光学リモートセンシング画像処理ソフトウェアの開発
(株)建設技術研究所 ○青山 定敬 福島 博文
1 まえがき
現在、リモートセンシング画像処理ソフト ウェアは、様々なものが市販されている。
しかし、何れのソフトウェアも高価であり、
ユーザが手軽に利用できるものではない。ま た、ビューアは無償であるものの、表示とい う機能に絞ったものであり、解析まで実施す ることができない。
一方、無償ソフトウェアとして、米国パデ ュー大学が作成したMultiSpecは大学等の教 育機関等で利用されているが、幾何補正機能 がないため、実利用面では、他のGISソフト ウェア等を利用しないと2時期の画像の重ね 合わせ等ができない。
このような状況のもと、当社では、光学リ モートセンシング画像処理を、無償で誰でも 手軽にできることを目的としてソフトウェア
「RSP」を開発した。
本稿は、開発したリモートセンシング画像 処理ソフトウェアについて報告する。
2 開発方針、開発環境および特徴 開発方針は、次のとおりである。
ア.OS環境は、Windowsとする。
イ.取り扱う画像形式は他のペイント系ソフ トウェアで使えるようにBitMapとする。
ウ.光学リモートセンシング解析として最低 限必要な機能を備えるものとする。
エ.GIS機能やペイント機能等の他のソフト ウェアの機能は省くものとする。
開発環境は、アプリケーションを効率的に 開 発 で き 無 償 利 用 で き る Borland Turbo C++ Explorerを採用した。
既存の無償のリモートセンシング画像処理 ソフトウェアとの違いは、次のとおりである。
a.画像処理機能が多い。
b.日本語表記。
c.ビットマップ画像が解析できる。
3 機能概要と利用上の特徴 機能一覧を以下に示す。
表1 機能一覧 機能 処理項目 ファイル
読み込み、カラー合成、分解、結合、
各種形式保存、切り取り、ファイル 変換、フュージョン処理
システム画面サイズ変更
RAW 整数画像処理、実数画像処理
幾何補正GCP設定/評価、アフィン変換、擬
似アフィン変換 マスク マスク処理 フィルタ
メディアン、一次微分(差分、
Roberts、Prewitt、Sobel)、二次微 分(4近傍、8近傍)
演算 和、差、積、商、NDVI 相関 相関図、相関画像(複数) 色調
色調調整、二値化、ヒストグラム、
シュードカラー、マルチレベルスラ イス、白黒反転、モノクローム化、
ピクセル値変更 表示
移動、zoom、上下反転、全体表示、
部分拡大表示、2画像表示、RGB値 表示、DN表示
分析 主成分分析、主成分画像 教師付き
分類
教師取得/編集、最尤法分類、教師 分析、σレベルスライス、2σレベ ルスライス、ピクセルカウント 教師無し
分類
k-means法分類、分析表示、ピクセ ルカウント
Development of Image Processing Software for Remote Sensing Data Analysis Sadayoshi AOYAMA and Hirofumi FUKUSHIMA
以下に3つの特徴的な機能について示 す。
(1) 幾何補正機能
幾何補正を行うためのGCPを取得し、
GCPが適正か否かを評価し、アフィン変 換式または擬似アフィン変換式に基づ き、画像の幾何補正を行う機能である。
GCPの取得に際しては、2つの画像(変
換前画像と変換後座標基準画像)を左右 に表示し、座標位置を見比べながらGCP を選定できるように工夫を施し、ユーザ がGCPを選定し易くなっている。また、
GCPの評価は、画像変換式を適用した場 合の座標エラー値を最小二乗法で求めて ユーザに提示することにより、GCPの適 否の判断ができるようになっている。
(2) 多彩な表示機能
ユーザが、現在取り扱っている画像の 位置関係を理解し易いように、メイン画 像表示画面とは別に、メイン画面で表示 している箇所を示すナビゲーション用に 使用する全体表示画面を用意した。全体 画像では、表示したい画像位置をマウス で指定すると、メイン画像の表示位置が その場所に移動するように操作性につい て工夫した。
この画面以外にも、画像の詳細状況を 理解するために、指定した箇所を部分的 に4倍に拡大表示する画面を用意した。
メイン画面と、この2つの画面(計3画 面)は、ユーザの表示画像に対する理解 を深めるのに役立つ。
また、前項で示したように、2つの画像 を比較し易いように、左右に同じ位置表 示する2画面表示機能を用意した。視覚的 に両画像を見比べて違いを判断できると ともに、カーソルで同じ座標位置の画素 値を表示することができるため、GCPの 取得、2時期の画像の違いを把握、画像処 理前と処理後の画像比較(例えば、フォ ルスカラー画像と土地被覆分類画像の比 較等)を容易に行うことができる。
これら表示機能は、実利用面でユーザ の画像判読をサポートするものであり、
既存の無償ソフトウェアには無い機能で ある。
(3) 分類画像作成機能
分類画像作成方法として、実利用面か ら、マルチレベルスライス、最尤法、教 師無し分類のk-means法を用意した。ま た、分類画像作成前処理として、主成分 分析機能を備えた。
さらに、最尤法で使用する教師データ の過不足を評価するため、標準偏差(σ と2σ)を使ったマルチレベルスライス
機能を設けた。
図1 メイン画面と全体表示画面
4 まとめ
国内のソフトウェアで、フル画像を対象として 教師付きおよび教師無し分類画像ができる無償 ソフトウェアが無いなか、本ソフトウェアの無償 公開の意義は大きいと考える。
今後は、近年、利用が増加しているSAR画像解 析ソフトウェアを開発する予定である。
最後に本ソフトウェア開発において公開前に 評価していただいた都市デザインカレッジ愛知 の山本義幸先生に謝意を表するとともに、本ソフ トウェアが教育機関を始め、実利用面で利用され ることを期待する。
「RSP」は、(株)建設技術研究所HPの下記 のURLからダウンロードし、利用することができ ます。
http://www.ctie.co.jp/software_info/rsp/rsp.html
「参考文献」
1) ALOS処理プロダクトフォーマット説明 書AVNIR-2編J改訂版,JAXA,(2006).
2) ALOS処理プロダクトフォーマット説明 書PRISM編J改訂版,JAXA,(2006).
3) JERS OPSデータフォーマット説明書【第 2版】,JAXA,(2000).
4) LANDSAT MSSデータフォーマット説明 書【第2版】,NASDA,(2000).
5) LANDSAT TMデータフォーマット説明 書【第2版】,NASDA,(2000).
6) LANDSAT7 ETM+データフォーマット 説明書,NASDA,(2000).
7) The SPOT Scene Standard Digital Product format,SPOT IMAGE (1997).