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上部ジュラ紀鳥ノ巣石灰岩の古環境

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上部ジュラ紀鳥ノ巣石灰岩の古環境

著者 森 隆二

雑誌名 東京家政大学研究紀要 2 自然科学

巻 31

ページ 7‑10

発行年 1991

出版者 東京家政大学

URL http://id.nii.ac.jp/1653/00010477/

(2)

〔東京家政大学研究紀要 第31集(2),P.7〜10,199玉〕

上部ジュラ紀鳥ノ巣石灰岩の古環境

隆 二

(平成2年9月29日受理)

The Paleoenvironment of the Upper Jurassic Torinosu Limestone

    Ryuji MoRI

(Received September 29,、1990)

1 まえがき

 鳥ノ巣石灰岩は,高知県高岡郡鳥ノ巣付近を模式地と しているが,その分布は九州南端より,紀伊半島,関東 山地,阿武隈山地,北上山地,更に北海道の日高山地に およんでいる.多くのサンゴ類や,その他の造礁性生物 化石に富んでいて中生代後半の大サンゴ礁遺跡と考えら れている.サンゴ類の研究は江口(1942D,195!2))等 があり,ストロマトポロイドの研究は矢部,杉山(19273})

がある.石灰藻については,古くは矢部,外山(19284})

から,遠藤i(19605),19616〕),今泉(19657)),遠藤,

堀口(1967・8)),森(19859))等の研究報告がある.筆者 は高知県高岡郡鳥ノ巣の模式地の石灰岩,和歌山県有田郡 広川町の鳥ノ巣式石灰岩,熊本県芦北町小口の神瀬層群 の石灰岩(これは鳥ノ巣式石灰岩と考えられる),これら の鳥ノ巣および鳥ノ巣式石灰岩の石灰藻類を調べ,報告 した.FIUglはアルプス山脈の石灰岩体に含まれる石灰 藻類の研究から,それらの石灰岩の古生態を発表してい る(197910)).鳥ノ巣石灰岩の石灰藻類とアルプスの 2っの上部ジュラ紀石灰岩体,即ち,Sulzfluh石灰岩と Plassen石灰岩の石灰藻類と対比して,鳥ノ巣石灰岩の 古環境を考察した.

E 鳥ノ巣石灰岩の石灰藻類

灰岩の露頭は極めて小さく両幅とも10m前後である.ま た北海道空知の鳥ノ巣式石灰岩の時代は下部白亜紀とさ れており,鳥ノ巣式石灰岩の一部には下部白亜紀のもの

もあると考えられている.これら日本列島に点在してい る鳥ノ巣石灰岩に含まれている石灰藻類について,今ま でに報告されている種と産地を表1に示した,表に示し たように23属30種が報告されている.

oj

X12

02

 模式地の鳥ノ巣石灰岩と,いわゆる鳥ノ巣式石灰岩と して報告されている主な石灰岩の分布を図1に示した.

図のように南は九州南端から,北は北海道中央部まで広 く分布しているが,それらの岩体は比較的小さく,特に 熊本県小口,東京都五日市,和歌山県有田郡広川町の石

玉.Noma l ke 2.Saka応o to 3_Kσ餌ose 4.Matsuno 5.Ochlmen 6.Sakawa 7.Usuga七anI 8.Arlta(Nabae)

9・.Osako lO.ltskaichi 13.So rach i

.Soma I2. i wa配2UMi

教養部 図1.鳥ノ巣石灰岩の分布

(3)

隆二

表1. 石灰藻化石種と産地

紅藻類   サンゴモ科

    ノ4t」chaeotithotha〃lnium SO〃lensis     Lithoρhy〃um torinosensis   ソレノポラ科

    ノ〉 Pρonoplり,CUS 1°α〃10SUS

    ノ〉.kanmerai     Petrophyton tenue     P.penetrans     P.miアakoense     、Pycn oporidiu〃110わα um     P.elongatum

    Po!ygone〃α画左0ん〃θη3 ∫     Solenopora rothpletzi     s.kumensis

緑藻類   カサノリ科

    Anthracopore〃α torinosensis     Cリワワeina hanabataensis     Macroρore〃a tosaensis     Neogyroρorella elegans     Pseudoepi〃lastopora jura∬ica     Thyrsoρore〃a(21 hatigamoriensis   ミル科

    Consinocodiu〃1/aρonicu〃1     qソ〃iocodiu〃2 or nosensis     Hikorocodium fertilis     Kit{7ka〃liania CO〃Cε月げ1ゼcor

    Lithocodiu〃η4ρ0〃 Cμ〃1     L.〃iorikawai

    Marine〃a lugeoni

    Stenoρoridiu〃i chaetetifor〃1tS     S.spher c雌

藍藻類

    Girvane〃a tosensis

    Neospongiostoroma tosensis      ℃alcisphaera  ノurassica

1

×

2

×

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×

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×

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3

×

X

X

X X

4

X

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XX

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X 5

×

×

6

X

X

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7

X

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X

X X

X

X

×

X 8

X

×

1.Sakamoto (Kumamoto)2. Konose (Kumamoto)3. Matsuno (Ehime)4. Sakawa (Kochi)

5.Usugatani(Tokushima)6. Arita(Wakayama)7. Soma(Fukushima)8. Sorachi(Hokkaido)

(4)

上部ジュラ紀鳥ノ巣石灰岩の古環境

   皿 アルプスの上部ジュラ紀石灰岩体と      鳥ノ巣石灰岩との対比

 E.Fllige1は,オーストリアにおけるアルプス山脈 のペルム紀,三畳紀,ジュラ紀の石灰岩体の古生態を論 じている(197910}).ここでは,その内,上部ジュラ紀 の石灰岩体にっいて記述する.上部ジュラ紀の石灰岩体 の分布はSulzfluh(Sulzfユuh Limestone)とRbthe1−

stein(Plassen Limestone, Krahsteinにも石灰岩が分 布しているがPlassen Limestoneに属している)図2.

 FIUgelは, Sulzfluh石灰岩体を3つの相(facies)に 区分している.即ち,micrite facies, sparite facies,

oolitic faciesである.3っの相はそれぞれ海洋地形を 表わし,図3のように海洋地形が区分されている.この 3つの相の構成は現在のバハマ堆(Bahama Bank)に 部分的に類似している.

 この海洋地形区分の中で石灰藻類の属,種の変化が最 も大きいのはOpen platformで,14属をあげている.即 ち,Cayeuxia, Tudiphytes,Campdelliella, Clype−

ina, Neoteutloporella, Petrascula, Pianella, Pse−

udoepimastopora, Salpingoporella, Bacinella,

Lithocodium,Solenopora, Marinella, Thaumato−

porellaである.この内5属は鳥ノ巣石灰岩に含まれて いる石灰藻類である。

 Plassen石灰岩体は,小さなpatch reefを伴なった広 いplatformで潮下帯から潮間帯の堆積物が発達してい る.これに対してSulzfluh石灰岩体はouter shelf plat−

formである. Plassen石灰岩体とSulzfluh石灰岩体か ら報告されている石灰藻類は21属33種である.この内8 属5種が鳥ノ巣石灰岩に含まれているものである.

IV 結 論

Sulzf[uh

Zalzburg     X   R6theistein

wieno

L一!99_LZP°km

図2.オーストリアの上部ジュラ紀石灰岩の分布

 MICRlTε

MUO FLAT

一1了走ル鱗

FAClES

RESTR騨CTEO LAGOON

CしYPEINA−

alOM巳CRITE

LAGOON

隅斜、

SPARITE OPEN PしAマFORM

撫1辮縢i

FAClES

臼εST臼ICτED

  l lBAYS OOしITE FAClES OOLITEeAR

OOSPARt了ε

 鳥ノ巣石灰岩は九州から北海道まで広く分布している が,それらの岩体は比較的小さく,図1に示したように 西南日本外帯,東北日本,日高帯に点在している.その ために石灰岩の相によって当時の海洋地形を区分するの は困難である.アルプス山脈における石灰岩体の相区分 と海洋(地形)区分がF撮gel等によって成功している.

鳥ノ巣石灰岩に含まれる石灰藻化石と北部アルプスの Sulzfluh石灰岩体およびPlassen石灰岩体に含まれる石 灰藻化石を対比した結果,属,種がかなり類似している.

鳥ノ巣石灰岩を構成している他の造礁性生物の報告も合 せて,鳥ノ巣石灰岩はSulzfluh石灰岩体とPlassen石灰 岩体に類似した環境で形成されたと考えられる.

 本論文はサンゴ礁研究会第2回研究集会で一部講演し

た.

    ニXLi

鞍灘糞灘i灘灘馨,8晦綴・嘗謝

Fm8el(1979)による

図3.Sulzfluf石灰岩の分類

参考文献

1)江口元起:地質,XLlX, 583,(1942)

2)江口元起:日本三畳系の地質.地質調査所報告特別

 号.132−145,(1951)

3)矢部長克,杉山敏郎:Jap.,Jour.,Geo1.,Geogr.,

 V皿, 1−2, (1927)

4)矢部長克,外山四郎:Sci., Rep.,Tohoku Imp.,

 Univ.,X旺,1.(1928)

5)遠藤隆次:Saitama Vniv.,Sci., Rep., S6r., B,

 3.no.3,271−272, Pl.1,(1960)

(5)

隆・二

6)遠藤隆次:Saitama Vniv.., Sci.,Rep., Ser..B.,

  Endo・Commelmorial Volume,1−52, Pls..1−17,

  (1961)

7)今泉力.蔵.:Sci.,Rep.

 Ser.,37,1.,(1965).

Tohoku Univ.,2nd,,

8)遠藤隆次,堀ロ万吉:東京家政大学研究紀要.7,

  1−8,Pls. 1−W,(1967)

9>森隆二:.東京家政大学研究紀要.25,.197−198,Pl.

   1, (1985)

10) Flugel,E :Bull.,Cent., Rech., ExplQr−Prob..

  Elf−Aquitaine,3, 2 571−586,(1979,)

Summary

The Torinosu lim.estone and so−called Torinosu. limestone are distirbuted wide i.n Japan.

Calcareous algae fro・m the limestone are correlated with calcareous algae from the Sulzfluh limestone and the Plassen limestone iin Austria. As the result of the corre星ation, paleoenvironment ofthe Tbrinosu limestone is comparable wiith that of th、e Sulzfuh limestone and Plassen limestone.

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(大防法第 18 条の 15、大防法施行規則第 16 条の 8、条例第 6 条の 2、条例規則第 6 条の