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組織成員の自律的職務行動を促進する個人要因に関する研究−コーポレートブランドに対する社外評価に関する敏感さの効果 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)組織成員の自律的職務行動を促進する個人要因に関する研究 −コーポレートブランドに対する社外評価に関する敏感さの効果− キーワード: 自律的職務行動, コーポレートブランド評価感度, 組織価値, 経済的報酬, 対人的報酬 行動システム専攻 吉原 克枝 1.. 問題. 員の主体的な判断に基づく自発的な行動を「自律的職務行. 1) 本研究の背景と目的. 動」と定義し、以下4つの領域の職務行動で構成した。. 近年、経済のグローバル化に伴い、企業間の競争が激し. 「外部との相互作用領域」の職務行動は、コーポレート. さを増している。多くの企業はこの激しい市場競争に対応. ブランド評価を高めたり、維持したりするものである。 「組. するため、オペレーションの効率化を図るだけでなく、コ. 織価値領域」の職務行動は、主体的に組織価値を参照し、. ーポレートブランドの創造による差別化を目指している。. 判断や行動をするものである。 「タスク領域」の職務行動. コーポレートブランドに対しては、企業の無形資産のひ. は事前に決められた役割以外の仕事を進んで引き受けた. とつとして高い関心が寄せられおり、ブランドのポジショ. り、規定された水準以上の努力でタスクを成し遂げたりす. ニングやコミュニケーション手法、その資産価値の測定方. ることである。 「仲間との相互作用領域」の職務行動は、. 法などに関して、多くの議論がなされている。しかし、コ. 仕事仲間の勤労意欲を高めたり、仲間に協力を促すよう働. ーポレートブランド創造の基盤となる組織成員の日常的な. きかけたりすることである。. 職務行動レベルについての議論は体系的になされていない。. 3) 自律的職務行動を促進する個人の心理的要因. 本研究の第1の目的は、コーポレートブランドの創造を. 先行研究では組織成員の自発性に依存した職務行動の促. 目指した組織活動の基盤となる組織成員の職務行動の内容. 進要因を、組織コミットメントなどの組織と組織成員の閉. を明らかにし、その測定を行うことである。さらに、その. じ ら れ た 関 係 性 の 中 に 求 め て き た (e.g., O’Reilly &. 職務行動を促進する個人の心理的要因を明らかにすること. Chatman, 1986)。ところが、前述したように自律的職務行. を第2の目的とする。. 動の最終的な成果はコーポレートブランドに対する社外評. 2) 自律的職務行動の定義とその4つの領域. 価により測定される。ゆえに自律的職務行動は、その行動. 本研究では、ある組織が社会に供給する製品やサービス、. の成果であるコーポレートブランドに対する社外評価から. 組織そのものに関する情報、およびそれらに関連する経験. の影響を受けると予測することができる。. などを通じて、社会の多くの人々の認知構造として形成さ. 組織成員はコーポレートブランドに対する社外評価を知. れたその組織というカテゴリーに対する社会的スキーマを. 覚している。しかし、その評価情報に関する敏感さには個. 「コーポレートブランド」と定義する。ポジティブな評価. 人差があると予測できる。本研究では、コーポレートブラ. を持つコーポレートブランドを多くの個人が保有している. ンドに対する社外評価に接した場合に、その評価を自分自. 状態をつくるには、組織が顧客のニーズに柔軟に対応しな. 身に対する評価のように感じ、かつその評価をポジティブ. がらも、組織全体で、継続的に、かつ組織として一貫した. なものにしたいという意欲を持つ程度のことを「コーポレ. 内容の情報や経験を提供することにより、多くの顧客を長. ートブランド評価感度」 (以下、 「CB 評価感度」と呼ぶ)と. 期的に満足させる必要がある。. 定義した。 「CB 評価感度」が高い成員は、実際に組織への. このようなコーポレートブランドの創造に向けた組織活. 評価情報に接した場合、その評価をポジティブにしたいと. 動には、組織と顧客の間の調整機能を果たすための組織成. 覚醒すると考えられるため、4つの領域すべての自律的職. 員の自律性が欠かせない。さらに、組織的な成果をあげる. 務行動を高い頻度で行うことが予測される。. ためのチームへの貢献、事前の想定を越えたタスクへの自. また前述したように、自律的職務行動には組織としての. 発的な取り組み、組織としての一貫性を保つための組織価. 一貫性が求められる。組織成員の自律的な行動が組織内で. 値やコーポレートブランドの尊重といったことが、組織成. ある程度一貫しているためには、組織の望ましさの指針で. 員に望まれる。以上の議論から、本研究では、コーポレー. ある「組織価値」を主体的に参照することが必要である。. トブランドの創造を目指した組織活動の基盤となる組織成. そこで、組織価値を内在化している成員は、組織内部にお. 1.

(2) いても、対外的にも、組織の価値を主体的に参照し、それ. 因子負荷量が 0.4 に満たない項目が1項目あったため、そ. に沿った行動を生起させると予測される。. れを削除した。再度、全20項目を用いて因子分析を行っ. 一方で、個人的な仕事に対するモチベーションも当然影. た。重み付けのない最小二乗法を用い、因子を抽出した。. 響を与えるであろう。昇進や昇給を求める「経済的報酬獲. 固有値1の基準と、因子解釈の可能性を考慮し、4因子と. 得欲求」や、仲間からの高い評価を得たい、もしくは仲間. した。プロマックス回転を行った結果の因子パターンと因. から拒否されることを回避したいといった「対人的報酬獲. 子間相関を Table1に示す。. 得欲求」は、自律的職務行動を促進する可能性がある。. 第1因子は「仲間」に関する項目で負荷量が高く、 「仲間. 以上の議論から自律的職務行動の促進要因として「CB. との相互作用領域」に関する因子とした。第2因子は「会. 評価感度」 、 「組織価値の内在化」 、 「経済的報酬獲得欲求」 、. 社のイメージ」 、 「会社の信頼」 、 「会社のブランド」という. 「対人的報酬獲得欲求」に着目した。. 項目で負荷量が高く、 「外部との相互作用領域」に関する因 子とした。第3因子は「目標達成」 、 「期限」といった項目. 2.. 方法. で負荷量が高く、 「タスク領域」に関する因子とした。第4. 1) 調査対象組織、対象者および方法. 因子は「組織の価値」 、 「望ましい行動」といった項目で負. 大手流通企業 A 社に勤務する成員 1246 名に調査を依頼. 荷量が高く、 「組織価値領域」に関する因子とした。また、. した。 調査期間は2003 年4 月23 日から4 月30 日である。. 因子ごとにα係数を算出したところ、すべて 0.8 以上であ. Web 上のアンケートと質問紙による調査を実施し、791 件. り内部一貫性を確認できた。. の有効回答(有効回収率 64%)を得た。有効回答者の年齢. 2) 自律的職務行動4領域の促進要因. は 19−67 歳(平均年齢 40.3 歳) 、性別は男性 222 人. 自律的職務行動の4領域、および前述した個人の心理的. (28.1%)、女性 559 人(70.7%)、不明 10 人である。. 要因の基礎統計量と相関係数を算出した(Table2) 。各心. 2) 質問調査票の構成. 理的要因と自律的職務行動の各領域には密接な関係性が. 自律的職務行動 「外部との相互作用領域」7項目、 「組. 認められた。特に「外部との相互作用領域」は「CB 評価. 織価値領域」5項目、 「タスク領域」5項目、 「仲間との相. 感度」と中程度の相関があった。一方で、 「組織価値領域」. 互作用領域」5項目を作成し、5件法(まったくやってい. と「経済的報酬獲得欲求」の相関は有意ではあるが、非常. ない−いつもやっている)で行動を生起させる頻度につい. に弱いものであった。また、 「タスク領域」 、 「仲間との相. て回答を求めた。なお、 「タスク領域」と「仲間との相互. 互作用領域」と「組織価値の内在化」の相関も有意ではあ. 作用領域」は Van Scotter & Motowodlo(1996)の「文脈. るが非常に弱いものであった。. 的パフォーマンス」の尺度を参考にした。. 次に、自律的職務行動の4つの領域および6つの心理的. 個人の心理的要因 「CB 評価感度」5項目、 「組織価値. 要因ごとに因子負荷量の高い項目から順に2から4項目. の内在化」4項目、 「経済的報酬獲得欲求」として「昇進. を採用し、各領域について複数の仮定モデルを構築した。. 欲求」2項目と「昇給欲求」2項目、 「経済的報酬獲得欲. その後、仮定した複数の促進要因モデルについて共分散構. 求」として「評価向上欲求」5項目と「拒否回避欲求」4. 造分析を用いて検証した。適合性の高さと情報基準量から. 項目を作成し、5件法(全くあてはまらない−非常によく. 判断し、あてはまりの良いモデルを採択した。採択したモ. あてはまる)で回答を求めた。なお、 「対人的報酬獲得欲. デルを Fig.1, Fig.2, Fig.3, Fig.4 に示す。なお、Fig.上に表. 求」は、菅原(1986)の賞賛獲得欲求・拒否回避欲求を参. 示しているパス係数は標準化解であり、すべて 1%水準で. 考に、職場に相応しい項目を作成した。. 有意性を持っている。 「外部との相互作用領域」では「組織価値の内在化」が. 3.. 結果. 最も影響力を持ち、 「CB 評価感度」がこれに次いでいた。. 1) 自律的職務行動の4つの領域. 「組織価値領域」では、主に「組織価値の内在化」からの. 4つの領域ごとに各質問項目とその領域の全体得点と. 影響を受け、それに加え「CB 評価感度」からも非常に弱. の相関を算出し、各項目の識別力を検討した。相関係数が. いが有意な影響を受けていた。 「タスク領域」は経済的報. 0.2 に満たない1項目があり、それを削除した。. 酬獲得欲求である「昇給欲求」と「CB 評価感度」から影. 次に、残った自律的職務行動の21項目を用いて因子分. 響を受けていた。 「仲間との相互作用領域」は「CB 評価感. 析(重み付けのない最小二乗法、固有値1の基準と因子解. 度」から主たる影響を受け、対人的報酬獲得欲求である「拒. 釈可能性より因子数を決定、プロマックス回転)を行った。. 否回避欲求」からも非常に弱いが有意な影響を受けていた。. 2.

(3) Table 1. 自律的職務行動の因子分析の結果(重み付けのない最小二乗法 ・プロマックス回転) 因子1 因子2 因子3 因子4 質問項目 第1因子:仲間との相互作用領域(α=0.86) 仲間が落ち込んだり、疲れたりしている時は励ます 仲間が成功した時、仲間を褒める 仲間が仕事上、困っている場合はサポートする 新しい仲間がうまく仕事ができるように教えたり面倒をみたりする チーム内における人間関係の葛藤を改善するよう取り成す 第2因子:外部との相互作用領域(α=0.84) 会社の名前や商品、サービスのイメージを向上させるために努力している 会社の信頼やイメージを傷つけないように意識して行動している 顧客の前では自分が会社のブランドを代表していることを意識して仕事をしている 顧客からのクレームには迅速に誠意を持って対応している チームの中に会社のイメージを損ねるような問題がある場合は改善に努めている 会社の製品やサービスの良い点を多くの顧客に知ってもらえるように努力している 第3因子:タスク領域(α=0.83) 目標達成のために必要なら職務以外の仕事でも引き受ける 期限を守るために自主的に残業することがある 目標達成のために様々な障害も乗り越えてがんばる 上司に言われなくても状況から予測して必要だと思われる仕事は自主的におこなう 目標達成のために必要な仕事は自ら進んでおこなう 第4因子:組織価値領域(α=0.81) 判断や行動をする際は、この会社の価値基準を参照している この会社において望ましいとされる行動を積極的にとるようにしている この会社のルールや手順を守って仕事をしている この会社の人間らしい振る舞いをしている 因子2との因子間相関 因子3との因子間相関 因子4との因子間相関. Table 2. 各変数の平均、標準偏差および相関係数 変数 M SD 1 1.CB評価感度 4.16 0.71 (.91) 2.価値の内在化 3.22 0.60 .34* * 3.昇進欲求(経済的報酬) 2.89 0.88 .24* * 4.昇給欲求(経済的報酬) 3.70 0.89 .21* * 5.評価向上欲求(対人的報酬) 2.95 0.80 .32* * 6.拒否回避欲求(対人的報酬) 3.65 0.83 .37* * 7.外部との相互作用領域 4.01 0.56 .45* * 8.組織価値領域 3.90 0.59 .38* * 9.タスク領域 3.74 0.65 .33* * 10.仲間との相互作用領域 3.91 0.59 .36* * **. 2. 3. 4. .993 - .024 - .168 .831 .037 - .125 .609 - .020 .198 .591 - .029 .193 .570 .011 .121. - .063 .011 - .031 .037 .033. - .106 - .027 .030 .047 .125 .040. .924 .720 .621 .580 .565 .452. - .008 - .118 .036 .057 .133 .033. - .077 .110 .070 .006 - .102 .130. - .078 - .037 - .081 .010 .007 .007 .068 .040 .095 .022. .798 .766 .708 .658 .586. - .021 - .137 .122 - .046 .154. - .100 - .081 - .021 - .018 .088 .010 .018 .065 - .047 .176 .070 - .041 .583 .617 .603 .560 .682 .511. .883 .746 .652 .533. 5. 6. 7. 8. 9. 10. (.58) .24* * .06† .16* * .29* * .27* * .35* * .14* * .17* *. (.52) .29* * .49* * .26* * .26* * .18* * .27* * .18* *. (.46) .36* * .29* * .21* * .13* * .26* * .23* *. (.91) .53* * .28* * .22* * .36* * .27* *. (.85) .31* * (.84) .35* * .62* * (.81) .25* * .54* * .42* * (.83) .26* * .54* * .50* * .55* * (.86). p<.01  †p<.10 ( )内は信頼性係数 .82. .46. Q4_3. e3. .59. .72.91 e2. Q4_2. .85 .82 .91. e1. Q4_1. CB評価 感度. .33.77. .27. .59. .77. 外部 領域. Q5_2. e2. e11. e1. .66 .44 Q5_5. .51. e3. e10. Q5_1. e6. Q4_11. .6 .48 6. X2乗値=39.646 p値=.001 GFI=.986 CFI=.991 RMSEA=.044 CAIC=182.649. 価値の 内在化. Q4_10. Fig.1. 外 部 と の 相 互 作 用 領 域 に お け る 自律的職務行動の促進要因モデル Q4_1. e2. Q4_2. .91 .71 .84 .8 .9 12. Q4_3. e3. 価値の 内在化. Q4_11. .74. e15. Q5_9. 組織価値 領域. .64. .80. e16. Q5_10. X2乗値=52.668 p値=.001 GFI=.983 CFI=.990 RMSEA=.042 CAIC=210.724. .46. Q5_12. Fig.2. 組 織 価 値 領 域 に お け る 自律的職務行動の促進要因モデル. .82 e1. .55. .67. .49 .70. e8. .68 .32. .17. .46 .67. Q4_10. e14. Q5_8. e18. Q4_1. .46 e9. e16. e7. CB評価 感度. .51. e14. .38. .48 .70. .83 .91 .71 .85 Q4_2 .82 .90 Q4_3. .82 e1. CB評価 感度. Q4_1. .8 2 .9 1. e32. .22. .70. .24 .84. Q5_13. .91 .71 .84. Q4_2. e2. Q4_3. e3. CB評価 感度 .33. e21. .77. タスク 領域. .28. .88. Q5_14. .61. 仲間 領域. .37. Q5_16. e33 .17 .65. e22. .40. e24. .42 e26. Q5_18. .63. .79 Q5_20. .85 Q5_21. .72. e28. e29. .38 .56 .75 .1 9 .4 4. e46. Q4_8. e45. Q4_6R. 昇給 欲求. .15. X2乗値=19.748 p値=.287 GFI=.993 CFI=.999 RMSEA=.015 CAIC=162.751. e45. e44. .58 .76. Q4_20. .71 .84 Q4_21. .8 76 .7 e43. Q4_22. 拒否 回避. X2乗値=28.525 p値=.239 GFI=.991 CFI=.999 RMSEA=.017 CAIC=186.582. Fig.4. 仲 間 と の相互 作 用 領 域 に おお け る 仲間と 相互作用領域に け る 自律的職務行動の促進要因モデル. Fig.3. タ ス ク 領 域 に お け る 自律的職務行動の促進要因モデル. 3. e17.

(4) 4.. 考察. 度」により促進されていた。組織成員が、チームへの. 本研究では、コーポレートブランドの創造を目指した. 貢献を自発的に行うように促すには、組織の外に視野. 組織活動の基盤となる組織成員の職務行動を「自律的職. を広げさせ、組織への評価に関心を持たせることが有. 務行動」と定義した。そしてコーポレートブランドの創. 効であると考えられる。. 造を目指した組織活動が、組織的かつ継続的に顧客を満. 4つの領域の自律的職務行動は、コーポレートブラ. 足させることを目的としているということを踏まえ、4. ンドの創造に向けた組織活動の基盤となるものであ. つの領域の職務行動から構成することを試みた。因子分. るが、組織のコアとなる活動の違いによっても、それ. 析の結果、当初の想定どおりの「外部との相互作用領域」 、. ぞれの領域の重要度は異なるであろう。また、組織成. 「組織価値領域」 、 「タスク領域」 、 「仲間との相互作用領. 員の職種によっても、それぞれの領域の重要度は異な. 域」の4因子を抽出でき、信頼性の高い尺度を作成する. ると考えられる。組織の業種や、組織成員の職種に必. ことができた。このことは今後、コーポレートブランド. 要な領域を見極め、その領域の自律的職務行動を促進. の創造に向けた組織成員の職務行動レベルに関する研究. する個人要因を活性化させる働きかけを行うことが、. を進めていくための第1歩になったと考えられる。. 有効であると考えられる。. 次に、4つの領域の自律的職務行動を促進する心理的. 今回の研究では4つの領域の自律的職務行動に対. 要因に関しては、各領域において主たる促進要因が異な. する「CB 評価感度」の促進効果が認められた。今後. っていることが明らかになった。そして、本研究で着目. の研究では、コーポレートブランドの評価的内容や質. した「CB 評価感度」は、その影響の程度に差があるも. 的内容に関する組織成員の心理について検討を進め. のの、すべての領域の自律的職務行動に有意な影響を与. ていく予定である。. えていた。 「CB 評価感度」は、組織の外部に存在する要因に対. 5.. 主要引用文献. 古川久敬 2002 人的資源とビジネスモデルの相互充足. する組織成員の心理的関与であるという点で、これまで の組織と組織成員の間の閉じられた関係性を扱った概. 性原理 一橋ビジネスレビュー,50,54-68. Mitchell, T. R. 1997 Matching motivational strategies. 念とは異なる。 「CB 評価感度」が、すべての領域の自律 的職務行動の促進要因であったことから、このような新. with. organizational. contexts.. しい組織成員の心理的関与を用いることの意義を確認. Organizational Behavior, 19, 57-149.. Research. in. O’ Reilly, C., Ⅲ, Chatman, J. 1986 Organizational. することができた。. commitment and psychological attachment: The. また、 「組織価値の内在化」が、 「外部との相互作用領 域」の職務行動を促進していた。外部との相互作用場面. effects. of. compliance,. identification,. and. において、質的に高い水準の成果を求めるのであれば、. internalization on prosocial behavior. Journal of. 組織成員が、 「組織としての望ましさの基準」に従って. Applied Psychology, 71, 492-499. Smidts, A., Pruyn, A.H.,& Van Riel, C.M. 2001 The. いるのではなく、その基準を自分のものとしていること. impact of employee communication and perceived. が有効であると考えられる。. external prestige on organizational identification.. さらに多くの先行研究において、組織成員の高い業績. Academy of Management Journal, 49, 1051-1062. に対して、給与などの経済的な報酬を与えて強化する方. 高木 浩人 1997 組織コミットメント−その定義と類. 法が、組織成員をより熱心に、長く、懸命に働くよう動. 似概念− 心理学評論,40, 221-238.. 機づけることが示されている(e.g., Mitchell, 1997)。 本研. 田中 堅一郎 2001. 究でも、割り当てられた役割や水準を超えて熱心に働く. 組織市民行動−測定尺度と類似. ことである「タスク領域」の職務行動は、 「経済的報酬. 概念、関連概念、および規定要因について− 経営行. 獲得欲求」によって促進されていた。ところが、一方で. 動科学,15, 1-28. Van. 「経済的報酬獲得欲求」は、 「組織価値領域」との関連. Scotter,J.R.. &. Motowodlo,. S.J.. 1996. は小さかった。このことから、経済的な報酬を与え強化. Interpersonal facilitation and job dedication as. することで、すべての職務行動が促進されるわけではな. separate facets of contextual performance.. いことが示唆された。. Journal of Applied Psychology, 81. 525-531.. さらに、 「仲間との相互作用領域」も、 「CB 評価感. 4.

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