九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
Vikalpa and Parikalpita according to Sthiramati
大野, 義山
https://doi.org/10.15017/2328810
出版情報:哲學年報. 14, pp.481-507, 1953-02-25. Faculty of Literature, Kyushu University バージョン:
権利関係:
唯祇思想に於ける唯識無椀とは︑唯だ識のみ有りて境
は無いといふことであるが︑そこには︑先づ︑境が減無
であるといふのではなく︑境が識に他左らぬから識以外
に猫存する境︵外境︶が無いといふ乙と︑及び︑誠が恒
有であるといふのではなく︑境︵客槻︶が無であるから
識︵主槻︶も誠︵主狐︶たりえず無となるといふことが
含意されて居るのである︒從って︑唯拙無境といふ乙と
には︑境が誠に他ならぬこと︑換言すれば︑識が境とな
ることによって無なる塊が境として成立するといふこと
と︑及び︑その賊と境とが能分別と所分別との相互對立
分別と所分別
一 に於ける
所分別 分別さ
安慧唯識 パリカルピタヴイカルパG
11
關係にあるといふとととの二つの覗柄が内意されて居ることになる︒勿論︑前者の部柄も︑識が境を分別すると︵ 1
︶
表現せられる黙で︑後者の能所の分別の對立と別の事柄
ではないと言ふくきであらうが︑然しそれらが畢尭は
″分別〃なる一群に要約されるものとは言へ︑その中に
は︑上述の二つの郡柄が共に存すべきであると考えられ
る︒若し〃分別〃といふととの意味花後者の那柄のみに
限定するならば︑所分別たる境が無である必然性が明示
されない︒そしてその境の無が明示されないときには︑
か&る能所の分別の對立も唯識思想としての意義を持ち
えなくたる︒それが唯識思想たりうるのは︑所分別の境
が無たること︑即ち前考の事柄によって境が誠に他なら
四八一
大 野
義
山
分別と所分別
ね乙とが同時に言はれるからである︒かくの如く︑唯誠
思想としての唯誠無境には︑上述の二つの那柄が同時に
︵やム︶意味されて居ることになる︒
然しながら︑この二つの事柄は決して同一平面上の郡
柄ではない︒前者の︑識が境となるといふ乙とは︑言は
ぱ︑識︵能分別︶が境︵所分別︶荘作り出すこ・とであ
り︑それは發生論的な問題であり︑それに對して︑後者
の︑能分別と所分別との對立は︑認激論的な問題であ
る︒そこで︑このように全く別方向にある二つの邪柄が
果して同時に一つの思想総系の中に共存しうるであらう
かといふことになるが︑唯識無境なる唯識思想が成立す
るためには︑原理上一雌そのことが可能でなければなら
ないのであるから︑問題は結局そのようなことが唯識の
諸論書の中に明示されるや否やといふととになって來
る︒今この小論に於て試みんとするのは︑蜜に︑その問
題に對する一答解であるが︑それは安慧の繩諭に於て︑
先づ︑その問題を検討せんとするものである︒更にその
桧討の方法に就て識め一言しておくならば︑安慈の秤諭
0
四八二
に於ても︑識︵乱司幽目︶及び境︵胃讐四︾a箇昌鼬︶なる
言葉が勿論数多く用ひられるが︑今は︑前述の二つの那
柄に直接に共通するものとして︑分別︵ぐ涛巴目︑己画凰宗
︵恥⑪︶色言四︶と所分別s胃涛巴凰冨¥ぐ弄画ご樹︾①甘・︶と左夫
凌識及び境註示すものとして取り上げてみることにす
髪やO
︵二百蒄騨と識及び富﹃岸騨言爵と塊とを夫持岡一観するこ
とには︑或は問題があるかもしれない︒然し細かく見ると含に
は總てに問題があるのであって︑以下の所に於て次姉に解明し
て行きたいと忠ふ︒側み鳫總てに問題があると言ったのは︑
唯織無境といふことが今述・へた別方面2−つの率柏を同畔に右
するからなのであり︑從ってこれも亦以下の所に順次に川七來
ることであるが︑一口に分別︑所分別︑或は所取能取の二取竿
と言っても︑その愈味は決して凧純なもの子﹄はなく︑粥にその
一ろの小柄を脊餓にした複雑な窓味を有すること雁披くのであ
る
○
︶
一 一
先づ︑安慧の唯識三十稗論に於て︑分別〆司時巴冨
及び己閏房四毎画︶と所分別e胃房巴巨国及び3百冒樹
凸更に類似の動詞として畠冨言冨訂ゞ冒凰冨冒冨詰︾冒甲
丙巴冨呉①︶との用例注見てみる︒その中には考察の對象
として不適岱なものもあるが︑今一雄それらと各別の一
︵○弘︶一q連番統遊附して示すと次の如くなる︒
〃︵l分別︑l所分別︶
︵一︶︵隈︶
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分別と所分別
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四八三
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分別と所分別
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分別と所分別
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|四八五
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分別と所分別
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岡八九
ー
■
以上が三十砿及びその樺論に於ける分別と所分別︵分
別せられる︶との用例であるが︑その中先づ︑分別︵風︲
丙四さ四・己胃涛四言い︶の用例に就て見て行く︒
︑︑︑︑第一には︑分別が識の稗愛との關聯に於て︑より典髄もbも︑的には識の艸鍵と等脱せられて︑用ひられるの花見出
す︒即ち︑︵皿︶︑︵︑︶︑︵必︶︑︵妬︶︑︵刀︶︑及び︵卿︶で
ある︒分別と識とは一雄同じものであるから︑分別が識
の艸鍵と等脱せられることは徴然であらうが︑今その分
別が単に誠にでなく︑識の聴鍵に等脱せられることが注
目せられるのである︒即ち︑識は動的な働きと有するも
のとして純鍵遊なすものとされるが︑こLで︑分別は細
のそのような動的様態なるものとして︑識の艸鍵となさ
れるのである︒而もその働きは︑〃以前の位から異なる
とと″︵十八の樺︶と言はれ︑因艸鍵果艸鍵と説かれ
︵一狐の樺︶︑又︑阿頼耶識と眼等の識との交互の力によ
分別と所分別
8脚︵がFA篇ゆ望幹か6臥獣がe臥︶s︐瞳.﹄.P︶
三
四九○
って行はれる︵一蚊の繩︶︑と説かれる所から考えられる
如く︑単なる分別意識の認識作用の如きものにとどまる
ものではなく︑更に庇い意味滋有するものと言はなけれ
ばならぬ︒郷説すれば︑分別は︑決して常識に所訓分別
ではなく︑史に細胱く複雑な意味左有するものとなって
來るのである︒次に叉︑こLで注目すべきことは︑分別
が識の紳鍵との關聯に於て多分に有的性格に弧いものと
されて居ることである︒即ち︑〃我法の假説の行はれる
所の識の榔鍵が︑郡獲有として存する︒″︵一蚊の稗︶と か︑.〃識は総起したものであるから︑雷髄有として存す
ると認めらるべきである︒そして識が縁起したものたる
ことは艸愛といふ語で知られるのである︒〃︵一弧の稗︶
と言はれる所からは︑識の純愛︑ひいては分別の郡街有
︵戸卵︶或は縁起有が承認されなければならない︒
bbUb︑第一辰は︑分別が我法︵我等色等︶或は一切のものと︑
の關聯に於て︑更にはそれらと等脱せられて︑用ひられ.
て居る︒即ち︑︵矧︶︑︵郡︶︑︵沙︶︑︵6︶︑︵7︶︑§︶︑
︵9︶︑及び︵郡︶である︒一般に分別は見るものであり︑
’
| 、
〃
炉
ダ
我法は見られるものであるから︑この第二の用例はむし
ろありうべからざる乙とであり︑那礎︑その用例は決し
て耐叩明瞭にそのこと通示して居るわけではない︒
然しながら︑このように見ることが全く出來ないとい
ふ課ではなく︑以下に識明する如く︑多分にそのことが
指示せられて居るのである︒先づ︑︵6︶︑︵7︶︑︵8︶︑
︵9︶のⅢ用例は夫左削日圏貝我等︶或は昌凰臼︵色等︶
に直接して合成語左なして居るので︑正確にはその解輝
に問題があるけれども︑〃我等︵色等︶の妄分別″は︑
〃我等︵色等︶なる妄分別″とも談み得るものであるか
ら︑そのように談むときには︑正しくこの節二の用例に脇
することになる︒而も他に全然この用例がないのではな
いから今はその他の用例に倣ってこの用例に含ましめる
ことにする︒次に︑︵3︶︑︵3︶︑︵沙︶では︑我等色等に似現
するものが分別と等脱せられて居て︑叩に我等色等とは
せられて居ない︒然し唯識思想に於ては︑恥に我等色等
なるもの︑即ち筏柵的外境としての我法なるものは岱在
しないのであるU故に似に我等色等と言っても︑それは
分別と所分別
假にそのように言ふだけであって︑率奮は︑我法の假読と 第一に言はれる如く︑施設のもの︑假有のものである︒
從って︑乙哩に我等色等に似現するものと言はれるもの
も︑所訓我法と別物ではない︑換言すれば︑我法のこと
花精細に表現したものと考えることが出來るのである︒
次に︑恥︶は︑一切のものが凡て妄分別であるとせられ
るが︑この一切のものも︑要するに我法と別のものでは
ないと言ふ乙とが出來る︒而もこの︵郡︶に就て注目すべ
︿代U︶
きことは︑分別︵ぐ涛四5画︶がく笥画冒声︵記識︶と等覗 せられて居ることであるo即ち︑乙凶の印胃ぐ四日己四目 ぐ時陛冨日興日日①くい︵此一切は唯妄分別のみのものに過 ぎな℃左︑第十七の臼固昌の胃く四日ぐ笥画耳目騨国︲
冨昌︵此一切は唯識のみのものである︶と對雌せしめる
ときには︑分別と記誠が全く同じものとして用ひられて
居ることが見出される︒とLに分別がぐ笥習画︵識︶で
なく︑ぐ笥國耳芦︵記識︶と等脱せられて居ることは︑分
別が叩に見るものに経るものでなく︑更に旗く一切のも
のにまで及ぶものであることを知らしめる︒かくの如く
四九一 ■■■■■ⅡⅡ■■Ⅱ011111・■
分別と所分別
この第二の用例は︑たとへ率直明白にではなくとも︑一
雁分別と我法乃至一切のものとの等脱の用例が三十輝
く両j︶論に存在すること花示して居ると言える︒もも■もUbb第三には︑分別と朋収能取の二取との關係が見出され
る︒即ち︑︵瓢︶と金︶とである︒然し︸elの用例は前二
者の用例と多少異なる︒即ち︑分別と所取能取の二取と
は︑等同のものとせられるのでなく︑〃妄分別に於ての
所取と能取〃と言はれる如く︑分別のざ︒呉弓①に於て
それと二取との關聯が示されて居り︑所取能取の二取そ
のものとしては︑むしろ︑後に述べる如く︑所分別と等
覗せられて居るのである︒
更に︑〃非涜有のもののみが所取能取として分別せら
れる〃とある所から見て︑一頑は何れかと言へぱ非査有
のものであり︑それに對して分別は︑前に見た如く︑識
の純愛なるものとして猟賓有のものであるから︑この鮎
からもこの雨者は決して等同のものではあり得ない︒
とは言へ︑そのような二取が︑分別に於ての二取とせ
られることは︑今見た通りであって︑その鮎では︑砺者
四九二
が将接な關聯を有することを認めなければならぬ︒かく
して︑こLに性斑の相一致しない剛者が而も一慨的な連
開花有するといふ襖雑な椛造が提出されることになるが
それに就では︑今は何も言えない︒後に次節にそれに鯛
れて行くことにする︒
︑もも︑一第四には︑分別が言は鷺認識主槻として︑即ち分別意
誠としての分別︑こょに所訓見るものとして︑用ひられ
て居る︒即ち︑︵皿︶︑︵通︶︑︵妬︶︑︵皿︶︑︵理︶︶︑︵別︶︑
及び︵釦︶である︒その中︑︵狸︶︑︵お︶︑︵鋤︶︑︵鋤︶は︑
分別が三界所風の心女所であると言ふものであり︑︵班︶
︵恥︶︑︵型︶は︑分別に所縁或は境︵勿論非礎有のものと
される︶があること花示して居る︒これらは︑前者は勿
論︑後者もその意味は︑分別が對象を分別意誠するもの
であること遊示して居る︒そして分別が︑その言莱通り
に︑能分別であり︑境に對する識であることは溌然のこ
とであって︑從ってか上る用例があることも全く術然の
ことであると言える︒︵佃し︑︵皿︶︑︵抑︲︶は他の論よりの引
川であり︑而も号言冨冨吋壽己冨Ⅱ〃非疵の分別〃となって恥
〜
るが︑これは巾邊分別論に於て︑分別を示すものとして粥に川
︵R︺﹀ひられるものであるから︑こふにても何じく分別を示すものと
見たo︶・
第五には︑これは特に用例の中に数えることの出來な
︑bb︑℃U℃︑bいものかもしれないが︑分別が洩然と分別するもの或は
ことの意味に於て用られて居る︒勿論︑その分別は我法
或は辨物︵厨の目︶を分別するもの或は乙ととされるが︑
その分別の具繼的意味に就ては何も示されないものであ
る︒そ知は︑︵1︶︑︵2︶︑︵4︶︑︵5︶︑︵Ⅳ︶︑︵麺︶︑︵錨︶に於
て先づ直接的に見出されるが︑更に旗く見れば︑第二の
場合の︵6︶︑︵7︶︑︵8︶︑︵9︶及び第四の場合の︵躯︶︑
︵恥︶︑︵鯉︶もこれに入れられるべきであらう︒分別が分
別するといふ意味淀有することは樹然のことであり︑又
分別である以上︑それは我法や辨物を分別するもの或は
乙とに他ならないことも傲然のことであって︑從ってそ
の州例が比較的多く︑結肋はその練てに及びうるもので
あらうことも考えられるが︑然しと上で︑特に注目した
いのは︑その分別することの共僻的意味が明白でないと
分別と川分別
I』
いふことである︒何故に明白でないのか︒それ滋今︑次
の如く想定してみたいと思う︒分別と言ふ場合︑勿論︑
それが我法や那物を分別するといふ意味だけで充分であ
り︑更にそれ以上の説明は不必要であるとも毒えられる
であらうし︑又︑特にそれ以上の説明が必要であるなら
ば︑今迄見て來た諸用例がそれであるとも言えるであら
うが︑︵鞭蜜︑それらの諸用例ほこLの問題の理解に大
切なものであるが︑︶考察の出發鮎としては︑一鯉︑分
別の具繼的意味の不明瞭なることそのことから考えて行
くべきだと思ふ︒所で︑その不明瞭といふ乙とに就ても
亦︑色だのことが考えられるであらうが︑こ&では︑そ
の理由として︑その意味が単純なものでたく︑一義的な
ものでないといふことを老へたいのである︒即ち︑その
ようなときには︑それ駈別の言葉で説明することは困難
であり︑又それ遊敢てすれば逆に誤解遂生じ易い︒故に
それはそれなりとしてそのまLの言葉で用ひるより仕方
がない︒恐らくこのような辨怖が︑その理巾の一つとし
て︑あるのではないかと老へるのである︒然らば次に︑
囚九三
〜
’
、
g
分別と所分別
その分別は如何なる襖雑な意味左有するのか︒乙Lに勿
論直ちにその結論左出すことは出来がたいが︑一雌今迄
の諸用例花足場にして大髄の想定左試みたいと思う︒既
に見た四つの用例だけでも︵この他に尚二︑三の用例が
あるが︶︑その用例の内容がかなり極友のものに分れて
居ることが見られたが︑今特に︑それらの諸用例荘大き
く分けて︑二つの方両に分類して見てみたい︒即ち︑第
一と第二と第三と遊一方面に︑第四を他の一方面にであ
る︒その中前者の方面に就て見てみるに︑先づ第一の
場合に於ては︑分別は識の稗鍵と等脱され︑ゞ從ってそ
れは単なる分別意識の認識作用左越えて更に庇い意味遊
有するものと考えられた︒次に第二の場合にては︑分別
は我法乃至一切のもの︵勿論似説︑似現のもの︶と等脱
せられ︑記識︵負試眉蝕︶と等脱せられるの花見た︒そ
してこれは︑分別が逆に見られるものの側に近く考えら
れて居るものであるから︑前と同じく︑分別が恥なる認
識主観で終るものでないことを示して居ることになる︒
更に第三の場合は未だその内笄が明白に斑解されて居な
■
|
Iいが︑とにかく︑分別と所取能取の二取とは全同なるものでないとされ︑その酷で︑分別は能取とはされないか︵岫故︶ら︑やはり右の二つの場合と同じ方向にあるものと考えられる︒それに對して︑第四の場合は︑何と言っても︑分別が所訓分別意祇的に用ひられる用例であったと言はなければならない︒かくして︑分別には︑叩なる分別意識なる面と︑それを越える面との二つの方面があることになる︒然し乙上でも亦そのそれを越える而とは如何なることか註速断することが出來がたい︒けれども︑特に第二の場合の分別と我法との等硯關係に注目するとき︑次の如きととが考えられて來る︒即ち︑分別が我法と等同關係にあるといふことは︑見るものが見られるものと等同であるといふことであり︑このようなことは︑その見るもの︵分別︶が自ら見られるもの︵我法︶となるといふ郭柄溌考えないことには︑理解出來ないのではないかと恩ふ︒勿論見るもの︵分別︶が見られるもの︵我法︶になるといふ乙とは︑一見理解しがたいことであらうが然し︑唯誠思想成立の原理から言って決して珍稀なこと 四九四1
甲
︵ 川
︶
ではないのであるし︑又第一の場合の識の艸鍵の意味内
容︵〃以前の位から異なること〃等︶から見ても︑分別
が我法となる諺といふ椛造が決して無理なことでないこ
︵Ⅲ︶とが考えられる︒かくして今かLる想定に立つときには
分別には︑同時に二つの方両が意味されて居ることにな
る︒即ち︑共に同じく﹁分別﹂と言はれるものではあるが
ももり︑℃℃℃bb心︑︑︑︑Ub︑℃℃一は班なる認識主槻としての分別︑今一は我法となるとも︑︑bbb︑bいふ意味での分別︑との二方面の定義の同時共存が考え
られて来る︒今の場合︑分別の定義が唯だ洪然と分別す
ること或はものとされることに就て︑このように想定し
ておくことにする︒
第六として︑以上の他に分別はまだ色灸の用例を有す
る︒即ち︑︵鴫︶︵根本識から分別が起ること︶︑︵別︶︵分
別は生するものである︶︑︵虹︶︵分別が阿戦耶識から生ず
る︶︑︵妬︶︵分別は起るものである︶︑︵︶及び︵鍋︶︵分別
は依他自性のものである︶︑︵粥︶乃至︵幻︶︵無分別なる出
価間判としての用例︶である︒この中︑妓初の四つは大
船同じこと花言って居るものと見てよく︑而も今の場合
分別と所分別 分別の諸用例に就ての楡討はこれ位にして︑次に︑所分別の諸用例に就て見ることにする︒所分別の用例としては︑次に示す如く︑大僻三つのものが見られるが︑以下その三つの用例を伽単に鍋げ︑その後で︑分別の諸用例と對比したがらその意味内容滋械討して行きたいと思ふ︒
bbbbb℃︑℃b℃b
第一には︑所分別と我法或は鞭物或は境等一切のもの︵勿論これらは非衝有のもの︶との淵係︑ひいては所分
別とそれらのものとの一致が見出される︒即ち︑︵1︶︑
四九五 は特に注目に値するものとは考ええられない︒次の二つ
b︑bは︑分別が依他性であると言ふものであって︑亜脱すべ
きものであるが︑これは後に所分別の考察に於て︑逓計
性︵分別性︶と並べて見ることにする︒又妓後の無分別
神の用例は︑頂智に分別が無いとされる鮎で注目に値す
るが︑これ又今直ちにこ上の問題となるとは考えられな
い○
四
グ
■白いⅢ■11日FUIIトー1h.
I
︵2︶︑︵4︶︑︵5︶︑︵6︶︑︵9︶︑︵皿︶︑︵︑︶︑︵皿︶︑︵皿︶︑
︵皿︶︑︵妬︶︑︵恥︶︑である︒そしてこれらは全用例の半
数以上を占めるが︑所分別の字義から言って術然のこと
であらう︒但しそれらが總て一義的に直接にこの用例の
意味を明示して居る課ではないから︑少しく説明溌加え
ておく︒︵1︶は所分別に於てとざ8計弓のになって居る
が︑これも他の用例より類推して︑結励は所分別と我法
との等硯遊許すものと見た︒次に︵2︶では︑所分別が一
切の所識と等脱されて居るが︑その一切の所識も要する
に境であり︑事物であるのであり︑更にその境︑郡物と
言はれるものも︑所謂一切のものと別物でない黙に於て︑
畢寛は我法と同じものであると考えられるから︑これも
右と同じく所分別と我法との一致た示して居るものと考
えられる︒又︑︵4︶︑︵風︶︑︵6︶︑︵9︶︑︵皿︶︑︵皿︶︑
︵蝿︶︑は受身形の動詞であるが︑その意味する所は︑我
法や事物等一切のものが分別されることであるから︑所
分別のこの用例の中に入れられることの出來るものであ
島 ら
○
分別と所分別四九六
︑もももむb︑第二には︑所分別が所収能取の二取との關聯に於て︑
更にはそれとの等帆に於て︑用ひられるの花見出す︒即
ち︑︵皿︶︑︵加︶︑︵虹︶である︒
︑℃U第三には︑所分別が所訓三自性の一つである通計性
︵分別性︶として用ひられて居る︒即ち︑︵3︶︑︵8︶︑
︵Ⅳ︶︑︵昭︶︑︵理︶︑︵聡︶︑︵型︶がそれであり︑史に前の
第一の場合の︵皿︶︑︵皿︶︑︵巧︶︑及び第二の場合の︵皿︶
︵釦︶も亦乙の中に入るものである︒そしてこれは︑前に
分別が依他性とされたことと對唯して老へらるべきもの
である︒所分別の用例に就ては︑この他に猫一二の特例がある
けれども︑大鵬大きく分けて︑以上の三つの用例が見出
される︒勿論︑それらは今見た如く︑相互に判然とした
麗分の下に於けるものではなく︑それらの何れにもわた
り弓るが如き分類であるが︑とにかく︑所分別にはこの
三つの定錐が見出されるのである︒︵とのようなことは
前の分別に於ても同様であったが︑それは或意味で岱然
︵ 肥
︶
のことであらう︒︶そこで順次にその用例滋検討してみ
I|
︑℃もむ℃℃℃℃るに︑先づ第一の所分別と我法等一切のものとの等幌は
少くとも表現の上では︑前の分別の第二の場合と全く同
じである︒即ち︑これに上れば︑分別と所分別とは共に
我法等一切のものと等硯せられる雛では同じであるとい
ふことになる︒そこでこのことは果して如何たるとと逆
意味するかといふことになるのであるが︑これは分別
︵見るもの︶と所分別︵見られるもの︶とが我法に於て一
致すると言ふのであるから︑結肋︑前に分別の用例の第
二の場合に關聯して考えた所の︑分別と我法との等同關
係に就ての椛造が︵本稲四九四頁下零雌︶︑こLにてもあて
はまるべきであると考えられる︒即ち分別には︑雌なる︑Ubb︑︑︑℃︑認識主槻としての意味の他に︑我法となるといふ意味が
ある乙と滋考えたが︑このように考えるときに初めて︑
こ&の分別と所分別との我法に於ける一致が理解される
牡得るのではないかと恩ふ︒押識すれば︑分別は我法と
なるものであり︑そこに我法になって行ったものが即ち
所分別なのである︒かくしてこ︑に︑分別と所分別との
我法に於ける一致といふことが︑前に試みた想定と同じ
分別と所分別 方向に於て説明さ伽て来ることになるが︑このことは又逆に前の想定に對して一つの足場左提供するものであると言えるであらう︒
︑︑bb℃℃9次に所分別と所取能取の二恥との關聯に開しては︑前
の分別の所にても一言した如く︑所分別と二取とは等脱
せられるけれども︑分別と二取とは一雌等同ならざるも
のとされる︒從って︑この二取に開しては︑分別と所分
別とは相互に一致しないといふ乙とになる︒こ&に︑前
に我法に關聯しては︑分別と所分別との一致が見られた
のに對して︑今二取に關聯しては︑それと反對のことが
見られるといふことにたる︒これは如何なる故である
か︒これ叉問題であるが︑今迄の想定遂足場にして︑次
の如く考えてみたいと思ふ︒先づ︑我法と二取とは全く
別仙の︑瓦に他を容れないものであるか︒或は何らか
の迩關を有するものであるか︒思ふに︑能取所取の二取
は見るものと見られるものとであり︑從って此の私と此
の私の川州にあるものであるから︑それはやがては我法
と杣等しきものでなければならぬ︒然し又他而︑その我
四九七
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分別と所分別
法と二取とは決して同じものではない︒即ち我法はどこ
までも並列的に一切のもの還總孵せるものに︒すぎない
が︑二取は︑上述の如く我法と等しき鮎乾有すると同時
に︑より兎要なことは︑所取と能取として相互に對立し
︲て働くものであるのである︒かくして︑所取能収の二取
には︑雌狩に言って︑我法と等しい意味での二取と︑相
互に對立して働く所取能地なる意味での二取との二つの
意味があるべきであると考えられて来る︒そして今若し
このことが言えるとすれば︑前の問題も一脳解決するの
ではないかと思ふ︒即ち︑分別と所分別とが我法に於て
一致し︑二取に於て一.致しないのは︑右の如く二取に二℃︑℃b︑b︑︑︑U
︑つの意味があって︑我法及び我法としての二収に開して
︑bUも︑︑︑b︑bbbb分別と所分別とが一致し︑祁兀對立するものとしての二
℃取に開してはその剛者は一致しない︑と見ることに上つ
て︑一唯読明がつくのである︒︵相五對立するものとし
ての二取は︑分別とは直接の開係なく︑所分別に配樹さ
れるものである︒然しその〃相兀對立するものとしての
二取#と〃我法としての二収#Ⅱ#分別に直接開係する
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四九八
ものjとは︑又決して別仙のものではない︒繩諭にて︑
︑も︑︒b〃妄分別に於ての所取と能恥″と言ひ︑それに就て前に
面九一五︾少しく柵れて居たことの具艘的邪怖は︑恐ら
くかLるものであると恩ふ︒︶
もbも蛾後に︑所分別が三自性の一つである迦計性︑分別性︶
とされること遼見てみるに︑この通計性は秤疏によって
︵昭︶見れば︑所取能取の二収と等覗せられて居るから︑この
通計性にも前と同じく二方面の意味が考えられるべきで
︑b︑rb︑℃℃℃も℃℃もも︑ある︒即ち我法としての意味と︑能所取對立して働く場
gEbb面としての意味とである︒即ち︵皿︶︑︵皿︶︑︵蛎︶等は前
考であり︑︵虹︶等は後者であると見うる︒尤も所訓通計
性としては︑後者の能所収對立の場面が直接にはそれに
街るが︑然しそれと一なるもので且つそれと異なる前者
の我法としての意味もやはり忘れられてはならないと思
う︒といふのは︑前に分別が依他性であり︑而も分別に
我法としての意味での二取が含まれるべきであること遊
見たが︑これと今の過計性の二つの意味と詫對比すると
きには︑正しく︑依他性と通計性との祁兀關係が明︑に
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