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本概括評価に示したように、非臨床in vitro及びin vivo試験で得られた成績から、HCV感染症 の治療薬としてレジパスビル及びソホスブビルを配合錠として開発する薬理学的根拠は科学的に 妥当であると考えられた。レジパスビル及びソホスブビルそれぞれ単味での PK 及び毒性学的プ ロファイルは、複数の動物種でその特性が確認されている。本剤は、その臨床試験並びにレジパ スビル及びソホスブビルそれぞれ単味での臨床試験により十分な忍容性及び安全性プロファイル が示され、成人 HCV 感染患者に対する投与を支持するものと考えられた。本概括評価に示した 総括的な非臨床プログラムは、以下の点で本剤の有効性及び安全性を十分に支持するものと考え られる。

ソホスブビルは、HCVレプリコン及び感染性ウイルス系に対する in vitro活性によって示され たように、広範囲のGTのHCV複製の強力な阻害剤である。NS5Bポリメラーゼに対する直接阻 害作用は、ソホスブビルの活性代謝物 GS-461203で認められた。これはソホスブビルの HCV複 製阻害機構が、NS5B ポリメラーゼの阻害であることを示している。レジパスビルは、NS5A タ ンパク質を標的とし、HCV複製及び HCV粒子の会合を阻害する新規化合物である。レジパスビ

ルはGT 1a型及び1b型のHCVに対して強力な阻害作用を示し、GT 2~6型にも活性を示す。In

vitro 試験では、レジパスビル/ソホスブビル併用で相加的な抗ウイルス活性を示し、拮抗作用は

認められなかった。また、両薬剤間に交差耐性は認められなかった。NS5B S282T 変異レプリコ ン細胞はレジパスビルに感受性があり、ソホスブビルは一連の NS5A変異レプリコン細胞に対し て完全に活性を保持していた。これらの結果は、レジパスビル/ソホスブビルの配合錠による投 与により HCV に対する強力な抗ウイルス活性及び好ましい耐性プロファイルが得られることを 示唆している。

ソホスブビルは in vitro 試験で各種細胞型において著明な細胞毒性を示さなかった。また、ミ トコンドリア毒性の可能性も低く、ソホスブビルの活性代謝物 GS-461203を用いた in vitro試験 で、ヒトの DNA、RNA 及びミトコンドリアポリメラーゼに対する明らかな阻害も認められなか った。ソホスブビル及び主要代謝物 GS-331007のイオンチャネルや受容体に対する結合親和性は 低く、標的外作用の可能性は低いことが示された。レジパスビルの細胞毒性は低く、選択指数は 高かった。レジパスビルのヒトのキナーゼ、イオンチャネル及び受容体に対する標的外作用の可 能性は低かった。

レジパスビル及びソホスブビルは、安全性薬理試験において生命維持器官系に対する影響を示 さなかった。

レジパスビル/ソホスブビル併用での非臨床 PK 試験は実施していないが、単味で実施した試 験結果から、本剤投与後の PK プロファイルを予測可能である。ソホスブビル及びその代謝物は タンパク結合率が低いが(70%未満)、レジパスビルはタンパク結合率が高い(99.9%以上)。ソ ホスブビルが主要代謝物であるGS-331007への代謝を経て腎臓から消失するのに対し、レジパス ビルの主な消失経路は、胆汁への未変化体の排泄であることから、排泄に関する相互作用の可能 性は低いと考えられる。

ヒト初代肝細胞において、レジパスビルは、ソホスブビルから GS-461203への細胞内活性化に 顕著な影響を及ぼさなかった。ソホスブビル及びレジパスビルは主要な薬物代謝酵素系に対して 阻害/誘導作用を有さないことから、CYP 及び UGT1A1 を介した薬物相互作用を引き起こす可 能性は低いと考えられる。ソホスブビルでは酸化的代謝物が認められていないが、レジパスビル は緩徐な酸化的代謝を受けることが明らかになっている。In vitro 試験では、CYP によるレジパ スビルの代謝は認められなかった。

レジパスビル及びソホスブビルは、消化管吸収過程でトランスポーターを介した薬物相互作用 を生じる可能性がある。ソホスブビル及びレジパスビルともに P-gp 及び BCRP の基質であり、

レジパスビルは P-gp 及び BCRP に対して阻害作用を有する。したがって、本剤を投与した場合、

レジパスビルにより消化管の P-gp 及び BCRP が阻害され、ソホスブビルの血漿中曝露量が増大 する可能性がある。

肝臓及び循環血中では、ソホスブビルやレジパスビルがトランスポーターを介した薬物相互作 用に関与する可能性は少ないと考えられる。ソホスブビル及びレジパスビルともに肝臓の取り込 みトランスポーターの基質ではなかった。レジパスビルは、Cmax(総量 409 nmol/L、血漿中非結 合型濃度は1 nmol/L未満)を大きく上回る濃度で、OATP1B1及びOATP1B3に対する阻害作用を 有する(IC50値3.5 µmol/L及び6.5 µmol/L)。他の肝トランスポーター及び腎トランスポーターに 対しては、ソホスブビル、GS-331007 及びレジパスビルのいずれも、臨床濃度では阻害作用を示 さなかった。

したがって、レジパスビル及びソホスブビルを配合錠として投与した場合に唯一可能性のある 薬物相互作用として、P-gp又はBCRPをレジパスビルが阻害することで、ソホスブビルの消化管 吸収が増大する可能性が考えられる。消化管の排出トランスポーターを介した相互作用を除いて は、両剤の PK プロファイルは異なっていることから、各薬剤の吸収後の PK が併用によって大 きく変化することはないと考えられる。

ソホスブビルの毒性に関する主たる標的臓器は、非常に高い曝露量で認められた心血管系、肝 胆道系、消化管及び造血系(赤血球系)であった。これらの標的臓器は、ラットでは致死用量で、

イヌでは忍容性不良の用量で観察された。マウス 13週間、ラット 26週間及びイヌ 39週間試験

における NOAELでのGS-331007曝露量は、臨床曝露量のそれぞれ 2倍/13倍(雄/雌)、5倍

(雌雄合算)及び 7倍(雌雄合算)であった。レジパスビルによる反復投与毒性試験では有害な 標的臓器はマウス、ラット及びイヌで特定されなかった。ラット 26週間及びイヌ39週間におけ る長期反復投与毒性試験で求められた NOAEL でのレジパスビル曝露量は、いずれも臨床曝露量 の約 7倍であった。このように、個々の薬剤における安全域は高く、重複した毒性がないことか ら、レジパスビル及びソホスブビルの併用が既知の毒性を悪化させることも、新規の毒性を引き 起こすこともないと予想される。

レジパスビル及びソホスブビルは、いずれも検討した遺伝毒性試験で陰性であった。したがっ て、レジパスビル及びソホスブビルに遺伝毒性はないと判断される。レジパスビル及びソホスブ ビルの併用は、個々の薬剤の遺伝毒性プロファイルを変更させることはないと考えられる。

ソホスブビルは、マウスでは 17 倍まで、ラットでは 9 倍までの曝露量比で、がん原性を示さ なかった。レジパスビルは 26 倍超の曝露量比までトランスジェニックマウスにがん原性を示さ

なかった。レジパスビルのラットがん原性試験は進行中であるが、レジパスビルに遺伝毒性はな く、ラット及びイヌにおける長期反復投与試験で前がん病変は認められなかったことから、レジ パスビルががん原性を有する可能性は低いと考えらる。したがって、レジパスビル及びソホスブ ビルの併用においてもがん原性はないと考えられる。

レジパスビル及びソホスブビルは、胚・胎児発生毒性試験において有害作用を示さなかった。

ソホスブビルは受胎能及び初期胚発生試験、出生前及び出生後発生試験で有害作用を示さなかっ た。レジパスビルは、受胎能及び初期胚発生試験で黄体数及び着床痕数の低下を認めたが、雌雄 の受胎能に有害作用を示さなかった。レジパスビルの出生前及び出生後発生試験では、母動物毒 性を認めた用量で F1動物の体重の低値及び体重増加抑制が認められたが、F1動物の行動及び生 殖能並びに F2出生児毒性に影響はなかった。マウス、ラット及びイヌにおける反復投与毒性試 験では雌の生殖臓器に変化はなく、レジパスビルを用いた放射性リガンドを用いた受容体結合試 験において標的外結合は認められなかったことから、レジパスビルは雌生殖能に直接作用するこ とが示唆された。ラット受胎能及び初期胚発生試験では、雄及び雌の生殖能に関する NOAEL で のレジパスビルのヒトに対する曝露量比は雄で約7倍、雌で 3倍であった。レジパスビル及びソ ホスブビルの併用により、個々の薬剤の生殖毒性プロファイルが変化することはないと予想され る。

レジパスビル及びソホスブビルに皮膚刺激性はなく、眼に対しては重度の刺激性を示さず、皮 膚感作性試験では陰性であった。レジパスビル及びソホスブビルの併用は、これらの薬剤の刺激 性を変化させないと予想される。

同定された不純物及び分解生成物は、ソホスブビル又はレジパスビルを用いた通常の毒性試験 又は不純物毒性試験の一部として評価した。その結果、危惧される毒性は認められなかった。潜 在的遺伝毒性不純物は、製造工程によってTTC未満の濃度まで抑えられている。

以上の結果より、レジパスビル及びソホスブビルの非臨床試験成績は、一連の in vitro 及び複 数の動物種(げっ歯類及び非げっ歯類)におけるin vivo試験において、その特性が十分に確認さ れている。得られた結果は、HCV 感染症の治療に使用する本剤の好ましいベネフィット-リス クプロファイルを裏付けるものである。

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