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貨物車の待機駐車の実態に関する基礎的研究 *

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Academic year: 2022

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貨物車の待機駐車の実態に関する基礎的研究 *

The Fundamental Study of Parking Trucks on the road without loading and unloading *

小早川悟**、對木揚***、高田邦道****、山向薫*****、清水真人*****

By Satoru KOBAYAKAWA**, You TSUIKI***, Kunimichi TAKADA****, Kaoru YAMAMUKAI, and Masato SHIMIZU*****

1.はじめに

平成18年6月に改正された道路交通法の駐車監視員制 度の導入は、都市内での路上駐車を削減するなど、大き な効果をもたらしている。しかし、依然として路上に依 存せざるをえない駐車が存在している。その中のひとつ に、貨物車の路上駐車がある。東京23区では、全交通量 に占める貨物車の割合は3割程度であるものの、路上駐 車をしている車両のほとんどが貨物車である。つまり、

都市内の物流は、そのほとんどを貨物車による交通に依 存しており、駐停車場所の多くを路上に依存してきたと いえる。このような状況にあって、貨物車の駐車のなか には、配送や集荷の時刻指定をあわせるためなど、待機 駐車と呼ばれる貨物の積みおろしを伴わない路上駐車も 存在している1)

本研究は、これまで問題認識が希薄であった、これら の駐車を待機駐車と呼び、東京23区を事例として、その 実態を既存調査や駐車実態調査、ドライバーへのアンケ ート調査を通して明らかにすることを目的とする。

2.東京都23区における駐車実態

図-1は、東京都23区における平成17年度と平成18年 度の駐車密度(台/km)の増減率を行政区別に表わした ものである。図中に太線で示したエリアが平成18年6月 から駐車監視員制度が導入されているエリアである。導 入後は、導入エリアを中心に駐車密度が減少している。

*キーワーズ:駐車需要、交通行動調査、物流計画

**正員、博(工)、日本大学理工学部 (千葉県船橋市習志野台7-24-1、

TEL047-469-5242、FAX047-469-5242)

***正員、工修、ついき都市企画 (東京都千代田区神田司町2-16、

TEL03-3258-0400、FAX03-3258-0415)

****フェロー、工博、日本大学

(千葉県船橋市習志野台7-24-1、

TEL047-469-5242、FAX047-469-5242)

*****非会員、工修、(財)駐車場整備推進機構 (東京都千代田区平河町2-7-4、

TEL03-5276-5775、FAX03-5276-5780)

導入エリア外の練馬、中野、目黒、大田の4区では増加 しているが、総じて減少している。4区の増加は、駐車 監視員制度が導入されたエリアより駐車車両が移動し、

その駐車場所を取り締まりが強化されたエリア外に求め た結果と考えられる。さらに、これら増加している地区 では貨物車の割合が増えてきていることから、導入エリ ア内において集配送を行っている車両の待機駐車として 路上駐車が増加したのではないかと考える。

また、路上駐車台数が減少している地区においても、

同様に貨物車の割合が高くなってきている。これは、貨 物の搬入のためのスペースがないために路上での積みお ろしに依存せざるを得ない貨物車が存在しているのと考 えられるが、路線毎に駐車台数の変化を追っていくと、

公園に沿った比較的広い道路上などの特定の路線におい て路上駐車が増加している場合があり、駐車監視員制度 が導入されているエリア内においても、時間調整等によ る待機駐車車両が路上に存在していることが考えられる。

図-1 東京 23 区の駐車密度の増減率

3.待機駐車の定義

(1)待機駐車の範囲

貨物車は、業務用車両であることから貨物車の駐車 は、荷物の配送や集荷など貨物の積みおろしをするため の駐車が基本である。しかし、実際の運行では、労働法

(2)

等でも必要となる休憩のための駐車や、現代社会におい て必要不可欠となったジャストインタイム(JIT)に 対応するための時間調整のための駐車、また、長距離運 送等では帰り荷を確保するための指示待ちの駐車などが ある。

図-2は、待機駐車の範囲を整理したものである。

待機駐車は、広義には、荷さばき駐車以外の駐車を待機 駐車とすることができる。一方、時間帯でみると、夜間 の時間帯では、休憩・食事・仮眠のための駐車と時間調 整のための駐車の2種類の駐車が存在する。このうち、

長距離輸送等では、サービスエリアやトラックステーシ ョン等がこのような待機駐車の受け皿となりうる。また、

昼間の時間帯では、食事や休憩のための駐車と時間調整 のための駐車に加えて、帰り荷待ちの駐車も存在すると 考える。このうち、駐車時間でみると短時間駐車の車両 には、荷さばきを伴う車両も含めて、パーキングメータ ーやポケットローディング、路外荷さばき施設等が受け 皿として考えられるが、昼間の時間帯の長時間の待機駐 車については、対策の空白域にあたると考える。そのた め、本研究では、図-2に示す狭義の待機駐車を検討範 囲の待機駐車と定義し、研究を進めることとした。

深夜・早朝時間帯

30分以上の 長時間駐車

30分未満の 短時間駐車

昼間時間帯

広義の待機駐車

荷さばき駐車 食事・休憩・仮眠

の駐車

時間調整の駐車

帰り荷 待ちの 駐車

狭義の待機駐車

図-2 待機駐車の範囲

(2)待機駐車が発生するパターン

実態を捉えるにあたり、貨物車の運行は大きく、目的 地が1箇所であるピストン運行と、目的地が複数箇所で ある巡回運行の2種類があると想定した。

ピストン運行には、荷物を積んだ地点から荷物をおろ す地点へ向かう途中で生じる待機駐車がある。これは、

到着地点で時刻指定されている場合の時間調整で生じる ものである。また、長距離輸送の場合には、帰り荷を確 保するために貨物をおろした後で生じる待機駐車や、休 憩や食事のために生じる待機駐車もあるとした。

巡回運行では、各配送・集荷先それぞれに到着する直 前に到着地点で決められている時刻にあわせるために生 じる待機駐車がある。ほかに、巡回輸送時の途中で生じ

る休憩や食事の待機駐車や、巡回途中において配送荷物 等の補充を行う場合の待機駐車等もあると考えた。

4.待機駐車を捉えるための実態調査の概要

これまで、待機駐車が存在することはわかっていたが、

待機駐車車両の実態を正確に捉えたデータはほとんどな い状況である。そこで、本研究では大手運輸事業者のド ライバーに対し、待機駐車の発生状況に関するアンケー ト調査を実施した。トラックドライバーアンケートは、

大手運輸業者等の関東近郊の事業所を対象に実施し、平 成20年9月前半の任意の平日1日における東京23区への 運行について記入してもらい、待機駐車の発生状況を確 認した。8事業所から84票(運行)の有効回収を得た。

また、配送先件数では185箇所となる。

次に、事業者ヒアリングによって待機駐車が発生しや すいと指摘された都心部の首都高ランプ出口周辺地区を 対象とした路上駐車実態調査を実施した。特に、都心へ の配送の場合、「首都高速道路を利用して都心部まで進 入し、目的地に直近のランプを降りた周辺で時間調整や 休憩を取ることが多い」という環状七号線内側にある首 都高の 24 ランプの周辺(半径 500 m)の道路およびコ ンビニエンスストア等の無料の駐車場における貨物車の 駐車台数調査を行った。本調査では、車種のほか、ハザ ードランプの有無、運転手の有無、確認出来る場合は、

荷物の有無をあわせて確認し、待機駐車を捉えることと した。なお、調査は平成 20 年9月の平日に1箇所1回 の断面により実施した。

5.ドライバーアンケートからみた待機駐車

捉えた運行のうち、61%は集配送箇所が1日1ヶ所 のピストン運行であり、残りは集配箇所が1日2ヶ所以 上の巡回運行であった。また、巡回運行の7割がコンビ ニエンスストアへの配送運行であった。そのため、ここ ではピストン運行、巡回運行、コンビニ配送運行の3つ に分けて分析を行った。図-3は、今回のアンケート調 査での待機駐車の発生割合を示したものである。ピスト ン運行の場合は待機駐車がほとんど発生していないが、

巡回運行の場合は、半数以上のドライバーが待機駐車を 行っていると回答している。また、全運行の

37%で待

機駐車が生じており、コンビニエンスストアへの巡回運 行では全ての運行で待機駐車が生じていた。

図-4は、待機駐車車両の駐車時間を示したものであ る。コンビニ配送の場合は

30

分未満の短時間駐車であ るが、それ以外の車両は、

30

分あるいは

60

分以上の長 時間駐車であることがわかる。

図-5は、待機駐車の駐車理由を聞いた結果である。

ほとんどの場合が時間設定にあわせるための待機駐車で あるが、巡回運行の場合は休憩のための駐車が若干多く

(3)

なっている。

図-3 待機駐車の発生割合

図-4 待機駐車の駐車時間

図-5 待機駐車の駐車理由

〈所要時間〉 〈 距離 〉 図-6 待機駐車の目的地からの遠さ

図-6は、待機駐車を行う場所について、目的地から どの程度離れた場所で行うかについてたずねたものであ る。これをみると、待機駐車の場所は荷主から

10

分3 km圏内が多いことがわかる。

以上、アンケート調査の結果から、待機駐車のタイプ は、つぎのように分類することができる。

タイプ1は、集配送先が1日1箇所のピストン運行に よる輸送で主に早朝に発生するタイプ。

タイプ2は、1日の集配送が複数の巡回運行による輸 送で、集配送先の直前に発生するタイプ。

タイプ3は、1日の集配送が複数の巡回運行による輸 送で、運行の過程で、昼休みや休憩を兼ねて発生するタ イプ。

以上の3つのパターンで待機駐車が発生していると考 える。

6.路上駐車実態からみた待機駐車

次に、実際に待機駐車を行っている貨物車の実態を 把握するために首都高ランプ出口周辺地区を対象に駐車 調査を実施した。調査では、駐車をしている状況のみで は、その駐車が荷さばき駐車か待機駐車かの判断は難し い。そこで、ここでは仮に、運転手が在車しており、ハ ザードランプを付けていない車両を待機駐車と仮定し、

待機駐車の発生状況を捉えた。図-7は、その結果を示 したものであるが、待機駐車は全ランプ平均で駐車車両 の約40%を占めていることが分かった。

図-8は、各地区における駐車密度を貨物車の積載 ランク別に示したものである。1

km

あたりの貨物車 の路上駐車が多かったランプの上位5地区は、順に新宿 ランプ、渋谷ランプ、神田橋ランプ、外苑ランプ、東池 袋ランプであった。さらに、このような地区では、4t 車クラスの貨物車が多いが、新宿では

10

t以上の貨物 車も少なからず存在していた。

図-7 積載ランク別駐車密度

図-8 積載ランク別駐車密度

また、図-9は駐車している車両の積載貨物有無別 の比率を示したものである。貨物車が有蓋車であり、中 の貨物の有無を確認することができない車両もあったが、

貨物を積載していない状態で駐車している車両は少なく、

6

62 100 17

37

94

38 0 83

63

0% 20% 40% 60% 80% 100%

ピストン運行 巡回運行 コンビニ配送運行 コンビニ配送以外の計 合    計

待機駐車あり 待機駐車なし

n=51 n=13 n=20 n=64 n=84

30

90 27

69 33

56

10 53

24 67

15

20 7 0% 20% 40% 60% 80% 100%

ピストン運行 巡回運行 コンビニ配送運行 コンビニ配送以外の計 合    計

30分未満 30~60分 60分以上 n= 3 n=27 n=60 n=30 n=90

85 100 79

93 67

4

10 3 12

10 3 33

0% 20% 40% 60% 80% 100%

ピストン運行 巡回運行 コンビニ配送運行 コンビニ配送以外の計 合    計

時間指定に合わせるため 順番待ち

荷の積みおろしのため 休憩や空き時間調整

帰り荷待ち その他

n= 3 n=26 n=58 n=29 n=87

30~60分 1%

10~30分 36%

5~10分 24%

5分未満 目的地まで 39%

の所要時間 n=72

10km以上 5%

1km以内 44%

1~3km 以内

25%

3~5km 以内

15%

5~10km 以内

11%

目的地 までの距離

n=65

0%

20%

40%

60%

80%

100%

神田 汐留 芝公 芝浦 上野 入谷

天現 目黒 高樹

渋谷 外苑

代々 新宿 東池 北池 西神 飯田 早稲 駒形 向島 錦糸 箱崎・ 枝川 木場

全地

(%)

在車・消灯 在車・点灯 不在・消灯 不在・点灯

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0

神田橋 汐留 芝公園 芝浦 上野 入谷 天現寺 目黒 高樹町 渋谷 外苑 代々木 新宿 東池袋 北池袋 西神田 飯田橋 早稲田 駒形 向島 錦糸町 箱崎 枝川 木場

(台/km)

~2t 2~4t 4~10t 10t以上 不明

(4)

多くが貨物を配送する過程において駐車を行っているこ とが考えられる。

図-9 駐車車両の積載貨物有無別比率(全車)

7.待機駐車の改善方策の検討

本研究では、待機駐車に着目して分析を行った結果、

次のようなことが明らかとなった。

・ 一定の仮定を用いたものの、東京23区内では貨物 車の路上駐車の約4割が待機駐車であると考えられ る。

・ 目的地までの時間調整や昼食休憩、帰り荷待ちな どを目的とした駐車(待機駐車)は、これまでの対 策ではカバーできない、駐車対策の空白域となって いる。

・ 特に2t車以上の中大型車による待機駐車は、現状 では受け皿となる駐車場がなく、ほぼ路上での駐車 となっている。

また、待機駐車の発生要因については十分に捉える ことが出来なかったが、各種の調査の結果、待機駐車の 特徴として以下の5点が挙げられる。

① 待機駐車は巡回運行している車両に多い

② 待機駐車をしている車両は4t車クラスが多い ③ 待機駐車の場所は荷主から

10

分3km圏内が多

④ 駐車車両の約4割が待機駐車である

⑤ 待機駐車は、主に3つのパターンで発生している

今後、最も容易に対応できる方法としては、貨物の 積みおろしが伴う駐車等と同様に待機駐車スペースを確 保することが考えられる。しかし、これらの駐車車両は、

横持ち搬送が生じないことから、特定の場所にまとまっ た駐車場所が確保できるだけでも効果が大きいと考えら れる。なお、待機駐車スペースの確保には次のような条 件が必要であると考える。

条件1:中大型貨物車が10台程度駐車可能な広さ

(普通車用駐車場で30台程度、500㎡以上の広 さ)が必要

条件2:昼間時間(AM8:00~PM8:00程度)に利用可能 なこと

条件3:駐車場所の舗装路面が貨物車等の重量の重 い車両が駐車可能であること

条件4:幹線道路まで、大型貨物車が走行可能なルー トがあること

条件5:公衆トイレが確保できること

条件6:昼食を近くで取れることが可能なこと

(食堂やコンビニエンスストアの存在)

8.おわりに

本研究では、待機駐車を定義し、その発生量および 対策の方向性の検討を行った。しかし、都心部で生じて いる待機駐車問題の研究は、まだ緒に着いたばかりであ り、具体的な対策を実施する土壌は形成されているとは 言い難い状況である。待機駐車の原因となる、着時刻指 定への調整や安全な貨物車の運行は、現代社会の円滑な 維持には必要不可欠なニーズといえる。一方、駐車監視 員制度の導入により路上駐車台数は減少傾向にあるが、

待機駐車には受け皿が十分に確保できていない状況にあ る。現在、駐車監視員制度は東京都全域に拡大されつつ あり、どのような場所にどのような受け皿を確保してい くかを検討することが急務となっている。そのため、今 後は待正確な待機駐車の発生状況や発生の仕組み、原因 を解明し、待機駐車を適切な場所に誘導できる対策の検 討等を進める必要がある。

謝辞

本研究は、(財)駐車場整備推進機構の自主研究と して行ってきた内容を取りまとめたものであり、研究会 に参加して頂いた、㈱日通総研大島氏をはじめ、国土交 通省、東京都、警視庁、事務局で集計等を担当して頂い た㈱やまだ交通計画の山田氏、(財)駐車場整備推進機 構の関係諸氏に対し、ここに記して謝意を表するもので ある。

参考文献

1)高田邦道:道路交通法改正による駐車実態の変化、

JAMAGAZIN、2008.1

2)小早川悟・長谷川大悟・高田邦道:違法駐車取り締 まり民間委託制度導入後の路上駐車実態分析-東京 都内の幹線道路を対象として-、交通科学、Vol.38、

No.2、pp.26-33、2008.4

3)長谷川大悟・宇多俊雄・小早川悟・高田邦道:道路 交通法の改正に伴う路上駐車実態の変化について-

特に、貨物車に注目して-、第36回土木計画学研 究・講演集、2007.11

4)長谷川大悟・小早川悟・高田邦道:違法駐車取り締 まり民間委託制度導入後の路上駐車車両の特性、第3 8回土木計画学研究・講演集、2008.11

0%

20%

40%

60%

80%

100%

神田 汐留 芝公 芝浦 上野 入谷 天現 目黒 高樹 渋谷 外苑 代々 新宿 東池 北池 西神 飯田 早稲 駒形 向島 錦糸 箱崎 枝川 木場 全地

(%)

積載有り 積載無し 有蓋車

参照

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