地域間産業連関表を用いた 本四高速道路の経済効果計測
~特に第3次産業分の取り扱いについて~
濱田 禎
1・下元 俊英
2・前島 一陸
3・遠香 尚史
41正会員 内閣府民間資金等活用事業推進室(〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1)
(前 本州四国連絡高速道路株式会社 企画部企画課(〒651-0088 神戸市中央区小野柄通4-1-22))
E-mail:[email protected]
2非会員 本州四国連絡高速道路株式会社企画部道路経済課(〒651-0088 神戸市中央区小野柄通4-1-22) E-mail:[email protected]
3非会員 本州四国連絡高速道路株式会社企画部道路経済課(〒651-0088 神戸市中央区小野柄通4-1-22) E-mail:[email protected]
4正会員 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社政策研究事業本部研究開発第1部
(〒530-8213 大阪市北区梅田2-5-25) E-mail: [email protected]
本四高速道路は,かつてその多くを海上交通に依存してきた本四間の交通条件に,劇的な変化をもたら した.さらに,本州・四国両地域の高速道路ネットワークと接続し,全国に延びる高速交通網の一翼を担 う交通インフラとして位置づけられる.その結果,本四間の旅客流動に係る移動時間を大きく短縮し,地 域間相互依存関係を通じて,周辺府県のみならず全国各地域にその経済効果が波及しているものと考えら れる.
そこで,本四高速道路による旅客流動を介した交易が,全国各地域・産業の生産活動にどの程度影響を 及ぼしてきたかについて,地域間産業連関表を用いて定量的に把握することとした.計測にあたり,特に 中間投入部門では,産業連関分析の分野で研究と応用が試みられている仮説的抽出法(hypothetical extrac- tion method)を適用した.
Key Words: inter-regional input-output analysis, hypothetical extraction method, spatial interdepend- ency, regional economy
1. はじめに
著者らは,「本四高速道路の利用に伴う経済効果-
仮説的抽出法による計測-」として,地域間産業連関表 を用いた経済効果の計測結果を発表した 1).これは,本 四高速道路を利用する取引として客観性を有するデータ の利用可能性を踏まえ,貨物に関するデータ(貨物地域 流動調査)に基づいて,第1次・第2次産業を発産業と して本四高速道路を経由し,各地域・各産業への中間投 入を対象として分析したものである.そのため,第3次 産業を発産業とし,本四高速道路を経由する経済効果,
また観光・私用目的の旅行移動に伴う経済効果は計測で きていない.
しかしながら,産業の知識化が進展し,フェイス・ト
ゥ・フェイスでの情報のやり取りの重要性が高まってき ている中で,第3次産業を発産業とする,本四高速道路 を介した旅客流動が地域経済に与えている効果は無視で きないものと考えられる.また,本四高速道路を利用し た観光・私用目的の流動についても,地域経済に効果を 及ぼしているものと考えられ,これらの効果の定量化が,
本四高速道路が地域経済に果たす役割を把握する上で必 要と考えられる.
そこで,本四高速道路が支える貨物・旅客流動による 経済効果全体を計測するため,今回,特に旅客流動に注 目し,第3次産業を発産業とする業務を目的とした移動,
及び観光・私用を目的とした移動に伴う経済効果を,地 域間産業連関表を用いて計測する手法を考案したもので ある.
2. 本四間旅客流動の推移
本四間の旅客流動は,本四架橋供用以降,景気変動等 による影響を受けつつも,これまで概ね増加傾向が続い ている.特に,瀬戸大橋が供用した昭和 63(1988)年 度,明石海峡大橋が供用した平成 10(1998)年度,
「休日上限1,000円」が導入された平成21(2009)年度
(開始時期は平成21(2009)年3月)に大きく増加して いる.また,平成 27(2015)年度には,大鳴門橋開通
前の昭和 59(1984)年度(2,900万人)と比較して約 2
倍の輸送人員:5,900万人に達している(図-1).さらに,
このうち本四高速道路による輸送人員が占める割合は 年々増加し,平成 27(2015)年度には本四間旅客流動
の約7割,輸送人員は4,200万人に達している.
(資料)本州四国連絡高速道路株式会社「2016ディスクロージャー紙」
(注釈)本四高速資料,四国運輸局「四国運輸局業務要覧」などより作成 図-1 本四間の輸送人員の推移
3. 本研究の計測対象
前に示したように,本四間旅客流動において本四高速 道路が担う役割は年々高まっており,地域経済活動に及 ぼす影響も大きくなっているものと考えられる.
そこで,本四高速道路を経由する旅客流動が地域経済 に果たしている役割として,以下の2つの視点で計測す るものである.
(1) 本四高速道路を活用した第3次産業発旅客流動
本四高速道路を活用した経済活動に関して,本四高速 道路を利用できない場合に想定される影響を含めて,以 下に具体例を示す.
濱田らによる研究 1)で対象としていた,貨物流動を伴 う取引としては,例えば,四国で生産されるLED(第 2次産業)について,本四高速道路を通じて本州各地の 自動車組み立て工場(第2次産業)や照明器具工場(第
2次産業)に輸送されるケースが挙げられる.本四高速 道路を利用できず,これらが輸送されなかった場合,四 国のLED工場で使用されるはずだったガリウム,ガラ ス,電子部品などの原材料への需要がなくなるなど,川 上側の産業活動に影響が及ぶ.また,四国からLEDを 調達する本州各地の自動車組み立て工場における生産活 動や照明器具の生産活動が抑制される.
一方,本研究で対象とする旅客流動を伴う取引として は,例えば,四国の食品卸売会社(第3次産業)が提供 する物流情報システムを四国外の小売店(第3次産業)
が導入するケース,あるいは四国外のデザイン会社(第 3次産業)が提供する,新たなブランド化のアイデアを 四国の製造業(第2次産業)が導入するケースなどが挙 げられる.本四高速道路が利用できず,システムやアイ デアの導入に不可欠なフェイス・トゥ・フェイスでのコ ミュニケーションが滞ってしまった場合,システムを導 入する予定であった四国外の小売店やアイデアを導入す
る予定であった四国の製造業では,生産・売上が抑制さ れる.また,システムを提供する予定であった四国の食 品卸売会社,アイデアを提供する予定であった四国外の デザイン会社において,システム・アイデアを提供でき
ないことで売上が減少するほか,それらのシステム・ア イデアの提供のために投入されるサービス等の購入の縮 小にまで影響が及ぶ.
表-1 産業間取引の具体例 需要
供給
財・サービスの販売
第1次産業 第2次産業 第3次産業
財・サービスの投入 第1次産業
第1次→第1次 第1次→第2次 第1次→第3次
本州の農家で開発された新品種の 種・苗を,四国の農家が仕入れて農 業生産に活用する場合
高知で取れたトマトを本州の野菜ジ ュース工場に輸送して,野菜ジュー スを生産する場合
徳島で葉っぱや花を収穫し,料理の
“つま”として,本州の料亭・旅館 に出荷する場合
第2次産業
第2次→第1次 第2次→第2次 第2次→第3次
愛媛で生産した耕運機を,本州の農 家に輸送し,農作に活用される場合
徳島で生産したLEDを,本州の照 明器具生産工場に輸送し,照明器具 の部品として活用される場合
香川で生産したゴルフ用グローブ を,本州のスポーツ品販売業者に輸 送する場合
第3次産業
第3次→第1次 第3次→第2次 第3次→第3次
本州のコンサルタントからコンサル ティングを受けて,高知のお茶のブ ランディング・商品開発を行う場合
本州のデザイン会社で考案されたブ ランド化のアイデアを,愛媛のタオ ル製造業が購入する場合
高知で開発された受注支援システム を,本州の小売店舗に提供する場合
(2) 本四高速道路を活用した観光・私用目的流動
本四高速道路を利用する旅客流動では,業務を目的と した流動の他に,観光・私用を目的とした流動が含まれ る.これらの流動は,目的地での消費を伴うものであり,
四国側・本州側の双方において経済効果が顕在化してい るものと考えられる.
そこで,本四高速道路を活用した観光・私用目的流動 による経済効果についても,本研究にてその計測方法及 び計測結果を提示する.
4. 経済効果の計測方法の概要
本研究の計測対象とする,第3次産業発旅客流動,及 び観光・私用目的流動について,各流動による経済効果 の発現過程を踏まえ,適用する計測方法をそれぞれ以下 の通りとした.
(1) 仮設的抽出法による第産業発旅客流動の効果算出
第3次産業発旅客流動による経済効果に関して,本研 究では,濱田ら 1)と同様,内生部門における産業・地域 間取引と捉え,仮設的抽出法(hypothetical extraction meth- od)を適用することとした.
この仮説的抽出法については,既に幾つかの実証分析 にも適用されているが,既往研究に見られるような,特
定の産業部門あるいは地域を抽出するのではなく,本四 間交易のうち,とくに本四高速道路利用分を抽出
(extract)することによって,本四高速道路の働きを
“浮き彫りにする”ことを目的として計測を行っている.
特に,本研究では,業務を目的とした旅客流動に着目し,
「本四高速道路がない」ことを「本四高速道路利用分だ け本四間旅客流動に伴う交易が抑制される」と捉え,仮 説的抽出法を適用して計測することとした.計測にあた り,現状(本四高速道路がある状態)の生産額と,仮説 的抽出法の適用(本四高速道路がない状態を設定)によ って求められる生産額を比較し,両者の差をもって本四 高速道路の効果として整理した.なお,後方連関効果と 前方連関効果の双方を対象として計測を行った.
(2) 均衡産出高モデルによる観光・私用目的流動の効
果算出
観光・私用を目的とした流動に関して,本四高速道路 の有無による最終需要の変化を伴う経済効果については,
最終需要を固定して分析を行う方法である上記の仮説的 抽出法では計測が出来ない.
そのため,観光・私用を目的として本四高速道路を経 由する旅客流動にかかる消費額をインプットデータとし,
均衡産出高モデルによって 2),すなわち消費額ベクトル に地域間産業連関表から得られるレオンチェフ逆行列を 乗じて,経済波及効果を算出することとした.
5. 経済効果の算出フロー
本研究における経済効果の算出フローは,図-2 に示 すとおりである.
まず,本四高速道路を利用する旅客流動のうち分析対 象とする旅客流動量として,第3次産業発旅客流動量,
観光・私用目的旅客流動量を整理する.
また,単位流動量あたり単価として,第3次産業発旅 客に関する流動1回あたり中間投入額,観光・私用目的 旅客に関する流動1回あたり旅行消費額を整理する.
旅客流動量に,対応する単位流動あたり単価を掛ける ことによって,本四間流動金額を算出することが出来る.
これらをもとに,第3次産業発旅客流動については,
仮設的抽出法によって,また観光・私用目的旅客流動に ついては,均衡産出高モデルによって,それぞれ経済効 果を算出する.
6. 分析対象とする旅客流動量の整理
本四高速道路通行旅客流動量,またそのうち,分析対 象とする業務目的旅客流動量及び観光・私用目的旅客流 動量については,図-3 のように位置づけられる.以下,
各流動量について,算出方法及び算出結果を示す.
図-2 本四高速道路を活用した旅客流動を対象とした経済効果 の算出フロー
図-3 本四高速道路を通行する旅客流動のうち分析対象とする旅客流動
(1) 移動を目的とした旅客流動量
旅客流動をベースに,本四高速道路による効果を把握 する.まず,本四高速道路を通行する旅客流動量のうち,
移動を目的とした旅客流動量を対象とするため,運輸部 門(貨物トラックのドライバー)を除いた,移動を目的 とした旅客流動量を整理した(表-1).
表-1 本四高速道路通行旅客流動量の内訳(万人/年)
H02 H12 H17 H23 本四高速道路通行計 1,347 2,696 3,016 3,890
移動目的流動 1,180 2,398 2,698 3,508
運輸部門 167 298 318 382
(資料)本州四国連絡高速道路株式会社資料より作成
分析対象とする旅客流動量の整理
第3次産業発 旅客流動量
観光・私用目的 旅客流動量
単位流動量あたり単価の整理
1回あたり中間投入額 1回あたり旅行消費額
×
=
経済効果の算出
仮設的抽出法 均衡産出高モデル
本四間流動金額の算出
本四間中間投入額 本四間旅行消費額
本四 高速 道 路 通行 旅 客 流 動 量
運輸部門 ドライバー除く
業務 目 的 流動 量
その他
第3次産業
1次・2次産業
(研究開発除く)
1次・2次産業
本四高速データ
全国幹線旅客純流動調査
Webアンケート
移動を目的 と し た 旅客 流 動 量
分析対象研究開発 観光・私用
目的流動
分析対象
(2) 業務,観光・私用目的の旅客流動量
続いて,目的別流動量のうち,業務目的及び観光・私 用目的の流動量について,全国幹線旅客純流動調査から 得られる,本四間の輸送機関別・目的別流動割合を用い て整理した(表-2).
表-2 本四高速道路通行・目的別・地域間旅客流動量(万人/年)
H02 H12 H17 H23 目的・地域間計 1,180 2,398 2,698 3,508
業務 近畿→四国 27 53 94 152
中国→四国 25 74 70 114
四国→近畿 27 63 70 153
四国→中国 21 72 47 86
観光 近畿→四国 12 105 275 376
中国→四国 9 186 194 299
四国→近畿 37 103 222 349
四国→中国 15 188 389 282
私用 近畿→四国 68 51 80 242
中国→四国 54 38 43 101
四国→近畿 75 60 61 214
四国→中国 60 78 38 106
その他 近畿→四国 148 368 254 263
中国→四国 213 315 269 189
四国→近畿 153 325 371 371
四国→中国 234 317 223 211
合計 近畿→四国 255 577 703 1,033
中国→四国 302 613 575 703
四国→近畿 293 551 724 1,087
四国→中国 330 656 696 685
(資料)本州四国連絡高速道路株式会社資料,国土交通省
「全国幹線旅客純流動調査」より作成
(注釈)「全国幹線旅客純流動調査」における“仕事”を,
「業務」と位置づけた.
(3) 研究開発,第3次産業発の旅客流動量
業務目的流動量では,発産業として,第1次産業から 第3次産業までが含まれるが,本研究では,このうち第 3次産業発流動については全ての流動を対象とする.一 方,第1次・第2次産業発旅客流動は,貨物流動に付随 するものと捉え,対象としないものとする.ただし,第 1次・第2次産業発旅客流動の中でも研究開発を目的と する旅客流動については,産業連関表における定義に従 い,研究開発部門として計上する.
a) 業務目的流動に占める発部門別流動割合
業務目的流動に占める発部門別流動割合は,既存統計 などから把握することは難しいことから, webアンケー ト結果より求めた.具体的にはアンケート結果から得ら れる,仕事を目的とした本四高速道路利用者の「回答者
数×頻度」に対する,第1次・第2次産業発かつ研究開 発を目的とする利用者の「回答者数×頻度」の割合,ま た第3次産業を発産業とする利用者の「回答者数×頻度」
の割合を用いている.本研究では,回収40,000サンプル から抽出された10,000サンプルより,これらの割合を整 理した(表-3). なお,ここで求めた発部門別流動割 合は,本研究の対象期間を通じて変わらないものと仮定 した.
表-3 各地域間・業務目的流動に占める発部門別流動割合
地域間 研究開発 第3次産業
近畿→四国 0.6% 52.5%
中国→四国 0.6% 53.2%
四国→近畿 3.1% 64.1%
四国→中国 1.7% 68.7%
(資料)アンケート結果より作成
b) 業務目的流動における発部門別流動量
アンケートで得られた各地域間・業務目的流動に占め る発部門別割合(表-3)を,本四高速道路通行・目的 別・地域間旅客流動量(表-2)のうち業務分に掛けるこ とによって,業務を目的とした発部門・各地域間別旅客 流動量を整理した(表-4).
表-4 業務目的の発部門・各地域間別旅客流動量(万人/年)
発部門 地域間 H02 H12 H17 H23
研究開発
近畿→四国 0.2 0.3 0.6 0.9
中国→四国 0.1 0.4 0.4 0.6
四国→近畿 0.8 1.9 2.2 4.7
四国→中国 0.4 1.3 0.8 1.5
小計 1.5 3.9 3.9 7.8
第3次産業
近畿→四国 14.0 27.9 49.5 79.9 中国→四国 13.4 39.5 37.1 60.6 四国→近畿 17.3 40.4 45.0 97.9 四国→中国 14.3 49.7 32.0 59.1 小計 59.1 157.6 163.6 297.5
合計
近畿→四国 14.2 28.3 50.1 80.8 中国→四国 13.6 39.9 37.4 61.2 四国→近畿 18.1 42.4 47.2 102.6 四国→中国 14.7 51.0 32.8 60.6 小計 60.6 161.5 167.5 305.3
(資料)本州四国連絡高速道路株式会社資料,国土交通省「全 国幹線旅客純流動調査」,アンケート結果より作成
7. 単位流動量あたり単価の整理
(1) 業務における1回あたり中間投入額
本業務で用いる仮説的抽出法は,産業間の中間投入額 を対象として仮説を設定し,分析を行うものである.そ のため,仮説的抽出法の摘要を念頭に,業務目的による 移動の1回(1往復)あたり中間投入額を算出する.
各産業部門 について,雇用者所得水準 が高い従業 者 ほど,中間投入額A も大きいと考えられる.また,
産業連関表によれば,産業部門 によって,中間投入 と雇用者所得 の比率 / も異なる.そこで,産業部門
の各従業者による中間投入額A を,以下のように設 定する.
∙ (1)
この中間投入額について,移動先で,滞在日数 分だけ投入されるとすると,移動1回あたり中間投入額 A は次のようになる.
∙ 240 (2)
ただし,年間従業日数を240日と仮定する.
最後に,本四間の発産業部門別の1回あたり中間投入 額の導出にあたり,中間投入額 ,移動頻度 は,従 業者によって異なるため,各従業者の移動頻度 で加 重平均する必要がある.そこで,本四間の発産業部門別 に,1回あたり平均中間投入額 , .を,次の計算式に て求めることとした.
, . ∑ ∙
∑ (3)
a) 発産業部門別地域間別利用頻度
アンケート回答者による,業務目的流動の頻度に関す る集計結果∑ は表-5の通り.
表-5 アンケートにおける本四間業務目的流動の頻度 (回/年)
地域間 研究開発 第3次産業
近畿→四国 1,271 3,730 中国→四国 285 168 四国→近畿 838 5,000 四国→中国 131 493
(資料)アンケート結果より作成
b) 発産業部門別地域間別 1 回あたり中間投入額 各回答者について,利用頻度に1回あたり中間投入額 を掛けた値 ∙ を集計した結果∑ ∙ は表- 6の通りである.なお,webアンケートでは各回答者に 収入 ,1回あたりの滞在日数 を回答頂いており,
これらを活用している.具体的には,収入について,全 国産業連関表から得られる,研究開発部門,第3次産業 部門それぞれの雇用者所得と中間投入額の比率 / を 掛けて,中間投入額ベースに変換している.
表-6 アンケートにおける本四間業務目的流動の年間合計値
(「頻度×1 回あたり中間投入額」の合計値)
地域間 研究開発 第3次産業
近畿→四国 35,779 46,553 中国→四国 4,450 1,652 四国→近畿 36,829 70,052 四国→中国 2,150 3,278
(資料)アンケート結果より作成
表-6の頻度×1回あたり中間投入額を,表-5の頻度 で割ることによって,1回あたり中間投入額 , .が表 -7のように求められる.
表-7 本四間業務目的流動の 1 回あたり平均中間投入額 (万円/回)
地域間 研究開発 第3次産業
近畿→四国 28.2 12.5
中国→四国 15.6 9.8
四国→近畿 43.9 14.0
四国→中国 16.4 6.7
(資料)アンケート結果より作成
(2) 1回あたり消費単価の算出
観光庁による「旅行・観光消費動向調査」のうち,
「宿泊の有無(2区分),主目的地(10区分),居住地(10区 分)別延べ旅行者数─国内旅行」,「宿泊の有無(2区 分),主目的地(10区分),居住地(10区分)別 旅行消費額
─国内旅行」より,観光・レクリエーション,帰省・
知人訪問等それぞれの1回あたり消費額を,地域間別に 整理した.なお,本研究では「帰省・知人訪問等」を私 用移動と位置づけた.
また,平成 17(2005)年以前の単価については,家計調 査の「1世帯当たり年平均1か月間の支出-二人以上の 世帯」にある,「教養娯楽サービス」の推移より,平成 23(2011)年に対する水準を反映した.
整理した結果は表-8のとおりである.
表-8 本四高速道路利用旅客の目的・地域間別消費単価(円/回)
目的 地域間 H02 H12 H17 H23
観光 近畿→四国 41,062 40,905 38,226 36,185 中国→四国 33,005 32,878 30,726 29,084 四国→近畿 55,703 55,490 51,857 49,087 四国→中国 33,110 32,983 30,824 29,177 私用 近畿→四国 38,428 38,280 35,774 33,863 中国→四国 30,887 30,769 28,754 27,218 四国→近畿 52,130 51,930 48,530 45,937 四国→中国 30,986 30,867 28,846 27,305
(資料)観光庁「旅行・観光消費動向調査」,総務省統計局「家計調 査」より作成
8. 本四間流動金額の算出
(1) 発産業部門別中間投入額の算出
各地域間における発部門別旅客流動量(表-4)の2分 の1に,1回あたり中間投入額(表-7)を掛けることに より,各地域間・発部門別中間投入額(表-9)を算出し た.
表-9 各地域間・発部門別中間投入額(百万円/年)
部門 地域間 H02 H12 H17 H23
研究開発
近畿→四国 229 455 806 1,300
中国→四国 110 322 302 494
四国→近畿 1,827 4,278 4,765 10,363 四国→中国 299 1,035 666 1,231 小計 2,463 6,090 6,539 13,388
第3次産業
近畿→四国 8,763 17,437 30,908 49,854 中国→四国 6,599 19,395 18,182 29,736 四国→近畿 12,089 28,310 31,538 68,581 四国→中国 4,769 16,541 10,634 19,674 小計 32,220 81,684 91,262 167,845
合計
近畿→四国 8,991 17,892 31,714 51,154 中国→四国 6,709 19,718 18,484 30,230 四国→近畿 13,916 32,588 36,303 78,944 四国→中国 5,068 17,577 11,300 20,905 小計 34,683 87,774 97,801 181,233
(資料)本州四国連絡高速道路株式会社資料,国土交通省「全国幹 線旅客純流動調査」,アンケート結果より作成
(2) 旅行消費額の算出
旅客流動量(表-2)の2分の1に,1回あたり消費単 価(表-8)を掛けることによって,本四高速道路利用旅 客の目的・地域間別消費額(表-10)を算出した.
表-10 本四高速道路利用旅客の目的・地域間別消費額(百万円)
部門 地域間 H02 H12 H17 H23
観光
近畿→四国 2,531 21,395 52,495 68,107 中国→四国 1,488 30,504 29,753 43,446 四国→近畿 10,422 28,662 57,551 85,692 四国→中国 2,450 31,026 59,986 41,134 小計 16,891 111,586 199,786 238,379
私用
近畿→四国 13,042 9,836 14,231 40,900 中国→四国 8,409 5,872 6,123 13,795 四国→近畿 19,524 15,655 14,880 49,250 四国→中国 9,371 11,962 5,426 14,431 小計 50,346 43,325 40,660 118,376
合計
近畿→四国 15,573 31,230 66,727 109,007 中国→四国 9,898 36,376 35,876 57,241 四国→近畿 29,946 44,317 72,431 134,942 四国→中国 11,820 42,988 65,412 55,565 小計 67,237 154,912 240,446 356,755
(資料)本州四国連絡高速道路株式会社資料,国土交通省「全国幹 線旅客純流動調査」,観光庁「旅行・観光消費動向調査」,
総務省統計局「家計調査」より作成
さらに,以上から得られた消費額について,観光庁に よる「旅行・観光産業の経済効果に関する調査研究報告 書」(2011年版)より得られる産業部門別観光消費額 に基づいて,部門別消費額に割り振った.また,平成 17年以前の観光消費額の部門別割合は,この割合に準 ずるものとした.
9. 経済効果の算出
(1) 仮設的抽出法による計測結果
a) 第3次産業を発産業とする旅客流動の効果
以上を元に,地域間取引のうち,第3次産業発本四間 取引が減少した場合を仮説として地域間産業連関表の投 入係数,産出係数に組み込み,仮説的抽出法によって本 四高速道路による効果を算出した(図-4).
算出結果によれば,年々効果額は増加傾向にあるが,
この要因としては,本四間旅客流動量の増加のほか,仕 事を目的とした移動割合の増加も挙げられる.また,平
成23(2011)年では,後方連関効果で2,770億円,前方
連関効果で4,140億円の効果があるものと算出された.
四国と四国外での効果の構成比をみると,前方連関効 果において,四国外の効果が7割前後と高い割合となっ ている.一方,後方連関効果では,四国外の割合は5~
6割程度の水準で推移している.
図-4 研究開発部門及び第3次産業を発部門とする本四高速道路利用旅客流動による経済効果
b) 第1次~第3次産業を発産業とする流動の効果 本研究で仮設として設定した本四高速道路がない場合 の研究開発部門及び第3次産業を発産業とする地域間交 易への影響に加え,濱田ら 1)で設定した第1次・第2次 産業を発産業とする地域間交易への影響の双方を同時に 仮設的抽出法に適用し,本四高速道路の効果を算出した.
計測結果(図-5)によると,研究開発部門及び第3次 産業を発産業とする場合と同様,年々効果額が増加傾向 にある.平成23(2011)年では後方連関効果で6兆350 億円,前方連関効果で7兆2,510億円の効果があるもの と算出された.
図-5 第1次~第3次産業を発部門とする本四高速道路利用旅客流動による経済効果
後方連関効果 (億円) 前方連関効果 (億円)
後方連関効果 前方連関効果
216 586 603 1,258
266
637 887
1,517 482
1,223 1,490
2,774
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500
H02 H12 H17 H23
四国外 四国
220 483 719 1,209
479
1,063
1,317
2,935
700
1,546
2,036
4,145
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500
H02 H12 H17 H23
四国外 四国
45% 48% 40% 45%
55% 52% 60% 55%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
H02 H12 H17 H23
四国 四国外
32% 31% 35% 29%
68% 69% 65% 71%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
H02 H12 H17 H23
四国 四国外
後方連関効果 (億円) 前方連関効果 (億円)
後方連関効果 前方連関効果
7,464 16,980 20,704 25,219
13,358
28,087 33,929 35,133 20,822
45,067
54,632 60,352
0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000
H02 H12 H17 H23
四国外 四国
6,970 14,285 17,725 19,595 13,553
26,993
36,971
52,914
20,524
41,278
54,697
72,509
0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000
H02 H12 H17 H23
四国外 四国
36% 38% 38% 42%
64% 62% 62% 58%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
H02 H12 H17 H23
四国 四国外
34% 35% 32% 27%
66% 65% 68% 73%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
H02 H12 H17 H23
四国 四国外
(2) 旅行消費額による経済波及効果
近畿⇔四国,中国⇔四国間の観光流動に伴う観光消費 額をインプットデータとして,地域間産業連関表を用い て作成した均衡産出高モデルにより,観光消費に伴う経 済波及効果を求めた.なお,仮説的抽出法による計算と フェーズを揃えるため,一次波及効果までを対象とした.
計算結果によれば,旅行消費額に伴う経済波及効果は 増加傾向にあり,平成 23(2011)年で 6,270億円と算出さ れた.
表-11 本四間観光目的流動による地域別経済波及効果(百万円)
H02 H12 H17 H23
北海道 241 978 2,486 3,262
東北 320 1,535 3,298 4,134
関東 1,999 14,086 27,809 32,820 中部 875 5,264 10,496 13,209 近畿 15,103 47,962 94,367 133,634 中国 3,804 44,117 87,125 63,819 四国 5,333 67,092 108,394 155,603
九州 618 4,006 8,448 10,101
沖縄 27 115 179 226
合計 28,321 185,155 342,602 416,808
(資料)本州四国連絡高速道路株式会社資料,国土交通省「全国幹 線旅客純流動調査」,観光庁「旅行・観光消費動向調査」,
総務省統計局「家計調査」より作成
表-12 本四間私用目的流動による地域別経済波及効果(百万円)
H02 H12 H17 H23
北海道 622 385 520 1,662
東北 869 579 673 1,994
関東 6,025 5,156 5,548 16,002 中部 2,500 2,062 2,190 6,663 近畿 30,640 24,500 23,520 76,108 中国 14,349 17,064 9,162 24,567 四国 28,011 20,414 26,553 78,909 九州 1,819 1,465 1,452 4,546
沖縄 101 51 37 115
合計 84,936 71,676 69,654 210,566
(資料)本州四国連絡高速道路株式会社資料,国土交通省「全国幹線 旅客純流動調査」,観光庁「旅行・観光消費動向調査」,総務 省統計局「家計調査」より作成
表-13 本四間観光・私用目的流動による地域別経済波及効果 (百万円)
H02 H12 H17 H23
北海道 863 1,363 3,006 4,924
東北 1,189 2,115 3,971 6,129
関東 8,024 19,243 33,357 48,822 中部 3,375 7,326 12,687 19,872 近畿 45,743 72,462 117,887 209,741 中国 18,153 61,181 96,286 88,386 四国 33,344 87,506 134,947 234,512 九州 2,437 5,471 9,900 14,646
沖縄 128 166 216 341
合計 113,257 256,831 412,257 627,374
(資料)本州四国連絡高速道路株式会社資料,国土交通省「全国幹 線旅客純流動調査」,観光庁「旅行・観光消費動向調査」,
総務省統計局「家計調査」より作成
10. おわりに
本研究では,とくに,本四高速道路を利用する「人流」
に照準を定め,その利用に伴う経済的な波及の総効果を 計量的に把握し,より詳細に分析・解明したものである.
もとより,本四高速道路の開通後には,輸送モードの 転換,すなわち,フェリー利用の一定割合が本四高速道 路の利用にシフトしているほか,本四間の旅客流動を誘 発している.そのことにより,貨物流動と相俟って,四 国と本州側での各地域間の様々なB to B,B to Cの取引 を支え,前方連関効果や後方連関効果を通して,全国各 地域の経済活動に影響を及ぼしている.
本研究によれば,2011(平成 23)年時点で,企業間取 引を支えることで,後方連関効果で約6兆350億円,前 方連関効果で 7兆 2,510億円.また旅行目的移動(観 光・私用)に伴う消費活動を支えることで,6,270億円 億円に及ぶ経済効果があるものと見込まれる.
なお,本研究での経済効果の計測と分析は,平成 23
(2011)年までを対象としたものとなっているが,その 後の本四高速道路の利用に伴う交通量の増加を配慮すれ ば,その生産誘発額の規模や影響の及ぶ範囲は,引き続 き拡大傾向が続くものと想定される.
謝辞:本調査の実施にあたり,計測手法,開発した計測 方法の確認などについて,中部圏社会経済研究所 井原 健雄 研究顧問,岡山大学大学院 中村良平 教授からご 指導を仰ぎつつ行なった.深甚なる感謝を申し上げる次 第である.
付録1
本研究で用いた仮説的抽出法は以下の通り1), 3)~,5).
(1) 後方連関効果
a) 後方連関効果の考え方
本四高速道路を経由する中間取引分について,本四高 速道路がない場合(without)では国外から輸入するもの と考える.この場合,国内各地域(本四高速道路を介し た取引に関わる地域)の,当該取引分を提供している産 業への後方連関効果は遮断され,生産活動が抑制される.
さらに,それらの産業に原材料・サービスを提供してい る各地域・産業の生産活動(後方連関効果)にも波及的 に影響が及ぶ.
(b) 後方連関効果の計測方法
中間投入係数が変化した場合のレオンチェフ逆行列を 算出し,固定した最終需要(列ベクトル)に左から掛け ることによって,本四高速道路がない場合の生産額を算 出する.具体的には,以下に示すとおり:
R,Sの2地域を対象として,
:投入係数行列
∗ 0
0 :投入係数行列(内々のみ)
:最終需要行列
∗ :地域内最終需要の列ベクトル 0
0 :輸入の対角行列
:地域内生産額の列ベクトル
:輸出の列ベクトル
∗ ∗
⁄ :輸入係数の対角行列
とすれば,本調査で用いる地域間産業連関表(地域間非 競争移入・競争輸入型表)の需給バランス式は,以下の ようになる.
∗ ∗
(4)
これを展開すると,
∗ ∗
(5)
∗ ∗ (6)
より,産業連関モデルは,
∗ ∗ (7)
となり,最終需要額から生産額を導出する逆行列係数 表: ∗ が求められる(レオンチェフ逆 行列).
次に,R,Sの 2地域間で,交易が抑制された状態を 以下の投入係数行列:
(8)
で表現すれば,上記の産業連関モデルは,
∗ ∗ (9)
となり,R,Sの 2地域間の交易抑制に伴う生産誘発 額の変化は,
∗ ∗
∙ ∗ (10)
と算出される.
(2) 前方連関効果
a) 前方連関効果の考え方
本四高速道路を経由する中間取引分について,本四高 速道路がない場合(without)では,国内産業に産出(販 売)するのではなく,国外に輸出するものと考える.こ の場合,本四高速道路を介した取引に関わる地域の,産 出された財・サービスを購入している産業への前方連関 効果は遮断され,生産活動が抑制される.さらに,それ らの産業から原材料・サービスを購入している各地域・
産業の生産活動(前方連関効果)にも波及的に影響が及 ぶ.
(b) 前方連関効果の計測方法
産出係数が変化した場合のゴシュ逆行列を算出し,固 定した粗付加価値(行ベクトル)に右側から掛けること によって,本四高速道路がない場合の生産額を算出する.
後方連関を対象とした上記の展開について,行と列を置 き換えることで求めることになる.具体的には,
:付加価値額の列ベクトル
:産出係数行列 として,
(11)
となり,付加価値額から生産額を導出するゴシュ逆行列 が求められる.R,Sの2地域間で,交易が抑 制された状態を産出係数行列:
(12)
で表現すれば,R,Sの 2地域間の交易抑制に伴う生 産誘発額の変化は,
(13)
と算出される.
付録2
本研究で実施したwebアンケートは以下の通り.
(1) webアンケートの概要
本研究では,本四高速道路を利用している人を対象に,
移動の目的,頻度,滞在日数,収入などを把握すること を目的として webアンケート会社が有するモニターを 対象としてアンケートを行った.
[実施時期]
・スクリーニング調査(40,000サンプル)
…2017年02月03日(金)~2017年02月08日(水)
・本調査(991サンプル)
…2017年02月07日(火)~2017年02月10日(金)
(2) スクリーニング調査
スクリーニング調査では,近畿,中国,四国の各地方 在住者に向けて,以下の4つの設問を設けた.
1) 勤務先の業種は何か(働いている場合)
2) 仕事で,自動車またはバスを利用して本四高速道 路を通行しているか
3) 仕事で本四高速道路を通行するときの目的は何か 4) 仕事で,自動車またはバスを利用して本四高速道
路を通行する頻度はどの程度か
本四高速道路を利用して通行するときの目的に関する 選択肢は以下に示すとおりであり(表-14),このうち
「2.新製品等に関するマーケティング・市場調査」,
「3.新製品等の開発(企画,試作,実験,検査,分析,
報告)」のいずれかを選択した場合,研究開発を目的と する移動として整理することとした.
表-14 移動目的に関する設問 1 情報・資料の収集
2 新製品等に関するマーケティング・市場調査
3 新製品等の開発
(企画,試作,実験,検査,分析,報告)
4 生産・製造工程などに関する開発・技術的
改善・指導
5 機器のメンテナンス・修理 6 経営コンサルティング 7 セミナー・研修講師 8 営業訪問
9 営業所・店舗等の巡回 10 販売・配達,仕入・購入 11 書類持参・受領,集金 12 その他の業務目的
また,「仕事で,自動車またはバスを利用して本四高 速道路を通行する頻度」に対する回答結果は,以下のよ うに年間頻度に換算することとした(表-15).
表-15 アンケートにおける通行頻度設問項目の換算
通行頻度設問項目 年間頻度換算値(回)
週 7 往復以上 365
週 5~6 往復程度 287
週 3~4 往復程度 183
週 1~2 往復程度 78
2 週に 1 往復程度 26
1 ヶ月に 1 往復程度 12
2~3 ヶ月に 1 往復程度 5
半年に 1 往復程度 2
年に 1 往復程度 1
それ以下の頻度 0
(3) 本調査
スクリーニング調査結果より,本調査の回答者を抽出 する際には,「仕事で,自動車またはバスを利用して本 四高速道路を通行している人」のうち,本四高速道路の 利用頻度が高いモニターから先行して回収することとし,
回収目標として設定したサンプルサイズ(近畿→四国,
中国→四国,四国→近畿,四国→中国のそれぞれで 400 サンプル回収)に向けて,頻度の条件を緩和しつつ回答 を確保することとした.
本調査の最終的な回収サンプルは近畿→四国:412,
中国→四国: 241,四国→近畿:189,四国→中国 :
149(計 991サンプル)であり,以下の5つの設問に対
して回答を得た.
1) 仕事で,自動車またはバスを利用して本四高速道 路を通行する際の訪問先の業種は何か
2) 上記訪問先に,自動車またはバスを利用して本四 高速道路を通行する時の目的地はどこか 3) 仕事で,自動車またはバスを利用して本四高速道
路を通行する時の出発してから帰社・帰宅までの 平均的な所要日数
4) 仕事で,自動車またはバスを利用して本四高速道 路を通行する時の,出発点となる事業所はどこか 5) 個人年収
このうち,「個人年収」に対する回答結果は,以下の ように換算することとした(表-16).
表-16 アンケートにおける個人年収設問項目の換算
個人年収設問項目 換算値
200 万円未満 100 万円 200 ~ 400 万円未満 300 万円 400 ~ 600 万円未満 500 万円 600 ~ 800 万円未満 700 万円 800~1,000 万円未満 900 万円 1,000~1,200 万円未満 1,100 万円 1,200~1,500 万円未満 1,350 万円 1,500~2,000 万円未満 1,750 万円 2,000 万円以上 2,000 万円
参考文献
1) 濱田禎,下元俊英,前島一陸,遠香尚史:本四高速 道路の利用に伴う経済効果 -仮説的抽出法による計 測-,土木計画学研究発表会・講演集,Vol: 54,
2016.
2) 石倉智樹,横松宗太:公共事業評価のための経済学,
コロナ社,2013.
3) 玉村千春,内田陽子,岡本信広:アジア諸国の生 産・需要構造と貿易自由化―アジア国際産業連関分 析―,アジア経済,pp.128-148,2003.
4) 経済産業省:通商白書 2006年版,2006.
5) 公益財団法人 中部圏社会経済研究所:中部圏地域間 産業連関表(2005年版)の活用~原表の活かし方と 実証分析の例示~,2013.
6) 黒岩郁雄:東アジアの国際産業連関と生産ネットワ ーク,平塚編 東アジアの挑戦 第5章,アジア経済 研究所,2006.
7) Miller, R.E. and P.D. Blair, Input-Output Analysis : Foundations and Extensions, Second Edition, Cambridge, 2009.
8) 経済産業省経済産業政策局調査統計部:平成17年 地域間産業連関表―作成結果報告書―,2010.
(2017. 4. ?? 受付)
EMPIRICAL STUDIES OF SPATIAL & ECONOMIC EFFECT
OF UTILIZING THE HONSHU-SHIKOKU BRIDGE USING INTER-REGIONAL INPUT-OUTPUT TABLE
- ABOUT THE HANDLING FOR THE TERTIARY INDUSTRY IN PARTICULAR -
Tadashi HAMADA, Toshihide SHIMOMOTO, Kazumichi MAESHIMA and Takashi OKA
The Honshu-Shikoku bridge invites the 30th anniversary in 2018 after Seto-Ohashi was inaugurated in 1988.
The Honshu-Shikoku bridge has improved the traffic condition between Shikoku and Honshu with most dramatically, that had ever been depending on traffic on the seas with most. Furthermore, The Hon- shu-Shikoku bridge has been connected to the expressway network of both Honshu, Shikoku areas and is now placed as traffic infrastructure to carry the part of a high speed transportation network.
As a result, it improves movement time of the passenger, and it is assumed that the economic effect spreads to not only the outskirts prefectures but also nationwide each area through spatial interdependen- cy.
To grasp these economic effect quantitatively, inter-regional input-output analysis, specifically, Hypo- thetical Extraction Method was applied on intermediate inputs. Besides, the economic effect of trip con- sumption through the Honshu-Shikoku bridge was measured with the Balanced Multiregional Input- Output Model.