 月 と 3 ヵ 月 と し た 。創 部 の 評 価 は 執 刀 医 を 除 い た 2 人 の 外 科 専 門 医 に よ っ て 慎 重 に 検 討 さ れ た 。C D C の 基 準 6 3に 準 拠 し 、 創 傷 感 染 が 表 面 的 な S S I ま た は 深 部 S S I(D S S I) と し て 分 類 し 、 表 在 的 な S S I は 術 後 3 0 日 以 内 に 起 こ る 切 開 部 位 の 皮 膚 や 皮 下 組 織 の 感 染 と 定 義

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し た 。D S S I は 術 後 1 年 以 内 に 発 生 し 、 人 工 デ バ イ ス が 所 定 の 位 置 に あ り 、切 開 部 位 の 深 い 軟 部 組 織 を 含 む 感 染 と 定 義 し た 。患 者 背 景 の 調 査 項 目 は B M I(W H O の 基 準 に 準 拠 し 肥 満 は B M I > 3 0)、ヘ ル ニ ア の 種 類 ( 内 鼠 径 、 外 鼠 径 、 併 存 型 ) 、 ヘ ル ニ ア の 部 位 ( 右 、 左 、 両 側 )、基 礎 疾 患( 糖 尿 病 、心 臓 病 、神 経 疾 患 、肺 疾 患 、そ の 他 )、

A S A グ レ ー ド 、 外 科 医 ( 専 門 医 、 レ ジ デ ン ト ) 、 手 術 時 間 、 切 開 創

の 長 さ 、 お よ び 入 院 期 間 と し た 。

2 . 6 統 計 解 析

正 規 分 布 を 示 す 連 続 変 数 は 平 均 値±標 準 偏 差 、 非 正 規 分 布 を 示 す 連 続 変 数 は 四 分 位 範 囲 を 有 す る 中 央 値 と し て 示 し た 。2 群 の ベ ー ス ラ イ ン 比 較 に は ス チ ュ ー デ ン ト の t 検 定 ま た は ウ ィ ル コ ク ソ ン の 順 位 和 検 定 を 使 用 し た 。カ テ ゴ リ ー 変 数 は 、絶 対 値 お よ び パ ー セ ン ト を 示 し た 。 比 率 の ベ ー ス ラ イ ン 比 較 に は χ 2 独 立 性 の 検 定 ま た は

F i s h e r の 直 接 確 率 計 算 法 を 用 い た 。主 要 評 価 項 目 の 累 積 S S I 発 生 率

に つ い て は 、K a p l a n - M e i e r 生 存 曲 線 を 用 い 、ロ グ ラ ン ク 検 定 を 行 っ た 。 何 れ も 危 険 率 5 %で 有 意 と 判 定 し た 。

主 要 評 価 項 目 は 予 防 抗 菌 薬 群 と プ ラ セ ボ 群 で の 術 後 3 ヵ 月 以 内 の S S I と し た 。 す べ て の 統 計 処 理 は I n t e n t i o n t o t r e a t(I T T) 解 析 の 原 理 に 準 拠 し 行 っ た 。 必 要 症 例 数 の 算 出 に は α - e r r o r = 0 . 0 5、

β - e r r o r = 0 . 2 を 用 い 、文 献 値 4 4 , 4 5よ り 推 測 し て プ ラ セ ボ 群 の S S I 発 生 率 は 7 %、予 防 抗 菌 薬 群 の S S I 発 生 率 は 1 %と し た 場 合 、片 側 検 定 で 必 要 症 例 数 は 各 群 約 2 0 0 症 例 必 要 で あ っ た 。

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主 要 評 価 項 目 に 対 し て 、必 要 症 例 数 の 半 数 が 登 録 し た 時 点 を 含 め

て 1 0 0 症 例 ご と に 3 回 の 中 間 解 析 、最 終 解 析 の 1 回 を 予 定 し た 。し

か し な が ら 、2 回 目 の 中 間 解 析 で p< 0 . 0 3 1 と 統 計 学 的 な 有 意 差 が 認 め ら れ た 。 な お 、p 値 の 決 定 に は L a n & D e M e t s の α 消 費 関 数

(O ’ B r i a n & F l e m i n g タ イ プ )を 使 用 し た 6 4 , 6 5。安 全 性 デ ー タ ・ モ ニ タ リ ン グ 委 員 会 は 、3 ヵ 月 ご と に 盲 検 化 さ れ た 患 者 デ ー タ を 見 直 し 、 計 画 的 な 中 間 解 析 を 行 う こ と に よ り 、 見 落 と し を 規 制 し た 。 副 次 評 価 項 目 は 術 後 3 ヵ 月 以 内 の そ の 他 の 合 併 症 の 発 生 と し 、同 様 に 危 険 率 5% で 有 意 と 判 定 し た 。 ま た 、 研 究 対 象 の 抗 菌 薬 に よ る 可 能 性 の あ る 有 害 事 象 も 報 告 し た 。 デ ー タ 解 析 に は S t a t a v e r s i o n 1 2 . 1 ( S t a t a C o r p L P , C o l l e g e S t a t i o n , T X ) .を 使 用 し た 。

3 . 結 果 3 . 1 患 者

2 0 1 1 年 1 2 月 、2 回 目 の 中 間 解 析 の 結 果 か ら 、 予 防 抗 菌 薬 群 に 比

較 し て プ ラ セ ボ 群 の 有 害 事 象 が 有 意 に 認 め ら れ た こ と か ら 、本 研 究 は 早 期 に 中 止 し た 。試 験 登 録 さ れ た 患 者 2 0 0 名 の フ ロ ー チ ャ ー ト を 示 し た ( 図 8) 。 な お 、 主 要 お よ び 副 次 評 価 項 目 の フ ォ ロ ー ア ッ プ は 全 て の 患 者 に お い て 完 遂 し た 。

3 . 2 研 究 結 果

合 計 3 3 名 の 外 科 医 ( レ ジ デ ン ト 2 3 名 、 専 門 医 1 0 名 ) が 本 研 究 に 参 加 し た 。 全 手 術 の う ち レ ジ デ ン ト が 執 刀 し た も の は 8 3% で あ

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4/6~12 4/13~19 4/20~26 4/27~5/3 5/4~10 5/11~17 5/18~24 5/25~31 平日 昼 平日 夜. 土日 昼