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(1)

立体配座束縛に基づくβ‑グルコシル化反応の開発 と立体選択性の発現機構解明

著者 坂東 真郁

URL http://hdl.handle.net/10236/3401

(2)

2008 年度  修士論文要旨 

立体配座束縛に基づく β-グルコシル化反応の  開発と立体選択性の発現機構解明 

 

関西学院大学大学院理工学研究科  化学専攻  山田研究室  坂東  真郁 

 

β-O-グルコシドの立体選択的構築は,D-グルコースの2位アシル基による隣接基関与法

の利用が一般的である。これに対し,当研究室ではグルコースの立体配座を束縛した糖供 与体を用いることで,β選択性を発現させる2つの方法を開発した。それは,①グルコー スの水酸基に嵩高いシリル基を導入し,配座制御したチオグルコシドによるグリコシル化

1ならびに,②グルコースの3,6位水酸基を o-キシリレン架橋により束縛することで配 座制御したフッ化グルコシルを用いるグリコシル化である 2。①の方法は,グルコース単 糖だけでなく,グルコースの2位に別の糖が結合した二糖(以下,2位配糖型二糖)の場 合にも適用できたが,2位配糖型二糖の導入における選択性発現機構が未解明であった。

また,②の方法は,その反応機構が謎であった。そこで私は,この2つの立体配座束縛を 利用したグリコシル化反応について,立体選択性の発現機構の解明に取り組んだ。 

 

1)位置選択的にシリル保護した2位配糖型二糖の立体選択的 O-グルコシル化反 応の発現機構の解明 

天然には,2位配糖型二糖が数多く存在し,様々な生物活性を有している。化学合成で 2位配糖型二糖を得る場合,糖を段階的に導入する経路が多い。一方,当研究室では二糖 全ての水酸基をt-butyldimethylsilyl(TBS)基で保護し,立体配座を束縛した二糖体1を用 いると,二糖部分を一挙にかつ高β選択的にグリコシル化反応が進行することを報告した。

しかし,ラムノース上の水酸基を全てベンジル基にした2の場合には,β選択性が低下し た。この結果は,β選択性発現に第二の糖上のTBS基が関与していることを示している。

どのTBS基が選択性に関与しているのかを特定できれば,それ以外の水酸基に別の糖を導 入した展開も可能となる。今回,TBS基の保護パターンを異にする5種類の二糖体3-7を 合成し,その反応を調査した。その結果,7が高いβ選択性を示し,第二の糖ラムノース 上の3位4位水酸基上のTBS基がβ選択性の発現に関与していることを明らかにした。 

           

ROH OR MeOTf 2, 6- lutidine 4A MS CH2Cl2, rt O

TBSO OTBS

O TBSO

SEt

O OR1 R2O R3O

O TBSO

OTBS

O TBSO

O OR1 R2O R3O

R3 TBS

Bn Bn TBS

Bn TBS TBS

R2 TBS

Bn TBS

Bn TBS

Bn TBS

R1 TBS

Bn Bn Bn TBS TBS Bn

!/" ratio 4/96 33/67 21/79 28/72 23/77 18/82 1/99 Glycosyl donor

1 2 3 4 5 6 1-7 7

(3)

2)3, 6-O-架橋フッ化グルコシルの完全β選択的グリコシル化反応の開発と反応機        構調査 

当研究室の岡田は,グルコースの3,6位をo-キシリレン架橋により束縛した8に,BTF 中,触媒量のSnCl2-AgB(C6F5)43を活性化剤として作用させると,様々な糖受容体とのグリ コシル化反応において,高収率かつ,ほぼ単一のβ-O-グルコシドを与えることを見い出し た。本反応条件でのグリコシル化反応は,8の消失とともに,α, βの両異性体が一旦生成 し,その後からへ異性化が進行していく様子が観測された。すなわち,両アノマー 異性体間に平衡が生じ,熱力学安定性の違いによって,β 異性体へと偏ったものと考えら れる。しかし,この熱力学的支配の反応を進行させた化学種が不明であった。私は,反応 中に発生するSnB(C6F5)4Clが8の活性化段階で,HB(C6F5)4O-グルコシドの異性化段階 に大きく関与していることを明らかにした。 

O O O

BnO OB n

F

8

O O O

BnO O

9!

O O O

BnO OBn

9"

O

OR

R

Isomerization 1.2 equiv ROH

0.2 equiv S nCl2 0.2 equiv A gB (C6F5)4 5A M S (3.0 g/m mol) B TF, rt

!/" = 1/>99

82- 97% (6 exam ples)

  反応機構の調査からは外れるが,上記の内容に加えて,架橋基をo-キシリレン基よりも 大きい2,3-ナフタレンビス(メチレン)基に変えることで,反応性および選択性にどのよ うな影響を及ぼすのかを調査するため,新たな架橋フッ化グルコシル10 を合成し,グリ コシル化反応を試みた。その結果,o-キシリレン基のときに比べて,熱を加えることが必 要であったものの,高い選択性でβ-O-グルコシドを与えることを明らかにした。 

O O O

BnO OBn F

HO

1.2 equiv 0.2 equiv SnCl2 0.2 equiv AgB(C6F5)4 5A MS, BTF, 40 °C 25 min, 68%

!/" = 1/>99

O O O

BnO OBn O

10 11

1. a) Okada, Y.; Mukae, T.; Okajima, K.; Taira, M.; Fujita, M.; Yamada, H. Org. Lett. 2007, 9, 1573-1576. b) Okada, Y.; Nagata, O.; Taira, M.; Yamada, H. Org. Lett. 2007, 9, 2755-2758.

2. 岡田康則  関西学院大学博士論文  2008年

3. Mukaiyama, T.; Maeshima, H.; Jona, H. Chem. Lett. 2001, 388-389. 

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