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日食が無線通信に及ぼす影響について

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Academic year: 2022

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(1)

日食が無線通信に及ぼす影響について

著者 高橋 健蔵

雑誌名 鹿児島大学水産学部紀要=Memoirs of Faculty of Fisheries Kagoshima University

巻 7

ページ 124‑127

別言語のタイトル The Effect of the Solar Eclipse on Radio Communication

URL http://hdl.handle.net/10232/13482

(2)

32.

日食が無線通信に及ぼす影響について

高 橋 健 蔵

TheEffectoftheSolarEclipseonRadioCommunication

KenzoTAKAHAsHI

Radiowavestransmittedfromthespeeialstationswerereceivedandtape‑recorded onthetrainingship keiten‑maru,and Kagoshima‑maru,,inthepathoftotalphaseof theeclipseofthesun,june20,1955andagainon Keiten‑maru inthepathofannular phaseoftheeclipseoftheSun,aprill9,1958.

Bymeansofplayingthetape‑recorderandworkingspeakerandoscillograph,

intensityofthereceivedwaveswasmeasuredpreciselybytheeyeandearmethod・

Fromthesemeasurements,theefTectofthesolareclipseonradioCommunication wasfoundtobeanighteffect,indicatingatemporarychangeinthedensityofthe ionizedlayersastheimmediateresultofthescreenmgofsolarradiationoftheearthby interpositionofthemoonandthisfactwasalreadydiscoveredbyG.W・Pickardinl925・

Therefore,theefTectisnotbigandmaydeservelittleconsiderationforpractical communication,exceptingscientiiicstudy.

1 . 緒 言

昭和30年6月20日フィリッピン群島の東方遥か洋上の皆既日食帯に,はいった練習船 敬天丸において,好天に恵まれ約6分間も続く皆既日食を完全に観測し,貴重な研究資料

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Fig.2.Bearing&Distancefromstandardwave transmittingstation(S,W,T、)toKeiten‑maru duringtheannulareclipse,Aprill9,1958.

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BroadcastingstationtoKeiten‑maruand fromNagasakiMusentoKagoshima‑maru duringthetotaleclipse,June20,1955.

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(3)

高橋:日食が無線通信に叉ぽす影響について 1

を得た.しかし,同じ皆既日食帯にいた僚船かごしま丸においては行雲に邪魔されて観測 の機会を逸した.叉昭和33年4月19日宝島に碇泊中の敬天丸において,これ叉7分間に も及ぶ金環日食を完全に観測した.

以上2回の日食時中,内地の特定送信所より発射せられた電波を上述のように皆既日食 帯中にあった敬天丸及びがごしま丸の船上で受信録音し,日食が無線通信の電波伝播にど んな影響を及ぼすかについれ実験調査した.

2 . 実 験 の 方 法

Fig.1.及びFig.2.に示すように特定の送信所より発射せられた電波を船上の受信機で 受信するとともにテープレコーダーに収録し,これを再生してスピーカーとオシログラフ にかけて耳目により受信電波の強度を測定した.

これら送受信,収録,測定に関する要目は次の通りである.

船 位 受 信 機 収録及び再生機 発 信 局

位 置

電 波 周 波 数 電 波 の 種 類 受 信 収 録 時 間 電波強度測定機

皆 既 日 食 敬 天 丸

Lat、9.‑16'N,Long、

134.‑30'E

』、林無線SH−8x 東通工301型

テ ー プ レ コ 戸 グ ー N、H、K、八俣送信所 Lat、36L10'N,Long、

139.‑50'E 9655K.C,

放送電波出力5K.W, 6月20・日1230〜l500 東芝130mm

ブラウン管オシログラフ

か ご し ま 丸 Lat,12.‑42'N,Long.

126。‑48'E 安立電気ARR‑5305A型 東通工301型

テ ー プ レ コ ー ダ ー 長 崎 無 線 電 報 局 Lat、32.‑48'N,Long、

130。‑9.5/E 17271.2K.C,

特定信号出力2.8K.W、

6月20日1330〜l430 東芝130mm

ブラウン管オシログラフ

金 環 日 食 敬 天 丸 Lat、29.‑9.5'N,Long、

129.‑12.5′E

Modd9R−4通信型 東通工301型

テ ー プ レ コ ー ダ ー 電波研究所

標準電波送信所 Lat、35.‑42'N,Long、

139.‑31ノE lOOOOK.C・

報1群信号出力2K.W、

4月19日1040〜1500 束芝130mm

ブラウン管オシログラフ

3 . 測 定 結 果

( A ) 皆 既 日 食 (1)敬天丸の分

当初の計画ではN・H・K、で生の電波を収録したものと船上で受信収録したものとを比

較して電波伝播の変化を測定する積りであったが,収録の都合により船上の受信録音だけ

で測定した.この放送電波の受信録音には,ひどい雑音がはいっているので測定は極めて 困難であったが結局2の方法を用い,1は音声だけの強度を耳目で測定し,他は雑音もろ ともインキ書きオシロに画かしたものを簡易に模写した.(Fig.3.)

これによれば,食甚時を中にしてその前後約30分間は感度が特に上昇しているが,更 にそれより前後約1時間は低下している.

但し,この結果は雑音の非常に大きな受信録音について測定したものであるから,電波 伝播の大体の変化を示すに過ぎないものである.

(4)

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鹿 児 島 大 学 水 産 学 部 紀 要 第 7 巻

1230405013.00102030405014.00102030405015.00

→Timc(J,S、T、)−Intensityofreceivedwavewithoutnoises.

……Intensityofreceivedwavewithnoises・

Fig.3.Intensityofreceivedradiowave(N、H,K、9655K.C、)

onboardship Keiten‑maru',.

(2)かごしま丸の分

これは長崎無線電報局より,連続発射する特定の信号電波を同局でモニター録音したも のと,本船で受信録音したものとを比較することができた.本船では行雲が邪魔して皆既 食を観測することはできなかったが,本船の受信収録は完全に行われた。只惜しかったこ とは,発信局の業務上の御都合で1時間だけに発信を限られたことである.せめて日食時 中のものが欲しかった.Fig.4.に示したのが,この測定の結果であるが,これも敬天丸 の分と同じように食甚時附近に最高感度があり,その前後に最低があり,特に後の方が低

くてその時間も長い.

098765432102

︵の﹇8$の︶の鳥夢ぢ易曽ロの旨胃→

(B)金環日食

本観測は電波研究所の標準電波を10時40分より15時0分まで,4時間20分に亘り受 信収録したものである.Fig.5.において10時54分の第1接触時より12時10分頃まで は多少感度の低下が見られるが,Fading現象はあまり見られない.その後感度は精喧高 まり旧に復しているが,Fading現象が急に大きくなり,12時43分〜12時50分の金環食 を過ぎる頃より,この現象は更に増大し,13時55分頃まで続くが,その後は叉急に消滅

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N・H・K

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→Time(』.S、T,)

Fig.4.Intensityofradiowave(NagasakiMusen17271.2K.C、)

receivedonboardship Kagoshima‑maru,,.

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12−50−12.0o 14−38−29.0c

127

10.4011.00

→Time(』.S、T,)

している.即ち金環食を中にして,その前の約30分間と後の約1時間Fading現象が大 きく現われているが,特に後の方が時間的に約2倍続き,その強さも更に増大している.

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高橋:日食が無線通信に叉ぼす影響について

本研究に御協力下さった長崎無線電報局,N、H、K、鹿児島放送局,山川電波観測所,電 波研究所及び敬天丸,かごしま丸の乗組員,実習学生の皆さんに深甚の謝意を表します.

Fig.5.Intensityofradiowave(S、W、T、10M.C)

receivedonboardship Keiten‑maru',.

4 . 所 見

上述の結果を綜合してみると,皆既日食の場合には食甚時附近において感度が異常に上

昇するが,その前後時においては激減し,特に後の方の減衰度が甚しい、

叉金環食の場合には食甚時附近においての感度の上昇は認められないが,その前後時に

おいてのFading現象が大きく,特に後の方が甚しい、

これらは,いずれも夜間叉は夜間近くにおける電波(短波)の伝播状況を示している.

電波伝播に関し,1925年G,WPickard氏は,日食の影響は夜の影響であることを発

見発表しているが,本実験も,これを裏書きしている.

更にこの事実を裏書きするものをあげて見ると,皆既食の時には得られなかったが,金 環食の時,宝島に程近い山川電波観測所で観測された電離層の状況を見ると,F2層の変化 は殆んど認められないが,E層の密度は食甚時頃(13時頃)に午前7時か午後5時頃の状 態にまで下って夜間近くの状態になったことを示し,敬天丸における受信感度も大体これ

に応じて変化している.

以上のように皆既日食と金環日食が無線通信に及ぼす影響について,幸運にも絶好の機

会に恵まれて研究を進めることができたが,結局これらの影響は磁気嵐やデリンジャー現

象等による影響と異り,その程度は極めて小さなもので,現に当時受信音を直接聴取して いた数人の者も感度の変化を殆んど認め得なかった位であるから,学問上の価値は別とし

て,通信の実用上の点から見れば,さまで問題にする必要はないのではないかと思う.

SirEdwardv・Appleton著 山 本 一 清 著 萩 原 雄 祐 編 武 田 行 松 著

l) SunspotsjnAction' 2 ) 太 1 場 3 ) 日 食 4 ) 無 線 工 学

参照

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