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車いすの動力を利用した段差解消機の開発(第4報)

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Academic year: 2022

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車いすの動力を利用した段差解消機の開発(第4報)

−安全機構と動作評価−

金沢大学 ○小林裕介,関啓明,神谷好承,疋津正利,野村久直 石川県工業試験場 前川満良

1.はじめに

車いす使用者が玄関等の段差を乗り越えるためにいくつかリフト 型の段差解消機が開発されているが,油圧機器や電動モータを使用 した大型で高額な物が多い.そこで本研究では電源を使用せずに軽 量・コンパクトで,移設も可能な無動力段差解消機を開発している [ ].本報告では昇降中の落下を防止する機構と試作機の動作評価

1

について報告する.

2.無動力段差解消機のメカニズム

図1のようにタイヤの回転を動力として昇降する段差解消機を提 案している.車いすでタイヤがローラー上に来るように乗り入れ,

タイヤを回転させてローラーを摩擦駆動する.ローラー部分には前 輪が脱輪せずに通過できる機構もついている.ローラーの回転はウ ォーム歯車を介してボールネジに伝えられ,ボールナットで

4

節リ ンク機構を動かして台を昇降させる.上昇に要する駆動力を軽減す るためにボールネジ部および上下の台の間にバネを入れた.この機 構により,ローラー上に乗り入れるとそのまま昇降できる.また,

最上昇/最下降時にはボールナットの動きが止まるため自動的にロ ーラーがロックされ,台から出ることができる.つまり,一連の動 作に介助者等による特別なスイッチ操作はいらない.なお,後進で 乗り入れて上昇,前進で下降することになり,方向が固定されてし まう欠点となる.

3.車いすの落下を防止する機構

昇降中は後輪がローラー間に収まっており,通常は飛び出すこと はない.しかし飛び出すのでは,という使用者の不安やアクシデン トにより車いすがローラー部から飛び出すと装置外へ落下するおそ れがある.これらを防ぐために落下防止機構を考案した.この仕組 みを図

2

に示す.最下降時には機構は倒れており,台へ乗り入れる ための板の役割をする.上昇し始めるとねじりばねにより板は起き

上昇中はロックが当たって 板は回転しない

最下降付近でロックがはずれて ブロックの回転範囲からずれる

最下降状態まで突起で押し倒されて 乗り入れる板となる

乗り入れ板 ねじりばね ブロック

ロック

突起

1

タイヤの回転を駆動力にする段差解消機

2

落下を防止する機構の仕組み

3

試作した落下を防止する機構

車いすのタイヤ

ウォーム歯車 ボールネジ

ボールナット

アーム リニアガイド

リニアガイド

4節リンク機構 ツバ付きローラー

つり下げ型 ばね

ばね ばね

高さ調整用ナット

チェーン

あがって垂直になる.昇降中に車いすが板にぶつかったとしても,

板側のブロックとロックが接触して板が回転しないようになってい る.最下降付近ではロックが地面に押されて回転して板のブロック の回転範囲からずれる.さらに板のブロックが下の台の突起で押さ れることにより板が押し倒される.図

3

のように試作を行い昇降に より板のロック・解除は行えることを確認した.

4.動作性能の測定

試作した段差解消機において,車いすで乗り入れから昇降,乗り 出しの連続動作を行い,図

4

のように手こぎ車いすによる一連の動 作時のタイヤ駆動トルク(ヤマハ製

JW

Ⅱのトルクセンサ出力を利 用,レンジ±

20

[ ・

N m

],分解能

1.6

[ ・

N m

])や車いすの振動(ク

, [ ], )

ロスボー製加速度センサ

CXL01LF3

レンジ±

1 G

分解能

1

. , ( ,

を測定した なお タイヤにロータリエンコーダ

500

パルス 回転

/

プーリー径

112.5

mm]

)を押しつけて回転角を測定している.段 差解消機に乗り入れる際の振動の最大値は

6

m/s

2]であった.こ れは

0.8 m/s

[ ]で走行する車いすが

10

×

10 mm

[ ]の段差を乗り越え る際の鉛直方向の加速度

11 m/s

[ 2](実測値)より小さい.上昇に要 するタイヤトルク(タイヤをこぐ力)は理論的には

3.3

[ ・ ]で

N m

あるが,実測では

18.5

[ ・m]となった.この差はタイヤに動的

N

な力を加えていることや車いすの重心バランス,タイヤの変形によ る

2

つのローラーの回転のこじれ等が原因と考えられる.さらに図 に示すようにタイヤをこぐ姿勢や回転速度を変化させた場合のタ

5

. .

イヤトルクも測定した ある台の高さで小刻みに上昇下降を行った 理論的には車いすの重心バランスを変えても昇降に要するトルクは 変わらないが,実測では重心を前輪側に傾けるとトルクが減少して いる.後輪の荷重が減ることによりタイヤの変形が小さくなりロー ラーとの接触によるこじれが少なくなるためと思われる.また,ゆ っくりタイヤをこぐとトルクが小さくなっている.約

1.5 rad/s

[ ]で タイヤを回した場合,

12 N m

[ ・ ]程度でも上昇を行える.

5.まとめ

段差解消機において,昇降中の落下を防止する機構を加え安全性 を高めた.また,一連の動作におけるトルクや振動などを測定し設 計仕様がどの程度実現できているか調べた.今後は昇降時とも前進 で乗り入れる機構やタイヤの洗浄機構等を開発する予定である.

参考文献

[ ]小林他,車いすの動力を利用した段差解消機の開発(第

1 3

報),

精密工学会春季大会講演論文集,

pp.651

,(

2002

‑20

‑10 0 10 20 30

0 20 40 経過時間 [s] 60

背もたれによりかかって速: 5.5 rad/s やや前傾 かなり前屈み

遅:1.1 rad/s 速: 5.5 rad/s

遅:1.5 rad/s 速: 6 rad/s

遅:1.5 rad/s 下降 上昇

‑20

‑10 0 10 20

0 5 10 15

0 30 60 経過時間 [ s] 90

‑80

‑60

‑40

‑20 0

5

タイヤをこぐ姿勢や速度による駆動トルクの変化 図

4

上昇時のタイヤのトルクや車いすの振動

上昇開始 上昇中

前輪がローラー部を 通過

台へ 乗 り入れ

ローラー上から乗り出し

︶︵

︶︵

(サンプリング時間 0.1 [m s] ) ]m

N [

] s/ m[

2

︶︵

]d ar [

]m

N [

2003 年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集

−451−

J77

参照

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