紹 介
箕面市教育センターの教育相談室について
山 口 直 子 (YAMAGUCHI, Naoko)
箕面市教育センター
はじめに
教育相談とは、一般には幼児・児童・生徒・学生の教育上の問題に関し、本人、保護者ま たは教師などと面接し、相談・指導・助言を行うこととされる。
教育相談を行う主な機関として、各都道府県、区市町村に設置される教育センター並びに 教育研究所の教育相談部門が挙げられる。1950 年代に多くの都道府県及び区市町村レベル の地方自治体で教育相談の取り組みが始まり、1960 年代に広く普及した。
箕面市教育センターは、1966 年開設した教育研究所のあとを受け継ぎ、1993 年に開設さ れた。その事務内容として、教育に関する調査及び研究の実施に関すること、教育に関する 資料提供及び評価に関すること、教育関係職員の研修に関することなどの他に、生徒・児童 及び幼児の教育相談に関することが挙げられている。これらのうち「生徒、児童及び幼児の 教育相談に関すること」を教育相談室が担当。市内小中学校やスクールカウンセラー(以下 SC とする)、スクールソーシャルワーカーとの連携を重視しながら、教育相談業務に取り組 んできた。
平成 24 年度より、市内教育相談体制を教育センターに一元化することにより連携強化と 効率化を図り、多様なケースに迅速かつ有機的に対応できる児童生徒支援体制づくりをすす める取り組みが開始された。その中で、市内小学校 SC 業務が教育センター教育相談室に吸 収されたことに伴い、教育相談担当者の増員が行われた。
1 .概要 1 )施設
相談事務室、待合スペース、教育相談室 6 室(うちプレイルーム 2 室)
相談室 プレイルーム
2 )対象
市内在住の小中学生とその保護者、市内公立小中学校所属の教職員
3 )教育相談担当者
臨床心理士または臨床発達心理士の資格を有する教育相談員 7 名
うちスクールカウンセリング担当 2 名、支援教育相談担当 2 名、教育相談担当 3 名
4 )業務内容
・保護者への個別相談 ・子どもへの個別相談
・教師へのコンサルテーション ・子どもの心理検査及び結果報告 ・ケース会議参加
・スクールカウンセラー業務 ・支援教育巡回相談
・適応指導教室に係る業務
・特別支援教育リーディングスタッフ活動 ・研修
5 )相談内容
不登校、性格・行動、心身症、進路・学習、発達、養護相談、その他
6 )主な連携先
公立小中学校、子ども家庭相談課、就学前発達相談、市民病院(言語聴覚士、作業療法士)、
子ども家庭センター、支援学校、病院(公立、民間)
2 .相談体制について
上図のように、相談者から直接の申し込みや学校紹介を経ての申し込み、巡回指導の申し 込み、ケース会議への参加など、教育相談や各要請は教育センターに一元化される体制と なっている。
相談申込みや要請を受けて、それぞれの相談内容に応じた相談員が対応。
必要に応じて適宜連携を行う。
3 .業務内容について
教育に関する相談全般。支援学級に在籍する子どもの場合は支援教育相談担当相談員が対 応。必要に応じて所属校や関係機関との連携を行う。
1 )保護者への個別相談:カウンセリング、心理教育など
子どもの問題を成長の一過程という視点で捉え、できていることや資源(リソース)を確 認する作業を大切にしながら話を進める。子ども理解や子どもの成長の可能性を共有するこ とを目指す。
2 )子どもへの個別相談:カウンセリング、プレイセラピーなど
子どもの思いやペース、興味関心を尊重し、遊びや言葉、非言語的コミュニケーションを 媒介に信頼関係を築くことを大切にする。
行動観察(関与しながらの観察)を意識して行う。
3 )子どもへの心理検査及び検査結果報告
子どもの学校生活、家庭生活における具体的な支援の手立てを考えるために、相談の一環 として行う。原則として検査のみの対応は行わない。
事前に保護者に対して了解確認事項の説明を行い、同意を書面で得ることになっている。
検査の結果は、口頭に加えて希望があれば文書での報告も行っている。
学校への結果報告は保護者の同意を書面で得た上で行う。
4 )教師へのコンサルテーション
教育と心理それぞれの専門性を持ち寄り、子どものリソースを活かす視点を大切にする。
支援をより適切かつ円滑に行うことを目指す。
5 )ケース会議参加
要請に応じて学校や関係機関におけるケース会議に参加する。子どもに関わる関係者が集 まり支援に有用な情報を共有し、支援の方針や手だてを考える。
6 )スクールカウンセラー業務
市内の各小学校に定期的に巡回形式で行う学校における教育相談業務。保護者へのカウン セリング・心理教育、子どもへのカウンセリング・行動観察、教師へのコンサルテーション、
ケース会議参加、校内研修など。
7 )支援教育巡回相談
各学校の要請に応じて支援教育担当による市内小中学校への巡回相談。特別支援教育に関 する相談に応じる。子どもの行動観察から得られた情報をもとに、教師へのコンサルテー ションやスーパーバイズを行う。発達特性や発達の課題に応じた支援について助言を行う。
8 )適応指導教室に係る業務
市内適応指導教室のスタッフの一人として、日々の活動を円滑に進めるよう担当教諭と協 働する。それぞれの子どもの様子を共有し、見立てや支援の方針を確認するため、週や学期 ごとの定期的なコンサルテーション及びスーパーバイズを行う。その他、ボランティアス タッフ研修等。
4 .統計資料
相談件数・回数の内訳(平成 24 年度)
1 )総件数、回数
件数 回数
教育相談 302 3531 支援教育相談 133 1860
計 435 5391
2 )相談対象者別
①教育相談
学校園関係者
保護者 児童・生徒 関係機関 その他 校園長 担任 相談担当
件数 26 30 39 266 51 18 10
回数 94 175 218 2074 808 139 23
②支援教育相談
学校園関係者
保護者 児童・生徒 関係機関 その他 校園長 担任 相談担当
件数 5 12 10 107 25 3 5
回数 80 295 92 1008 324 48 13 3 )学校種別
①教育相談
幼稚園・保育所 小学校 中学校 高等学校 その他
件数 2 175 91 23 11
回数 7 1945 1410 155 14
②支援教育相談
幼稚園・保育所 小学校 中学校 高等学校 その他
件数 5 111 17 0 0
回数 49 1580 231 0 0
4 )内容別
①教育相談
非行 不登校 性格・行動 心身症・神経症 進路・適性 発達・学習 養護相談 その他
件数 1 69 115 1 6 87 1 22
回数 4 1367 1078 2 13 1022 3 42
②支援教育相談
非行 不登校 性格・行動 心身症・神経症 進路・適性 発達・学習 養護相談 その他
件数 0 0 1 0 0 128 1 3
回数 0 0 6 0 0 1848 2 4
5 .参考資料:教育センターのホームページに掲載されている「教育相談 Q & A」
いじめ・不登校
Q 1 .子どもが学校を休んでいます。何とかしなければと思いますが、無理にでも連れて行 くべきなのか、このまま様子を見守るべきか迷っています。
A.一口に不登校と言っても、その状況はそれぞれに異なります。お子さんの状況に合わせ てどのような支援が必要なのかを、きめ細く考えて行くことが大切です。また、時期によっ ても援助の仕方は異なります。見守ることが大切な時期もあれば、お子さんの気持ちに添い ながら時機を得た後押しをすることが必要な時期もあります。相談室では、具体的な手立て について一緒に考えさせて頂きます。ぜひ一度ご相談ください。
Q 2 .朝になると体の不調を訴え、学校を休むことが多くなりました。病院で診てもらった ところ、どこも悪いところはないと言われたのですが。
A.子どもの場合、強いストレスを感じると、それが頭痛や腹痛などの身体症状となって現 れることがあります。登校前に症状が目立つのであれば、学校生活に負担を感じているのか
もしれません。困っていることや、心配ごとなどがないか尋ねてみましょう。担任の先生に、
学校での様子を尋ねてみたり、それとなく声を掛けてもらうよう頼んでみるのもよいでしょ う。中には思いもよらぬささいなことで、行きにくさを感じている場合もあります。そのよ うな場合、ささいに見えることであっても、そのことを批判したり、気にしないよう説得し たりするのはかえって逆効果です。負担を感じながらも、何とか登校しようとしているとい うことを念頭に置きながら、ゆっくりと丁寧に解決を図っていく必要があります。
はっきりとした理由や原因が見当たらない場合や、対応をしてみても状態が改善しない場合 には、ぜひ相談室にご相談下さい。
Q 3 .子どもの様子が最近おかしく、何を聞いても答えてくれません。どうもいじめられて いるようなのですが。
A.まずは、お子さんの話を聞いてみましょう。お子さんが話をしてくれたなら、決してお 子さん自身を責めたりせずに(なぜ、言い返せなかったの?とかあなたも悪いところがある のでしょう・・・etc . . . )お子さんの訴えにしっかりと耳を傾け、一緒に対応を考えてあげ て下さい。
お子さんから話が聞けないのなら、様子を観察してみてください。いつもと比べて表情はど うか、眠れているか、食欲はあるかなどしっかりと日常の様子を見ていて下さい。気になる 様子があるのなら学校とも連絡をとって、学校での様子もみてもらい担任と連絡をとりなが ら一緒に対応を考えていきましょう。
Q 4 .担任の先生からクラスメイトをいじめていると聞き、とにかく早く止めさせなければ ときつく叱ったのですが。
A.驚きやショックのあまり、感情的になってしまうのは当然のことです。しかし、むやみ に責めたり叱ったりしても解決には結びつきません。まずは、なぜそのような行為に及んで しまったのかという背景を読み取ることが大切です。何か他の事に対して不満を感じていて、
イライラした気持ちをその行為によって発散している場合もあれば、悪いことだと気付かず 軽い気持ちでしている場合もあります。本人の気持ちを十分に汲み取った上で、どんな理由 があっても相手に苦痛を与えるような関わりは絶対に許されるものではないと伝え、どう対 処していくべきかを一緒に考えて行きましょう。
学校生活
Q 1 .落ち着きのない子だと言われます。
A.落ち着きがない原因は、環境の問題(学校、家庭 etc . . . )からくる情緒の不安定さか らくるものと、ADHDなどのように発達上の困難からくるものとに大きくわけられます。
学校のどの場面で落ち着きがないのでしょうか?学習場面(特にどの教科)?休み時間?友 達とのやりとり場面 etc . . . まずは、落ちつかない時と落ちついている時の様子を観察して みて下さい。
落ち着きのない場面が目立つ場合は、上記のように発達上の困難を抱えているために、落ち 着かない状態が続いているのかもしれません。
いずれにしても、お子さんは何か理由があってそうなっているので、一方的に責めたり、
叱ったりするのではなく、行動の背景を見極めた上で、関わりを工夫していくことが大切で す。
Q 2 .ウソをつくのですが・・・。
A.子どもがウソをつく時、その背景にはいろいろな意味がかくれている場合があり、ウソ をついたという行為に対して、ただやみくもに叱ることがいい場合でないことがあります。
例えば、
・空想と現実の区別がはっきりしないためのウソ。
・人の関心をひきたい、注目を集めたいためのウソ。
・いいわけのためのウソ。
お子さんの<ウソ>の意味はどれにあてはまりそうですか?冷静になれずに「怒らないから 言ってごらんなさい。」と言ったその声が怒っていたら、子どもはきっと本当のことを言え ないでしょう。子どもが正直に本当のことを言ったらそれを褒めてあげて、怒られると思っ てうそをついたり隠したりすることの方がもっといけないということを伝えてみてはいかが でしょうか。
Q 3 .忘れ物が多くて困っています。
A.忘れ物は誰にでもあります。しかし、何度言っても忘れ物が続くとお母さんは、毎日の ように怒ってばかり、子どもは怒られてばかり、という互いに精神衛生上よくない状態に発 展してしまいがちです。お子さんはお母さんを困らせるために忘れ物をしているわけではあ りません。一番困っているのは、お子さん自身の場合が多いのです。
忘れないようにとまわりから促されても忘れてしまうという状態は、言葉だけで促すだけで は解決しないということなのです。言葉だけでの促しに効果がないのなら、毎日の持ち物が 一覧表になったチェック表を作って視覚的な補助を使う方法もあります。チェック表の使用 は、まずは一緒に表をみながら点検する経験をへて、自分一人で点検するという小さいステッ プを積み重ねていくプロセスが大切です。(ここにあげたのは対応例の一つで、子どもによっ て対応はかわってきます)
大切なのは、「なぜ忘れ物をしつづけるのだろう」という疑問から子ども自身が何で困って
いるかを考えていき解決方法を導き出すことです。そして、忘れ物をしなかったときには、
親にとってはあたりまえのことでも、褒めてあげることは子どもの自信にもつながることな ので、しっかりと忘れないで褒めてあげましょう。
また、忘れ物が極端に多い子どもの中には、LDや ADHD 等の発達上に困難を抱えている 場合もありますので、当相談室に一度ご相談下さい。
Q 4 .友達がいないようですが・・・。
A.友達は焦ってもそう簡単にできるものではありません。まわりが、友達をつくれ、つく れと言い過ぎたり親が気にし過ぎるとかえって、友達のいない自分はいけないんだ・・・と 自分の自己評価を下げることにもなりかねません。まずは、無理をせず自分の得意なことや 趣味を楽しめるように自信をもたせてあげましょう。
Q 5 .友達の物をとっているようです。
A.まずは、きちんとお子さんと話をしてみましょう。人の物をとるという行為に対しては 叱る必要はありますが、どうしてとったのか、友達との間に何があったのかなど、物をとるに いたったお子さんの心理的なプロセスにしっかりと耳を傾けてあげましょう。うっかり友達 のものを自分のものと間違えて持って帰ってきたかもしれないし、つい欲しくなって・・・
ということもあるかもしれません。一方、お子さん自身も物をとるという行為にいたるまで に何らかの傷つく体験をしている可能性もあります。お子さんから事情をよく聞いて、一緒 に対処法を考えてみてはいかがでしょうか。もし、明らかにわかってやっていたり、何度も 繰り返してしまう場合は、そのもの自体が欲しいというよりは、何か葛藤を抱えていたり心 理的な要因があるかもしれません。少し意識してお子さんとコミュニケーションをとったり、
注意して見守ってあげたりということをやってみて下さい。
Q 6 .学校でいじめられているようなのですが・・・。
A.まずは、お子さんの話を聞いてみましょう。お子さんが話をしてくれたなら、決してお 子さん自身を責めたりせずに(なぜ、言い返せなかったの?とかあなたも悪いところがある のでしょう・・・etc . . . )お子さんの訴えにしっかりと耳を傾け、一緒に対応を考えてあげ て下さい。
お子さんから話が聞けないのなら、様子を観察してみてください。いつもと比べて表情はど うか、眠れているか、食欲はあるかなどしっかりと日常の様子を見ていて下さい。気になる 様子があるのなら学校とも連絡をとって、学校での様子もみてもらい担任と連絡をとりなが ら一緒に対応を考えていきましょう。
家庭生活編
Q 1 .いくら言っても子どもが宿題をしないので、困っています。
A.宿題をするということは、学習の習慣を身につけるということでもあり、一朝一夕で解 決できる問題ではなさそうです。宿題をするためには、先生の話を聞いて連絡帳に記入する などして宿題を家に持ち帰ること、漢字や計算など一定量の作業に集中して取り組むこと、
勉強に対する意欲、与えられた課題を自分のものとして取り組む姿勢、勉強に集中して取り 組む環境などが必要です。このように宿題を細かな視点で捉え、お子さんがどこでつまずい ているのか今一度見直されることから始めてはいかがでしょうか。
Q 2 .子どもが家のお金を持ち出しているようです。
A.お子さんは少しくらいのお金なら、なくなってもわからないだろうという安易な気持ち で家のお金を持ち出しているのかもしれません。「お金がなくなっている」ことに親御さん が気付いていることを伝えることが大切です。いきなり問い詰めたりすると「自分のことを 疑った」と受け取られてしまう可能性もあるので、まずは様子を見てください。
このように親が気付いている状態でも何度も続く場合は、子どもが発している何らかのサ インである、と考えられます。お金で物欲を満たしているように見えて、心の中の満たされ ないものの代わりにしているのかしれません。お子さんが何を求めているのかを考えてみる きっかけにされてはいかがでしょうか。
Q 3 .子どもがうそばかりついて、本当のことを言おうとしません。
A.子どもがウソをつく時、その背景にはいろいろな意味がかくれている場合があり、ウソ をついたという行為に対してただやみくもに叱るのは注意して下さい。
例えば、
・空想と現実の区別がはっきりしないためのウソ。
・人の関心をひきたい、注目を集めたいためのウソ。
・いいわけのためのウソ。
お子さんの<ウソ>の意味はどれにあてはまりそうですか?
冷静になれずに「怒らないから言ってごらんなさい。」と言ったその声が怒っていたら、子 どもはきっと本当のことを言えないでしょう。子どもが正直に本当のことを言ったらそれを 褒めてあげて、怒られると思ってうそをついたり隠したりすることの方がもっといけないと いうことを伝えてみてはいかがでしょうか。
いずれにしろ、ただウソをついたと叱ったり、心配するのではなく、ウソの背景にある意味 や、そのときのお子さんの気持ちを汲んだ対応が大切です。
Q 4 .子どものおねしょがなかなかなおりません。
A.大抵の場合、おねしょは個人差はあっても自然となおるもののようです。しかし、中に は排尿器官に問題があることもあり、心配だと思われた場合は、一度小児科や泌尿器科に受 診されてはいかがでしょうか。身体的に問題がない場合は、心理的な原因が背景にあること も考えられます。大きな環境の変化など、不安を感じていることがおねしょという形になっ て表れることもあります。
いずれにせよ、失敗するたびに恥ずかしく悲しい思いをする子どもに対して、叱責すること は本人の負担となるため避けた方がよいでしょう。尿が布団にしみつかないパッドを利用し て後始末にかかる負担を軽くするなど、おねしょにまつわる精神的な負担を親子共に小さく して、気長に付き合ってあげる姿勢を持つことが大切です。
Q 5 .子どもが言うことを聞かなくて困っています。
A.大抵の場合、子どもは親のことをわざと困らせようとしているのではなく、ささいなこ とが気になって動けなくなってしまうことが多いと心得ておくことが大切だと思います。ま た、成長して自分というものができてくると、親の言うことをなかなか聞かない時期も出て くるでしょう。そのような時は、子どもの成長の機会でもあります。親のペースに合わせよ うとするだけではなくて、お子さんの成長のペースに合わせるゆとりを持つように心がけて みてください。
中には言葉が伝わりにくい子どもや、こだわりが強すぎて付き合いにくい子どもがいて、
「言うことを聞かなくて困る」という程度にはとどまらず、「育てにくい」と感じることもあ るかもしれません。そのような場合は、子どもが発達上の問題を抱えている場合もあります ので、当相談室に一度ご相談ください。
Q 6 .子どもをかわいく思えず、母親として自信が持てません。
A.「母親は子どもをかわいいと感じるものだ。」という一般的な考え方から、そう思えない ご自分を責めてしまわれているのでしょうか。しかし、子どもをかわいく思えない場合、そ の原因はお母さんだけにあるとは一概に言えません。
子育ては大きな労力がいるもので、「しんどい」と思わないお母さんはいないと言っても過 言ではないでしょう。夫やその他の家族など周囲のサポートなくしては、こなせるものでは ないと思います。また、なかなか泣きやまない、相性が合わないと感じるなど、子ども自 身の気質から、「かわいい」と思いにくい場合もあるかもしれません。このような周囲のサ ポート不足や子どもの気質から、子育てがうまく行かないことが重なると、子どもを「かわ いい」と思える余裕が持てなくなってしまうのではないでしょうか。
お子さんのことを一人で抱えないで、信頼できる人に話すことでお母さんの負担が軽くなり、
少しでも気持ちにゆとりが持てるようになればと思います。身近に "相談できる" "心配事 を話せる" 人がいなければ、地域の子育て支援センターや当相談室にご相談ください。
Q 7 .子どもが最近反抗的な態度を取るようになり、どのように接したらいいのか困ってい ます。
A.親への反抗は、子どもの成長の一過程(特に思春期)に出てくるもので、子どもは親に 反抗することで自己主張したり、自立しようとしていると言えます。大抵は自立したい気持 ちと、甘えたい気持ちの間で揺れていて、大人から見て未熟な部分や矛盾ばかりが目につく し、不安定で接しにくいと感じられることもしばしばではないでしょうか。大人になりつつ ある一人の人間として子どもの言い分を聞くことが大切ですが、おかしいと感じた時には親 の意見をしっかり伝えて親と子がぶつかることも必要でしょう。そのような中で、子どもと のこれまでとは違う付き合い方を模索する姿勢を持つことが大切です。
Q 8 .子どもが体の不調を訴えていますが、病院の検査では特に問題はないと言われました。
A.人間の体は、心と密接につながっていて、大きな心配事やストレス、不安がある場合に 体調不良という形になって表れるということは珍しくありません。特に子どもの場合は、心 と体が未分化で、心の問題が体に表れやすいと言われています。そう言った場合、心と体の 両面をケアすることができる専門科として『心療内科』があります。一度診察を受けられて はいかがでしょうか。
Q 9 .子どものわがままな性格に困っています。どうしたらなおせますか。
A.性格は、それ自体を良い悪いと言うことのできるものではありません。わがままという お子さんの性格も、考え方によっては「はっきりと自己主張ができる」というようにも捉え ることができるかと思います。ただ、周囲の状況を見ないで自分の主張だけを押し通そうと すると「わがまま」とうつるのではないでしょうか。性格はその子自身であり、なおすとい う否定的な表現よりは、伸ばすとか育てるという肯定的な発想を持つことが大切であるよう に思います。お子さんのよい部分を伸ばす中で成長が促され、わがままばかり言って周囲を 困らせる行動が減っていくといいですね。
発達・障害
Q 1 .来春より小学生になる子どもについて心配しています。発達に少し遅れがあり、出来 事や自分の意思をことばで表現することが、得意ではありません。他にも、絵や字を書くこ とも苦手です。学校生活に向けてどのようなことをしたらいいでしょうか?
A.全般的な発達がゆっくりであるお子さんには、まず、どの程度のどのような遅れがあり、
具体的にどのような支援が必要になるのか、考えていきます。
例えば学校生活を想定し、生活行動面の支援、教科学習の支援、友だちと関わるためコミュ ニケーション力の支援などを、お子さんの発達の遅れの程度に合わせて考えていきます。
それぞれの子どもに適した発達を促していくためには、周囲に合わせようとするために、せ かしてやらせるのではなく、一つ一つの日常場面で、会話や作業をゆっくりとていねいに積 み上げていくことが大切です。ことばの表現が充分でないなら、伝えたいという気持ちを大 切にし、言葉での反応を待ったり、表現を促すこと、補うことを積み重ね、お子さんの持っ ている能力を育てていきます。
また、学校では書くことが多くなります。入学前から書くことに苦手意識をもってしまうと、
学校生活そのものが苦痛の多いものとなります。そのためには上手に書くことよりも自由に 描くことや、好きな絵のぬりえや、線つなぎなどで筆圧を高めたり、箸、はさみ、着替え等 の手を使う作業で、手先の運動発達をうながす作業を取り入れるといいと思います。どれも 楽しんでできることがポイントになります。
また、学校と家庭でのお子さんに対する発達課題を共通認識し、協力しあえることも大切で す。相談機関も含めて様々なところからお子さんの発達を考えていくことができれば最善で しょう。
Q 2 .小学生の子どものことですが、勉強が苦手です。作文を書いたり、漢字を覚えたり、
音読もたどり読みです。どのように対応したらいいでしょうか?またLDと最近聞いたこと がありますが、どうのようなものなのでしょうか?
A.全般的に知的な遅れがなくても、文字を書いたり読んだりすることだけにつまずく子 どもがいます。例えば、漢字が覚えられない、文字の形を正しく書けない、文章を流暢 に読めない、黒板の文字を写しにくい等です。教育の分野で言われる LD とは Learning Disabilities の略で、学習障害と訳されています。原因はわかっていませんが、脳の働きが 特定の部位で生まれつき機能しにくいと考えられています。
お子さんについてですが、学習が効果的に進まない状態の背景には、どのような特性、また は要因があるのか、言いかえるとお子さんがどのような認知の仕方をしているのかを考える ことで、効果的な学習の仕方が見つかる場合があります。
基礎学習を進める上でどのような能力が必要になるか、いくつか例にあげると、
①ことばを聞いて意味と結びつける力 ②聞いたことばを覚えておく力
③ことばで説明する力(文を組み立てる、適切なことばを選ぶ力)
④形を捉える力(大きさや向きなどの感覚;視知覚能力)
⑤手先の微細な運動機能
⑥集中して注意を向けておく力等の様々な能力が影響していることがあります。
相談員が保護者の方からお話しをお聞きする中で、どの能力につまずきがあるのか評価をし、
検討していきます。その結果、お子さんの得意な能力を使うアプローチ方法で、学習教材や 方法を工夫しながら、力を伸ばせる可能性を考えていきます。単なる反復練習だけの学習方 法では自信を失い苦手意識を育てるだけで、逆効果を示すこともあるからです。
また、勉強以外でも、好きなことや楽しめることを持ったり、興味関心を育てることも大切 です。努力しても、なかなか達成できない状況の中で育つことより、自分が活躍できること を、応援されて育つことの方が自尊心を持った大人になるために重要であると思います。
Q 3 .就学前に、『広汎性発達障害』との診断を受けました。学習・友人関係共に心配です。
A.『広汎性発達障害』とは
『広汎性発達障害』は、自閉性障害(以下、自閉症)、アスペルガー症候群らを含めた診断名 です。
主な特徴は、
①対人関係の障害
②コミュニケーションの障害
③限られた興味のレパートリー、こだわり行動
④加えて、多動、感覚過敏、極端な偏食などの特徴があります。
学童期では、
学校生活のスタイルは基本的にはスケジュールが決まっており、日常生活の流れには比較的 適応しやすいことが多いのですが、非日常的な出来事や予定の変更がある場合には、事前に 時間・場所・流れ・出来事の終わりを予測できるように伝える必要があります。
学習については、徐々に注意集中の時間が長くなり、漢字・計算などに取り組んでいく場合 もありますが、日記や文章題、といった言葉の意味理解が必要な課題でのつまずきが見られ ます。
友人関係では、親しい友だちを作ることが難しく、周囲からは変わっていると見られたり、
協調的な動きが苦手な為にわがままと見られたりしてしまいます。
手だてとして、
学校生活(時間割、必要であればトイレへ行くなど休み時間の過ごし方)の一連のスケ ジュールを本人がわかる形(文字、教科書など具体的な物)で示す事が大切です。加えて運 動会や発表会などの初めての行事では、事前に昨年の行事の写真やビデオを見るなどして確 認をしておくこともいいでしょう。
家庭では、家族の一員として安心して過ごしたり、お手伝いをするなど役割を持ったりする ことが大切でしょう。また、趣味となる楽しみを育むことも、将来の為に非常に大切です。
学童後期では、
学童期後期には、心身共に大きく変化する思春期を迎え、~でなければならない、型どおり に行動しよう、ある考えが頭にこべりついて離れない、といったこだわりが目立つようにな ります。自閉症児が、思春期以降の発達課題を乗り越え、社会適応を図っていくには、家族 以外の幅広い人間関係の中で支援していくことが大切です。
家庭、学校、相談機関において、多角的に子どもの発達を見ていくことが出来れば最善で しょう。
Q 4 .『アスペルガー症候群』の子どもが、なかなか周囲に理解されません。本人は「みん な僕を嫌っている」と、友人関係にとても苦しんでいます。
A.『アスペルガー症候群』の子どもは、広汎性発達障害の中でも、偏りはあっても全般的 な知的な問題を持ちません。一見、言葉も流暢に話し、知識も豊富に持っていますが、相手 が話している時に中断して一方的に話すとか、声のボリュームを調節するなどといった、状 況を判断して会話をすることや、皮肉やユーモアなど相手の言葉の裏に隠された意図を理解 することが、極端に苦手です。また、一人でいる時間を好み、趣味や遊びも一人で楽しむこ とが多いです。その一方でアスペルガー症候群の子どもは、自分の興味があることを相手に 話したいという気持ちや、更には仲間に加わりたい、"友だち" が欲しいという欲求をそれ ぞれに抱いています。
上記の相談では、本人が「ぼくを嫌っている」と苦しんでいるということですが、まさしく
『アスペルガー症候群』の子どもが抱く対人関係の痛みの中核ではないか、と思います。まず、
『アスペルガー症候群』の子どもは、周囲のからかいをその言葉通りに受け取ってしまう為、
相手は軽い冗談のつもりでも、自分の全てを否定されたと判断してしまいます。また、自分 自身と周囲との感じ方や振る舞い方の違いを振り返ることができるが故に、落ち込んでしま う場合もあります。このような場合、本人の訴えを聞きながら、別の視点を粘り強く伝えて いくことと、視覚的な手がかり(例えば、対人トラブルで起こったことや解決法を、絵や図、
文字にするなど)を用いながら整理していくこと、が大切です。これらの工夫は、障害の特 性だけで決定するものではなく、それぞれの子どもによって適切な方法が異なるので、家庭、
学校、相談機関が連携して共に考えていくことが大切です。
Q 5 .学校から、落ち着きがない、集中力がない、友人とのトラブルが多い、という指摘を 受けました。幼少期から、落ち着きがなく、大変育てにくかったのですが、『ADHD』では ないでしょうか。『ADHD』について、教えて下さい。
A.『ADHD』とは
『ADHD』の子どもは、
① 「そわそわする」、「席を離れて立ち歩く」、「しゃべりすぎる」といった活動の多さ(多 動性、過動性)
②「順番を待てない」「会話やゲームに割り込む」といった衝動性
③ 「注意がそれやすい」「忘れ物、落し物が多い」などの注意集中の難しさといった特徴 が見られます。
感情のコントロールの難しさを持つ子どももいます。
一方、抑うつ的(落ち込みがひどく、投げやりな状態)になっている時、強い不安がある時 にも、上記のような行動特徴が見られ、慎重に判別する必要があります。
手だてとして、
子どもが『ADHD』であるのかどうか、という診断は医療機関でなされます。相談機関では、
このような子どもをどのように理解し、家族として対応していくかを考えていきます。
多動性のコントロールとして薬物治療を用いる場合もありますが、同時に環境を調整するこ とが必須です。気の散りやすさ、順序立てることの困難さを意識し、指示は分かりやすく、
順を追って出来ているかを確認していくことで、達成できていることを体験していきます。
『ADHD』の特徴を持つ子どもの多くが抱える深刻な問題は、自己評価の低さです。周囲か らいつも、わがまま、自分勝手、トラブルメーカーと見られている子どもはとても傷つくこ とに加えて、その否定的な評価を自分に取り入れてしまいます。そして反発するように一層 派手な行動を取ってしまい、周囲との間に溝が出来てしまいます。このような悪循環を防ぐ ためにも、周囲の理解は非常に重要です。家族、学校場面、相談機関において子どもの特性 を理解した上で適切な関わりを始めることが不可欠です。