1.5 日本の輸入状況
1.5.1 日本のリン鉱石輸入状況 財務省貿易統計によると 2010 年に日本が最も多くリン鉱石を多く輸入しているの は中国で全体の 51%(15 万トン)である。その他、モロッコ 20%(6 万トン)、南ア フリカ 17%(5 万トン)となっている。取引単価は、中国が 18.6 千円/t、モロッコ 18.3 千円/t と平均の 19.7 円/t より安いが、南アフリカは 23.8 千円/t と平均より高い。 表 1.5-1 2010 年(1~12 月)リン鉱石輸入状況 数量(t) 金額(千円) 単価(千円/t) 中華人民共和国 158,437 2,953,039 18.6 モロッコ 62,500 1,144,266 18.3 南アフリカ共和国 54,195 1,287,512 23.8 ヨルダン 19,000 380,452 20.0 ベトナム 9,121 159,105 17.4 イスラエル 7,010 187,658 26.8 インドネシア 220 5,158 23.4 合計 310,483 6,117,190 19.7 (出典)財務省貿易統計 1.5.2 日本の塩化カリ輸入状況 財務省貿易統計によると 2010 年に日本が最も多く塩化カリウムを多く輸入してい るのはカナダで全体の 76%(42 万トン)である。その他、ロシア 11%(6 万トン)、 ヨルダン 8%(4 万トン)となっている。取引単価は、平均で 40.7 千円/t となってい る。 表 1.5-2 2010 年(1~12 月)塩化カリ輸入状況 数量(t) 金額(千円) 単価(千円/t) カナダ 423,104 17,353,421 41.0 ロシア 61,501 2,315,389 37.6 ヨルダン 43,040 1,604,821 37.3 イスラエル 17,357 790,291 45.5 中華人民共和国 3,407 144,133 42.3 ベラルーシ 1,751 64,773 37.0 大韓民国 1,093 52,639 48.2 アメリカ合衆国 1,033 157,362 152.3 リトアニア 800 29,444 36.8 ドイツ 41 5,564 135.7数量(t) 金額(千円) 単価(千円/t)
ベトナム 20 1,528 76.4
オーストリア 0 2,229 -
1.6 肥料資源に関する最新動向調査
前項までは、統計データ等により把握可能な肥料資源に関する情報について報告し たが、ここでは、肥料業界の専門レポートである Fertilizer Week の 2010 年 11 月~2011 年 2 月までに報告されている新たな鉱山開発など資源量や生産量に大きく影響する と考えられる要因や主要な企業について提携等の供給者の寡占化などに関連する情 報について整理を行った。 1.6.1 リン (1)動向一覧 リンに関する最近の動向を、表 1.6-1 に示す。赤字で示した動向については、次節 で行う整理の対象となっている。 表 1.6-1 リンに関する動向一覧 年 月 No. 動向 国 分野2010 11 1 Vale が 子 会 社 を 通 じ て Vale Fertilizantes( 旧Fosfertil)を傘下に ブラジル 企業再編 2 インドとシリアがリン鉱石分野の長期協力と設立に関する JV
MOU を締結
インド
シリア 提携 3
米Agrifos 社は Tessenderlo Kerley 社とチオ硫酸 アンモニウム売買に関する複数年の排他的契約 に合意
米国 提携
4 ロシアェクトをAcron 社が Oleniy Ruchey リン鉱石プロジ2012 年前半に開始することを発表 ロシア 上流開発
5
米 Phosphate Holdings 傘 下 の Mississippi Phosphates は、硫酸プラントの故障により 2012 年第4 四半期の DAP 生産量を縮小 米国 生産縮小 12 6 モロッコOCP が 4 基の DAP/MOP 生産プラント を新規に建設 モロッコ 設備拡大 7 FMC 社はスペイン Huelva にある Foret リン鉱石プラントを2010 年末に閉鎖すると発表 スペイン 生産終了 8
カザフスタンSunkar Resources は、Chilisai リン 鉱 石 プ ロ ジ ェ ク ト の た め に 、ATF Bank Kazakhstan から 15 百万 US$の有担保融資を獲得 カザフスタ ン ファイナン ス 9 肥料協会(TFI)は米国環境保護局(EPA)のフロリダ 州における水質基準規則に関して提訴 米国 環境保護 10 イスラエルを270 百万 US$で買収 ICL 社は Scotts’ Global Professional イスラエル M&A
11
Legend International Holdings 社は、豪 Georgina 盆地のリン鉱石生産・精製プロジェクトに関連し て、野村グループをファイナンスアドバイザーと して指名 日本 オーストラ リア 提携 12 ロシア肥料大手Eurochem は子会社の Phosphorit I.G.に対し、停止中の硫酸・リン酸生産設備の交 ロシア 設備拡大
年 月 No. 動向 国 分野 換のため、45.2 百万 US$を供給した 13 Eurochem の リ ン 鉱 石 開 発 会 社 の Kovdrosky GOK は、2011 年 4 月にリン鉱石の新輸送システ ムを稼動開始 ロシア 設備拡大
14 伯Tocantins 州環境局が、MBAC Fertilizer 社に環
境ライセンスを発行 ブラジル 環境保護 15 イタリア輸出信用機関が、ロシアAcron グループ とイタリアDiemme S.p.A.との契約において担保 保証 イタリア ロシア ファイナン ス 16 Jacobs エンジニアリングとモロッコ OCP との JV は、新設 DAP/MAP プラントの投資/建設マ ネジメントサービスを行うと発表 モロッコ 提携 17 イスラエルICL 社は創業プラント向けエネルギー として、エジプトEMG 社から、2030 年までの天 然ガス供給を受けることを合意 イスラエル エジプト 提携 18 Vale が Vale Fertilizantes の株式のほぼ 100%を掌握 ブラジル 企業再編 2011 1 19 ロシア目的として、グループ内企業を統合Uralchem グループは、経営コスト削減を ロシア 企業再編 20 ロシア Rosnedra は、クラスノヤルスク地域の Teleksky リン鉱床の開発権を競売にかけること を発表 ロシア 上流開発 21 インド RCF 社は、ロシア Acron 社から Oleniy Ruchey リン鉱山会社の株式のうち 25%を獲得し たという報道を、否定 ロシア 上流開発 22 米売上があったと発表Mosaic 社は 2010 年第 2 四半期に 10 億 US$の 米国 業績 23 ニュージーランド Widespread 社は、Chatham Rise 海底リン鉱床プロジェクトのために、浚渫会 社3 社と契約締結 ニュージー ランド 上流開発 24 チュニジアのリン鉱石生産者は計画通り稼動していると発表 GCT が、プラント チュニジア 生産 25
Mosaic と主要株主の Cargill は、Cargill の所有す る64%の株式を Cargill の株主と債権者に分配す ると発表
米国 ファイナン ス
26
Egypt Kuwait Holding 社は、エジプト Sadat 市の 肥 料 プ ラ ン ト 建 築 に つ い て フ ラ ン ス Letoine Group 社と契約
エジプト 設備拡大
27 Vale Fertilizantes の株主総会が Vale Fosfatadosを編入することを承認 ブラジル 企業再編 28 Acron の子会社の Acronit が、570.7 百万 US$相当の株式発行計画 ロシア ファイナン
ス 29 モロッコOCP とトルコ Tekfen は、リン酸スラリ ーパイプラインとDAP/MAP プラント 2 基の建設 に関する契約を締結 モロッコ 設備拡大 30 ロシア連邦独占禁止サービスは、PhosAgro グル ープのApatit OJSC を競争保護法違反で調査を開 始 ロシア 行政
年 月 No. 動向 国 分野 2 31
カ ナ ダ の MBAC Fertilizer Corp.はブラジルの Itafos 過リン酸石灰肥料プロジェクトの開発のた めに、Banco Itau から 110 百万 US$の融資を得た
ブラジル ファイナン ス
32 豪肥料大手ロンの影響により約Incitec Pivot Limited は超大型サイク 36.5 百万 US$の損失 オーストラ リア 災害 33 ブラジルFospar 社は、肥料の主要受入港である Paranagua 港の付帯設備拡張のために 22 百万 US$を投資 ブラジル 設備拡大 34 豪Celamin 社とチュニジア鉱業サービスは、Bir El Afou リン開発の第 1 フェーズ生産物売却に関し て、国際肥料企業とMoU 締結 チュニジア 提携 35 カナダ益は前年比約Agrium 社は 2010 年度決算を発表、純利 2 倍の 714 百万 US$に カナダ 業績 36 ロシアAcron 社は、Raiffeisen 銀行グループに対 する負債が300 百万 US$から 425 百万 US$に増 加したと発表 ロシア ファイナン ス 37
カザフスタンSunkar Resources は、Chilisai リン 鉱石プロジェクトのF/S 調査の予備調査結果を発 表
カザフスタ
ン 上流開発
38
豪 Rum Jungle Resources 社 が Aragon Resources 社から Territory Phosphate 社を買収し たと発表
オーストラ
リア 買収
39 Cominco Resources 社はコンゴの Hinda プロジ
ェクトでリン鉱石等の掘削を開始 コンゴ 上流開発 40 モロッコ OCP と中国 Sinochem(中国中化集団) は、中国向けDAP の販売量を、現在の約 3 倍の 年50 万 t にする契約を締結 モロッコ 中国 提携 41 フィンランド Outotec 社はオーストリア ASH DEC を買収し、 有機物焼却灰からリン肥料をリ サイクル技術を獲得 フィンラン ド 買収 42 Vale は 2010 年度決算を発表、純利益は過去最高 の173 億 US$に ブラジル 業績 (出典)Fertilizer Week をもとに作成
(2)主な動向
リンに関する主な動向を 2 件取り上げる。
①モロッコのリン鉱石公社がDAP/MAP 生産設備を増強
z モロッコの Office Cherifien des Phosphates (OCP;リン鉱石公社)は、DAP/MAP のユニットを 4 基、新規建設する計画である。それぞれのユニットは年産能力 100 万トン。2013 年 7 月から 2015 年 7 月までに、順次生産開始する。 z OCP の拡大により、モロッコのリン鉱石生産者による DAP/MAP 生産能力は、 現在の 3 百万トンから 9 百万トンに増加する。 z OCP は同時に港湾設備を増強し、年 35 百万トンを取り扱えるようにする。ま た、プラントから港までのスラリーパイプラインを新規に建設する。 z パイプラインの建設により、リン鉱石生産は現在の年 30 百万トンから年 50 百万トンに増加する。 z パイプラインと 2 基の設備建設は、トルコの Tekfen Contracting グループに委 託される。建設費用は合計で 630 百万 US$を見込む。 ②ブラジルVale が肥料事業強化 z Vale 社について ¾ ブラジル政府が 5.4%株式所有する鉄鉱石メジャー ¾ 2010 年第 3 四半期までの売上 378 億ドル、償却前営業利益 194 億ドル ¾ 鉄鉱石関連が売上の 70%を占めるが、肥料関連は目下 3%にすぎない z 肥料事業強化の経緯 ¾ 2010 年 1 月、米 Bunge 社が所有する肥料事業資産を 38 億ドルで買収 ¾ 同 6 月、子会社を通じて、ブラジル最大の肥料会社である Fosfertil 社の株 式 58.6%を買収、Vale Fertilizantes と社名変更
¾ 同 9 月、Vale Fertilizantes 株式の 20.3%を Mosaic 社から 10 億ドルで獲得し、 Vale の株式所有比率は 78.9%となる
¾ 2011 年 2 月 1 日、Bunge 社から取得した資産を Vale Fertilizantes に編入 z Vale は世界の肥料ビジネスのリーダーとなることを目標としている。Vale Fertilizantes は肥料事業の中核会社となる。 z なお、ブラジル政府は、肥料国内需要の 70%を輸入に頼っている現状を解消 する意向である。 ③まとめ z リン鉱石開発については、モロッコにおける生産設備増強のインパクトが大き いが、ほかにもロシアやイスラエルのプロジェクトが順調に進捗している模様 である。 z 業界の台風の目となっているのはブラジル・Vale であり、上流開発を中心に、 今後とも動向が注目される。 z 他の需要国としては、インドが産出国と提携する一方、中国の姿は見えてこな い。
1.6.2 カリ (1)動向一覧 カリに関する最近の動向を、表 1.6-2 に示す。赤字で示した動向については、次節 で行う整理の対象となっている。 表 1.6-2 リンに関する動向一覧 年 月 No. 動向 国 分野 2010 11 1 11 月 3 日 、 カ ナ ダ 政 府 が BHP Billiton の PotashCorp への買収提案を拒否 カナダ M&A 2 露買収への参加を検討していることが報道OAO PhosAgro が、BHP Billiton の PotashCorp ロシア M&A 3 米Agrium、独 K+S などカリ大手各社が好決算見
通しを相次いで発表 世界 業績
4
Talitsky Potash プロジェクトが、露 Acron の子会 社であるVerkhnekamsk Potash Company(VPC) によって具体的に進捗
ロシア 上流開発
5 Saskatchewan 州環境省が、Potash One による
Legacy Project における環境影響評価を承認 カナダ 上流開発 6
加Allana Potash Corp が、エチオピアの Danakhil 低地の探鉱ライセンスを、Haro Exploration Corp よりC$400 万で買収 エチオピア 上流開発 7 加Magindustries Corp が、トロント証券取引所に てIPO を実施して C$1,000 万を調達予定、資金 はコンゴ・Mengo Project に投資を計画 カナダ コンゴ ファイナンス 上流開発 8 11 月 15 日、BHP Billiton が PotashCorp 買収を断念 カナダ M&A 12 9 露 Acron の子会社が、カナダのカリウム鉱区を BHP Billiton の現地法人へ C$600 万で売却 カナダ 上流開発 10 独K+S Kali がリン資源の不足を理由に、リン酸カ リウム肥料の販売を中止する予定であることを 発表 ドイツ 商品 11
加Allana Potash Corp が、第三者引き当て増 資を通して C$1,240 万ドルを調達、一部を エチオピア・Danakhil プロジェクトの FS 調 査に利用 カナダ エチオピア ファイナンス 上流開発 12 加Magindustries Corp が、トロント証券取引 所にてIPO を実施して予定通り C$1,000 万 を調達、 Mengo Project に投資 カナダ コンゴ ファイナンス 上流開発 13
加 Atacama Minerals Corp が伯 Salvador Bahia 探鉱プロジェクトの掘削作業が難航し ていると発表
ブラジル 上流開発
14
Uralkali が Perm 北部の Berezniki における設 備更新の一環としてSiemag 社のスキップホ イスト二基を導入、2011 年も更新計画 ロシア 上流開発 15 Uzkhimprom が Tyubegatan カリウム塩鉱山 近郊のDekhkanabad 工場に第 2 ユニットを 導入予定、肥料生産規模は40 万トン/年に ウズベキスタン 設備拡大
年 月 No. 動向 国 分野 倍増 16 Americas Petrogas がトロントベンチャー取 引所からC$315 万を調達、ペルーの Bayovar プロジェクトに投資予定 カナダ ペルー ファイナンス 上流開発 17 露渉がまとまりつつあることが報道 Uralkali と、同国同業の Silvinit との合併交 ロシア M&A
18 独 K+S Aktiengesellschaft による加 Potash One の友好的買収案件は、カナダ連邦政府が 問題ないと判断 カナダ M&A 19
加 Talon Metals Corp が 伯 Rio Verde Minerals Corp に、Sergipe Potash Project に おける権益の過半売却を完了
ブラジル 上流開発
2010 12 20
加 Intercontinental Potash Corp が、 New Mexico 州における硫酸カリ開発プロジェク トへの出資比率を拡大
米国 上流開発
21
豪South Boulder Mines Ltd が、エリトリア のColluli Project における掘削調査の結果、 有望な埋蔵ポテンシャルを確認したと発表 エリトリア 上流開発 22 加 Marifil Mines Ltd が ア ル ゼ ン チ ン の Neuquen 堆積盆にて、カリウム、ウラン、 亜鉛などが豊富な鉱床を発見したと発表 アルゼンチン 上流開発 23 12 月 20 日、 Uralkali と Silvinit が合併する と声明を発表し、世界最大のカリ輸出企業誕 生へ ロシア M&A 24
米Universal Potash Corp が国際投資ファン ドより$100 万調達、ユタ州 Paradox 堆積盆 における開発を推進 米国 ファイナンス上流開発 25 加 カ リ 探 鉱 企 業 で あ る Encanto Potash CORP が私募によって$550 万を調達 カナダ ファイナンス 26
加 Intercontinental Potash Corp が、 New Mexico 州における硫酸カリ開発プロジェク トのサンプリングプログラムを開始予定で あると発表
米国 上流開発
2011 1 27 Uralkali が Silvinit との合併について、その詳細をWeb サイトで発表 ロシア M&A
28 BHP Billiton が Jansen カリ鉱山の開発を進 めるべく、Saskatchewan 州環境省が求める 環境影響評価書を取りまとめ カナダ 上流開発 29
加 Intercontinental Potash Corp が、 New Mexico 州における硫酸カリ開発プロジェク トの経済性評価のアップデート版をとりま とめ 米国 上流開発 30 豪 Orocobre Ltd の、リチウム-カリ開発事 業であるSalar de Olaroz Project の環境影響 評価が、アルゼンチンJujuy 州政府より承認
アルゼンチン 上流開発
31
米Compass Minerals が加硫酸カリ大手であ る Big Quill Resources Inc の 全 株 式 を C$5,600 万で取得して買収完了
カナダ M&A 32 Passport Potash が、半世紀近く開発されて 米国 上流開発
年 月 No. 動向 国 分野 いなかったアリゾナ州の Holbrook 堆積盆に
おけるカリ掘削プロジェクトを開始
33
Lithium Americas Corp が、 アルゼンチンに お け る リ チウ ム - カ リ開 発 事 業 であ る 、 Cauchari Olaroz Project を更に推進すると発 表
アルゼンチン 上流開発
34 1 月 19 日、K+S が Potash One の全株式の81%を取得し、TOB が成功したと発表 カナダ M&A
35 Uralkali と Silvinit が、2010 年における両社 の塩化カリウム生産量が、好調だった 2007 年レベルにまで回復し、計1,000 万トンを突 破したと発表 ロシア 業績 36 中Migao Corp と SQM による新合弁企業が、 中国 Sichuan にて硝酸カリウムの生産を開 始 中国 設備 37 露ACRON の子会社である Acronit が、増資 して$5 億7,070 万を調達する予定であるこ とを発表 ロシア ファイナンス 38
英Sirius Minerals plc が Yorkshire に鉱物権益 を保有するYork Potash Ltd を買収すると発 表
英国 M&A
39
加 Western Potash が AMEC Americas に Saskatchewan におけるカリウム事業のコン サルティング及びFS 調査を発注
カナダ 上流開発
40
Passport Potash が、アリゾナ州の Holbrook 堆積盆におけるカリ掘削プロジェクト向け に株式やワラントを売却して$550 万調達
米国 ファイナンス上流開発
2011 1 41
豪South Boulder Mines Ltd が、 エリトリア のColluli Project における埋蔵量評価の第一 フェーズを完了させ、土地評価額を$405 億 と発表
エリトリア 上流開発
42
中Sinochem と CNOOC が共同で Belaruskali を買収することで、ベラルーシ政府と交渉中 であることが報道
ベラルーシ M&A
43
豪Aguia Resources が、伯 Sergipe における 鉱物探鉱事業を行う Potassio do Atlantico Ltda を買収することで、両社が条件付きで合 意 ブラジル M&A 44 加Marifil Mines Ltd.が、現在探鉱中のアルゼ ンチンMendoza 州、Neuquen 堆積盆にて、 カリ埋蔵が豊富だとみられる鉱区を追加で 取得 アルゼンチン 上流開発 (出典)Fertilizer Week をもとに作成
(2)主な動向 カリに関する主な動向を、以下に 3 件取り上げる。 ①BHP Billiton が PotashCorp の買収を断念 豪資源大手の BHP Billiton は、2010 年 8 月 18 日に、カリ事業世界最大手でカナダ 法人である PotashCorp の株式を、$130/株で買い取ると発表し、敵対的買収をしか けた。この買収価格は、2010 年 8 月 11 日の株価に 20%のプレミアムを乗せたもので、 30 日間の加重平均価格からは 32%、60 日間の加重平均価格からは 33%上回る額で、 買収提案の総額は$400 億に達した。この業界で圧倒的な地位を築く PotashCorp の反 応が注目されたが、同社はすぐに、上記の買収額は過小評価であると表明し、提案を 拒否した。
(出典)BHP Billiton “All cash offer for PotashCorp” 注)VWAP: Volume-Weighted Average Price、加重平均価格
図 1.6-1 PotashCorp の株価と BHP Billiton による買収提案額
2010 年 11 月 3 日、カナダ政府は同買収案件について、Investment Canada Act に基 づいて検証した結果、買収は同国にとって最良の選択ではないと発表し、BHP に提 案内容を改めるよう、30 日間の猶予を与えた。同社は、このカナダ政府の判断をも って買収をあきらめ、2010 年 11 月 15 日、断念したことを発表した。 しかし、BHP は肥料事業のみならず、カナダにおけるカリ生産事業については加 速させる方針を明らかにし、Saskatchewan 州で計画を進めている Jensen カリ開発プ ロジェクトに注力し始めた。この鉱脈における埋蔵ポテンシャルは、世界最大級であ るとされている。
(出典)BHP Billiton “The Jensen Project” 図 1.6-2 Jensen プロジェクトの位置 同プロジェクトにおいては、計画されている全ての設備が稼動すれば、800 万トン /年のカリを製造できるとみられる。2010 年 12 月 18 日、BHP は同州政府に環境影 響評価書を提出し、首尾よく開発許可が得られれば、2011 年中にはサイトの建設に 入り、2015 年初頭より生産が開始される予定となっている。 ②Uralkali と Silvinit の合併 2010 年 12 月末、ロシアの Uralkali が、同じくロシアの Silvinit と、合併に向けて動 いていることが明らかとなった。この合併の背景には、ロシア政府の思惑もあったた め、特に問題なく具体的に進捗した。そして 2011 年 1 月、両社が合併スキームを発 表し、合併は二段階で行われることが明らかとなった。第一段階では、Uralkali が Silvinit の株式 20%をおよそ$14 億で買収し、第二段階では、Silvinit の株式を Uralkali 株に交換できるようにし、2011 年 5 月を目処に完全に合併する、という内容であっ た。
(出典)Uralkali “Recommended Combination of Uralkali and Silvinit:Creation of a Leader in the Global Potash Market” 図 1.6-3 合併のタイムスケジュール
この合併が完了すると、Uralkali と Silvinit 合併後のカリ生産設備規模は、Belaruskali や K+S を抜いて三番手になるとみられる。一方で海外への輸出量では最大企業とな り、現在 Uralkali の輸出事業を手がける、Belarusian Potash Company(BPC)より Silvinit も輸出するようになると、BPC の輸出販売量における世界シェアは 44%に達すると 報じられている(2 位の Canpotex で 2 割程度)。
両社の販売量や、国内外販売比率は類似しているが、販売先はやや異なっており、 アジアで確固たる地域を築きつつも、米国やブラジルでも存在感を示せるようになる とみられる。
(出典)Uralkali “Recommended Combination of Uralkali and Silvinit:Creation of a Leader in the Global Potash Market” 図 1.6-4 Uralkali(左)と Silvinit(右)の販売ポートフォリオ(2010 年第 1 四半期)
(出典)Uralkali “Recommended Combination of Uralkali and Silvinit:Creation of a Leader in the Global Potash Market” 図 1.6-5 両社の概要
2010 年における、Uralkali の塩化カリウム生産量は 510 万トン/年、Silvinit は 520 万トン/年とほぼ拮抗しており、両社で 1,000 万トンを上回る規模となる。
なお Silvinit は、International Potash Company(IPC)を通してこれまで製品を出荷 していたが、既に IPC の株式を全て売却しており、BPC に一本化されるとみられて おり、輸出販売量で圧倒的な企業が別途誕生する可能性が高い。
③独K+S が Potash One を友好的買収
2011 年 11 月 22 日、独肥料大手の K+S Aktiengesellschaft が、州にカリウム鉱区を 保有する Potash One に対して買収を提案し、一方で Potash One の取締役会は、この 提案を受け入れると発表した。更に、同社の株主総会も、本買収は同社の最大の便益 に叶うものであるとして満場一致で承認した。
(出典)Potash One Web サイト(http://www.potash1.ca/s/StockInfo.asp) 図 1.6-6 Potash One の株価の推移
K+S は、Potash One の 11 月 19 日以降 10 日間における株価を加重平均したものに、 31.3%のプレミアムを上乗せし、C$4.5/株(総額 C$4 億 3,400 万)で全発行済み株式 の 3 分の 2 以上を、2011 年 1 月 18 日までに取得する内容の TOB を実施した。
本件については、カナダ政府も同年 12 月、Investment Canada Act に基づいて、調 査する内容ではない、との判断を示したため、BHP Billiton の時のような問題は発生 しなかった。その後、2011 年 1 月 19 日に、K+S が Potash One の全株式の 81%を取得 し、TOB が成功したと発表した。更に 2 月 7 日には、90.9%まで買い進めたことを明 らかにしている。
(出典)Potash One “The Legacy Project Feasibility Study Summary”
図 1.6-7 Legacy プロジェクトの位置
に、同社が進める Legacy Project の環境影響評価が、Saskatchewan 州環境相より承認 を得られたことがあるとみられる。 同プロジェクトでは、最速で 2015 年には塩化カリウムを生産することができ、最 大で 270 万トン/年の製造規模にすることが可能だとされる。 ④まとめ カリ事業においては、従前より PotashCorp.という圧倒的な存在がおり、寡占化が 進んでいた。そして、今後世界の人口の増加に伴い、食糧需要が拡大していくため、 肥料需要も右肩上がりであるとみられること、資源関連企業がその高騰を背景に資金 を増やし、新規投資先を探していること、国によっては政府が再編を後押ししている ことなどから、近年その再編が更に進むことになった。 一方、Sinochem や CNOOC といった、中国の大手企業による買収合戦参画の可能 性も方々で報じられており、今後更に大型再編が起こる可能性もある なお、中堅企業が IPO や増資によって資金を調達し、南米やアフリカで上流開発 を行うケースも多くみられており、新たな資源獲得競争も加熱して行くと考えられる。