ハーボニー
®
配合錠
第 2 部(モジュール 2):CTD の概要(サマリー)
2.4 非臨床試験の概括評価
目次
1. 非臨床試験の概括評価 ... 10 1.1 非臨床試験計画概要 ... 10 1.1.1 レジパスビル ... 10 1.1.2 レジパスビル/ソホスブビル ... 11 2. 薬理試験 ... 13 2.1 効力を裏付ける試験 ... 13 2.1.1 レジパスビル ... 13 2.1.2 レジパスビル/ソホスブビル ... 13 2.2 副次的薬理試験 ... 14 2.2.1 レジパスビル ... 14 2.2.2 レジパスビル/ソホスブビル ... 14 2.3 安全性薬理試験 ... 15 2.3.1 レジパスビル ... 15 2.3.2 レジパスビル/ソホスブビル ... 15 2.4 薬力学的薬物相互作用試験 ... 15 2.4.1 レジパスビル ... 15 2.4.2 レジパスビル/ソホスブビル ... 16 3. 薬物動態試験 ... 17 3.1 分析法 ... 17 3.1.1 レジパスビル ... 17 3.2 吸収 ... 17 3.2.1 レジパスビル ... 17 3.2.2 レジパスビル/ソホスブビル ... 18 3.3 分布 ... 18 3.3.1 レジパスビル ... 18 3.3.2 レジパスビル/ソホスブビル ... 193.4 代謝 ... 19 3.4.1 レジパスビル ... 19 3.4.2 レジパスビル/ソホスブビル ... 21 3.5 排泄 ... 21 3.5.1 レジパスビル ... 21 3.5.2 レジパスビル/ソホスブビル ... 21 3.6 薬物動態学的薬物相互作用 ... 21 3.6.1 レジパスビル ... 21 3.6.2 レジパスビル/ソホスブビル ... 23 4. 毒性試験 ... 24 4.1 概括評価 ... 24 4.2 単回投与毒性試験 ... 24 4.2.1 レジパスビル ... 24 4.2.2 レジパスビル/ソホスブビル ... 24 4.3 反復投与毒性試験 ... 24 4.3.1 レジパスビル ... 24 4.3.2 レジパスビル/ソホスブビル ... 25 4.4 遺伝毒性試験 ... 25 4.4.1 レジパスビル ... 25 4.4.2 レジパスビル/ソホスブビル ... 26 4.5 がん原性試験 ... 26 4.5.1 レジパスビル ... 26 4.5.2 レジパスビル/ソホスブビル ... 26 4.6 生殖毒性試験 ... 26 4.6.1 レジパスビル ... 26 4.6.2 レジパスビル/ソホスブビル ... 27 4.7 局所刺激性試験 ... 27
4.7.1 レジパスビル ... 27 4.7.2 レジパスビル/ソホスブビル ... 28 4.8 その他の毒性試験 ... 28 4.8.1 抗原性 ... 28 4.8.2 免疫毒性 ... 28 4.8.3 代謝物に関する試験 ... 28 4.8.4 不純物及び分解生成物 ... 28 4.8.5 その他の毒性試験 ... 29 4.9 曝露量比 ... 29 5. 総括及び結論 ... 33 6. 参考文献 ... 36
表目次
表 2.4- 1 レジパスビルの各種非臨床試験での NOAEL における曝露量と HCV 感染患者に 本剤(レジパスビル 90 mg 及びソホスブビル 400 mg 含有)を投与したとき の曝露量に基づくレジパスビルの曝露量比 ... 31 表 2.4- 2 ソホスブビル又は GS-9851 の各種非臨床試験での NOAEL における曝露量と HCV 感染患者に本剤(レジパスビル 90 mg 及びソホスブビル 400 mg 含有) を投与したときの曝露量に基づくソホスブビル及び GS-331007 の曝露量比 ... 32図目次
レジパスビル並びにソホスブビル、そのジアステレオマー及び代謝物の説明
開発番号 (旧開発番号) 一般名 略称 構造式 説明 GS-5885 レジパスビル LDV N N N O O O N N N N O F F H H H H N H O O 有効成分 methyl [(2S)-1-{(6S)-6-[5-(9,9- difluoro-7-{2-[(1R,3S,4S)-2-{(2S)-2- [(methoxycarbonyl)amino]-3- methylbutanoyl}-2- azabicyclo[2.2.1]hept-3-yl]-1H- benzimidazol-6-yl}-9H-fluoren-2-yl)- 1H-imidazol-2-yl]-5- azaspiro[2.4]hept-5-yl}-3-methyl-1-oxobutan-2-yl]carbamate GS-7977 (PSI-7977) ソホスブビル SOF O N NH O O O P O HN O O O F HO 有効成分 ヌクレオチドプロドラッグ GS-491241 (PSI-7976) O N NH O O O P O HN O O O F HO ヌクレオチドプロドラッグ ジアステレオマー GS-9851 (PSI-7851) O N NH O O O P O HN O O O F HO ヌクレオチドプロドラッグ:ソホ スブビル及びそのジアステレオマ ー(GS-491241)の混合物(1: 1) GS-331007 (PSI-6206) O N NH O O HO F HO 代謝物 ヌクレオシド誘導体 GS-606965 (PSI-7411) O N NH O O O P O -O O -F HO 代謝物 ヌクレオシド誘導体一リン酸 GS-461203 (PSI-7409) O N NH O O O P O O O -F HO P O O -O P O -O O -活性代謝物 ヌクレオシド誘導体三リン酸略号一覧
略号 日本語 英語
AhR 芳香族炭化水素受容体 aryl hydrocarbon receptor
AUC 濃度-時間曲線下面積 the area under the concentration versus time curve
AUClast 時間 0 から血漿中濃度定量可能最
終時点までの濃度-時間曲線下面 積
the area under the concentration versus time curve from time zero to the last quantifiable concentration
AUC0−xx 時間 0 から x 時間までの濃度-時
間曲線下面積
partial area under the concentration versus time curve from time “0” to time “xx”
AUCtau 1 投与間隔当たりの濃度曲線下面
積
area under the concentration versus time curve over the dosing interval
BCRP 乳がん耐性タンパク質 breast cancer resistance protein BSEP 胆汁酸塩排泄ポンプ bile salt export pump
BVDV 牛ウイルス性下痢ウイルス bovine viral diarrhea virus
CC50 50%細胞毒性濃度 drug concentration that results in a 50%
reduction in cell viability
CL クリアランス clearance
Cmax 最高血漿中濃度 the maximum plasma concentration of drug
CYP シトクロム P450 cytochrome P450
EC50 50%効果濃度 half maximal effective concentration or effective
concentration of compound causing 50% of maximal inhibition
ECG 心電図 electrocardiogram
GLP 医薬品の安全性に関する非臨床試
験の実施の基準
Good Laboratory Practice
GT ジェノタイプ genotype
HBV B 型肝炎ウイルス hepatitis B virus HCV C 型肝炎ウイルス hepatitis C virus
HepG2 ヒト肝がん細胞株 human hepatocarcinoma cell line hERG ヒト ether-à-go-go 関連遺伝子 human ether-à-go-go related gene HIV ヒト免疫不全ウイルス human immunodeficiency virus HRV ヒトライノウイルス human rhinovirus
HPMC ヒドロキシプロピルメチルセルロ ース
hydroxypropylmethylcellulose
ICH 日米 EU 医薬品規制調和国際会議 International Conference on Harmonisation IC50 50%阻害濃度 half maximal inhibitory concentration or
concentration of compound causing 50% of maximal inhibition
IRES 内部リボソーム進入部位 internal ribosome entry site
略号一覧(続き)
略号 日本語 英語
MATE 有機カチオン/H+交換トランスポ
ーター
multidrug and toxin extrusion transporter
mRNA メッセンジャーリボ核酸 messenger RNA
MRP 多剤耐性関連タンパク質 multidrug resistance associated protein MT-4 ヒト T 細胞白血病細胞株 human T cell leukemia cell line NOAEL 無毒性量 no observed adverse effect level NS 非構造タンパク質 nonstructural protein
OAT 有機アニオントランスポーター organic anion transporter OATP 有機アニオントランスポータータ
ンパク
organic anion transporting polypeptide
OCT 有機カチオントランスポーター organic cation transporter PG プロピレングリコール propylene glycol
P-gp P-糖タンパク質 P-glycoprotein PI プロテアーゼ阻害剤 protease inhibitor
PK 薬物動態 Pharmacokinetics
PXR プレグナン X 受容体 pregnane X receptor RNA リボ核酸 ribonucleic acid
RO 逆浸透 reverse osmosis
RSV RS ウイルス respiratory syncytial virus
SD - Sprague-Dawley
Solutol® HS-15 ポリエチレングリコール(15)-ヒド
ロキシステアリン酸
polyethylene glycol 15-hydroxystearate TK トキシコキネティクス toxicokinetics
TTC 毒性学的懸念の閾値 threshold of toxicological concern UGT ウリジン二リン酸-グルクロン酸
転移酵素
1. 非臨床試験の概括評価
本剤は、1 錠中にレジパスビル(GS-5885)90 mg 及びソホスブビル(GS-7977)400 mg を有効 成分として含有する配合錠であり、C 型肝炎ウイルス(HCV)感染症の治療薬として開発された。 ソホスブビルは、ソバルディ®錠 400 mg として平成 26 年 6 月 27 日に承認申請した。 ソホスブビルの非臨床試験に関する資料は、ソバルディ®錠 400 mg 申請時に提出済みであり、 結果は既提出のソホスブビルの CTD 2.4 及び CTD 2.6 に要約した。本 CTD では、レジパスビル 又はレジパスビル/ソホスブビル併用で実施した非臨床試験について記載し、レジパスビル/ソ ホスブビル併用時の影響について考察した。 ソホスブビルは、HCV の非構造タンパク質(NS)5B ポリメラーゼに対する特異的な新規のヌ クレオチド阻害薬で、in vitro で HCV レプリコンリボ核酸(RNA)の複製に強い阻害作用を示す。 レジパスビルは HCV の複製[1]及び HCV 粒子の会合[2、3]に必須である NS5A を標的とす る新規の HCV 阻害薬で、ジェノタイプ(GT)1a 及び 1b 型の HCV に対して強力な阻害作用を示 す。 レジパスビルの主要な安全性薬理試験、毒性試験及びトキシコキネティクス(TK)試験は、 日米 EU 医薬品規制調和国際会議(ICH)が発行するガイドライン及び医薬品の安全性に関する 非臨床試験の実施の基準(GLP)に準拠して実施した。予備試験及び探索的試験は、GLP に準拠 した試験施設で実施するか、又は適切な試験計画書及び文書に従って実施することでデータの信 頼性を確保した。1.1 非臨床試験計画概要
1.1.1
レジパスビル
レジパスビルの臨床使用を裏付けるために必要な非臨床試験は全て完了している。これらの非 臨床試験には、一連の効力を裏付ける試験及び副次的薬理試験、安全性薬理コアバッテリー試験、 薬物動態(PK)試験、反復投与毒性試験、遺伝毒性試験、受胎能・初期胚発生・出生前及び出 生後の発生に関する生殖発生毒性試験、皮膚及び眼刺激性試験、皮膚感作性試験、光毒性試験、 不純物に関する毒性試験、レジパスビルフリー体及び D-酒石酸塩の比較試験並びにマウスがん 原性試験を含む。ラットがん原性試験は進行中である。 レジパスビルは in vitro でレプリコン細胞において HCV の複製を強く阻害する新規の HCV NS5A 阻害剤である。レジパスビルは GT 1a 型及び 1b 型レプリコン細胞に対して強い抗ウイルス 活性を示し、その 50%効果濃度(EC50値)の平均値はそれぞれ 0.031 及び 0.004 nmol/L であった。 また、GT 2~6 型レプリコン細胞に対しても抗ウイルス活性を示し、その EC50値は 0.15~ 530 nmol/L であった。正確な阻害機構はまだ解明されていないが、レジパスビルの標的が NS5A であることを裏付ける試験結果が幾つか認められている。In vitro 耐性発現試験では、レジパスビ ル耐性変異が NS5A 遺伝子で認められ、レジパスビル耐性変異をコードする HCV レプリコン細 胞は NS5A 阻害剤であるダクラタスビルに交差耐性を示す。生化学的試験では、レジパスビルはNS3 プロテアーゼ、NS3 ヘリカーゼ、NS5B ポリメラーゼ、HCV 内部リボソーム進入部位(IRES) 活性及び一連のキナーゼ活性に明らかな阻害作用を示さず、レジパスビルの特異性が示された。 NS3 プロテアーゼ阻害剤(PI)並びにヌクレオシド及び非ヌクレオシド NS5B ポリメラーゼ阻害 剤など、他の種類の HCV 阻害剤の耐性変異体に対する in vitro 試験で、レジパスビルはこれらの HCV 変異体において抗ウイルス活性を保持しており、その特異性がさらに確認された。 非臨床安全性試験は、レジパスビルのフリー体、D-酒石酸塩及びアセトン和物を用いて実施し た。フリー体は、重要な反復投与毒性試験並びに初期の非臨床及び臨床試験で使用された。アセ トン和物は医薬品有効成分であり、これは製剤の製造工程で次に非晶質フリー体であるレジパス ビル噴霧乾燥分散品へと変換される。 レジパスビルの pH 7.0 の水溶液に対する溶解性は低く、絶食及び摂食状態を反映した人工腸液 に対しても、同様に溶解性は低い。溶液として投与すると、検討した全ての動物種において曝露 量が投与量比を下回る増加を示し、高用量では吸収の飽和が認められた。初期開発プログラムで は、毒性試験においてレジパスビルの最大の経口曝露量を得るために、60%及び 100%有機溶媒 や水性懸濁液など、数種類の溶媒を検討した。 毒性試験では、レジパスビルはラットでは 26 週間まで、イヌでは 39 週間まで忍容性は良好で あった。レジパスビルは各動物種及びヒト血漿中では主として未変化体で存在したため、主な毒 性試験での無毒性量(NOAEL)におけるレジパスビル未変化体の曝露量と HCV 感染患者に 1 日 1 回本剤を投与したときのレジパスビルの臨床曝露量を比較し、ヒトに対する曝露量比を算出し た。レジパスビルはいずれの動物種でも同程度の高いタンパク結合(99.9%以上)を示したため、 曝露量比は総薬物濃度に基づいて求めた。
1.1.2
レジパスビル/ソホスブビル
In vitro 薬理試験でレジパスビル/ソホスブビル併用による抗ウイルス作用及び細胞毒性を HCV レプリコン細胞を用いて検討した。PK 及び毒性試験では、レジパスビル/ソホスブビル併 用による試験は実施しなかった。 レジパスビル/ソホスブビル併用による薬理試験では GT 1a 型及び 1b 型レプリコン細胞で相 加的な抗ウイルス活性を示し、細胞毒性はみられなかった。また、両薬剤間に交差耐性は認めら れなかった。したがって、本剤は、強力な抗ウイルス活性及び好ましい耐性プロファイルを示す と考えられる。 PK 試験は、レジパスビル及びソホスブビルの毒性試験で使用する動物種選択の裏付けとなる。 動物でのレジパスビル及びソホスブビルの PK はヒトでの臨床試験で得られた PK と同様であっ た。レジパスビル及びソホスブビルは消化管排出トランスポーターである P-糖タンパク質(P-gp) 及び乳がん耐性タンパク質(BCRP)の基質であるため、これらのトランスポーターの阻害剤又 は誘導剤との併用で消化管吸収が増加又は低下する。レジパスビルは、P-gp 及び BCRP の阻害剤 であるため、これらのトランスポーターの基質となる薬剤の消化管吸収を増加させる可能性があ る。したがって、レジパスビルは消化管排出トランスポーターを阻害することで、ソホスブビル の消化管吸収及び血漿中曝露を増大させる可能性がある。一方、レジパスビル及びソホスブビルともに、肝臓又は全身循環におけるトランスポーターを介した薬物相互作用の可能性は少ないと 考えられる。この両薬剤の代謝及び排泄プロファイルは明確に異なるため、消化管での薬物相互 作用以外に懸念される薬物相互作用はないと考えられる。 レジパスビル及びソホスブビルは、それぞれ単味での毒性プロファイルが特徴づけられており、 レジパスビル及びソホスブビルの併用は既知の毒性を悪化させることはなく、新たな毒性を引き 起こすこともないと予想される。したがって、レジパスビル及びソホスブビルの併用投与毒性試 験は実施しなかった。臨床で予定する本剤の 1 日 1 回 1 錠経口投与(レジパスビル 90 mg 及びソ ホスブビル 400 mg)に際し、注意すべき毒性学的所見は認められていない。 本 CTD で考察する非臨床試験結果は、成人における HCV 感染症治療に使用する本剤の好まし いベネフィット-リスクプロファイルを裏付けるものである。
2. 薬理試験
2.1 効力を裏付ける試験
2.1.1
レジパスビル
レジパスビルは GT 1a 型及び 1b 型レプリコン細胞に対して強い抗ウイルス活性を示し、EC50 値はそれぞれ 0.031 及び 0.004 nmol/L であった(試験番号 PC-256-2037;2.6.2.2.1.1項)。GT 1a 型 及び 1b 型の臨床分離株の NS5A 配列をコードするキメラレプリコン細胞に対するレジパスビル の EC50 値 の 中 央 値 は 、 そ れ ぞ れ 0.018 nmol/L( 範 囲 :0.009~0.085 nmol/L、N=30) 及 び 0.006 nmol/L(範囲:0.004~0.007 nmol/L、N=3)であった(試験番号 PC-256-2032;2.6.2.2.1.3 項)。また、レジパスビルは GT 2~6 型レプリコン細胞に対しても抗ウイルス活性を示し、その EC50値 は 0.15~530 nmol/L で あ っ た ( 試 験 番 号 PC-256-2037;2.6.2.2.1.1 項 )。HCV GT 2a (J6/JFH-1)型感染細胞に対するレジパスビルの EC50値は 3.2~8.5 nmol/L であった(試験番号 PC-281-2007 及び PC-256-2014;2.6.2.2.1.2項)。 40%ヒト血清存在下で、GT 1a 型レプリコン細胞に対するレジパスビルの活性は 1/11.6 に低下 した(試験番号 PC-281-2007;2.6.2.2.1.4項)。 GT 1a 型及び 1b 型のレプリコン細胞を用いたレジパスビルの in vitro 耐性発現試験において、 Y93H が主な変異として検出され、レジパスビルに対する感受性低下(EC50値が 1000 倍以上)を 示した。GT 1a 型では Q30E 変異も検出された(試験番号 256-2029、256-2031 及び PC-256-2016;2.6.2.2.1.5項)。また、GT 1a 型では、NS5A アミノ酸 24、28、30、31、32、38、58、 92 及び 93 位の変異、GT 1b 型では、NS5A アミノ酸 31、32、58、92、93 位の変異によりレジパ スビルに対する感受性低下(EC50 値が 2.5 倍以上)が認められた(試験番号 PC-256-2017、 PC-281-2023 及び PC-337-2005;2.6.2.2.1.6.1 項)。一方、ソホスブビルの主な耐性変異である S282T を含め、報告されている NS3 PI 並びに NS5B ヌクレオシド及び非ヌクレオシド阻害剤関連 耐性変異は、いずれもレジパスビルに対して交差耐性を示さなかった(試験番号 PC-256-2017、 PC-256-2033、PC-334-2010 及び PC-334-2006;2.6.2.2.1.6.2項)。2.1.2
レジパスビル/ソホスブビル
レジパスビル/ソホスブビル併用による GT 1a 型及び 1b 型レプリコン細胞に対する抗ウイル ス作用を検討した結果、いずれの GT でも相加的な抗ウイルス活性が認められた。レジパスビル /ソホスブビル併用による拮抗作用は認められなかった。同様の結果が GT 2~4 型レプリコン細 胞でも認められた(試験番号 PC-334-2004 及び PC-334-2014;2.6.2.2.2.1項)。 In vitro 交差耐性試験では、レジパスビルとソホスブビルとの交差耐性を認めず、ソホスブビル に対する感受性低下を示す NS5B S282T 変異レプリコンは、レジパスビルに対し十分な感受性を 示した。同様に、レジパスビルに対する感受性低下を示す一連の NS5A 変異体に対し、ソホスブ ビルは十分な活性を示した。2.2 副次的薬理試験
2.2.1
レジパスビル
HCV 以外のウイルス[フラビウイルス科牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)、RS ウイルス (RSV)、B 型肝炎ウイルス(HBV)、1 型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)、ヒトライノウイルス (HRV)、インフルエンザ A 及び B 並びに一連のフラビウイルス(ウエストナイルウイルス、黄 熱ウイルス、2 型デングウイルス及びバンジウイルス)]に対するレジパスビルの抗ウイルス活 性を検討した結果、レジパスビルは薬理学的作用濃度において、いずれのウイルスに対しても活 性を示さなかったため、レジパスビルの抗ウイルス活性は HCV に対して高度な特異性を示すも のと考えられた(試験番号 PC-256-2018 及び PC-256-2036;2.6.2.3.1.1 項)。レジパスビルの細胞 毒性をレプリコン細胞(1b-Rluc-2、Huh-luc、1a-HrlucP、HepG2 及び SL-3)及びヒト肝がん細胞 (HepG2)など複数の細胞株を用いて検討した結果、いずれの細胞に対してもレジパスビルの細 胞毒性は弱く、レジパスビル 3 日間及び 7 日間処理後の 50%細胞毒性濃度(CC50値)はそれぞれ 5.91~50 µmol/L 超及び 4.03~27.96 µmol/L、レジパスビル 5 日間処理後のヒト T 細胞白血病細胞 株(MT-4)に対する CC50値は 2.79 µmol/L であった。レジパスビルは高い選択性を示し、レプリ コン細胞での選択指数(CC50/EC50)は 837,000 倍超であった(試験番号 PC-256-2013 及び PC-256-2018;2.6.2.3.1.2 項)。一連のイオンチャネル及び受容体に対するレジパスビルの結合能 を放射性リガンドを用いて評価したところ、10 µmol/L で 3 つのイオンチャネル(ナトリウムチ ャネル site 2 及び 2 種類の L 型カルシウムチャネル)及び 1 つの受容体(アンドロゲン受容体) に対して強い結合能を示したが、レジパスビルの抗ウイルス活性を示す濃度と受容体阻害作用を 示す濃度に大きな開きがあることを考慮すると、これらのイオンチャネル及び受容体に対するレ ジパスビルの結合能の臨床上での意義は低いと考えられた(試験番号 PC-256-2020;2.6.2.3.1.3 項)。レジパスビルは、NS3/4A プロテアーゼ、NS3 ヘリカーゼ、NS5B ポリメラーゼ及び HCV IRES 活性に対して明らかな阻害作用を示さなかった。また、NS5A タンパク質は高度にリン酸化 されているため、レジパスビルによる HCV 複製の阻害にキナーゼ活性が関与しているか否かを 明らかにする目的で、一連のキナーゼに対するレジパスビルの作用を検討した結果、レジパスビ ルがキナーゼを阻害することによって NS5A 阻害作用を示す可能性は低いと考えられた(試験番 号 PC-256-2019 及び PC-256-2011;2.6.2.3.1.4項)。2.2.2
レジパスビル/ソホスブビル
レジパスビル(0.014~1760 nmol/L)とソホスブビル(320 nmol/L)の併用による細胞毒性を GT 1b 型、2a 型、3a 型及び 4a 型レプリコン細胞を用いて検討した結果、いずれも明らかな細胞 毒性は認められなかった(試験番号 PC-334-2014;2.6.2.3.2.1項)。 レジパスビル及びソホスブビルは標的外分子に対して作用する可能性は低いことから、レジパ スビル/ソホスブビル併用でのさらなる他の副次的薬理試験は実施しなかった。2.3 安全性薬理試験
2.3.1
レジパスビル
レジパスビルの中枢神経系、心血管系及び呼吸器系に対する影響を検討するため、安全性薬理 コアバッテリー試験を実施した。ラットにレジパスビルを単回経口投与した時の中枢神経系に対 する作用を Irwin 法により評価した結果、最高用量である 100 mg/kg まで影響は認められなかっ た(試験番号 PC-256-2007;2.6.2.4.1.1項)。レジパスビル(0.25 及び 0.50 µmol/L)は溶媒対照と 比較して、ヒト ether-à-go-go 関連遺伝子(hERG)カリウムチャネル電流を有意に阻害しなかっ た。レジパスビルの溶媒への溶解度が低いため 50%阻害濃度(IC50)は算出できなかったが、 0.50 µmol/L を超えると推定される(試験番号 PC-256-2008;2.6.2.4.1.2.1 項)。レジパスビル単回 経口投与の心血管系に対する作用を、覚醒ビーグル犬を用いたテレメトリー法により評価した結 果、最高用量である 30 mg/kg まで血行動態及び心電図(ECG)パラメーターに影響は認められ なかった(試験番号 PC-256-2005;2.6.2.4.1.2.2 項)。このときの曝露量は、イヌ 2 週間反復投与 毒性試験での 30 mg/kg 初回投与後のレジパスビル曝露量[最高血漿中濃度(Cmax)=4.6 μg/mL (雌雄合算)](2.6.7.7.4 項)に基づくと、本剤を投与した HCV 感染患者におけるレジパスビル 曝露量(Cmax=0.364 μg/mL;2.7.2.3.4.8 項)の 13 倍であった。ラットを用いてレジパスビルの呼 吸器系への作用をヘッドアウト式プレチスモグラフィーにより評価した結果、最高用量である 100 mg/kg まで呼 吸器系パラ メーターに 影響は認め られなかっ た(試験番号 PC-256-2006; 2.6.2.4.1.3項)。2.3.2
レジパスビル/ソホスブビル
レジパスビル及びソホスブビルは、いずれも中枢神経系、心血管系及び呼吸器系に対して生物 学的意義のある作用を示さなかった。両剤で重複する安全性上の問題が認められないため、中枢 神経系、心血管系及び呼吸器系に対して併用による著しい影響が認められる可能性は低いと考え られる。以上の理由から、レジパスビル/ソホスブビル併用による安全性薬理試験は実施しなか った。2.4 薬力学的薬物相互作用試験
2.4.1
レジパスビル
レジパスビルと他の抗 HCV 薬との併用による影響を in vitro で検討した。レジパスビルをソホ スブビルと併用した時、相加的な抗ウイルス活性が示された。レジパスビルをインターフェロ ン-α 又はリバビリンと併用した時、それぞれ弱い又は中等度の相乗的な抗ウイルス作用が認めら れた。また、レジパスビルを NS3 PI(boceprevir、シメプレビル及びテラプレビル)又は NS5A 阻害剤ダクラタスビルと併用した時、相加的な抗ウイルス作用が認められた。レジパスビルと併用した薬剤との間にはいずれも有意な拮抗作用は認められなかった(試験番号 PC-334-2004、 PC-256-2015 及び PC-256-2035;2.6.2.5.1.1項)。 抗 HCV 薬は HIV に重複感染した患者の治療に使用される可能性があるため、レジパスビルの 抗ウイルス活性に対する抗 HIV 薬の影響を検討した結果、レジパスビルの EC50値はいずれの抗 HIV 薬の存在下でも同程度であり、検討した抗 HIV 薬はレジパスビルの抗ウイルス作用に拮抗 しないことが示唆された。また、抗 HIV 薬の EC50値はいずれもレジパスビルの存在下で同程度 で あ り 、 レ ジ パ ス ビ ル は 抗 HIV 薬 の 作 用 に 拮 抗 し な い こ と が 示 唆 さ れ た ( 試 験 番 号 PC-256-2034;2.6.2.5.1.2項)。
2.4.2
レジパスビル/ソホスブビル
レジパスビル又はソホスブビルをそれぞれ他の抗 HCV 薬と併用した時、いずれも拮抗作用を 示さなかった。また、レジパスビル又は GS-9851(ソホスブビル及びそのジアステレオマーGS-491241 の混合物)と抗 HIV 薬との併用により、HCV レプリコン細胞に対する作用及び HIV 感染 細胞に対する作用にいずれも影響は認められなかった。以上の理由から、レジパスビル/ソホス ブビル併用による追加の薬力学的薬物相互作用試験は実施しなかった。3. 薬物動態試験
レジパスビルの吸収、分布、代謝及び排泄プロファイルについて、in vitro 試験及び in vivo 試 験での評価を行った。また、レジパスビルと他剤併用時の薬物動態学的薬物相互作用についても 検討した。なお、レジパスビル/ソホスブビル併用での PK については、単味での結果に基づい て考察した。
3.1 分析法
3.1.1
レジパスビル
レジパスビルの GLP に準拠した TK 試験ではバリデートされた分析法を用いた。その他の試験 では適切な試験計画書に基づいて測定を実施し、データの信頼性を確保した(2.6.4.2 項及び 2.6.5.2項)。3.2 吸収
3.2.1
レジパスビル
3.2.1.1 In vitro 試験 Caco-2 単層膜細胞を用いたレジパスビルの膜透過性試験で、レジパスビルの良好な膜透過性が 示され、efflux ratio も 1 未満であった。しかし、ウェルなどへの吸着がみられたことから、本試 験での結果は過小評価されている可能性も考えられた(試験番号 AD-256-2108;2.6.4.3.1.1項)。 3.2.1.2 単回投与 ラット、イヌ及びサルでのレジパスビル単回経口投与後の絶対的バイオアベイラビリティは、 それぞれ 33、53 及び 42%であった。また、いずれの動物種でも静脈内投与後の分布容積は大き く 、 ク リ ア ラ ン ス は 低 か っ た ( 試 験 番 号 AD-256-2102、AD-256-2103 及 び AD-256-2104; 2.6.4.3.1.2.1.1項)。 レジパスビルの溶解度は pH 7.0 の水溶液並びに摂食及び絶食時を反映した人工腸液で低く、マ ウス、ラット、イヌ及びウサギでの高用量の曝露量が投与量比を下回る増加を示したため、毒性 試験で十分な曝露量を得るためにマウス、ラット及びウサギで投与媒体の検討を行った(試験番 号 AD-256-2135、AD-256-2131、AD-256-2129、AD-256-2116 及び AD-256-2152;2.6.4.3.1.2.1.2項)。 その結果、毒性試験の投与媒体として、マウスでは 0.2%ポリソルベート 20、0.2%ヒドロキシプ ロピルメチルセルロース(HPMC)E4M 及び 0.9%ベンジルアルコールを含む媒体を、ラット及 びイヌでは、60%の有機溶媒を含む媒体[45%プロピレングリコール(PG)及び 15%Solutol®HS-15 を含む逆浸透(RO)水(pH 2.5)]を選択した。また、ウサギ生殖発生毒性試験では、100%有 機溶媒を含む媒体(75%PG 及び 25%Solutol®HS-15)を使用した。これらの投与媒体を用いた毒 性試験で、経口投与後のレジパスビルは十分な曝露量を示した。 3.2.1.3 反復投与 ラット及びイヌでの反復経口投与後の TK 試験で血漿中レジパスビルの PK を評価した。 ラットにレジパスビルを 10~100 mg/kg/日で 1 日 1 回 26 週間反復投与後のレジパスビルの Cmax及び時間 0 から 24 時間までの濃度-時間曲線下面積(AUC0-24)は投与量比を下回って増加 した。性差は 2 倍未満であった。また、26 週間反復投与による曝露量は 13 週目と比較すると 2 倍未満であったが、1 日目と比較すると約 2 倍であり、蓄積性が示唆された。(試験番号 TX-256-2008;2.6.4.3.1.2.2.1項)。イヌにレジパスビルを 10~30 mg/kg/日で 1 日 1 回 39 週間反復投与後の レジパスビルの曝露量も投与量比を下回って増加した。性差は雌で雄よりも若干高いものの 2 倍 未満であった。39 週間反復投与による曝露量の増加は 2 倍未満であり、軽度の蓄積性が示唆され た(試験番号 TX-256-2009;2.6.4.3.1.2.2.2項)。
3.2.2
レジパスビル/ソホスブビル
レジパスビル/ソホスブビル併用での吸収に関する試験は実施していない。3.3 分布
3.3.1
レジパスビル
3.3.1.1 組織内分布 CD-1 マウス並びに Sprague-Dawley(SD)ラット(白色ラット)及び Long-Evans(LE)ラット (有色ラット)での[14 C]レジパスビル経口投与後の放射能は広範に分布し、投与後 8 時間以 内に最高濃度に達した(試験番号 AD-256-2136 及び AD-256-2083;2.6.4.4.1.1項)。マウスでは消 化管を除いて胆嚢、肝臓、ハーダー腺及び腎臓に高い放射能が検出された。また、ラットでは消 化管を除いて肝臓、副腎、膀胱、腎臓及び脾臓に高い放射能が検出された。マウス及びラットと もに精巣及び脳での放射能濃度は低かったことから、血液-脳関門及び血液-精巣関門を通過す る放射能は少ないと考えられた。LE ラットでのブドウ膜に低濃度で持続性の放射能が検出され たが、皮膚への分布は白色及び有色ラットで差がみられなかったことから、レジパスビルのメラ ニンへの結合はないと考えられた。 マウス(CD-1 及び rasH2 マウス)及びラット(SD 及び LE ラット)での[14 C]レジパスビル 経口投与後の血液/血漿中濃度比は 24 時間まで 1 未満であったことから、放射能の血球への移 行は少ないと考えられた。3.3.1.2 血漿タンパク結合率 レジパスビルの血漿タンパク結合率は、マウス、ラット、イヌ、サル及びヒトにおいて高く、 99.9%以上であった(試験番号 AD-256-2094;2.6.4.4.1.2項)。 3.3.1.3 乳汁移行 SD ラットにレジパスビルを経口投与し、妊娠 6 日目、分娩後 10 日目及び新生児ラット(出生 10 日目)の PK を検討した。 新生児ラットの血漿中にレジパスビルが認められ、母動物への投与量増加比を上回る増加を示 したことから、レジパスビルの乳汁移行が示された。また、新生児ラットの AUC0-tは母動物の 約 1/4 であった(試験番号 TX-256-2020;2.6.4.4.1.3項)。
3.3.2
レジパスビル/ソホスブビル
レジパスビル/ソホスブビル併用での組織内分布試験は実施していない。レジパスビルのタン パク結合率が 99.9%以上と高いのに対してソホスブビルのタンパク結合率は 70%未満と低い。ま た、レジパスビル及びソホスブビルともに、組織への移行に取り込みトランスポーターの関与が ないことから、組織への取り込み過程で両化合物の競合が起こるとは考えにくい。これらのこと から、レジパスビル/ソホスブビル併用による各化合物の組織内分布に変化はないと考えられる。3.4 代謝
3.4.1
レジパスビル
3.4.1.1 In vivo 代謝 マウス、ラット及びイヌでの[14 C]レジパスビル経口投与後の血漿、尿、胆汁及び糞中代謝 物を検討した。いずれの動物種でも血漿中放射能のほとんどが未変化体であり、CD-1 マウス、 rasH2 マウス、ラット及びイヌでそれぞれ総血漿曝露量の 96.9%、97.2%、87.1%及び 87.5%が未 変化体として検出された(試験番号 AD-256-2137、AD-256-2084 及び AD-256-2128;2.6.4.5.1.1 項)。CD-1 及び rasH2 マウスでの[14 C]レジパスビル経口投与後の血漿中代謝物組成は類似して いた(試験番号 AD-256-2137;2.6.4.5.1.1.1項)。なお、ヒトでの[14C]レジパスビル経口投与後 の血漿中放射能の 98.3%は未変化体であった(2.7.2.2.2.2.3項)。 マウス、ラット及びイヌ糞中に排泄された放射能の大部分も未変化体であり、総放射能の約 80%を占めた。また、胆管カニューレ挿入ラット及びイヌでの[14C]レジパスビル経口投与後の 胆汁中未変化体排泄率はそれぞれ総放射能の約 44%及び 80%であった。なお、マウス及びイヌ尿中放射能排泄率はいずれも投与放射能の 1%未満であった。。全ての動物種において尿中代謝物の 中で投与量の 1%を超えるものはなかった。レジパスビルの代謝物は、主として酸化及び N-脱メ チルによって生成されたものであった。ヒトに特有の代謝物は認められなかった(2.7.2.2.2.2.3 項)。レジパスビルの推定代謝経路を図 2.4- 1 に示す。 3.4.1.2 In vitro 代謝 マウス、ラット、イヌ、サル及びヒト肝ミクロソーム並びにヒト凍結肝細胞とレジパスビルを インキュベートした結果、得られた半減期から算出した代謝クリアランス(CL)は 0.39 L/h/kg 未満、肝抽出率は 13.1%未満であり、レジパスビルの緩徐な肝代謝が示された(試験番号 AD-256-2138 及び AD-256-2095;2.6.4.5.1.2.1項)。また、ヒトシトクロム P450(CYP)発現系を用い た試験では、検討したいずれの CYP(CYP1A2、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6 及び CYP3A4)でもほとんど代謝を受けなかった(試験番号 AD-256-2098;2.6.4.5.1.2.2項)。 図 2.4- 1 レジパスビルの推定代謝経路 LDV:レジパスビル
3.4.2
レジパスビル/ソホスブビル
レジパスビル/ソホスブビル併用での代謝に関する試験は実施していない。 レジパスビル及びソホスブビルは代謝経路が異なること、初代ヒト肝細胞でソホスブビルの細 胞内代謝に対するレジパスビルの影響がないことを考慮すると、レジパスビル/ソホスブビル併 用によって、それぞれの化合物の代謝が変わることはないと考えられる。3.5 排泄
3.5.1
レジパスビル
マウス、ラット及びイヌに[14 C]レジパスビルを経口投与後 168 時間までに投与放射能の 85.2%~95.8%が糞中に排泄された。また、いずれの動物種でも、尿中排泄率は投与放射能の 0.9%未満であった。胆管カニューレ挿入ラット及びイヌに[14C]レジパスビルを経口投与後 168 時間までにそれぞれ投与放射能の 3.01%及び 18.8%が胆汁に排泄された(試験番号 AD-256-2136;2.6.4.6.1.1、AD-256-2083;2.6.4.6.1.2、AD-256-2127;2.6.4.6.1.3 項)。胆管カニューレ挿入 イヌにレジパスビルを静脈内投与後 24 時間までに投与放射能の約 71%が未変化体として胆汁中 に排泄された(試験番号 AD-256-2105;2.6.4.6.1.4項)。3.5.2
レジパスビル/ソホスブビル
レジパスビル/ソホスブビル併用での排泄試験は実施していない。ソホスブビルは主要代謝物 GS-331007 へ代謝後尿中に排泄されるが、レジパスビルの主要排泄経路は、未変化体の胆汁排泄 である。消失経路が明確に異なることから、レジパスビル及びソホスブビルの併用が各化合物の 排泄を変化させることはないと予想される。3.6 薬物動態学的薬物相互作用
3.6.1
レジパスビル
3.6.1.1 CYP 及びウリジン二リン酸-グルクロン酸転移酵素(UGT)1A1 に対する阻害作用 レジパスビルは、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19 及び CYP2D6 の活性を阻 害しなかった(IC50値> 25 µmol/L)(試験番号 AD-256-2096 及び AD-256-2133;2.6.4.7.1.1.1項)。CYP3A に対しては、基質にテストステロンを用いた時の IC50値は 9.9 μmol/L であったが、ミダ ゾラムの代謝は阻害しなかった(IC50値> 25 µmol/L)。また、レジパスビルの UGT1A1 に対する IC50値は 7.95 μmol/L であった(試験番号 AD-256-2132;2.6.4.7.1.1.2項)。これらの IC50値は、ヒ
トでの Cmax(409 nmol/L、非結合型濃度は 1 nmol/L 未満)(2.7.2.3.4.8項)を大きく上回ることか
ら、レジパスビルは CYP3A 及び UGT1A1 に対する臨床的に意義のある阻害剤とはならないと考 えられ、全身循環において CYP3A 及び UGT1A1 により代謝される薬剤と併用してもそれらの代
謝を阻害しないと思われる。 3.6.1.2 トランスポーターを介した相互作用 レジパスビルは、P-gp 及び BCRP の基質であるため、これらトランスポーターの阻害薬と併用 した場合、消化管からのレジパスビルの吸収が増加する可能性がある。(試験番号 AD-256-2144 及び AD-256-2150;2.6.4.7.1.2.1項)。また、レジパスビルは P-gp 及び BCRP に対する阻害作用も 有しており、レジパスビル 1 µmol/L での阻害率は P-gp に対しては 46.3%、BCRP に対しては 38.1%であった。なお、多剤耐性関連タンパク質(MRP)2 は阻害しなかった(試験番号 AD-256-2109;2.6.4.7.1.2.1 項)。Caco-2 単層膜細胞を用いたテノホビルジソプロキシルフマル酸塩の 膜 透 過 は 、 レ ジ パ ス ビ ル 又 は ソ ホ ス ブ ビ ル 存 在 下 で 上 昇 し た ( 試 験 番 号 AD-337-2001; 2.6.4.7.1.3項) レジパスビルは肝臓の取り込みトランスポーターである有機カチオントランスポーター(OCT) 1、有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)1B1 及び OATP1B3 の基質ではなかった(試験番号 AD-256-2139;2.6.4.7.1.2.2項及び AD-256-2143;2.6.4.7.1.2.3項)。また、OCT1 を阻害しなかった
が 、OATP1B1 及 び OATP1B3 を 濃 度 依 存 的 に 阻 害 し 、IC50 値 は そ れ ぞ れ 3.5 μmol/L 及 び 6.5 μmol/L であった(試験番号 AD-256-2134;2.6.4.7.1.2.2項)。
レジパスビルの腎に関するトランスポーターである MRP4、OCT2、有機アニオントランスポ ーター(OAT)1、OAT3 及び有機カチオン/H+交換トランスポーター(MATE)1 への阻害は認 められなかった(試験番号 AD-256-2140;2.6.4.7.1.2.3 項)。レジパスビルの胆汁酸塩排泄ポンプ (BSEP)に対する IC50値は約 6 μmol/L であった。これらの結果から、レジパスビルは消化管吸 収過程で P-gp 及び BCRP の基質となる薬剤の吸収を増大させると考えられるが、IC50値はヒトで の非結合型の Cmax(1 nmol/L 未満)の 1000 倍超であることから、トランスポーターを介した臨 床的に重要な薬物相互作用を生じる可能性は少ないと考えられる。 3.6.1.3 酵素誘導 プレグナン X 受容体(PXR)発現細胞株(DPX2 細胞)及び芳香族炭化水素受容体(AhR)発 現細胞株(DRE12.6 細胞)でのレジパスビルによる誘導作用の検討では、検討した最高濃度 (10 μmo/L)で、AhR に対する誘導作用を示さず、PXR については、誘導作用はみられたものの、 その作用は弱い誘導剤であるアンドロスタノロール以下であった(試験番号 AD-256-2097; 2.6.4.7.1.4 項)。また、異なる 3 名のドナーから得たヒト肝細胞で、レジパスビルは CYP、
UGT1A1 及び P-gp のメッセンジャーリボ核酸(mRNA)又は CYP 活性をほとんど、又は全く誘 導しなかった(試験番号 AD-256-2146;2.6.4.7.1.4 項)。検討した最高濃度(10 μmo/L)で認めら
れた CYP2B6 及び CYP3A4 活性並びに mRNA 量の軽度な増加は、陽性対照による増加の 15%未 満であった。CYP2C9、P-gp 及び UGT1A1 の mRNA 量には、濃度依存的な増加は認められなか った。
3.6.2
レジパスビル/ソホスブビル
レジパスビルのソホスブビル膜透過への影響を Caco-2 単層膜細胞で検討した結果では、レジ パスビルによるソホスブビルの apical 側から basolateral 側(forward)への膜透過性への影響はみ られなかった。また、ソホスブビルの efflux ratio はレジパスビル存在下で減少した。この結果か ら、レジパスビル/ソホスブビル配合錠では、レジパスビルによる消化管トランスポーターの阻 害によりソホスブビルの消化管吸収が上昇することが示唆された(試験番号 AD-334-2002; 2.6.4.7.2項)。 ヒト初代肝細胞でのレジパスビルによるソホスブビルの活性代謝物である GS-461203 への影響 を検討した結果では、レジパスビル存在下での細胞内 GS-461203 濃度はレジパスビル非存在下で の濃度と同様であったことから、レジパスビルはソホスブビルの細胞内活性化に大きな影響を与 えないことが示唆された(試験番号 AD-334-2010;2.6.4.7.2項)。また、この結果は HCV GT1a 型 レプリコン細胞でのレジパスビル/ソホスブビル併用でみられた相加的な抗ウイルス作用と一致 していた(2.6.2.2.2.1項)。
4. 毒性試験
4.1 概括評価
本剤の毒性学的プロファイルは、レジパスビル及びソホスブビルを用いた包括的毒性試験プロ グラムにより評価した。本剤を用いた毒性試験並びにレジパスビル/ソホスブビル併用による毒 性試験は実施していない。 レジパスビル及びソホスブビルのそれぞれ単味の一連の毒性試験成績から、レジパスビル及び ソホスブビルの毒性プロファイルはよく特徴づけられた。これらの結果から、レジパスビル/ソ ホスブビル併用投与は既知の毒性を悪化させたり、新たな毒性を引き起こすことはないと予想さ れ、臨床で予定する本剤(レジパスビル 90 mg 及びソホスブビル 400 mg を含有)の 1 日 1 回投 与に際し、毒性学的に危惧される所見は認められていない。4.2 単回投与毒性試験
4.2.1
レジパスビル
レジパスビルを用いた正式な単回投与毒性試験は実施していない。しかし、ラットで実施され た単回投与 PK 試験では、臨床曝露量の約 4 倍の曝露量が得られた 600 mg/kg までのレジパスビ ル単回投与で、死亡は認められず、忍容性は良好であった(2.6.4.3.1.2.1.2.2 項)。また、ラット 小核試験では雌雄ラットへの 450 mg/kg までのレジパスビル単回経口投与で忍容性は良好であり、 225 mg/kg 以上の用量で一般状態観察において透明な口腔内分泌物及び粗毛が認められたのみで あった。4.2.2
レジパスビル/ソホスブビル
レジパスビル/ソホスブビル併用による単回投与毒性試験は実施していないが、レジパスビル /ソホスブビルの併用投与は、単味での急性毒性を変化させないと考えられる。4.3 反復投与毒性試験
4.3.1
レジパスビル
レジパスビルを用いたマウス 4 週間(試験番号 TX-256-2018;2.6.6.3.1.1.1 項)、ラット 2 週間 (試験番号 TX-256-2003;2.6.6.3.1.2.1項)及び 26 週間(試験番号 TX-256-2008;2.6.6.3.1.2.2項) 並びにイヌ 2 週間(試験番号 TX-256-2004;2.6.6.3.1.3.1 項)及び 39 週間(試験番号 TX-256-2009;2.6.6.3.1.3.2 項)反復経口投与試験を実施した。これら一般毒性試験でレジパスビルの忍 容性は良好であり、観察されたレジパスビル投与に関連した唯一の特記所見は、一過性の体重増 加抑制及び摂餌量低下であり、標的臓器は特定されなかった。ラット 26 週間投与試験で臓器重量のごく軽度の変化(副腎及び肝臓)が観察されたが、これ に関連した病理組織学的検査所見は認められなかった。投薬に関連する可能性がある病理組織学 的検査所見は、ラット 26 週間投与試験の 100 mg/kg/日群の雄における投与 13 週の中間屠殺動物 で観察された腸間膜リンパ節傍皮質領域での軽微なリンパ球増殖及び前立腺炎症の発生頻度増加 に限られていた。ラットでは前立腺炎症が頻発すること及び第 26 週に同様な所見がないことか ら、これらの所見は有害とはみなさなかった。イヌ 39 週間投与試験では、体重、摂餌量、眼科 学的検査、ECG、血圧、臨床検査、剖検、臓器重量及び病理組織学的検査において、レジパスビ ルに関連した所見はなかった。 最適化溶媒によるレジパスビルの曝露量は飽和が認められるため、ラット及びイヌの最高用量 はそれぞれ 100 及び 30 mg/kg/日とした。マウスでは、これより高い曝露量を達成することがで きた。マウスにおける NOAEL は 300 mg/kg/日であった(第 4 週の Cmaxは 19.8 μg/mL、AUC0-tは 217 μg·h/mL[雌雄合算])。長期毒性試験における NOAEL は、いずれも最高用量であるラットで 100 mg/kg/日(第 26 週 の Cmaxは 3.2 μg/mL、AUC0-24 は 56.0 μg·h/mL、雌雄合算)、イヌで 30 mg/kg/日(第 39 週の Cmaxは 4.2 μg/mL、AUC0-tは 62.6 μg∙h/mL、雌雄合算)であった。各動物 種の最長投与期間試験における NOAEL でのレジパスビル曝露量(雌雄合算)は、臨床曝露量 [HCV 感染患者に 1 日 1 回本剤を投与したときのレジパスビル曝露量(AUCtau:8.53 µg•h/mL、 2.7.2.3.4.8項)]と比較してマウス、ラット及びイヌでそれぞれ約 25 倍、7 倍及び 7 倍であった。
4.3.2
レジパスビル/ソホスブビル
レジパスビル/ソホスブビル併用投与による反復投与試験は実施していない。レジパスビル及 びソホスブビルのそれぞれ単味によるラット及びイヌ反復投与毒性試験では、薬剤により標的臓 器が異なった。ソホスブビルの標的臓器とされる消化管及び肝胆道系(イヌ)と心臓血管系(ラ ット)は、ラット及びイヌにおいてそれぞれ臨床曝露量の少なくとも 16 倍及び 71 倍の曝露量の 場合にのみ認められた(主要代謝物 GS-331007 に基づいて算出。AUClastはラット及びイヌでそ れぞれ 206 及び 882 µg∙h/mL)。ソホスブビル長期反復投与毒性試験では、最高用量(500 mg/kg/ 日)まで肝臓や心臓に毒性は観察されず、ラット及びイヌにおける長期反復投与毒性試験で得ら れた NOAEL(ラット:500 mg/kg/日、イヌ:100 mg/kg/日)での GS-331007 曝露量は、臨床曝露 量のそれぞれ少なくとも 5 倍及び 7 倍であった。レジパスビルを用いた場合は、標的臓器は認め られなかった。ラット及びイヌにおける長期反復投与毒性試験から得られた NOAEL でのレジパ スビル曝露量は、臨床曝露量の約 7 倍であった。したがって、臨床的に重要な薬物動態学的薬物 相互作用はないこと及び標的臓器が異なることからレジパスビル/ソホスブビル併用投与により 既知の毒性が増悪したり、新たな毒性が引き起こされることはないと考えられる。4.4 遺伝毒性試験
4.4.1
レジパスビル
レジパスビルの遺伝毒性を in vitro 復帰突然変異試験(試験番号 TX-256-2005;2.6.6.4.1.1.1項)、in vitro 染色体異常試験(試験番号 TX-256-2006;2.6.6.4.1.1.2項)並びに in vivo ラット骨髄小核試 験(試験番号 TX-256-2007;2.6.6.4.1.2.1項)で検討した。これらの試験では、突然変異誘発性や 遺伝毒性を示す所見は観察されなかった。
4.4.2
レジパスビル/ソホスブビル
ソホスブビル及びレジパスビルの遺伝毒性試験はいずれも陰性であった。この 2 つの薬剤の併 用が、それぞれの薬剤の単味の遺伝毒性プロファイルを変化させることはないと考えられる。4.5 がん原性試験
4.5.1
レジパスビル
rasH2 マウスがん原性試験(試験番号 TX-256-2019;2.6.6.5.1.1 項)では最高用量(300 mg/kg/ 日)までレジパスビルにがん原性は認められなかった。SD ラットがん原性試験[投与量:10、 30 及び 100 mg/kg/日(雄)、3、10 及び 30 mg/kg/日(雌)]は進行中である。4.5.2
レジパスビル/ソホスブビル
臨床曝露量を超える用量で実施した 2 年間のがん原性試験でソホスブビルはがん原性を示さな かった。rasH2 マウスがん原性試験では臨床曝露量を超える用量までレジパスビルにがん原性は 認められなかった。SD ラットにおけるレジパスビルがん原性試験は進行中である。レジパスビ ルに遺伝毒性はなく、ラット及びイヌにおける長期反復投与試験にレジパスビル関連性の腫瘍性 病変又は前がん病変は認められなかった。ソホスブビルを用いたがん原性試験並びにレジパスビ ルを用いた遺伝毒性試験及びマウスがん原性試験の結果を考慮すると、レジパスビル/ソホスブ ビル併用によるがん原性試験の実施は必ずしも必要ではないと判断した。4.6 生殖毒性試験
4.6.1
レジパスビル
レジパスビルのラット受胎能及び初期胚発生試験(試験番号 TX-256-2017;2.6.6.6.1.1 項)で は、体重及び摂餌量に影響が認められたが、作用は一過性であり、雌雄親動物への毒性に関する NOAEL は最高用量の 100 mg/kg/日と判断した。雄ラットの交配及び生殖能に影響は認められず NOAEL は 100 mg/kg/日と判断した。雌ラットでは性周期に影響はみられず、投薬群の妊娠動物 数に対照群との差はなかったことから、交配への影響は 100 mg/kg/日まで認められないと判断し たが、黄体数及び着床数が 100 mg/kg/日群において有意に低値であったことから、雌ラットの生 殖能に関する NOAEL は 30 mg/kg/日と判断した。ラットの受胎能に影響しない黄体数及び着床数 の低値の、臨床上の重要性は不明である。ラット 26 週間試験の投与 26 週の TK データ(試験番 号 TX-256-2008)で比較したとき、ラット受胎能試験での雄及び雌の生殖能に関する NOAEL で のレジパスビルのヒトに対する曝露量比は雄で約 7 倍、雌で 3 倍であった。胚・胎児発生試験は、ラット(試験番号 TX-256-2012;2.6.6.6.1.2.2項)及びウサギ(試験番号 TX-256-2013;2.6.6.6.1.2.4 項)で実施した。ラット胚・胎児発生試験では、胚・胎児の生存及び 発育並びに胎児の内臓及び骨格異常の発生率に有害な影響は認められなかった。胚・胎児の発生 に関する NOAEL は、検討した最高用量の 100 mg/kg/日であった。ラット胚・胎児発生用量設定 試験(試験番号 TX-256-2011;2.6.6.6.1.2.1項)での、当該用量における妊娠 17 日の AUC0-24は 39.2 μg∙h/mL であった。100 mg/kg/日群の母動物に有意な体重増加抑制及び摂餌量低下が認めら れたことから、母動物毒性に関する NOAEL は 30 mg/kg/日と判断した。ウサギ胚・胎児発生試験 では、母動物毒性及び胎児の生存及び発育への影響は認められず、胎児異常も観察されなかった。 母動物毒性及び胚・胎児の発生に関する NOAEL は最高用量である 180 mg/kg/日と判断した。こ れら NOAEL での妊娠 20 日の AUC0-24は、20.8 µg•h/mL であった。ラット及びウサギ胚・胎児発 生試験の胚・胎児発生に関する NOAEL におけるレジパスビル曝露量は、臨床曝露量のそれぞれ 5 倍及び 2 倍であった。 出生前及び出生後発生毒性試験(試験番号 TX-256-2020;2.6.6.6.1.3 項)では、100 mg/kg/日群 で母動物毒性(一般状態悪化による切迫屠殺、体重減少、体重増加抑制及び摂餌量低下)が認め られ、母動物の一般毒性に関する NOAEL は 30 mg/kg/日であった(授乳 10 日の AUC0-tは 11.4 μg∙h/mL)。100 mg/kg/日群の F1動物に体重の低値及び体重増加抑制が概して出生後の期間を 通じて認められた。F1動物の生存率、身体的発育及び行動、生殖能並びに F2出生児の生存率に は影響がなかった。これらの結果から F1世代の発生・新生児に対する毒性に関する NOAEL は、 30 mg/kg/日と判断した。F1世代の身体的発育、行動及び生殖能並びに F2世代の生存に対する NOAEL は、100 mg/kg/日と考えられた(F0母動物での授乳 10 日の AUC0-tは 37.6 μg·h/mL)。本 試験の NOAEL におけるレジパスビル曝露量は、臨床曝露量の 1.3 倍(F0母動物毒性及び F1世代 の発生・新生児に対する毒性)及び 4 倍(F1世代の神経行動及び生殖能並びに F2出生児の生存 率)であった。
4.6.2
レジパスビル/ソホスブビル
ソホスブビルはラットの雌雄受胎能試験、胚・胎児発生毒性試験及び出生前及び出生後発生試 験で有害作用を示さなかった。レジパスビルは雌雄受胎能パラメーターに有害作用を示さなかっ たが、雌ラットの黄体数及び着床数を有意に低下させた。ラット受胎能試験での生殖能に関する NOAEL におけるレジパスビル曝露量のヒトに対する曝露量比は、それぞれ雄で約 7 倍及び雌で 約 3 倍であった。レジパスビルは胚・胎児発生試験で有害作用を示さなかった。出生前及び出生 後投与試験では、レジパスビルは母動物毒性の認められない用量で F1児の生存率、発育及び生 殖能に影響しなかった。レジパスビル及びソホスブビルの併用により個々の薬剤の遺伝毒性及び 生殖発生毒性プロファイルが変わることはないと考えられる。4.7 局所刺激性試験
4.7.1
レジパスビル
レジパスビルの消化管に対する局所刺激性をレジパスビルの反復投与経口毒性試験で評価した結果、ラット及びイヌにおいて顕著な所見はなかった。レジパスビルに皮膚刺激性はなく(試験 番号 TX-256-2030;2.6.6.7.1.2 項)、眼に対しては重度の刺激性を示さなかった(試験番号 TX-256-2029;2.6.6.7.1.1項)。
4.7.2
レジパスビル/ソホスブビル
ソホスブビル及びレジパスビルは、単味で投与したとき、局所刺激性に関して臨床的に重大な 所見は認められなかった。レジパスビル/ソホスブビルの併用は既知の毒性を悪化させることも、 新規毒性を示すこともないと予想され、レジパスビル/ソホスブビルの併用による局所刺激性試 験は実施しなかった。4.8 その他の毒性試験
4.8.1
抗原性
ソホスブビル又はレジパスビルを用いた抗原性試験は実施していない。ソホスブビル及びレジ パスビル(試験番号 TX-256-2031;2.6.6.8.1.1.1項)は、マウス局所リンパ節試験で感作性を示さ なかった。4.8.2
免疫毒性
ソホスブビル又はレジパスビルを用いた独立した免疫毒性試験は実施しなかった。単味で実施 した一般毒性試験におけるエンドポイントで免疫毒性の可能性を十分に評価できると考えた。レ ジパスビル及びソホスブビルのいずれの反復投与毒性試験でも免疫学的懸念を示すような所見は 認められなかった。4.8.3
代謝物に関する試験
レジパスビル及びソホスブビルは、いずれもヒト特有の代謝物はなく、代謝物を用いた独立し た試験は実施しなかった。レジパスビル及びソホスブビルの代謝物は、それぞれの一般毒性試験 で評価されている。4.8.4
不純物及び分解生成物
レジパスビル及びソホスブビルに関連した不純物及び分解生成物が原薬又は製剤のロット中で 同定されている。レジパスビルの毒性試験に使用された原薬のロットについての不純物プロファ イルは、2.6.7.4項に示した。レジパスビルの工程不純物の毒性をラット 2 週間強制経口投与毒性 試験で評価した(試験番号 TX-256-2035;2.6.6.8.1.4.1 項)。その結果、投与に関連した有害作用 は認められず、レジパスビルの工程不純物を含むロットを投与した動物における所見と、過去の 試験に使用した対照ロットで認められた所見との間に差はなかった。 本剤の工程中間体及び潜在不純物に対する in silico 評価では、2 つのレジパスビル出発物質前 駆体及び 1 つの工程由来類縁物質に構造的アラートが認められた(2.3.S.2.6.2.3 項)。プロセスバリデーションの段階で試験した結果から、これらの不純物が毒性学的懸念の閾値(TTC)未満の 量で管理できることを確認した。 本剤中では配合による新たな不純物や分解生成物が誘導されなかった。レジパスビル及びソホ スブビルそれぞれ単味の毒性試験において認められた不純物及び分解生成物は適切に評価されて おり、配合錠として追加の毒性試験は不要と考えられた。
4.8.5
その他の毒性試験
4.8.5.1 光毒性 ソホスブビルは 290~700 nm の範囲内の光を吸収せず、ソホスブビルに光毒性を示す非臨床又 は臨床所見はなかった。したがって、ソホスブビルについては光毒性試験を実施する必要はない と判断した。 レジパスビルの光毒性をヘアレスマウスで評価したところ、最高用量の 300 mg/kg までレジパ スビルに光毒性を示唆する所見はなかった(試験番号 TX-256-2015;2.6.6.8.1.5.1 項)。[14C]レジ パスビル由来の放射能が低濃度であるが有色ラットのブドウ膜に長く存在したが、有色ラットと 白色ラットの皮膚への分布に顕著な違いはなく、これはレジパスビルがメラニン含有組織に選択 的に結合することはないことを示唆している(2.6.4.4.1.1.2 項)。レジパスビルを用いた反復投与 毒性試験では眼科学的検査並びに眼及び視神経の病理組織学的検査を実施している。ラット 26 週間試験及びイヌ 39 週間試験では、眼科学的検査で視覚異常は認められず、レジパスビルの臨 床曝露量の 7 倍までの曝露量で眼や視神経に病理組織学的変化は認められなかった。光毒性試験 に影響は認められず、長期反復投与毒性試験で眼科学的変化がなかったことから、眼における光 毒性の可能性は低いと考えられる。 したがって、両薬剤の併用による光毒性試験は実施していないが、本剤の光毒性の可能性は低 いと考えられる。 4.8.5.2 ラットでのレジパスビル(フリー体)とレジパスビル酒石酸塩の比較 レジパスビル(フリー体)とレジパスビル酒石酸塩のラット 2 週間経口比較試験(試験番号 TX-256-2014;2.6.6.8.1.5.2項)において 100 mg/kg/日までの用量で 2 つの化合物の毒性に差異は 認められなかった。4.9 曝露量比
レジパスビルを用いた各種毒性試験での NOAEL におけるレジパスビル曝露量と HCV 感染患 者に本剤を 1 日 1 回投与したときの臨床曝露量(レジパスビルの AUCtauは 8.53 µg·h/mL、 2.7.2.3.4.8 項)とを比較し、曝露量比を算出した。これらの試験から得られた曝露量比の結果を 表 2.4- 1 に示す。いずれの試験においても NOAEL での曝露量比は 1.3 倍以上であった。また、 ソホスブビル又は GS-9851(ソホスブビル及びそのジアステレオマーである GS-491241 の混合物) を用いた毒性試験の NOAEL における未変化体及び主要代謝物 GS-331007 の曝露量と、HCV 感染患者に本剤を 1 日 1 回投与したときの臨床曝露量(ソホスブビル及び GS-331007 の AUCtau は それぞれ 1.38 µg∙h/mL 及び 12.5 µg∙h/mL、2.7.2.3.4.8項)との曝露量比を算出して、表 2.4- 2 に示
表 2.4- 1 レジパスビルの各種非臨床試験での NOAEL における曝露量と HCV 感染患者に本剤 (レジパスビル 90 mg 及びソホスブビル 400 mg 含有)を投与したときの曝露量に基づくレジパ スビルの曝露量比 Type of study NOAEL (mg/kg) Analyte Cmaxa (µg/mL) (M / F) AUC0-tlasta (µg•h/mL) (M / F) Exposure Marginb (M / F)
Repeat Dose Toxicity Studies
4-Week in Mice 300 LDV 26.2/13.4 271/164 32/19 2-Week in Rats 100 LDV 2.20/1.95 41.4/29.6 4.9/3.5 26-Week in Rats 100 LDV 3.47/2.99 60.8/51.2 7.1/6.0 2-Week in Dogs 10 LDV 2.41/2.33 37.4/35.4 4.4/4.2 39-Week in Dogs 30 LDV 2.98/5.14 41.3/80.3 4.8/9.4 Carcinogenicity Studies
26-Week Carcinogenicity Study in Mice
300 LDV 15.2/18.6 225/225 26/26
Reproductive Development studies
Fertility and Early Embryonic Development Study in Rats c
30 e
LDV 2.14/2.08 36.2/23.6 4.2/2.8 100 f
LDV 3.47/2.99 60.8/51.2 7.1/6.0 Embryo-Fetal Development Study
in Female Rats d
30 g
LDV 1.40 18.2 2.1 100 h
LDV 2.58 39.2 4.6 Embryo-Fetal Development Study
in Female Rabbits
180 LDV 1.40 20.8 2.4 Prenatal and Postnatal
Developmental Toxicity including Maternal Function in Rats
30i LDV 0.846 11.4 1.3
100j LDV 2.61 37.6 4.4
LDV=Ledipasvir, NOAEL = No Observed Adverse Effect Level; ND = Not Determined; M = Male; F = Female a Reported values were obtained at steady state, or as specified.
b Based on ledipasvir clinical AUCtau at 90 mg (Ledipasvir = 8.53 µg∙h/mL)
c TK data (week 26) from TX-256-2008
d TK data from TX-256-2011
e Female reproductive toxicity
f Parental toxicity and male reproductive toxicity g Maternal toxicity
h Development toxicity
i Maternal toxicity and F1 neonatal/developmental toxicity
表 2.4- 2 ソホスブビル又は GS-9851 の各種非臨床試験での NOAEL における曝露量と HCV 感 染患者に本剤(レジパスビル 90 mg 及びソホスブビル 400 mg 含有)を投与したときの曝露量に 基づくソホスブビル及び GS-331007 の曝露量比 Type of study NOAEL (mg/kg) Analytea Cmaxb (µg/mL) (M / F) AUC0-tlastb (µg•h/mL) (M / F) Exposure Marginc (M / F) Single Dose Toxicity Studies
Rats 1800 GS-331007 15.0 / 15.2 205 / 176 16/14
Repeat Dose Toxicity Studies
14-Day in Mice M: 500
F: 1500
Toxicokinetic evaluation was not conducted
13-Week in Mice M: 100 F: 300 GS-331007 3.59 /16.1 23.7 /161 1.9/13 7-Day in Rats 250 GS-331007 2.74 / 1.35 41.4 / 20.9 3.3/1.7 28-Day in Rats 500 GS-9851 0.008 / 0.030 0.007 / 0.068 ND GS-331007 3.94 / 3.91 55.0 / 59.3 4.4/4.7 13-Week in Rats 500 GS-331007 4.30 / 5.05 74.1 / 62.0 5.9/5.0 26-Week in Rats 500 GS-331007 3.79 / 4.73 66.5 / 65.5 5.3/5.2 7-Day in Dogs 150 GS-9851 4.59 / 5.04 9.88 / 13.7 ND GS-331007 8.99 / 5.79 120 / 91.6 9.6/7.3 28-Day in Dogs 100 GS-9851 4.48 / 10.4 14.0 / 22.4 ND GS-331007 3.54 / 6.01 39.7 / 68.6 3.2/5.5
13-Week in Dogs 100 Sofosbuvir 12.3 / 8.98 24.4 / 19.9 18/14
GS-331007 6.83 / 8.32 86.8 / 90.2 6.9/7.2
39-Week in Dogs 100 GS-331007 6.60 / 9.89 76.3 / 104 6.1/8.3
Carcinogenicity
Mice 200/600 GS-331007 5.15/30.5 48.0/214 3.8/17
Rats 750 GS-331007 7.60/9.32 96.6/125 7.7/10
Reproductive Development studies Fertility and Early Embryonic Development Study in Rats
500 Toxicokinetic evaluation was not conducted
Embryo-Fetal Development Study in Female Rats
500 GS-331007 3.50 72.1 5.8
Embryo-Fetal Development Study in Female Rabbits
300 Sofosbuvir 1.89 8.66 6.3
GS-331007 22.2 200 16
Prenatal and Postnatal Developmental Toxicity including Maternal Function in Rats
500 GS-331007 6.73 83.3 6.7
All studies listed in this table were submitted in the CTD for SOVALDI ® Tablets 400 mg. This table was modified to
evaluate the exposure margin based on the clinical exposure after administration of Ledipasvir/Sofosbuvir combination. NOAEL = No Observed Adverse Effect Level; ND = Not Determined; M = Male; F = Female
a GS-9851 and/or Sofosbuvir toxicokinetics were not determined for most rodent studies due to instability in rodent plasma
b Reported values were obtained at steady state, or as specified
c Based on Sofosbuvir and GS-331007 clinical AUCtau at 400 mg (Sofosbuvir =1.38 µg•h/mL; GS-331007 =