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耳の練習 5. 指導の様子 1 指導 1 回目ねらい : 課題のやるべきことを理解し 行うことができる k を出すことができる ねらい 指導内容 関わり方 結果 カ の単 いろいろな音の中から やり方の見本を見せながら説 教材に興味をもち 笑顔で何本もひもを引いた 音を聞き カ の単音が聞こえたら

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第3回定例研 構音障害分科会 「カ行音の構音指導 ― A 君にわかりやすく伝えるために ―」 静岡市幼児言語教室(清水浜田小学校内) 土井 香 1.はじめに 清水浜田小学校内静岡市幼児言語教室は、平成21年度に清水区内にある療育施設うみの こセンターことばの教室より学校教育課に移管され現在に至る。指導員は5名、通級児は、 構音障害33名、言語発達遅滞(発達障害を含む)133名、吃音10名が現在通所してい る。構音障害のお子さんは月2~4回(1回の指導時間は30分程度)、言語発達遅滞のお子 さんは月2回(1回の指導時間は個別25分程度+グループ30分程度)、吃音は1か月に1 回の回数(1回の指導時間は1時間程度:親子活動)で指導を行っている。(H26.1 現在) 静岡市内には、幼児言語教室が4か所あるが、どの教室も待機児が多く年々通級希望のお 子さんが増加傾向にある。 2.研究発表にあたり 研究発表にあたり、集中が続かなかったり理解が難しかったりするA 君にとって、わかり やすく、楽しく構音練習をするためにはどうしたら良いのか、トライ&エラーで行った様子 を皆さんにお伝えし、改善できるところや別の良い指導方法のアイディアなどを教えていた だきたいと考えている。 3.相談時の本児の様子 4.指導方針 相談時の様子から、構音指導月2 回、個別指導+グループ活動月 2 回の指導形態とし、方 針は以下のように立てた。 ○ カ行音の正しい音を獲得する。 ○ やることがしっかりわかり、できた達成感を感じる。 ○ 担当とやり取りをしながら、楽しんで課題に取り組む。 *今回の発表内容は、グループ活動には触れず、個別の構音指導に的を絞った。 性別 男 学年 年長(公立保育園) 通級開始年月 H25.4 生育歴 特に問題なし (母親は、「思い通りにいかないとすねることが多い」と育てにくさは感じていた。) 主訴 発音ができない(カ行音→タ行音、サ行→シャ行音) 園の様子 一斉指示理解が難しく集中も続かないため、一番前に座るようにしたり、個別に声 掛けをしたり、順序立てて一つずつ伝えたりしている。 身のまわりのことや毎日同じ活動は、進んで行うことができる。 相談時の 様子 カ行音がタ行音に置換している。サ行音は改善されている。 プラレール、トーマスのおもちゃ等やりたいものを一通り遊ばないと着席して課題 に取り組めない。 注意が移りやすく、注意喚起が必要である。興味のあることは持続して行うことが できるが、その他のことは自分の思いつきで遊び始め、指示通りに行うことが難し い。人物画が苦手で「描けない」と言う。手先は不器用である。

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5.指導の様子 ①指導 1回目 ねらい:●課題のやるべきことを理解し、行うことができる。●「k」を出すことができる。 ねらい 指導内容 関わり方 結果 耳 の 練 習 「カ」の単 音を聞き だす ・ い ろ い ろ な 音 の 中 か ら 「カ」の単音が聞こえたら、 ひもを1本引く。 (資料1 教材1 ひも引き) ・やり方の見本を見せながら説 明し、はっきり単音を出す。 ・できたらすぐほめる。 ・「タ」の時にひもを引いた場合 は再度音を聞かせ、「カ」の音と の違いを伝える。 ・教材に興味をもち、笑顔で何本もひもを引いた。 ・やり方の理解ができず、「カ」がつく言葉探しをしたり、しりとりをしたり、「何の音か言い当て られたらひもを引く」とルールを変えたりした。 ・やり方が違うことに気付くと、姿勢保持が難しくなった。 ◎教材をしまい、手で○と×を示す方法に変えて再度聞きだしをした。 ・数回は成功したが、途中からするべきことを忘れてしまった。 構 音 練 習 うがい の練習 ・少しずつ水の量を減らし、 うがいをする ・見本を見せて伝える。 ・できたらすぐほめる。 ・少量の水でのうがいはできた。 「k」の 誘導 ・水なしでうがいをする ・前を向きうがいをする ・見本を見せて伝える。 ・できたらすぐほめる。 ・奥舌がさがったら見本をもう一 度見せ、奥舌が上がっているこ とを強調する。 ・水なしでは舌先が挙上してしまった。 ◎見本や鏡を見せながら奥舌を意識させると水なしのうがいができることが増えた。 ・前向きのうがいは舌先が挙上した。 ・口腔の動きを自分でコントロールすることが難しい。 ≪考察≫ ・やるべきことを絵や文字で示すことで理解しやすくなり、意欲的に取り組むことができた。 ・刺激に左右されやすいため、本児が集中することが困難になる教材はない方がよいが、必要な教材があった方がやるべきことを意識づけしやすいことがわ かった。 関わり方 教材はシンプルな物かつ興味を示す物を準備する 1回ずつ見本を見せながら説明する できたときにすぐほめる 指示理解できたかどうか確認する

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②指導 2回~5回 ねらい:●課題のやるべきことを理解し行い、できた達成感を感じる。●「カ」音を出すことができる [宿題:母音口形、単音「カ」] ねらい 指導内容 関わり方 結果 耳 の 練 習 「カ」単音を 聞き出す ・「カ」の単音が聞こえたらボ ードに○を書き、「カ」以外の 音は×を書く。 (資料1 教材2 ボード) ・やり方の見本を見せながら説明し、はっきり 単音を出す。 ・できたらすぐにほめる。 ・「タ」の時に○にした場合は再度音を聞か せ、「カ」音との違いを伝える。 ・ペンで書いた字が消えることに興味を示し、書いてある字や線を指で消す等 聞くことに集中することが難しかった。 ◎書いてある○と×を指さしで示す方法に変えて再度聞きだしをすると、聞くこ とに集中することができた。 口 腔 ト レ ー ニ ン グ 口唇の 動きの コ ン ト ロ ー ル力を養う ・ウエハースに舌で穴をあけ る、取り込む。 ・注意喚起し見本を見せる。 ・正しい口形を繰り返し見せ、鏡を見せるなど して、自分の口形にも意識がいくようにする。 ・ラムネをとどめることが難しい場合は、脱力 した舌の形を見せ、真似するよう促す。 ・無理に舌で穴を押し開けようとするためウエハースがわれることが多かった。 ◎ウエハースを担当が持つことで力の調節ができ、穴をあけることができた。 ・舌先を使って口唇の周りにつけたウエハースを取り込むことができた。 ・母音口形は促すと意識することができるが、しばらくすると形が崩れた。 ・母音口形「あ・う」「う・い」 ・ラムネを舌の上に 10 秒と どめる、舌で左右に動かす。 構 音 練 習 「k」の 誘導 ・前を向いてうがいをする。 ・短くうがいをし、「k」を誘導 する。 ・奥舌が挙上することを意識することが難しい 時は、ストローを上歯につけ、舌先がストロー につかないように伝え、舌先が挙上しないこ とを意識付けする。 ・ストロ-で舌先が上がらないように促すと「k」を出すことができるようになっ た。 ほめるとうれしそうに笑顔になり、課題に対する意欲が感じられるようになっ た。 「カ」の 誘導 ・「k」+「あー」 ・間隔を狭め「カ」を導く。 ・「カ」の単音繰り返す。(指 導時間内に 50~100 回目 標とする) ・2~5回連続して発音し、 速さを変える。 ・見本を見せ、正しい音を意識づける。 ・回数を視覚的にわかるように示し、達成感 が感じられるようにする。 ・姿勢保持が難しくなったり、「疲れたー」と言 い始めたりしたら、終わりを意識づけする、一 旦練習を中止し、課題とは関係のない話をす ることなどで、再度、課題に集中できるよう配 慮する。 ・「k」+「あー」は無理なくでき、「カ」の単音を出すことができた。単音が出せる と笑顔になった。 ・単音を繰り返し出す練習では、50~100 回目標としていたが、すぐに集中が 途切れた。 ◎数字を 1~10 まで書き 1 回言うごとに数字に○を付け、回数を意識させると ともに、30~50 回に回数を減らすことで行うことができた。 ≪考察≫ ・見通しをもたせ、励ますことや休憩をはさむことで集中しやすくなる様子があった。 ・できたらすぐにほめることで笑顔になり一生懸命に取り組もうとする姿が見られた。「できた」ことが自信になったようだった。 ・単調な練習内容では集中が続かず、「疲れた」と言ったり、姿勢保持が難しくなったり、離席したりした。 ・開始する前に読んでいる絵本を途中で切り上げることが難しく、最後まで読んでから始めるほうが、課題への取り組みがよかった。

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関わり方 前回できた課題を加え、本児が「できそうだ」と思える設定をする 様子を見ながら励ましたり、課題を少なくしたりする 本児の気持ちに寄り添い、練習とは関係のない話をした時には話を最後まで聞く 量や終わりを視覚でわかるように、絵や文字等を用いて示す 意欲を損なうような声掛けはしない(例:誤った時→おしい、もう少し等) 本児の気持ちが切り替わるまで待つ ③指導 6~8回 ねらい:●単調な練習でも見通しを持ち最後まで行うことができる●「カ」を単語、文章レベルで言うことができる。 [宿題:「カ」無意味音・単語・文章] ねらい 指導内容 関わり方 結果 耳 の 練 習 「カ」の音を 無意味2音 節の中から 聞き出す ・無意味2音節(ウカ、カノ等)の 中に「カ」の音が入っていたら○ を指さし、入っていなかったら× をさす。 ・はっきり単音を出す。 ・できたらすぐにほめる。 ・誤った時は、再度音を聞かせ「カ」との違 いを意識づける。 ・「カ」の聞き出しは、やり方(○×を指さしする方法)を変えずに行った ため、聞き出すことに集中することができ、聞き出すことができた。 「カ」の 語 内 位 置 弁別 ・「カ」の入っている2音節、2~ 4音節の単語内から「カ」の位 置にシールを貼る。 (資料1 教材3 カラス) ・見本を見せる。 ・1回目は位置を聞いて担当がシールを貼 る。 ・誤った時は、再度ゆっくり、はっきり言い、 正しい位置を確認する。 ・弁別はやり方の理解ができず間違いが続き、姿勢保持が難しくなっ た。 ◎注意喚起し、数回見本を見せ、本児が○×を指さし、シールは担当 が貼る役割をすることでやり方を理解することができた。正解するとま た課題に取り組めたが、4音節は難しかった。 「カ」の 正誤弁別 ・単語の絵カードを見せながら 担当が言い、正しく発音できて いたら○を指さし、間違ってい たら×を指さす。 (資料1 教材4 絵カード) ・「カ」を強調して言い、正誤を間違ったら 再度聞くよう促し「カ」音との違いを伝え る。 ・集中が途切れたら、注意喚起をしてから 言う。 ・正誤弁別は、やり方を○×を指さす方法だったため、聞くことに集中で き、弁別することができた。 口 腔 ト レ ー ニ ン グ 口唇の 動きの コ ン ト ロ ー ル力を ・母音口形 「あ・う・お」「え・う・い」 ・正しい口形を繰り返し見せる、鏡を見せ るなどして、自分の口形にも意識がいくよ うにする。 ・母音口形は、繰り返し行うことで正しい口形をとることができるように なった。 ・ラムネを舌の上に 10 秒とどめ る、舌で左右に動かす。 (資料1 写真1 ラムネ) ・脱力した舌の形を見せる。 ・途中で落としたら、できた秒数を伝えあと 少しでできることを強調する。 ・舌を脱力することが難しく、ラムネを落とすことが多かったが、繰り返し 行うことでできるようになり、左右に移動させることは上手にできた。

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ねらい 指導内容 関わり方 結果 構 音 練 習 「カ」の 練習 ・「カ」がつく無意味2~3音を言 う。(語頭→語尾→語中) ・言えたら○をつける。 (資料1 教材5 ボード) ・できたらすぐほめ、誤った時は、単音で発 音してから再度発音するように促す。 ・担当の舌の位置を見せて、奥舌が挙上し ていることを意識付けする。 ・「カ」の単音を出すことができるようになると、出せることがうれしいよ うで宿題も進んで行うようになった。 ・語頭、語尾、語中の無意味音は、回数を示しながら、見通しを持つこと で50回以上取り組むことができた。 「カ」の 練習 ・「カ」がつく単語を言う。 (語頭→語尾→語中) ・正しい時はすぐにほめ、誤った時は、単 音を言ってから再度単語を発音するよう促 す。 ・量がわかるように視覚的に示す。 ・集中が途切れたら、終わりを意識付けし たり、休憩したり、再度、課題に集中できる ようにする。 ・単語練習は日によって回数の変動はあるものの、以前に比べ集中して 行うことができた。 ・誤った時には「奥だよ」と言語のみで伝えても、正しい音を出すことがで きた。 ・「カ」がたくさん入った文章や 絵本を読む ・正しい時はすぐにほめ、誤った時は、単 音を言ってから再度単語を発音するよう促 す。 ・量を視覚的にわかるように示し、自信を つける。 ・集中が途切れたら、終わりを意識付けし たり、休憩したり、再度、課題に集中できる ようにする。 ・単語練習は日によって回数の変動はあるものの、以前に比べ集中して 行うことができた。 ・誤った時には「奥だよ」と言語のみで伝えても、正しい音を出すことがで きた。 ≪考察≫ ・やり方が少し変化したり、複数の情報になったりすると理解が難しかった。 ・繰り返し行うことは、身につきやすい。 ・本児の気持ちが表情や行動に表れたとき(視線がそれる、口に力が入り口角が下がる、「疲れた」と言う、机に伏せる等)に、すぐに対応すること(できた 回数を見せ褒める、回数を減らす、休憩をとる等)で、意欲をなくさずに取り組むことができた。 関わり方 本児の様子の変化を見逃さず、すぐに対応する 宿題は最初に確認し、褒めることで達成感を感じることができる 課題がすすまない時は、できたところまで戻り、意欲をあげる 順番や方法はあまり変えず、簡単なものにする

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④指導 9~11回 ねらい:●やるべきことを理解し行い、楽しんで課題に取り組む。●「カ」音が定着する。●口腔の動きが良くなる。[宿題:「カ」文章・「コ」単語・文章・「ケ」単語・文章] ねらい 内容 関わり方 結果 耳 の 練 習 「コ」「ケ」の 正誤弁別 ・単語の絵カードを見せながら担 当が言い、正しい発音を弁別し○ ×を指さす。 ・集中していないときは、注意喚起を してから単語を言う。 ・集中して聞くことができれば「コ」「ケ」の弁別はできた。 口 腔 ト レ ー ニ ン グ 口唇の 動きの コ ン ト ロ ー ル力を養う ・ウエハースに舌で穴をあける。口 唇の周りにつけ舌で取り込む。 ・「ぱたか」「ぱかた」5回ずつを3セ ット言う。 ・舌の力の強弱が難しい場合は、ウ エハースを担当が持ったり、「そーっ と」と力を 抜くよう意識 付けたり す る。 ・ウエハースを舌で押し、穴をあけようとした。 ◎担当がウエハースを持ち、声掛けをすることでなめてあけることができた。 ・「ぱたか」は、繰り返し行い言うことができた。 構 音 練 習 「カ」の 定着 ・何か(スタンプを押す、ゲーム 等)をしながら「カ」がつく単語を 言う。 ・「カ」がつく言葉が答えになる クイズをする。 ・正しく発音できた時はすぐにほめ、 誤った時は、単音で発音してから再 度発音するように促す。 ・ゲーム している 雰囲気 を 強調す る。 ・スタンプを押すことに意識がいき、単語を言うことを忘れることもあったが、 再度見本を見せ、単語を言うことを強調すると他のことをしながら正しい発音 で言うことができた。 ・ゲームやクイズ中は発音練習を意識せず、笑顔で行うことができ、発音の 誤りもなかった。 「コ」「ケ」 の練習 ・「コ」「ケ」がつく単語、文章を言 う。 (語頭→語尾→語中→文) ・正しく発音できたらすぐにほめる。 ・誤った時は、単音で発音してから 再度発音するよう促す。 ・「コ」「ケ」については、すぐにコツをつかみ、会話中でも正しい発音ができる ようになった。 ≪考察≫ ・口唇の動きが少し良くなり、会話が聞きとりやすくなった。 ・できるところまで戻ることで、意欲を持続することができた。 ・何かをしながらの時は単語を言うことを忘れることがあったが、促すと正しい発音で言うことができた。 ・ゲーム等は勝ちたい気持ちが強く、「いいこと思いついた!」と言ってルールを変更したりしたため、ルール、やるべきことを確認し相手の気持ちを伝える ことが必要だと感じた。 関わり方 早く行うことよりも、ゆっくり丁寧に行うことのほうが良い時があることを伝える ゲーム中にマイルールになった時は、相手がどんな気持ちか気づいてもらえるように、気持ちを言葉で伝える

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⑤指導 12~16回 ねらい:●やるべきことを理解し行い、楽しんで課題に取り組む。●「ク」音を言うことができる。 [宿題:「ク」単音・無意味音] ねらい 内容 関わり方 結果 耳 の 練 習 「ク」の 聞きだし ・正しい音を聞きだし、○ ×を指さす。 ・やるべきことがわかるように絵や文 字であらわす。 ・集中していないときは、注意喚起を する。 ・「ク」の正しい音を確認する。 ・聞き出しはしばらく行っていなかったので、やり方を忘れ、復唱したり、しりとりをし たりした。 ◎見本を見せ、確認をすると理解できた。 ・弁別はやり方がわかればできた。 単語の 正誤弁別 ・単語中の「ク」を弁別し ○×を指さす。 口 腔 ト レ ー ニ ン グ 口唇の 動きの コントロール 力を養う ・ウエハースに舌で穴を あける。口唇の周りにつ け舌で取り込む。(V①) ・舌の力の強弱が難しい場合は、ウエ ハースを担当が持ったり、「そーっと」 と力を抜くよう意識付けたりする。 ・「そーっと」など声掛けをすることでなめてあけることができた。 ・「ぱたか」「ぽとこ」「ぺてけ」は、繰り返し行い言うことができた。 ・「ぱたか」「ぽとこ」「ぺて け」と5回を3セット言う。 構 音 練 習 「ク」の 練習 ・「ク」の単音をいう。 ・「トゥ」になったときは「カ」を言い、再 度「ク」を導く。 ・「カ」を言ってからであれば、「ク」が出しやすい様子であった。9割程度言うことが できた。 ・「ク」がつく無意味2音を 言う。 (語頭→語尾) ・語中に「ク」がつく無意 味3音を言う。(V②) ・スタンプを押しながら発 音する。 ・正しく発音できたらすぐにほめる。 ・「トゥ」になったときは「カ」を言い、再 度「ク」を導く。または、「奥だよ」と言っ て奥舌に意識が行くよう促す。 ・語頭、語尾の無意味音は8割言うことができたが、語中になると6割程度になっ た。 ・スタンプを押しながらでは、5割程度になった。 ◎「カ」を言ったり、奥舌を挙上させることを意識したりすると語中でも9割言うことが できた。 ・「ク」が語頭につく単語 を言う。(V③) ・正しく発音できたらすぐにほめる。 ・「トゥ」になったときは「カ」を言い、再 度「ク」を導く。または、「奥だよ」と言っ て奥舌に意識が行くよう促す。 ・集中が切れると「トゥ」になった。 ◎終わりを意識付けしたり、休憩したり、再度、練習に集中できるよう配慮すると9 割言うことができた。 ≪考察≫ ・「ク」は口形が小さいため、奥舌が上がりにくいのではないか。 ・「ク」音が出ず何回も同じ単語を言うように促すと表情が曇り、口唇の動きも固くなり、声も小さくなった。できる課題に戻ると、表情も戻り取り組む態度 もよくなった。

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6.おわりに ―まとめと今後の課題- 指導の様子をまとめる中で、成果と今後の課題が見えてきた。 成果としては、『課題や教材等を情報は少なく、やるべきことが明確になるようにしたこと で、A 君の課題への取り組む態勢は整えることができた』ように思う。集中することや指示 理解が難しいA 君にとって、何をすればいいのかを理解するためには、見本がある、説明は 短く、刺激や情報が少ない教材、一つの課題時間は短くする、できた達成感がすぐにわかる ことが必要であると考える。 課題としては、『音を出すことに意識が行き過ぎてしまい、本児が課題を楽しめていなかっ たのではないか。』ということである。結果として発音の改善は見られたが、今回の指導方法 がA 君にあっていたかどうかは迷うところである。 私自身、一緒に楽しもうという意識も薄れていたように思う。どのように本児のやる気を 継続させることができるか、課題に取り組んでくれるかなどの関わり方になってしまった。 「練習したら、楽しいゲームができるよ。だから、がんばろう」というご褒美的な感覚の課 題設定であったと思う。本児から「先生、またこれやりたい!」というような課題を準備す ることができると楽しみながら発音練習ができたのではないかと考える。 また、本児が練習に取り組むことが難しい時には、保護者の方から褒めてもらうことより も、「今日はしっかりやろうね」「ちゃんとしなさい」「早くしなさい」等の言葉がけが多かっ たように思う。本児が楽しんで取り組んでいれば、保護者の方をはじめ周りからも褒めても らえることが増え、「できた!」という達成感が感じられやすかったのではないだろうか。 主体的に「楽しいから、またやりたい」と課題に取り組み、笑顔で帰っていく教室であるよ う今後も研鑽していきたい。 7、検討していただきたいこと 指導方針にあげた3項目の中で、カ行音の獲得、やることがしっかりわかり、できた達成 感を感じる、の2項目は達成できたと思うが、担当とやり取りをしながら、楽しんで課題に 取り組むことについては、達成できていないのではないかと考える。以下のことについて検 討していただきたいと考えている。よろしくお願いいたします。 別の指導方法としてはどんなアプローチの仕方があったか 教材をシンプルにするにあたっての工夫の仕方 A 君にとって指導で有効だったと思われる内容や手立てはどのようなところであったか

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【質問事項】

Q 資料2にある「カニ」や「かっぱちゃん」の使い方、使ってみての子どもの反応を教えて

ほしい。

A 「カニ」について

カ音の聞き出しの際、「カ」の音が聞こえたらカニの足となっている洗濯ばさみを取る。

聞き出しが全部終わったらシールの部分に洗濯ばさみを戻す。

「かっぱちゃん」について

かっぱと持ち手が付いたコーヒーフレッシュ容器、「まみむめも」と一文字ずつ書かれた

コーヒーフレッシュ容器を用意。

「カーマ」と言いながらかっぱの容器を「ま」と書かれた

容器の上に置いて移動させると「ま」の容器がかっぱの下に入りなくなる。という方法で無

意味音練習に使った。

「山登り表」について

一つ(練習音の付く)単語を言ったら判子を押す。

Q 指導時間内に単音の繰り返し練習を

50~100 回目標とするとあるが、具体的にどうやって

50~100 回言わせるのか。回数の根拠は何か教えてほしい。

A 月2回程度の指導のため、来たら「カ」をたくさん言う。ある程度の目安がこの回数。

1~10 の数字を 10 列書き、「カ」を言ったら印を付けたり、消したりしていく。(視覚的に

分かる達成の様子でやる気を出させた。

Q 本児は、カ行が言えてないことは最初から自覚はあったのか。

A 多分気付いていなかった。練習中に褒められて気付いた感じだった。

Q 園での様子では一斉指示理解が難しく、集中も続かない。個別の声掛けや一つずつ指示を

出すようにしているということだが、現在の指導中の様子は落ち着いて出来ているように見

える。どのような変化、工夫があったのか。

また、文字を読む場合も誤って発音していたのか。

A 文字は拾い読み程度で読めていた。自信を持って読んでいたが、誤って発音していた。

最初の頃は課題をやらず、集中するためのゲームをやったり、できたら休憩したり、課

題を達成できたら、菓子を使った口腔トレーニングをやったりした。

スケジュールにシールを貼るという作業も(本児が好きなシールを)選んで貼ることが休

憩となるようにしていた。不器用で枠からはみ出ることはあったが貼ることはできた。

Q とんがりコーンは使わなかったのか。

A 割れたことを理由に食べて終わりと言う状況が予想されたのでやらなかった。

【検討事項】

・子どもの音が出る度に、先生が「そう。上手。

」という声掛けをするのが印象的だった。そう

やって覚えていくのだなと感じた。

・丁寧に聴覚弁別をやっていてすばらしい。自分の出している音が合っているのかどうかわから

ないと効果は上がらない。

・教材が工夫されている。

・発音練習は集中が必要。課題は手際よく提示していく。

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・単音を

100 回言う練習では、1回1回ではなく、10 回を一単位として印を付けていく。そう

すれば

100 回はすぐに達成できる。

・「ライオン」の教材は(ひもの長さに合わせて)「カーア(ひもが止まった所でアを発音)」と

言った具合に無意味音節の練習に利用できる。

「かっぱちゃん」の教材も何回かやった後に取るというようにした方が良い。

Q うがいからの誘導の仕方を詳しく教えてほしい。

A 口の中にストローで水を入れる。「うがいしてみるよ。」

実際は水が入っていないが、

「お水入れるよ。うがいしてみるよ。

「すごいね。

」これを繰り

返しやる。

前を見てうがい。できなかったら上を向いてうがい。繰り返し行う。前を向いてうがい(k

の音)ができたら、弱くやるために「そっとやっていくよ。

」の声掛けをする。常に見本を見

せながら行う。

この指導への提案

「その舌の形。その舌の形覚えておいてよ。

」という声掛けが必要。それによって強化できる。

「上手にできたね。

」だけでは何が上手にできたかわからない。何を上手にしてもらいたいかを伝

える。

「カ」の時の奥の舌の形が盛り上がって上にくっついて、閉鎖を作ってパッと離れるその舌の

形を子どもに分かってもらいたい。その形を覚えてもらうことで楽に指導が進められる。

Q 無意味音節の練習をしていた時に口腔機能訓練として「パタカ」をやっているがこれはな

ぜか。

A 前で出して、奥で出して、前で出すという舌の動きと、口唇の動きをよくするために。そ

れにプラスして、カ行の練習をしている子なので「カ」の定着も兼ねて行った。

この指導への提案

「パタカ」が言えれば無意味2音節はすごく簡単なこと。この子の場合「カ」の単音からもっ

と早い段階に無意味音節の練習に移ってもよかったと思う。

「パ」も「タ」も「カ」も破裂音

でどこが違うかというと、構音点。構音点の違いをはっきりさせるために「パタカ」をやらせ

る。

聴覚刺激はとても大切。本人が「パタカ」の聴覚弁別がしっかりできてから言わせた方が良

い。

Q 2音節の復唱をさせている時に、口形練習をさせているのはなぜか。

A 口形を取りにくい子なので。

この指導への提案

単音の時に色々な(単)音を出す。カラスの鳴き声などに例えて色々な「カ」を言わせる。

どんな「カ」になっても出せる態勢を整える。単純に単音を繰り返すだけでなく、バリエーショ

ンを付ける。子どももその方が楽しい。

他に「カニさんが出てきたら『カ』って言ってよ。

」などの方法。

Q なぜラムネをのせていたのか。

A 奥舌が上がらなかったので、舌のコントロールをするためや力を抜くためにやっていた。

Q (舌を)横に動かすのは。

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A 舌のコントロールのため。(口中で)舌でラムネを動かす。直接「カ」にはつながらないと思

うが、コントロールすることを重視した。

この指導への提案

「カ」のための口腔トレーニングであれば、うがいである。

イ列音の歪みの場合は舌癖トレーニングとして舌を斜めにしたり、全体の筋肉を鍛えたりする

ものがある。この子の場合、サ行は自然改善しているので、この舌のトレーニングをする意味

があまりない。

ウエハースを使った練習も、舌の癖がすごく強い側音化構音や口蓋化構音の子には、舌をと

がらせる練習、舌を前に出す練習、舌を広げる練習が必要だと思われる。しかし、この子の場合

は必要ない。やるのであれば、うがいや破裂音を意識させる練習だが、別にやらなくてもよい。

Q 単語練習中は担当者の発する言葉を復唱していたのか。文字を見ながらなのか。

A 文字と担当者の言葉を聞いて言っていた。

この指導への提案

絵カードを使ったらどうだろうか。物の事象と言葉が結びついて、言葉の理解も深まる。文字

だけでなく絵カードの視覚情報もあったらもっと楽しくできる。

【他の実践例】

・うがい練習の際、口の前にティッシュや鼻息鏡を置いて水を出す(飛ばす)うがいを意識して

やらせる。

・米はぜ菓子をとばすように練習する。

・舌圧子で舌先を押さえながら「タ」と言わせ、

「カ」が出たら)「今のが『カ』って言う音だ

よ。

」と言って耳を鍛えた。

・ストローの代わりに「らくがきせんべい」の注射器を使った。細かい水の量の調節ができた。

・ウエハースを使った指導で割れてしまう場合、

(北浜小)浅村先生が作られた「♩ぺろっ ぺろ♩」

の歌を使うと、楽しく、力が入らずできた。

【指導上困っていること】

Q 「カ」が出るようになったら「タ」と混同するようになってしまった。(どうしたらよい

か。

)文字は読めない。特別支援対象の子。

A 「たぬき」と「かに」の絵カードをフラッシュカードのようにして出す。

A 特別支援学級の子どもだと知的発達の度合いが定着に関係する。聴覚記憶が劣るため時間

が掛かる。無意味音節→単語。単語の練習をしている内から会話の方に音が入ってくるが、

その時点ではまだ混同している。まだ単音の段階であるので、構音の獲得過程の途中にすぎ

ないと考えればよい。単語練習の後、文章の復唱練習、その後定着へと持っていく。一過程

に過ぎないので丁寧にステップを踏んでやっていく。また、長い文章は覚えられないので、

3文節程度の文を繰り返し練習する。

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教材1 ひも引き ひ も を 引 く 教材2 ホワイトボード 教材3 カラス 教材4 単語絵カード 教材5 ホワイトボード 資料 1 写真1 ラムネ

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資料2

カニ

ターゲットの音を聞きだし、あっていた ら洗濯ばさみをとる。 聞き出しが終わったら、シールの部分 に洗濯ばさみを付けていく。 かっぱちゃん (無意味音練習) ターゲットの音を書いて、50音中の行をコーヒーフレ ッシュ容器の裏に書き並べる。ターゲットの音のところ に「カッパちゃん」(コーヒーフレッシュ容器)をおく。持 ち手がついているので、カッパちゃんが移動した所の 音を言っていく。 ① ターゲットの音を言う ②かっぱちゃんを移動させ、次の音を言う ③かっぱちゃんで重ねとる ④ターゲットの音に戻る

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このように、このWの姿を捉えることを通して、「子どもが生き、自ら願いを形成し実現しよう

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自然言語というのは、生得 な文法 があるということです。 生まれつき に、人 に わっている 力を って乳幼児が獲得できる言語だという え です。 語の それ自 も、 から