• 検索結果がありません。

ランダム化比較試験による抑うつ気分を伴う機能性めまいに対する抗うつ薬の有効性 —予備的検討—

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ランダム化比較試験による抑うつ気分を伴う機能性めまいに対する抗うつ薬の有効性 —予備的検討—"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

364 Vol. 61 No. 4. 2021|心身医. はじめに 身体化するさまざまな症状の背景には,必ず しも器質的な問題だけではなく,心理社会的な 問題が影響している場合がある.慢性的なめま い症状の原因には,器質的な要因が存在する場 合もあるが,器質的な要因では説明ができない 場合もあり,機能性めまい(または心因性めま い)と称される.慢性的にめまい症状を自覚す る症例では,不安や抑うつ気分を伴う場合が多 く1),めまい症状とストレスの関連性が考えら れている.そのため,治療には心身医学的な治 療や向精神薬が用いられ,心療内科医や精神科. 医が治療の中心を担う症例も多い2). ストレス関連疾患の身体症状に対する薬物治 療については,三環系抗うつ薬や serotonin nor- epinephrine re‒uptake inhibitor(SNRI)を用いる ことで,疼痛症状の改善効果が示されている3). また,うつ病症例における身体症状に対して は,milnacipranの臨床効果が国内で報告されて いる4).さらに,近年の研究では,selective serotonin reuptake inhibitor(SSRI)である escit- alopramが,日本人におけるストレス関連疾患 の身体症状の改善に有効であったことが報告さ れた5).抗うつ薬には多様な種類が現存するが, 各薬剤の有効性と受容性について検討した MANGA Study6)によれば,SSRIでは escitalo- pramが有効性,受容性ともに高く,SNRIでは 有効性は venlafaxine,受容性はmilnacipranが最 も高いと評価されている.. Jpn J Psychosom Med 61:364-370, 2021. 原著. ランダム化比較試験による抑うつ気分を伴う機能性 めまいに対する抗うつ薬の有効性 ―予備的検討―. 橋本和明*/竹内武昭/上野孝之/中村祐三/都田 淳/端詰勝敬. 抄録:機能性めまいはうつなどの心理的要因が影響するが,病態は不明で薬物治療は確立され ていない.本研究では抑うつ気分を伴う機能性めまいに対し,抗うつ薬による無作為化比較試験 による予備的な検討を行った.治療薬に SSRIは escitalopram,SNRIは milnacipranを無作為に 割り付けて用い,臨床症状の経過を比較した.また,無作為に選ばれた対象者に 4週間の待機期 間を設け,コントロール群とした.主要評価項目は Clinical Global Impressions(CGI),副次評価 項目は Dizziness Handicap Inventory(DHI),Vertigo Symptom Scale‒short form(VSS‒sf)とし た.20~74歳までの男女 13名がエントリーし,10名が最終解析の対象となった.各群間の年 齢,性別,併存症,臨床指標に有意差はなかった.4週間の経過で,escitalopram群では CGIが 改善傾向(p=0.05),VSS‒sfも改善傾向を認めた(p=0.06).機能性めまいの初期治療には, SSRIが有効である可能性が示唆された.今後は多施設によりサンプルの均一化と増数による検 討が望まれる. Key words:機能性めまい,心身医学,抗うつ薬,ランダム化比較試験. 2020年 4月 9日受稿,2020年 9月 25日受理 * 東邦大学医学部心身医学講座(連絡先:橋本和明, 〒143‒8541 東京都大田区大森西 6‒11‒1). 365Vol. 61 No. 4. 2021|心身医. 機能性めまいについて,ラットを用いた先行 研究では,前庭刺激により扁桃体内側核の神経 活動が亢進すると報告されており7),近年では 脳機能画像の研究において,動的な情報や身体 感覚,そして侵襲的かつ脅迫的な刺激に対する 反応が健常人と異なることが報告8)された. 機能性めまいの治療は,心理的な介入が有用 と考えられており,認知行動療法の有用性がラ ンダム化比較試験により報告されている9).ま た,抑うつ気分や不安など,関連している精神 的な病態に対する治療を行うことで,めまい症 状が改善する場合があり,薬物療法としては SSRIや SNRIの有効性が経験的に知られてい る1)10)11).さらに,SSRIである sertralineと認 知行動療法を併用した場合には,sertraline単剤 による治療と比較し,有効性や受容性が向上し たという報告12)もあり,両者の併用が治療によ り有用である可能性が示唆されている.しか し,抗うつ薬を用いた薬物療法についてのラン ダム化比較試験による検討はこれまで報告がな い.そこで本研究では,抑うつ気分を伴う機能 性めまいに対する escitalopramとmilnacipranを 用いた予備的検討により,治療の有効性につい て評価することを目的とした.. 方法 1. 研究デザインと対象 本研究は 2018年 3月~2019年 12月までに実 施された,オープンラベルのランダム化比較試 験である.研究実施に際しては,大学病院医療 情報ネットワーク臨床試験登録システム (UMIN000031958)に登録を行った.介入研究 のプロトコールは,ヘルシンキ宣言を順守し, 匿名性,倫理性に配慮したうえで,東邦大学医 療センター大森病院倫理委員会の承認を得た (承認番号:M1722217299).参加者に対して は,文書を用いながら口頭で研究内容を説明 し,途中で同意を取り下げることも可能である ことを十分説明したうえで同意を得た.. 対象者は,実施期間に東邦大学医療センター 大森病院心療内科を受診した 20~74歳までの 男女であり,抑うつ気分を伴った機能性めまい 症例である.本研究における機能性めまいは, 先行研究13)14)を参考に,“内科および耳鼻咽喉 科を専門とする医師の診察により器質的疾患を 除外されためまい症状であり,4週間以上持続 する慢性的な症状を有すること”と定義した. 抑うつ気分は心療内科を専門とする医師 2名が Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disor-. ders‒5th Edition(DSM‒5)15)の major depressive disorderにおける診断基準 Aの 1を用いて臨床 症状の評価を行ったうえで,Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS)16)のスコアを参考 所見として評価した.ただし,希死念慮を伴う 重篤なうつ病に罹患している者,統合失調症, 認知症ならびにアルコール依存症の既往がある 者,過去 4週間以内に抗うつ薬の投与を受けた 者,他の臨床研究にて試験薬の投与を受けた者 は除外した.対象者は性別により層別化され, エントリーから直ちに治療介入する群と待機期 間を設けた群に乱数表を用いてランダムに配置 された.待機期間は 4週間とし,待機期間の推 移をコントロール群として用いた.また,待機 期間の終了後からは,同様のプロトコールで 4 週間の治療介入を実施することで,すべての対 象者に治療介入による観察期間を設けた.治療 薬の選択には封筒法を用いてランダム化を行っ た.. 2.評価 対象者は,自記式質問紙と心療内科担当医に よる診察で評価された.自記式質問紙として は,不安・抑うつの評価として HADS,めまい による機能障害の評価として Dizziness Handi- cap Inventory(DHI)17),めまいの出現頻度の評 価として Vertigo Symptom Scale‒short form (VSS‒sf)18),臨床症状全般の評価としてClinical Global Impressions19)で評価した.4週間の治療. 366 Vol. 61 No. 4. 2021|心身医. 介入前後における各評価項目の変化を比較し, 治療による効果を検証した.. 3.治療薬 治療薬の選択には先行報告6)を参考に,薬物 の有効性,受容性の高さを考慮し,SSRIには escitalopram,SNRIには milnacipranを用いた. 薬理学的な等価換算20)を考慮し,escitalopram は 10 mg,milnacipranは 50 mgを使用量とした. 治療介入による観察期間は治療薬の導入から 4 週間とした.. 4.統計解析 Escitalopram群,milnacipran群,コントロー ル群の 3群間の背景について,名義変数は Fisher検定,連続変数は正規性を考慮し Krus- kal‒Wallis検定で比較した.また,臨床所見と自 覚症状との関連性を評価するため,CGIと DHI,VSS‒sfの相関性について,Spearmanの順 位相関係数にて評価した.そして,治療薬の有 用性を評価するため,各群において 4週間の経 過での各スコアの変化をWilcoxonの符号付順 位検定により評価した.データ解析には,EZR Ver. 1.3221)を使用した.有意水準については, サンプルサイズを考慮し,p<0.05を有意差あ り,p<0.1を有意傾向とした.. 結果 研究のエントリー者数は 13例であった.そ のうち,抗うつ薬の副作用による中止が 1例, プロトコールからの脱落が 2例あり,対象者は 男性 4名,女性 6名となった.年齢構成として は,30代が 2名,50代が 5名,70代が 3名で, 平均年齢は 56.3歳であった.めまいの性状は全 例において浮遊性であり,さらに回転性を伴う 症例を 3例で認めた.エントリー時におけるサ ンプルの粗点として,HADSの総合得点の平均 値は 14.6点であった.めまい症状の程度につい ては,VSS‒sfの平均点は 22.3点,DHIの平均. 点は 47.2点といずれも高かった.対象者のう ち,6例がコントロール群に割り付けられ,待 機期間が設けられた.介入群の割り付けは, escitalopram群が 5例,milnacipran群が 5例と なった. 各群間における年齢,性別,併存症,めまい の性状および各評価項目のスコアに有意差はな かった(Table 1).また,臨床所見とめまい症 状には有意な関連性を認め,CGIと DHIの相関 係数は 0.61(p<0.05),CGIと VSS‒sfの相関係 数は 0.62(p<0.01)と正の相関関係が認められ た. 次に,各群の 4週間における各スコアの変化 を Table 2~4に示す.4週後の変化としては, escitalopram群では割り付けられた 5例全例に おいて,CGIおよび VSS‒sfの改善が認められ, CGIのスコアは有意な減少傾向を認めた(p< 0.1).また,VSS‒sfのスコアについても有意な 減少傾向を認めた(p<0.1).コントロール群, milnacipran群においては有意な減少は認められ なかった.また,4週間の経過において,各群 におけるHADSのスコアについては有意な変化 は認められなかった.. 考察 本研究では,抑うつ気分を伴う機能性めまい の臨床所見である CGIと,めまいの自覚症状で あるDHI,VSS‒sfとの間に有意な正の相関関係 を認めた.そして,SSRIである escitalopramを 4週間導入し,前後において CGIと VSS‒sfのス コアが改善傾向となった. 主観的なめまい症状の評価尺度は複数存在す るが,DHIが最も汎用されている22).国内では DHIに加えて,メニエール病など心身症として の側面をもつめまい疾患に対して VSS‒sfが使 用され,臨床症状との関連性について報告され ている23).自記式質問紙である DHIおよび VSS‒sfが,臨床医による複合的な評価である CGIと正の相関関係を認めたことは,機能性め. 367Vol. 61 No. 4. 2021|心身医. まいにおける DHIおよび VSS‒sfが自覚症状だ けではなく,臨床所見の評価としても有用な指 標となる可能性を示唆している. 精神症状をもつめまいの自覚症状に対して抗. うつ薬を用いた先行研究では,SSRIである ser- tralineが病状改善に有効であったと報告されて いる24).本研究では escitalopram群において, 5症例すべてにおいて,CGIと VSS‒sfが改善し. Table 1 3群間における対象者の背景と比較(n=10). escitalopram(n=5) milnacipran(n=5) control(n=6) p value Sex(male/female) 1/4 3/2 3/3 0.56 Age(Median[interquartile range]) 53.00[38.00‒72.00] 56.00[52.00‒65.00] 56.00[53.00‒72.00] 0.75 Symptoms vertigo 5 5 6 0.75 dizziness 2 1 2 N/S Comorbidity cardiovascular disease 1 1 2 N/S neurological disease 0 0 0 N/S lifestyle‒related diseases 3 4 5 0.79 orthopedic disease 0 1 1 N/S mental disease 0 0 0 N/S other diseases 0 0 0 N/S Clinical Global Impressions (Median[interquartile range]). 4.00[ 3.00‒ 6.00] 4.00[ 3.00‒ 5.00] 3.50[ 3.00‒ 5.00] 0.68. Dizziness Handicap Inventory (Median[interquartile range]). 50.00[13.00‒73.00] 56.00[35.00‒61.00] 46.00[34.00‒56.00] 0.87. Vertigo Symptom Scale‒short form (Median[interquartile range]). 15.00[ 7.00‒38.50] 22.00[12.50‒29.00] 18.00[13.00‒23.00] 0.83. Hospital Anxiety and Depression Scale (Median[interquartile range]). 9.00[ 5.50‒24.50] 19.00[11.50‒25.50] 18.50[12.00‒20.00] 0.74. Anxiety (Median[interquartile range]). 5.00[ 1.00‒13.00] 10.00[ 6.00‒13.50] 9.00[ 4.00‒10.00] 0.72. Depression (Median[interquartile range]). 6.00[ 3.50‒11.00] 9.00[ 4.50‒13.00] 9.00[ 8.00‒10.33] 0.59. Table 2 Control群における 4週間における各指標の比較(n=6). before (Median[interquartile range]). after (Median[interquartile range]) p value. Clinical Global Impressions 4.00[ 3.00‒ 5.00] 4.00[ 4.00‒ 4.00] 0.76 Dizziness Handicap Inventory 46.00[34.00‒56.00] 49.00[28.00‒60.00] 1.00 Vertigo Symptom Scale‒short form 18.00[13.00‒23.00] 17.00[ 6.00‒22.00] 0.58 Hospital Anxiety and Depression Scale 18.50[12.00‒20.00] 13.50[ 6.00‒19.00] 0.10 Anxiety 9.00[ 4.00‒10.00] 6.50[ 4.00‒10.00] 0.18 Depression 9.00[ 8.00‒10.33] 7.00[ 4.00‒ 9.00] 0.10. Table 3 Escitalopram群における 4週間における各指標の比較(n=5). before (Median[interquartile range]). after (Median[interquartile range]) p value. Clinical Global Impressions 4.00[ 3.50‒ 5.00] 2.00[ 2.00‒ 3.00] 0.05 Dizziness Handicap Inventory 50.00[13.00‒73.00] 18.00[10.00‒64.00] 0.20 Vertigo Symptom Scale‒short form 15.00[ 7.00‒38.50] 8.00[ 5.50‒25.50] 0.06 Hospital Anxiety and Depression Scale 9.00[ 5.50‒24.50] 11.00[ 6.00‒17.50] 0.49 Anxiety 5.00[ 1.00‒13.00] 6.00[ 4.50‒ 8.50] 0.89 Depression 6.00[ 3.50‒11.00] 5.00[ 1.50‒ 9.00] 0.26. 368 Vol. 61 No. 4. 2021|心身医. た.統計解析においても有意傾向にとどまった 結果ではあったが,CGIとVSS‒sfの改善を認め た.サンプルサイズを考慮すると,明確な有意 差が検出できなかった可能性が考えられ,本結 果は先行研究を支持した内容であると解釈され る.また,HADSにより評価された不安・抑う つの自覚症状が有意な改善を認めない一方, SSRIによる介入群で CGIおよびめまい症状の 出現頻度が改善傾向を認めたことは興味深い. 機能性めまいでは前述のように以前からセロト ニンがめまい症状に関与している可能性が示唆 されてきた.本研究においては,escitalopramの 導入から 4週間という比較的短期間の経過の中 で,HADSのスコアは不安・抑うつともに変化 がなかったにもかかわらず,めまいの臨床症状 に改善傾向が認められたことは,セロトニンが 何らかの形で中枢神経系を介し,めまい病状に 影響している可能性を示唆していると考えられ る.そしてこのメカニズムは,主観的な不安や 抑うつ症状に対する効果に先駆けて認められる ということも示唆している. 機能性めまいの生理学的な仮説として,先行 報告ではgaiting out systemの減弱が提唱されて いる25).Gaiting out systemは感覚情報の緩衝機 能であり,ストレス負荷などが影響を及ぼすと 報告されている26).Escitalopramの導入群にお いて,めまいの重症度の指標であるDHIについ ては著変を認めず,頻度の指標である VSS‒sf では改善傾向であったことを考慮すると,セロ トニンは感覚情報における閾値に作用し,めま. い誘発に関する比較的弱い刺激情報の感知に影 響した可能性が推察された.機能性めまいの知 覚刺激の感受性については,functional MRIを 用いた先行研究27)においても,動的な情報や身 体感覚,そして侵襲的で脅迫的な聴覚刺激に対 する応答が健常人とは異なることが報告されて おり,本研究における臨床経過とも合致してい ると考えられる. 本研究における知見は,初期治療の薬物選択 という場面において,escitalopramなどの SSRI が薬物療法として有用な選択肢となりうること を示唆していると考えられる.一方で,いくつ かの研究の限界点があり,下記に述べる. まず,抗うつ薬の薬効については,さらなる 検討が必要である.本研究は臨床評価である CGIを用いたオープンラベルでのランダム化比 較試験であったため,盲検化試験と比較しバイ アスが混入する恐れがある.また,escitalopram や milnacipranをうつ病やストレス関連疾患の 身体症状において評価した先行研究では,いず れも 4週間以上の臨床経過で評価してい た1)4)5).加えて,本研究で使用した抗うつ薬は 2種類のみであり,いずれも使用可能な最高用 量を用いていないため,使用量を増やし,長期 的に治療介入した場合や他の SSRI,SNRIを使 用した場合の効果については,今後の検討が必 要である.さらに,本研究は単一施設における 予備的検討であるためサンプル数が少なく,脱 落例の影響もあり,検出力の低下など統計学的 な課題点がある.そして,重症のうつ病や統合. Table 4 Milnacipran群における 4週間における各指標の比較(n=5). before (Median[interquartile range]). after (Median[interquartile range]) p value. Clinical Global Impressions 4.00[ 4.00‒ 4.50] 4.00[ 3.00‒ 5.00] 0.85 Dizziness Handicap Inventory 56.00[35.00‒61.00] 50.00[33.00‒59.00] 0.58 Vertigo Symptom Scale‒short form 22.00[12.50‒29.00] 21.00[10.00‒23.00] 1.00 Hospital Anxiety and Depression Scale 19.00[11.50‒25.50] 19.00[10.50‒23.50] 0.42 Anxiety 10.00[ 6.00‒13.50] 9.00[ 6.00‒12.00] 0.58 Depression 9.00[ 4.50‒13.00] 9.00[ 4.00‒12.50] 0.34. 369Vol. 61 No. 4. 2021|心身医. 失調症など一部の精神疾患は除外しているが, 初期の身体症状症など,潜在する他の精神疾患 が結果に影響した可能性は否定できず,結果の 解釈には一定の制限がある.今後は,多施設に より症例を均一化し,サンプル数を増やした盲 検化試験による検討が望まれる.. 結論 抑うつ気分を伴う機能性めまいに対する薬物 療法について,escitalopram,milnacipranを用い たランダム化比較試験による予備的検討を行っ た.初期治療においては,escitalopramなどの SSRIが臨床症状の改善に有用である可能性が 示唆された.. 謝辞:本研究にあたり,機能性めまいについての 貴重なご示唆を賜りました,名古屋市立大学耳鼻咽 喉科 中山明峰先生,名古屋市立大学大学院医学研究 科精神・認知・行動医学分野 近藤真前先生ならびに めまい研究グループの皆様に心より感謝申し上げま す. 本稿において,開示すべき利益相反はない.. 文献. 1) Horii A, Imai T, Kitahara T, et al:Psychiatric comorbidities and use of milnacipran in patients with chronic dizziness. J Vestib Res 26:335‒ 340, 2016. 2) 橋本和明,竹内武昭,端詰勝敬:ストレスに関 連するめまい症状.臨牀と研究 95:43‒46, 2018. 3) Mercier A, Auger‒Aubin I, Lebeau JP, et al:Evi- dence of prescription of antidepressants for non‒ psychiatric conditions in primary care:an analy- sis of guidelines and systematic reviews. BMC Fam Pract 14:55‒2296‒14‒55, 2013. 4) 中尾睦宏,竹内武昭,山地清久:大うつ病患者 の身体症状に対するミルナシプラン塩酸塩の 臨床効果.新薬と臨牀 61:1784‒1791,2012. 5) 棚橋徳成,吉原一文,木下貴廣,他:エスシタ ロプラムによるストレス関連疾患の身体症状 の改善効果.日本心療内科学会誌 22:111‒ 119,2018. 6) Cipriani A, Furukawa TA, Salanti G, et al:Com- parative efficacy and acceptability of 12 new‒gen- eration antidepressants:a multiple‒treatments meta‒analysis. Lancet 373:746‒758, 2009. 7) Nakagawa A, Uno A, Horii A, et al:Fos induction. in the amygdala by vestibular information during hypergravity stimulation. Brain Res 986:114‒ 123, 2003. 8) Indovina I, Riccelli R, Chiarella G, et al:Role of the Insula and Vestibular System in Patients with Chronic Subjective Dizziness:An fMRI Study Using Sound‒Evoked Vestibular Stimulation. Front Behav Neurosci 9:334, 2015. 9) Edelman S, Mahoney AE, Cremer PD:Cognitive behavior therapy for chronic subjective dizzi- ness:a randomized, controlled trial. Am J Oto- laryngol 33:395‒401, 2012. 10) Christensen RC:Paroxetine in the treatment of tinnitus. Otolaryngol Head Neck Surg 125: 436‒438, 2001. 11) Horii A, Mitani K, Kitahara T, et al:Paroxetine, a selective serotonin reuptake inhibitor, reduces depressive symptoms and subjective handicaps in patients with dizziness. Otol Neurotol 25:536‒ 543, 2004. 12) Yu YC, Xue H, Zhang YX, et al:Cognitive Behav- ior Therapy as Augmentation for Sertraline in Treating Patients with Persistent Postural‒Per- ceptual Dizziness. Biomed Res Int 2018: 8518631, 2018. 13) 日本めまい平衡医学会:めまいの診断基準化 のための資料―1987年めまいの診断基準化委 員会答申書―.[www.memai.jp/shindan/shin dan-index.html]. 14) Dieterich M, Staab JP, Brandt T:Functional(psy- chogenic)dizziness. Handb Clin Neurol 139: 447‒468, 2016. 15) American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition. American Psychiatric Association, Wash- ington DC, pp123‒188, 2013. 16) Zigmond AS,Snaith RP(著),北村俊則(訳): Hospital Anxiety Depression Scale(HAD尺度). 季刊精神科診断学 4:371‒372,1993. 17) 増田圭奈子,五島史行,藤井正人,他:めまい の問診票(和訳 Dizziness Handicap Inventory) の有用性の検討.Equilibrium Res 63:555‒ 563,2004. 18) Kondo M, Kiyomizu K, Goto F, et al:Analysis of vestibular‒balance symptoms according to symp- tom duration:dimensionality of the Vertigo Symptom Scale‒short form. Health Qual Life Out- comes 13:4‒015‒0207‒7, 2015. 19) Guy W:ECDEU Assessment Manual for Psy- chopharmacology. U. S. Department of Health, Education, and Welfare, Rockville, 1976. 20) Inada T, Inagaki A:Psychotropic dose equiva- lence in Japan. Psychiatry Clin Neurosci 69: 440‒447, 2015. 21) Kanda Y:Investigation of the freely available easy‒to‒use software‘EZR’for medical statis-. 370 Vol. 61 No. 4. 2021|心身医. tics. Bone Marrow Transplant 48:452‒458, 2013. 22) Fong E, Li C, Aslakson R, et al:A systematic review of patient‒reported outcome measures in clinical vestibular research. Arch Phys Med Reha- bil 2014. 23) 近藤真前,清水謙祐,五島史之,他:めまい症 状尺度短縮版(Vertigo Symptom Scale‒short form)日本語版の使用経験.Equilibrium Res 75:489‒497,2016. 24) Staab JP, Ruckenstein MJ, Solomon D, et al: Serotonin reuptake inhibitors for dizziness with psychiatric symptoms. Arch Otolaryngol Head. Neck Surg 128:554‒560, 2002 25) 堀井 新:めまいとストレス―バラニー学会 新分類と心因性めまい,メニエール病をめ ぐって―.Equilibrium Res 75:33‒40,2016. 26) Ueda K, Okamoto Y, Okada G, et al:Brain activi- ty during expectancy of emotional stimuli:an fMRI study. Neuroreport 14:51‒55, 2003. 27) Indovina I, Ricceli R, Chiarella G, et al:Role of the insula and vestibular system in patients with chronic subjective dizziness:an fMRI study using sound‒evoked vestibular stimulation. Front Behav Neurosci 9:334:2015. Abstract. Examination of the Effectiveness of Antidepressants for Functional Dizziness with Depressive Mood by Randomized Controlled Trial―A Pilot Study―. Kazuaki Hashimoto* Takeaki Takeuchi Takayuki Ueno Yuzo Nakamura Jun Miyakoda Masahiro Hashizume. *Department of Psychosomatic Medicine, Toho University School of Medicine. (Mailing Address:Kazuaki Hashimoto, 6‒11‒1 Omori‒Nishi, Ota‒ku, Tokyo 143‒8541, Japan). Background:Functional dizziness is affected by psychological factors such as depressive mood. However, the mechanism is not fully understood, and there is no established drug treatment. In this preliminary study, we evaluate. the efficacy of antidepressants for treatment of patients with functional dizziness with depressive mood in a random-. ized controlled trial.. Subjects:Patients with functional dizziness with depressive mood between ages 20 and 74 who presented at our institution between March 2018 to December 2019 were included in the study. Cases with mental illness such as. severe depression and schizophrenia were excluded.. Method:Escitalopram group and milnacipran group were randomly assigned as treatments, and the course of clinical symptoms was compared. Furthermore, subjects were selected randomly, and given for 4 weeks waiting period. as a control group. The primary endpoint was assessed using Clinical Global Impressions(CGI), and secondary end- points were assessed Dizziness Handicap Inventory(DHI)and Vertigo Symptom Scale‒short form(VSS‒sf). Results:Thirteen patients participated in this study, and 10 were included in the final analysis. There were no significant differences in age, gender, comorbidities, or clinical indicators between the groups. At 4 weeks, escitalopram. group had improved CGI and VSS‒sf. On the other hands, other groups had no change significantly. Conclusion:The results suggest that SSRI, such as escitalopram, is a promising initial treatment for functional dizziness. Further multi‒institutional trials with access to a larger patient population are warranted to verify these pre- liminary results.. Key words:functional dizziness, psychosomatic medicine, antidepressant, randomized controlled study (Received April 9, 2020;accepted September 25, 2020)

Table 3 Escitalopram 群における 4 週間における各指標の比較(n=5)

参照

関連したドキュメント

Hoekstra, Hyams and Becker (1997) はこの現象を Number 素性の未指定の結果と 捉えている。彼らの分析によると (12a) のように時制辞などの T

何人も、その日常生活に伴う揮発性有機 化合物の大気中への排出又は飛散を抑制

何人も、その日常生活に伴う揮発性有機 化合物の大気中への排出又は飛散を抑制

検討対象は、 RCCV とする。比較する応答結果については、応力に与える影響を概略的 に評価するために適していると考えられる変位とする。

このうち、放 射化汚 染については 、放射 能レベルの比較的 高い原子炉 領域設備等を対象 に 時間的減衰を考慮す る。機器及び配管の

このうち、放 射化汚 染については 、放射 能レベルの比較的 高い原子炉 領域設備等を対象 に 時間的減衰を考慮す る。機器及び配管の

このうち、放 射化汚 染については 、放射 能レベルの比較的 高い原子炉 領域設備等を対象 に 時間的減衰を考慮す る。機器及び配管の

このうち、放 射化汚 染については 、放射 能レベルの比較的 高い原子炉 領域設備等を対象 に 時間的減衰を考慮す る。機器及び配管の